JP2010222223A - シリカガラス材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱水処理を短時間で行うことにより生産性の向上と共にコスト削減を図ることができるシリカガラス材の製造方法を提供する。
【解決手段】シリカガラス材の製造方法は、真空加熱炉11の炉心管12内にスート法を用いて製造された多孔質ガラス母材1を収容し、炉心管12の外側に配置したヒータ13により多孔質ガラス母材1を加熱することで該多孔質ガラス母材1を脱水させる脱水工程を含む。そして、脱水工程における温度を、脱水処理可能な温度に一定時間保持し、その後冷却して一定時間保持し、その後再度、脱水処理可能な温度に加熱して一定時間保持する昇降温を繰り返し行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、加熱炉の炉心管内に多孔質ガラス母材を収容してから、ヒータにより炉心管を加熱することにより多孔質ガラス母材を脱水させるシリカガラス材の製造方法に関する。
通常、スート法を用いて光ファイバや光学材料を製造する場合、使途に応じて素材となる多孔質ガラス母材中のOH濃度を低減させる必要がある。
従来の脱水処理としては、塩素などのハロゲン系ガスを用いる塩素脱水(ハロゲン脱水)と、真空焼結炉を用いる真空脱水がある。
塩素脱水としては、炉心管内にガラス母材を支持して、カーボンヒータにより炉心管内を加熱するとともに、塩素系ガスとヘリウムガスなどの不活性ガスとの混合ガスを供給することで、塩素系ガス含有雰囲気下でガラス母材の表面近傍のOH基を除去する脱水方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、真空脱水としては、例えば特許文献2に記載されているように、真空焼結炉内にガラス母材を配置して、焼結炉内を真空にするとともに、1150℃〜1250℃に加熱して真空雰囲気下でガラス母材の表面近傍のOH基を除去する脱水方法などがある。
特開2006−327858号公報 特開平5−270848号公報
しかしながら、ガラス母材を光学系材料として使用する場合、塩素の残留を抑える必要があるものもあり、ハロゲン系ガスを使用して光学系材料の脱水処理を行うのは難しい場合があった。
また、真空脱水では、真空雰囲気下で160時間程度と長時間加熱する必要があり、長時間の脱水処理を行うにはコストが掛かるため、生産性が低かった。
さらに、スートの状態において、還元性雰囲気中で加熱することでOHを脱離させ、OH濃度を低減させる手法も考案されている。しかし、この場合、酸素欠乏欠陥が多量に生成されてしまい、光学材料としての品質が低下してしまう虞があった。
本発明の目的は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、脱水処理を短時間で行うことにより生産性の向上と共にコスト削減を図ることができるシリカガラス材の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決することができる本発明に係るシリカガラス材の製造方法は、加熱炉の炉心管内にスート法を用いて製造された多孔質ガラス母材を収容し、前記炉心管の外側に配置したヒータにより前記多孔質ガラス母材を加熱することで前記多孔質ガラス母材を脱水させる脱水工程を含むシリカガラス材の製造方法において、
前記脱水工程における温度を、脱水処理可能な温度に一定時間保持し、その後冷却して一定時間保持し、その後再度、前記脱水処理可能な温度に加熱して一定時間保持する昇降温を繰り返し行うことを特徴としている。
このように構成されたシリカガラス材の製造方法によれば、処理時間を短縮する方法として、脱水温度を一定間隔で繰り返し昇温・降温させることで、短時間で低OH濃度を実現する脱水処理を行うことができる。これにより、効率良く高品質なシリカガラス材を製造することができる。よって、製造コストの削減を図ることができる。
また、本発明に係るシリカガラス材の製造方法において、前記冷却は、強制的に不活性ガスを流すことにより行うことが好ましい。
また、本発明に係るシリカガラス材の製造方法において、前記冷却して一定時間保持する温度は、800℃以下であることが好ましい。
本発明に係るシリカガラス材の製造方法によれば、脱水に際して、脱水温度を一定間隔で繰り返し昇降温させる工程を含むことで、低OH濃度を実現する脱水処理を短時間で行うことができる。これにより、生産性の向上と共にコスト削減を図ることができるシリカガラス材の製造方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係るシリカガラス材の製造方法を適用したガラス材製造装置の概略図である。 図1のシリカガラス材の製造方法における脱水工程のフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態のガラス材製造装置10は、炉心管12と、該炉心管12の外周に複数のヒータ13とを配置した加熱炉11が組み付けられており、ダミーロッド15と、連結具16と、トラバース機構17と、複数の温度センサ18と、制御装置19と、を備えている。
炉心管12内には、ダミーロッド15に取り付けられた多孔質ガラス母材1が挿入されている。
また、炉心管12の下部には、非ハロゲン系のヘリウムガスなどの不活性ガスを供給するためのガス導入口20が設けられており、上部には、不活性ガスを排出するためのガス排出口21が設けられている。
ダミーロッド15は、連結具16を介してトラバース機構17により吊下げられており、炉心管12の上端部に組み付けられている封止板22により封止されて内部の不活性ガスが漏出しないようになっている。
このようなガラス材製造装置10は、ヒータ13を駆動させて炉心管12内を、例えば1200℃まで加熱する。
そして、温度センサ18によって、炉内温度を測定し、制御装置19により演算処理等することで、測定された測定値に基づいて、多孔質ガラス母材1の温度が均一になるように制御を行う。
このとき、制御装置19は、脱水に際し、ヒータ13を駆動して1200℃に20時間保持する加熱制御と、その後温度を下げて800℃以下に8時間保持する冷却制御とを、例えば5回繰り返す。なお、冷却に際しては、自然冷却させても良いが、不活性ガスを流して短時間で強制冷却するようにしても良い。強制冷却を行えば、より短時間での処理が可能である。
次に、図1および図2を参照して、ガラス材製造装置10を適用して行われるシリカガラス材の製造方法について説明する。なお、図2では、脱水工程のみを説明する。
図2に示すように、第3工程では、制御装置19は、ヒータ13を駆動させて1200℃まで加熱した後に、ヒータ13の駆動時間が20時間を経過したか否かを内蔵されているクロックタイマ等で計時する。そして、20時間を経過するまで、ヒータ13を連続駆動させる(S101→S102)。
20時間が経過すると、加熱回数フラグF1を立ててヒータ13の駆動を停止して800℃以下まで冷却し、800℃以下になったら、800℃以下の温度に保持する冷却時間を計時する。そして、冷却時間が8時間を経過するまで、800℃以下に温度を保持する(S102→S103→S104→S105)。
8時間が経過すると、冷却回数フラグF2を立てて、加熱回数フラグF1および冷却回数フラグF2のカウントを行い、フラグF1とフラグF2が1個ずつであると、1200℃に昇温する加熱を再開する(S105→S106→S107→S101)。
以後、フラグF1とフラグF2のカウント数が予め定められた5回に達するまで、このルーチンを繰り返し実行する。そして、フラグF1とフラグF2のカウント数が5回を超えたら脱水処理を終了する。
スート法により製造されるすす体は、概ね粒径が200μm程度の微粒子の集合体であり、OH基はその表面に主として付着している。このOH基が加熱により水として離脱することにより脱水が行われる。しかし、このすす体は微粒子であることから、通常のガラス化されたバルク材に対して軟化温度が低いため、バルク材では焼結温度より低く溶融変形を起こさない脱水温度であっても、微粒子同士が溶融重合する。これにより、OH基が内部に閉じ込められてしまい、水として外部に出てくることができずに、脱水が進まなくなる。
微粒子の溶融重合する度合いは、与えられた熱量に比例するため、一定時間以上加熱を行うと上記原理により脱水が進まない状態になる。したがって、一定間隔で加熱冷却を繰り返すことで、微粒子の重合による脱水の停止を止めることができ、OH濃度を効率良く低減することが可能となる。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るシリカガラス材の製造方法によれば、脱水に際し、脱水温度の昇降温を一定間隔で繰り返し行うことにより、微粒子の重合による脱水の停止を防止して、短時間で低OH濃度を実現する脱水処理を行うことができる。したがって、効率良く安価で高品質なシリカガラス材を製造することができる。
次に、本発明に係るシリカガラス材の製造方法の作用効果を確かめるために行った実施例及び比較例について説明する。
[OH濃度の比較]
同じすす体を用いて、脱水処理時間を合計140時間に設定した場合について、実施例としては1サイクルを脱水処理20時間、冷却時間8時間としたものを5サイクル行い、比較例としては一気に140時間の脱水処理をした場合の、各々の多孔質ガラス母材の上端部(A端)と下端部(B端)のOH濃度を測定した。
その結果、比較例では、A端25ppm、B端12ppmであったのに対して、実施例は、A端8ppm、B端9ppmであった。すなわち、同じ脱水処理時間であっても、一気に脱水するより昇降温を5回繰り返した方が、OH濃度を低くすることができた。
これは、脱水に際し、脱水温度の昇降温を予め定められた回数繰り返し行うことにより、微粒子の溶融重合による脱水の停止を防止できたことによると推測できる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
1 多孔質ガラス母材
10 ガラス材製造装置
11 真空加熱炉
12 炉心管
13 ヒータ

Claims (3)

  1. 加熱炉の炉心管内にスート法を用いて製造された多孔質ガラス母材を収容し、
    前記炉心管の外側に配置したヒータにより前記多孔質ガラス母材を加熱することで前記多孔質ガラス母材を脱水させる脱水工程を含むシリカガラス材の製造方法において、
    前記脱水工程における温度を、脱水処理可能な温度に一定時間保持し、その後冷却して一定時間保持し、その後再度、前記脱水処理可能な温度に加熱して一定時間保持する昇降温を繰り返し行うことを特徴とするシリカガラス材の製造方法。
  2. 前記冷却は、強制的に不活性ガスを流すことにより行うことを特徴とする請求項1に記載のシリカガラス材の製造方法。
  3. 前記冷却して一定時間保持する温度は、800℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカガラス材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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