JP6622977B2 - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ母材の製造方法に関する。
光ファイバ母材の製造方法として、加圧成形法が知られている。特許文献1に記載の加圧成形法では、成形型の中にガラスロッド(光ファイバのコアの元となる棒状部材)を配置し、該ガラスロッドの周囲に石英系のガラス粉末を充填した後、該成形型に対して加圧することによって成形が行われる。
加圧後の成形体の強度を保つことを目的として、ガラス粉末にポリビニルアルコール(PVA)等の結合剤(バインダともいう)を添加することで得られる造粒粉体が用いられる。結合剤の粘着力がガラス粉末の粒子同士の接触による摩擦力を補強するため、成形体の強度が向上する。
そして、成形体に対して結合剤を除去する脱脂処理、水分等の不純物を除去する精製処理、および透明ガラス化処理を行うと、光ファイバ母材が得られる。
特開平9−71431号公報
加圧成形法では、成形型を加圧圧縮する際に、ガラス粉末(造粒粉体)の流れがガラスロッドに疎外されて均質にならず、部分的に僅かな密度ムラが残留する場合がある。特に特許文献1に記載の方法では成形型内に複数のガラスロッドが配置されるため、密度ムラが残留しやすい。静水圧等を用いて成形型に対して等方的に加圧を行ったとしても、この密度ムラを完全に解消して十分に均質にすることは難しい。密度ムラは特に成形体の両端で顕著に発生する。
密度ムラを有する成形体に対して脱脂処理により結合剤を除去すると、局所的(特に両端部分)に密度がやや低く、ガラス粒子同士の接触が弱いため脆く崩れやすい部分が生じ得る。このような脆い部分は、脱脂処理後に微小な亀裂が入る場合があり、破損しやすい。
そのため、従来の加圧成形法により作製される成形体は、脱脂処理に用いられる装置から透明ガラス化処理に用いられる装置へ搬送される際等に、破損する場合がある。
本発明は、上述の問題に鑑みて行われたものであって、製造過程での破損を抑制することが可能な光ファイバ母材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光ファイバ母材の製造方法は、ガラスロッド、ガラス粉末、および前記ガラス粉末を結合させる結合剤を含む成形体を準備する工程と、チャンバ内で前記結合剤を除去可能な第1の温度で前記成形体を加熱する脱脂工程と、前記脱脂工程後に、前記チャンバ内で前記第1の温度よりも高い第2の温度で前記成形体を加熱する硬化工程と、前記硬化工程後に、前記第2の温度よりも高いとともに前記ガラス粉末を透明ガラス化可能な第3の温度で前記成形体を加熱する透明ガラス化工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ母材の製造方法によれば、脱脂工程後に脱脂工程よりも高い温度で硬化工程を行うため、特に脱脂工程後に脆くなりやすい成形体の強度を向上させ、後続の工程における成形体の破損を抑制することができる。その結果、光ファイバ母材の製造に用いる装置の稼働率が上がるため、生産量の増加およびコスト削減を実現することができる。
第1の実施形態に係る成形体の側面図である。 第1の実施形態に係る成形体の断面図である。 第1の実施形態に係る脱脂装置の側面図である。 第1の実施形態に係る焼結装置の側面図である。 第1の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法のフローチャートを示す図である。 ガラス粉末の比表面積と硬化処理の温度との関係を示すグラフを示す図である。 第3の実施形態に係る脱脂焼結装置の側面図である。 第3の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法のフローチャートを示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態で用いられる成形体900の側面図である。成形体900は、一方向に延在する略円柱形状の柱部910と、柱部910の長手方向の両端に設けられる2つの支持部920とを備える。成形体900は、光ファイバ母材の元となる部材であり、後述する透明ガラス化処理を受けることによって光ファイバ母材となる。
図2(a)は図1のA−A線で切断した成形体900の断面図であり、図2(a)は図1のB−B線で切断した成形体900の断面図である。柱部910は、中心部分にガラスロッドである中心コアロッド930を備え、周辺部分に中心コアロッド930を取り囲む6本のガラスロッドである周辺コアロッド940を備える。中心コアロッド930および周辺コアロッド940は、それぞれ柱部910の長手方向に沿って設けられる。周辺コアロッド940の数は、任意の数でよい。また、周辺コアロッド940は省略され、中心コアロッド930のみが設けられてもよい。
中心コアロッド930は、一方向に延在する円柱形状の棒状部材であり、コア931と、コア931を取り囲むクラッド932とを備える。また、周辺コアロッド940は、一方向に延在する円柱形状の棒状部材であり、コア941と、コア941を取り囲むクラッド942とを備える。コア931、941は、例えばゲルマニウム等がドープされた屈折率の高い石英系ガラスや、ゲルマニウムとフッ素等の複数のドーパントによって形成される所望の屈折率分布を有する石英系ガラス等によって構成される。クラッド932、942は、例えば屈折率調整用のドーパントが添加されていない純石英ガラス等で構成される。
中心コアロッド930および周辺コアロッド940は、VAD(Vapor phase Axial Deposition)法、OVD(Outside Vapor Deposition)法、MCVD(Modified Chemical Vapor Deposition)法等の周知の方法を用いて製造される。
なお、本実施形態では、中心コアロッド930および周辺コアロッド940として、コアおよびクラッドを有するガラスロッドを用いるが、これには限定されず、例えばコア又はクラッドの一方のみからなるガラスロッドや、中心軸に空孔を有するガラス管、金属、カーボン又はセラミックスからなるダミーロッド等を用いてもよい。また、中心コアロッド930と周辺コアロッド940とは同一の構成を有してよく、又は異なる構成を有してよい。
中心コアロッド930の両端には2つの支持部920が固定される。支持部920は例えば石英からなる。成形体900の搬送や支持を容易にするために、2つの支持部920の少なくとも一方に貫通孔が設けられることが望ましい。
中心コアロッド930および周辺コアロッド940の周囲には、円柱形状をなすように造粒粉体950が充填される。造粒粉体950は、多孔質ガラス体を形成するための材料であり、主に石英系のガラス粉末の一次粒子(以下、単にガラス粉末)から構成される。
ガラス粉末としては、例えば、高純度であり、通常0.01μmから100μm程度の粒径を有するものが使用される。また、ガラス粉末に結合剤(バインダ)、可塑剤等の成形助剤を調合または添加してもよい。結合剤としてはポリビニルアルコール(PVA)等、可塑剤としてはグリセリン等を用いることができる。結合剤は、ガラス粉末同士を結合させて成形体900の強度を向上させる。
造粒粉体950を作製するために、まずガラス粉末に溶剤および結合剤を加えて攪拌し、ガラス粉末を泥漿状にする。ここで溶剤としては、環境への影響を考慮すると水系が好ましく、純度の観点から純水が好ましい。次に、作製した泥漿状のガラス粉末を噴霧乾燥させることにより、複数の一次粒子が集合して造粒粉体(二次粒子)が形成される。このようにして得られる造粒粉体950は、50μm以上150μm以下の平均粒径を有する。粒径を50μm以上150μm以下とすることによって、造粒粉体950を成形型に充填する際の流動性が高くなり、充填密度の低下を抑えつつ均質な密度での充填できるという一次粒子の特長を生かしたまま容易に充填できるという利点がある。
本実施形態において成形体900の作製方法としては任意の方法を用いてよい。一例として、本実施形態では成形体900は以下に説明する静水圧成形法で作製される。所定の比表面積を有する石英ガラス粉末に純水を加え、濃度60%であるスラリー(泥漿状のガラス粉末)を作製する。該スラリーに結合剤としてPVAを1.5重量パーセント分加え、所定の時間(例えば12時間)混合する。その後、スラリーを所定の温度(例えば200℃)で噴霧乾燥することによって、中実の造粒粉体950が得られる。
次に、成形体900の形状に対応する合成ゴムや合成樹脂からなる成形型に中心コアロッド930および周辺コアロッド940を配置し、それらのロッドの周囲に造粒粉体950を充填する。そして、成形型を密閉する。このようにして得られた成形型を加圧装置に設置し、成形型に対して圧媒としての水を介して所定の圧力(例えば1.0ton/cm)で所定の時間(例えば1分間)加圧した後、所定の時間(例えば20分間)を掛けて徐々に減圧した。減圧が完了した後、成形型の中に形成された成形体900を取り出す。
図3は、本実施形態に係る製造方法に用いられる脱脂装置100の側面図である。図3においては、視認性のためにチャンバ110およびヒータ140の手前側に位置する部分は省略されている。図3には、重力方向に沿った上下が矢印で示されている。
脱脂装置100内では、内部に配置される成形体900に対して脱脂処理および硬化処理が行われる。脱脂処理は、結合剤を燃焼又は分解可能な雰囲気(例えば窒素および酸素)下で成形体900を加熱することによって、成形体900(造粒粉体950)中の結合剤を除去する工程である。
脱脂処理の後、成形体900の温度を低下させずに脱脂処理よりも高い温度で硬化処理が行われる。硬化処理は、脱脂処理後の成形体900を、脱脂処理よりも高い温度に加熱することによって、結合剤が除去された後の成形体900の強度を向上させる工程である。硬化処理の雰囲気は任意である。硬化処理の雰囲気として、コストを低減するために、大気(より具体的には不純物を除去したクリーンエア)、N、およびNとOとの混合ガスのいずれかを用いることが好ましい。
脱脂装置100は、例えば石英ガラスからなるチャンバ110を備える。チャンバ110の壁面の一部には開閉可能な蓋が設けられており、成形体900は該蓋を通ってチャンバ110の内外に搬送される。
チャンバ110の壁面には開口部であるガス導入口111が設けられ、ガス導入口111はチャンバ110内に所定のガスを導入するためのガス導入部120に気密に接続される。ガス導入部120は、導入すべき気体を保持するボンベ、およびバルブやマスフローコントローラ等の流量調整機構を含む。ガス導入部120からチャンバ110に導入される気体は、例えば酸素、窒素、塩素、ヘリウム等のガスである。
チャンバ110の壁面には開口部である排気口112が設けられ、排気口112はチャンバ110内を排気するための排気ポンプ130に気密に接続される。チャンバ110の内部には、成形体900をその長手方向が重力方向に直交するように水平に支持するための支持台150が設けられる。
チャンバ110の外側には、成形体900を所定の温度に加熱するためのヒータ140が設けられる。ヒータ140は、例えばカンタルヒータであり、チャンバ110の外側を取り囲むように配置される。ヒータ140は、チャンバ110の内部に配置される成形体900(少なくとも柱部910の全面)を加熱可能であれば、チャンバ110の外側および内側のどちらに設けられてもよく、又はチャンバ110の壁面に内蔵されてもよい。ただし、Clガス等の腐食性ガスを使用する場合は、ヒータ140は、チャンバ110の外側に設けられていることが好ましい。
ヒータ140の周囲にはアルミナおよびシリカ繊維の成形体である耐熱材160が設けられる。さらに、チャンバ110、ヒータ140および耐熱材160を取り囲むように炉体170が設けられる。炉体170の壁面の一部には開閉可能な蓋が設けられており、成形体900は該蓋を通って炉体170の内外に搬送される。
図4は、本実施形態に係る製造方法に用いられる焼結装置200の側面図である。図4においては、視認性のためにチャンバ210およびヒータ240の手前側に位置する部分は省略されている。図4には、重力方向に沿った上下が矢印で示されている。
焼結装置200内では、内部に配置される成形体900に対して透明ガラス化処理が行われる。透明ガラス化処理は、成形体900に用いられるガラス粉末を所定の雰囲気下で成形体900を加熱することによって成形体900に含まれるガラス粉末を稠密化(透明化)する工程である。焼結装置200は、例えば石英ガラスからなるチャンバ210を備える。チャンバ210の壁面の一部には開閉可能な蓋が設けられており、成形体900は該蓋を通ってチャンバ210の内外に搬送される。
チャンバ210の壁面には開口部であるガス導入口211が設けられ、ガス導入口211はチャンバ210内に所定のガスを導入するためのガス導入部220に気密に接続される。ガス導入部220は、導入すべき気体を保持するボンベ、およびバルブやマスフローコントローラ等の流量調整機構を含む。ガス導入部220からチャンバ210に導入される気体は、例えば塩素、ヘリウム等のガスである。
チャンバ210の壁面には開口部である排気口212が設けられ、排気口212はチャンバ210内を排気するための排気ポンプ230に気密に接続される。
チャンバ210の外側には、成形体900を所定の温度に加熱するためのヒータ240が設けられる。ヒータ240は、例えばカーボンヒータであり、チャンバ210の外側を取り囲むように配置される。ヒータ240は、チャンバ210の内部に配置される成形体900(少なくとも柱部910の一部)を加熱可能である。
ヒータ240の周囲にはカーボンからなる断熱材260が設けられる。さらに、チャンバ210の壁面の一部、ヒータ240および断熱材260を取り囲むように炉体270が設けられる。
焼結装置200は、成形体900を支持するための支持機構250を備える。支持機構250は、成形体900をその長手方向が重力方向に沿うように垂直に支持するとともに、成形体900を上下方向(成形体900の長手方向)に移動可能であり、かつ成形体900を回転可能であるように構成される。具体的には、支持機構250は、成形体900の支持部920を固定する固定部251と、モータ等を含む駆動部252と、固定部251と駆動部252とを接続するシャフト253とを備える。駆動部252は、シャフト253を上下方向に移動させるとともに、シャフト253をその中心軸に関して回転させる。その結果、固定部251に固定された成形体900が回転する。
ヒータ240が成形体900の長手方向に沿って十分な長さを有していて柱部910の全面を加熱可能であれば、支持機構250は成形体900を上下方向に移動させず、回転のみ可能であるように構成されてもよい。
また、脱脂装置100および焼結装置200のいずれかにおいて、成形体900に含まれる水等の不純物と反応可能な雰囲気(例えばヘリウムおよび塩素)下で成形体900を加熱することによって、成形体900(造粒粉体950)中の不純物を除去する精製処理が行われる。
図5は、本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法のフローチャートを示す図である。まず、任意の方法(例えば上述の静水圧成形法)で成形体900を作製し(ステップS11)、成形体900を脱脂装置100内に搬送する(ステップS12)。脱脂装置100への成形体900の搬送は、任意の搬送装置によって行われてよく、又はユーザにより行われてよい。
脱脂装置100は、成形体900に対して脱脂処理(脱脂工程)を行う(ステップS13)。脱脂処理においては、脱脂装置100は、排気ポンプ130を作動させてチャンバ110内を排気するとともに、ガス導入部120を作動させてチャンバ110内に窒素ガス(Nガス)および酸素ガス(Oガス)を所定の速度で導入する(例えば、Nガス8リットル/分、Oガス2リットル/分)。なお、ここではNガスとOガスを用いたが、導入するガスは大気でもよい。いずれの場合も、JIS B 9920の清浄度クラスでクラス5以下とすることが好ましい。
そして、脱脂装置100は、成型体900の表面温度が脱脂温度になるようにヒータ140を作動させる。脱脂温度は造粒粉体950に添加された結合剤の種類に依存する。本実施形態では結合剤としてPVAを用いるため、400℃以上600℃以下が望ましい。成型体900の表面温度が脱脂温度に到達した後、脱脂装置100は、成形体900を所定の時間(例えば5時間)維持する。脱脂処理は、成型体中心部の結合剤が完全に除去されるまで(概ね1〜10時間程度)温度維持する。
ここで、成型体900の表面温度は、成型体の長手中央部(図中左右中心部)の表面に温度検知部が出るように予め熱電対を埋め込んだ実験用の成形体を作製し、チャンバ110内に脱脂工程とほぼ同じガス(ここでは窒素10リットル/分)を流して成形体表面の温度とヒータ140の温度を測定し、その関係からヒータ設定温度を決定した。
なお、同様に成型体の中心部に温度検知部がくるように熱電対を埋め込んだ成形体を用いて成形体の中心部の温度が脱脂温度に到達する時間を測定することも可能であるが、中心部の温度は、処理温度、処理雰囲気(酸素濃度)、成型体密度、成形体サイズ、ガラスロッドの配置、1次粒子の比表面積、造粒粒子径等、多くの条件に依存するため、実験的に確認して処理時間を決定することが好ましい。
脱脂完了の確認方法としては、たとえば、排気ガス内にバインダ分解生成物(CO,CO等)の発生がなくなったことを確認することで判断できる。
次に、脱脂装置100は、脱脂処理後の成形体900に対して硬化処理(硬化工程)を行う(ステップS14)。硬化処理は、脱脂処理と同一のチャンバ110内で行われる。硬化処理においては、脱脂装置100は、成型体900の表面温度が硬化温度になるようにヒータ温度を設定する。硬化処理は、脱脂処理と同じ雰囲気(窒素および酸素)、精製処理と同じ雰囲気(ヘリウムおよび塩素)、あるいは任意の雰囲気(例えば大気)で行われてよい。ヒータ140が硬化温度に到達した後、脱脂装置100は、成形体900を所定の時間(例えば0.5時間)維持する。硬化処理時間は、充分な強度を得られるまで(概ね0.5〜10時間程度)温度保持する。
ヒータ設定温度は、脱脂工程と同様に、予め熱電対を埋め込んだ実験用の成形体を用いて成形体表面の温度とヒータ140の温度を測定し、その関係から決定した。
同様に成型体の中心部に温度検知部がくるように熱電対を埋め込んだ成形体を用いて成形体の中心部の温度が脱脂温度に到達する時間を測定することも可能であるが、中心部の温度は、処理温度、処理雰囲気、1次粒子の比表面積等、多くの条件に依存するため、実験的に確認して処理時間を決定することが好ましい。なお、充分な強度が得られれば、中心部は硬化していなくてもよい。
硬化温度は脱脂処理の温度(脱脂温度)よりも高く、精製処理の温度(精製温度)および透明ガラス化処理の温度(透明ガラス化温度)以下である。硬化温度は、高すぎると温度変化によって成形体900が破損するおそれがあるため、透明ガラス化温度よりも低いことが望ましい。すなわち、各処理の温度としては、脱脂温度<硬化温度≦精製温度<透明ガラス化温度であることが望ましい。具体的な硬化温度の範囲については、後述の第2の実施形態で検討する。
次に、脱脂装置100は、硬化処理後の成形体900に対して精製処理(精製工程)を行う(ステップS15)。精製処理においては、脱脂装置100は、成型体900の表面の温度が精製温度になるようにヒータ温度を設定する。精製温度は造粒粉体950中の不純物を除去可能な温度以上である。精製温度は、1200℃以上1350℃以下が望ましい。
ヒータ140が精製温度に到達した後、脱脂装置100は、ガス導入部120を作動させてチャンバ110内にヘリウムガス(Heガス)および塩素ガス(Clガス)を所定の速度で導入し(例えば、Heガス10リットル/分、Clガス0.1リットル/分)、成形体900を所定の時間(0.25時間以上、好ましくは2時間以上)維持する。
次に、成形体900を脱脂装置100内で自然冷却した後、焼結装置200内に搬送する(ステップS16)。焼結装置200への成形体900の搬送は、任意の搬送装置によって行われてよく、又はユーザにより行われてよい。
なお、精製処理は脱脂装置100および焼結装置200のいずれかで行われるため、ステップS15とステップS16との順序を入れ替え、焼結装置200で硬化処理後の成形体900に対して精製処理を行ってもよい。
最後に、焼結装置200は、精製処理後の成形体900に対して透明ガラス化処理(透明ガラス化工程)を行う(ステップS17)。透明ガラス化処理においては、焼結装置200は、成型体900の表面の温度が透明ガラス化温度になるようにヒータ温度を設定する。透明ガラス化温度は、造粒粉体950の材料に依存し、造粒粉体950に含まれるガラス粉末の透明ガラス化が起こる温度以上である。本実施形態では造粒粉体950に石英系のガラス粉末を用いるため、透明ガラス化温度は成型体900の表面温度として1400℃以上が望ましい。透明ガラス化処理は、透明ガラス化が完了するまでの任意の時間行われる。成形体900は、透明ガラス化処理が完了すると光ファイバ母材となる。
ヒータ設定温度は、脱脂工程と同様に、予め熱電対を埋め込んだ実験用の成形体を用いて成形体表面の温度とヒータ140の温度を測定し、その関係から決定した。具体的には、まず、成型体900の表面に温度検知部が設置されるように予め熱電対を埋め込んだ実験用の成形体を作製し、チャンバ210内に投入する。次にシャフト253を回転を止めた状態で上下に移動させ、熱電対が最高温度を示す位置に固定し、焼結工程とほぼ同じガス(ここでは窒素10リットル/分)を流す。ヒータ240の温度を徐々に昇温しながら成形体900の表面付近の温度とヒータ240の温度を測定し、両者の関係を求め、その関係からヒータ設定温度を決定した。
本実施形態に係る脱脂装置100および焼結装置200が脱脂処理、硬化処理、精製処理および透明ガラス化処理で導入するガスは一例であり、各処理の機能が実現できる限り任意の雰囲気中で行われてよい。
従来の方法においては、脱脂処理によって結合剤が除去された後の成形体900には、局所的に密度が低い部分が生じ得る。そのため、脱脂処理後の降温時等に生じる表面と内部との温度差によって破損が発生しやすい。また、成形体をその長手方向が重力方向に沿うように垂直に配置すると、成形体下部には自重も加わった状態となり破損しやすい。そのため、従来の加圧成形法により作製される成形体は、脱脂処理に用いられる装置から透明ガラス化処理に用いられる装置へ搬送される際等に、衝撃や温度変化によって破損する場合がある。
それに対して、本実施形態では、脱脂処理が完了した後の成形体900に対して、脱脂処理と同一チャンバ内で温度を低下させずに硬化処理を行う。これによって、脱脂処理後の成形体900の強度を向上させ、温度変化又は搬送時の衝撃による破損を抑制することができる。硬化処理後の成形体900は強度が向上しているため、後述する焼結装置200に搬送する際に破損が発生しづらい。
脱脂処理で起こる結合剤の酸化反応は発熱反応であるため、仮に脱脂処理を高温にすると、成形体900の温度が上がりすぎてしまう。その結果、成形体900が破損したり、後続の工程に影響が発生したりするおそれがある。そのため、脱脂処理の温度を高めることは望ましくない。それに対して、本実施形態では脱脂処理の完了後に、成形体900に対して硬化処理を施すため、結合剤の酸化反応等による成形体900への悪影響を低減することができる。
本実施形態に係る成形体900は複数のガラスロッドを含むため、複数のガラスロッドの重みによって成形体900が破損しやすい。したがって、特にマルチコアファイバを作製する際に、本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法による成形体900の破損抑制効果が重要である。もちろん1つのガラスロッドを含む成形体900に対して本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法を適用する場合にも、成形体900の破損抑制効果を得ることができる。
(実施例1)
第1の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法の実験として、以下の条件で成形体900を作製した。成形体900の作製には上述の静水圧成形法を用いた。
ガラス粉末の比表面積:1.5m/g(平均粒径10μm)
成形型の内径:110mm
成形型の長さ:500mm
成形体の外径:約85mm
なお、成形体900に用いたガラスロッドはVAD法により作製されたものであり、その外径は7.5mm、クラッド/コア径比は3.0、比屈折率差:約0.35%である。
得られた成形体900に対して、図5のフローチャートにしたがって以下の条件で脱脂処理、硬化処理、精製処理および透明ガラス化処理を行った。
脱脂処理の雰囲気:Nガス8リットル/分、Oガス2リットル/分
脱脂処理の温度(成形体の表面温度):500℃(昇温速度5℃/分)
脱脂処理の保持時間:5時間
硬化処理(精製処理)の雰囲気:Heガス10リットル/分、Clガス0.1リットル/分
硬化処理(精製処理)の温度(成形体の表面温度):1300℃(昇温速度5℃/分)
硬化処理(精製処理)の保持時間:2時間
透明ガラス化処理の雰囲気:Heガス10リットル/分
透明ガラス化処理の温度(成形体の表面温度):1530℃
本実施例では、硬化処理は精製処理を兼ねる。すなわち、脱脂処理よりも高い温度で加熱することにより成形体900の強度を向上させる硬化処理と、HeガスおよびClガスより成形体900中の不純物を除去する精製処理とが同時に行われる。硬化処理は脱脂処理と同一チャンバ内で温度を低下させずに脱脂処理よりも高い温度で成形体900を加熱することが本質である。その際にチャンバ110内を精製処理で用いられる雰囲気にすることによって、成形体900の強度の向上と不純物の除去とが同時に起こる。
この条件で実験を行ったところ、硬化処理(精製処理)の完了後の成形体900には亀裂等の異常の発生は認められなかった。また、透明ガラス化処理の完了後の成形体900(すなわち光ファイバ母材)は、特に中心コアロッド930の下部近傍の界面に亀裂や気泡等の発生が認められない良好な外観を有していた。完成した光ファイバ母材の外径は約70mmとなった。
(比較例1)
実施例1と同一条件で作製した成形体900に対して、脱脂処理を同一条件で行った。脱脂処理の完了後、硬化処理(精製処理)を行わずに成形体900を脱脂装置100内で自然冷却した。その後、成形体900を、脱脂装置100から搬出したところ、搬出時の衝撃によって成形体900に亀裂が入り、成形体900の一部が破損して脱落した。そのため、成形体900に対して以降の処理を行うことができなかった。
(結果)
実施例1および比較例1の結果からわかるように、本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法によれば、脱脂処理後の成形体900に対して脱脂処理と同一チャンバ内で温度を低下させずに脱脂処理よりも高い温度を用いて硬化処理を行うことによって、成形体900の強度が向上し、成形体900が温度変化や搬送時の衝撃によって破損することが抑制される。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態における硬化処理の温度(上述の硬化温度)の好ましい範囲を規定する。本実施形態で用いられる装置は第1の実施形態と同様である。本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法は、図5のフローチャートと同様であるが、ステップS15とステップS16との順序を入れ替え、焼結装置200が硬化処理後の成形体900に対して精製処理を行う点が異なる。
(実施例2−1)
以下の条件で成形体900を作製した。以下のガラス粉末を用いて作製された造粒粉体950を第1の造粒粉体と呼ぶ。
ガラス粉末の比表面積:1.5m/g(平均粒径10μm)
成形型の内径:110mm
成形型の長さ:600mm
成形体の外径:約85mm
得られた成形体900に対して、以下の条件で図3に示す装置で脱脂処理、硬化処理を行った後に、図4に示す装置で精製処理および透明ガラス化処理を行った。
脱脂処理の雰囲気:大気(クリーンエア)10リットル/分
脱脂処理の温度(成形体の表面温度):500℃(昇温速度5℃/分)
脱脂処理の保持時間:5時間
硬化処理の雰囲気:脱脂処理と同じ
硬化処理の温度(成形体の表面温度):1100℃(昇温速度10℃/分)
硬化処理の保持時間:0.5時間
精製処理の雰囲気:Heガス10リットル/分、Clガス0.1リットル/分
精製処理の温度(成形体の表面温度):1300℃(昇温速度5℃/分)
精製処理の保持時間:2時間
透明ガラス化処理の雰囲気:Heガス10リットル/分
透明ガラス化処理の温度(成形体の表面温度):1530℃
この条件で実験を行ったところ、透明ガラス化処理の完了後の成形体900(すなわち光ファイバ母材)は、特に中心コアロッド930の下部近傍の界面に亀裂や気泡等の発生が認められない良好な外観を有していた。完成した光ファイバ母材の外径は約70mmとなった。
(比較例2−1)
実施例2−1と同一条件で作製した成形体900に対して、脱脂処理を同一条件で行った。脱脂処理の完了後、硬化処理を行わずに成形体900を脱脂装置100内で自然冷却した。その後、成形体900を焼結装置200に搬送したところ、中心コアロッド930の下部近傍の成型体に亀裂が入り、成形体900全体が破損して脱落した。そのため、成形体900に対して以降の処理を行うことができなかった。
また、実施例2−1と同一条件で作製した成形体900に対して、脱脂処理を同一条件で行った。次に、成形体900に対して硬化処理を900℃(他の条件は実施例2−1と同一)で行い、脱脂装置100内で自然冷却した。この時点での成形体900には異常は認められなかった。その後、成形体900を焼結装置200内に搬送したところ、成形体900の一部が破損して脱落した。そのため、成形体900に対して以降の処理を行うことができなかった。
実施例2−1および比較例2−1により、成形体900に第1の造粒粉体を用いる場合、すなわち成形体900に用いられるガラス粉末の比表面積が1.5m/gである場合には、硬化処理の適切な温度は1100℃であり、該温度によって成形体900の強度を向上できることがわかった。
(実施例2−2)
以下の条件で成形体900を作製した。以下のガラス粉末を用いて作製された造粒粉体950を第2の造粒粉体と呼ぶ。
ガラス粉末の比表面積:11m/g(平均粒径0.3μm)
成形型の内径:110mm
成形型の長さ:600mm
成形体の外径:約84mm
得られた成形体900に対して、以下の条件で脱脂処理、硬化処理、精製処理および透明ガラス化処理を行った。
脱脂処理の雰囲気:Nガス8リットル/分、Oガス2リットル/分
脱脂処理の温度(成形体の表面温度):500℃(昇温速度5℃/分)
脱脂処理の保持時間:5時間
硬化処理の雰囲気:脱脂処理と同じ
硬化処理の温度(成形体の表面温度):700℃(昇温速度10℃/分)
硬化処理の保持時間:0.5時間
精製処理の雰囲気:Heガス10リットル/分、Clガス0.1リットル/分
精製処理の温度(成形体の表面温度):1300℃(昇温速度5℃/分)
精製処理の保持時間:2時間
透明ガラス化処理の雰囲気:Heガス10リットル/分
透明ガラス化処理の温度(成形体の表面温度):1500℃
この条件で実験を行ったところ、透明ガラス化処理の完了後の成形体900(すなわち光ファイバ母材)は、特に中心コアロッド930の下部近傍の界面に亀裂や気泡等の発生が認められない良好な外観を有していた。完成した光ファイバ母材の外径は約69mmとなった。
(比較例2−2)
実施例2−1と同一条件で作製した成形体900に対して、脱脂処理を同一条件で行った。脱脂処理の完了後、硬化処理を行わずに成形体900を脱脂装置100内で自然冷却した。この時点での成形体900には異常は認められなかった。その後、成形体900を焼結装置200内に搬送したところ、成形体900の一部が破損して脱落した。そのため、成形体900に対して以降の処理を行うことができなかった。
実施例2−2および比較例2−2により、成形体900に第2の造粒粉体を用いる場合、すなわち成形体900に用いられるガラス粉末の比表面積が11m/gである場合には、硬化処理の適切な温度は700℃であり、該温度によって成形体900の強度を向上できることがわかった。
(実施例2−3)
以下の条件で成形体900を作製した。以下のガラス粉末を用いて作製された造粒粉体950を第3の造粒粉体と呼ぶ。これ以外の条件は実施例2−1、2−2と同様である。
ガラス粉末の比表面積:4.2m/g(平均粒径1.5μm)
得られた成形体900に対して、以下の条件で脱脂処理、硬化処理、精製処理および透明ガラス化処理を行った。これ以外の条件は実施例2−1、2−2と同様である。
硬化処理の温度:850℃
この条件で実験を行ったところ、透明ガラス化処理の完了後の成形体900(すなわち光ファイバ母材)は、特に中心コアロッド930の下部近傍の界面に亀裂や気泡等の発生が認められない良好な外観を有していた。
実施例2−3により、成形体900に第3の造粒粉体を用いる場合、すなわち成形体900に用いられるガラス粉末の比表面積が4.2m/gである場合には、硬化処理の適切な温度は850℃であり、該温度によって成形体900の強度を向上できることがわかった。
(実施例2−4)
以下の条件で成形体900を作製した。以下のガラス粉末を用いて作製された造粒粉体950を第4の造粒粉体と呼ぶ。これ以外の条件は実施例2−1、2−2と同様である。
ガラス粉末の比表面積:0.7m/g(平均粒径30μm)
得られた成形体900に対して、以下の条件で脱脂処理、硬化処理、精製処理および透明ガラス化処理を行った。これ以外の条件は実施例2−1、2−2と同様である。
硬化処理の温度:1275℃
この条件で実験を行ったところ、透明ガラス化処理の完了後の成形体900(すなわち光ファイバ母材)は、特に中心コアロッド930の下部近傍の界面に亀裂や気泡等の発生が認められない良好な外観を有していた。
実施例2−4により、成形体900に第4の造粒粉体を用いる場合、すなわち成形体900に用いられるガラス粉末の比表面積が0.7m/gである場合には、硬化処理の適切な温度は1275℃であり、該温度によって成形体900の強度を向上できることがわかった。
(結果)
図6は、ガラス粉末の比表面積と硬化処理の温度との関係を示すグラフを示す図である。図6のグラフの横軸は成形体900に用いられるガラス粉末の比表面積S(m/g)を示し、縦軸は実施例2−1〜2−4により得られた適切な硬化処理の温度Tの逆数(1/K)示す。
図6のグラフより、硬化処理の温度T(上述の硬化温度)が比表面積Sについて以下の式(1)を満たす場合に、脱脂処理後の成形体900の強度を向上させ、温度変化又は搬送による破損を抑制できることがわかった。なお、比表面積Sが0.7m/gより小さいと成型体が脱脂処理後に破損しやすい。これは、1次粒子同士の接触点が少なく形態維持できないためであると推定している。また、比表面積が24m/gより大きいと静水圧成形法で成形した成形体の密度ムラが大きくなり脱脂処理後に破損し易い。これは、1次粒子同士の接触点が多すぎてその摩擦力が静水圧加圧の障害となり密度が不均一となったもの考えられる。上記観点から1次粒子の比表面積は0.7m/g以上24m/g以下であることが好ましい。
Figure 0006622977
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、脱脂処理と透明ガラス化処理とが別個の装置によって行われる。それに対して、本実施形態では脱脂処理と透明ガラス化処理とが同一の装置によって行われる。本実施形態で用いられる成形体900は第1の実施形態と同様である。
図7は、本実施形態に係る製造方法に用いられる脱脂焼結装置300の側面図である。図7においては、視認性のためにチャンバ310およびヒータ340の手前側に位置する部分は省略されている。図7には、重力方向に沿った上下が矢印で示されている。
脱脂焼結装置300内では、内部に配置される成形体900に対して脱脂処理、硬化処理、精製処理、および透明ガラス化処理が行われる。脱脂焼結装置300は、密閉されたチャンバ310を備える。チャンバ310の壁面には開閉可能な蓋が設けられており、成形体900は該蓋を通ってチャンバ310の内外に搬送される。
チャンバ310の壁面には開口部であるガス導入口311が設けられ、ガス導入口311はチャンバ310内に所定のガスを導入するためのガス導入部320に気密に接続される。ガス導入部320は、導入すべき気体を保持するボンベ、およびバルブやマスフローコントローラ等の流量調整機構を含む。ガス導入部320からチャンバ310に導入される気体は、例えば窒素、酸素、塩素、ヘリウム等のガスである。
チャンバ310の壁面には開口部である排気口312が設けられ、排気口312はチャンバ310内を排気するための排気ポンプ330に気密に接続される。
チャンバ310の外側には、成形体900を所定の温度に加熱するためのヒータ340が設けられる。ヒータ340は、チャンバ310の外側を取り囲むように配置される。ヒータ340は、チャンバ310の内部に配置される成形体900(少なくとも柱部910の全面)を加熱可能であれば、チャンバ310の外側および内側のどちらに設けられてもよく、又はチャンバ310の壁面に内蔵されてもよい。ヒータ340の外側に図3、4に記載したような耐熱材160、断熱材260、炉体170、270等を設けてもよい。
脱脂焼結装置300は、成形体900を支持するための支持機構350を備える。支持機構350は、成形体900をその長手方向が重力方向に沿うように垂直に支持するとともに、成形体900を回転可能であるように構成される。具体的には、支持機構350は、成形体900の支持部920を固定する固定部351と、モータ等を含む駆動部352と、固定部351と駆動部352とを接続するシャフト353とを備える。駆動部352は、シャフト353をその中心軸に関して回転させる。その結果、固定部351に固定された成形体900が回転する。
図8は、本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法のフローチャートを示す図である。まず、任意の方法(例えば上述の静水圧成形法)で成形体900を作製し(ステップS21)、成形体900を脱脂焼結装置300内に搬送する(ステップS22)。脱脂焼結装置300への成形体900の搬送は、任意の搬送装置によって行われてよく、又はユーザにより行われてよい。
脱脂焼結装置300は、成形体900に対して脱脂処理を行う(ステップS23)。脱脂処理においては、脱脂焼結装置300は、排気ポンプ330を作動させてチャンバ310内を排気するとともに、ガス導入部320を作動させてチャンバ310内に窒素ガス(Nガス)および酸素ガス(Oガス)を所定の速度で導入する(例えば、Nガス8リットル/分、Oガス2リットル/分)。
そして、脱脂焼結装置300は、ヒータ340を作動させて成形体表面を脱脂温度に昇温させ、成形体900を加熱する。脱脂温度は造粒粉体950に用いられた結合剤の種類に依存する。本実施形態では造粒粉体950にPVAを用いるため、400℃以上600℃以下が望ましい。ヒータ340が脱脂温度に到達した後、脱脂焼結装置300は、成形体900を所定の時間(例えば5時間)維持する。
次に、脱脂焼結装置300は、脱脂処理後の成形体900に対して硬化処理を行う(ステップS24)。硬化処理は、脱脂処理と同一のチャンバ310内で行われる。硬化処理においては、脱脂焼結装置300は、ヒータ340の温度を制御し成形体表面を硬化温度に設定する。硬化処理は、脱脂処理と同じ雰囲気(窒素および酸素)、精製処理と同じ雰囲気(ヘリウムおよび塩素)、あるいは任意の雰囲気(例えば大気)で行われてよい。ヒータ340が硬化温度に到達した後、脱脂焼結装置300は、成形体900を所定の時間(例えば0.5時間)維持する。
硬化温度は脱脂処理の温度(脱脂温度)よりも大きく、精製処理の温度(精製温度)および透明ガラス化処理の温度(透明ガラス化温度)以下である。具体的な硬化温度の範囲は、第2の実施形態と同様である。
次に、脱脂焼結装置300は、硬化処理後の成形体900に対して精製処理を行う(ステップS25)。精製処理は、脱脂処理および硬化処理と同一のチャンバ310内で行われる。精製処理においては、脱脂焼結装置300は、ヒータ340を制御し成形体表面の温度を精製温度に設定する。精製温度は造粒粉体950中の不純物を除去可能な温度以上である。硬化温度は、1200℃以上1400℃以下が望ましい。
ヒータ340が精製温度に到達した後、脱脂焼結装置300は、ガス導入部320を作動させてチャンバ310内にヘリウムガス(Heガス)および塩素ガス(Clガス)を所定の速度で導入し(例えば、Heガス10リットル/分、Clガス0.1リットル/分)、成形体900を所定の時間(例えば2時間)維持する。
最後に、脱脂焼結装置300は、精製処理後の成形体900に対して透明ガラス化処理を行う(ステップS26)。透明ガラス化処理は、脱脂処理、硬化処理および精製処理と同一のチャンバ310内で行われる。透明ガラス化処理においては、脱脂焼結装置300は、ヒータ340を制御し成形体表面の温度を透明ガラス化温度に設定する。透明ガラス化温度は、造粒粉体950の材料に依存し、造粒粉体950に含まれるガラス粉末の透明ガラス化が起こる温度以上である。本実施形態では造粒粉体950に石英系のガラス粉末を用いるため、透明ガラス化温度は1500℃以上が望ましい。透明ガラス化処理は、透明ガラス化が完了するまでの任意の時間行われる。成形体900は、透明ガラス化処理が完了すると光ファイバ母材となる。ヒータ340の設定温度については、第1の実施形態と同様であり、予め熱電対を埋め込んだ実験用の成形体を用いて成形体表面の温度とヒータ340の温度を測定し、その関係から決定した。
本実施形態に係る脱脂焼結装置300が脱脂処理、硬化処理、精製処理および透明ガラス化処理で導入するガスは一例であり、各処理の機能が実現できる限り任意の雰囲気中で行われてよい。
(実施例3)
第3の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法の実験として、以下の条件で成形体900を作製した。成形体900の作製には上述の静水圧成形法を用いた。
ガラス粉末の比表面積:1.5m/g(平均粒径10μm)
成形型の内径:63mm
成形型の長さ:400mm
成形体の外径:約49mm
なお、成形体900に用いたガラスロッドはVAD法により作製されたものであり、その外径は5.0mm、クラッド/コア径比は3.0、比屈折率差:約0.35%である。
得られた成形体900に対して、図8のフローチャートにしたがって以下の条件で脱脂処理、硬化処理、精製処理および透明ガラス化処理を行った。
脱脂処理の雰囲気:Nガス8リットル/分、Oガス2リットル/分
脱脂処理の温度(成形体の表面温度):500℃(昇温速度5℃/分)
脱脂処理の保持時間:5時間
硬化処理(精製処理)の雰囲気:Heガス10リットル/分、Clガス0.1リットル/分
硬化処理(精製処理)の温度(成形体の表面温度):1300℃(昇温速度5℃/分)
硬化処理(精製処理)の保持時間:2時間
透明ガラス化処理の雰囲気:Heガス10リットル/分
透明ガラス化処理の温度(成形体の表面温度):1500℃
本実施例では、硬化処理は精製処理を兼ねる。すなわち、脱脂処理よりも高い温度で加熱することにより成形体900の強度を向上させる硬化処理と、HeガスおよびClガスより成形体900中の不純物を除去する精製処理とが同時に行われる。硬化処理は脱脂処理と同一チャンバ内で温度を低下させずに脱脂処理よりも高い温度で成形体900を加熱することが本質である。その際にチャンバ110内を精製処理で用いられる雰囲気にすることによって、成形体900の強度の向上と不純物の除去とが同時に起こる。
この条件で5本の成形体900について実験を行ったところ、透明ガラス化処理の完了後の成形体900(すなわち光ファイバ母材)は、特に中心コアロッド930の下部近傍の界面に亀裂や気泡等の発生が認められない良好な外観を有していた。
(比較例3)
実施例3と同一条件で作製した5本成形体900に対して、脱脂処理を同一条件で行った。脱脂処理の完了後、硬化処理(精製処理)を行わずに脱脂焼結装置300の外に取り出したところ、5本中2本の成形体900の中心コアロッド930の下部近傍に亀裂が入り、一部が破損して脱落した。残りの成形体900を脱脂焼結装置300内に戻して設置する際に、3本のうち2本の成形体900の中心コアロッド930の下部近傍に亀裂が入り、一部が破損して脱落した。
(結果)
実施例3および比較例3の結果からわかるように、本実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法によれば、脱脂処理後の成形体900に対して脱脂処理と同一チャンバ内で温度を低下させずに脱脂処理よりも高い温度を用いて硬化処理を行うことによって、成形体900の強度が向上し、成形体900が温度変化や搬送時の衝撃によって破損することが抑制される。
発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
100 脱脂装置
110、210、310 チャンバ
200 焼結装置
300 脱脂焼結装置
900 成形体
930 中心コアロッド(ガラスロッド)
940 周辺コアロッド(ガラスロッド)
950 造粒粉体

Claims (8)

  1. ガラスロッド、ガラス粉末、および前記ガラス粉末を結合させる結合剤を含む成形体を準備する工程と、
    第1の装置のチャンバ内で前記結合剤を除去可能な第1の温度で前記成形体を加熱する脱脂工程と、
    前記脱脂工程後に、前記チャンバ内で前記第1の温度よりも高い第2の温度で前記成形体を加熱し、硬化処理温度で0.5時間以上保持する硬化工程と、
    前記硬化工程後に、第2の装置にて、前記第2の温度よりも高いとともに前記ガラス粉末を透明ガラス化可能な第3の温度で前記成形体を加熱する透明ガラス化工程と、
    を備え、
    少なくとも前記脱脂工程で使用する脱脂装置内に設置する成形体は中心コアロッドの両端に2つの支持部が固定されていることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記脱脂工程後、前記成形体の温度を前記第1の温度よりも低下させることなく、前記硬化工程が行われることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  3. 前記硬化工程は、大気、N、およびNとOとの混合ガスのいずれかの雰囲気で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  4. 前記硬化工程は前記成形体を水平方向に設置して行われることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  5. 前記ガラス粉末の比表面積は、0.7m/g以上24m/g以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  6. 前記透明ガラス化工程は、前記チャンバ内で行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  7. 前記成形体は、複数の前記ガラスロッドを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  8. 前記結合剤はポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
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