JP2010232136A - 積層固体電解質を備える高出力発電セル - Google Patents
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Abstract
【課題】セルの高強度化により破損防止を図るとともに、高出力の積層固体電解質を備えた発電セルを提供する。
【解決手段】発電セルの固体電解質として、緻密な構造を有し、比較的厚い(200μm〜1mm)LSGMFを電解質Aとし、また、緻密な構造を有し、比較的薄い(5〜200μm)LSGMを電解質Bとする積層構造の固体電解質を用い、かつ、燃料極と上記LSGMFからなる電解質Aとの間に、燃料極と接してLSGMからなる電解質Bを介在させる
【選択図】 なし
【解決手段】発電セルの固体電解質として、緻密な構造を有し、比較的厚い(200μm〜1mm)LSGMFを電解質Aとし、また、緻密な構造を有し、比較的薄い(5〜200μm)LSGMを電解質Bとする積層構造の固体電解質を用い、かつ、燃料極と上記LSGMFからなる電解質Aとの間に、燃料極と接してLSGMからなる電解質Bを介在させる
【選択図】 なし
Description
この発明は、発電セルの固体電解質を、ランタンガレート系酸化物からなる支持膜および電解質膜を積層することにより構成した、積層固体電解質を備える高出力発電セルに関するものである。
一般に、固体酸化物型燃料電池は、純水素ガスを燃料として発電しているが純水素ガスは比較的高価であるために、近年、都市ガス、天然ガス、メタノール、石炭ガスなどを改質して得られた水素ガスを燃料とすることが主流となってきた。この固体酸化物型燃料電池の構造は、一般に、酸化物からなる固体電解質の片面に空気極を積層し、固体電解質のもう一方の片面に燃料極を積層してなる構造を有している発電セルと、この発電セルの空気極の外側に空気極集電体を積層させ、一方、発電セルの燃料極の外側に燃料極集電体を積層させ、前記空気極集電体および燃料極集電体の外側にそれぞれセパレータを積層させた積層構造体を複数積層させた構造を有している。
そして、前記発電セルを構成する固体電解質として、ランタンガレート系酸化物イオン伝導体を用いることが知られており、このランタンガレート系酸化物イオン伝導体は、一般式:La1−XSrXGa1−Y−ZMgYAZO3(式中、A=Co、Fe、Ni、Cuの1種または2種以上、X=0.05〜0.3、Y=0〜0.29、Z=0.01〜0.3、Y+Z=0.025〜0.3)で表される酸化物イオン伝導体である(特許文献1)。
ところで、小型でかつ高出力の固体酸化物型燃料電池を実現するためには、発電セル一枚当たりの出力増加が不可欠である。このためには、電解質支持膜式セルの場合、電解質の大面積化と電解質の薄型化が不可欠であるが、実機での発電時においては、電解質の大面積化、薄型化を図るほどセル(電解質)の破損、割れが生じやすくなるという欠点があり、このために、アノード、カソードを支持膜とした発電セルが開発されている(特許文献2)が、これらのセルは、アノード、カソードからなる支持膜が多孔質体であることから、期待に応えられるほどには強度が向上しないという問題点がある。
固体酸化物型燃料電池の性能向上を図るために、燃料電池の小型化、大出力化がますます求められてきており、そのためには、セルの大面積化、薄型化を図った場合にも、破損、割れが生じない高強度の発電セル用の固体電解質が望まれている。
そこで、本発明者らは、ランタンガレード(LaGaO3)系酸化物を固体電解質とする発電セルについて、セルの高強度化により破損、割れの発生を防止するとともに出力を低下させることのない固体電解質について鋭意研究を行った結果、以下の知見を得た。
固体酸化物型燃料電池の固体電解質としては、酸素イオン伝導性が大であることから、ランタンガレード(LaGaO3)系酸化物イオン伝導体を用いることが知られており、そのうちの一つである、LaサイトにSrを添加し、また、GaサイトにMg及びFeを添加したLSGMF(一般式:La1−XSrXGa1−Y−ZMgYFeZO3(式中、X、Y、Zは、それぞれ原子比を示す)。)は、酸素イオン伝導度が大であるが電子伝導も有するため、電解質内部で電子リークが生じるため、大きな出力密度を示さないことが知られている。また、上記LSGMFを固体電解質とする固体酸化物型燃料電池の実機運転を一定期間にわたり行った場合には、発電効率の低下がみられるようになる。
そして、上記発電効率の低下の原因は、上記LSGMFからなる固体電解質は還元され易いために、固体酸化物型燃料電池の実機運転を一定期間行った場合、上記LSGMFからなる固体電解質の燃料ガスと接する側に還元が生じ、その結果、セルの内部抵抗が増大し、これが発電効率の低下の主たる要因となっている。
そこで、本発明者らは、上記LSGMFからなる固体電解質の燃料ガスによる還元防止を図るため、固体電解質を、LSGM(一般式:La1−XSrXGa1−YMgYO3(式中、X、Yは、それぞれ原子比を示す))と上記LSGMFとの積層構造として構成し、かつ、燃料極と上記LSGMFとの間に上記LSGMを介在させることによって、燃料ガスによる還元の有無について検討したところ、固体電解質を上記積層構造として構成することによって、固体電解質と燃料ガスとの還元反応の防止と同時に、発電セルの破損、割れの発生を防止することに成功した。
つまり、本発明者らは、固体酸化物型燃料電池等に用いられる発電セルの固体電解質として、緻密な構造を有し厚膜の比較的強度の高いLSGMFと、同様に緻密な構造を有し薄膜の比較的強度の高いLSGMの積層構造からなる積層固体電解質を用い、かつ、燃料極と上記LSGMFとの間に、燃料極と接してLSGMからなる電解質膜を介在させることによって、一定期間実機で運転してもセルの発電効率を低下させることなしに、破損、割れの発生しない高強度でかつ高出力密度の発電セルを提供できることを見出したのである。
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 電子伝導性を有するけれども酸素イオン伝導性が電解質Bの5倍以上である厚さが200μm〜1mmの電解質Aと、厚さが5〜200μmの電解質Bの積層構造からなる積層固体電解質を備える発電セルであって、
上記電解質Aが、
一般式:La1−XSrXGa1−Y−ZMgYFeZO3(式中、X、Y、Zは、それぞれ原子比を示し、X=0.05〜0.3、Y=0〜0.2、Z=0.05〜0.5、Y+Z=0.05〜0.7)で表される緻密構造のランタンガレード系酸化物イオン伝導体、
また、上記電解質Bが、
一般式:La1−αSrαGa1−βMgβO3(式中、α、βは、それぞれ原子比を示し、α=0.05〜0.3、β=0〜0.3)で表される緻密構造のランタンガレード系酸化物イオン伝導体、
からなることを特徴とする積層固体電解質を備える発電セル。
(2) 前記(1)に記載の積層固体電解質を備える発電セルにおいて、燃料極が、NiとCeMGd1−MO2からなるサーメット又はNiとCeNSm1−NO2からなるサーメットであり、また、空気極が、SmUSr1−UCoO3又はBaVLa1−VCoO3であり、さらに、燃料極に接して、厚さが5〜200μmの前記電解質Bが存在することを特徴とする前記(1)に記載の積層固体電解質を備える発電セル。」
に特徴を有するものである。
「(1) 電子伝導性を有するけれども酸素イオン伝導性が電解質Bの5倍以上である厚さが200μm〜1mmの電解質Aと、厚さが5〜200μmの電解質Bの積層構造からなる積層固体電解質を備える発電セルであって、
上記電解質Aが、
一般式:La1−XSrXGa1−Y−ZMgYFeZO3(式中、X、Y、Zは、それぞれ原子比を示し、X=0.05〜0.3、Y=0〜0.2、Z=0.05〜0.5、Y+Z=0.05〜0.7)で表される緻密構造のランタンガレード系酸化物イオン伝導体、
また、上記電解質Bが、
一般式:La1−αSrαGa1−βMgβO3(式中、α、βは、それぞれ原子比を示し、α=0.05〜0.3、β=0〜0.3)で表される緻密構造のランタンガレード系酸化物イオン伝導体、
からなることを特徴とする積層固体電解質を備える発電セル。
(2) 前記(1)に記載の積層固体電解質を備える発電セルにおいて、燃料極が、NiとCeMGd1−MO2からなるサーメット又はNiとCeNSm1−NO2からなるサーメットであり、また、空気極が、SmUSr1−UCoO3又はBaVLa1−VCoO3であり、さらに、燃料極に接して、厚さが5〜200μmの前記電解質Bが存在することを特徴とする前記(1)に記載の積層固体電解質を備える発電セル。」
に特徴を有するものである。
以下に、本発明について、詳細に説明する。
本発明の積層電解質を構成するLSGMFは、
一般式:La1−XSrXGa1−Y−ZMgYFeZO3(式中、X、Y、Zは、それぞれ原子比を示し、X=0.05〜0.3、Y=0〜0.2、Z=0.05〜0.5、Y+Z=0.05〜0.7)で表され、緻密構造を備えるため強度が高く、電子伝導性を有するけれども高い酸素イオン電導性を有するランタンガレード系酸化物イオン伝導体として知られている。
ただ、実機運転を一定期間行うと還元され易いことから、後記するLSGMからなる電解質との積層構造を形成することにより還元を防止し、この積層構造によって、発電セルの出力低下を招くことなく、発電セルの高強度化により破損、割れ等の発生を防止するのである。
LSGMFの膜厚が200μm未満では、積層電解質強度を保持することができず、一方、膜厚が1mmを超えると固体電解質が厚くなりすぎて、発電セルの高出力密度化を図ることができなくなるので、LSGMFの膜厚は、200μm以上1mm以下と定めた。
また、上記LSGMFは、上記の様に厚くとも酸素イオンの高い透過性が必要とされることから、LSGMFの酸素イオン伝導性は、LSGMからなる電解質膜の5倍以上と定めた。
そのためには、上記一般式:La1−XSrXGa1−Y−ZMgYFeZO3(但し、式中、X、Y、Zは、それぞれ原子比を示す)において、
X=0.05〜0.3、Y=0〜0.2、Z=0.05〜0.5、Y+Z=0.05〜0.7、
とする必要があり、上記X、Y、Zの値が上記数値範囲を外れると、高い酸素イオン伝導性を得られなくなるため、X=0.05〜0.3、Y=0〜0.2、Z=0.05〜0.5、Y+Z=0.05〜0.7、
と定めた。
一般式:La1−XSrXGa1−Y−ZMgYFeZO3(式中、X、Y、Zは、それぞれ原子比を示し、X=0.05〜0.3、Y=0〜0.2、Z=0.05〜0.5、Y+Z=0.05〜0.7)で表され、緻密構造を備えるため強度が高く、電子伝導性を有するけれども高い酸素イオン電導性を有するランタンガレード系酸化物イオン伝導体として知られている。
ただ、実機運転を一定期間行うと還元され易いことから、後記するLSGMからなる電解質との積層構造を形成することにより還元を防止し、この積層構造によって、発電セルの出力低下を招くことなく、発電セルの高強度化により破損、割れ等の発生を防止するのである。
LSGMFの膜厚が200μm未満では、積層電解質強度を保持することができず、一方、膜厚が1mmを超えると固体電解質が厚くなりすぎて、発電セルの高出力密度化を図ることができなくなるので、LSGMFの膜厚は、200μm以上1mm以下と定めた。
また、上記LSGMFは、上記の様に厚くとも酸素イオンの高い透過性が必要とされることから、LSGMFの酸素イオン伝導性は、LSGMからなる電解質膜の5倍以上と定めた。
そのためには、上記一般式:La1−XSrXGa1−Y−ZMgYFeZO3(但し、式中、X、Y、Zは、それぞれ原子比を示す)において、
X=0.05〜0.3、Y=0〜0.2、Z=0.05〜0.5、Y+Z=0.05〜0.7、
とする必要があり、上記X、Y、Zの値が上記数値範囲を外れると、高い酸素イオン伝導性を得られなくなるため、X=0.05〜0.3、Y=0〜0.2、Z=0.05〜0.5、Y+Z=0.05〜0.7、
と定めた。
本発明の積層固体電解質において、上記LSGMFとの積層構造を構成するLSGMは、
一般式:La1−αSrαGa1−βMgβO3(式中、α、βは、それぞれ原子比を示し、α=0.05〜0.3、β=0〜0.3)で表されるランタンガレード系酸化物イオン伝導体として知られており、LSGMF電解質と同様、緻密構造を備えるため強度が高く、電解質支持膜式セルの固体電解質として適している。
ただ、LSGM電解質の厚さが5μm未満では、電解質内部に電子リークが生じるため大きな出力密度が得られず、一方、その膜厚が200μmを超えると固体電解質が厚くなりすぎて、やはり高出力密度化を図ることができなくなることから、電解質の厚さは、5〜200μmと定めた。
また、上記LSGMは、電解質であって、所定の酸素イオン伝導性を備える必要があることから、積層固体電解質の電解質を構成し、また、上記LSGMFとの積層構造を構成するLSGMの組成割合は、
一般式:La1−αSrαGa1−βMgβO3(式中、α、βは、それぞれ原子比を示す)において、α=0.05〜0.3、β=0〜0.3とする必要がある。上記α、βの値が上記数値範囲を外れると、酸素イオン伝導性が低下してしまうため、α=0.05〜0.3、β=0〜0.3と定めた。
一般式:La1−αSrαGa1−βMgβO3(式中、α、βは、それぞれ原子比を示し、α=0.05〜0.3、β=0〜0.3)で表されるランタンガレード系酸化物イオン伝導体として知られており、LSGMF電解質と同様、緻密構造を備えるため強度が高く、電解質支持膜式セルの固体電解質として適している。
ただ、LSGM電解質の厚さが5μm未満では、電解質内部に電子リークが生じるため大きな出力密度が得られず、一方、その膜厚が200μmを超えると固体電解質が厚くなりすぎて、やはり高出力密度化を図ることができなくなることから、電解質の厚さは、5〜200μmと定めた。
また、上記LSGMは、電解質であって、所定の酸素イオン伝導性を備える必要があることから、積層固体電解質の電解質を構成し、また、上記LSGMFとの積層構造を構成するLSGMの組成割合は、
一般式:La1−αSrαGa1−βMgβO3(式中、α、βは、それぞれ原子比を示す)において、α=0.05〜0.3、β=0〜0.3とする必要がある。上記α、βの値が上記数値範囲を外れると、酸素イオン伝導性が低下してしまうため、α=0.05〜0.3、β=0〜0.3と定めた。
発電セルの燃料極としては、既に知られている通常の燃料極、例えば、NiとCeMGd1−MO2(GDC)からなるサーメット、あるいは、NiとCeNSm1−NO2(SDC)からなるサーメットを用いることができる。上記Ni−GDCにおいては、Mの値(原子比)は通常0.1〜0.3であり、また、上記Ni−SDCにおいては、Nの値(原子比)は通常0.1〜0.3である。
本発明の、積層固体電解質を用いることによって、燃料極と固体電解質間の剥離、破損発生を防止することができ、発電セルの高強度化を図ることができる。
本発明の、積層固体電解質を用いることによって、燃料極と固体電解質間の剥離、破損発生を防止することができ、発電セルの高強度化を図ることができる。
発電セルの空気極としては、既に知られている通常の空気極、例えば、SmUSr1−UCoO3(SSC)、あるいは、BaVLa1−VCoO3(BLC)を用いることができる。上記SSCにおいて、Uの値(原子比)は通常0.4〜0.6であり、また、上記BLCにおいては、Vの値(原子比)は通常0.4〜0.6である。
次に、この発明の上記積層固体電解質及び発電セルの製造方法の一例を、以下に述べる。
(a)まず、各酸化物の粉末を所定の配合割合になるように混合してLSGMのスラリーを作製した後成形し、LSGMの成形体を得る。
なお、この際に、バインダー使用量をLSGMFのスラリーを作製する際の約1.6倍としておくことが重要であり、これによって、焼成時のLSGMFとの熱膨張差による焼成割れを防止することができる。
(b)次に、LSGMの場合と同様に、各酸化物の粉末を所定の配合割合になるように混合してLSGMFのスラリーを作製し、乾燥後のLSGMの成形体の表面に、LSGMFのスラリーを所定厚さに重ね引きする。
(c)これを乾燥後、所定径(例えば、直径200mm)で切り出し、例えば、1400℃で6時間、本焼成および再焼成をそれぞれ行い、直径ほぼ144mmの積層固体電解質を作製する。
(d)この積層固体電解質のLSGMの面に燃料極を、また、LSGMFの面に空気極をそれぞれ印刷塗布し、1000〜1300℃で焼付けることにより、本発明の発電セルを作製することができる。
(a)まず、各酸化物の粉末を所定の配合割合になるように混合してLSGMのスラリーを作製した後成形し、LSGMの成形体を得る。
なお、この際に、バインダー使用量をLSGMFのスラリーを作製する際の約1.6倍としておくことが重要であり、これによって、焼成時のLSGMFとの熱膨張差による焼成割れを防止することができる。
(b)次に、LSGMの場合と同様に、各酸化物の粉末を所定の配合割合になるように混合してLSGMFのスラリーを作製し、乾燥後のLSGMの成形体の表面に、LSGMFのスラリーを所定厚さに重ね引きする。
(c)これを乾燥後、所定径(例えば、直径200mm)で切り出し、例えば、1400℃で6時間、本焼成および再焼成をそれぞれ行い、直径ほぼ144mmの積層固体電解質を作製する。
(d)この積層固体電解質のLSGMの面に燃料極を、また、LSGMFの面に空気極をそれぞれ印刷塗布し、1000〜1300℃で焼付けることにより、本発明の発電セルを作製することができる。
LSGMFとLSGMの積層構造からなる積層固体電解質を備える本発明の発電セルは、高強度で発電セルの破損、割れを生じることはなく、高出力密度化を図ることができると同時に、出力低下を招くこともなく、長期間にわたって高出力を維持することができる。
以下、本発明を、実施例により具体的に説明する。
(a)まず、酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化ガリウム、酸化マグネシウムの粉体を用意し、(La0.8Sr0.2)(Ga0.8Mg0.2)O3で示される組成となるよう秤量し、ボールミル混合の後、空気中、1200℃に3時間加熱保持し、得られた塊状焼結体をハンマーミルで粗粉砕の後、ボールミルで微粉砕して、平均粒径1.8μmのランタンガレート系の電解質用原料粉末を製造した。
前記ランタンガレート系電解質用原料粉末をトルエン-エタノール混合溶媒に有機結合剤を溶解した有機バインダー溶液(LSGMF使用量の1.57倍を使用。)と混合してスラリーとし、ドクターブレード法によりブレード間隔0.24mmで薄板状に成形し、これを乾燥し、LSGM成形体を作製した。
(b)ついで、酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化ガリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄の粉体を用意し、(La0.8Sr0.2)(Ga0.8Mg0.15Fe0.05)O3で示される組成となるよう秤量し、ボールミル混合の後、空気中、1200℃に3時間加熱保持し、得られた塊状焼結体をハンマーミルで粗粉砕の後、ボールミルで微粉砕して、平均粒径1.8μmのランタンガレート系電解質用原料粉末を製造した。前記ランタンガレート系電解質用原料粉末をトルエン-エタノール混合溶媒に有機結合剤を溶解した有機バインダー溶液と混合してスラリーとし、このスラリーを、ドクターブレード法によりブレード間隔0.94mmで、上記LSGM成形体に、所定厚さになるまで重ね引きし、これを乾燥し、直径200mmとなるように切り出し、LSGM成形体と、LSGMF成形体との積層構造からなる直径200mm円形平板形の積層固体電解質グリーンシートを作製した。
(c)上記積層固体電解質グリーンシートを、1400℃で6時間、本焼成および再焼成を行い、厚み50μmのLSGM電解質と厚み300μmのLSGMF電解質との積層構造からなる積層固体電解質を作製した。
(d)ついで、上記積層固体電解質のLSGMからなる電解質膜側の面に、NiとCeMGd1−MO2(GDC)からなるサーメットのスラリーを印刷塗布し、大気中、1200℃で焼付けることにより、LSGMからなる面に接するように燃料極を形成した。
(e)一方、上記積層固体電解質のLSGMFからなる面に、SmUSr1−UCoO3(SSC)のスラリーを印刷塗布し、大気中、1100℃で焼付けることにより、LSGMFからなる面に空気極を形成した。
上記(a)〜(e)により、本発明の積層固体電解質およびセルサイズが直径170〜240mmの三種類の本発明発電セル1〜3を作製した。
前記ランタンガレート系電解質用原料粉末をトルエン-エタノール混合溶媒に有機結合剤を溶解した有機バインダー溶液(LSGMF使用量の1.57倍を使用。)と混合してスラリーとし、ドクターブレード法によりブレード間隔0.24mmで薄板状に成形し、これを乾燥し、LSGM成形体を作製した。
(b)ついで、酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化ガリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄の粉体を用意し、(La0.8Sr0.2)(Ga0.8Mg0.15Fe0.05)O3で示される組成となるよう秤量し、ボールミル混合の後、空気中、1200℃に3時間加熱保持し、得られた塊状焼結体をハンマーミルで粗粉砕の後、ボールミルで微粉砕して、平均粒径1.8μmのランタンガレート系電解質用原料粉末を製造した。前記ランタンガレート系電解質用原料粉末をトルエン-エタノール混合溶媒に有機結合剤を溶解した有機バインダー溶液と混合してスラリーとし、このスラリーを、ドクターブレード法によりブレード間隔0.94mmで、上記LSGM成形体に、所定厚さになるまで重ね引きし、これを乾燥し、直径200mmとなるように切り出し、LSGM成形体と、LSGMF成形体との積層構造からなる直径200mm円形平板形の積層固体電解質グリーンシートを作製した。
(c)上記積層固体電解質グリーンシートを、1400℃で6時間、本焼成および再焼成を行い、厚み50μmのLSGM電解質と厚み300μmのLSGMF電解質との積層構造からなる積層固体電解質を作製した。
(d)ついで、上記積層固体電解質のLSGMからなる電解質膜側の面に、NiとCeMGd1−MO2(GDC)からなるサーメットのスラリーを印刷塗布し、大気中、1200℃で焼付けることにより、LSGMからなる面に接するように燃料極を形成した。
(e)一方、上記積層固体電解質のLSGMFからなる面に、SmUSr1−UCoO3(SSC)のスラリーを印刷塗布し、大気中、1100℃で焼付けることにより、LSGMFからなる面に空気極を形成した。
上記(a)〜(e)により、本発明の積層固体電解質およびセルサイズが直径170〜240mmの三種類の本発明発電セル1〜3を作製した。
比較のために、上記(a)と同様にして、上記(a)と同じ組成のLSGM成形体(但し、有機バインダー溶液の使用量は、LSGMF使用量の1.57倍。)を作製し、その後、1400℃で6時間、本焼成および再焼成を行い、膜厚150μmのLSGMからなる固体電解質を作製し、ついで、上記固体電解質の一面に、NiとCeMGd1−MO2(GDC)からなるサーメットのスラリーを印刷塗布し、大気中、1200℃で焼付けることにより燃料極を形成し、一方、上記固体電解質の他面には、SmUSr1−UCoO3(SSC)のスラリーを印刷塗布し、大気中、1100℃で焼付けることにより、空気極を形成し、LSGMからなる固体電解質およびサイズが直径200mmのセルの比較例発電セル1を複数個作製した。
さらに比較のために、上記(b)と同じ組成((La0.8Sr0.2)(Ga0.8Mg0.15Fe0.05)O3で示される組成)のLSGMF成形体を作製し、その後、1400℃で6時間、本焼成および再焼成を行い、膜厚150μmのLSGMFからなる固体電解質を作製し、ついで、比較例発電セル1と同様にして、上記固体電解質の一面に燃料極を形成し、他面には空気極を形成することにより、LSGMFからなる固体電解質およびサイズが直径200mmのセルの比較例発電セル2を複数個作製した。
複数個作製した上記本発明発電セル1〜3、比較例発電セル1〜2について、
温度:750℃、
燃料ガス:水素、
燃料ガス流量:3cc・cm2/min、
酸化剤ガス:空気、
酸化剤ガス流量:15cc・cm2/min、
の発電条件で1時間運転するセル検査を行い、その時得られたセル出力を測定し、その結果を表1に示した。
また、本発明発電セル1〜3、比較例発電セル1〜2を実機運転(50枚を1スタックとして2スタックを組み上げたモジュールにおいて都市ガス13Aと水蒸気をS/C=3で供給)し、セルの割れの状況を観察した。
その観察結果を同じく表1に示した。
温度:750℃、
燃料ガス:水素、
燃料ガス流量:3cc・cm2/min、
酸化剤ガス:空気、
酸化剤ガス流量:15cc・cm2/min、
の発電条件で1時間運転するセル検査を行い、その時得られたセル出力を測定し、その結果を表1に示した。
また、本発明発電セル1〜3、比較例発電セル1〜2を実機運転(50枚を1スタックとして2スタックを組み上げたモジュールにおいて都市ガス13Aと水蒸気をS/C=3で供給)し、セルの割れの状況を観察した。
その観察結果を同じく表1に示した。
表1に示される結果から、本発明発電セル1〜3は、固体酸化物型燃料電池の固体電解質として、緻密な構造を有し厚くて比較的強度の高いLSGMFと緻密な構造を有し薄くて比較的強度の高いLSGMの積層構造からなる積層固体電解質を用い、かつ、燃料極と上記LSGMF電解質との間に、燃料極と接してLSGMからなる電解質を介在させることによって、セルの出力を低下させることなく、破損、割れの発生しない高強度の発電セルを作製できるのに対して、固体電解質がLSGM単層からなる比較例発電セル1は、セルに割れが発生(5/100)し、出力も低い(157W/枚)発電セルしか得ることができなかった。また、固体電解質がLSGMF単層からなる比較例発電セル2は、出力は低く(74W/枚)、セルの割れ発生数が非常に多く(21/100)、高強度の発電セルを得ることができないことがわかる。
本発明によれば、固体電解質の大面積化、薄型化を図った場合にも、高強度で破損、割れを生じず、しかも、高出力の発電セルが得られることから、小型化、大出力化が求められる固体酸化物型燃料電池への応用が大いに期待されるといえる。
Claims (2)
- 電子伝導性を有するけれども酸素イオン伝導性が電解質Bの5倍以上である厚さが200μm〜1mmの電解質Aと、厚さが5〜200μmの電解質Bの積層構造からなる積層固体電解質を備える発電セルであって、
上記電解質Aが、
一般式:La1−XSrXGa1−Y−ZMgYFeZO3(式中、X、Y、Zは、それぞれ原子比を示し、X=0.05〜0.3、Y=0〜0.2、Z=0.05〜0.5、Y+Z=0.05〜0.7)で表されるランタンガレード系酸化物イオン伝導体、
また、上記電解質Bが、
一般式:La1−αSrαGa1−βMgβO3(式中、α、βは、それぞれ原子比を示し、α=0.05〜0.3、β=0〜0.3)で表されるランタンガレード系酸化物イオン伝導体、
からなることを特徴とする積層固体電解質を備える発電セル。 - 請求項1に記載の積層固体電解質を備える発電セルにおいて、燃料極が、NiとCeMGd1−MO2からなるサーメット又はNiとCeNSm1−NO2からなるサーメットであり、また、空気極が、SmUSr1−UCoO3又はBaVLa1−VCoO3であり、さらに、燃料極に接して、厚さが5〜200μmの前記電解質Bが存在することを特徴とする請求項1に記載の積層固体電解質を備える発電セル。
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