JP2010222540A - 耐熱性を有する透明樹脂成形体 - Google Patents

耐熱性を有する透明樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】ハンダリフローに耐える高い耐熱性、優れた光に対する安定性と、光学フィルムとして用いられる高い透明性を有する透明樹脂成形体を提供する。
【解決手段】融点が200℃以下であり透明性を有するフッ素樹脂及び分子量が1000以下で炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2以上有する添加物を含有する樹脂組成物の成形体であって、厚さ250μm以下のフィルム状であり、電離放射線の照射により前記樹脂組成物が架橋していることを特徴とする透明樹脂成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子機器部品用の光学フィルムとして好適に用いられる透明樹脂成形体に関する。
携帯電話機、ノートパソコン、デジタルカメラ、液晶テレビ等では、導光板、光拡散シート、集光シート等として種々の光学フィルムが用いられている。一方、近年、各種電子機器の小型化、高性能化に対応するため搭載される電子部品の小型化が進められており、それに伴い電子部品を回路基板へ実装する方法としては高い実装密度が得られ生産効率も良いハンダリフローが一般的となってきている。このような近年の傾向にともない、前記の光学フィルム例えば導光板についても、ハンダリフローによる実装を可能にするため、ハンダリフローに耐え得る耐熱性が望まれている。
導光板の中には、光源近傍で使用され100℃近い高温にさらされるため100℃以上の耐熱性が求められているものもある(特許文献1)。しかしハンダリフローに耐えうる耐熱性、即ち250℃以上の耐熱性を有する光学フィルムは知られておらず、導光板等の光学フィルムの実装をハンダリフローで行うことはできなかった。
例えば特許文献2では、基板に導光板を実装する方法が開示されているが、ハンダリフローによる実装ができないので、ここでは各種部材を実装した基板に導光板を載置する方法を採用せざるを得ず、各種展開、デザインの多角化の足かせとなっている。
特開2008−287933号公報 特開2005−268165号公報
このように従来は、導光板等の光学フィルムとして使用できるような高い透明性を有する透明樹脂成形体であって、ハンダリフローに耐え得る耐熱性を有するものは知られておらず、この両者の特性を併せ持つ透明樹脂成形体の開発が望まれていた。そこで、本発明は、ハンダリフローに耐える高い耐熱性と高い透明性を併せ持ち、さらには光に対する安定性(耐光安定性)に優れる透明樹脂成形体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の問題について鋭意検討した結果、融点200℃以下のフッ素樹脂及び二重結合を少なくとも2以上有する添加剤を含有する樹脂組成物の成形体に、電離放射線を照射することにより、高い耐熱性、優れた耐光安定性と高い透明性を併せ持つ透明樹脂成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、融点が200℃以下であり透明性を有するフッ素樹脂及び分子量が1000以下で炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2以上有する添加物を含有する樹脂組成物の成形体であって、厚さ250μm以下であり、電離放射線の照射により前記樹脂組成物が架橋されていることを特徴とする透明樹脂成形体(請求項1)を提供する。
融点が200℃以下であり透明性を有するフッ素樹脂としては、エチレン、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンから選ばれる少なくとも2つのモノマーの共重合体を挙げることができる(請求項2)。具体的には、テトラフルオロエチレンと、式(1):CF=CF−Rf(式中、Rfは、−CF又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物との共重合体や、テトラフルオロエチレン、エチレン及び前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物の共重合体(特に、テトラフルオロエチレン単位19〜90モル%、エチレン単位9〜80モル%、及び、式(1)のパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位1〜72モル%からなるもの)等を挙げることができる。
これらの共重合体は透明性の高いものであり、エチレン、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンの比率を調整することにより、厚さが150μmのときの400nm波長光の透過率を85%以上とすることができる。又、後述の市販品等から厚さが150μmのときの400nm波長光の透過率が85%以上のものを選ぶことができる。
そして、この透明性の高いフッ素樹脂を原料とすることにより、厚さが150μmのときの400nm波長光の透過率が85%以上である高い透明性を有する透明樹脂成形体を得ることができる。なお、厚さが150μmのときの400nm波長光の透過率とは、重合体(フッ素樹脂)や透明樹脂成形体の厚さを150μmとしたときの400nm波長光の透過率を意味する。
又、この共重合体において、エチレン、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンの比率を調整することによりフッ素樹脂の融点を変動させることができる。従って、エチレン、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンの比率は、高い透明性が得られ、かつ共重合体(フッ素樹脂)の融点が200℃以下となるように適宜調整される。フッ素樹脂の融点が200℃以下であるので、前記樹脂組成物は、公知の成形方法で容易に成形することができる。
本発明に用いられるフッ素樹脂としては、反応性官能基を主鎖末端及び/又は側鎖末端に有するものを用いることもできる。ここで、反応性官能基としては、カルボニル基、カルボニル基を有する基、例えばカルボニルジオキシ基、アルコキシカルボニル基又はハロホルミル基、水酸基、エポキシ基、及び−C−O−C−で表わされるエーテル構造を有する官能基等を挙げることができる。
さらに、本発明の効果即ち高い透明性と200℃以下の融点を損なわない範囲で、他の成分を共重合させたもの、エチレン部位に他の成分をグラフト重合させたものも用いることもできる。このようなフッ素樹脂としては市販品を用いることができ、例えば、ダイキン工業社製のネオフロンRP−4020(商品名)を挙げることができる。
本発明で使用する添加剤は、分子量が1000以下であり、炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2つ以上有している多官能性モノマーである。すなわち、添加剤の分子量を1000以下とすることにより、透明性を維持しながら耐熱性に優れた成形体が得られ、これらの特性を両立できる。又、分子量1000以下であるものは、フッ素樹脂との混練を容易に実施できる程度の粘度を有し、又添加剤自体の着色が少ないものが多い点でも好ましい。
上記添加剤の例としては、例えば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。中でも、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。
上記の添加剤としては、市販品の多官能性モノマーを使用することもできる。ただし、市販品の多官能性モノマーには、安定剤等が本発明の効果に影響を与える程度含まれている場合があるので、使用前には本発明の効果についての簡易な予備試験等を行い本発明の効果に影響を与えないことを確認することが好ましい。上記の添加剤としては、安定剤の配合量が1000ppm以下のものが通常用いられ、本発明の効果への影響を防ぐためには、配合量が少ないものほど好ましい。
上記添加剤の添加量は、フッ素樹脂の100重量部に対し、0.05重量部以上、20重量部以下(請求項3)が好ましい。0.05重量部未満では樹脂の照射架橋効率が低くなり十分な耐熱性、耐光安定性が得られない場合がある。一方、20重量部より添加量が多い場合、混練時の取り扱いが困難となる、成形品より添加剤がブリードアウトする、又添加剤自体の自己重合により透明性が低下する等の場合があり特性の低下を引き起こす可能性がある。
しかし、0.05重量部以上20重量部以下とすることで、耐熱性と透明性が両立でき、さらに樹脂組成物内への添加が容易であり、かつブリードアウト等の発生も抑制できる。より好ましくは0.2重量部以上15重量部以下である。
本発明の透明樹脂成形体の形成に用いられる樹脂組成物には、前記の成分に加えて、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤等の各種添加剤を混合することができる。この樹脂組成物は、これらの材料をオープンロール、加圧ニーダー、単軸混合機、2軸混合機等の既知の混合装置を用いて混合することにより作製することができる。使用するベース樹脂(フッ素樹脂)の融点以上の温度で溶融混合することが好ましい。
本発明の透明樹脂成形体は、厚さ250μm以下のフィルム状であることを特徴とする。厚さ250μm以下であるので、透明性が大きく、光学フィルムとして使用できる高い透明性が得られる。より好ましくは、厚さ200μm以下である。
次に上記にて作製した樹脂組成物の成形方法について説明する。本発明の透明樹脂成形体を製造するための成形方法としては、プレス成形、押出成形、射出成形等、既存の成形方法として広く用いられている方法を採用することができる。この製造に使用される樹脂組成物は、その融点が200℃以下であるフッ素樹脂を使用していることから、前記の既存の成形方法を容易に適用することができる。
成形の際には、材料表面に金型・成形ロール面が転写しやすく、粗い面が転写されると光の散乱を誘発し透過率を低下させる原因となり得るので、直接成形体と接する設備の金型や成形ロール面は、面粗度Ra=1.6aと同等もしくはより平滑に研磨されていることが好ましい。
本発明の透明樹脂成形体は、電離放射線の照射により前記樹脂組成物の架橋を施していることを特徴とする。本発明の透明樹脂成形体の材料である樹脂組成物を構成するフッ素樹脂は、融点が200℃以下であり、その結果優れた成形性(容易に成形できること)が得られるが、一方、電離放射線の照射により架橋された後は、融点の低い樹脂を材料としているにも係わらず、優れた耐熱性及び耐光安定性を有する成形体となる。
電離放射線源としては、加速電子線やガンマ線、X線、α線、紫外線等を例示することができるが、線源利用の簡便さや電離放射線の透過厚み、架橋処理の速度等工業的利用の観点から加速電子線が好ましく利用できる。
加速電子線の加速電圧は、成形品の肉厚等に応じて適宜設定すればよい。例えば厚さ150μm程度の成形品であれば、加速電圧は100〜10,000kVの間で選定される。照射線量が大きい程、樹脂組成物の架橋度が向上し、耐熱性が向上する。しかし、照射線量が大きすぎる場合は、成形体の着色等の問題が生じる場合がある。通常、30〜500kGyで充分な架橋度が得られ、又この範囲内であれば前記の問題は生じない。
本発明の透明樹脂成形体は、電離放射線の照射により成形体を構成する樹脂組成物が架橋されているので、ハンダリフローに耐える耐熱性を有するものとすることができる。具体的には、280℃×30秒間の熱暴露がされても変形、収縮や透過率(400nm)の変化が観測されないとの優れた耐熱性を有するものとすることができる。
そこで本発明は、さらに、前記透明樹脂成形体であって、厚さが150μmのときの400nm波長光の透過率が85%以上であり、280℃で30秒間の加熱により変形、収縮が発生せず、かつ280℃で30秒間の加熱後の前記透過率が85%以上であることを特徴とする透明樹脂成形体(請求項4)を提供する。ここで、変形、収縮が発生せずとは、縦方向、横方向のいずれについても収縮が3%以内の場合を言う。
又、電離放射線の照射により、光に対する安定性も向上されるので、本発明の透明樹脂成形体を、20cdの白色LDEに2000時間暴露しても高い透過率を維持するものとすることができる。
そこで本発明は、さらに、前記透明樹脂成形体であって、厚さが150μmのときの400nm波長光の透過率が85%以上であり、20cdの白色光に2000時間暴露後の前記透過率が85%以上であることを特徴とする透明樹脂成形体(請求項5)を提供する。
本発明の透明樹脂成形体は、熱及び光に対する高い安定性と高い透明性を併せ持つ。従って、導光板等の光学フィルムとして好適に用いられ、又高い耐熱性を有するので回路基板等へハンダリフローで実装することができる。
次に本発明を実施するための形態を実施例により説明する。なお、本発明の範囲はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々の変更が可能である。
先ず、下記の実施例、比較例で行った樹脂組成物ペレット及び評価用シートの作製について説明する。
(樹脂組成物ペレットの作製)
表1又は2に示す配合処方の材料を、二軸混合機(30mmφ、L/D=30)を使用し、バレル温度を190℃に設定し、スクリュー回転数100rpmで溶融混合して樹脂組成物を作製した後、ストランドカットペレタイザで樹脂組成物ペレットを作製した。
(評価用シートの作製)
評価用シートは、上記で得られた樹脂組成物ペレットを用いて、以下に示すプレス成形又は押出成型を行い、得られた成形体(フィルム)に電子線を照射することにより作製した。
(1)プレス成形
樹脂組成物ペレットをFED規格クラス1000のクリーンルーム内に設置した熱プレス機にて、190℃、10分、200N/cmにてプレスし、0.3mm厚のプレスシートを作製した。続いて同じクリーン度の室内にて、所定の肉厚の金枠内に前記で作製したプレスシートを設置し、面粗度Ra=1.6aレベルで研磨したSUS304製の2mm板(鏡面板)をスペーサーとして上下に配置し、190℃、10分、40N/cmにてプレスし、表1又は2記載の所定の肉厚のフィルムを作製した。
(2)押出成型
樹脂組成物ペレットをFED規格クラス1000のクリーンルーム内に設置した20mmφ押出機(東洋機械社製の単軸タイプ)に投入し、ダイス口に設置されたT台にて押出した。得られたフィルムに、面粗度Ra=1.6aレベルで研磨した面を有するSUS304製のロール(鏡面のステンロール)にて平滑面を転写させ、厚さ調節を行い、表1又は2記載の所定の肉厚のフィルムを作製した。
(3)電子線照射
上記成形により作製したシートに、加速電圧1000kVの加速電子線を、表1記載の所定量を照射した。なお、評価には肉厚が±10μmまでのもののみを使用した。
[シートの評価方法]
次に、上記のようにして得られた評価用シートの評価方法について説明する。
(1)耐熱性
上記方法にて作成したシートを30mm×30mm角にカッティングし、280℃に加熱したホットプレート上に30秒間静置した後の形状を目視とノギスによる測定で確認した。目視にて軟化やしわの発生が見られるもの、又ノギスによる測定にて一辺が29.7mm以下のサイズに収縮しているものをNGとした。
(2)透過率1(初期透過率)
上記方法にて作成したシートを10mm×10mm角にてカッティングし、紫外領域200nmから近赤外領域1000nmの透過率を測定した。波形が連続していることを確認した後、400nmでの値を確認した。
(3)透過率2(熱暴露後の透過率:耐熱性)
上記方法にて作成したシートを10mm×10mm角にてカッティングし、280℃に加熱したホットプレート上に30秒間静置した後に、紫外領域200nmから近赤外領域1000nmの透過率を測定した。波形が連続していることを確認した後、400nmでの値を確認した。
(3)透過率3(光暴露後の透過率:光安定性)
上記方法にて作成したシートを10mm×10mm角にてカッティングし、パトライト社製の白色LED“CLE−24”(中心光度20cd)の光源より5mmの位置に設置し、100日間の暴露を行った。暴露後、上記と同様にして、紫外領域200nmから近赤外領域1000nmの透過率を測定した。波形が連続していることを確認した後、400nmでの値を確認した。
次に、下記の実施例、比較例で使用した材料を以下に示す。
[フッ素樹脂]
エチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンの共重合体(以下「EFEP」とする。):比重1.72〜1.76。融点155〜170℃。
[添加剤]
(1)トリアリルイソシアヌレート(MEHQ50ppm添加品)(表中では添加剤1と示す)。
(2)トリメタクリルイソシアヌレート(安定剤未添加)(表中では添加剤2と示す)。
(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート(MEHQ50ppm添加品)(表中では添加剤3と示す)。
実施例1〜4
表1に示す配合及び条件にて上記方法により評価用シートを作製し、この評価用シートを用いて評価を実施した。280℃での変形が全くみられなかった。さらに、初期透過率(透過率1)は90%以上を示しており、又、280℃×30秒の加熱後(透過率2)、100日間の白色LED暴露後(透過率3)も85%以上の高い透過率を有していた。この結果より、高い透明性、優れた耐熱性、光に対する安定性が確認された。
実施例5
シートの厚さを50μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして評価用シートを作製し評価を実施した。280℃での変形が全くみられなかった。さらに、初期透過率(透過率1)は90%以上を示しており、又、280℃×30秒の加熱後(透過率2)、100日間の白色LED暴露後(透過率3)も85%以上の高い透過率を有していた。この結果より、高い透明性、優れた耐熱性、光に対する安定性が確認された。
実施例6
照射量を20kGyとしたこと以外は、実施例2と同様にして評価用シートを作製し評価を実施した。280℃での変形が全くみられなかった。さらに、初期透過率(透過率1)は90%以上を示しており、又、280℃×30秒の加熱後(透過率2)、100日間の白色LED暴露後(透過率3)も85%以上の高い透過率を有していた。この結果より、高い透明性、優れた耐熱性、光に対する安定性が確認された。
実施例7
成形方法をプレス成形から押出成形に変えた以外は、実施例2と同様にして評価用シートを作製し評価を実施した。280℃での変形が全くみられなかった。さらに、初期透過率(透過率1)は90%以上を示しており、又、280℃×30秒の加熱後(透過率2)、100日間の白色LED暴露後(透過率3)も85%以上の高い透過率を有していた。この結果より、高い透明性、優れた耐熱性、光に対する安定性が確認された。
実施例8
添加剤の添加量を20重量部としたこと以外は、実施例2と同様にして評価用シートを作製し評価を実施した。280℃での変形が全くみられず耐熱性の面では優れていることが示された。しかし、架橋助剤を20重量部添加すると曇りが発生し、初期の透過率(透過率1)は、85%未満となり、この点では他の実施例より劣るものとなった。
比較例1
添加剤を加えず、照射量を600kGyとしたこと以外は、実施例2と同様にして評価用シートを作製し評価を実施した。280℃での変形が発生し、架橋が不十分であることが示唆された。添加剤は架橋助剤であり、この架橋助剤がない場合は、600kGyの照射を行っても十分な架橋せず、ハンダリフローに耐える耐熱性は得られなかった。さらに、100日間の白色LED暴露後の透過率(透過率3)は低下しており、光に対する安定性も不十分であった。
比較例2
照射を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして評価用シートを作製し評価を実施した。280℃で溶融が発生した。即ち、架橋助剤を添加しても電子線照射をしなければ架橋せず、この場合では形状維持が困難であることが示された。
比較例3
プレスシートの厚さを260μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして評価用シートを作製し評価を実施した。280℃での変形が全く見られず耐熱性の面では優れていることが示された。しかし、初期透過率が大幅に低下する結果であり、高い透明性は得られなかった。
Figure 2010222540
Figure 2010222540

Claims (5)

  1. 融点が200℃以下であり透明性を有するフッ素樹脂及び分子量が1000以下で炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも2以上有する添加物を含有する樹脂組成物の成形体であって、厚さ250μm以下であり、電離放射線の照射により前記樹脂組成物が架橋されていることを特徴とする透明樹脂成形体。
  2. 前記フッ素樹脂が、エチレン、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンから選ばれる少なくとも2つのモノマーの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の透明樹脂成形体。
  3. 前記添加剤の添加量が、前記フッ素樹脂の100重量部に対し、0.05重量部以上、20重量部以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明樹脂成形体。
  4. 厚さが150μmのときの400nm波長光の透過率が85%以上であり、280℃で30秒間の加熱により変形、収縮が発生せず、かつ280℃で30秒間の加熱後の前記透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の透明樹脂成形体。
  5. 厚さが150μmのときの400nm波長光の透過率が85%以上であり、20cdの白色光に2000時間暴露後の前記透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の透明樹脂成形体。
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