JP6762800B2 - 既設杭基礎の補強工法及び補強構造 - Google Patents
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本発明は、既設杭基礎の補強工法及び補強構造に関し、詳しくは、橋脚などの橋梁の下部構造体を支持する既設杭基礎の補強工法及び補強構造に関する。
従来、このような橋梁の下部構造体を支持する既設杭基礎の補強工法及び補強構造としては、既設杭の脇に増し杭をして既設のフーチングを拡幅する工法や、橋脚の基礎フーチングが洗掘されて露出した場合に既設フーチングの周囲の地盤に地中壁を構築し、その内部の地盤に固化材を混ぜて地盤改良する工法など、が知られている。
例えば、特許文献1には、既設パイルベント橋脚に対し、河積阻害率を大きく増加させることなく、支持力及び地震時水平耐力の向上を図ることを目的として、河床に設置されたパイルベント橋脚12の上流側近傍及び下流側近傍に、小口径鋼管杭14を少なくとも一対設置することで、仮締め切りを不要とし、施工中及び施工後のいずれにおいても、小口径鋼管杭14を設置することに起因する河積阻害率の増大を、可能な限り小さく抑えた既設パイルベント橋脚の補強工法が開示されている(特許文献1の請求項1、明細書の段落[0006]〜[0023]、図面の図1、図6等参照)。
また、特許文献2には、航路の障害とならずに、十分な支持強度を保証することを目的として、既設フーチングの周囲の地盤8が水流の影響により洗掘を受けた水上構造物の修復補強構造において、洗掘を受けた地盤8の内部に、既設フーチングの下方に位置させ且つ既設杭12に支持を取って新設フーチング21を構築し、新設フーチングと既設橋脚の下端との間に新設橋脚22を構築し、新設フーチング及び新設橋脚を構築する際にそれらに含まれる部分以外の既設杭の上端と既設フーチングの張り出し部とを撤去すると共に、既設橋脚の断面を橋脚長さの増大に応じて補強(補強部分23)した水上構造物の修復補強構造及び施工方法が開示されている(特許文献2の請求項1、明細書の段落[0017]〜[0030]、図面の図1〜図8等参照)。
しかし、特許文献1に記載された既設パイルベント橋脚の補強工法や、特許文献2に記載された水上構造物の修復補強構造及び施工方法は、これらの工事を行う際には、大規模な土留め工事や仮締切り工事を行う必要があった。そのため、大きな重機を使用することのできない橋梁下の狭隘な桁下空間では、土留め工事や仮締切り工事は、施工性が悪く、工期が長くなり、結果的に工費が嵩むという問題があった。
また、河川内や海中の基礎では、ドライな作業空間を確保するために仮締切り工事を行う必要があるが、必要な仮締切りの根入れ深さを確保できない場合は、地盤改良をしなければならないという問題もあった。その上、仮締切り工事を行う場合の止水処理も問題となっていた。
それに加え、硬質な地盤では、増し杭の施工性が悪いだけでなく、土留め工事や仮締切り工事の施工性も悪く、工期が長くなり、結果的に工費が嵩むという問題があった。
また、特許文献3には、既存の杭を健全性にかかわらずに再利用することを目的として、中空部を有し、地中に埋設された杭と、前記杭の前記中空部に挿入された補強材と、前記補強材を挿入した前記中空部に充填されたセメント組成物と、前記杭の杭頭部を埋設して形成された基礎と、を備え、前記補強材は、前記中空部に配置されて前記杭を補強する補強部と、前記杭頭部から突出して前記基礎に定着される定着部と、を有する杭基礎構造及びその構築方法が開示されている(特許文献3の請求項1、明細書の段落[0016]〜[0030]、図面の図1、図2等参照)。
しかし、特許文献3に記載の杭基礎構造及び構築方法は、既存の建築物を解体撤去する際に、既存の杭を再利用する発明であり、中空部を有した杭、即ちPC杭やPHC杭などの中空のプレキャストコンクリート杭等にしか適用できないという問題があった。このため、橋梁の下部構造体を支持する既設杭基礎の補強工法には、適用することができなった。
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、既設の基礎フーチングを拡幅することなく補強することができ、土留め工事や仮締切り工事の範囲を極力小さくすることができるとともに、大型の重機も不要である既設杭基礎の補強工法及び補強構造を提供することにある。
第1発明に係る既設杭基礎の補強工法は、橋脚などの橋梁の下部構造体を支持する既設杭基礎の補強工法であって、前記杭基礎のフーチングの上面から既設杭の杭頭が露出するまで削孔するフーチング削孔工程と、杭頭が露出した前記既設杭の上部を削孔する杭上部削孔工程と、前記既設杭を補強する補強材を前工程で削孔した孔に挿置する補強材挿置工程と、前記孔にコンクリートを打設して前記補強材ごと前記フーチングの上面まで埋め戻すコンクリート打設工程と、を備えることを特徴とする。
第2発明に係る既設杭基礎の補強工法は、第1発明において、前記フーチングの上面鉄筋を切断するフーチング鉄筋切断工程を有することを特徴とする。
第3発明に係る既設杭基礎の補強工法は、第1発明又は第2発明において、前記コンクリート打設工程で打設するコンクリートの底面型枠を設置する型枠設置工程を有することを特徴とする。
第4発明に係る既設杭基礎の補強構造は、橋脚などの橋梁の下部構造体を支持する既設杭基礎の補強構造であって、前記杭基礎のフーチング及び既設杭に削孔された孔に前記既設杭を補強する補強材が挿置されて補強され、前記孔にコンクリートを打設して前記補強材ごと前記フーチングの上面まで埋め戻されていることを特徴とする。
第5発明に係る既設杭基礎の補強構造は、第4発明において、前記既設杭は、鋼管杭又は鉄筋コンクリート杭であることを特徴とする。
第1発明〜第3発明によれば、杭基礎のフーチングの上面から削孔して削孔した孔に補強材を挿置するので、既設の基礎フーチングを拡幅することなく補強することができる。このため、土留め工事や仮締切り工事の範囲を極力小さくすることができる。また、大型の重機も不要であり、杭頭制限のある橋梁下の狭隘な桁下空間でも容易に既設杭基礎の補強を行うことができる。
特に、第2発明によれば、フーチング鉄筋切断工程を有するので、その後のフーチング削孔工程や杭上部削孔工程でコンクリートを斫って削孔することが容易となり、工期を短縮して工費を削減することができる。
特に、第3発明によれば、コンクリートの底面型枠を設置する型枠設置工程を有するので、既設杭が鋼管杭などの中空杭であり、杭の上部にしかコンクリートが打設されていない場合であっても、本発明を適用することができ、土壌とコンクリートが混ざってしまい新たに打設するコンクリートに強度的な弱点部ができてしまうおそれを低減することができる。
第4発明及び第5発明によれば、既設杭基礎のフーチング及び既設杭に削孔された孔に補強材が挿置されて補強されているので、既設の基礎フーチングを拡幅することなく補強することができる。このため、土留め工事や仮締切り工事の範囲を極力小さくすることができる。また、大型の重機も不要であり、杭頭制限のある橋梁下の狭隘な桁下空間でも容易に既設杭基礎の補強を行うことができる。
以下、本発明に係る既設杭基礎の補強工法を実施するための一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、図1及び図2を用いて、本発明の実施形態に係る既設杭基礎の補強構造について説明する。本実施形態に係る既設杭基礎の補強構造1は、既存の橋梁の橋桁G1を支持する橋脚P1の杭基礎を耐震補強のために、橋軸方向の前列、後列に位置する6本の杭の杭頭周辺を補強する場合を例示して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る既設杭基礎の補強構造を示す断面図であり、図2は、図1の既設杭基礎の補強構造の橋脚下を示す平面図であり、一部補強する既設杭の補強部分のみを拡大して示している。
図1、図2に示すように、本実施形態に係る既設杭基礎の補強構造1は、既設杭2と、この既設杭2と一体化した既設杭基礎のフーチング3と、これらのフーチング3及び既設杭2に削孔された孔h1,h2に挿置された補強材4など、から構成されている。
なお、図1、図2に示すように、橋脚P1の杭基礎は、河川の水面下にある水中構造物であり、作業空間としてドライエリアを構築するため、仮締切り鋼板S1が設置され、その支保工として腹起しH1、切梁H2がキリンジャッキK1を介して組み立てられている。但し、図2では、見えにくくなるので腹起しH1、切梁H2は省略している。
既設杭2は、図2の拡大図に示すように既設の円形筒状の鋼管杭であり、複数の円形筒状の鋼管が溶接で接合されて一体化したものである。勿論、この既設杭2は、鋼管杭に限られず、遠心力成形のプレストレストコンクリート杭(PC杭)や遠心力成形の高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)、現場打ちの鉄筋コンクリート杭など、であっても本発明を適用することは可能である。
フーチング3は、基礎の一部で橋脚P1を支え、地盤又は杭基礎へ荷重を伝える機能を有した鉄筋コンクリート製のフーチングである。このフーチング3には、図1に示すように、曲げ応力に対抗するため、異形鋼棒が平面視で井桁に組み合わされた上面鉄筋31及び下面鉄筋32が上面及び下面の表面から所定のかぶり厚さを取ってそれぞれ配筋されている。
そして、既設杭2とフーチング3とは、既設杭2の中空部内の上部に打設された杭頭部コンクリート21(図4等参照)で接合されて一体化されている。
補強材4は、図2に示すように、既設杭2より径が小さい円形筒状の鋼管であり、複数の円形筒状の鋼管が溶接で接合されて一体化されたものである。勿論、この補強材4は、補強工事の現場において溶接されてもよいし、予め別の場所で溶接されていてもよい。また、補強材4の長さが短い場合などは、複数の鋼管から構成されたものではなく、シームレスパイプ等の1つの鋼管から構成されたものであってもよいことは云うまでもない。
なお、この補強材4は、フーチング3と既設杭2との接合部分(杭頭部コンクリート21)も補強するため、既設杭2より高い位置に上端が位置するように設置されている。
以上説明した本発明の実施形態に係る既設杭基礎の補強構造によれば、既設杭基礎のフーチング及び既設杭に削孔された孔h1,h2に補強材4が挿置されて補強されているので、既設のフーチング3を拡幅することなく補強することができる。このため、土留め工事や仮締切り工事の範囲を極力小さくすることができる。また、大型の重機も不要であり、杭頭制限のある橋梁下の狭隘な桁下空間でも容易に既設杭基礎の補強を行うことができる。
次に、図3〜図11を用いて、本発明の実施形態に係る既設杭基礎の補強工法について説明する。図3は、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法の各工程を示すフローチャートである。
(事前準備)
本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法では、先ず、事前準備として、設計図や杭の施工図等から補強する既設杭2の正確な位置を割り出して、測量等により既設杭基礎のフーチング3にマーキング等を施して位置出しを行う。
(1)フーチング上面斫り工程
次に、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法では、図3、図4に示すように、フーチング3の上面鉄筋31が露出するまでフーチング3の上面付近のコンクリートを斫り取って矩形状の孔h1を形成するフーチング上面斫り工程を行う。図4は、既設杭基礎の補強工法のフーチング上面斫り工程を示す工程説明図であり、(a)が平面図、(b)が鉛直断面図である。
具体的には、本工程では、コールピックハンマーなどの斫り機で、補強する既設杭2の直上となるフーチング3の上面付近の所定範囲のコンクリートを、上面鉄筋31の下端が浮き上がるまで斫り取って矩形状の孔h1を削孔する。なお、斫り取ったコンクリートの瓦礫は、搬出するか又は杭基礎の埋め戻しの際に利用する。勿論、孔h1は、矩形状に限らず、既設杭2より径の大きな円形の孔であっても構わない。但し、上面鉄筋の復旧を考えると継手作業が直線状となって容易となる矩形の孔の方が好ましい。
(2)フーチング鉄筋切断工程
次に、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法では、図3、図5に示すように、フーチング3の上面鉄筋31を切断するフーチング鉄筋切断工程を行う。図5は、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法のフーチング鉄筋切断工程を示す工程説明図であり、(a)が平面図、(b)が鉛直断面図である。
具体的には、本工程では、回転切断砥石(ディスクサンダー)等を用いて、後工程であるフーチング鉄筋復旧工程において継手に必要な所定距離を確保できるように、コンクリートを斫って形成した矩形状の孔h1から一定距離離れた位置において前工程で浮き上がった上面鉄筋31を切断する。勿論、回転切断砥石を用いず、ガス切断器を用いて溶断することも可能である。
このように、本工程を行うことにより、後述のフーチング削孔工程や杭上部削孔工程でコンクリートを斫って削孔することが容易となる。このため、実施形態に係る既設杭基礎の補強工法の作業時間を短縮して工費を削減することができる。
(3)フーチング削孔工程
次に、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法では、図3、図6に示すように、フーチング3の上面から既設杭2の杭頭20が露出するまで削孔するフーチング削孔工程を行う。図6は、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法のフーチング削孔工程を示す工程説明図であり、(a)が平面図、(b)が鉛直断面図である。
具体的には、本工程では、フーチング上面斫り工程と同様に、コールピックハンマーなどの斫り機を用いて、フーチング3のコンクリート部分を斫り取ってフーチング上面斫り工程で形成した矩形状の孔h1を掘り下げて削孔して行く。そして、既設杭2の杭頭20が露出するまで矩形状の孔h1を掘り進めれば本工程が終了する。
(4)杭上部削孔工程
次に、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法では、図3、図7に示すように、前工程で杭頭20が露出した既設杭2の上部を削孔する杭上部削孔工程を行う。図7は、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法の杭上部削孔工程を示す工程説明図であり、(a)が平面図、(b)が鉛直断面図である。
具体的には、本工程では、図7に示すように、コアカッターなどの削孔機を用いて、補強する既設杭2の杭芯周りの中央部分を削孔して円形状の孔h2を削孔する。勿論、既設の杭基礎の設計によるが、一般的には、鋼管杭(既設杭2)とフーチング3とを一体化するため、鋼管杭(既設杭2)の上部部分のみ杭頭部コンクリート21が打設されている。このため、本工程では、既設杭2の杭頭部コンクリート21を貫通するまで削孔する。なお、円形状の孔h2の径は、補強材4を挿置できるように補強材4の径に応じて決定される。
(5)型枠設置工程
次に、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法では、図3、図8に示すように、後工程で打設するコンクリートの底面型枠を設置する型枠設置工程を行う。図8は、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法の型枠設置工程を示す工程説明図であり、(a)が平面図、(b)が鉛直断面図である。
具体的には、本工程では、後工程で打設するコンクリートが流出してしまわないように、底面型枠5を前工程で形成した円形状の孔h2(杭頭部コンクリート21)の下方に設置する。底面型枠5の支持は、円形状の孔h2の周りの杭頭部コンクリート21に吊るし止めるか、又は、既設杭2内の空洞を土砂等で埋め戻することにより支える。
なお、本工程は、必須ではなく、フーチング3と一体化させる既設杭2の杭頭部コンクリート21の厚さが厚く、挿置する補強材4の下端まで達している場合は、行う必要がない。また、既設杭2が現場打ちの鉄筋コンクリート杭の場合も同様である。
但し、本工程を行うことにより、既設杭2が鋼管杭などの中空杭であり、杭の上部にしかコンクリートが打設されていない場合であっても、本発明を適用することができ、土壌とコンクリートが混ざってしまい新たに打設するコンクリートに強度的な弱点部ができてしまうおそれを低減することができるため好ましい。
(6)補強材挿置工程
次に、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法では、図3、図9に示すように、円形鋼管からなる補強材4を既設杭2内に形成された円形状の孔h2に挿置する補強材挿置工程を行う。図9は、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法の補強材挿置工程を示す工程説明図であり、(a)が平面図、(b)が鉛直断面図である。
具体的には、本工程では、複数の円形筒状の鋼管からなる補強材4を前述の円形状の孔h2内に吊り降ろす工程と、その鋼管の上に補強材4を構成する円形筒状の鋼管を積み重ねて溶接する工程を、順次繰り返して構造設計に応じた長さの補強材4を構築して設置する。
勿論、橋桁G1の桁下空間が広く、補強材4を分割して挿入する必要がない場合など、現場において溶接する必要がない場合は、単純に完成した補強材4を円形状の孔h2内に吊り降ろして挿置するだけでよいことは云うまでもない。
(7)フーチング鉄筋復旧工程
次に、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法では、図3、図10に示すように、前工程(フーチング鉄筋切断工程)で切断したフーチング3の上面鉄筋31を復旧するフーチング鉄筋復旧工程を行う。図10は、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法のフーチング鉄筋復旧工程を示す工程説明図であり、(a)が平面図、(b)が鉛直断面図である。
具体的には、本工程では、フーチング鉄筋切断工程で切断した上面鉄筋31を、矩形状の孔h1の側方から突出している上面鉄筋31の残置部分に溶接継手で接合して復旧する。勿論、溶接継手に限られず、重ね継手や機械式継手、圧接継手など、既知の種々の継手を用いて復旧しても良いことは云うまでもない。ここで、復旧とは、新たな異形鋼棒を用いて上面鉄筋31を再構成することを含むものである。
(8)コンクリート打設工程
最後に、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法では、図3、図11に示すように、円形状の孔h2及び矩形状の孔h1にコンクリートを打設して補強材4ごとフーチング3の上面まで埋め戻すコンクリート打設工程を行う。図11は、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法のコンクリート打設工程を示す工程説明図であり、(a)が平面図、(b)が鉛直断面図である。
具体的には、本工程では、設計基準強度に応じて配合されたコンクリートをポンプ車等で圧送し、空気等が抜けず空洞ができないようにバイブレータ等で振動を与えながら打設して、フーチング3の天端まで円形状の孔h2及び矩形状の孔h1を補強材4ごと埋めてフーチング3を復旧する。
その後、適切な養生期間をとってコンクリートが硬化することにより、本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法の全工程が終了する。
以上説明した本実施形態に係る既設杭基礎の補強工法によれば、杭基礎のフーチング3の上面から削孔して削孔した孔h1,h2に補強材4を挿置するので、既設のフーチング3を拡幅することなく補強することができる。このため、土留め工事や仮締切り工事の範囲を極力小さくすることができる。また、大型の重機も不要であり、杭頭制限のある橋梁下の狭隘な桁下空間でも容易に既設杭基礎の補強を行うことができる。
なお、本発明は、フーチングの上面から削孔するため、橋脚の真下にある杭の補強には適用することができない。しかし、杭基礎の耐震補強は、杭基礎の降伏に達しないことを照査するものである。また、杭基礎の降伏の定義は、(1)全ての杭において塑性化する。(2)一列の杭頭反力が押込支持力の上限値に達する。のいずれかである。したがって、橋脚の真下にある杭を補強しなくとも外周に位置する杭の杭上部について補強を行えば、杭基礎の耐震補強がOKとなる場合が殆どである。よって、本発明は、殆どの杭基礎の耐震補強に適用可能と云える。
以上、本実施形態に係る既設杭基礎の補強構造及び補強工法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
特に、本実施形態に係る既設杭基礎の補強構造の補強材として円形鋼管を例示して説明したが、本発明に係る補強材は、H形鋼やI形鋼などの形鋼や杭頭補強筋などの異形鋼棒などの鋼材であっても構わない。要するに、本発明に係る補強材は、耐震補強において所定の強度を補強することができ、コンクリートとの付着や熱膨張の相性がよい素材であれば用いることができる。
1 :既設杭基礎の補強構造
2 :既設杭(既設杭基礎)
20 :杭頭
h2 :円形状の孔(孔)
3 :フーチング(既設杭基礎)
31 :上面鉄筋
32 :下面鉄筋
h1 :矩形状の孔(孔)
4 :補強材
5 :底面型枠(型枠)
G1 :橋桁
P1 :橋脚(橋梁の下部構造)
H1 :腹起し
H2 :切梁
K1 :キリンジャッキ
S1 :仮締切り鋼板
Claims (5)
- 橋脚などの橋梁の下部構造体を支持する既設杭基礎の補強工法であって、
前記杭基礎のフーチングの上面から既設杭の杭頭が露出するまで削孔するフーチング削孔工程と、
杭頭が露出した前記既設杭の上部を削孔する杭上部削孔工程と、
前記既設杭を補強する補強材を前工程で削孔した孔に挿置する補強材挿置工程と、
前記孔にコンクリートを打設して前記補強材ごと前記フーチングの上面まで埋め戻すコンクリート打設工程と、を備えること
を特徴とする既設杭基礎の補強工法。 - 前記フーチングの上面鉄筋を切断するフーチング鉄筋切断工程を有すること
を特徴とする請求項1に記載の既設杭基礎の補強工法。 - 前記コンクリート打設工程で打設するコンクリートの底面型枠を設置する型枠設置工程を有すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の既設杭基礎の補強工法。 - 橋脚などの橋梁の下部構造体を支持する既設杭基礎の補強構造であって、
前記杭基礎のフーチング及び既設杭に削孔された孔に前記既設杭を補強する補強材が挿置されて補強され、
前記孔にコンクリートを打設して前記補強材ごと前記フーチングの上面まで埋め戻されていること
を特徴とする既設杭基礎の補強構造。 - 前記既設杭は、鋼管杭であること
を特徴とする請求項4に記載の既設杭基礎の補強構造。
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