JP2022148517A - 光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバ母材の製造装置 - Google Patents

光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバ母材の製造装置 Download PDF

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【課題】光ファイバ母材にゲルマニウムを効率的に添加することができる光ファイバ母材の製造方法を提供する。【解決手段】光ファイバ母材の製造方法は、バーナに供給された可燃性ガスの燃焼により得られる火炎内でガラス原料ガスからガラス微粒子を生成し、ガラス微粒子を堆積させて中空の多孔質ガラス母材を作製するガラス微粒子堆積工程と、多孔質ガラス母材を加熱して透明ガラス化するガラス化工程と、を備える。ガラス化工程では、多孔質ガラス母材の中空内側に第1ガスを導入すると共に多孔質ガラス母材の外側に第2ガスを導入する。第1ガスは、ゲルマニウムを含むガスを含み、第2ガスは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを含む。【選択図】図3

Description

本開示は、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバ母材の製造装置に関する。
特許文献1には、塩素やゲルマニウムがドープされたコア部と当該コア部を囲むクラッド部とを備えた光ファイバ母材の製造方法が開示されている。特許文献2には、二酸化ゲルマニウム(GeO)を含むシリカガラス系の光ファイバの焼結工程において、脱水時に四塩化ゲルマニウム(GeCl)を導入することで、多孔質ガラス母材に含まれる二酸化ゲルマニウムが低減することなく脱水が可能となることが開示されている。
米国特許出願公開第2019/0369325号明細書 特開2003-112939号公報
コア部に二酸化ゲルマニウム(GeO)がドープされた光ファイバ母材を製造する場合、スス付け工程において四塩化ゲルマニウム(GeCl)を導入して添加することが行われている。しかしながら、この製造方法では、スス付け工程において使用された四塩化ゲルマニウムのうち、多孔質シリカ母材に付着せずに廃棄されてしまう四塩化ゲルマニウムも多くあることから、多量の四塩化ゲルマニウムを導入する必要がある。また、多孔質シリカ母材の脱水工程において、脱水のために導入される塩素ガス(Cl)が多孔質シリカ母材中のゲルマニウムと反応してしまい、ゲルマニウムが飛散してしまうこともある。そこで、光ファイバ母材にゲルマニウムを効率的に添加する方法が望まれている。
本開示は、光ファイバ母材にゲルマニウムを効率的に添加することができる、光ファイバ母材の製造方法及び光ファイバ母材の製造装置を提供することを目的とする。
本開示は、光ファイバ母材の製造方法に関する。この製造方法は、バーナに供給された可燃性ガスの燃焼により得られる火炎内でガラス原料ガスからガラス微粒子を生成し、ガラス微粒子を堆積させて中空の多孔質ガラス母材を作製するガラス微粒子堆積工程と、多孔質ガラス母材を加熱して透明ガラス化するガラス化工程と、を備える。ガラス化工程では、多孔質ガラス母材の中空内側に第1ガスを導入すると共に多孔質ガラス母材の外側に第2ガスを導入する。第1ガスは、ゲルマニウムを含むガスを含み、第2ガスは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを含む。
本開示は、光ファイバ母材の製造装置に関する。この製造装置は、中空の多孔質ガラス母材を収容するための炉心管と、多孔質ガラス母材を加熱して透明ガラス化するためのヒータと、多孔質ガラス母材の中空内側に第1ガスを導入すると共に多孔質ガラス母材の外側に第2ガスを導入するように構成されたガス導入装置と、を備える。第1ガスは、ゲルマニウムを含むガスを含み、第2ガスは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを含む。
本開示によれば、光ファイバ母材にゲルマニウムを効率的に添加することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係る製造方法によって製造される光ファイバ母材の例示的な断面図である。 図2Aは、光ファイバ母材の製造方法の一工程を示す模式図である。 図2Bは、光ファイバ母材の製造方法の一工程を示す模式図である。 図2Cは、光ファイバ母材の製造方法の一工程を示す模式図である。 図2Dは、光ファイバ母材の製造方法の一工程を示す模式図である。 図2Eは、光ファイバ母材の製造方法の一工程を示す模式図である。 図3は、本開示の一実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法におけるガラス化工程を説明するための模式図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
本開示の一実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法は、バーナに供給された可燃性ガスの燃焼により得られる火炎内でガラス原料ガスからガラス微粒子を生成し、ガラス微粒子を堆積させて中空の多孔質ガラス母材を作製するガラス微粒子堆積工程と、多孔質ガラス母材を加熱して透明ガラス化するガラス化工程と、を備える。ガラス化工程では、多孔質ガラス母材の中空内側に第1ガスを導入すると共に多孔質ガラス母材の外側に第2ガスを導入する。第1ガスは、ゲルマニウムを含むガスを含み、第2ガスは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを含む。
この光ファイバ母材の製造方法では、ガラス化工程において、多孔質ガラス母材の中空内側にゲルマニウムを含むガスを導入する。この場合、多孔質ガラス母材の中空内側、即ち略閉じられた空間内において、コア部に向かってゲルマニウムを添加する形となるため、スス付け工程で多孔質ガラス母材に付着しないゲルマニウムの量を減らすことができる。しかも、このようなゲルマニウムの添加をガラス化工程において行うため、所定の加熱雰囲気下でゲルマニウムが添加されることになり、ゲルマニウムの添加が促進される。また、ガラス化工程で加熱されることにより飛散するゲルマニウムの量を減らすことができる。以上により、この方法によれば、光ファイバ母材にゲルマニウムを効率的に添加することができる。なお、この製造方法によれば、ガラス化工程で効率的にゲルマニウムを添加でき、また既に添加されているゲルマニウムの飛散を防止できるため、その前工程であるガラス微粒子堆積時に用いるゲルマニウムの量を少なく又は無くすことが可能となる。その結果、光ファイバ母材の製造全体で用いるゲルマニウムの量を減らし、これにより、光ファイバ母材をより低コストで作製することができる。
一実施形態として、ゲルマニウムを含むガスの第1分圧が、第2ガスであるゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスの第2分圧よりも高くてもよい。この場合、ガラス化工程において、多孔質ガラス母材へのゲルマニウムの添加をより促進して、光ファイバ母材にゲルマニウムをより効率的に添加することが可能となる。
一実施形態として、ゲルマニウムを含むガスは、気化された二塩化ゲルマニウム(GeCl)又は四塩化ゲルマニウム(GeCl)であってもよい。二塩化ゲルマニウム又は四塩化ゲルマニウムであれば、汎用品であるため、容易に入手することができる。
一実施形態として、第2ガスであるゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスは、塩素(Cl)又は四塩化ケイ素(SiCl)であってもよい。この場合、多孔質ガラス母材からのOH基の除去をより確実に行うことができる。
一実施形態として、第1ガスは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを更に含んでもよく、ガラス化工程では、第1ガスとして、ゲルマニウムを含むガスとゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスとを多孔質ガラス母材の中空内側に導入してもよい。この場合、ガラス化工程において、多孔質ガラス母材(例えばコア部)へ更に塩素を添加することも可能となる。なお、上記ガスの導入においては、ゲルマニウムを含むガスとゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスとを同時に導入してもよいし、順に導入してもよいし、交互に導入してもよい。
一実施形態として、ガラス微粒子堆積工程では、平均嵩密度が0.1g/cm以上1.0g/cm以下となるように多孔質ガラス母材を作製すると共に、多孔質ガラス母材の径方向の任意の位置に、厚さ10μm以上1000μm以下であって且つ嵩密度が1.5g/cm以上2.2g/cm以下である周状のバリア層を設けてもよい。この場合、バリア層の径方向の内側の第1ガスの第1分圧と、バリア層の径方向の外側の第2ガスの第2分圧とを容易に異ならせることができ、例えば、多孔質ガラス母材の中空内側に導入される第1ガスの分圧を高めてゲルマニウムを含むガスを導入することができる。なお、多孔質ガラス母材の平均嵩密度が0.1g/cm以上であることにより、多孔質ガラス母材のスス割れの発生を防止しやすくなり、また、多孔質ガラス母材の平均嵩密度が1.0g/cm以下であることにより、脱水工程での脱水処理を行いやすくなる。
一実施形態として、第1ガス及び第2ガスの少なくとも一方は、酸素原子を含むガスを更に含んでもよく、ガラス化工程では、第1ガス又は第2ガスとして、酸素原子を含むガスを導入してもよい。この場合、多孔質ガラス部材に導入されるゲルマニウムを吸収されやすい二酸化ゲルマニウム(GeO)にして、多孔質ガラス母材に添加されるゲルマニウムの量を更に増やすことが可能となる。
一実施形態として、ガラス化工程は、多孔質ガラス母材を脱水する脱水工程と、脱水された多孔質ガラス母材を焼結する焼結工程とを有してもよく、脱水工程において、多孔質ガラス母材の脱水処理を行いつつ多孔質ガラス母材の中空内側にゲルマニウムを含むガスを導入してもよい。この場合、ゲルマニウムの添加と脱水処理とを同時に行うことができ、ガラス化工程の時間を短縮できる。その結果、光ファイバ母材の製造コストを更に低減できる。
本開示の一実施形態に係る光ファイバ母材の製造装置は、中空の多孔質ガラス母材を収容するための炉心管と、多孔質ガラス母材を加熱して透明ガラス化するためのヒータと、多孔質ガラス母材の中空内側に第1ガスを導入すると共に多孔質ガラス母材の外側に第2ガスを導入するように構成されたガス導入装置と、を備える。第1ガスは、ゲルマニウムを含むガスを含み、第2ガスは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを含む。
この光ファイバ母材の製造装置は、多孔質ガラス母材の中空内側にゲルマニウムを含むガスを導入するように構成されている。この場合、多孔質ガラス母材の中空内側、即ち略閉じられた空間内において、コア部に向かってゲルマニウムを添加する形となるため、スス付けの際に多孔質ガラス母材に付着しないゲルマニウムの量を減らすことができる。しかも、このようなゲルマニウムの添加を透明ガラス化するためのヒータを備えた装置で行うため、所定の加熱雰囲気下でゲルマニウムを添加でき、ゲルマニウムの添加を促進できる。また、ガラス化工程で加熱することにより飛散するゲルマニウムの量を減らすことができる。以上により、この製造装置によれば、光ファイバ母材にゲルマニウムを効率的に添加することができる。また、この製造装置によれば、ガラス化工程で効率的にゲルマニウムを添加できるため、その前工程であるガラス微粒子堆積時に用いるゲルマニウムの量を少なく又は無くすことが可能となる。その結果、光ファイバ母材の製造全体で用いるゲルマニウムの量を減らし、これにより、光ファイバ母材をより低コストで作製することができる。
光ファイバ母材の製造装置の一実施形態として、ガス導入装置は、ゲルマニウムを含むガスの第1分圧がゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスの第2分圧よりも高くなるように、第1ガス及び第2ガスを導入してもよい。この場合、多孔質ガラス母材へのゲルマニウムの添加をより促進することが可能となり、光ファイバ母材にゲルマニウムをより効率的に添加できる。
光ファイバ母材の製造装置の一実施形態として、ゲルマニウムを含むガスは、気化された二塩化ゲルマニウム又は四塩化ゲルマニウムであってもよい。二塩化ゲルマニウム又は四塩化ゲルマニウムであれば、汎用品のため、容易に入手することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示に係る光ファイバ母材の製造方法及び製造装置の具体例を以下に図面を参照して説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1を参照して、本開示の一実施形態に係る製造方法によって製造される光ファイバ母材の一例を説明する。光ファイバ母材10は、図1に示すように、コア部11、クラッド部12、ジャケット部13、及びバリア層14を備える。コア部11は、例えばシリカ系ガラスからなる。コア部11には、例えば、ゲルマニウム(Ge)及び塩素(Cl)の少なくとも一種が添加され、クラッド部12より屈折率が高くなるように構成される。コア部11にはアルカリ金属群が添加されてもよい。クラッド部12は、コア部11の外側に設けられ、コア部11を取り囲むように構成される。ジャケット部13は、クラッド部12の外側に設けられ、クラッド部12を取り囲むように構成される。クラッド部12及びジャケット部13は、例えばシリカ系ガラスからなり、フッ素が添加されてもよい。ジャケット部13は、第2クラッド部として機能する部分であり、クラッド部12よりも屈折率が僅かに高く且つコア部11よりは屈折率が低くなるように構成される。
バリア層14は、コア部11及びクラッド部12の間に設けられた周方向及び軸方向に延びる層であり、コア部11及びクラッド部12より平均嵩密度が高められた層である。バリア層14は、例えばシリカ系ガラスからなり、クラッド部12と同等の屈折率を有する。コア部11、クラッド部12及びバリア層14を含むスス部分の平均嵩密度は、例えば0.1g/cm以上1.0g/cmであるが、バリア層14単体の平均嵩密度は、このスス部分の平均嵩密度より0.2g/cm以上高くなるように構成される。バリア層14の平均嵩密度は、例えば1.5g/cm以上2.2g/cm以下であってもよい。また、バリア層14は、例えば径方向の厚みが10μm以上1000μm以下となるように構成される。バリア層14は、スス付けの際のガラス微粒子堆積体の引上げ速度又は回転速度を遅くする等の調整により、作製することができる。なお、バリア層14の利用方法については後述する。
次に、図2Aから図2Eを参照して、光ファイバ母材10の製造方法について説明する。図2Aから図2Eは、光ファイバ母材の製造方法を順に示す模式図であり、OVD(Outside Vapor Deposition)法による製造方法を示す。OVD法で光ファイバ母材10を製造するには、まず、図2Aに示すように、横に設置されたバーナ21を用いて、上述したコア部11、クラッド部12及びバリア層14に対応するガラス微粒子堆積体10a(多孔質ガラス母材)を作製する。このガラス微粒子堆積工程では、スス付けにより、例えばアルミナ製のターゲット22の周囲にガラス微粒子を堆積させながら、ターゲット22を回転及び上下にトラバースさせて、ガラス微粒子堆積体10aを作製する。バーナ21は、一本のバーナであってもよいし、複数本のバーナから構成されてもよい。
より具体的には、バーナ21に供給される可燃性ガス(例えば水素)の燃焼により得られる火炎内でガラス原料ガスからガラス微粒子を生成し、ガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体10aを作製する。バーナ21には、可燃性ガスに加え、ガス供給システム(不図示)から供給されるガラス原料ガス(例えばSiClとGeCl)とOが導入される。コア部11を形成する際のコアスス付け時には、バーナ21から、四塩化ケイ素(SiCl)と酸水素に加えて、四塩化ゲルマニウム(GeCl)を供給する。クラッド部12を形成する際のクラッドスス付け時には、四塩化ゲルマニウム(GeCl)の供給を止め、バーナ21から四塩化ケイ素と酸水素を供給する。必要に応じて、バーナ21からフッ素を添加するためのガス(CF等)を添加してもよい。バリア層14を形成する場合には、コアとクラッドとの界面をスス付けする際に嵩密度が高いススが形成されるように、酸水素流量や四塩化ケイ素の流量又はトラバース速度を調整する。また、堆積面の温度が高くなるようにすることで、ススの嵩密度を上げてもよい。
バーナ21の火炎内では、以下に示す、ガラス原料ガスの加水分解反応および燃焼反応によりガラス微粒子(SiO)と屈折率調整用ドーパント(GeO)が生成され、火炎内で生成されるガラス微粒子が、バーナ21からガラス微粒子堆積体10aへ吹き付けられる。なお、本実施形態に係る製造方法では、ゲルマニウム等の高濃度添加を後の脱水工程等において行うため、ここで添加する屈折率調整用ドーパントであるGeOの量を減らす、又はここではゲルマニウムを添加しないことも可能である。
SiCl+2HO -> SiO+4HCl
GeCl+O -> GeO+2Cl
バーナ21から供給されるガスは、上述したようにコア形成時とクラッド形成時とでは異なっており、バーナ21から供給されるガラス原料ガスに含まれる屈折率調整用ドーパントの原料の種類が異なっている。例えば、クラッド部分に屈折率調整用ドーパントとしてフッ素(F)を添加する場合、ガラス原料ガスには四塩化ケイ素とともに四フッ化メタン(CF)が含まれる。ただし、クラッド部分の屈折率調整を行わない場合には、ガラス原料ガスに屈折率調整用ドーパントの原料は含まれていなくてもよい。なお、コア形成用のバーナとクラッド形成用のバーナとを別々に用意しておいてもよい。
続いて、スス付けが終了すると、図2Bに示すように、ターゲット22を引き抜いた上で、焼結炉23(炉心管)内にガラス微粒子堆積体10aを配置し、ヒータ24等を用いて、脱水工程及び焼結工程を含むガラス化工程を行う。脱水工程では、例えば1200℃にてガラス微粒子堆積体10aを加熱して脱水処理を行い、ガラス微粒子堆積体10a中のOH基を除去する。その後の焼結工程では、ヒータ24の温度を更に上げ、例えば1500℃にてガラス微粒子堆積体10aを焼結させて透明ガラス化し、ガラス焼結体10bとする。両工程では、ガラス微粒子堆積体10aを回転させながら下方に移動(トラバース)させることで、ヒータ24による加熱を実行する。なお、脱水工程を行う際、ガラス微粒子堆積体10aからターゲット22が引き抜かれ、軸方向に貫通する中空部16(図3も参照)がガラス微粒子堆積体10aに現出する。本開示に係る脱水工程及び焼結工程では脱水処理や焼結処理に加えて中空部16に所定のガスを導入する。ガス導入については、詳細は後述する。
続いて、図2Cに示すように、焼結された中空のガラス焼結体10bに対して装置25において中実化(コラプス)を行い、ガラス焼結体10bの中空部を埋めたガラス焼結体10bとする。その後、中実化されたガラス焼結体10bを所望の長さに延伸する。続いて、図2Dに示すように、中実化されて所望の長さに延伸されたガラス焼結体10bの外周にジャケット部13を設けるため、ジャケットスス付け工程を行う。ジャケットスス付け工程では、ジャケット用バーナ26により、ガラス焼結体10bのクラッド部12に対応する領域の外周にジャケットスス体が更に設けられ、ガラス微粒子堆積体10cが作製される。ジャケット用バーナ26は、バーナ21と略同様の構成である。
続いて、図2Eに示すように、ジャケットスス体を含むガラス微粒子堆積体10cが作製されると、ガラス微粒子堆積体10cをジャケット焼結炉27内に配置する。そして、ガラス微粒子堆積体10cを回転させながらヒータにより例えば1500℃に加熱し、ガラス微粒子堆積体10cを焼結させて、ガラス焼結体10dとする。このようにして、図1に示す光ファイバ母材10を得る。このような光ファイバ母材10からは、公知の線引き装置を用いた線引きを行うことにより、光ファイバを得ることができる。なお、上記では、OVD法を用いた例を説明したが、VAD(Vapor-phase Axial Deposition)法、又は、MCVD(ModifiedChemical Vaper Deposition)法を用いて光ファイバ母材10を作製してもよい。
次に、図2Bに示すガラス化工程で行われるゲルマニウムの添加(ドープ)方法について、図3を参照して、より詳細に説明する。図3は、一実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法におけるガラス化工程を示す模式図である。図3では、ガラス微粒子堆積体10aが収納される焼結炉23は省略されている。ガラス化工程で行われるゲルマニウムの添加方法では、ガラス微粒子堆積体10aの中空部16の内側に第1ガスAを導入すると共に、ガラス微粒子堆積体10aの外側に第2ガスBを導入する。内側に導入する第1ガスAは、例えばゲルマニウムを含むガスであり、外側に導入する第2ガスBは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスである。また、ガスが導入されるガラス微粒子堆積体10aのコア部11a及びクラッド部12aの間には、高嵩密度のバリア層14aが周方向及び軸方向に伸びるように設けられている。バリア層14aは、前述したように、その厚さが例えば10μm以上1000μm以下であり、嵩密度が例えば1.5g/cm以上2.2g/cm以下である。なお、コア部11a、クラッド部12a及びバリア層14aは、ガラス微粒子堆積体10aが光ファイバ母材10へと形成された際にそれぞれ、コア部11、クラッド部12及びバリア層14に対応する領域である。
このゲルマニウムの添加方法は、例えば、ガラス化工程の脱水工程において行われる。この添加方法では、図3に示すように、まずガラス微粒子堆積体10aの内側において軸方向に伸びる中空部16の一端16aに、ガス導入装置の一部を構成するガラスパイプ31を気密に嵌め込む。これにより、ガス導入装置の本体(不図示)からガラスパイプ31を介して中空部16内に第1ガスAを導入できるようになる。中空部16の他端16cは予め閉じられた形状になっており、下端まで伸びるバリア層14aにより、中空部16に導入された第1ガスAが排気装置32によって外部に排気されづらく(中空部16内に残り易く)なっている。但し、バリア層14aは、中空部16内に導入された第1ガスAを完全に通さないものではなく(図3の点線矢印を参照)、一部を透過させ、中空部16内の分圧を例えば0.002気圧以上10気圧以下となるように調整する。つまり、バリア層14aの厚みや嵩密度を調整することにより、時間当たりに透過する第1ガスAの量や中空部16内の分圧を調整できるようになっている。バリア層14aは、例えば、下端部分が軸方向に伸びる部分よりも嵩密度が低くなる又は厚みが薄く構成されてもよいし、下端部分にバリア層14aが設けられていなくてもよい。また、中空部16の他端16c(下端)は貫通していても良い。
図3に示す添加方法では、上記設定後、ヒータ24にて炉内温度を例えば1200℃に昇温する。ガラス微粒子堆積体10aの雰囲気温度が1200℃になると、ガス導入装置の本体からガラスパイプ31を介してガラス微粒子堆積体10aの中空部16内に、第1ガスAとして、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスとゲルマニウムを含むガスとを導入する。この際、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスとゲルマニウムを含むガスとを中空部16内に同時に導入してもよいし、順に導入してもよいし、交互に導入してもよいし、又は、ゲルマニウムを含むガスのみ導入してもよい。ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスは、例えば、塩素ガス(Cl)又は四塩化ケイ素(SiCl)である。ゲルマニウムを含むガスは、例えば、気化した二塩化ゲルマニウム(GeCl)又は四塩化ゲルマニウム(GeCl)である。二塩化ゲルマニウム又は四塩化ゲルマニウムを中空部16内に導入する際の濃度は、例えば0.2体積%以上100体積%以下であってもよい。また、二塩化ゲルマニウム又は四塩化ゲルマニウムを中空部16内に導入する際の分圧は、0.002気圧以上10気圧以下であってもよい。
また、第1ガスAとして二塩化ゲルマニウム又は四塩化ゲルマニウムを中空部16内に導入する際、同時に又はその前後に、酸素原子を含むガスを中空部16内に導入してもよい。酸素原子を含むガスは、例えば、酸素(O)又は水蒸気(HO)である。これらを導入することにより、ゲルマニウムが二酸化ゲルマニウム(GeO)となり、ガラス微粒子堆積体10a(コア部11a)へ吸収されやすくなり、ゲルマニウムの添加量を増やすことができる。その他、第1ガスAとして、ヘリウム(He)、窒素(N)、アルゴン(Ar)等を中空部16内へ導入してもよい。
一方、ガラス微粒子堆積体10aの外側には、第2ガスBとして、ガス導入装置の本体から四塩化ケイ素又は塩素ガスを導入する。脱水工程において、これら塩素ガスをガラス微粒子堆積体10aの外周に導入することにより、ガラス微粒子堆積体10a中のOH基が効率的に除去される。但し、ガラス微粒子堆積体10aの外周に導入される塩素系ガスの分圧は低いため、クラッド部12aへの塩素の積極的な添加は行われない。その他、第2ガスBとして、ヘリウム、窒素、アルゴン、酸素、又は水蒸気等を中空部16内へ導入してもよい。なお、脱水工程において第1ガスA及び第2ガスBを導入する際のガラス微粒子堆積体10aの雰囲気温度は、例えば1000℃以上1300℃以下の範囲であればよく、1200℃以外であってもよい。
脱水工程の次に実施する焼結工程において、上述した脱水工程と同様に、中空部16に第1ガスAとしてゲルマニウムを含むガス(気化した四塩化ゲルマニウム等)を導入してもよい。焼結工程では、より高い温度(例えば1300℃以上1600℃以下)の雰囲気下でのガス導入になるため、より多くのゲルマニウムをコア部11に添加することが可能である。焼結工程での第1ガスA及び第2ガスBの導入方法は脱水工程と同様であり、説明を省略する。なお、脱水工程でゲルマニウムの添加処理を行い、焼結工程ではゲルマニウムの添加処理を行わなくてもよい。
また、脱水工程と上述したゲルマニウムの添加工程とをガラス透明化工程において別々に行ってもよい。この場合は、脱水工程にて塩素ガスによりOH基を除去した後、ガラス微粒子堆積体10aの雰囲気温度を1000℃以上に保ったまま、中空部16へのゲルマニウムを含むガス等の導入を行う。更に、この場合においては、脱水工程とゲルマニウムの添加工程との間に仮収縮工程を入れてもよい。仮収縮工程では、ガラス微粒子堆積体10aに対して所定の加熱処理を行うことにより、嵩密度を高めることができる。
以上、本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法では、ガラス化工程において、ガラス微粒子堆積体10aの中空部16の内側にゲルマニウムを含むガスを導入している。このように、多孔質ガラス母材の中空内側、即ち略閉じられた空間内において、コア部11aに向かってゲルマニウムを添加するため、ガラス微粒子堆積体10aの内側において付着しないゲルマニウムの量を減らすことができる。しかも、このようなゲルマニウムの添加をガラス化工程において行うため、所定の加熱雰囲気下(例えば1000℃以上1600℃以下)でゲルマニウムが添加されることになり、ゲルマニウムの添加が促進される。また、この製造方法によれば、ガラス化工程でゲルマニウムを添加するため、その前工程であるガラス微粒子堆積時に用いるゲルマニウムの量を少なく又は無くすことが可能となる。その結果、光ファイバ母材をより低コストで作製することができる。
本実施形態では、ゲルマニウムを含むガスの第1分圧が、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスの第2分圧よりも高くなっている。このため、ガラス化工程において、ガラス微粒子堆積体10a(コア部11a)へのゲルマニウムの添加をより促進することが可能となり、光ファイバ母材にゲルマニウムをより効率的に添加することが可能となる。
本実施形態では、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスは、塩素又は四塩化ケイ素であってもよい。この場合、多孔質ガラス母材からのOH基の除去をより確実に行うことができる。
本実施形態では、第1ガスAは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを更に含んでもよく、ガラス化工程では、第1ガスとして、ゲルマニウムを含むガスとゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスとをガラス微粒子堆積体の中空部16内に導入してもよい。この場合、ガラス化工程において、ガラス微粒子堆積体10aへ塩素も添加することが可能となる。
本実施形態では、ガラス微粒子堆積工程では、平均嵩密度が0.1g/cm以上1.0g/cm以下となるようにガラス微粒子堆積体10aを作製すると共に、ガラス微粒子堆積体10aの径方向の任意の位置に、厚さ10μm以上1000μm以下であって且つ嵩密度が1.5g/cm以上2.2g/cm以下である周状のバリア層14を設けている。このため、バリア層14の径方向の内側の第1ガスAの第1分圧と、径方向の外側の第2ガスBの第2分圧とを容易に異ならせることができ、例えば、ガラス微粒子堆積体10aの中空部16内に導入される第1ガスAの分圧を高めてゲルマニウムを含むガスを導入することができる。なお、ガラス微粒子堆積体10aの平均嵩密度が0.1g/cm以上であることにより、ガラス微粒子堆積体10aのスス割れの発生を防止しやすくなり、また、ガラス微粒子堆積体10aの平均嵩密度が1.0g/cm以下であることにより、脱水工程での脱水処理を行いやすくなる。
本実施形態では、第1ガスA及び第2ガスBの少なくとも一方は、酸素原子を含むガス(例えばO又はHO)を更に含んでもよく、ガラス化工程では、第1ガスA又は第2ガスBとして、酸素原子を含むガスを導入してもよい。例えば第1ガスAとして、ゲルマニウムを含むガスに加えて、酸素原子を含むガスが更に導入される場合には、添加されるゲルマニウムを吸収されやすい二酸化ゲルマニウム(GeO)にして、ガラス微粒子堆積体10a(コア部11a)に添加されるゲルマニウムの量を更に増やすことが可能となる。
本実施形態では、ガラス化工程は、ガラス微粒子堆積体10aを脱水する脱水工程と、脱水されたガラス微粒子堆積体10aを焼結する焼結工程とを有してもよく、脱水工程において、ガラス微粒子堆積体10aの脱水処理を行いつつガラス微粒子堆積体10aの中空部16内にゲルマニウムを含むガスを導入してもよい。この場合、ゲルマニウムの添加と脱水処理を同時に行うことができ、ガラス化工程の時間を短縮化することができる。その結果、光ファイバ母材の製造コストを低減することもできる。
ここで、上述したゲルマニウム添加方法に関するシミュレーションによる実験結果について説明する。第1のシミュレーションでは、図3に示す構成を用いて脱水処理を行った場合を想定し、中空部16内へ導入するガスを変更して、コアとクラッドの比屈折率差を対比している(表1参照)。より具体的には、実験例1から実験例5では、中空部16へ導入する第1ガスAを0.5体積%の四塩化ゲルマニウムとヘリウムとの混合ガスとしているのに対し、実験例6から実験例10では、中空部16へ導入する第1ガスAを4体積%の塩素ガスとヘリウムとの混合ガスとしている。また、実験例1から実験例5の間では処理温度を1000℃から1400℃へと100℃ずつ変えている。実験例6から実験例10の間の処理温度も同様に変えている。なお、第2ガスBは脱水用の塩素ガスである。その他の条件は以下の通りである。
・図2Aに示すガラス微粒子を堆積するガラス微粒子堆積工程(スス付け工程)において、コアとクラッドとの比屈折率差が0.40%となる多孔質シリカ母材(上記したガラス微粒子堆積体10aに相当、以下同様。)を準備し、これを試験体とする。
・多孔質シリカ母材のサイズは、外径100mm×長さ1000mmであり、中空部16の内径が10mmである。
・多孔質シリカ母材のバリア層14aは、直径50mmの位置に嵩密度2.0g/cmで厚さ400μmのものを付与する。
・脱水工程における処理温度(加熱温度)は、表1に示す通りであり、トラバース速度は10mm/分とする。
Figure 2022148517000002
上記の表1の実験例6から実験例10から明らかなように、多孔質シリカ母材の中空部16内に塩素ガスを導入する場合、コアとクラッドの比屈折率差が大きく低減してしまう。これは、塩素ガスを導入することで、コア部11aに添加されているゲルマニウムが飛散して取り除かれたものと考えられる。一方、実験例1から実験例5から明らかなように、多孔質シリカ母材の中空部16内にゲルマニウムを含むガスである気化した四塩化ゲルマニウムを導入する場合、コアとクラッドの比屈折率差が低減しない。つまり、ゲルマニウムを含むガスを中空部16内に導入することで、コア部11aに添加されているゲルマニウムの飛散を抑制したり、又は更なるゲルマニウムをコア部11aに添加できることが確認される。
次に、脱水処理において、多孔質シリカ母材にバリア層14aを設けた場合とそうでない場合の第2のシミュレーションによる実験結果について説明する。第2のシミュレーションでは、実験例11として、図3に示す構成を用いて中空部16内へ第1ガスAを導入すると共に多孔質シリカ母材の外側に第2ガスBを導入する。第1ガスAは、0.5体積%の四塩化ゲルマニウムとヘリウムとの混合ガスであり、第2ガスBは、4体積%の塩素ガスとヘリウムとの混合ガスである。一方、実験例12では、実施例11と同じ構造の多孔質シリカ母材であって、バリア層が無いものを使用し、実験例11と同様に、中空部16内へ第1ガスAを導入すると共に多孔質シリカ母材の外側に第2ガスBを導入する。第1ガスAは、0.5体積%の四塩化ゲルマニウムとヘリウムとの混合ガスであり、第2ガスBは、4体積%の塩素ガスとヘリウムとの混合ガスである。その他の条件は以下の通りである。
・実験例11及び実験例12のガラス微粒子を堆積するガラス微粒子堆積工程(スス付け工程)では、コアとクラッドとの比屈折率差が0.40%となる多孔質シリカ母材を準備し、これらを試験体とする。
・多孔質シリカ母材のサイズは、外径100mm×長さ1000mmであり、実験例11、12の中空部16の内径は10mmである。
・実験例11のバリア層14aは、直径50mmの位置に、嵩密度2.0g/cmで厚さ400μmのものを付与する。なお、実験例12の多孔質シリカ母材はバリア層を有しない。
・脱水工程における処理温度(加熱温度)は、表2に示す通りであり、トラバース速度は10mm/分とする。
・第1ガスAの圧力は1気圧に固定とする。
Figure 2022148517000003
上記の表2の実験例12から明らかなように、当初のコアとクラッドの比屈折率差である0.4%を維持するのに、バリア層が無い場合は、多量の四塩化ゲルマニウムが必要となる。一方、実験例11から明らかなように、当初のコアとクラッドの比屈折率差である0.4%を維持するのに、バリア層があれば、中空部16内に導入するガスは、少量の四塩化ゲルマニウムで十分である。例えば、実験例12で必要とされる四塩化ゲルマニウムの量を100とする場合、実験例11で必要とされる四塩化ゲルマニウムの量は1.5程度である。
次に、ガラス微粒子堆積体10aの作製工程(スス付け工程)において、ゲルマニウムを添加しない多孔質シリカ母材に対して、脱水工程でゲルマニウムを添加する場合の第3のシミュレーションによる実験結果について説明する。第3のシミュレーションでは、実験例21として、図3に示す構成を用いて中空部16内へ4体積%の四塩化ゲルマニウムを導入し、一方、実験例22として、図3に示す構成を用いて中空部16内へ4体積%の塩素ガスを導入する。その他の条件は以下の通りである。
・実験例21及び実験例22のガラス微粒子を堆積するガラス微粒子堆積工程(スス付け工程)では、ゲルマニウムを添加せずに多孔質シリカ母材を作製する。
・多孔質シリカ母材のサイズは、外径100mm×長さ1000mmであり、中空部16の内径が10mmである。
・実験例21及び22のバリア層14aは、直径50mmの位置に、嵩密度2.0g/cmで厚さ400μmのものを付与する。
・脱水工程における処理温度(加熱温度)は、表3に示す通りであり、トラバース速度は10mm/分とする。
Figure 2022148517000004
上記の表3の実験例22から明らかなように、中空部16内にゲルマニウムを含むガス(四塩化ゲルマニウム等)を導入しない場合、例えば塩素ガスを導入する場合、コアとクラッドとの比屈折率差はゼロのままである。一方、実験例21から明らかなように、中空部16内にゲルマニウムを含むガスである四塩化ゲルマニウム等を導入する場合、コアとクラッドとの比屈折率差をゼロから0.04%以上に高めることができる。なお、実験例21において、酸素原子を含むガス(O又はHO等)を導入した場合、導入されたゲルマニウムが二酸化ゲルマニウムとなって吸収されやすくなり、コアとクラッドとの比屈折率差を更に高めることが可能と考えられる。
以上、本開示の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。
10…光ファイバ母材
10a,10c…ガラス微粒子堆積体(多孔質ガラス母材)
10b,10d…ガラス焼結体
11,11a…コア部
12,12a…クラッド部
13…ジャケット部
14,14a…バリア層
16…中空部
16a…一端
16c…他端
21…バーナ
22…ターゲット
23…焼結炉(炉心管)
24…ヒータ
25…装置
26…ジャケット用バーナ
27…ジャケット焼結炉
31…ガラスパイプ(ガス導入装置)
32…排気装置
A…第1ガス
B…第2ガス

Claims (11)

  1. バーナに供給された可燃性ガスの燃焼により得られる火炎内でガラス原料ガスからガラス微粒子を生成し、前記ガラス微粒子を堆積させて中空の多孔質ガラス母材を作製するガラス微粒子堆積工程と、
    前記多孔質ガラス母材を加熱して透明ガラス化するガラス化工程と、
    を備え、
    前記ガラス化工程では、前記多孔質ガラス母材の中空内側に第1ガスを導入すると共に前記多孔質ガラス母材の外側に第2ガスを導入し、
    前記第1ガスは、ゲルマニウムを含むガスを含み、前記第2ガスは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを含む、光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記ゲルマニウムを含むガスの第1分圧が前記第2ガスである前記ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスの第2分圧よりも高い、請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  3. 前記ゲルマニウムを含むガスは、気化された二塩化ゲルマニウム(GeCl)又は四塩化ゲルマニウム(GeCl)である、請求項1または請求項2に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  4. 前記第2ガスである前記ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスは、塩素(Cl)又は四塩化ケイ素(SiCl)である、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  5. 前記第1ガスは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを更に含み、
    前記ガラス化工程では、前記第1ガスとして、前記ゲルマニウムを含むガスと前記ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスとを前記多孔質ガラス母材の中空内側に導入する、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  6. 前記ガラス微粒子堆積工程では、平均嵩密度が0.1g/cm以上1.0g/cm以下となるように前記多孔質ガラス母材を作製すると共に、前記多孔質ガラス母材の径方向の任意の位置に、厚さ10μm以上1000μm以下であって且つ嵩密度が1.5g/cm以上2.2g/cm以下である周状のバリア層を設ける、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  7. 前記第1ガス及び前記第2ガスの少なくとも一方は、酸素原子を含むガスを更に含み、
    前記ガラス化工程では、前記第1ガス又は前記第2ガスとして、前記酸素原子を含むガスを導入する、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  8. 前記ガラス化工程は、前記多孔質ガラス母材を脱水する脱水工程と、前記脱水された多孔質ガラス母材を焼結する焼結工程とを有し、
    前記脱水工程において、前記多孔質ガラス母材の脱水処理を行いつつ前記多孔質ガラス母材の中空内側に前記ゲルマニウムを含むガスを導入する、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  9. 中空の多孔質ガラス母材を収容するための炉心管と、
    前記多孔質ガラス母材を加熱して透明ガラス化するためのヒータと、
    前記多孔質ガラス母材の中空内側に第1ガスを導入すると共に前記多孔質ガラス母材の外側に第2ガスを導入するように構成されたガス導入装置と、
    を備え、
    前記第1ガスは、ゲルマニウムを含むガスを含み、前記第2ガスは、ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスを含む、光ファイバ母材の製造装置。
  10. 前記ガス導入装置は、前記ゲルマニウムを含むガスの第1分圧が前記ゲルマニウムを含まずに塩素を含むガスの第2分圧よりも高くなるように、前記第1ガス及び前記第2ガスを導入する、
    請求項9に記載の光ファイバ母材の製造装置。
  11. 前記ゲルマニウムを含むガスは、気化された二塩化ゲルマニウム又は四塩化ゲルマニウムである、請求項9または請求項10に記載の光ファイバ母材の製造装置。
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