JP3899138B2 - 試験チャンバ内の温度を制御する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度及び湿度のような条件の安定性が改善された耐候性試験装置の試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、織地見本、塗装パネル、及びプラスチックのような製品の耐候性及び遮光性の試験装置は、現在、利用可能であり、例えば、イリノイ州、シカゴのアトラス・エレクトリック・デバイス・カンパニーから販売されている。又、かかる装置は、スガの米国特許第4627287号及びフーバ等の米国特許第4843893号及び同第5226318号に開示されている。耐候性の試験装置は、正確に制御された条件下にて材料及び製品の耐候性及び遮光性を試験するものである。
【0003】
自然の環境にて、熱、光及び水分は、共働作用可能に組み合わさって、屋外の気象状態に晒される製品に光学的、機械的及び化学的変化を生じさせる。典型的に、本発明及び従来技術の試験装置は、製造メーカが加速時間を基にしてかかる気象データを得て、数カ月又は数年に亙りその製品がその気象に耐え得るか否かの情報を得ることを可能にする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
典型的に、耐候性の試験装置は、装置内を循環する空気を使用して、試験する試料の温度を制御するから、ヒーターであったり、典型的には、キセノンランプのような高輝度のプラズマランプである光源による試料の加熱が不足し、又は過剰となる。試験をする試料が正確に所定の条件に晒され、各種の試験にてより正確に比較し、その耐候性試験装置により提供される気象条件が正確に予め設定され、このため、数年間に亙って各種の試料と比較するために使用されるとき等にその気象条件の再現が可能であるようにすることが望ましい。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の試験装置の精度を増す改善が可能となり、該試験装置は、試験時に、又は試験毎に略予想可能であり且つ不変の正確に予め設定した条件を提供するために使用することが出来、また、試験装置の収容部分に保持された可動の試験ラック上に支承されたセンサからでも温度及びその他の条件の測定をより正確に行うことが可能となる。
【0006】
本発明によれば、材料の寿命、その他の試験項目に関する、より正確な情報をより再現可能に得ることが可能となる。
【0007】
本発明により提供される方法は、ヒーターと、調整可能に開閉し得る冷却空気の吸気通気口とを備える試験チャンバであって、該通気口が、第一の制御装置及び該試験チャンバ内の第一の温度センサにより制御されて、該第一の温度センサにより検出された温度に応答して、通気口を開閉し得るようにした試験チャンバ内の温度を制御する方法である。そしてこの方法の特徴とするところは、第一の制御装置及び第一の温度センサの判断に従って、第一の運転条件下にて試験チャンバ内に所望の温度を提供する標準の通気口開度を決定しかつ第一の制御装置により標準の通気口開度よりも大きく開いた第一の通気口開度を選択する段階と、通気口を第一の通気口開度に固定する段階と、その後、通気口を第一の通気口開度に固定した状態で、ヒーターにより、試験チャンバ内の温度を第一の運転条件下における所望の温度に制御する段階と、を備えることにある。
【0008】
本発明の有利な点は、以下の技術背景の説明から理解することが出来る。ハーバー及びその他の者による米国特許第4,843,893号において、耐候性試験装置のチャンバ内で空気を循環させる循環空気の流路に設けられたダンパー又は通気口の開度を自動的に制御する温度センサを備える耐候性試験装置が示してある。この為、温度が上昇すると、その温度は該温度センサにより検出される。温度センサは、より多くの冷却空気が装置内に入る程度に開放させる信号をダンパーに送り、これにより、温度を低下させ且つフィードバック制御を行う。
【0009】
従来技術のその他の装置においては、ダンパー及びヒーターの双方が単一の制御装置ループによって制御されるため、温度が上昇すると、ダンパーが開放し、ヒーターがその発熱量を少なくする一方、温度が低下すると、ダンパーは閉じ、ヒーターはその発熱量を増す。
【0010】
こうした型式の制御装置を有するチャンバを備える試験装置は、チャンバの温度を所望の温度にて安定化させようとして、ダンパー及びヒーターが常にセンサーと連動して機能するため、温度が変動し易い向がある。勿論、ダンパーから導入された給気の旋回流により標準的でない温度領域が一時的に形成される。同様に、ダンパーの作動により湿度が著しく影響を受け、このため、湿度及び温度が典型的に平均値付近で望ましくない程に変動する。その結果、ダンパーの開放程度及びヒーターの作用程度が平均値付近で変動する。
【0011】
本発明の方法によれば、耐候性試験装置内で使用される特定の運転条件にて所望の温度を得るために、揺動するダンパーの略中間(又は標準)位置が設定される。かかる運転条件には、所望の温度、所望の湿度、採用されるブロア速度、採用される熱源の強さ等が含まれる。
【0012】
次に、ダンパーが揺動する位置の範囲内における中間位置、又は標準位置よりも僅かにより大きく開いた第一の通気口開度にダンパーの位置を固定する。このダンパーが揺動する位置の決定は、第一の制御装置と、チャンバに設けられた第一の温度センサとにより行われている。この中間、又は標準位置よりも僅かにより大きく開いた位置は、自動的に計算することが可能である。
【0013】
これにより、運転試験チャンバ内の条件は安定するが、典型的に、所望の温度よりも僅かに低い平衡温度に向かう傾向がある。
【0014】
この第一の通気口開度は、中間、又は標準通気口開度よりも極く僅かだけより大きく開いており、この第一の通気口開度は、試験チャンバの第一の運転条件下にて所望の温度を保つのに必要な量よりも約10%以内のより多くの冷却空気がチャンバに供給される開度であることが望ましい。このように、この所望の温度を維持するため、ヒーターは、同様の条件下における従来技術の運転モードよりも多少より多くの熱を発生する傾向となるが、試験条件は著しく安定され、より正確な試験結果を得ることが可能となる。
【0015】
ヒーターは、部品及び回路を簡略化するため、所望であれば、ダンパーと同様に、第一の温度センサからの同一の信号に応答可能な第一の制御装置により制御することが可能である。
【0016】
また、第二の温度センサからの信号に依存して、試験チャンバに空気を吹き込むブロアのモータを設け、また、該ブロアモータの速度を制御する第二の制御装置及び第二の温度センサを設けることが好ましい。典型的に、チャンバ内の中央の光線エネルギ源から離れた位置に、主として空気温度を検出する第一の温度センサが配置される。該第二の温度センサは、主としてチャンバ内の光線エネルギ源により直接付与される温度を検出し得るように配置された黒パネルセンサとすることが出来る。このようにして、米国特許第4,843,893号に記載されたように、暗い試験試料と明るい試験試料とを同時に且つ多少、異なる程度に温度を制御することが出来るが、本発明によれば、極めて安定し且つ正確に再現可能な条件下で温度を制御することが可能となる。
【0017】
第一の温度センサが特定の限界外の温度を検出し、温度制御が為されないことを示す場合、第一の制御装置内の装置のソフトウェアがダンパーを解放し、従来の方法にて揺動するダンパーに対し第一の制御装置及び温度センサにより提供される新たな調整位置、従って、ダンパーの新たな中間位置を設定する。次に、ダンパーに新たな中間位置を設定した後、制御装置は、従来と同様に、僅かにより大きく開いた位置を自動的に選択することが出来る。この位置は、この状況にて、その前の僅かにより大きく開いた位置と異なる位置となり、ダンパーは、この新たな位置に設定されて静止する。再度、条件が略安定したならば、ヒーターの温度出力を変更するだけで温度制御が為される。
【0018】
このように、検出された温度が所定の範囲外であるときを除いて、ダンパー通気口の開度が上述のように固定開度に係止される、連続的で動的な制御装置を提供することが出来る。
【0019】
その後に、装置は係止状態から解放され、上述のようにその最初の温度モードに復帰し、その後に、ダンパー通気口は新たな開度に再度係止される。該ダンパー通気口が特定の開度に係止されたならば、常に極めて安定した温度制御が可能となる。
【0020】
更に、本発明によれば、必要に応じ従来通り、典型的に水噴霧ノズルである加湿源を試験チャンバに設けることが出来る。本発明により、試験チャンバを加湿し且つその湿度を制御する、改良に係る方法が提供され、試験チャンバは、該チャンバ内で空気を循環させるブロアを備えている。本発明により、該チャンバの循環する空気内に伸長する、上述の水噴霧ノズルを提供する。次に、単位時間を設定し、本発明の過程は、その設定された連続的な単位時間にて反復して運転される。典型的に、かかる単位時間は、約30秒以内であり、特に、約10秒以内であることが好ましい。
【0021】
チャンバ内の空気の湿度を定期的に測定する。次に、チャンバ内の空気の湿度と所望の対象、即ち所定の目標湿度値との差を比較する。下限は0%である、単位時間の一部の時間帯にて、ノズルを通じてチャンバに噴霧水を供給する。この時間帯は、電子的に比較し且つ計算することが可能である、上述の湿度の比較差により決まる。
【0022】
単位時間の残りの時間帯では、チャンバに噴霧水が供給されることはない。例えば、噴霧ノズルの「オン」モードのとき、単位時間の5乃至30%の時間帯にてチャンバに噴霧が為され、また、「オフ」モードのときは、単位時間の残りの時間帯にて、チャンバの循環する空気に噴霧水が供給されないようにすることが可能である。
【0023】
好ましくは、隣接する連続的な各単位時間毎に連続的な単位時間にて、この過程が反復され、試験チャンバの運転時間中、循環する空気に一定量で間欠的な噴霧が為されるようにする。しかしながら、所望であれば、時間と共に、より長い時間間隔で噴霧が為されるようにしてもよい。
【0024】
本発明によれば、チャンバに付与される湿度の均一さを著しく改善することが可能となる。所望であれば、付与される比湿度は、単一の変数に基づくようにする。即ち、噴霧が為される単位時間のパーセンテージとしての時間帯とする。このように極めて均一化されるため、試験毎に湿度条件を正確に再現することが可能となり、しかも、不安定で且つ標準外の条件に起因する顕著な変更を生ずることなく、所望の正確な湿度条件を再現することが可能となる。
【0025】
具体的には、湿度センサが望ましくない程の低湿度であることを検出した時、連続的に運転するため、該湿度センサが水噴霧ノズルを作動させ、また、湿度センサが適正な湿度であることを検出したとき、水噴霧を遮断する方法において、本発明により提供される湿度の均一さは、顕著な改善を為すものである。かかる方法において、過剰な湿度となることが多く、この場合、湿度は本明細書に開示した加湿方法と異なり、不均一な状態で所望の値以上に上昇することがある。
【0026】
本発明によれば、同様の方法にて、チャンバ内で空気を循環させるブロアを有する試験チャンバ内のヒーターは、次の方法に従い、装置に熱を付与することが出来る。即ち、加湿方法に関して上述した単位時間の概念及び利用と同様の単位時間を設定する。チャンバ内の空気温度を定期的に測定し、次に、そのチャンバ内の空気温度と所望の又は所定の温度との差を比較する。上述の比較した温度差に依存する、単位時間の一部の時間帯にてヒーターを作動させる(電気ヒーターの場合、電源をオンにすることにより)。その単位時間の時間帯は当業者に容易に理解可能であると考えられる方法にて電子的に計算することが出来る。次に、単位時間の残りの時間帯のときは、ヒーターを作動させない(例えば、電源をオフにする)。
【0027】
この場合にも、この方法は、典型的に、隣接する単位時間の連続的な間隔に亙る連続的な単位時間にて反復して、ヒーターを間欠的に作動させる。その時間単位は、典型的に約30秒以内であり、特に約10秒以内であることが好ましい。このようにして、例えば、試験チャンバ内で行われる試験方法の全体の経過時間である各10秒間の内、1秒又は2秒毎にヒーターを作動させることが出来る。かかる熱の付与により、試験チャンバ全体に亙り極めて均一な温度条件が実現される。
【0028】
上述したように、ヒーターは、第一の温度センサ及び第一の制御装置に応答して作動する。空気温度が所望の温度よりも低下しつつあることが検出されると、制御装置は、各単位時間のより長い時間帯にてヒーターにより熱エネルギが付与されるようにすることが出来る。温度が所望の限界値よりも上昇するならば、各単位時間のより短い時間帯にて、ヒーターが熱エネルギを供給することが出来る。これと同一の原理が上述した湿度の制御方法にも適用される。
【0029】
このようにして試験チャンバ条件の均一さを更に改善することが可能となる。
【0030】
本発明の方法を実施するにあたり利用可能な1つの例として、一つのチャンバと、試験すべき試料を保持するラックとを備える耐候性試験装置が提供される。一方、ラックは、中央スペースを画成する。ラックに保持された試料を照射するランプがラックの中央に設けられている。又、ラックを通じて空気流を導入するブロアが設けられている。
【0031】
チャンバは、頂部壁と、底部壁とを備えている。該ラックは、チャンバの頂部壁を貫通して伸長する、典型的に回転シャフトである支持部材により支承されている。該ランプは、チャンバの底部壁を貫通して伸長する第二の支持部材により支承されており、該ランプは、チャンバの頂部壁から離間され、従って該頂部壁から隔離されている。典型的に、該ラックは、チャンバの底部壁から離間されている。
【0032】
ラックにより支承された典型的な電子センサ(温度センサ、湿度センサ、光センサ等)は、チャンバの頂部壁を貫通して伸長する第一の支持部材に沿って、又は該第一の支持部材を通じて連通し、このため、典型的にランプに付与される強力な電流及び冷却水から隔離されている。ランプの電気回路及び冷却水の回路はチャンバの底部壁を貫通して第二の支持部材に沿って、又は該第二の支持部材を貫通して下方に伸長している。
【0033】
これにより、ラックにより支承可能である検出回路及びセンサが提供され、ランプの強力な電流から隔離され、ラックの検出センサ回路等にて生じる電気的ノイズを軽減し、また、該ラックと関係する電子構成要素を給水管から漏れる水から隔離する。
【0034】
このように、電気的ノイズを軽減し、また、誤って水が混入することに起因する装置の電子機器の損傷を軽減することにより、従来技術の装置に比して本発明の試験機械のデータ収集機能を改善することが可能となる。
【0035】
更に、本発明によれば、必要に応じ、可動の試験部材のデータを判断するための改良に係る方法を利用することができる。具体的には、上述の回転ラックが可動の試験部材を備え、第一のセンサ及び第二のセンサ、又は所望であればその他の装置により、データが採取される。
【0036】
この方法に従い、試験部材に少なくともその一部が支承された電気回路を作用させる。該電気回路は、例えば、可変抵抗の温度センサのような判断すべきデータを関数として変化する抵抗を有して、該データを保持する回路に第一の信号を発生させるセンサー装置を備えている。次に、その第一の信号を変換して、信号電流がその第一の信号の関数である、可変電流の信号にし、このため、その可変電流信号が可変電流状態で判断すべきデータを送る。
【0037】
次に、典型的に従来の一つ又は複数のコレクタを通じて、その可変電流信号を可動の試験部材から送り、試験部材から離間された固定の制御装置に付与する。次に、この可変電流信号の電流の変化は、例えば、検出された温度の数値データ値、°Cのような使用可能な形態に変換する。
【0038】
この技術により、単に相対的なデータ読み取り値としてではなくて、絶対的な定量的で誤差無しの形態にてそのデータをユーザに提供することが可能となる。
【0039】
試験チャンバ内の可動のラックからデータを判断する従来技術の装置は、上述のセンサ装置の可変抵抗の関数として、電圧に依存する信号を提供する。この電圧に依存する信号は、コレクタを通じて固定の制御装置に送られ、そのデータは検出される電圧の関数である。
【0040】
しかしながら、電圧は、日々変動するコレクタの抵抗により変化する可能性があり、このため、提供されるデータは誤差があり、客観的な標準に対して装置を頻繁に較正する必要がある。この一つの理由は、水銀に接触した可動面、即ち電極に対してブラシを使用して可動の装置から固定装置まで電流を送る公知の装置である該コレクタの抵抗値が、時間の経過と共に、変化するからである。その結果、コレクタ自体の関数として信号の電圧が顕著に変化し、そのため、データは不正確となり、比較可能な基準データがなければ使用し得ないものとなる。
【0041】
本発明によれば、試験チャンバの分野において初めて、回転ラック等に支承された装置から誤差無しの温度及びその他のデータを入手することが可能となる。これは、上述したように、コレクタを通じて可動ラックから送られて固定の制御装置に達する信号を提供することにより達成され、この信号は、抵抗可変の装置に見られる抵抗値に完全に依存する、制御状態の電流(アンペア)を有する。その信号に対するこの所定の電流を提供し得るように、必要に応じて、使用される従来の電子機器を通じて、信号の電圧を変動させ又は一定とすることが出来る。このようにして、可変抵抗センサ固有の関数である客観的な値が制御装置に付与されて、その値は、従来の方法で温度等の読み取り数値に変換することが出来、電子機器に起因する誤差を補正する必要のない、絶対値が得られる。
【0042】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照すると、ラック16がその内部にある上方チャンバ14を画成するハウジング12を備える耐候性試験装置10が示されており、該ハウジングは、略球状に一列に配置されたステンレス鋼支柱を備え、キセノンランプとすることの出来る中央の光源22から略等距離となるように試験用試料18を該ステンレス鋼支柱に取り付けることが出来る。この構成は、米国特許第4,843,893号に開示されたものと同様である。
【0043】
上方チャンバ14の底部には、孔26が円形に配置されており、これに加えて、円錐形の反らせ板24が設けられて、該孔26を流れる空気をラックに支承された試験試料18に沿って供給し易いようにしてある。
【0044】
孔26、及び該孔を保持する仕切りの下方には、従来の抵抗型ヒーター要素30が配置されている。また、米国特許第5,226,318号に従って調節可能であり且つ設計された、キセノンランプ22の接続具32(図3)も設けられている。該接続具32は、キセノンランプ22を作動させるための電気導管及び水の流れ導管の双方を備える一方、キセノンランプ22は、上方チャンバ14の頂部から離間されている。また、ランプ接続具32は、上述のように「第二の支持部材」とも呼ばれる。
【0045】
ラック16は、上方チャンバ14の頂部壁36を貫通して伸長する第一の支持部材、即ちシャフト34により支承されている。このように、ラック16に支承された各種の電子装置の接続部は、シャフト34と共に、頂部壁36を貫通してマイクロプロセッサ38(図2)に達し、該マイクロプロセッサは、キセノンランプ22に使用される流動水及び高圧電流及び電圧の双方から安全に離間される方法にて頂部壁36の上方で耐候性試験装置に支承されている。
【0046】
また、頂部壁36の上方には、モータMが配置されており、該モータMは、耐候性試験中に必要とされるとき、シャフト34及びラック16を回転させる。
【0047】
試験ラック16は、キセノンランプの光線により直接、付与される温度を特に検出し得るようにしたセンサである黒パネル温度センサ40を支承することが出来る。このセンサは、該ラックで支承されたより暗い試料に伴う温度条件をモデル化する。空気温度を監視する乾球温度センサ41がランプ22からより離れた位置に設けられている。また、直接比のRH湿度センサ43も設けられている。これらセンサの各々は、マイクロプロセッサ38に信号データを提供する。
【0048】
又、頂部壁36は、壁孔44を画成する。該壁孔44は、円形プレナム46の入口を示し、入口は、ブロア28により駆動された空気をチャンバ14の頂部から底部まで且つブロア28により駆動されて孔26を通るように循環させる。
【0049】
調整可能に開放する冷却空気供給通気管48がプレナム46内に配置されており、該通気管48は、可動ダンパー50を有し、更に、空気入口48aと、空気出口48bとを備えている。該ダンパー50の位置は、制御部材51により制御出来る一方、該制御部材51は、従来の方法でマイクロプロセッサ38により制御される。
【0050】
又、キセノンランプの光線の放出状態を直接、監視する光センサ54と共に、ラック水噴霧装置52が上方チャンバ14内に設けられている。また、所望のときに試料に更に特別に噴霧する試料への水噴霧装置53も設けられている。
【0051】
本発明の一つの形態によれば、ランプ22が底部接続具32に取り付けられており、該ランプは、米国特許第5,226,318号に開示された、対応する接続具と同様の構造及び機能をしているが、接続具32が頂部壁ではなくて、チャンバ14の底部壁に取り付けられ、このため、ランプ22は、底部壁から上方に伸長し且つ該頂部壁14から離間されている点が異なる。
【0052】
また、図示するように、ラック16は、頂部壁14から懸架され且つシャフト34により支承され、更に、チャンバの底部壁から離間されている。
【0053】
従って、上述のように、マイクロプロセッサ38を一例とする該装置の電子機器は、高電圧及び電流の入口から、及びその他は従来通りの方法にてチャンバの底部から上方に供給する給水口から十分に離すことが出来、このため、高圧電流及び水を装置の電子検出機器から離すことが可能となる。
【0054】
更に、本発明によれば、ヒーター30と、第一の制御装置51により調整可能に開閉し得るダンパー50を有する調整可能に開閉し得る冷却空気入口通気口48とを利用して、試験チャンバ14内の温度が制御される。第一の制御装置は、マイクロプロセッサ38からの信号により作動される制御装置モータを備えている。一方、マイクロプロセッサ38は、典型的に温度センサ41からの信号を処理して、循環する空気温度を所望の値に安定させ得る位置にダンパー50を設定する。
【0055】
しかしながら、上述したように、実際には、温度測定値は変動し、その結果、ダンパーは中間の通気口の開度を中心として揺動する。そのために、空気温度は望ましくない程に不安定となる。
【0056】
本発明によれば、マイクロプロセッサ38は、例えば、2分乃至3分といった所定の時間に亙り経験的に基づいて中間、又は標準通気口の開度を設定し、これは、コンピュータプログラミングの技術分野の当業者に明白であるか、又は望ましい任意の方法で行われる。次に、ダンパーの第一の位置がマイクロプロセッサにより選択され、該マイクロプロセッサは、計算した中間開度よりも約10%より大きく開いた通気口の開度を設定することが好ましく、また、ダンパーは、更に作動されずに、この新たな位置に一時的に固定される。このため、モータ28により駆動された空気がプレナム46を循環すると、温度センサ41によりプロセッサ38に送られた信号同士のフィードバックに起因する温度の変動、及びダンパー50の揺動が安定する。但し、ダンパーの位置は、ブロア速度、ランプのエネルギ発生量等のような特定の運転条件下で所望の温度を維持するために必要とされる量以上の新気が装置に入ることが期待される位置である。
【0057】
その後、同様にマイクロプロセッサ38により制御することの出来るヒーター30は、その他の点では安定的な装置の唯一の温度制御装置として機能し、このため、所望の温度に近似したダンパーの設定位置に正確に近似したダンパーの安定的な設定位置にて、熱の発生を除いて、変動因子が安定した装置内で空気温度を正確に、均一に且つ再現可能に制御することが可能である。これは、ダンパーの所望の位置を瞬間的に設定し、また、安定的な所定の温度が得られるようにヒーター30を瞬間的に制御する自動装置を介して行われる。
【0058】
温度が所定の範囲から外れていることが温度センサ41により検出されると、マイクロプロセッサ38のソフトウェアは、再度ダンパー50の固定位置を解放してフィードバックモードに復帰させ、ここで、ダンパーは、温度センサ41からの瞬間的な温度信号に応答可能となる。ダンパーの新たな中間位置が設定される迄の時間、ダンパー50が再度、揺動する可能性がある。この時点にて、本発明の方法が再度、実施され、上述の所望の値が得られるように、揺動するダンパーの中間位置よりも大きく開いた所定の位置にダンパー50を固定する。
【0059】
又、黒パネルセンサ40は、シャフト34を貫通し又はシャフト34に並んで配置された導線によって連通し、マイクロプロセッサ38と電気的に接触する。ブロア28の速度は、所望であれば、黒パネルセンサ40から受け取った温度信号に応答可能な方法にて制御することが出来る。
【0060】
試験装置10の温度は、最初に上昇するから、最低温度に設定し、この温度にてダンパー50が僅かに開放し、この設定温度以上であるときは、ダンパーが少なくとも僅かに(約5%)開放した位置に留まるように設定し、ブロア28及び黒パネルセンサ40を通じての温度制御が容易であるようにする。
【0061】
更に、本発明によれば、温度センサ41が受け取る温度信号に基づいて加熱コイル30も自動的に制御することが可能である。これは、典型的に各々が5秒である、独立的な隣接する単位時間を設定することにより為し得る。温度センサ41は、温度信号をマイクロプロセッサ38に送り、該マイクロプロセッサは、この信号を所望の温度と比較し、チャンバ内の空気温度と所望の温度との差を測定する。その差が0であるか、又は温度センサ41が所望の温度よりも高い温度であることを検出するならば、この場合、マイクロプロセッサ38は単位時間中、加熱コイル30を作動させない。しかしながら、温度センサ41により検出された温度が所望の温度よりも低いとマイクロプロセッサ38が判断したならば、該マイクロプロセッサは、各5秒の単位時間の特定%の時間帯だけ加熱コイル30に通電する。この時間帯の%は、マイクロプロセッサにより判断される温度差の程度に直接、依存し、従って、検出された温度が所望の温度よりも10°C以上も低い場合、加熱コイル30は、5秒間、即ち単位時間の全部の時間帯にて通電される。しかしながら、検出温度と所望の温度との差が小さくなるに伴い、熱を発生させるために加熱コイルに通電する単位時間の時間帯は短くなり、検出温度と所望の温度が等しくなったとき、加熱コイル30は、所望の温度を維持し得る単位時間の所定の時間帯だけ通電される。
【0062】
この手段により、所望の温度からの偏差程度が小さい状態で正確に且つ再現可能に温度制御することが出来、従来の制御方法にて経験される温度の過度の上昇を回避することが可能となる。
【0063】
同様の方法にて、チャンバ内を循環する空気に噴霧装置52、53から付与される加湿の程度を制御することも可能である。湿度センサ43がマイクロプロセッサ38と連通している。該マイクロプロセッサ38は、上述の温度制御方法と同様に、典型的に5秒の増分時間とすることの出来る、連続的な単位時間を設定する。検出された湿度と所定の湿度との差を判断する。その差が0の場合、各5秒の該当する時間帯のみ、噴霧ノズル52、53の一方又は双方が「オン」とされて、所望の条件を保つために必要とされる単位時間の時間帯、例えば、単位時間の20%の時間帯を反復する。同様に、検出された湿度がマイクロプロセッサに設定された所定の湿度よりも高い場合、それぞれの噴霧ノズルは、その単位時間の全時間帯に亙り「オフ」にすることが出来る。
【0064】
しかしながら、検出された湿度が所定の湿度以下に低下するならば、この時、マイクロプロセッサ38は、噴霧ノズル52、53の一方又は双方に信号を送って、それぞれの単位時間のより長い時間帯に亙って作動させ、所定の湿度と検出された湿度との差が増すに伴い、各単位時間の全時間帯まで長く作動させる。このように、連続的ではあるが間欠的な噴霧が行われ、所定の値に湿度を略安定化させ、循環する空気に噴霧する従来技術に伴う湿度の変動を著しく少なくすることが可能となる。これは、完全な自動化が可能である。
【0065】
更に、本発明によれば、例えば、黒パネルセンサ40のような回転ラック16に支承されたセンサからの信号は、シャフト34の周りに支承された電気コレクタ60を横断して進み、電気信号は、可動センサ40から固定型のマイクロプロセッサ38に、又は装置のフレームに支承されたその他の電子的な監視及び制御装置に進み得るようにすることを要する。
【0066】
これを行うための従来の技術は、公知のRTD PT−100ユニットのような温度抵抗装置を備えることの出来る黒パネルセンサを使用し、この場合、その電気抵抗値は、検出された温度に従って変化する。該可動の抵抗温度装置(RTD)は、電気回路内で固定型の電子監視/制御装置に接続されている。可動部材から固定部材に電気信号を伝達する標準的な装置とすることの出来る一対のコレクタを通じて回路が伸長している。例えば、ブラシ又は液体水銀を使用するコレクタが周知である。電子的な監視及び制御装置は、電気回路内の電圧を監視し、この電圧は、勿論、抵抗温度装置の可変抵抗に依存して、抵抗温度装置により検出された温度を判断する。
【0067】
しかしながら、この従来技術の装置における重大な問題点は、コレクタの抵抗がその使用時間と共に、またその他の因子により変動する可能性があることである。このため、この装置は、相対的な温度値しか提供出来ず、電子装置は、頻繁に較正しなければならない。
【0068】
本発明によれば、可動の試験部材のデータを判断する電子装置及びその判断方法が提供され、この場合、可動の試験部材の外部で固定型制御装置に付与されるデータは、定量的であり、頻繁に較正する必要がない。
【0069】
本発明によれば、図4において、可動ラック16により支承された部分61を有する電子回路59を作動させる。この回路部分は、黒パネルセンサ40の一部として従来技術で使用される装置と同一とすることの出来る抵抗温度装置62を備えている。該抵抗温度装置62は、本発明の新規な要素として、電子ブロック66の回路に電気的に接続されており、該電子ブロックは、抵抗温度装置62の抵抗を測定し、この抵抗値に応答して、特定の使用条件下でRTD62の可変抵抗値に直接的に且つ限定的に応答可能である信号電流を発生させる。かかる装置は、公知であり、多くの異なる電子的設計により具体化することが出来る。具体的には、電子ブロック66として、ヤカガワ(Yakagawa)信号トランスミッター(電流のRTD)JUXTA FR5Aを使用することが出来る。
【0070】
電子ブロック66は、コレクタ60を通じて電子監視/制御装置64と回路68で接続されており、該コレクタは、上述したように従来型式であり、可動の電気端末が固定型の電気端末と連通し得るようにブラシコレクタ、液体水銀コレクタ等の何れかとすることが出来る。
【0071】
電子ブロック66と制御装置64との間で回路68を流れる電流は、装置62の抵抗に応答して、電子ブロック66により判断される所定のアンペア又は電流を有する一方、装置の電圧は、正確な電流が送られているか否かを判断するのに必要な程度に変化することが可能である。このように、コレクタ60に予想外の抵抗の変化が生じても、電子ブロック66から制御装置64まで信号が流れることの妨げとならない。制御装置64は、回路68内の電流値を監視し、電圧の変化を無視して、RTD62の可変抵抗値の関数である、絶対的で且つ略誤差無しの測定値を提供する。従って、本発明によれば、定量的な温度検出が正確に為される。
【0072】
制御装置64は、ファナック90−30PLC制御装置を含めることが可能である。
【0073】
従って、本発明は、自動的に制御し、また、フィードバックの問題に伴う条件の望ましくない変動を生ずることなく、耐候性試験装置におけるデータの測定値の精度を改善し且つ温度及び湿度の所望の条件を正確に設定するという比類なき効果を実現するものである。このように、気象条件を試験毎に正確に再現することが出来、異なる試験及び異なる時点で得られる結果を容易に比較することが可能となる。
【0074】
上記の説明は、本発明の単に一例として掲げたものであり、本出願の発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載により判断されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による方法の実施に用いることが可能な一例の耐候性試験装置の斜視図である。
【図2】 図1の耐候性試験装置の上方チャンバの上方部分を示す図である。
【図3】 図1の耐候性試験装置の上方チャンバの下方部分を示す図である。
【図4】 本発明に応用可能である検出システムの線図である。
【符号の説明】
10 耐候性試験装置 12 ハウジング
14 ハウジングの上方チャンバ 16 上方チャンバのラック
18 試験用試料 22 キセノンランプ
24 上方チャンバの反らせ板 26 上方チャンバのブロア
28 ブロア 30 ヒーター要素
32 キセノンランプの接続具 34 上方チャンバの頂部壁
38 マイクロプロセッサ 40 温度センサ
41 温度センサ 43 湿度センサ
44 壁孔 46 プレナム
48 通気口 48a 通気口の空気入口
48b 通気口の空気出口 50 可動ダンパ
51 制御部材 52 水噴霧装置
53 噴霧装置 54 光センサ
M モータ
Claims (6)
- ヒーターと、調整可能に開閉し得る冷却空気の吸気通気口とを備える試験チャンバであって、該通気口が、第一の制御装置及び該試験チャンバ内の第一の温度センサにより制御されて、該第一の温度センサにより検出された温度に応答して、前記通気口を開閉し得るようにした前記試験チャンバ内の温度を制御する方法にして、
前記第一の制御装置及び第一の温度センサの判断に従って、第一の運転条件下にて前記試験チャンバ内に所望の温度を提供する標準の通気口開度を決定しかつ前記第一の制御装置により前記標準の通気口開度よりも大きく開いた第一の通気口開度を選択する段階と、
前記通気口を前記第一の通気口開度に固定する段階と、
その後、前記通気口を前記第一の通気口開度に固定した状態で、前記ヒーターにより、前記試験チャンバ内の温度を前記第一の運転条件下における所望の温度に制御する段階と、
を備えることを特徴とする温度制御方法。 - 請求項1に記載の温度制御方法にして、前記第一の通気口開度が、前記第一の運転条件下にて所望の温度を維持するために必要とされる量よりも10%以内で多い冷却空気を提供する開度である温度制御方法。
- 請求項1に記載の温度制御方法にして、前記第一の温度センサからの信号に応答して、前記ヒーターが前記第一の制御装置により制御される温度制御方法。
- 請求項1に記載の温度制御方法にして、前記試験チャンバを通じて空気を吹き込むブロア及びモータが設けられ、該ブロアのモータを制御する第二の制御装置及び第二の温度センサが設けられて、
該第二の制御装置が、該第二の温度センサからの信号に依存して前記ブロアのモータ速度を制御する温度制御方法。 - 請求項4に記載の温度制御方法にして、前記第一の温度センサが主として空気温度を検出する位置に配置される一方、前記第二の温度センサが、主として前記試験チャンバ内に配置された光線エネルギ源により直接、付与される温度を検出する位置に配置された黒パネルセンサである方法。
- 請求項1に記載の方法にして、前記第一の温度センサにより検出された温度が所定の範囲から外れているとき、前記通気口を前記第一の通気口開度である固定開度から解放して、該通気口の開度が前記第一の制御装置及び第一の温度センサにより制御され得るようにし、次いで現下の標準の通気口開度よりも大きく開いた新たな第一の通気口開度に再度固定することを含む方法。
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