JP2010229305A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的特性、耐熱性、耐衝撃性、滞留熱安定性についてバランス良く優れた熱可塑性樹脂組成物を与える製造方法を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(A1)50〜100質量%と芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(A2)50〜0質量%(合計100質量%)よりなる樹脂成分(A)40〜99質量部、タルク(B1)99.95〜5質量%と一般式O=P(OR)(OH)3−n(n=1又は2である)の有機リン酸エステル化合物(B2)0.05〜5質量%(合計100質量%)との混合物の造粒物で、嵩密度が0.4〜1.5g/mlの顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)1〜60質量部((A)と(B)との合計100質量部)、及びゴム性重合体(C)0.5〜30質量部の混合物を溶融混練する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。詳しくは、所望により他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂、顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク、及びゴム性重合体の混合物を溶融混練する、熱安定性、機械的強度、剛性、耐衝撃性の全てに優れ、物性バランスのよい熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性などに優れており、電気・電子・OA機器部品、機械部品、車輌用部品等の幅広い分野で使用されている。芳香族ポリカーボネート樹脂は耐薬品性や成形加工性に問題があるが、これらの点は概して芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂を他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイとすることにより解決されている。たとえばポリカーボネート樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂からなるポリマ−アロイは、芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂の上記の優れた特長を活かしつつこれらの問題点が改良された材料であり、車輌内装・外装・外板部品や各種ハウジング部材やその他幅広い分野で使用されている。
芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂やこれを主体とするポリマーアロイの剛性、寸法安定性を向上させる方法としては、ガラス繊維やタルクなどの無機フィラ−を含有させることが広く行われている。しかしながら、ガラス繊維を含有させると成形品の表面外観が悪化するという問題があり、車輌外装・外板部品など良外観が要求される分野においては使用に制限がある。
これに対し、タルクを配合した樹脂組成物は、良好な成形品表面外観が得られる反面、タルクの塩基性が影響して芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂が分解するという問題がある。また芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂とのポリマーアロイの場合には、エステル交換反応が過度に進行し、熱安定性に劣るという問題もある。
特に近年、車輌外装・外板部品では、成形品の大型化や高剛性化が必要とされ、熱安定性や耐衝撃性に優れた材料が強く求められている。また軽量化やコストダウンの要求からガスインジェクション成形が採用されることが多くなっているが、この場合にはより熱安定性に優れた材料が必要とされる。
タルクを配合した際の熱安定性の問題を解決する方法としては、例えば特許文献1,2に記載のように特定のリン系安定剤を配合することや、特許文献3に記載のように表面処理タルクを用いること提案されている。しかしこれらの方法では、未だ熱安定性や耐衝撃性は満足できるものではない。
また特許文献4,5には、機械的に圧縮して嵩比重を大きくしたタルクを用いることが提案されており、特許文献6には特定の電気伝導率のタルクを用いることが提案されている。特許文献7にはタルクとしては圧縮、造粒された形態のものが好ましいこと、及び造粒にはバインダーを用いうることも記載されている。しかしこれらの特許文献に具体的に例示されているものでは、熱安定性や耐衝撃性は未だ満足できるものではない。
特開平5−222283号公報 特開平6−49343号公報 特開平8−127711号公報 特開平8−176339号公報 特開平10−101914号公報 特開2002−60637号公報 特開2002−220549号公報
本発明の目的は、上述した従来技術に鑑み、熱安定性、耐衝撃性、強度、剛性の全てが向上し物性バランスに優れた、ポリカーボネート樹脂を主体とする樹脂にタルクその他を配合した熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは検討の結果、芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂を主体とする熱可塑性樹脂成分、タルクに有機リン酸エステル化合物を配合したものを造粒した顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク、及びゴム性重合体の混合物を溶融混練すると、熱安定性、耐衝撃性、強度、剛性の全てが向上し、物性バランスに優れた熱可塑性樹脂組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明の要旨は、芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(A1)50〜100質量%と芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(A2)50〜0質量%(AとBの合計100質量%)よりなる樹脂成分40〜99質量部、タルク(B1)99.95〜95質量%と下記一般式(1)で表される有機リン酸エステル化合物(B2)0.05〜5質量%(B1とB2の合計100質量%)よりなる混合物の造粒物で、嵩密度0.4〜1.5g/mlの顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)60〜1質量部、及びゴム性重合体(C)0.5〜30質量部の混合物を溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法に存する。
Figure 2010229305
(式中、Rは総炭素数2〜25の、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、nは1又は2を表す。但し、nが2のときには2つのRは相互に異なっていてもよい)
本発明方法により得られる熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂組成物が通常有する優れた特性に加えて、更に耐熱性および耐衝撃性にも優れている。従ってこの樹脂組成物は成形機で溶融成形するに際し、機内での滞留時間が長くても成形品の物性が低下することが少ない。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(A1)
芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(A1)は周知の熱可塑性樹脂であり、その製造法はいくつも知られているが、工業的には芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲンと反応させる界面重合法や、炭酸ジエステルと反応させるエステル交換法により、大量に生産されている。本発明ではこれらのいずれの方法で製造されたものも用いることができる。エステル交換法では、末端封止剤を反応させて末端OH基濃度を調節することがあるが、この方法によるものも用いることができる。
原料として使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノ−ルA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノ−ルA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリ−ル)アルカン類;
1、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリ−ル)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノ−ル類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエ−テル等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルエ−テル類;
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
これらの中で好ましいのは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類であり、特に耐衝撃性の点から好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノ−ルA]である。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種類単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物に三官能以上の芳香族ポリヒドロキシ化合物を併用すると、これが共重合した分岐構造を有する芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂が生成するが、本発明ではこのような芳香族ポリカーボネートを用いることもできる。三官能以上のポリヒドロキシ芳香族化合物としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で例示されるポリヒドロキシ化合物類、
3,3−ビス(4−ヒドロキシアリ−ル)オキシインド−ル(=イサチンビスフェノ−ル)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられ、これらの中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。これらの多官能性芳香族化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%の範囲で用いるのが好ましく、0.1〜2モル%の範囲がより好ましい。
上記のジヒドロキシ芳香族化合物とホスゲンとから芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するには、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、pHを9以上に保ちつつ両者を反応させればよい。この際、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)や芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用いてもよい。重合触媒としては、第三級アミン又は第四級アンモニウム塩を用いればよい。反応は0〜40℃程度で、数分ないし数時間おこなえばよい。
反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。また、アルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物を用いる。例えば、m−メチルフェノ−ル、p−メチルフェノ−ル、m−プロピルフェノ−ル、p−プロピルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノ−ル、p−長鎖アルキル置換フェノ−ルなどを用いる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常は50〜0.5モル、好ましくは30〜1モルである。
重合触媒の第三級アミンや第四級アンモニウム塩としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類:トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などを用いる。
エステル交換法で芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するには、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させる。炭酸ジエステルとしては、ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト、ジ−tert−ブチルカ−ボネ−ト等の炭酸ジアルキル化合物、を用いることもできるが、ジフェニルカ−ボネ−トやジトリルカ−ボネ−ト等の置換ジフェニルカ−ボネ−ト等を用いるのが好ましい。通常はジフェニルカ−ボネ−トを用いる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量は、樹脂の熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼすことが知られている。エステル交換法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造では、基本的に炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や、エステル交換反応時の減圧度を調整することにより、所望の分子量及び末端水酸基量の芳香族ポリカーボネートを得ることができる。芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対する炭酸ジエステルの使用量は等モル量以上、好ましくは1.01〜1.30モルである。また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられ、この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が用いられる。
エステル交換法では通常はエステル交換触媒を用いる。エステル交換触媒としては、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物を用いるのが好ましい。また補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。エステル交換反応は、100〜320℃の温度で、最終的には2mmHg以下の減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら行えばよい。
溶融重縮合は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができるが、本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂は連続式で製造したものが好ましい。生成した芳香族ポリカーボネート樹脂には、エステル交換触媒を中和する化合物を添加して触媒を失活させる。失活剤としては、イオウ含有酸性化合物やその誘導体が好ましい。失活剤は触媒が含有するアルカリ金属に対して、0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量の範囲で添加する。さらに加えて、このような触媒を中和する化合物は、ポリカーボネートに対して、好ましくは1〜100ppm、より好ましくは1〜20ppmの範囲で添加する。
本発明では、通常は溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]が10000〜50000の範囲の芳香族ポリカーボネートを用いる。粘度平均分子量が10000以上のものを用いることにより、樹脂組成物の機械的強度がより向上する傾向にあり、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。しかし粘度平均分子量が50000を超えると一般的に樹脂組成物の流動性が低下し、成形加工性の観点から好ましくない。
好ましくは、粘度平均分子量が12000〜40000、特に14000〜30000のものを用いる。芳香族ポリカーボネート樹脂は2種類以上を混合して上記の粘度平均分子量としてもよい。混合に用いるそれぞれが上記の範囲の分子量であるのが好ましいが、所望ならば後記するように、オリゴマーのような上記の範囲外のものも混合に用いることができる。
なお粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−40.83、から算出される値を意味する。ここで極限粘度[η]とは各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2010229305
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は、通常1000ppm以下であり、800ppm以下、更には600ppm以下であることが好ましい。
またその下限は、エステル交換法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂の場合には、10ppm以上であるのが好ましい。30ppm以上、特に40ppm以上であればより好ましい。
末端水酸基濃度が10ppm以上のものを用いると、分子量の低下が抑制でき、樹脂組成物の機械的特性がより向上する傾向にある。また末端基水酸基濃度が1000ppm以下であれば、樹脂組成物の滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にある。なお、末端水酸基濃度は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
また、成形品外観の向上や流動性の向上を図るため、本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A1成分)は、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。この芳香族ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、好ましくは1500〜9500であり、より好ましくは2000〜9000である。芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、A1成分の30質量%以下の範囲で使用するのが好ましい。
さらに、本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、バージン品に限られるものではなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた再生品であってもよい。再生品の原料である使用済みの製品としては、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防等の車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板等の建築部材等が挙げられる。また、成形工場で発生する不合格品、スプルー、ランナー等の粉砕品やこれを原料とするペレット等も使用可能である。再生品の使用比率は芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)の80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下である。
芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(A2)
芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、これとポリマーアロイを構成するのに用いられている任意の熱可塑性樹脂が使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物では、ポリカーボネート樹脂(A1)と熱可塑性樹脂(A2)との合計に占める熱可塑性樹脂(A2)の割合は0〜50質量%である。しかし得られる樹脂組成物の熱安定性や耐衝撃性の点からして、熱可塑性樹脂(A2)が5質量%以上、さらには10質量%を占めるのが好ましい。逆に熱可塑性樹脂(A2)が多くなると、得られる樹脂組成物はポリカーボネート樹脂の優れた物性を示さなくなるので、その上限は50質量%であり、40質量%以下であるのが好ましい。
熱可塑性樹脂(A2)としては、得られる樹脂組成物の熱安定性や剛性の点からして、熱可塑性ポリエステル樹脂が好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸又はその反応性誘導体からなるジカルボン酸成分と、ジオ−ルとを重縮合反応して得られる重合体または共重合体である。その製造方法は任意であるが、一般的にはチタン、ゲルマニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しながらジカルボン酸成分とジオ−ルとを反応させ、副生する水または低級アルコ−ルを系外に排出することにより行われる。重縮合反応はバッチ式、連続式のいずれの重合方法で行ってもよく、生成物をさらに固相重合させて重合度を上げてもよい。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸のいずれでもよいが、耐熱性、寸法安定性等の点から芳香族ジカルボン酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、4,4'−ビフェニルエ−テルジカルボン酸、4,4'−ビフェニルメタンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4'−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4'−p−タ−フェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸等が挙げられ、これらの置換体(例えば、5−メチルイソフタル酸などのアルキル基置換体など)や反応性誘導体(例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチルなどのアルキルエステル誘導体など)等を用いることもできる。
これらのうち、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びそれらのアルキルエステル誘導体がより好ましく、テレフタル酸およびそのアルキルエステル誘導体が特に好ましい。これら芳香族ジカルボン酸は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよく、該芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を併用することも可能である。
また、ジオ−ルとしては、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、デカメチレングリコ−ル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオ−ル等の脂肪族ジオ−ル類;1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,3−シクロヘキサンジメタノ−ル、シクロヘキサンジオ−ル、トランス−またはシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオ−ル等の脂環族ジオ−ル類;p−キシレンジオ−ル、ビスフェノ−ルA、テトラブロモビスフェノ−ルA、テトラブロモビスフェノ−ルA−ビス(2−ヒドロキシエチルエ−テル)等の芳香族ジオ−ル類等を挙げることができ、これらの置換体も使用することができる。
これらのうち、熱安定性、耐衝撃性、剛性等の点から、エチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルが好ましく、エチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ルがより好ましく、エチレングリコ−ルが特に好ましい。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、ジオ−ルとして、分子量400〜6,000の長鎖ジオ−ル類、すなわちポリエチレングリコ−ル、ポリ−1,3−プロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等を上記ジオ−ルと併用して共重合させてもよい。
なお上記のジカルボン酸とジオールとを重縮合させる際に、三官能以上のポリカルボン酸やポリオールを少量併用すると、分岐を有するポリエステルが生成する。このような多官能化合物としては、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
また熱可塑性ポリエステル樹脂には、上記のジカルボン酸とジオールを原料とするものの他にポリピバロラクトン樹脂やポリ(ε―カプロラクトン)樹脂のようなラクトンの開環重合によるものや、溶融状態で液晶を形成する液晶ポリマーなどもある。
本発明で用いる熱可塑性ポリエステル樹脂の好適な具体例としては、ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(PET)、ポリプロピレンテレフタレ−ト樹脂(PPT)、ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂(PBT)、ポリへキシレンテレフタレ−ト樹脂、ポリエチレンナフタレ−ト樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレ−ト樹脂(PBN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレ−ト)樹脂(PCT)、ポリシクロヘキシルシクロヘキシレ−ト(PCC)等が挙げられる。なかでもポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(PET)、ポリプロピレンテレフタレ−ト樹脂(PPT)、ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂(PBT)などのポリアルキレンテレフタレート樹脂が、樹脂組成物の流動性、耐衝撃性の点から好ましい。
特に好ましいのはポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(PET)であり、樹脂成分(A)には通常はポリエチレンテレフタレート樹脂を5質量%以上含有させる。樹脂成分(A)はポリエチレンテレフタレート樹脂を10質量%以上、更には20質量%以上含有しているのが熱安定性の点から好ましい。
ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂は、基本的にテレフタル酸とエチレングリコ−ルからなる重合体であるが、重縮合に際してはエチレングリコールからジエチレングリコールが副生して重合体に取り込まれる。重合体に占めるエチレングリコール成分100モルに対するジエチレングリコール成分は通常0.5〜5モルであり、少ないほうが好ましい。
また重縮合に際しては他の酸成分やアルコール成分を添加して、これらを含有する共重合体を生成させることもできる。しかし本発明では、テレフタル酸成分及びエチレングリコール成分の合計が樹脂全体の80質量%以上、さらには90質量%以上を占めるものを用いるのが好ましい。なかでも好ましいのは、テレフタル酸成分が酸成分の90モル%以上、特に95モル%以上を占め、エチレングリコールがアルコール成分の90モル%以上を占める樹脂である。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A2)の固有粘度は、通常は0.4〜1.5dl/gであり、0.5〜1.3dl/gであるのが好ましい。ここで固有粘度は、フェノ−ル/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の溶媒中30℃で測定した数値である。固有粘度が0.4未満であると得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下しやすく、1.5を超えると流動性が低下しやすい。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、5〜50μeq/gであるのが好ましく、10〜30μeq/gであれば更に好ましい。末端カルボキシル基量が5μeq/g未満であると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下しやすく、50μeq/gを超える場合には耐湿熱性、熱安定性が不十分となりやすい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A2)も、バ−ジン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された熱可塑性ポリエステル樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた再生品を使用することも可能である。再生品の原料としては、容器、フィルム、シ−ト、繊維等が主として挙げられるが、好適なものはPETボトル等の容器である。また、再生品としては、成形工場で発生する不合格品、スプル−、ランナ−等から得られた粉砕品や、これらを原料とするペレット等も使用可能である。
顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)
本発明のB成分である顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)は、タルク(B1)と有機リン酸エステル化合物(B2)との混合物を造粒したもので、その嵩密度が0.4〜1.5g/mlのものである。粒度は目開き500μm篩上の割合が55質量%以上であり、かつ目開き1400μmの篩上が5質量%以下であるのが好ましい。
タルクは層状構造を持つ含水ケイ酸マグネシウムであって、化学式は4SiO・3MgO・HOで表され、通常はSiOを58〜66質量%、MgOを28〜35質量%、HOを約5質量%含んでいる。その他少量成分としてFeが0.03〜1.2質量%、Alが0.05〜1.5質量%、CaOが0.05〜1.2質量%、KOが0.2質量%以下、NaOが0.2質量%以下等を含有しており、比重は約2.7である。
造粒に供するタルク(B1)としては、通常は平均粒子径が0.1〜10μmのものを用いる。平均粒子径は或る程度大きいほうが樹脂組成物の熱安定性をより向上させる傾向がある。タルクの平均粒子径は0.3μm以上、さらには0.7μm以上であるのが好ましい。また平均粒子径が10μmより大きくなると、樹脂組成物から得られる成形品外観や剛性が損なわれる傾向がある。平均粒子径の上限は8μm以下、さらには7μm以下であるのが好ましい。ここで平均粒子径とは、X線透過による液相沈降方式で測定されたD50をいう。このような測定ができる装置としては、Sedigraph粒子径分析器(Micromeritics Instruments社製「モデル5100」)が挙げられる。
有機リン酸エステル化合物(B2)としては、下記一般式(2)で表されるものを用いる。有機リン酸エステル化合物はいくつかを併用してもよい。
Figure 2010229305
式中、Rは総炭素数が2〜25の、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、nは1又は2を表す。なお、nが2のときには2つのRは相互に異なっていてもよい。
Rが表す非置換のアルキル基としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ステアリル基などが挙げられる。置換基を有するアルキル基としては、ブチル基やアリル基、メタリル基などの鎖状炭化水素基がエーテル結合やエステル結合によりアルキル基に結合したものが挙げられる。Rとしてはこれらの置換基を有するものを用いるのが好ましい。また置換基の炭素も含めてRの総炭素数は5以上であるのが好ましい。
タルク(B1)と有機リン酸エステル化合物(B2)との合計に占める有機リン酸エステル化合物(B2)の割合は、0.05〜5質量%である。0.05質量%未満では耐衝撃性や熱安定性、色相などの向上が不十分である。有機リン酸エステル化合物の効果をよりよく発現させるには、0.1質量%以上、特に0.2質量%以上となるように配合するのが好ましい。然し5質量%を超えると、樹脂組成物から成形品を製造する際にガスの発生が多くなったり、熱安定性が低下することがある。有機リン酸エステル化合物の配合割合は3質量%以下、特に2質量%以下であるのが好ましい。
タルク(B1)と有機リン酸エステル化合物(B2)とから顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)を製造する際は、これらだけを混合して造粒してもよいが、通常はこれらにさらに潤滑剤や分散剤など各種添加剤等を配合し、タンブラーやヘンシェルミキサーなどで予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等で溶融混練するのが好ましい。これにより樹脂組成物の熱安定性、特に滞留熱安定性を向上させることができ、滞留によるシルバーストリークの発生や荷重たわみ温度の低下が抑制できる。
また、造粒に供するタルク(B1)及び顆粒状有機リン酸エステル含有タルク(B)には、樹脂成分(A)との親和性を高めるために、表面処理を施すのが好ましい。表面処理剤としては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコール類、トリエチルアミン等のアルカノールアミン、オルガノポリシロキサン等の有機シリコーン系化合物、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、流動パラフィン等の炭化水素系滑剤、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸、ポリグリセリン及びそれらの誘導体、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニュウム系カップリング剤等のカップリング剤などが挙げられる。
顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)の嵩密度は、0.4〜1.5g/mlである。嵩密度が0.4g/ml未満では、樹脂組成物から得られる成形品の熱安定性や耐衝撃性が十分に向上しない。また嵩密度が1.5g/mlを超えると成形品外観や耐衝撃性が低下する傾向にある。顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルクの嵩密度は、0.5〜1.3g/ml、特に0.6〜1.1g/mlであるのが好ましい。
なお嵩密度は下記の方法により測定する。
(イ)顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルクを、目開きが1400μmの篩上に乗せ、ハケで均等に軽く掃きながら篩を通過させる。
(ロ)篩を通過した粒子を、JIS K5101に規定された嵩密度測定装置に付属する受器に山盛りになるまで投入する。
(ハ)受器の投入口から受器上部の山盛りになった部分をヘラで削り取る。
(ニ)、受器内の粒子の質量を測定し、下式にて嵩密度を算出する。
嵩密度(g/ml)=受器内の粒子の質量(g)/受器の容量(ml)
顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)の粒度は、通常は目開き1400μmの篩上が5質量%以下であり、且つ目開き500μm篩上の割合が55質量%以上である。このような粒度のものを用いることにより、樹脂組成物の熱安定性がより向上する傾向がある。好ましくは、目開き500μm篩上の割合は60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。また目開き1400μm篩上の割合は3質量%以下、特に1質量%以下であるのが好ましい。
なお粒度は、JIS Z8801に準拠して、以下の方法により求めた値である。
(イ)顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)を目開きが2000μmの篩上に乗せ、ハケで均等に軽く掃きながらその実質的全量を篩を通す(即ち、本発明では、顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)としては、全量が目開き2000μmの篩を通過するものを用いるのが好ましい)。
(ロ)篩に通した粒子を200mlのビーカーに一杯に入れ、吉田製作所製試料縮分器「1305 6号」(溝幅6mm)を用いて、30ml程度になるまで縮分を行う。
(ハ)目開き1400μm及び500μmの篩を用いて、縮分した粒子の篩分けを行い、篩を通過しないもの(篩上)の質量を求め、全体に対する割合を求める。なお、篩分けは、筒井理化学器機製「電磁式振動篩い器M−100形」を用い、振動数120回/秒で10分間行う。
顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)の製造(造粒)に際しては、樹脂組成物から得られる成形品の熱安定性、耐衝撃性、剛性の点からして、バインダーを用いるのが好ましい。バインダーとしては、タルクの造粒性が良く、無色ないしは白色に近く、不活性で安定な物質であり、樹脂組成物から得られる成形品の物性を低下させないものであればよい。例えば、ベントナイトなど湿潤状態下で高い粘結性を示す粘土鉱物、コロイダルシリカ、水溶性高分子、ワックス、高級脂肪酸、樹脂粉末などが挙げられる。これらのなかでは、樹脂組成物から得られる成形品の熱安定性、耐衝撃性、剛性の点からして、粘土鉱物、水溶性高分子が好ましく、より好ましくは水溶性高分子である。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、寒天、多糖類(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロプルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系誘導体や澱粉等)、タンパク質(ゼラチン、膠等)、水溶性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルクに占める水溶性高分子バインダーの割合は、通常は0.01〜5質量%である。バインダー含有量を0.01質量%以上とすることで、顆粒状タルクが崩れ難くなり、樹脂組成物の物性、具体的には押出加工性、剛性、耐衝撃性、熱安定性等が、より向上する傾向にあり、一方、バインダー含有量を5質量%以下とすることで、樹脂組成物の調製に際し顆粒が崩壊してタルク(B1)及び有機リン酸エステル化合物(B2)が樹脂組成物中に分散するのが妨げられず、その結果、樹脂組成物から得られる成形品外観や耐衝撃性がより向上する傾向にある。水溶性高分子バインダーの好ましい含有量は、0.05〜3.5質量%、特に0.1〜3質量%である。
造粒に際してはタルクとバインダーとの混練性を高めるとともに、混練物に可塑性を与え、かつ、造粒機の摩耗を低減し、さらに顆粒状物の硬さを調整するために湿潤剤や潤滑剤を加え、ブレンダーやヘンシェルミキサーで混合するのが好ましい。この混合物を一軸や二軸等のスクリュー式押出機等で混練後、ストランド状に押出し、カッティングして造粒し、流動式乾燥機やバンドヒーター等を用いて乾燥して、顆粒状有機リン酸エステル含有タルク(B)を製造する。乾燥した後に分級を行うこともできる。
B成分の大きさや形状は、棒状、円柱状、針状、球状、粒状、フレーク状、不定形等特に制限はなく、用途に応じて成形条件や整粒条件により種々のものを製造できる。例えば、棒状又は円柱状粒子を製造する場合、スクリーン式押出成形機のスクリーン目開きの大きさを変えることで軸径を適宜設定でき、成形後整粒して所望の軸長に裁断することができる。
潤滑剤としては、水や有機溶媒等があるが、作業性の点から水が好ましく、水にアルコール類を混合してもよい。湿潤剤である水に、予めバインダーを溶解させたり、懸濁させて造粒に用いることもできる。更には樹脂組成物に含有させる後記のような分散剤その他の添加剤を溶解又は懸濁させて造粒に用いることもでき、これにより、得られる樹脂組成物におけるこれらの添加剤の分散の均一性を高めることができる。また、潤滑剤として水を用いた場合、流動式乾燥機等を用いて含まれた水分を乾燥し、含水率を1%以下にするのが好ましく、さらに好ましくは0.3%以下である。乾燥温度は、80〜150℃が適切であり、好ましくは80〜110℃である。
潤滑剤の配合率は、タルク(B1)、有機リン酸エステル化合物(B2)及びバインダーの合計100質量部に対し、10〜150質量部、好ましくは15〜100質量部、特に好ましくは20〜60質量部である。潤滑剤の配合率が10質量部未満では効果が小さく、150質量部を超えると潤滑剤の除去に時間とエネルギーがかかり過ぎるので好ましくない。
分散剤は一般に知られるものでよく、例えば前述のようなアルコール類、アルカノールアミン、有機シリコーン系化合物、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、炭化水素系滑剤、塩基性アミノ酸、ポリグリセリン及びそれらの誘導体が挙げられる。分散剤はB成分中に0.05〜2.0質量%、とりわけ0.1〜0.5質量%となるように配合するのが好ましく、これにより樹脂組成物の調製に際し、タルク(B1)や有機リン酸エステル化合物(B2)の樹脂組成物中への分散が促進されることが多い。前述の表面処理を行ったタルク(B1)に、さらに分散剤を加えて造粒してもよい。
分散剤以外の添加剤としては、ヒンダードフェノール系等の各種酸化防止剤、ホスファイト系等の各種熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の各種紫外線吸収剤、シリコーン系、金属塩系等の各種難燃剤、オレフィンワックス系、脂肪酸エステル系等の各種離型剤、フェノール系等の抗菌・抗カビ剤、アニオン系、カチオン系、非イオン系等の帯電防止剤、着色剤、タルク以外の充填剤、光安定剤、可塑剤、発泡剤等が挙げられる。もちろん、これらの添加剤は複数種配合することも可能である。
顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)は、樹脂成分(A)と(B)との合計100質量部に占めるBの量が1〜60質量部となるように用いる。1質量部未満では材料の剛性や寸法安定性の向上への寄与が小さく、また、60質量部を超えると流動性や表面外観が低下する。顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)は、樹脂成分(A)との合計100質量部のうち、1〜50質量部、特に2〜20質量部を占めるのが好ましい。なお、顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)がB1及びB2以外の成分(B3)を含有している場合には、(A)、(B)、及び(C)の組成割合の算出に際しては、(B3)は除外する。
ゴム性重合体(C)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル・ブタジエンゴム等)、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(エチレン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等)、エチレンと脂肪族ビニル化合物との共重合体、エチレンとプロピレンと非共役ジエンとのターポリマー、アクリルゴム(ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体等)、シリコーン系ゴム(ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお本発明において、(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートを意味し(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を意味する。
またゴム性重合体(C)の他の例としては、上記のゴム性重合体に単量体成分をグラフト重合した共重合体が挙げられる。この単量体としては例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物等が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)も挙げられる。これらの単量体は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
ゴム性重合体(C)は、得られる樹脂組成物の耐衝撃性の点から、コア/シェル型グラフト共重合体が好ましい。なかでもブタジエン成分含有ゴム、ブチルアクリレート成分含有ゴム、シリコーン系ゴムから選ばれるゴム性重合体をコア層とし、その周囲にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物から選ばれる単量体を重合させて形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。
コア/シェル型グラフト共重合体の例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPN(interpenetrating polymer network)ゴム)重合体等が挙げられる。ゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ゴム性重合体(C)の配合量は、樹脂成分(A)と顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)との合計100質量部に対し、0.5〜40質量部である。ゴム性重合体(B)の配合量が0.5質量部未満では、耐衝撃性の改良効果が小さく、40質量部を越えると耐熱性や剛性が低下することがある。好ましいゴム性重合体(B)の配合量は、1〜30質量部であり、さらに好ましい配合量は、2〜20質量部である。
その他成分:
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前述したように、各種樹脂添加剤を含有していてもよい。その例としては、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、染顔料、強化剤、難燃剤、耐衝撃性改良剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3',3'',5,5',5''−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a''−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
好ましくは、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを用いる。これら2つのフェノール系酸化防止剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より、「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されている。
酸化防止剤は、樹脂成分(A)100質量部に対し、通常0.001〜1質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部となるように配合する。0.001質量部未満の場合は抗酸化剤としての効果が不十分であり、1質量部より多くても効果は頭打ちとなる。
熱安定剤としては、炭素数1〜25のアルキル基を有していてもよいフェノールでエステル化された亜リン酸エステル化合物、亜リン酸又はテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレン−ジ−ホスホナイトを用いるのが好ましい。
亜リン酸エステル化合物の具体例としては、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
好ましくは、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどを用いる。
熱安定剤は、樹脂成分(A)100質量部に対し、通常0.001〜1質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部となるように配合する。0.001質量部未満の場合は熱安定剤としての効果が不十分であり、1質量部を超えると耐加水分解性が悪化する場合がある。
紫外線吸収剤の具体例としては、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物などの有機紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2'−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物が挙げられる。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3',5'−ジ−tert−ブチル−2'−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール][メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物などが挙げられる。
好ましくは、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2'−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール]などを用いる。
紫外線吸収剤は、樹脂成分(A)100質量部に対し、通常0.01〜3質量部、好ましくは0.1〜1質量部となるように配合する。0.01質量部未満では耐候性の改良効果が不十分の場合があり、3質量部を超えるとモールドデボジット等の問題が生じる場合がある。
染顔料としては、無機顔料、有機顔料、有機染料のいずれも用いることができる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;亜鉛華、弁柄、酸化クロム、酸化チタン、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料が挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。これらの中では、熱安定性の点から、カーボンブラック、酸化チタン、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
染顔料は、樹脂成分(A)100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下となるように配合する。5質量部を超えると耐衝撃性が低下することがある。
難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム等の有機金属塩系難燃剤、ポリオルガノシロキサン系難燃剤などが挙げられるが、リン酸エステル系難燃剤が特に好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4'−ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、4,4'−ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。これらの中では、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
難燃剤は、樹脂成分(A)100質量部に対し、通常1〜30質量部、好ましくは3〜25質量部、更に好ましくは5〜20質量部となるように配合する。1質量部未満では難燃性が十分でない場合があり、また30質量部を超えると耐熱性が低下する場合がある。
滴下防止剤としては、例えば、ポリフルオロエチレン等のフッ素化ポリオレフィンが挙げられ、特にフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。これは、樹脂組成物中に容易に分散し、且つ、樹脂組成物に繊維状組織を形成する傾向を示す。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。ポリテトラフルオロエチレンは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル社より、「テフロン(登録商標)6J」又は「テフロン(登録商標)30J」として、ダイキン工業社より「ポリフロン(商品名)」として市販されている。
滴下防止剤は、樹脂成分(A)100質量部に対し、通常0.02〜4質量部、好ましくは0.03〜3質量部となるように配合する。配合量が5質量部を超えると成形品外観の低下が生じる場合がある。
本発明方法により樹脂組成物を製造するには、樹脂組成物を製造する際の定法に従い、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を使用して前述の各成分を予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等で溶融混練すればよい。
本発明方法により製造される樹脂組成物は、優れた耐衝撃性、耐薬品性、ハイサイクル性、寸法安定性、流動性を兼備しているので、これから得られる成形品は車両・航空機等の内装部品、外装部品、電気・電子・OA機器部品、携帯電話、機械部品、建築部材、レジャ−用品・雑貨類等の幅広い用途に適している。
例えば、自動車外装部品としては、アウターハンドル、ドアミラースティ、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ルーフレール、ワイパーアームなどがあり、自動車内装部品としては、インナーハンドル、センターコンソール、インパネ、アシストグリップ、シートベルトストッパーなどが挙げられる。
また鉄道車両部品としては、テーブルアーム、吊り手、アシストグリップなどがあり、電気部品としては、シェーバー枠、ドライヤー、冷蔵庫用ハンドル及び引き手、電子レンジ用扉、ポータブルMDシステムのハンドル、ヘッドホーンアーム、電動ドライバー用ハウジングなどが挙げられる。そして建材部品として、ドアハンドル、クレセント、フランス落としなどを例示できる。
なかでも生産性及び成形品の優れた外観等から、特に車両用フェンダーやガーニッシュ、アウターまたはインナーハンドル用途に好ましく用いられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例において用いた原料は次のとおりである。
ポリカーボネート樹脂
芳香族ポリカーボネート樹脂(1):界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ユーピロン(登録商標)S−3000、粘度平均分子量22500
芳香族ポリカーボネート樹脂(2):界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ユーピロン(登録商標)H−4000、粘度平均分子量15500
ポリエステル樹脂
ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(1):三菱化学社製 商品名ノバペックスGG500(ゲルマニウム原子含有量28ppm、固有粘度0.76dl/g)。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(2):三菱化学社製 商品名ノバペックスGM700(アンチモン原子含有量230ppm、固有粘度0.85dl/g)。
尚、上述の各ポリエステル樹脂の固有粘度は、フェノ−ルとテトラクロロエタンとの1対1(質量比)混合液中、30℃で測定した値である。
ゴム性重合体
ゴム性重合体(1):複合アクリル(コア)/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合物(シェル)からなるコア/シェル型グラフト共重合体 三菱レイヨン社製 商品名W450A。
ゴム性重合体(2):ポリブタジエン・ポリスチレン共重合物(コア)/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合物(シェル)からなるコア/シェル型グラフト共重合体 ローム・アンド・ハース・ジャパン社製 商品名KCZ−201。
有機リン酸エステル化合物
有機リン酸エステル化合物(1):ブトキシエチルアシッドフォスフェート 城北化学工業社製 商品名JP−506H
(COCO)P(O)(OH)3−n n=1,2。
有機リン酸エステル化合物(2):2−ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドフォスフェート。城北化学工業社製 商品名JPA−514M。
(CH=C(CH)−COOCO)P(O)(OH)3−n n=1,2
顆粒状リン酸エステル化合物含有タルク
顆粒状リン酸エステル化合物含有タルク(1):
平均粒子径1.8μmのタルク(松村産業社製、商品名ハイフィラー#5000PJ)4935gを20リットルヘンシェルミキサーに入れ、攪拌羽根を1500rpmの高速回転で攪拌しながら、CMC(第一工業製薬社製、商品名セロゲン7A)15gと有機リン酸エステル化合物(1)50gを上水2000gに溶解させた水溶液を2分間で添加した。更に、水溶液添加後3分間攪拌し、粘土状の混練物を得た。次に、混練物を目開き1.2mmのスクリーンを装着したロールバスケット型造粒機で押出し造粒し、熱風温度100℃の流動層乾燥機で約60分乾燥した。更に、整粒機で粒子を揃え、平均軸径1.2mm、平均軸長1.5mmの円柱状顆粒物を得た。得られた顆粒状リン酸エステル化合物含有タルクは、嵩密度0.71g/ml、粒度は目開き500μm篩上の割合が98質量%、目開き1400μm篩上の割合は1質量%以下、含水率0.2%であった。
顆粒状リン酸エステル化合物含有タルク(2):
有機リン酸エステル化合物(2)を用いた以外は、顆粒状リン酸エステル化合物含有タルク(1)と同様にして製造した。得られた顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルクは、嵩密度0.72g/ml、粒度は目開き500μm篩上の割合が95質量%、目開き1400μm篩上の割合は1質量%以下、含水率0.3%であった。
顆粒状タルク
松村産業社製「商品名MTB−12」、タルク平均粒子径1.8μm、嵩密度0.74g/ml、粒度/目開き500μm篩上の割合が98質量%、目開き1400μm篩上の割合は1質量%以下、粒子形状/円柱状、平均軸径1.2mm、平均軸長1.5mm、バインダー種/CMC(第一工業製薬社製、商品名セロゲン7A)。バインダー含有量0.3質量%。
熱安定剤
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト 旭電化工業社製 商品名アデカスタブAS2112
染顔料
カーボンブラック:三菱化学社製 #1000
実施例1〜3及び比較例1〜5
[樹脂組成物の調製]
表1〜表2に示す各成分を表1〜表2に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/hrにてバレル1より押出機に供給し溶融混練することにより、樹脂組成物のペレットを作製した。
[試験片の作製]
上記の方法で得られたペレットを、120℃で6時間以上乾燥した後、射出成形機(名機製作所製「M150AII−SJ型」)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、定法による成形を行い、試験片(ASTM試験片及び平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚))を作製した。さらに、成形サイクルを変更した以外は上記と同様にして滞留成形を行い、5ショット目以降につき試験片(ASTM試験片および平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚))を作製した。
上記で得られた試験片について下記の試験を行い、結果を表1及び2に示した。
(1)引張特性
ASTM D638に準拠して、厚さ3.2mmの通常試験片を用いて、23℃において引張強度(単位:MPa)と引張破断伸度(単位:%)を測定した。
(2)荷重たわみ温度
ASTM D648に準拠して、厚さ6.4mmの通常試験片を用いて、荷重0.45MPaの条件下で荷重たわみ温度(単位:℃)を測定した。
(3)Izod衝撃強度
ASTM D256に準拠して、厚み3.2mmの通常成形のノッチ付き試験片を用いて、23℃においてIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。
(4)滞留熱安定性:
(a)耐熱性(熱変形温度):
上記の滞留成形で作製したASTM試験片について、ASTM D648に準拠して、1.8MPaの荷重にて熱変形温度(単位:℃)を測定した。
(b)表面外観;目視:
上記の滞留成形で作製した試験片の表面外観を目視にて観察し、以下の6段階で評価した。
6:シルバーストリークによる肌荒れが全くない。
5:シルバーストリークによる肌荒れが成形品全体の20%未満。
4:シルバーストリークによる肌荒れが成形品全体の20%以上、40%未満。
3:シルバーストリークによる肌荒れが成形品全体の40%以上、60%未満。
2:シルバーストリークによる肌荒れが成形品全体の60%以上、80%未満。
1:シルバーストリークによる肌荒れが成形品全体の80%以上。
Figure 2010229305
Figure 2010229305
表1〜2に示した結果から、以下のことが判る。本発明の実施例1〜3に記載の樹脂組成物は、機械的特性、耐熱性、耐衝撃性、滞留熱安定性のバランスに優れている。これに対し、有機リン酸エステル化合物を含有しない顆粒状タルクを用いた比較例1〜5に記載の樹脂組成物は、実施例の樹脂組成物と比較して、機械的特性、耐熱性、耐衝撃特性、滞留熱安定性に劣る。

Claims (17)

  1. 芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(A1)50〜100質量%と芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(A2)50〜0質量%((A1)と(A2)の合計100質量%)よりなる樹脂成分(A)40〜99質量部、タルク(B1)99.95〜95質量%と下記一般式(1)で表される有機リン酸エステル化合物(B2)0.05〜5質量%((B1)と(B2)の合計100質量%)の混合物の造粒物で、嵩密度が0.4〜1.5g/mlである顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)60〜1質量部((A)と(B)の合計100質量部)、及びゴム性重合体(C)0.5〜30質量部の混合物を溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
    Figure 2010229305
    (式中、Rは総炭素数が2〜25の、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、nは1又は2を表す。但しnが2のときには2つのRは相互に異なっていてもよい)
  2. 熱可塑性樹脂(A2)がポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合物であり、且つ樹脂成分(A)に占めるポリエチレンテレフタレート樹脂の割合が5質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. ポリカーボネート樹脂(A1)50〜90質量%とポリエステル樹脂(A2)50〜10質量%((A1)と(A2)の合計100質量%)よりなる樹脂成分(A)50〜99質量部、タルク(B1)99.95〜5質量%と下記一般式(2)で表される有機リン酸エステル化合物(B2)0.05〜5質量%((B1)と(B2)の合計100質量%)との混合物の造粒物で、嵩密度が0.4〜1.5g/mlである顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)50〜1質量部((A)と(B)の合計100質量部)、及びゴム性重合体(C)0.5〜30質量部の混合物を溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
    Figure 2010229305
    (式中、Rは総炭素数が2〜25の、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、nは1又は2を表す。但しnが2のときには2つのRは相互に異なっていてもよい)
  4. 樹脂成分(A)の10質量%以上がポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)が、平均粒径0.1〜10μmのタルク(B1)と有機リン酸エステル化合物(B2)との混合物を造粒したものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)が、タルク(B1)99.8〜98質量%と有機リン酸エステル化合物(B2)0.2〜2質量%(合計100質量%)との混合物を造粒したものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. 顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)が、目開き500μm篩上の割合が55質量%以上で、かつ目開き1400μm篩上の割合が5質量%以下のものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  8. 顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)が、目開き500μm篩上の割合が70質量%以上で、かつ目開き1400μm篩上の割合が3質量%以下のものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  9. 顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)が、バインダーを用いて造粒したものであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  10. 樹脂成分(A)と顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)との割合が,(A)98〜80質量部、(B)2〜20質量部(合計100質量部)であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  11. ゴム性重合体(C)が、コア/シェル型グラフト共重合体であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  12. 樹脂成分(A)と顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)との合計とゴム性重合体との割合が、(A)と(B)との合計100質量部に(C)が2〜20質量部であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  13. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)50〜90質量%とポリエステル樹脂(A2)50〜10質量%((A1)と(A2)の合計は100質量%で、そのうちポリエチレンテレフタレート樹脂が10質量%以上を占める)よりなる樹脂成分80〜98質量部、下記の顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)2〜20質量部((A)と(B)の合計100質量部)、及びゴム性重合体(C)2〜20質量部の混合物を溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
    顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B);
    平均粒径0.3〜8μmのタルク(B1)99.8〜98質量%と、下記一般式(3)で表される有機リン酸エステル化合物(B2)0.2〜2質量%(合計100質量%)との混合物を造粒したもので、嵩密度が0.4〜1.5g/mlであり、目開き500μm篩上の割合が70質量%以上、かつ目開き1400μm篩上の割合が3質量%以下である
    Figure 2010229305
    (式中、Rは総炭素数2〜25の、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、nは1又は2を表す。但し、nが2のときには2つのRは相互に異なっていてもよい)
  14. ゴム性重合体(C)が、コア/シェル型グラフト共重合体であることを特徴とする請求項13に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  15. 顆粒状有機リン酸エステル化合物含有タルク(B)が、バインダーを用いて造粒されたものであることを特徴とする請求項13又は14に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  16. 請求項1ないし15の何れかに記載の製造方法で得られた熱可塑性樹脂組成物ペレット。
  17. 請求項16に記載の熱可塑性樹脂ペレットを用いて射出成形品を製造するに際し、射出成形機で樹脂を15分間以上滞留させることを特徴とする方法。
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