JP2010232038A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極活物質を含む作用極1と、対極2と、電解液とを備えたリチウムイオン二次電池において、前記正極活物質には、Li1.2Mn0.54Ni0.13Co0.13O2で表される高リチウム含有遷移金属酸化物と、O2構造のLiCoO2とが含まれていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
(2)サイクル特性の向上を図るべく、現在広く使用されているO3構造のコバルト酸リチウムではなく、O2構造のコバルト酸リチウムを正極活物質として用いる提案(下記非特許文献1、2参照)。
(3)単位体積当りの正極活物質の充填密度の向上を図るべく、O2構造を有する酸化物とO3構造を有する酸化物との混合物を正極活物質として用いる提案(下記特許文献1参照)。
(1)の提案では、質量当たりの容量密度を増加できるものの、高リチウム含有遷移金属酸化物を正極材料として用いた場合には、サイクル特性が低下すると共に、単位体積当りの充填密度が低くなって、単位体積当りの正極容量が小さくなるという課題があった。
O3構造のコバルト酸リチウムを正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池を4.3V(vs Li/Li+)を超える高電位まで充電した場合には、サイクル性能が極めて悪いが、O2構造のコバルト酸リチウムを正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池では、4.6V(vs Li/Li+)まで充電しても、O3構造のコバルト酸リチウムほどにはサイクル劣化が生じない。しかし、正極活物質として実用化するには、更なるサイクル特性の向上が望まれる。
O2構造を有する酸化物とO3構造を有する酸化物の混合物を正極活物質とする非水電解液二次電池では、単位体積当りの充填密度の向上をある程度達成させることができるが、O3構造の酸化物(O3構造のコバルト酸リチウム)のサイクル特性が極めて悪いことに起因して、O2構造を有する酸化物とO3構造を有する酸化物との混合物であってもサイクル特性が良くないという課題を有していた。
空間群C2/cは高容量化を達成できる結晶相であり、高リチウム含有遷移金属酸化物が空間群C2/cに帰属していれば、正極容量が増大する。
高リチウム含有遷移金属酸化物とO2構造のコバルト酸リチウムとの配合比が質量比で1/3未満になると、サイクル特性が若干低下する傾向にある一方、高リチウム含有遷移金属酸化物とO2構造のコバルト酸リチウムとの配合比が質量比で3/1を超えると、単位体積あたりの電極密度が低下するからである。
(1)リチウムイオン二次電池の負極には、リチウム金属、珪素、炭素、錫、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、ガリウム、リチウム含有合金、予めリチウムを吸収させた炭素材料、および予めリチウムを含有させた珪素材料、及びそれらの化合物を用いることができる。
ましくは0.5〜1.5Mの濃度で溶解されていることが望ましい。
先ず、LiOHと、共沈法により作製したMn0.67Ni0.17Co0.17(OH)2とを所望の化学量論比となるように混合した後、ペレット成型し、空気中900℃で24時間焼成することにより、Li1.2Mn0.54Ni0.13Co0.13O2で表される高リチウム含有遷移金属酸化物を得た。
リチウム金属板を所定のサイズに切り取り、これにタブ付けすることにより、対極(負極)2と参照極4とを作製した。
鎖状炭酸エステルとしてのDEC(ジエチルカーボネート)と、環状炭酸エステルとしてのEC(エチレンカーボネート)とを70:30の体積比で混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0モル/リットルの割合で溶解させることにより非水電解質を調製した。
不活性雰囲気下において、ラミネートフィルムから成る試験セル容器5内に、対極2、セパレータ3、作用極1、セパレータ3、及び参照極4を配置した後、試験セル容器5内に上記非水電解質を注液することにより、図1に示す試験セルを作製した。尚、リード6の一部が試験セル容器5から突出している。
上記発明を実施するための形態と同様にして試験セルを作製した。
このようにして作製した試験セルを、以下、本発明セルA1と称する。
正極活物質として、22.5質量%添加された高リチウム含有遷移金属酸化物と、67.5質量%添加されたO2構造のコバルト酸リチウムとの混合物(即ち、高リチウム含有遷移金属酸化物とO2構造のコバルト酸リチウムとの質量比が1:3となっている混合物)を用いた他は、上記実施例1と同様にして試験セルを作製した。
このようにして作製した試験セルを、以下、本発明セルA2と称する。
尚、高リチウム含有遷移金属酸化物とO2構造のコバルト酸リチウムとは、上記実施例1と同様にして合成した。
正極活物質として、67.5質量%添加された高リチウム含有遷移金属酸化物と、22.5質量%添加されたO2構造のコバルト酸リチウムとの混合物(即ち、高リチウム含有遷移金属酸化物とO2構造のコバルト酸リチウムとの質量比が3:1となっている混合物)を用いた他は、上記実施例1と同様にして試験セルを作製した。
このようにして作製した試験セルを、以下、本発明セルA3と称する。
尚、高リチウム含有遷移金属酸化物とO2構造のコバルト酸リチウムとは、上記実施例1と同様にして合成した。
正極活物質として、高リチウム含有遷移金属酸化物のみを用いた(高リチウム含有遷移金属酸化物の添加割合を90.0質量%とした)他は、上記実施例1と同様にして試験セルを作製した。
このようにして作製した試験セルを、以下、比較セルX1と称する。
尚、高リチウム含有遷移金属酸化物は、上記実施例1と同様にして合成した。
正極活物質として、O2構造のコバルト酸リチウムのみを用いた(O2構造のコバルト酸リチウムの添加割合を90.0質量%とした)他は、上記実施例1と同様にして試験セルを作製した。
このようにして作製した試験セルを、以下、比較セルX2と称する。
尚、O2構造のコバルト酸リチウムは、上記実施例1と同様にして合成した。
正極活物質として、45質量%添加された高リチウム含有遷移金属酸化物と、45質量%添加されたO3構造のコバルト酸リチウムとの混合物(即ち、高リチウム含有遷移金属酸化物とO3構造のコバルト酸リチウムとの質量比が1:1となっている混合物)を用いた他は、上記実施例1と同様にして試験セルを作製した。
このようにして作製した試験セルを、以下、比較セルX3と称する。
尚、高リチウム含有遷移金属酸化物は、上記実施例1と同様にして合成した。また、O3構造のコバルト酸リチウムは、炭酸リチウム(Li2CO3)と酸化コバルト(Co3O4)とを混合し、ペレット成型し、空気中700℃で10時間仮焼成した後、空気中800℃で20時間焼成することにより得た。
正極活物質として、O3構造のコバルト酸リチウムのみを用いた(O3構造のコバルト酸リチウムの添加割合を90.0質量%とした)他は、上記実施例1と同様にして試験セルを作製した。
このようにして作製した試験セルを、以下、比較セルX4と称する。
尚、O3構造のコバルト酸リチウムは、上記比較例3と同様にして合成した。
正極活物質として、45質量%添加されたO2構造のコバルト酸リチウムと、45質量%添加されたO3構造のコバルト酸リチウムとの混合物(即ち、O2構造のコバルト酸リチウムとO3構造のコバルト酸リチウムとの質量比が1:1となっている混合物)を用いた他は、上記実施例1と同様にして試験セルを作製した。
このようにして作製した試験セルを、以下、比較セルX5と称する。
尚、O2構造のコバルト酸リチウムは、上記実施例1と同様にして合成し、O3構造のコバルト酸リチウムは、上記比較例3と同様にして合成した。
上記本発明セルA1及び比較セルX1〜X5における充放電特性を調べたので、その結果を、図3〜図8に示す(本発明セルA1の結果は図3に、比較セルX1の結果は図4に、比較セルX2の結果は図5に、比較セルX3の結果は図6に、比較セルX4の結果は図7に、比較セルX5の結果は図8に、それぞれ示す)。
また、上記本発明セルA1〜A3及び比較セルX1〜X5における正極の電極密度と、初期放電容量と、下記(1)式に示す放電容量維持率とを調べたので、それらの結果を表1に示す。
ここで、上記実験を行う際の充放電条件は下記の通りである。尚、1サイクル目及び2サイクル目を除き、12サイクル目と22サイクル目とだけを低い電流密度で放電しているのは、放電容量密度を確認するためである。
放電容量維持率(%)=
[30サイクル目の放電容量密度/3サイクル目の放電容量密度]×100
・・・(1)
(a)1サイクル目及び2サイクル目の充放電条件
・充電条件
46.8mA/gの電流密度で、参照極(Li金属)基準で作用極の電位が4.6Vになるまで定電流充電した後、当該電位で電流密度が11.7mA/gになるまで定電圧充電するという条件
・放電条件
11.7mA/gの電流密度で、参照極(Li金属)基準で作用極の電位が2.0Vになるまで定電流放電するという条件
・充電条件
上記(a)の充電条件と同じ
・放電条件
46.8mA/gの電流密度で、参照極(Li金属)基準で作用極の電位が2.0Vになるまで定電流放電するという条件
上記(a)の充放電条件と同じ
上記(b)の充放電条件と同じ
上記(a)の充放電条件と同じ
上記(b)の充放電条件と同じ
また、表1及び図9に示すように、サイクル試験後の放電容量維持率は、本発明セルA1〜A3では85.3%〜89.5%であるのに対して、比較セルX1〜X5では21.7%〜83.1%であって、本発明セルA1〜A3は比較セルX1〜X5に比べて放電容量密度の低下が抑制され、サイクル性能が向上していることが認められる。
高リチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用いた比較セルX1の放電容量維持率は83.1%であり、O3構造LiCoO2を正極活物質として用いた比較セルX4の放電容量維持率は21.7%であるということから、高リチウム含有遷移金属酸化物とO3構造LiCoO2との混合物を正極活物質として用いた試験セルは、放電容量維持率は21.7%と83.1%との間になるものと考えられ、実際、上記混合物を正極活物質として用いた比較セルX3では、放電容量維持率が57.7%となっている。
2:対極
3:セパレータ
4:参照極
5:試験セル
6:リード
Claims (3)
- 正極活物質を含む正極と、負極と、電解液とを備えたリチウムイオン二次電池において、
前記正極活物質には、一般式Li1+aMnxNiyCozO2(0<a≦0.34、0<x<1、0<y<1、0<z<1、0.95≦a+x+y+z≦1.05)で表される高リチウム含有遷移金属酸化物と、O2構造のコバルト酸リチウムとが含まれていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 上記高リチウム含有遷移金属酸化物は、空間群C2/cに帰属する、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 上記高リチウム含有遷移金属酸化物とO2構造のコバルト酸リチウムとの配合比は、質量比で1/3以上3/1以下となっている、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
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