JP5916967B2 - 光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法に関する。
一般的に、石英ガラス系光ファイバは、石英ガラスからなる光ファイバ母材を線引きして製造される。この光ファイバ母材の製造方法としては、VAD(Vapor-phase Axial Deposition)法、OVD(Outside Vapor-phase Deposition)法、MCVD(Modified Chemical Vapor Deposition)法、プラズマ法等の方法が広く用いられている。
これらの製造方法では、たとえば石英ガラスの原料として四塩化珪素を用い、四塩化珪素を加水分解反応または酸化反応させることにより光ファイバ母材が製造される。
光ファイバ母材は、略一定の外径を有する円柱状の平行部と、この平行部の上端および下端に接続されたテーパ部とを備える。上端のテーパ部は、下方に向かって外径が徐々に拡径して平行部に接続し、下端のテーパ部は、上方に向かって外径が徐々に拡径して平行部に接続している。
ところで、光ファイバ母材の端部に設けられたテーパ部は、堆積されるシリカ微粒子の密度が低くなりやすい、脱水工程および焼結工程などの熱処理工程にて応力が発生しやすい、等の理由により、割れ(クラック)が発生しやすい。したがって、光ファイバ母材の割れ(クラック)を抑制するための工夫がテーパ部に施される場合がある(特許文献1参照)。
また、テーパ部の焼き締めを強くして、シリカ微粒子の密度を上げることでクラックの発生を抑制できるが、コア偏心などの他の問題が発生することがあり、焼き締めを強くすることには限界がある。
特開2010−37125号公報
このように、テーパ部のクラック抑制策は十分ではなく、依然としてテーパ部にクラックが発生することがある。そこで、更なるクラック抑制策が必要とされている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、クラックが発生することを抑制することができる光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法は、コアロッドの外周にシリカ微粒子を堆積させて多孔質母材を形成する工程と、前記多孔質母材を複数回の熱処理工程によりガラス化するガラス化工程と、を含む光ファイバ母材の製造方法であって、前記複数回の熱処理工程のうち最初の熱処理工程である第1の熱処理工程では、前記多孔質母材の長手方向両端部の内部温度が長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温するように前記多孔質母材を加熱することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法は、上記発明において、前記第1の熱処理工程は、前記多孔質母材の長手方向に複数のヒータが設けられた装置で行い、前記複数のヒータのうち、前記長手方向中央部を加熱するヒータよりも前記長手方向両端部を加熱するヒータの出力を先に大きくすることを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法は、上記発明において、前記第1の熱処理工程は、前記多孔質母材の長手方向の一部区間を加熱するようにヒータが設けられた装置で行い、前記ヒータと、前記多孔質母材の長手方向に関する相対位置とが、所定周期で繰り返し反復移動されることを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法は、上記発明において、前記多孔質母材の長手方向の内部温度の温度差が800℃以下となるように前記多孔質母材を加熱することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法は、上記発明において、前記第1の熱処理工程では、前記多孔質母材の長手方向両端部の内部温度の昇温速度が6000℃毎時以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法は、上記発明において、前記第1の熱処理工程は、不活性ガスとハロゲンガスとを含む雰囲気にて1400℃未満で前記多孔質母材を熱処理することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法は、上記発明において、前記複数回の熱処理工程のうち最後の熱処理工程では、不活性ガスを含む雰囲気にて1400℃以上で前記多孔質母材を熱処理することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法は、上記発明において、前記複数回の熱処理工程のうち最後の熱処理工程以外では、前記多孔質母材の長手方向両端部の内部温度が長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温するように前記多孔質母材を加熱することを特徴とする。
また、本発明に係る光ファイバの製造方法は、上記発明の光ファイバ母材の製造方法にて製造された光ファイバ母材を線引きすることにより光ファイバを製造することを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法は、クラックが発生することを抑制することができるという効果を奏する。
図1は、基本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法の工程順序を示すフローチャートである。 図2は、多孔質母材形成工程における多孔質母材の状態を示す模式図である。 図3は、脱水工程における多孔質母材の状態を示す模式図である。 図4は、焼結工程における光ファイバ母材の状態を示す模式図である。 図5は、線引き工程における光ファイバ母材の状態を示す模式図である。 図6は、多段ヒータ式のガラス化炉の概略構成を示す図である。 図7は、第1実施形態に係る脱水工程の温度履歴の例を示すグラフである。 図8は、ストローク式のガラス化炉の概略構成を示す図である。 図9は、第2実施形態における多孔質母材の加熱方法を概念的に説明する図である。 図10は、第2実施形態に係る脱水工程の温度履歴の例を示すグラフである。 図11は、第3実施形態に係るガラス化工程の温度履歴の例を示すグラフである。 図12は、ストローク式のガラス化炉にて1ストロークで脱水工程を実施した場合の温度履歴の例を示すグラフである。 図13は、多段ヒータ式のガラス化炉にて各段のヒータが同出力で脱水工程を実施した場合の温度履歴の例を示すグラフである。
以下に、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
〔基本実施形態〕
図1は、基本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法の工程順序を示すフローチャートである。また、図2〜5は、図1のフローチャートに示す各工程における多孔質母材または光ファイバ母材の状態を示す模式図である。なお、以下に示す基本実施形態では、用いるガラス化炉の種類を限定せずに説明を行い、ガラス化炉の種類を特定した実施形態は、後に別個の実施形態として説明を行う。
図1に示すように、基本実施形態の光ファイバ母材の製造方法は、多孔質母材形成工程と、脱水工程と、焼結工程とを有する。また、基本実施形態の光ファイバの製造方法は、光ファイバ母材の製造方法の焼結工程の後に線引き工程をさらに有する。
なお、上記示した光ファイバ母材の製造方法の工程は、一つの例示に過ぎず、多くのバリエーションを構成し得る。例えば、脱水工程を第1脱水工程および第2脱水工程の2段階に分離したり、脱水工程と焼結工程との間にドープ工程を設けたり、脱水工程と焼結工程とを一連一体に実行したりしても、基本実施形態の要旨に変わりはない。また、脱水工程やドープ工程や焼結工程などの複数回の熱処理工程により多孔質母材をガラス化する工程は、一体としてガラス化工程と称する。
まず、ステップS1の多孔質母材形成工程にて、石英系ガラスからなる円柱状のコアロッドRcの外周に石英系ガラス微粒子を堆積させて、多孔質母材Paが形成される(図2参照)。
コアロッドRcには、例えばVAD法で作製したコアスートをガラス化炉で脱水およびガラス化し、所定の径となるように延伸したものが用いられる。多孔質母材Paは、コアロッドRcの外周に例えばOVD法により石英系ガラス微粒子を堆積して作製される。コアロッドRcは、光ファイバとなった際にコアとなる部分とその周囲に形成されたクラッドとなる部分で構成されている。
図2に示すように、コアロッドRcは、長手方向両端がダミーロッドRdに接続されている。ダミーロッドRdは、多孔質母材Paを保持し、回転駆動または昇降駆動させるための把手として用いられる。
OVD法による石英系ガラス微粒子の堆積では、気化させた四塩化珪素(SiCl)、酸素(O)および水素(H)とで構成されるガス12をバーナ11にて送り込み、これらガス12が点火燃焼される。火炎中で加水分解反応されたSiClは、シリカ微粒子となり、コアロッドRcの周囲に堆積される。コアロッドRcを回転させながらバーナ11またはコアロッドRcの長手方向の位置を繰り返し往復させ、平行部の多孔質層P1が充分な厚さになるまで堆積が繰り返される。
図2に示すように、多孔質母材Paは、平行部の多孔質層P1とテーパ部の多孔質層P2とに分けられる。上端テーパ部の多孔質層P2は、上方に向かって堆積量が徐々に縮径してダミーロッドRdに接続し、下端テーパ部の多孔質層P2は、下方に向かって堆積量が徐々に縮径してダミーロッドRdに接続している。一方、平行部の多孔質層P1は、コアロッドRcに対して均一の厚さでシリカ微粒子が堆積されている。製造上の平行部とテーパ部との切り分けは、例えば焼結後の長手方向中央位置の外径の95%を境界として両者を区別する。なお、説明の便宜上、長手方向の両端を紙面の上下により区別するが、多孔質母材の長手方向は、鉛直方向に限らず、水平方向とすることも可能である。
平行部の多孔質層P1の平均密度(なお多孔質層の密度を一般に嵩密度という)は、光ファイバ母材の大型化の観点から0.2g/cm3以上が好ましい。平均嵩密度が低すぎると多孔質母材Paの外径が太くなり、外径が太いガラス化炉が必要となる。一方、脱水工程においては、平均嵩密度は低密度の方が、脱水が容易であり、高密度になるにつれて指数関数的に脱水が困難となる。したがって、平均嵩密度が1.0g/cm3以下であることが好ましい。
また、多孔質母材Paのテーパ部はバーナ11とは別のバーナで焼き締めを行うことが好ましい。その場合、多孔質層P2のテーパ部の嵩密度は、平行部の多孔質層P1の嵩密度よりも高いものになる。たとえば多孔質母材Pa全体の平均嵩密度が0.7g/cmに対して焼き締めたテーパ部の平均嵩密度は1.0g/cm〜1.5g/cmである。なお、平行部の多孔質層P1の嵩密度が低い場合は、脱水工程と焼結工程を同時に行っても充分な脱水が可能であるが、平行部の多孔質層P1の嵩密度が0.7g/cm3以上になると、1工程で脱水と焼結を同時に行うことが困難となる。そこで、このような高密度の多孔質母材に対しては、脱水工程と焼結工程を分けて設けることが好ましい。
次に、ガラス化工程における第1の熱処理工程となるステップS2の脱水工程では、図3に示すように、不活性ガスとハロゲンガスの雰囲気中、または不活性ガスとハロゲン系化合物ガスの雰囲気中において多孔質母材Paから水酸基(OH)が除去される。なお、脱水工程における雰囲気ガスの例として、ヘリウムと塩素との混合ガスが一般に用いられる。以下の説明では、雰囲気ガスとしてヘリウムと塩素との混合ガスを用いた例に従うことにする。
脱水工程と焼結工程とを分けた場合、脱水工程の処理温度は一般的には900℃〜1300℃である。さらに、1150℃以上であれば脱水の効率を高めることができる。また、1250℃以下であれば脱水工程において多孔質母材Paの一部が焼結してしまうことを抑制できるので、脱水工程と焼結工程とを確実に分離でき、充分な脱水が可能となる観点で好ましい。
ステップS2の脱水工程では、多孔質母材の長手方向両端部の内部温度が、長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温するように、多孔質母材が加熱される。たとえば、多孔質母材の長手方向両端部の内部温度は、図3に示すように、テーパ部の外径が長手方向中央位置の外径の50%になる長手方向位置における中心軸と表面との中間位置mtの温度により代表される。また、長手方向中央部の内部温度は、長手方向中央位置における中心軸と表面との中間位置mcの温度により代表される。
例えば、中央部の内部の常温から脱水工程の処理温度(たとえば、1200℃)までの昇温速度が2040℃/hrの場合には、両端部の内部の昇温速度が4400℃/hrとなり、中央部の内部の昇温速度が1115℃/hrの場合には、両端部の内部の昇温速度が2230℃/hrとなるように、内部の昇温速度が制御される。ただし、両端部の内部の昇温速度が速すぎると、機器への負荷大きくなり設備トラブルが生じやすく、また、温度のハンチングが大きくなることがあることから、両端部の内部の昇温速度が6000℃/hr以下となるように昇温速度が制御されることが好ましい。
また、クラックの発生をより効果的に抑制するためには、長手方向両端部の内部温度と中央部の内部温度の差が最大で400℃以上800℃以下となるように多孔質母材を加熱することが好ましく、加熱開始後30分〜60分で長手方向両端部の内部温度と中央部の内部温度の差がゼロになるように加熱することが好ましい。すなわち、長手方向両端部の内部温度と中央部の内部温度の差がゼロになるまでの等温到達時間は、全体の脱水工程に対して5分の1〜10分の1である。
すなわち、ステップS2の脱水工程では、図3に示すように、脱水工程開始時に多孔質母材Paのテーパ部の方が平行部よりも強く加熱される。なお、図3中では矢印の大きさにより多孔質母材Paの受ける熱量の大きさを表している。このように多孔質母材Paが加熱されることにより、多孔質母材の長手方向両端部の内部温度が長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温される。なお、多孔質母材Paのテーパ部の方を平行部よりも強く加熱する方法は、用いるガラス化炉の種類により異なるので、ガラス化炉の例示を用いながら後に具体的に詳述するものとする。
ガラス化工程における最後の熱処理工程であるステップS3の焼結工程では、上述の脱水工程にて脱水した多孔質母材Paを焼結させて、光ファイバ母材Pbに変化させる。焼結温度は、例えば1400℃〜1600℃であり、用いる多孔質母材Paに応じて適切に調整される。また、焼結工程では、ヘリウムなどの不活性ガスを含む雰囲気にて多孔質母材Paが熱処理される。焼結工程では、多孔質母材Paの長手方向両端のうち一方端から他方端に向けて順に昇温される。または、多孔質母材Paの全長を同時に昇温してもよい。さらに、焼結工程でも、上述脱水工程と同様に、多孔質母材の長手方向両端部の内部温度が長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温するように、多孔質母材を加熱することがより好ましい。
図4に示すように、ステップS3の焼結工程では、多孔質母材Paの多孔質層P1,P2が焼結した結果、堆積していたガラス微粒子がガラス化され、体積が収縮する。なお、平行部の多孔質層P1が焼結した結果のガラス層P3は、後に光ファイバとなった際にクラッドになり、テーパ部の多孔質層P2が焼結した結果のガラス層P4は、非製品部分となる。
なお、たとえば脱水工程と焼結工程を同時に行う場合のような、ガラス化工程における第1の熱処理工程の熱処理温度が1400℃以上の場合は、クラックが発生する頻度は非常に少ない。これは、クラックの発生原因が、加熱により多孔質母材が収縮や膨張することにより多孔質母材に応力が加わるためであると推定している。多孔質母材を一度に1400℃以上に加熱する場合は、加熱により多孔質母材に応力が加わるものの、同時に焼結が進行するため、多孔質母材に加えられた応力が解放されると考えられる。
したがって、クラックの発生は、ガラス化工程における第1の熱処理工程の熱処理温度が1400℃未満の場合に主に生じる問題である。嵩密度の高い多孔質母材のガラス化工程では脱水工程と焼結工程とを分けて行うことが好ましいので、ガラス化工程における第1の熱処理工程の熱処理温度を1400℃未満である1300℃以下とすることが好ましい。結果、クラックの発生は、嵩密度の高い多孔質母材のガラス化工程で顕著な問題となる。
なお、先述のように、ステップS2の脱水工程とステップS3の焼結工程との間に、フッ素のドープ工程等が挿入されることがあるが、ここでは当該工程の説明を行わず、後の実施形態にて説明するものとする。
ステップS3の焼結工程の終了後、基本実施形態の光ファイバ母材の製造方法においては、製造プロセスを終了する。一方、基本実施形態の光ファイバの製造方法においては、ステップS4の線引き工程に移行する。そして、この線引き工程においては、光ファイバ母材Pbを加熱溶融し、所望の外径の光ファイバFに線引きする(図5参照)。
〔第1実施形態〕
次に、図6〜7を参照しながら、第1実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法について説明する。ただし、上記説明した基本実施形態と同一の構成および同一の性質に関しては、以下の説明では省略するものとする。すなわち、本実施形態において説明がなされない部分は、何の断りもない場合、基本実施形態と共通しているものとする。
図6は、第1実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法に用いられるガラス化炉の例である、多段ヒータ式のガラス化炉の概略構成を示す図である。図6に示す多段ヒータ式のガラス化炉は、第1実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法において、脱水工程および焼結工程にて用いられる。また、脱水工程と焼結工程との間にドープ工程を設ける場合には、ドープ工程においても用いられる。
図6に示すように、多段ヒータ式のガラス化炉100は、石英ガラス製の密閉可能な容器である石英炉心管101と、この石英炉心管101の周囲に複数設けられた発熱体である環状のヒータ102,103,104とを備える。石英炉心管101およびヒータ102,103,104は、炉体109により全体が覆われており、炉体109とヒータ102,103,104の間には断熱材110が備えられている。
第1のヒータ102、第2のヒータ103、および第3のヒータ104は、それぞれ独立に制御可能であり、異なる設定温度および昇温速度で加熱制御できる。なお、図6に示す多段ヒータ式のガラス化炉100は、3つのヒータを備える構成であるが、本発明の実施形態はヒータの数に限定されるものではない。ただし、ヒータの構成は、両端部と中央部に容易に温度差を付けられる構成であることが好ましく、たとえば、3つ以上の奇数個のヒータを備える構成、両端部加熱用のヒータを上下に備える構成、等が好ましい。
図6に示すように、石英炉心管101は、多孔質母材Paを内部に収容することができる容積を有し、内部に収容した多孔質母材Paを第1のヒータ102、第2のヒータ103、および第3のヒータ104により加熱する。第1のヒータ102、第2のヒータ103、および第3のヒータ104は、多孔質母材Paを石英炉心管101の内部に収容した際に、多孔質母材Paの長手方向に沿って配列されている。そして、第1のヒータ102、第2のヒータ103、および第3のヒータ104は、それぞれ多孔質母材Paの上段、中段、および下段を加熱する。また、石英炉心管101の内部に収容された多孔質母材Paは、支持棒108を介して回転昇降装置114により回転駆動される。回転昇降装置114は、回転速度および昇降速度を設定することができるが、この実施形態では、熱処理中に多孔質母材Paの昇降は行わずに、石英炉心管101内の所定位置に多孔質母材Paを配置した状態で回転のみさせて熱処理する。
ここで、第1のヒータ102および第3のヒータ104の出力を、第2のヒータ103の出力よりも大きくした場合、多孔質母材Paの両端部の方が中央部よりも強く加熱され、結果、多孔質母材Paの両端部の内部温度が中央部の内部温度よりも先に昇温する。
したがって、図6に示す多段ヒータ式のガラス化炉100は、多孔質母材Paの長手方向両端部の内部温度が長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温するような脱水工程を実施するために好適な構成を有している。
さらに、石英炉心管101には、ガス導入口105およびガス排出口106が設けられ、石英炉心管101の内部に、例えば脱水効果を有する塩素(Cl)と不活性ガスであるヘリウム(He)を導入することができる。これにより、石英炉心管101の内部に収容された多孔質母材Paを脱水することができる。
なお、ガス導入口105を介して石英炉心管101の内部へ導入するガスの種類はこれに限らず、多孔質母材Paにフッ素をドープする際には、四フッ化珪素(SiF)等のフッ素を含むガスを導入する。また、ヘリウムの代わりに窒素(N)を用いてもよい。
さらに、石英炉心管101に真空ポンプ107を接続し、石英炉心管101内を減圧しながら多孔質母材Paを熱処理することもできる。
図7は、第1実施形態に係る脱水工程の温度履歴の例を示すグラフである。なお、図7に示されるグラフでは、横軸を脱水工程の時間tとし、縦軸を温度Tとしている。図7に示す温度履歴は、多孔質母材の(A)母材表面および(B)母材内部に関するものであり、それぞれについて、多孔質母材の長手方向に関する(a)上段、(b)中段、および(c)下段が記載されている。なお、(a)上段および(c)下段における(B)母材内部温度は、先述の図3にて図示したように、テーパ部の外径が平行部の外径の50%になる長手方向位置における中心軸と表面との中間位置mtの温度であり、(b)中段における(B)母材内部温度は、長手方向中央位置における中心軸と表面との中間位置mcの温度である。
図7に示す(A)母材表面の温度履歴から理解できるように、第1実施形態に係る脱水工程では、多孔質母材の(a)上段および(c)下段の表面温度の方が、(b)中段よりも早く昇温される。具体的には、多孔質母材の(a)上段および(c)下段の表面温度は、常温Tから1200℃まで10000℃/hrの速さで昇温されるのに対し、(b)中段は、常温Tから1200℃まで4400℃/hrの速さで昇温される。上述のように、第1実施形態に係る脱水工程では、多段ヒータ式のガラス化炉100の第1のヒータ102および第3のヒータ104の出力を、第2のヒータ103の出力よりも大きくしているからである。
さらに、(B)母材内部の温度履歴から理解できるように、第1実施形態に係る脱水工程では、多孔質母材の(a)上段および(c)下段の内部温度の方が、(b)中段よりも早く昇温される。具体的には、多孔質母材の(a)上段および(c)下段の内部温度は、常温Tから1200℃まで4400℃/hrの速さで昇温されるのに対し、(b)中段は、常温Tから1200℃まで2040℃/hrの速さで昇温される。
なお、このとき(a)上段および(c)下段と(b)中段とにおける(B)母材内部の温度の最大温度差は600℃であり、加熱開始後t=45分で、長手方向両端部の内部温度と中央部の内部温度の差がゼロになった。
上記温度履歴の脱水工程を行った多孔質母材にてクラック発生率を検査したところ、以下のような結果が得られた。検査に用いた多孔質母材は、外径が50mmかつ長さが2000mmであるコアロッドの外周に、平均嵩密度が0.65g/cmの多孔質層をOVD法により堆積させて作製したものである。また、作製された多孔質母材の平行部の外径は270mmである。この多孔質母材を上記温度履歴にて、脱水時間が5時間の脱水工程を行ったところ、クラック発生率は0.1%以下となり、後に提示する比較例と比べて有意な効果が奏されることが示された。
〔第2実施形態〕
次に、図8〜11を参照しながら、第2実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法について説明する。ただし、第1実施形態と同様に、基本実施形態と同一の構成および同一の性質に関しては、以下の説明では省略するものとする。
図8は、第2実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法に用いられるガラス化炉の例である、ストローク式のガラス化炉の概略構成を示す図である。図8に示すストローク式のガラス化炉は、第2実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法において、脱水工程および焼結工程にて用いられる。また、脱水工程と焼結工程との間にドープ工程を設ける場合には、ドープ工程においても用いられる。
図8に示すように、ストローク式のガラス化炉200は、石英ガラス製の密閉可能な容器である石英炉心管201と、この石英炉心管201の周囲に設けられた発熱体である環状のヒータ202とを備える。ヒータ202は、石英炉心管201における最高温度位置Xの上下の所定範囲を加熱するためのものであり、炉体20に全体が覆われている。また、炉体209とヒータ202の間には断熱材210が備えられている。
石英炉心管201は、多孔質母材Paを内部に収容することができるとともに、多孔質母材Paの製品部分の全長が最高温度位置Xに位置できる容積および長さを有し、内部に収容した多孔質母材Paは、石英炉心管201の外部から支持棒203を介して回転昇降装置204によって保持されている。
回転昇降装置204は、内部に収容されている多孔質母材Paを回転および昇降駆動させて、多孔質母材Paとヒータ202との相対位置を変える動作を行う。回転昇降装置204は、回転速度および昇降速度を制御することができる。なお、ストローク式のガラス化炉200には、多孔質母材Paを昇降させるのではなく、ヒータ202の方を昇降させる方式のものもある。本実施形態は、ヒータ202の方を昇降させる方式に対しても適用可能である。
さらに、石英炉心管201には、ガス導入口205およびガス排出口206が設けられ、石英炉心管201の内部に、例えばClおよびHeを導入することができる。なお、ガス導入口205を介して石英炉心管201の内部へ導入するガスの種類はこれに限らず、多孔質母材Paにフッ素をドープする際には、SiF等のフッ素を含むガスを導入することにも用いられる。また、Heの代わりにNを用いてもよい。
図9は、第2実施形態における多孔質母材の加熱方法を概念的に説明する図である。図9では、多孔質母材Paの長手方向に関するヒータ202の最高温度位置Xの軌跡を矢印で示している。図9に示すように、第2実施形態では、ヒータ202の最高温度位置Xと多孔質母材Paとの相対位置を長手方向に繰り返し往復させて多孔質母材Paを加熱する。すなわち、図9に示すガラス化炉200を用いた場合、多孔質母材Paを石英炉心管201内で上下に繰り返し往復移動させる。これにより、多孔質母材Paの両端部の方が中央部よりも強く加熱され、結果、多孔質母材Paの両端部の内部温度が中央部の内部温度よりも先に昇温する。
回転昇降装置204による多孔質母材Paの反復周期は、長手方向両端部の内部温度が一定の温度差以内となるように、所定周期に設定される。反復周期が長い場合、ヒータ202の最高温度位置Xにより加熱された多孔質母材Paが、次ストローク時までに冷えてしまい、多孔質母材Paの長手方向両端部で温度差が発生することにより応力が発生してしまうからである。なお、図9では最高温度位置Xがテーパ部に到達した後すぐに相対位置を反転させているが、多孔質母材Paの長手方向両端部での温度差が所定の範囲となる範囲であれば、最高温度位置Xがテーパ部に到達した状態で所定の時間停止した後、反転させてもよい。
多孔質母材Paの長手方向両端部の内部で温度差が800℃以下であれば、応力の発生が抑えることができる。これは、例えば多孔質母材Paの反復周期を1時間で1回以上の往復とすることで実現できる。また、回転昇降装置204に過度の負荷を掛けないためには、多孔質母材Paの反復周期は、1時間で60回以下の往復であることが好ましい。
なお、石英炉心管201には、ガス導入口205およびガス排出口206が設けられているので、脱水効果を有する塩素と不活性ガスであるヘリウムを導入し、石英炉心管201の内部に収容された多孔質母材Paを脱水することができる。
図10は、第2実施形態に係る脱水工程の温度履歴の例を示すグラフである。なお、図10に示されるグラフでは、横軸を脱水工程の時間tとし、縦軸を温度Tとしている。図10に示す温度履歴は、多孔質母材の(A)母材表面および(B)母材内部に関するものであり、それぞれについて、多孔質母材の長手方向に関する(a)上段、(b)中段、および(c)下段が記載されている。なお、(a)上段および(c)下段における(B)母材内部温度は、先述の図3にて図示したように、テーパ部の外径が平行部の外径の50%になる長手方向位置における中心軸と表面との中間位置mtの温度であり、(b)中段における(B)母材内部温度は、長手方向中央位置における中心軸と表面との中間位置mcの温度である。
図10に示す(A)母材表面の温度履歴から理解できるように、第2実施形態に係る脱水工程では、多孔質母材の(a)上段、(b)中段、および(c)下段の表面温度は、周期的に温度が上下する。これは、ヒータ202の最高温度位置Xの相対位置が長手方向に反復移動するからである。ヒータ202の最高温度位置Xにおける最高温度は1215℃であり、最高温度まで加熱される周期tは5分間隔である。つまり、回転昇降装置204による多孔質母材の反復周期は、1時間に12回往復する周期である。
一方、(B)母材内部の温度履歴から理解できるように、第2実施形態に係る脱水工程では、多孔質母材の(a)上段および(c)下段の内部温度の方が、(b)中段よりも早く昇温される。具体的には、多孔質母材の(a)上段および(c)下段の内部温度は、常温Tから1215℃まで2230℃/hrの速さで昇温されるのに対し、(b)中段は、常温Tから1215℃まで1115℃/hrの速さで昇温される。多孔質母材の(a)上段および(c)下段は、テーパ形状となっているので多孔質層の厚さが薄く、表面温度の温度差よりも内部温度の方がより早く昇温されるからである。
なお、このとき(a)上段および(c)下段と(b)中段とにおける(B)母材内部の温度の最大温度差は600℃であり、加熱開始後t=45分で、長手方向両端部の内部温度と中央部の内部温度の差がゼロになった。
上記温度履歴の脱水工程にてクラック発生率を検査したところ、以下のような結果が得られた。検査に用いた多孔質母材は、外径が50mmかつ長さが2000mmであるコアロッドの外周に、平均嵩密度が0.65g/cmの多孔質層をOVD法により堆積させて作製したものである。また、作製された多孔質母材の平行部の外径は270mmである。この多孔質母材を上記温度履歴にて、脱水時間が6時間の脱水工程を行ったところ、クラック発生率は0.1%以下となり、後に提示する比較例と比べて有意な効果が奏されることが示された。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法について説明する。ただし、第3実施形態は、第1実施形態で説明した多段ヒータ式のガラス炉を用いた実施形態であるので、重複説明を省略するために、装置構成については図6を参照する。
第3実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法は、第1実施形態に光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法の脱水工程と焼結工程との間にドープ工程を設けた実施形態である。すなわち、第3実施形態に係るガラス化工程は、第1の熱処理工程である脱水工程と、第2の熱処理工程であるドープ工程と、最後(第3)の熱処理工程である焼結工程とを含んでいる。
図11は、第3実施形態に係るガラス化工程の温度履歴の例を示すグラフである。なお、図11に示されるグラフでは、横軸を工程の時間tとし、縦軸を温度Tとしている。図11に示すように、脱水工程(I)と焼結工程(I)との間にドープ工程(I)を設けた場合、ドープ工程と焼結工程との間の温度状況に起因して、クラックの発生率が高まってしまう。例えば、図11に示す例では、1200℃で行われた脱水工程の後に、1280℃でドープ工程を行っている。なお、焼結工程は、先述のように1400℃〜1600℃で行われる。
そこで、第3実施形態では、脱水工程と焼結工程との間のドープ工程でも、多孔質母材Paの長手方向両端部の内部温度が長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温するように加熱を行う。
図6に示す多段ヒータ式のガラス化炉100の石英炉心管101には、ガス導入口105およびガス排出口106が設けられている。よって、多孔質母材Paにフッ素をドープする際には、石英炉心管101の内部に四フッ化珪素(SiF)等のフッ素を含むガスを導入することが可能である。
また、図6に示す多段ヒータ式のガラス化炉100の第1のヒータ102、第2のヒータ103、および第3のヒータ104は、それぞれ独立に制御可能であり、異なる設定温度および昇温速度で加熱制御される。
したがって、第3実施形態に係るドープ工程では、第1のヒータ102および第3のヒータ104の出力を、第2のヒータ103の出力よりも大きくした場合、多孔質母材Paの両端部の方が中央部よりも強く加熱され、ガス導入口105から石英炉心管101の内部に四フッ化珪素(SiF)等のフッ素を含むガスを導入することにより、多孔質母材Paにフッ素をドープする。
具体的には、第3実施形態に係るドープ工程では、多孔質母材Paの表面温度は、例えば、1200℃から1280℃まで300℃/hrの速さで昇温される。そして、多孔質母材Paの上段および下段の内部温度は、1280℃まで200℃/hrの速さで昇温されるのに対し、中段では、150℃/hrの速さで昇温される。なお、1280℃まで昇温されたのちの継続時間は2時間である。
上記第3実施形態に係るドープ工程でも、多孔質母材Paの長手方向両端部の内部温度が長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温するように加熱されるので、クラック発生率が0.1%以下に抑えられる。
以下、本発明の実施形態と比較例とを比較することにより、本発明の効果を検証する。
〔比較例1〕
図12は、ストローク式のガラス化炉にて多孔質母材を下端から1度だけ最高温度位置を通過させ、脱水工程を実施した場合の温度履歴の例を示すグラフである。なお、図12に示されるグラフでは、横軸を脱水工程の時間tとし、縦軸を温度Tとしている。図12に示す温度履歴は、多孔質母材の(A)母材表面および(B)母材内部に関するものであり、それぞれについて、多孔質母材の長手方向に関する(a)上段、(b)中段、および(c)下段が記載されている。なお、(B)母材内部における温度測定位置は、第1実施形態および第2実施形態と同じである。
図12に示すように、従来技術に従う脱水工程では、(A)母材表面の温度が、(c)下段、(b)中段、(a)上段の順で加熱される。これは、ストローク式のガラス化炉における最高温度位置が下端から上端まで1度だけ移動することに起因する。
また、従来技術に従う脱水工程では、最高温度位置を1度だけ通過させて脱水工程の加熱を行うので、(B)母材内部の温度も、(c)下段、(b)中段、(a)上段の順で加熱される。その結果、(a)上段における(B)母材内部の温度が最高位置に至る時には、(c)下段における(B)母材内部の温度が低下してしまう。この多孔質母材の長手方向両端の温度差が応力を発生し、クラックの発生につながってしまう。
なお、上記脱水工程では、(a)上段、(b)中段、および(c)下段の(B)母材内部の昇温速度は、それぞれ203℃/hr、405℃/hr、および2430℃/hrである。また、上記条件の脱水工程を組み入れた光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法では、クラックの発生率が1.0%以上である。
以上の従来技術例と先述の第2実施形態とを比較すると明らかなように、従来技術例ではクラックの発生率が1.0%以上であったものが、第2実施形態ではクラックの発生率が0.1%以下となり、クラックの発生率が4分の1以下に抑制されている。
〔比較例2〕
図13は、多段ヒータ式のガラス化炉にて各段のヒータが同出力で脱水工程を実施した場合の温度履歴の例を示すグラフである。なお、図13に示されるグラフでは、横軸を脱水工程の時間tとし、縦軸を温度Tとしている。また、Tは常温を示している。図13に示す温度履歴は、多孔質母材の(A)母材表面および(B)母材内部に関するものであり、それぞれについて、多孔質母材の長手方向に関する(a)上段、(b)中段、および(c)下段が記載されている。なお、(B)母材内部における温度測定位置は、第1実施形態および第2実施形態と同じである。
図13に示すように、従来技術に従う脱水工程では、(A)母材表面の温度が、(c)下段、(b)中段、(a)上段で同様に加熱される。これは、多段ヒータ式のガラス化炉にて従来技術に従う脱水工程を実施した場合、複数あるヒータを同時に同出力で加熱することに起因する。
一方、(B)母材内部の温度は、(b)中段が、(a)上段および(c)下段よりも先に昇温される。これは、(a)上段のさらに上、(c)下段のさらに下には低温領域があることによるためである。
なお、上記脱水工程では、(a)上段および(c)下段の(B)母材内部の昇温速度は、2040℃/hrであり、(b)中段の(B)母材内部の昇温速度は、4080℃/hrである。また、上記条件の脱水工程を組み入れた光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法では、クラックの発生率が0.4%以上である。
以上の従来技術例と先述の第1実施形態とを比較すると明らかなように、従来技術例ではクラックの発生率が0.4%以上であったものが、第1実施形態ではクラックの発生率が0.1%以下となり、クラックの発生率が4分の1以下に抑制されている。
以上のように、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法は、クラック発生の少ない光ファイバ母材および光ファイバを製造する用途に有用である。
11 バーナ
12 ガス
100 ガラス化炉
101 石英炉心管
102 第1のヒータ
103 第2のヒータ
104 第3のヒータ
105 ガス導入口
106 ガス排出口
107 真空ポンプ
108 支持棒
109 炉体
110 断熱材
200 ガラス化炉
201 石英炉心管
202 ヒータ
203 支持棒
204 回転昇降装置
205 ガス導入口
206 ガス排出口
207 真空ポンプ
209 炉体
210 断熱材
Pa 多孔質母材
Pb 光ファイバ母材
Rc コアロッド
Rd ダミーロッド
P1,P2 多孔質層
P3,P4 ガラス層
F 光ファイバ

Claims (9)

  1. コアロッドの外周にシリカ微粒子を堆積させて多孔質母材を形成する工程と、前記多孔質母材を複数回の熱処理工程によりガラス化するガラス化工程と、を含む光ファイバ母材の製造方法であって、
    前記複数回の熱処理工程のうち最初の熱処理工程である第1の熱処理工程では、前記多孔質母材の長手方向両端部の内部温度が長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温するように前記多孔質母材を加熱することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記第1の熱処理工程は、前記多孔質母材の長手方向に複数のヒータが設けられた装置で行い、前記複数のヒータのうち、前記長手方向中央部を加熱するヒータよりも前記長手方向両端部を加熱するヒータの出力を先に大きくすることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  3. 前記第1の熱処理工程は、前記多孔質母材の長手方向の一部区間を加熱するようにヒータが設けられた装置で行い、前記ヒータと、前記多孔質母材の長手方向に関する相対位置とが、所定周期で繰り返し反復移動されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  4. 前記多孔質母材の長手方向の内部温度の温度差が800℃以下となるように前記多孔質母材を加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  5. 前記第1の熱処理工程では、前記多孔質母材の長手方向両端部の内部温度の昇温速度が6000℃毎時以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  6. 前記第1の熱処理工程は、不活性ガスとハロゲンガスとを含む雰囲気にて1400℃未満で前記多孔質母材を熱処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  7. 前記複数回の熱処理工程のうち最後の熱処理工程では、不活性ガスを含む雰囲気にて1400℃以上で前記多孔質母材を熱処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  8. 前記複数回の熱処理工程のうち最後の熱処理工程以外では、前記多孔質母材の長手方向両端部の内部温度が長手方向中央部の内部温度よりも先に昇温するように前記多孔質母材を加熱することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法にて製造された光ファイバ母材を線引きすることにより光ファイバを製造することを特徴とする光ファイバの製造方法。
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