JP2010223788A - 耐候性試験装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キセノンランプ40を備えた試験槽3内に試料及びブラックスタンダード測温体を配置し、槽内温度検出器、ブロアーファン、ヒーター及び冷却器を備えた耐候性試験装置1において、制御部20は、キセノンランプ40の点灯開始から所定時間が経過するまで、冷却器及びヒーターを停止させた状態を保つ一方、ブロアーファンの回転速度を所定速度に設定して送風させ、所定時間が経過した後に、ブロアーファンの回転速度を所定速度に設定したまま、槽内温度に基づいて冷却器及びヒーターを制御し、槽内温度が目標温度範囲に達してから、ブラックスタンダード温度に基づいてブロアーファンの回転速度を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ブラック温度検出器の検出温度と試験槽内の温度との両方を速やかに、設定された条件に合わせて調整できる耐候性試験装置を提供することを目的とする。
図1は、本発明を適用した実施の形態に係る耐候性試験装置1の構成を示す正面図であり、筐体10の前面の一部を除いて内部構成を示す。また、図2は耐候性試験装置1を左側からみた側断面視図である。
図1及び図2に示すように、耐候性試験装置1は、略箱形の筐体10の内部に試験槽3を設け、この試験槽3に試料4を収容して耐候性試験を行う装置である。耐候性試験装置1により試験される試料4は、合成樹脂板または塗装を施された板状の被試験体であり、予め所定サイズに整えられている。
試料室30の中央には、試験用の紫外線放射光源としてのキセノンランプ(キセノンアークランプ)40が、垂直に固定設置されている。キセノンランプ40には、発光部の周囲を取り巻くように、冷却水が流れる冷却水路や特定の波長域の光を通過させるフィルター(図示略)を備えたランプジャケット41が取り付けられている。
試料室30には、キセノンランプ40を囲むように試料ホルダー35が配置されている。図2に示すように、試料ホルダー35は、複数の試料4を、キセノンランプ40を向くように支持する枠であり、キセノンランプ40を側方及び上下から囲うように構成され、この試料ホルダー35の内側に試料4が配置される。各々の試料4は、耐候性試験において光に暴露させたい面が内側を向くように、試料ホルダー35に取り付けられ、この面にキセノンランプ40からの光が照射される。
試料ホルダー35は回転ドラム36によって支持される。回転ドラム36は、試験槽3の下方に設置された回転支持部37によって回転可能に支持され、回転支持部37には図示しないモーターの動力が伝達され、このモーターの動力によって試料ホルダー35と回転ドラム36が一体となってキセノンランプ40の周りを回転する。
ヒーター52及び冷却器53は風路51の内部に配置され、ブロアーファン50により吹き出された空気はヒーター52により加熱され、或いは冷却器53により冷却されて、下室32へ送り出される。これらブロアーファン50、ヒーター52及び冷却器53によって、試験槽3内の空気を循環させながら加温及び冷却することで、試験槽3の内部温度(槽内温度)の調整が行われる。
試料ホルダー35の真上には、試料室30と上室31とを仕切る仕切り板33の通風穴が位置しており、この通風穴を通って試料室30内の空気が上室31に吸い出され、風路59を通ってブロアーファン50に吸い込まれる。このように、ブロアーファン50によって試験槽3内の空気が大きく循環送気される。
また、図2に示すように、キセノンランプ40と試料ホルダー35との間には、試料ホルダー35側に向けて水を噴射する噴射ユニット39が配設され、耐候性試験中に、試料4のキセノンランプ40側の面に水を噴射することが可能である。
試料表面温度の指標となるブラックスタンダード測温体21は、試料4とともに、試料ホルダー35(図2の例では試料ホルダー35の上部)に、ブラックパネル部分をキセノンランプ40に向けて設置される。ブラックスタンダード測温体21は、試料ホルダー35において試料4を取り付けるスペースの一部に取り付けられ、ブラックスタンダード測温体21の取り付け位置には試料4は配置されない。
また、キセノンランプ40からの紫外線放射強度を測定するための紫外線放射強度検出器22は、試料ホルダー35の内側において、キセノンランプ40から所定距離だけ離れた位置に吊り下げ設置される。
さらに、試料室30の内部の温度を検出するための槽内温度検出器23は、ブロアーファン50が上室31から空気を吸い込む風路59の入り口近傍に設けられる。槽内温度検出器23は、具体的には、温湿度変換器として構成され、風路59から吸い込んだ空気の温度及び湿度を検出する。槽内温度検出器23が検出する温度及び湿度は、ヒーター52及び冷却器53による槽内温度の調整、及び、加湿器57による湿度の調整に用いることができる。
なお、槽内温度検出器23は試験槽3の槽内温度を検出することが可能なものであればよく、槽内温度検出器23を単なる温度センサーで構成してもよい。この場合、加湿器57による湿度制御に利用可能な湿度センサーを別途設ければよい。
また,制御部20は、ランプジャケット41に冷却水を循環させるための冷却水回路に設けられたポンプ(図示略)及び熱交換ユニット44を制御し、キセノンランプ40の点灯及び消灯に合わせたタイミングでポンプを駆動および停止させ、冷却水の温度が所定温度以下を保つように熱交換ユニット44を駆動および停止させる。
制御部20は、ブロアーファン50、ヒーター52、冷却器53、冷凍機54及び加湿用ヒーター58に接続され、これらの各部を制御する。
ここで、ヒーター52の作動状態の制御、すなわち加熱の制御は、ヒーター52への通電をオン/オフさせることで行われる。冷却器53の作動状態の制御、すなわち冷却の制御は、例えば、冷凍機54から冷却器53へ冷媒を供給する冷媒管に設けられた弁の開閉、及び/又は、冷凍機54が備える圧縮機の動作を制御することで行われる。なお、冷凍機54が出力可変型の冷凍機である場合、制御部20によって冷凍機54の出力の増減を制御してもよい。
制御部20は、槽内温度が予め設定された温度範囲に収まるように、ヒーター52によって風路51を通る空気を加温し、或いは、冷却器53及び冷凍機54を動作させて該空気を冷却させる。
さらに、制御部20は、槽内温度検出器23により検出された槽内湿度が予め設定された湿度範囲に収まるように、加湿用ヒーター58のオン/オフを切り替える。
制御部20は、磁気的記録媒体または半導体記憶デバイスを用いて構成される不揮発性記憶部(図示略)を内蔵し、この不揮発性記憶部に、予め設定されるブロアーファン50の回転速度、キセノンランプ40の点灯からの所定時間、槽内温度検出器23により検出される槽内温度の目標温度、ブラックスタンダード測温体21により検出されるブラックスタンダード温度の目標温度等の各種データを記憶している。これらのデータは、例えば、タッチパネル15の操作により入力されるものとしてもよい。
図3は、耐候性試験装置1により耐候性試験を行う場合の動作を示すフローチャートである。
制御部20は、まず、ブロアーファン50の回転速度を予め設定された速度に設定し、ヒーター52及び冷却器53を停止状態にして、キセノンランプ40を点灯させ、耐候性試験を開始する(ステップS1)。このステップS1では、キセノンランプ40の点灯に先立ってポンプ(図示略)を稼働させてランプジャケット41に冷却水を流す等の制御が、合わせて行われる。
ステップS1で設定されるブロアーファン50の回転速度(予め設定された速度)は、例えば、ブロアーファン50の定格運転速度範囲における最大速度である。
ステップS3において,制御部20は、槽内温度が予め設定された目標温度範囲内に収まるように、風路51における空気の加温と冷却とを制御する。
槽内温度<目標温度 …(1)
目標温度≦槽内温度≦目標温度+1℃ …(2)
目標温度+1℃<槽内温度 …(3)
ここで、耐候性試験装置1が複数台のヒーター52や冷却器53を備えた構成であれば、制御部20は、槽内温度検出器23の検出温度と目標温度との温度差に基づいて、使用するヒーター52及び冷却器53の数を変更する制御を行ってもよい。
ステップS6の回転速度制御で、制御部20は、ブラックスタンダード温度が予め設定された目標温度範囲に収まるようにブロアーファン50の回転速度を変化させる。具体的には、制御部20は、下記式(4)のようにブラックスタンダード温度が目標温度より2℃を超えて低い場合には、ブロアーファン50の回転速度を減速させ、下記式(5)のようにブラックスタンダード温度が目標温度±2℃の範囲(目標温度範囲)内にある場合はブロアーファン50の回転速度を保持し、下記式(6)のようにブラックスタンダード温度が目標温度より2℃を超えて高い場合には、ブロアーファン50の回転速度を増速させる。ブロアーファン50の回転速度は、例えば5Hz(5回転/秒)単位で変更される。
ブラックスタンダード温度<目標温度−2℃ …(4)
目標温度−2℃≦ブラックスタンダード温度≦目標温度+2℃ …(5)
目標温度+2℃<ブラックスタンダード温度 …(6)
以上のステップS1〜S6の動作によって、キセノンランプ40の点灯開始から、まず槽内温度が目標温度範囲に達して安定し、続いて、ブラックスタンダード温度が目標温度範囲で安定するので、目標温度範囲を保った状態で耐候性試験を行うことができる。
その後、制御部20は、耐候性試験が終了するまで、槽内温度に基づくヒーター52及び冷却器53の制御、及び、ブラックスタンダード温度に基づくブロアーファン50の回転速度制御を継続する(ステップS7)。
図4に示す例はキセノンランプ40の寿命初期であるため、キセノンランプ40の消費電力は、例えば4.0kWである。これに対し、図5に示す例はキセノンランプ40の寿命末期であるため、必要な照度を得るための電力が増しており、消費電力は、例えば5.0kWである。
キセノンランプ40の点灯から所定時間(この例では10分)が経過した後、(c)ブロアーファン50の回転速度が一定に保たれたまま、槽内温度制御が開始される。この槽内温度制御では制御部20によってヒーター52がONに切り替えられ、ヒーター52による加熱が行われ、(b)槽内温度が上昇する。
(b)槽内温度が目標温度T2に近づくと、(c)ブロアーファン50の回転速度の設定が設定速度R1から解除され、速度が低下していく。これは、制御部20によって槽内温度が安定したと判定され、(a)ブラックスタンダード温度を上昇させるためにブロアーファン50の回転速度が減速されたためである。そして、(a)ブラックスタンダード温度が目標温度T1近傍で安定すると、ブロアーファン50の回転速度は、比較的低速の回転速度R2に保持される。この図4の例では、概ねキセノンランプ40の点灯開始から20分経過時点で、(b)槽内温度と(a)ブラックスタンダード温度とが安定している。
その後、所定時間(この例では10分)が経過した後、(c)ブロアーファン50の回転速度が一定に保たれたまま、槽内温度制御が開始される。この槽内温度制御では制御部20によってヒーター52がONに切り替えられ、ヒーター52による加熱が行われ、(b)槽内温度が上昇する。
(b)槽内温度が目標温度T2に近づくと、(c)ブロアーファン50の回転速度の設定が設定速度R1から解除され、ブラックスタンダード温度に基づいてブロアーファン50の回転数が制御されるようになり、ブロアーファン50の回転速度は速度R3を最低速度として増減している。
なお、(b)槽内温度と(a)ブラックスタンダード温度とがそれぞれ目標温度T2、T1近傍で安定した後も、ブロアーファン50の回転速度は、ブラックスタンダード温度を安定させるために増速及び減速されている。図5の例ではキセノンランプ40の発熱が増しているために(a)ブラックスタンダード温度が上昇しやすいが、(c)ブロアーファン50の回転速度を細かく変化させることで、点灯開始から20分が経過した後も、ブラックスタンダード温度を目標温度範囲で安定させることに成功している。
このため、キセノンランプ40の点灯開始後に、試験槽3の槽内温度と、ブラックスタンダード測温体21により検出されるブラックスタンダード温度とを、速やかに目標温度範囲で安定させることができる。
例えば、上述した実施の形態では、試料ホルダー35にブラックスタンダード測温体21を配置して、ブラックスタンダード温度を測るものとして説明したが、ブラックスタンダード測温体21に代えてブラックパネル温度センサーを設け、ブラックパネル温度に基づいて制御を行ってもよい。また、光源として水冷式のランプジャケット41を備えたキセノンランプ40を用いる構成を例に挙げて説明したが、光源はキセノンランプに限らず、メタルハライドランプを用いてもよく、空冷式のランプを光源として用いることも勿論可能である。さらに、ブロアーファン50を、並列に並ぶ複数のファンで構成してもよく、この場合、各々のファンの回転速度を同一にしてもよいし、異なる速度としてもよい。また、上記実施の形態では、制御部20によって、ブラックスタンダード測温体21、紫外線放射強度検出器22、及び槽内温度検出器23の検出値を取得するとともに、ブロアーファン50の回転速度、ヒーター52及び冷却器53の作動状態、キセノンランプ40の点灯/消灯等の制御を行う構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、制御機能を備えた複数の機能部によって各部の制御を分散して行う構成としてもよい。
3 試験槽
4 試料
20 制御部
21 ブラックスタンダード測温体(ブラック温度検出器)
23 槽内温度検出器
30 試料室
35 試料ホルダー
38 風向板
40 キセノンランプ(光源)
50 ブロアーファン(送風機)
51 風路
52 ヒーター
53 冷却器
54 冷凍機
Claims (3)
- 光源を備えた試験槽内に試料及びブラック温度検出器を配置し、前記試験槽内の温度を検出する槽内温度検出器と、前記試験槽内の空気を循環送風する送風機と、前記送風機により送風される空気の温度調整を行う冷却器及びヒーターと、を備えた耐候性試験装置であって、
前記冷却器及び前記ヒーターの作動状態と前記送風機の回転速度とを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記光源の点灯開始から所定時間が経過するまで、前記冷却器及び前記ヒーターを停止させた状態を保つ一方、前記送風機の回転速度を所定速度に設定して送風させ、
前記所定時間が経過した後に、前記送風機の回転速度を所定速度に設定したまま、前記槽内温度検出器の検出温度に基づいて前記冷却器及び前記ヒーターを制御し、
前記槽内温度検出器の検出温度が目標温度範囲に達してから、前記送風機の回転速度の設定を解除して、前記ブラック温度検出器により検出された温度に基づいて前記送風機の回転速度を制御することを特徴とする耐候性試験装置。 - 請求項1に記載の耐候性試験装置において、
前記制御部によって設定される前記所定速度は、前記槽内温度検出器の検出温度が目標温度範囲に達した後に制御される回転速度より高速であることを特徴とする耐候性試験装置。 - 請求項1または2に記載の耐候性試験装置において、
前記送風機によって前記試験槽の上部から吸気した空気を試験槽の下部に送風する風路内に、前記冷却器及び前記ヒーターを配置し、前記送風機により送風される空気をブラック温度検出器に向けて案内する風向板を設けたことを特徴とする耐候性試験装置。
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