JP2010222944A - 地中連続壁用壁部材及び地中連続壁構築方法並びに地中連続壁 - Google Patents

地中連続壁用壁部材及び地中連続壁構築方法並びに地中連続壁 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単で小規模な作業により地中上側に位置しているH形鋼の上部回収作業を効率よく行えるようする。
【解決手段】下段H形鋼3と上段H形鋼4との突き合わせられる上下端部に亘って配置される接続金具6、及びH形鋼の一方フランジに設けられた取付孔10から他方フランジに設けられた取付孔10に向けて操作される取付用棒材を介し連結されると共に、各H形鋼のフランジ端部に沿って設けられた継手を有し、隣接配置されるH形鋼同士が継手を介し連結される地中連続壁用壁部材1であって、接続金具6は、H形鋼の両フランジ及びウエブで区画している凹部3c,4cに配置される大きさの鋼材からなり、前記上下端部のうち、一方端部の凹部に固定された状態で他方端部の凹部に配置される差込部6aと、該差込部に設けられて他方端部の凹部を区画している両フランジの取付孔10に一致して取付用棒材を通す挿通孔8とを有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、下段のH形鋼(この下段は複数のH形鋼からなる構成を含む。要は分離される上段のH形鋼を除く鋼部分の意味である。以下、同じ。)に対して上段のH形鋼を分離可能に連結していると共に隣接配置されるもの同士が継手を介し連結可能な壁部材、及び先行壁部材に対し後続の壁部材を互いの継手を介して連結する地中連続壁構築方法、並びにその構築方法で作られる地中連続壁に関する。
対象の地中連続壁構築方法は、特許文献1や2に例示されるごとく、壁構築部に沿って地盤掘削と共にソイルセメント等の固化体を形成し、固化体の固化前に先行壁部材に対し後続の壁部材を互いの継手を介して連結しながら建込み操作される。ここで、用いられる壁部材は「NS−BOX」と称されている。この壁部材は、複数のH形鋼同士が設計長さに一体化される。同時に、各H形鋼のフランジ端部に沿って設けられた雄又は雌形の継手を有し、隣接配置されるH形鋼同士が前記継手を介し水平方向に連結される。このため、構築された地中連続壁は、各壁部材がH形の対向したフランジの両側を互いの継手を介して嵌合した状態で建込まれるため二重の継手構造となり、また固化体中に建込まれている関係で優れた耐久性及び止水性が得られる。
図9(a),(b)は以上の地中連続壁構築方法にて所定間隔を保って造成され地中連続壁70同士の間を開削すると共に、地中連続壁90同士の間に地下構造物60を築造した一例を示している。この施工手順は、本発明例である図3及び図4に示したように、両側の地中連続壁を構築した後、地中連続壁同士の間を所定深さまで開削し、開削した箇所に地下構造物60を地中連続壁を仮設兼用本体壁として築造する。その後、地下構造物60の上部を土砂65で埋め戻す。各地中連続壁は、図9のごとく隣接配置された各壁部材91が互いの継手(一方壁部材の雄形継手と他方壁部材の雌形継手)を介し連結されており、地下構造物60の仮設兼用本体壁として利用される。地下構造物70は、地下道路、地下駅舎、立抗などである。符号92は固化した固化体である。
なお、本発明の壁部材及び上部回収工程との関係では特許文献3や4が挙げられる。これらは、壁部材として、下段のH形鋼に対して上段のH形鋼を分離可能に連結する構造と、複数の壁部材をソイルセメント等の固化体に間隔を保って建込む構造と、各壁部材を構成している上段のH形鋼を引き抜く構造とを開示している。
まず、特許文献3において、この壁部材の構造は、例えば、上下段のH形鋼(芯材)同士を突き合わせた状態で該突合せ部の外周を囲む外殻部材と、外殻部材と一方のH形鋼を接合する接合手段(仮ボルト)と、外枠部材と他方のH形鋼を接合する破断ボルトとからなり、どちらか一方のH形鋼に所定の引張り力以上の力を加えたときに、破断ボルトが破断して、上段のH形鋼を分離するものである。そして、地中壁構築方法としては、前記壁部材を固化体中に打設し、仮ボルトが地中に埋没する手前で壁部材の打設を中断する。仮ボルトを外殻部材から取り外し、再び、壁部材を打設して所定の位置まで埋設する。壁部材としての供用を終えた後に、前記突合せ部より上方のH形鋼に引張り力を加えて破断ボルトを破断し上段のH形鋼のみを引き抜く。
特許文献4において、この壁部材の構造は、上下段のH形鋼同士を突き合わせた状態で、上下段の地山側及び開削部側フランジの上下両外側面に亘って接合板を配置し、上下段フランジと接合板とをボルト・ナットで螺着して上下段のH形鋼同士を一体化する。地中壁構築方法としては、上下段のH形鋼同士を接合板及びボルトを介して一体化した状態で、地中に形成した固化体(立柱列連続壁)に芯杭材として地中に打設する。打設後に開削部側を掘削した状態で、開削部側フランジに頭部を配したボルトを地山側フランジに接合板を介して設けられたナットから螺脱し、該ボルトを開削部側へ抜去して上下段のH形鋼の接合を分離し、上段のH形鋼を地表へ引き抜く。その後、開削部を土砂で埋め戻す。
特開2001−288738号公報 特開2003−55960号公報 特開2004−238998号公報 特許第3404315号公報
上記図9のごとく構築された地中連続壁において、地下構造物60の天版64から地表面GLまでの間は土圧が順次低減するため箇所Fより小さな強度剛性でよい場合が多く、しかも埋め殺したままでは却って障害物となることもある。また、特にトンネル、共同溝等の施工区間が長く、大深度位置に構築される地下構造物の場合は、その施工区間分に応じて相当量の鋼材が無駄となり、資源の有効利用の面からも得策でない。
この対策として、本出願人らは、先に、原地盤や改良地盤等の地盤条件に応じて、最適で無駄のない環境にも優しい壁部材及び地中連続壁構築方法などを開発し出願した(特願2008−204907号等)。壁部材の構造は、長手方向と交差する方向の断面が略H形からなり、該H形のフランジ端部に雄又は雌形の継手を有した本体と、前記本体の上端に接合されて断面が本体より小さく、かつ本体の対応継手延長線上に配されるガイド用継手を形成している治具を着脱する取付部を有している上段のH形鋼とからなる。この要部は、壁部材が少なくとも上段部分を相対的に小さくし、その場合にも隣接配置されるもの同士が互いの継手を介して連結可能にする構成にある。このため、先願では、地中連続壁として使用鋼材の総量を低減できるが、上段のH形鋼は埋め殺したままであり、障害物対策及び資材の有効活用としては未だ満足できない。そこで、更なる対策としては、特許文献3〜4のごとく壁部材の上段のH形鋼を分離可能に連結しておき、後で分離し回収することも考えられる。
しかし、実施工では、本設工事が完了し、埋め戻しを行った後には地盤を締め固めて少なくとも数ヶ月から1年程度は地盤の養生が必要であり、少なくとも養生初期までは上段のH形鋼にも支持力が期待される関係で養生期間中は回収ないしは撤去工事に着手できない。そのような事情から、特許文献4の上部回収構造では、上下段のH形鋼同士が突き合わされた状態で互いのフランジの上下両外側面に亘って接合板を単に配置しているだけなので、接合板を介した連結用のボルトを外すと、上段側が下段側に対して非拘束状態となってずれ易くなるという不具合がある。また、特許文献3の上部回収構造では、上下段のH形鋼同士が突き合わせた状態で外枠部材により該突合せ部の外周を囲むことから、地中連続壁構築方法として各壁部材が互いの継手を介して連結される構成には採用不可能である。また、従来構造では、壁部材の全寸が長くなると、上段側H形鋼を吊り上げた状態で建込み途中の下段側H形鋼の上端に接続したいこともあるが、接続操作時は上段側H形鋼が動き易く、しかも下段H形鋼側の取付孔に対する上段側の取付孔を位置だしし難いため位置だし操作を多少なりとも容易にしたい。なお、これら回収工事は、時期的にも工事完了してから大分時を経ている上に、経済的にも不採算となる可能性があるため、H形鋼回収のためだけに時間をかけた大々的な再掘削、埋め戻しなどの作業は現実的でない。
本発明は以上の課題を解決するものである。その目的は、例えば、地下構造物の天版上の開削部を埋め戻した後で、かつ所定の養生期間を経てからでも、建込み作業や構造物構築作業を損なわず、簡単で小規模な作業により地中上側に位置しているH形鋼の上部回収作業を効率よく行えるようにした地中連続壁用壁部材、地中連続壁構築方法、連続地中壁を提供することにある。
請求項1の発明は、下段のH形鋼と上段のH形鋼との突き合わせられる上下端部に亘って配置される接続金具、及びH形鋼の一方フランジに設けられた取付孔から他方フランジに設けられた取付孔に向けて操作されるボルト等の取付用棒材を介して連結されると共に、前記各H形鋼のフランジ端部に沿って設けられた雄又は雌形の継手を有し、隣接配置されるH形鋼同士が前記継手を介し連結される地中連続壁用壁部材であって、前記接続金具は、前記H形鋼の両フランジ及びウエブで区画している凹部に配置される大きさの鋼材からなり、前記上下端部のうち、一方端部の前記凹部に固定された状態で他方端部の前記凹部に配置される差込部と、前記差込部に設けられて他方端部の前記凹部を区画している両フランジの前記取付孔に一致して前記取付用棒材を通す挿通孔とを有していることを特徴としている。
以上の壁部材は、「NS−BOX」と称されているものを想定しているが、H形のフランジ端部に沿って設けらた雄又は雌形の継手を有していれば「NS−BOX」と類似するものでもよい。また、継手は、図1(b)に示されるごとくフランジの両側の継手が同一形状(雌形継手又は雄形継手)のタイプに限られず、異形状(一方が雌形継手、他方が雄形継手)のタイプでも差し支えない。前者の構成では、雄形継手を有した壁部材と、雌形継手を有した壁部材とが交互に建込まれる。後者の構成では、例えば、先行壁部材の雄形継手に対し後続の壁部材が雌形継手を嵌合しながら建込まれる。なお、「ボルト等の取付用棒材」は、市販のボルト以外にも、例えば鋼製取付用ないしは連結用シャフト又はピン部材等を部材間(両フランジの取付孔及び差込部の挿通孔)に串差し状に配置し、かつ抜け止め処理する構成を含む意味で使用している。
請求項2の発明は、請求項1において、前記接続金具は2個が組として用いられ、前記一方端部を構成している前記H形鋼の両フランジ及びウエブで区画される各凹部にそれぞれ配置されると共に、前記各凹部に対して溶接により固定するか、前記ウエブに設けられて前記凹部同士を貫通している挿通孔を利用して各接続金具を共通のボルトを介して固定するかの何れかであることを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記接続金具のうち、前記差込部を前記凹部内に収まり、かつ前記凹部の両フランジ間にほぼ隙間なく配置される大きさに形成していることを特徴としている。
請求項4の発明は、壁部材を経時的に固化するソイルセメント等の固化体中に建込むとき、先行壁部材に対し後続の壁部材を互いの継手を介して連結する地中連続壁構築方法において、前記壁部材として請求項1から3の何れかに記載の壁部材を使用し、前記各壁部材を前記取付用棒材の頭部が地山側と反対の開削部側となるようにして、前記固化体中に互いの前記継手を介して連結しながら順に建込んで地中連続壁を造成する建込み工程と、前記地中連続壁の開削部側を前記固化した固化体の一部と共に開削してその開削部に地下構造物を築造する構造物築造工程と、前記地下構造物上の開削部を埋め戻す過程で前記取付用棒材を外し、かつ埋め戻しを完了した後、前記各壁部材を構成している前記上段のH形鋼を引き抜く上部回収工程とを経ることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項4において、前記上部回収工程では、回動式ボーリングロッドを有した貫入ロッド手段を用いて、地表側から前記接続金具付近まで貫入して前記上段のH形鋼に付着している固化体を掻き落とし、又は/及び、前記上段のH形鋼の引き抜きに伴って形成される間隙に流動化土を注入充填することを特徴としている。この流動化土は、上部回収工程に伴う地盤陥没の虞を有効に防ぐため流動化処理土に各種の強度促進剤(例えば地盤隙間に充填した後、数時間で固化可能にする促進剤)を入れた構成も含む。これに対し、請求項6の発明は、請求項4又は5において、前記上部回収工程では、本体及び前記本体に出没するプランジャを有したジャッキ手段を用いて、前記本体を前記接続金具の上部に直接又は支持部材を介して保持し、かつ前記プランジャを前記吊り金具の上内壁側に当てた状態で突出して前記上段のH形鋼を上方へ動かすことを特徴としている。
請求項7の発明は、地中連続壁として、請求項4から6の何れかにより構築されて、隣接配置された壁部材同士が前記継手を介し連結されていると共に、前記下段のH形鋼上端から突設した前記接続金具を有していることを特徴としている。
請求項1の発明では、地中連続壁用壁部材として、上下段のH形鋼同士がボルトの抜き操作により分離可能となる点で特許文献3や4と同じ。加えて、本発明の壁部材は、特許文献3や4に比べ、接続金具がH形鋼の両フランジ及びウエブで区画している凹部に配置されるため小型で凹部に対し位置出しし易く取扱性に優れている。加えて、本発明の壁部材は、特許文献3のごとく外枠部材や連結部材を破断する構造に比べ、隣接配置されるもの同士が互いの継手を介し連結する構造に好適であり安全性に優れ、特許文献4のごとくH形鋼同士の各フランジの上下両外側面に亘って接合板を配置する構造に比べ、接続金具の差込部を相手側凹部に差し込むため連結操作性及び引き抜き性に優れ、上下段のH形鋼同士がボルトを抜き去った状態でも差込部と凹部との嵌合力に比例した一体物としての剛性を保つ点でも優れている。
請求項2の発明では、図1から推察されるごとく、2個の接続金具が下段又は上段のH形鋼を形成している各凹部に固定された状態で、相手側のH形鋼に対し、各接続金具の差込部をH形鋼の各凹部に嵌合するときの位置出しと、各接続金具の差込部同士の間の隙間にH形鋼のウエブを嵌合するときの位置出しとの相乗作用により、H形鋼のフランジ側取付孔と接続金具の差込部側挿通孔とが確実かつ高精度に位置出しされる。加えて、各接続金具を対応する凹部にそれぞれ溶接により固定する構造、又は、各接続金具を対応する凹部に共通のボルトを介して固定する構造では、従来のボルトを介した固定構造に比べて、H形鋼のうちフランジ外面、特に掘削側のフランジ外面にボルト頭部等に起因した突起物をなくすことができる。この点は、例えば、後工程で地下構造物を構築する仕様だと、該地下構造物の側壁を前記掘削側のフランジ外面に結合一体化するような場合に好適となる。
請求項3の発明では、図2から推察されるごとく、上下段のH形鋼同士が一方端部の凹部に接続金具の対応部を固定した状態で、他方端部の凹部にほぼ隙間なく差し込まれた差込部の存在により、差込部と他方端部とを固定している取付用棒材を抜き去った状態でも接続金具の差込部と凹部との嵌合力に比例した一体物としての剛性を確実に維持できる。
請求項4の発明では、各壁部材を固化体中に建込むとき、先行壁部材に対し後続の壁部材を互いの継手を介して連結する地中連続壁構築方法として、従来構成に比べ、壁部材として請求項1から4の何れかに記載の壁部材を使用する点、ボルトの頭部が開削部側となるようにして各壁部材を継手を介して連結しながら建込む点、地下構造物を築造した後、該地下構造物上の開削部を埋め戻す過程でボルトを外し、埋め戻しを完了した後に各壁部材の上段のH形鋼を引き抜く点が相違している。
そして、本発明の地中連続壁構築方法では、埋め戻しを完了つまり課題で述べた養生後、簡単な作業により各壁部材の上段のH形鋼を順次引き抜いて転用、或いは鋼材として回収できるので、省資源化及び障害物除去構成として優れている。また、下段のH形鋼(複数のH形鋼からなる構成を含む)及び上段のH形鋼の断面を同一とすることができるため、先願(特願2008−204907号等)のごとく建込み用の治具装置を用いることなく実施できる。
請求項5の発明では、上部回収工程において、貫入ロッド手段により地表側から接続金具付近まで貫入して上段のH形鋼に付着している固化体を掻き落とすことで該H形鋼を固化体から縁切りして引き抜きに要する動力を軽減できるようにする。また、貫入ロッド手段により上段のH形鋼の引き抜きに伴って形成される間隙に流動化土を注入充填して引き抜きに伴う不具合を簡単に解消できる。
請求項6の発明では、上部回収工程において、ジャッキ手段により上段のH形鋼を引き抜く際、引き抜き初期における縁切りを簡単かつ確実に行うことができる。なお、この発明において、好ましくは図8のごとく接続金具を下段のH形鋼の凹部に固定し、差込部の上端側をジャッキ手段の加重受け部として利用することである。
請求項7の発明では、壁部材同士が互いの継手を介して連結された従来の地中連続壁に比べ、請求項4から6の構築方法により省資源化と障害物となる虞のない理想的な地中連続壁を実現でき、この種の地中連続壁としての用途拡大を期待できる。
(a)は本発明形態の壁部材を分解した分解斜視図、(b)は前記壁部材同士を互いの継手を介し連結した状態を仮定した(a)のA−A線に対応した平断面図である。 (a)は上記壁部材を拡大した斜視図、(b)は(a)のA1−A1線に対応した側断面図、(c)は変形例を(b)のA2−A2線に対応した断面で示す構成図である。 (a),(b)は壁部材を建て込んだ造成完了状態と、開削工程とを示す断面説明図である。 (a),(b)は本設地下構造物の完成状態と、埋め戻し工程を示す断面説明図である。 築造された地下構造物及び本発明の地中連続壁の完成状態を示す断面説明図である。 上部回収工程で行われるはつり作業を示す一部拡大部分を含む模式図である。 (a),(b)は引き抜き時の装置セット及び縁切り状態を示す模式図である。 上記装置を用いた引き抜きと間隙ないしは空洞充填作業を示す模式図である。 従来例を説明するため図であり、(a)は地中連続壁間に地下構造物を築造した状態を示し、(b)は(a)のD−D線断面図である。
以下、本発明の最適な形態として、図1及び図2に示した地中連続壁用壁部材、図2〜図8に示した地中連続壁構築方法、地中連続壁及びその架設兼用本体壁としての利用例の順で説明する。
(地中連続壁用壁部材)図1(a),(b)は請求項1と2に対応した壁部材及び該壁部材同士の連結構造を示している。図1(a)において、この壁部材1は、下から上に向かって、根入れ部としての最下段のH形鋼2と、H形鋼2の上端に接合一体化されている下段のH形鋼3と、該H形鋼3の上端に接続金具6及びボルトB並びに取付板7を介して分離可能に連結される上段のH形鋼4とで構成されている。なお、ボルトBは、本発明の取付用棒材の一例として、H形鋼のフランジ同士の間隔に応じた頭部付きのロングボルトであり、複数本が使用される。
ここで、下段のH形鋼3と上段のH形鋼4は、「NS−BOX」と同様な断面形状からなる。H形鋼3とH形鋼4は、同形状のH形ウエブ3bとウエブ4b、同形状のH形各フランジ3a,3aと各フランジフランジ4a,4とが上下端部で突き合わせられる。そして、H形鋼3とH形鋼4は、その上下端部に亘って配置される接続金具6、及びH形鋼の一方フランジ4a(この形態では上段のH形鋼4のフランジ4a)に設けられた取付孔10から他方フランジ4aに設けられた取付孔10に向けて操作されるボルトBを介して連結されると共に、各H形鋼3,4のフランジ3a,4aの各端部に沿って設けられた雌形継手5又は雄形継手5’を有し、図1(b)のごとく隣接配置されるH形鋼同士が互いの継手5、5’を介し連結される。下段のH形鋼3は、作図上、1本であるが、実際は同形状の数本のH形鋼を接合一体化されることが多い。上段のH形鋼4は、両側フランジ4aの上部に設けられた複数の吊り下げ用取付孔12を有している。この取付孔12は、後述するように吊上げ用治具に連結するための孔である。なお、この取付孔12は、前記ボルトB用の取付孔10と同一数、同位置とすることによって、上段のH形鋼4が天地逆であっても下段側と連結可能となり、作業性を改善できる。
これに対し、最下段のH形鋼2は、断面がH形鋼3や4より小さく、例えば地下深部の不透水層、すなわち地盤内における止水性が不要な箇所に建て込まれる。すなわち、このH形鋼2は、長手方向と交差する断面が下段のH形鋼3の断面と比較して、H形鋼3のウエブ3bに接合するウエブ2bと、H形フランジ3a,3aの一部に接合する短いフランジ2a,2aを有した形状である。勿論、最下段のH形鋼2は省略してもよい。
接続金具6は、上下段のH形鋼3,4の上下端部に亘って配置される長さ寸法で、かつH形鋼3(又は4)の両フランジ3a,3a(4a,4a)及びウエブ3b(4b)で区画されている対の凹部3c,3c(4c,4c)に配置可能で、かつ、上下段のH形鋼同士の拘束性を良好に保つため各凹部を区画している対向フランジの間の寸法、つまれウエブ3bや4bとほぼ同じ幅寸法を持った大きさの鋼材となっている。また、接続金具6は、上下段のH形鋼3,4の上下端部のうち、一方端部の凹部3c又は4cに固定された状態で他方端部の凹部4c又は3cに配置される突出部分である差込部6aと、その差込部6aに設けられて他方端部の前記凹部を区画している両フランジの前記取付孔10に一致する挿通孔8とを有している。
詳述すると、接続金具6は、図1のごとく断面が略コ形の鋼材に限られず、例えば、弁当箱のごとく各面が閉じた箱型、蓋を明けた弁当箱のごとく一部の面が開口した箱型、厚板タイプの鋼材でもよい。また、接続金具6は、差込部6aとそれ以外の固定部は同形でも異形でもよいが、少なくとも差込部6aについては凹部4cや凹部3cの内側に収まると共に、当該各凹部の両フランジ間にほぼ隙間なく配置される大きさに設定されることが好ましい。これに対し、挿通孔8は、差込部6aがコ形断面や箱型であれば両内側にそれぞれ設けられるが、厚板タイプであれば幅方向の横孔として設けられる。また、接続金具6は、図2(b)に例示されるごとく下段のH形鋼3の上端部の凹部3c、又は、上段のH形鋼4の下端部の凹部4cに溶接で固定される。この溶接以外の固定構造としては、図2(c)の変形例に例示されるごとく下段のH形鋼3の上端部のウエブ3b(凹部3cと凹部3cとの間にある中間壁)、又は、上段のH形鋼4の下端部のウエブ4b(凹部4cと凹部4cとの間にある中間壁)に対し凹部同士を貫通した複数の挿通孔と、各凹部3c又は各凹部4cに配置される各接続金具6の対応部にも貫通した複数の挿通孔とを形成しておき、それら各挿通孔に挿通される共通のボルトB及びナットNを介して固定する構成でもよい。これらの構造では、従来のボルトを用いた固定構造に比べ、特にH形鋼を構成している掘削側のフランジ外面にボルト頭部等に起因した突起物をなくすことができる。
接続金具6の差込部6aは、両端が差込部6aの両内側壁に接合固定されて各挿通孔8を筒部により連通している保護材9を有している。この保護材9は、ボルトBの軸部を筒内に挿通することで地盤側から受ける荷重を分散すると共に、ボルトBへの付着物を減らしてボルトの抜き操作性を良好に維持できるようにする。保護材9は、差込部6aが厚板状であれば省略される。その場合は取付孔10と一致する横孔形状の挿通孔8として設けられる。
取付孔10は、ボルトBを挿通可能な孔であり、ボルトBに応じた数だけ設けられる。この形態では、取付孔10は単純な孔であるが、ボルトBに応じた雌ねじの構成でもよい。ボルトBは、その雌ねじに螺合締め付ける構成、専用のナットNに螺合締め付ける構成、前記雌ねじ及びナットNに締め付ける構成の何れでもよい。ナットNは、前記した他方フランジに対し取付孔10と同軸線上に溶着等で固定される構成、この形態のごとく取付板7に装着した状態で前記した他方フランジに対し溶接固定される構成の何れでもよい。すなわち、取付板7は、ナットNと同軸の孔又は雌ねじを有し、例えば、図1及び図2のごとく接続金具6が下段のH形鋼3に固定される構成だと、H形鋼3のフランジ3aの上端側外面に固定される。これに対し、取付板7は、接続金具6が上段のH形鋼4に固定される構成だと、H形鋼4のフランジ4aの下端側外面に固定される。また、以上のナットNとしては、図示を省いたが、ボルトとの螺合部への付着物を減らしてボルトの抜き操作性を良好に維持するため袋ナットが好ましい。
(地中連続壁構築方法)図3〜図8は請求項4に対応した地中連続壁構築方法のうち、建込み工程で造成された地中連続壁50と、構造物築造工程と上部回収工程との詳細を示している。すなわち、この地中連続壁構築方法は、壁部材1を経時的に固化するソイルセメント等の固化体中に建込むときに、先行壁部材1に対し後続の壁部材1を互いの継手5、5’を介し連結する構成を対象としている。要部は、上記した壁部材1を使用することを前提とし、各壁部材1を固化前の固化体中に互いの継手5、5’を介して連結しながら順に建込んで地中連続壁50を造成する建込み工程と、地中連続壁50の開削部側を前記固化した固化体51の一部と共に開削してその開削部に地下構造物60を築造する構造物築造工程と、地下構造物60上の開削部を埋め戻す過程でボルトBを外し、かつ埋め戻しを完了した後、各壁部材1を構成している上段のH形鋼4を引き抜く上部回収工程とを経る。
建込み工程では、先行壁部材1に対し後続の壁部材1を互いの継手5、5’を介して連結しながら建込む操作において、各壁部材1がボルトBの頭部を地山側と反対の開削部側となるように配置される点で従来と異なっている。すなわち、建込みに際しては、まず、カッター装置により所定幅及び深さの溝を掘削される。この作業では、例えば、地中に掘削液を注入して地盤を軟化させつつ、カッター装置を掘削出発位置から壁構築予定部に沿って移動させながら、地盤を掘削し、設計深さ及び施工長さに到達したならセメントミルクを供給して、前記溝内を固化体51となるソイルセメントにより満たす。建込み時には、予め貫入される基準鋼に対し最初の壁部材1が建込み操作される。以後は、建込みを完了した先行壁部材1の継手5(5’)に対し、後続の壁部材1が吊られかつ上下動されつつ互いの継手5、5’を嵌合しながら建込まれる。この建込み操作において、各壁部材1が雄形継手を有したものと、雌形継手を有したものとを交互に連結しながら建込まれる。これらは従来と同様である。
図3(a)は以上の建込み工程で造成された地中連続壁50を模式的に示している。この例では、地中連続壁50が地下構造物に応じた幅を保って2列設けられている。各地中連続壁50は、各壁部材1を構成している上段のH形鋼4が地上面GLより少し突出している。これは、後述するごとく上部回収工程でH形鋼4を引き抜き易くするためである。また、各壁部材1は、図3(a)の拡大図に示されるごとく前記した上端を除き、接続金具6と共に固化した固化体51に埋設されている。なお、以上の構成の壁部材1は、建込みにあたり、施工深度により一本当たりの全寸が長く、建設用地内の敷地面積に制約があり、施工用重機への負荷が大きい場合には、予め上段のH形鋼4を分離しておき、下段側(H形鋼3、H形鋼2等)の建込み時にその上段H形鋼4を掘削溝上に仮置きし、この状態でH形鋼4を下段のH形鋼3に対しボルト操作により接合一体化して更に建込み作業を続けるようにすれば、敷地制約や重機負担を軽減できるものとなる。
構造物築造工程では、地中連続壁50と地中連続壁50との間を固化体51の一部と共に開削してその開削部に地下構造物60を従来と同様な手順で築造する。すなわち、この作業では、図3(b)のごとく地中連続壁50同士の間の地盤が地表から所定深度まで開削される。この場合、開削設計は、計画に応じて各壁部材1の下段のH形鋼3(この下段は複数のH形鋼からなる構成を含む)の下端部よりやや上部とし、この部分を地下構造物60の支持地盤面とする。また、地中連続壁50同士の対向面のうち、壁部材1を構成しているH形鋼3,4の内側フランジはソイルセメント等の固化体51が付着しているが、それらの付着物は除去される。
なお、開削作業では、開削深度が深くなるにしたがって、必要に応じて腹起し、切梁などからなる仮設支保工52を地中連続壁50間の上側に張架される。ところで、この開削による土圧Pの分布は、各壁部1の高さ方向中間位置近傍で最大となるが、上記地中連続壁50の壁構造において、壁部材1を構成している下段のH形鋼3(この下段は複数のH形鋼からなる構成を含む)の剛性及びその外側の固化体51により土圧Pに充分抗することができる。また、地盤E内に地下水があったとしても、事前調査等によって下段のH形鋼3の位置を地下水位より高い位置に設定すれば、内外2重の継手構造及びその外側の固化体51により止水性も満足できる。
開削作業の終了後は、図4(a)のごとく、地中連続壁50の構築方向に沿って支持地盤上に地下構造物60の底版61、側壁62、隔壁63及び天版64を適宜な型枠工法により築造する。その際は、底版61の両側、両側壁62並びに天版64の両側と本体2間を鉄筋などを介して接合した状態で必要に応じてコンクリートを打設する。これにより、地下構造物60は、両側壁62が各壁部材を構成している下段のH形鋼3と結合一体化し、側壁62が薄壁であっても、地中連続壁50及び壁部材外側の固化体51により十分な剛性と止水性に優れた構造物となる。
上部回収工程では、地下構造物60の築造完了後、仮設支保工52を盛替えつつ、天版64の上面を埋め戻し用土砂65で埋め戻す。この埋め戻し過程では、壁部材1に使用されているボルトBを外す。この場合は図4(b)の拡大図に示されるごとく、接続金具6を取り外すと、下段のH形鋼3(この下段は複数のH形鋼からなる構成を含む)と上段のH形鋼4とは切り離されるが、H形鋼4は支保工52の支持力、上下段のH形鋼同士3,4が接続金具の差込部6aと凹部4c又は3cとの嵌合力に比例した一体物としての保持力、埋め戻し用土砂65の土圧により周囲の地盤Eの土圧に抗して自立性を保つ。そして、地下構造物60は、地表部GLまで埋め戻しと敷き均しを繰り返すことによって、図4(b)に示すように完全に埋設されることになる。
その後は、少なくとも数ヶ月から1年間程度を目安として埋め戻し用土砂65を養生させ、圧密化を図る。そして、内部地盤の圧密化を確認した後は図5〜図8に示すように、各壁部材1を構成している上段のH形鋼4を回収用治具装置80を用いて引き抜き作業が行われる。作業に際しては、まず、貫入ロッド手段71を用いて、地表側から接続金具6付近まで貫入しながら上段のH形鋼4に付着している固化体51などを掻き落とす(以下、これを、はつり作業と言う)。次に、ジャッキ手段84を用いて、上段のH形鋼4を強制的に上方へ動かして縁切りし引き抜き易くする。その状態から、回収用治具装置80によりH形鋼4を引き抜くと同時に、貫入ロッド手段71によりH形鋼4の引き抜きに伴って形成される間隙に流動化土を注入充填する。流動化土は、施工地盤に近い泥土であるが、ソイルセメント等の地盤改良土であってもよい。細部は以下の通りである。
貫入ロッド手段71は、図6に示されるごとく先端を傾斜部に形成した回動式ボーリングロッド72と、ボーリングロッド72の上部に設けられて給水部として水道水及び流動化処理土製造プラント74とにホース等を介してそれぞれ接続されるスイベル73と、図6[イ]に示すごとく先端側に設けられている水用吐出部72a及び流動化土用吐出部(メクラ蓋付きの吐出部)72bと、ボーリングロッド72内に設けられてスイベル73の各導入部と各吐出部72a,72bを連通している二重管状の供給通路とを有した構成である。
以上の貫入ロッド手段71は作業用重機70に保持された状態で使用される。作業用重機70は、バックホウ等の常用されるものであり、駆動部がテレスコピック式アームに付け変えられ、該アームに対し貫入ロッド手段71を構成しているボーリングロッド72が回転可能に装着保持される。そして、はつり作業時にはポンプPを停止した状態で行う。要領は、例えば、重機70側アームを延ばしつつボーリングロッド72を回転しながら貫入し、かつ水道水を吐出部72aより噴出することによりはつり作業がなされる。この作業箇所としては、図6[ロ]に示すごとく地山側フランジ4aの外側部、ウエブ4bの両側つまり凹部4cである。この作業をそれぞれ所定深度(接続金具6の付近)まで行うと、H形鋼4の引き抜きが可能となる。
その後は、水道を止め、ボーリングロッド72を一旦地表部に引き上げて上記したメクラ蓋を取り去った後、再びはつり取った空洞内部に差し込む。充填作業時には、流動化処理土製造プラント74のポンプPを駆動すると、流動化土がスイベル73及び中心側供給通路を通って吐出部72bから吐出される。この充填作業に際しては、図7に示されるジャッキ手段84によりH形鋼3(及び接続金具6)に対してH形鋼4の縁切りがなされた後、回収用治具装置80によりH形鋼4の引き抜き作業が行われる。
図7(a)は治具装置80のセット状態を示している。治具装置80の基本は、従来と同様に、上段のH形鋼4の上端に連結される吊り金具81、吊り上げ用ワイヤWなどで構成される。但し、この吊り金具81には、H形鋼4の上端(上記した上端の取付孔12を利用して)に連結され、かつ、上壁をプランジャ85bの突き当て部である受圧部82に形成している概略逆U形の連結部83を有している。符号B,Nは吊り金具81をH形鋼4の上端に設けられた取付孔12に連結しているボルトとナットである。このボルトBは接続金具6で使用されるボルトと異なり、通常の短軸タイプである。また、ジャッキ手段84は、本体85a及び本体85aに出没するプランジャ85bを有し、本体85aが接続金具6の上部に受け止められている支持ロッド86の上側に保持され、プランジャ85bを吊り金具81の上側内面に当接した状態で作動される構成である。
そして、作業要領は図7(a)のセット状態から、ジャッキ手段84を駆動してプランジャ85bを突出させる。すると、H形鋼4は、図7(b)に示されるごとく支持ロッド86を介して接続金具6側に荷重を受け止めた状態でプランジャ85bの突出量に応じて受圧部82を押し上げると共に、治具装置80の上昇を伴って、固化体51及びH形鋼4並びに接続金具6から縁切りされる。その後は、図8に示されるごとくワイヤWを玉掛けした吊り金具81を重機(図示せず)で吊り上げると、H形鋼4が治具装置80と共に上昇されて回収される。また、この時点で上記した充填作業が行われ、ボーリングロッド72の吐出部72bより流動化土87が吐出されて引き抜き後の間隙や空洞に充填される。その際にはジャッキ手段84及び支持ロッド86が引き抜かれる。また、充填作業は、H形鋼4の引き抜き速度と連動して行うことにより、地盤沈下を生じたり、流動化土87の地表面からの溢出を防止できる。
以後は、同一作業を繰り替えすことにより、各H形鋼4が順次引き抜かれる。回収されたH形鋼4は他の工事に転用するか、或いは鋼材として有効利用される。特に地下構造物が、トンネルや共同溝等のような構造物である場合には回収される鋼材量は膨大となり、省資源化を達成できるものとなる。
以上のように本発明は請求項で特定される構成を実質的に備えておればよく、細部は形態の説明を参考にして変更可能なものである。一例としては、施工設計において、上段のH形鋼が通常よりも短くなる仕様もある。そのような仕様では、本発明に係る接続金具の差込部と、上下段のH形鋼のうち、該差込部が配置される他方端部の凹部との間の連結力はあまり強くなくてもよいこともある。このため、本発明の「ボルト等の取付用棒材」としては、丸鋼、角鋼などの連結ないしは取付用棒材、つまりボルトと類似するものを用い、差込部が他方端部の凹部に配置された状態で、該凹部を区画している一方フランジ側の取付孔、差込部の挿通孔、他方フランジ側の取付孔に挿入又は圧入する構成も含む。その場合、その棒材の頭部を必要に応じて掘削側から仮溶接しておくとよい。
1…壁部材
2…最下段のH形鋼
3…下段のH形鋼(3aはフランジ、3bはウエブ、3cは凹部)
4…上段のH形鋼(4aはフランジ、4bはウエブ、4cは凹部)
5…継手(雄形継手)
5’…継手(雌形継手)
6…接続金具(6aは差込部、8はボルト挿通孔、9は保護材)
8…挿通孔
10…取付孔
12…取付孔
21…反力板
22…油圧ジャッキ
50…地中連続壁
51…固化体
60…地下構造物(62は側版、64は天版)
70…作業用重機
71…貫入ロッド手段(72はボーリングロッド、73はスイベル)
74…流動化土製造プラント
80…治具装置(81は吊り金具、82は受圧部、Wはワイヤ)
84…ジャッキ手段(85aは本体、85bはプランジャ)
89…流動化土
B…ボルト
P…ポンプ
N…ナット

Claims (7)

  1. 下段のH形鋼と上段のH形鋼との突き合わせられる上下端部に亘って配置される接続金具、及びH形鋼の一方フランジに設けられた取付孔から他方フランジに設けられた取付孔に向けて操作されるボルト等の取付用棒材を介して連結されると共に、前記各H形鋼のフランジ端部に沿って設けられた雄又は雌形の継手を有し、隣接配置されるH形鋼同士が前記継手を介し連結される地中連続壁用壁部材であって、
    前記接続金具は、前記H形鋼の両フランジ及びウエブで区画している凹部に配置される大きさの鋼材からなり、前記上下端部のうち、一方端部の前記凹部に固定された状態で他方端部の前記凹部に配置される差込部と、前記差込部に設けられて他方端部の前記凹部を区画している両フランジの前記取付孔に一致して前記取付用棒材を通す挿通孔とを有していることを特徴とする地中連続壁用壁部材。
  2. 前記接続金具は、2個が組として用いられ、前記一方端部を構成している前記H形鋼の両フランジ及びウエブで区画される各凹部にそれぞれ配置されると共に、前記各凹部に対して溶接により固定するか、前記ウエブに設けられて前記凹部同士を貫通している挿通孔を利用して各接続金具を共通のボルトを介して固定するかの何れかであることを特徴とする請求項1に記載の地中連続壁用壁部材。
  3. 前記接続金具のうち、前記差込部を前記凹部内に収まり、かつ前記凹部の両フランジ間にほぼ隙間なく配置される大きさに形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の地中連続壁用壁部材。
  4. 壁部材を経時的に固化するソイルセメント等の固化体中に建込むとき、先行壁部材に対し後続の壁部材を互いの継手を介して連結する地中連続壁構築方法において、
    前記壁部材として請求項1から3の何れかに記載の壁部材を使用し、
    前記各壁部材を前記取付用棒材の頭部が地山側と反対の開削部側となるようにして、前記固化体中に互いの前記継手を介して連結しながら順に建込んで地中連続壁を造成する建込み工程と、
    前記地中連続壁の開削部側を前記固化した固化体の一部と共に開削してその開削部に地下構造物を築造する構造物築造工程と、
    前記地下構造物上の開削部を埋め戻す過程で前記取付用棒材を外し、かつ埋め戻しを完了した後、前記各壁部材を構成している前記上段のH形鋼を引き抜く上部回収工程
    とを経ることを特徴とする地中連続壁構築方法。
  5. 前記上部回収工程では、回動式ボーリングロッドを有した貫入ロッド手段を用いて、地表側から前記接続金具付近まで貫入して前記上段のH形鋼に付着している固化体を掻き落とし、又は/及び、前記上段のH形鋼の引き抜きに伴って形成される間隙に流動化土を注入充填することを特徴とする請求項4に記載の地中連続壁構築方法。
  6. 前記上部回収工程では、本体及び前記本体に出没するプランジャを有したジャッキ手段を用いて、前記本体を前記接続金具の上部に直接又は支持部材を介して保持し、かつ前記プランジャを前記吊り金具の上内壁側に当てた状態で突出して前記上段のH形鋼を上方へ動かすことを特徴とする請求項4又は5に記載の地中連続壁構築方法。
  7. 請求項4から6の何れかにより構築されて、隣接配置された壁部材同士が前記継手を介し連結されていると共に、前記下段のH形鋼上端から突設した前記接続金具を有していることを特徴とする地中連続壁。
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