JP2010227004A - 水中油型食用乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂溶性物質に対する乳化性を相乗的に高め、高圧ホモジナイザー等の強力な剪断力を持つ乳化機を使わなくても微細で安定な乳化が可能であり、加熱殺菌が施された後の乳化安定性も安定で、かつ耐酸・耐塩性や味質に優れる水中油型食用乳化組成物の提供。
【解決手段】(a)けん化価およびオキシエチレン基含量を特定したポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、(b)グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量を特定したポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、(c)エタノールおよびプロピレングリコールから選ばれるアルコール、(d)脂溶性物質および(e)水を含有する水中油型食用乳化剤であって、[a/b]の重量比が1/4〜5/1であり、a成分とb成分の和とc成分の重量比[(a+b)/c]が1/3〜5/1であり、さらにa成分とb成分の和とd成分の重量比[(a+b)/d]が1/2〜20/1である水中油型食用乳化組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂溶性天然香料、脂溶性合成香料、カロチノイド類、脂溶性ビタミン等の食用脂溶性物質を水に対して安定に乳化・可溶化した水中油型乳化製剤、またはこれを含有する食用乳化組成物に関する。
ソルビトール又はソルビタンと脂肪酸との部分エステルであるソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドを付加させた、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、非イオン性界面活性剤として、乳化性、分散性、湿潤性などの性質に優れていることが知られており、これまで化粧品、潤滑剤、合成樹脂、洗浄剤などの幅広い用途において使用されてきた。
しかしながら、例えば、日本薬局方においてポリオキシエチレン(20mol)ソルビタンモノオレート(ポリソルベート80)は「味はやや苦く、わずかに特異なにおいがある」と記載されているように、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、一般に苦味、酸化臭、劣化臭が感じられる物質であり、食品分野では敬遠される場合があった。
そこで近年、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの味質や臭気の改善が盛んに試みられており、食品分野でもその優れた乳化性能を活かした飲食品の開発が行われるようになってきた。例えば、特許文献1では、酸価が1.0mg[KOH/g]未満でポリオキシエチレン含量が60〜70重量%のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルと油溶性物質とを含有し、保存安定性に優れ、風味の改善された飲食品が報告されている。また、特許文献2では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとグリセリン二酢酸エステルとを含有し、強力な剪断力を与える乳化機を使用することなく油溶性香料を水相に均一分散、可溶化させる香料組成物が報告されている。
しかしながら、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを乳化剤として使用した場合、通常90℃以上で行われる飲食品の加熱殺菌工程において、乳化安定性が悪化するという問題が生じる。これは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの水溶液が、他のポリオキシエチレン系の乳化剤と同様に「曇り点」を有することで説明できる。「曇り点」とは、温度の上昇によって親水部のポリオキシエチレン鎖と水との水素結合が切断され、乳化剤が不溶化する現象である。一般に、曇り点を越えると乳化剤はその機能を失われ、乳化は破壊されるといわれている。
上記の問題を解決すべく、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルと他の乳化剤とを組み合わせる試みが提案されている。例えば、特許文献3では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む乳飲料において、ショ糖脂肪酸エステルを組み合わせることで加熱殺菌が施された後の乳化安定性に優れた乳飲料が報告されている。
しかしながら、ショ糖脂肪酸エステルは耐酸性・耐塩性に弱く、炭酸飲料やドレッシング等の用途に対しては制限される問題があった。また、ショ糖脂肪酸エステルはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとの乳化性向上の相乗効果が得られないため、脂溶性物質に対する乳化剤の配合量が相対的に増加してしまい、飲食品の味質に影響を与える場合があった。
また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとの組み合わせとして、特許文献4において、ポリグリセリン中のトリグリセリン含量が60重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルとポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有し、水中における分散性等を改善した多価不飽和脂肪酸含有組成物が提案されている。
しかしながら、ポリグリセリン中のトリグリセリン含量が60重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、中程度のHLB(10〜13.5)を持つ乳化剤であるため、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの曇り点を上昇させる効果が低く、加熱殺菌が施された後の乳化安定性を高める効果や乳化力の相乗効果は得られなかった。
特開2005−176762号公報 特開2007−267611号公報 特開2006−6272号公報 特開2008−178341号公報
本発明の目的は、脂溶性物質に対する乳化性を相乗的に高め、高圧ホモジナイザー等の強力な剪断力を持つ乳化機を使わなくても微細で安定な乳化が可能であり、加熱殺菌が施された後の乳化安定性も安定で、かつ耐酸・耐塩性や味質に優れる水中油型食用乳化組成物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために検討を行なったところ、けん化価が40〜55KOHmg/g、かつオキシエチレン基含量が65.0〜74.0重量%のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルと、グリセリン脂肪酸モノエステル(モノグリセライド)の含有量が3重量%未満であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルと、エタノールおよびプロピレングリコールから選ばれるアルコールとを組み合わせることにより上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、以下に示すものである。
(a)けん化価が40〜55KOHmg/g、かつオキシエチレン基含量が65.0〜74.0重量%のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
(b)グリセリン脂肪酸モノエステル(モノグリセライド)の含有量が3重量%未満であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、
(c)エタノールおよびプロピレングリコールから選ばれるアルコール、
(d)脂溶性物質および
(e)水
を含有する水中油型食用乳化剤であって、a成分とb成分の重量比[a/b]が1/4〜5/1であり、a成分とb成分の和とc成分の重量比[(a+b)/c]が1/3〜5/1であり、さらにa成分とb成分の和とd成分の重量比[(a+b)/d]が1/2〜20/1である水中油型食用乳化組成物。
本発明によれば、乳化性を相乗的に高め、高圧ホモジナイザー等の強力な剪断力を持つ乳化機を使わなくても微細で安定な乳化が可能であり、加熱殺菌が施された後の乳化安定性も安定で、かつ耐酸・耐塩性や味質に優れた水中油型食用乳化組成物、例えば、清涼飲料水、ドレッシング、ドリンク剤等を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のa成分のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトール又はソルビタンと脂肪酸との部分エステルであるソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドを付加させた非イオン性界面活性剤である。本発明のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(a成分)は特定の範囲のけん化価およびオキシエチレン基含量を有している。けん化価は40〜55KOHmg/gであり、好ましくは42〜55KOHmg/g、さらに好ましくは45〜55KOHmg/gである。けん化価が40KOHmg/g未満の場合は乳化力が低下し、55KOHmg/gを超える場合は加熱殺菌が施された後の乳化安定性や耐酸・耐塩性が低下する。オキシエチレン基含量は65.0〜74.0重量%であり、好ましくは65.0〜72.0重量%、より好ましくは65.0〜70.0重量%である。オキシエチレン基含量が65.0重量%未満の場合では加熱殺菌が施された場合の乳化安定性や耐酸・耐塩性が低下し、74重量%を超える場合は乳化力が低下する。具体的には、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20mol)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20mol)ソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20mol)ソルビタンモノオレート)等が挙げられ、ポリソルベート60およびポリソルベート80が乳化力や味質の点で特に好ましい。また、ポリソルベート20、60、80はそれぞれ異なる親水性−疎水性バランス(HLB)を有しており、ポリソルベート20が16.5、ポリソルベート60が15.5、ポリソルベート80が15.0である。これらのポリソルベートを乳化系に応じて組み合わせ、HLBを調整することで、系の乳化性や保存安定性をより高めることができる。
本発明のb成分であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応で得ることができる。通常、ポリグリセリンの縮合度は水酸基価を測定することにより求めることができる。すなわち、水酸基価1830のグリセリンを原料として脱水縮合を行い、グリセリン4量体に相当する水酸基価1072付近のものがテトラグリセリン、水酸基価888付近のものがデカグリセリンと呼称される。したがって、化学種としてみると、テトラグリセリン、デカグリセリンと呼ばれるポリグリセリン中にもグリセリン1量体から10量体以上まで、様々な縮合度のポリグセリンが存在している。したがって、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化においては、様々な縮合度のポリグセリンと脂肪酸とのエステルが生成する。
ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの好ましいポリグリセリンとしては、水酸基価換算で4量体に相当するテトラグリセリンから10量体に相当するデカグリセリンであり、より好ましくは6量体に相当するヘキサグリセリンから10量体に相当するデカグリセリンである。
ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの好ましい脂肪酸の種類としては、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸であり、より好ましくは炭素数10〜18、さらに好ましくは12〜18であり、その具体的としてラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。
本発明において、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル中に含まれるグリセリン脂肪酸モノエステル(「モノグリセライド」ともいう)の含有量が重要であり、含有量は3重量%未満であり、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。本発明において、モノグリセライドの含量が3重量%を超える場合は、油−水界面膜の曲率が大きくなるため乳化粒子径が大きくなる傾向があり、微細で安定な水中油型乳化物を得ることが難しく、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとの乳化力の相乗効果も得られない。
ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル中のモノグリセライド含有量は、溶剤抽出法やカラム抽出などによる精製により低減することができるが、工業的な製造を考慮すると溶剤抽出法が好ましい。具体的には、酢酸エチルやトルエンなどの有機溶媒と水による抽出を行い、モノグリセライドを主とする疎水性成分が有機層に、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが水層に分配する。このとき、水相に所定濃度の食塩水を使用すると分層がスムーズに進行しより好ましい。水層を回収し、脱水、脱塩することで、モノグリセライドの含有量が低いポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが得られる。本発明において、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルは、14〜16のHLBを有するのが好ましい。
a成分とb成分の重量比[a/b]は1/4〜5/1であり、より好ましくは1/3〜4/1であり、さらに好ましくは1/2〜3/1である。a成分とb成分の重量比[a/b]が1/4未満の場合は、乳化力の相乗効果が得られず、耐酸・耐塩性が低下する。5/1を超える場合は、加熱殺菌が施された場合の乳化安定性が低下する。
本発明のc成分は、エタノールおよびプロピレングリコールから選ばれるアルコールである。プロピレングリコールは、同位体として1,2−プロパンジオールと1,3−プロパンジオールが挙げられる。味質の点でエタノールがプロピレングリコールより好ましい。
a成分とb成分の和とc成分の重量比[(a+b)/c]は1/3〜5/1であり、好ましくは1/2〜4/1、より好ましくは1/1〜3/1である。a成分とb成分の和とc成分の重量比[(a+b)/c]が1/3未満の場合は、乳化力の相乗効果が得られにくく、最終製剤の味質に影響を与える場合があり、5/1を超える場合は、脂溶性成分(c成分)を含む乳化剤(a成分およびb成分)に水(e成分)を添加していく際に、著しく乳化系が増粘し攪拌が極めて困難になるばかりでなく、乳化力の相乗効果も得られない。
本発明のd成分の脂溶性物質としては、動物油、植物油、レモン油等の天然香料、脂溶性合成香料、カロチノイド類、ビタミンE等の脂溶性ビタミン類、ステロール類等が挙げられる。このうち、レモンオイル等の天然香料、脂溶性合成香料、ビタミンE等の脂肪性ビタミン類に対し特に有効である。
a成分とb成分の和とd成分の重量比[(a+b)/d]が1/2〜20/1であり、好ましくは1/1〜15/1、さらに好ましくは2/1〜10/1である。a成分とb成分の和とd成分の重量比[(a+b)/d]が1/2未満の場合、安定な乳化物が得られず、20/1を超える場合は、最終製剤の味質の低下を引き起こす場合がある。
a成分とb成分とc成分とd成分の重量の和が乳化組成物中に占める割合は特に限定されるものではないが、例えば、清涼飲料水等の最終製品に使用される場合は0.001〜4.0重量%、好ましくは0.005〜3重量%であり、より好ましくは0.01〜2重量%である。また、脂溶性香料を水に可溶化した香料組成物等のように原料として使用される場合は4〜60重量%、好ましくは8〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
本発明のe成分は水であり、蒸留水やイオン交換水等の精製水を好ましく用いることができる。
さらに、本発明の水中油型食用乳化組成物は必要に応じてその他の添加成分を含み得る。その他の添加成分として、a成分、b成分以外の乳化剤、食塩、糖、アミノ酸等の調味料、クエン酸、リンゴ酸等の酸味料、抗酸化剤等を配合できる。
次に実施例により本発明を具体的に説明する。
表1に実施例に用いたポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、およびそれぞれの成分名、一般名、製品名、メーカーを示す。また、表2にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルに対するそれぞれのけん化価およびオキシエチレン基含量を示す。尚、けん化価およびオキシエチレン基含量は以下に示す試験方法に従って測定した。
※けん化価の測定方法;食品添加物公定書 香料試験法(2.0g)
※オキシエチレン基含量の測定方法;食品添加物公定書(ポリソルベート20[9005−64−5]、同60[9005−67−8]、同65[9005−71−4]、同80[9005−65−6])
オキシエチレン基(−OCHCH−)含量定量法
<使用したポリグリセリンモノ脂肪酸エステル>
表3に使用したポリグリセリンモノ脂肪酸エステルとそれらの成分名、グリセリン脂肪酸モノエステル含量、製品名、メーカー名及びHLBを示す。なお、HLBは、Griffinの算定法に従った。
<薄層クロマトグラフィー(TLC)によるモノグリセライドの定量>
下記条件に基づいてポリグリセリンモノ脂肪酸エステル中に含まれるモノグリセライドの定量を薄層クロマトグラフィー(TLC)によって行った。
TCLプレート メルク社製TLCプレート(シリカゲル60)
展開溶媒 クロロホルム/メタノール/酢酸=90/10/5(v/v)
希釈溶媒 メタノール
希釈濃度 試料溶液 ;3.00 w/v%
標準物質 ラウリン酸モノグリセライド(製品名;サンソフトNo.750
※蒸留品
スポット量 1μL
発色方法 リン酸・硫酸銅水溶液を塗布し、乾燥後170℃の恒温槽で15分間
加熱した。
上記条件によって得られたTLCクロマトグラムにおいて、標準物質のスポットからRf値0.72のスポットがラウリン酸モノグリセライド由来のスポットであることがわかった。そして、標準物質を所定濃度で溶解して調製した標準溶液をTLCプレート上で展開・発色させ、これらのスポットの濃さと各試料のRf値0.72のスポットの濃さとを比較することで、ラウリン酸モノグリセライドの含有量を算出した。
<抽出法によるポリグリセリンモノ脂肪酸エステルAの調製>
ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルB(HLB15.5)100gを10重量%塩化ナトリウム水溶液200gに溶解させ、分液ロートに投入した。さらに、酢酸エチル 200gを分液ロートに加え、20回振盪した後室温で静置した。分層したことを確認後、下層の水層をナス型フラスコに回収した。90℃、窒素気流下でゆっくりと脱水しながら、塩化ナトリウムを析出させ、大部分の水を留去したのを確認してから110℃、減圧下(50mmHg)で1時間脱水した。析出した塩化ナトリウムをろ紙で除去し、粗ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル72gを回収した。さらに、粗ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルに吸着剤(キョ−ワード200、3.6g;協和化学工業株式会社製)を加え、ナス型フラスコで90℃、減圧(50mmHg)で1時間吸着処理を行った。これをろ過し、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルA 64gを得た。回収したポリグリセリンモノ脂肪酸エステルA中のグリセリン脂肪酸モノエステル(モノラウリン酸グリセリン)の含量を薄層クロマトグラフィーで定量したところ、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルAにモノラウリン酸グリセリン由来のスポットが0.2重量%検出された。ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルAのHLBは15.9であった。
<乳化原液の調製方法>
表1及び2記載のa成分(またはa′成分)、表3記載のb成分(またはb′成分)、表4記載のc成分(またはc′成分)、そして表4記載のd成分を表4に記載の量でビーカーに秤量した。これをスターラーチップで攪拌しながら表4記載の量のe成分であるイオン交換水を投入したものを乳化原液とした。
<評価方法>
1) 乳化性
乳化原液1gに対してイオン交換水99gを添加して100倍希釈した希釈乳化液を調製した。この希釈乳化液を室温で12時間静置後、光路長10mmの石英セルに入れ、550nmの吸光度を測定し、以下の4段階の基準にて評価した。吸光度が小さいほど乳化性が高いことになり、「○」と「◎」を合格とした。ただし、12時間静置後に脂溶性成分の分離が目視で確認できるものは吸光度の測定は行わず、「×」の評価とした。
◎;吸光度が0.2未満
○;吸光度が0.2以上〜0.5未満
△;吸光度が0.5以上〜1.5未満
×;吸光度が1.5以上、あるいは脂溶性成分の分離が目視で確認できる。
2)加熱殺菌処理後の安定性
乳化原液1gに対してイオン交換水99gを添加して100倍希釈した希釈乳化液を調製した。この希釈乳化液を室温で12時間静置後、希釈乳化液20gをスクリューキャップ付耐圧試験管に入れ、100℃の恒温槽で20分間加熱殺菌処理を行った。その後、室温にて空冷した希釈乳化液を光路長10mmの石英セルに入れ、550nmの吸光度を測定し、以下の4段階の基準にて評価した。吸光度が小さいほど加熱殺菌処理後の安定性が高いことになり、「○」と「◎」を合格とした。ただし、上記の1)乳化性試験において、評価が「×」のサンプルに関しては評価を行わなかった。
◎;吸光度が0.2未満
○;吸光度が0.2以上〜0.5未満
△;吸光度が0.5以上〜1.5未満
×;吸光度が1.5以上、あるいは脂溶性成分の分離が目視で確認できる。
3)耐塩性
乳化原液1gに対して10重量%塩化ナトリウム水溶液99gを添加して100倍希釈した希釈乳化液を調製した。この希釈乳化液を室温で12時間静置後、光路長10mmの石英セルに入れ、550nmの吸光度を測定し、以下の4段階の基準にて評価した。吸光度が小さいほど耐塩性が高いことになり、「○」と「◎」を合格とした。ただし、12時間静置後に脂溶性成分の分離が目視で確認できるものは吸高度の測定は行わず、「×」の評価とした。
◎;吸光度が0.2未満
○;吸光度が0.2以上〜0.5未満
△;吸光度が0.5以上〜1.5未満
×;吸光度が1.5以上、あるいは脂溶性成分の分離が目視で確認できる。
4)味質
乳化原液1gに対してイオン交換水99gを添加して100倍希釈した希釈乳化液を調製し、12時間静置した。この希釈乳化液の味質について専門パネラー20名による官能評価を行い、最も味質の良い希釈乳化液を3点、最も味質の悪い希釈乳化液を0とする4段階に評点をつけた。そして、試料ごとにパネラー全員の評点を合計し、35点以上の「○」を合格とした。
○;パネラー全員の評点の合計が35点以上
△;パネラー全員の評点の合計が20以上〜35未満
×;パネラー全員の評点の合計が20未満
表4に乳化原液の処方ならびにそれらの評価結果を示す。実施例1〜6より本発明の水中油型乳化組成物は乳化性が良好で、加熱殺菌が施された後の乳化安定性も安定で、かつ耐塩性や味質に優れていた。
一方、比較例1〜9では十分な効果が得られていない。比較例1では、けん化価とオキシエチレン基含量が本発明の範囲から外れるa成分を使用しているため、乳化性や耐塩性において不十分であった。比較例2では、グリセリン脂肪酸モノエステル含量が本発明の範囲より多いb成分を使用しているため、乳化性や耐塩性において不十分であった。比較例3では、c成分を含まないため、e成分添加時に著しく増粘し攪拌することができなかった。比較例4では、b成分を含まないため、乳化性、加熱殺菌処理が施された後の安定性が不十分であった。比較例5では、a成分を含まないため、乳化性、耐塩性において不十分であった。比較例6では、a成分とb成分の和とc成分の重量比[(a+b)/c]が本発明の範囲を超えているため、乳化性、耐塩性において不十分であった。比較例7ではa成分とb成分の和とc成分の重量比[(a+b)/c]が本発明の範囲未満であるため、乳化性、耐塩性において不十分であった。比較例8では、a成分とb成分の和とd成分の重量比[(a+b)/d]が本発明の範囲を超えているため、味質の点で不十分であった。比較例9では、a成分とb成分の和とd成分の重量比[(a+b)/d]が本発明の範囲未満であるため、乳化性、耐塩性において不十分であった。
本発明によれば、乳化性を相乗的に高め、高圧ホモジナイザー等の強力な剪断力を持つ乳化機を使わなくても微細で安定な乳化が可能であるため、加熱殺菌が施された後の乳化安定性も安定で、かつ耐酸・耐塩性や味質に優れた水中油型食用乳化組成物、例えば、清涼飲料水、ドレッシング、ドリンク剤等を提供できる。

Claims (1)

  1. (a)けん化価が40〜55KOHmg/g、かつオキシエチレン基含量が65.0〜74.0重量%のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
    (b)グリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が3重量%未満であるポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、
    (c)エタノールおよびプロピレングリコールから選ばれるアルコール、
    (d)脂溶性物質および
    (e)水
    を含有する水中油型食用乳化剤であって、a成分とb成分の重量比[a/b]が1/4〜5/1であり、a成分とb成分の和とc成分の重量比[(a+b)/c]が1/3〜5/1であり、さらにa成分とb成分の和とd成分の重量比[(a+b)/d]が1/2〜20/1である水中油型食用乳化組成物。
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