JPH0648757A

JPH0648757A - 光ファイバ用母材の製造方法

Info

Publication number: JPH0648757A
Application number: JP19986392A
Authority: JP
Inventors: Tsugio Sato; 継男佐藤; Kenji Enomoto; 憲嗣榎本; Takeshi Yagi; 健八木; Kazuaki Yoshida; 和昭吉田
Original assignee: Furukawa Electric Co Ltd
Current assignee: Furukawa Electric Co Ltd
Priority date: 1992-07-27
Filing date: 1992-07-27
Publication date: 1994-02-22

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、寸法を正確に制御でき、寸法精度の
高い光ファイバ用母材を得ることができる光ファイバ用
母材の製造方法を提供することを目的とする。【構成】石英系材料からなるコア材の両端部をクラッド
材との間の摩擦を大きくするよいうな形状に加工する工
程と、前記支持部材の前記凹部もしくは凸部を含む領域
および前記コア材の外周にクラッド用石英系粉末からな
る層を形成して多孔質母材を得る工程と、前記多孔質母
材を焼結する工程とを具備することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は光ファイバ用母材の製造
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】光ファイバ用母材を製造する場合、ま
ず、石英系粉末で多孔質母材を作製し、これに乾燥・脱
脂・焼結処理を施している。石英系粉末を用いて多孔質
母材を作製する方法としては、特願平４−５５５７２号
に開示されているように、主原料として石英系粉末を用
い、これに水とバインダーを配合して可塑化し、この材
料を真空押出機により押出成形する方法、また、特願平
２−２２４７３２号に開示されているように、石英系粉
末を水に分散させてスラリーとし、これを吸水性の鋳型
に注入して鋳型にスラリーの水分を吸収させて成形する
方法、または、特願平３−１２６７２３号に開示されて
いるように、造粒した石英系粉末をゴム型に充填して静
水圧加圧成形する方法等が採用されている。

【０００３】実際に、多孔質母材を作製する場合、図５
に示すように、ＶＡＤ法等により作製されたコアロッド
５０の両端に支持棒５１を取り付け、この外周に上述し
た方法によりクラッド用石英系粉末からなる層５２を形
成している。

【０００４】一般に、多孔質母材を焼結する際の温度は
１４５０〜１６５０℃であるので、多孔質母材は焼結工
程で最も高い熱履歴を受けることになる。このとき、多
孔質母材は嵩密度が小さく疎の状態であるので、焼結工
程の際に収縮する。この収縮の程度は、作製された多孔
質母材の嵩密度に影響される。また、多孔質母材の密度
は、使用する石英系粉末の形状、粒径分布、または多孔
質母材作製時の成形条件に影響する。このように、多孔
質母材の焼結時の収縮は、多くの要因に影響されるた
め、焼結時にどの程度の収縮が起こるかを判断すること
が難しい。

【０００５】このため、従来では、あらかじめ多孔質母
材の嵩密度と焼結による収縮の程度との関係を調べてお
き、設計時においてその関係に基づいて多孔質母材の寸
法を決定している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多孔質
母材の収縮は、径方向および軸方向の両方向において起
きる。径方向の収縮は多孔質母材の嵩密度に影響するの
で、従来の方法によって多孔質母材の寸法を制御するこ
とができるが、軸方向の収縮はコアロッドとクラッド用
石英系粉末との密着性あるいは摩擦抵抗に影響するの
で、従来の方法によって多孔質母材の寸法を制御するこ
とができない。実際には、この両方における収縮が複雑
に影響しあうため、従来の方法により得られる光ファイ
バ用母材の寸法を正確に制御することは難しい。

【０００７】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、寸法を正確に制御でき、寸法精度の高い光ファイ
バ用母材を得ることができる光ファイバ用母材の製造方
法を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の発明は、
少なくとも一部に凹部もしくは凸部を有する支持部材を
石英系材料からなるコア材の両端部に取り付ける工程
と、前記支持部材の前記凹部もしくは凸部を含む領域お
よび前記コア材の外周にクラッド用石英系粉末からなる
層を形成して多孔質母材を得る工程と、前記多孔質母材
を焼結する工程とを具備することを特徴とする光ファイ
バ用母材の製造方法を提供する。

【０００９】本発明の第２の発明は、石英系材料からな
るコア材の両端部に前記コア材の径よりも小さい径を有
する支持部材を取り付ける工程と、前記支持部材および
前記コア材の外周にクラッド用石英系粉末からなる層を
形成して多孔質母材を得る工程と、前記多孔質母材を焼
結する工程とを具備することを特徴とする光ファイバ用
母材の製造方法を提供する。

【００１０】本発明の第３の発明は、クラッド材との間
の摩擦を大きくするような形状に石英系材料からなるコ
ア材の両端部を加工する工程と、前記コア材の外周にク
ラッド用石英系粉末からなる層を形成して多孔質母材を
得る工程と、前記多孔質母材を焼結する工程とを具備す
ることを特徴とする光ファイバ用母材の製造方法を提供
する。

【００１１】コア材の外周にクラッド用石英系粉末から
なる層を形成してなる多孔質母材としては、ＶＡＤ法、
ＯＶＤ法によりクラッド用石英系粉末を堆積させてなる
多孔質母材、クラッド用石英系粉末を前述した各種成形
法により成形してなる多孔質母材等種々の多孔質母材を
用いることができる。また、多孔質母材には、あらかじ
めコアとクラッドの一部を一体に成形したロッドの外周
にクラッド用石英系粉末を形成してなるものも含む。

【００１２】第１の発明において、支持部材に形成する
凸部もしくは凹部の形状としては、図１（ａ）〜（ｃ）
に示すように、略三角形状（図１（ａ））、略半円形状
（図１（ｂ），（ｃ））等が挙げられるが、コアロッド
１０に取り付けられる支持棒１１に形成される凸部１２
もしくは凹部１３と、その外周に形成されるクラッド用
石英系粉末からなる層１４とが噛み合えば特に制限され
ない。また、凸部１２もしくは凹部１３は、支持棒１１
の周方向に連続して形成してもよいし、図２に示すよう
に、周方向において部分的に形成してもよい。

【００１３】第２の発明においては、図３に示すよう
に、コアロッド３０の両端部にコアロッド３０の径より
も小さい径を有する支持棒３１を取り付けて、その外周
にクラッド用石英系粉末からなる層３２を形成してい
る。

【００１４】第３の発明においては、図４に示すよう
に、支持部材を用いずコアロッド４０をその両端部が徐
々に縮径するような形状となるように加工し、その外周
にクラッド用石英系粉末からなる層４１を形成してい
る。この場合、コアロッド４０の両端部は、クラッド材
との間の摩擦を大きくするような形状であればよく、コ
アロッド４０の両端部に直接凸部もしくは凹部を形成し
てもよい。特に、凹部を設けることにより、よりクラッ
クの発生を防止できる。

【００１５】支持部材としては、石英ガラスからなるロ
ッド、石英系粉末を焼結してなる多孔質体を用いること
ができる。

【００１６】本発明の方法において、多孔質母材を焼結
する前に、あらかじめ多孔質母材の両端部を加熱して焼
き締めることにより、機械的強度が比較的低い多孔質母
材においても焼結時にクラックが発生することを防止で
きる。

【００１７】

【作用】本発明の方法では、少なくとも一部に凹部もし
くは凸部を有する支持部材もしくはコア材の径よりも小
さい径を有する支持部材をコア材の両端部に取り付ける
こと、またはクラッド材との間の摩擦を大きくするよう
な形状にコア材の両端部を加工することにより、コア材
とクラッド材との間の摩擦を大きくして、焼結時に起こ
る軸方向の収縮を抑制している。

【００１８】これにより、焼結時に起こる収縮を多孔質
母材の嵩密度に影響される径方向の収縮のみに限定する
ことができる。したがって、嵩密度と焼結による収縮の
程度との関係に基づいて収縮の程度を予測することによ
り、寸法精度の高い光ファイバ用母材を得ることができ
る。

【００１９】

【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。

【００２０】実施例１平均粒径が８μｍのシリカ粉末１００重量部に対してバ
インダーとしてポリビニルアルコール（信越化学社製、
ＰＡ−０５）３重量部、および溶媒として純水６７重量
部を混合してスラリーを作製し、このスラリーをスプレ
ードライ法により造粒して平均粒径１００μｍの造粒粉
末を得た。

【００２１】一方、ＶＡＤ法によりコア／クラッド比が
１／３であり、屈折率比△＝０．３％であり、外径１２
mm、長さ３００mmであるコアロッドを作製した。次い
で、このコアロッドの両端部に、最大外径が２０mmであ
り、周方向に連続して形成された凸部を有する石英製の
支持棒をそれぞれ取り付けた。

【００２２】次いで、このコアロッドを外径７０mmのシ
リコーンゴム製管状成形型のキャビティー中央に位置合
わせして機械的に配置し、成形型を振動させながら、キ
ャビティー内に前記造粒粉末を充填した。次いで、成形
型を１０００kgf/cm²の静水圧で加圧して、外径６０m
m、長さ３００mmの多孔質母材を作製した。

【００２３】次いで、この多孔質母材を大気中において
５００℃で５時間加熱して脱脂し、その後、常法にした
がってＨｅガス雰囲気中において１６００℃で焼結して
外径５０mm、長さ２７０mmの光ファイバ用母材を作製し
た。

【００２４】上記のようにして１０本の光ファイバ用母
材を作製し、その外観から収縮およびクラックの発生の
有無を調べた。その結果を下記表１に示す。また、得ら
れた光ファイバ用母材を線引きして外径１２５μｍの光
ファイバを作製した。その光ファイバの１０か所につい
て外径およびコア径を測定したところ、いずれも外径が
１２５μｍであり、コア径が１０μｍで安定していたこ
とが確認された。

【００２５】実施例２平均粒径１５μｍのシリカ粉末を用いること、および焼
結前にあらかじめ多孔質母材の両端部を酸水素バーナー
で加熱して焼き締めること以外は実施例１と同様にして
光ファイバ用母材を１０本作製し、その外観から収縮お
よびクラックの発生の有無を調べた。その結果を下記表
１に併記する。また、得られた光ファイバ用母材を線引
きして外径１２５μｍの光ファイバを作製した。その光
ファイバの１０か所について外径およびコア径を測定し
たところ、いずれも外径が１２５μｍであり、コア径が
１０μｍで安定していたことが確認された。

【００２６】比較例実施例１と同様にして造粒粉末およびコアロッドを作製
した。次いで、このコアロッドの両端部に、外径が１２
mmである石英製の支持棒をそれぞれ取り付けた。次い
で、実施例１と同様にして多孔質母材を作製し、それに
脱脂・焼結処理を施して光ファイバ用母材を作製した。
このようにして１０本の光ファイバ用母材を作製し、そ
の外観から収縮およびクラックの発生の有無を調べた。
その結果を下記表１に併記する。

【００２７】

【表１】表１から明らかなように、本発明の方法により得られた
光ファイバ用母材（実施例１，２）は、焼結時における
収縮およびクラックの発生がないものであった。これに
対して従来の方法により得られた光ファイバ用母材（比
較例）は、焼結時における収縮およびクラックの発生の
割合が高いものであった。

【００２８】

【発明の効果】以上説明した如く本発明の光ファイバ用
母材の製造方法は、寸法を正確に制御でき、寸法精度の
高い光ファイバ用母材を得ることができる。

【００２９】また、本発明の方法によれば、縦型炉によ
り焼結を行ってもコア材とクラッド材との間に抵抗とな
る部分が存在するので、コア材とクラッド材との間にお
けるスリップを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）〜（ｃ）は本発明の方法の一実施例に使
用される多孔質母材を示す説明図である。

【図２】本発明の方法の他の実施例に使用される多孔質
母材を示す断面図である。

【図３】本発明の方法の他の実施例に使用される多孔質
母材を示す説明図である。

【図４】本発明の方法の他の実施例に使用される多孔質
母材を示す説明図である。

【図５】従来の方法に使用される多孔質母材を示す説明
図である。

【符号の説明】

１０，３０…コアロッド、１１，３１…支持棒、１２…
凸部、１３…凹部、１４，３２…クラッド用石英系粉末
からなる層。

フロントページの続き (72)発明者吉田和昭東京都千代田区丸の内２丁目６番１号古河電気工業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも一部に凹部もしくは凸部を有
する支持部材を石英系材料からなるコア材の両端部に取
り付ける工程と、前記支持部材の前記凹部もしくは凸部
を含む領域および前記コア材の外周にクラッド用石英系
粉末からなる層を形成して多孔質母材を得る工程と、前
記多孔質母材を焼結する工程とを具備することを特徴と
する光ファイバ用母材の製造方法。
【請求項２】石英系材料からなるコア材の両端部に前
記コア材の径よりも小さい径を有する支持部材を取り付
ける工程と、前記支持部材および前記コア材の外周にク
ラッド用石英系粉末からなる層を形成して多孔質母材を
得る工程と、前記多孔質母材を焼結する工程とを具備す
ることを特徴とする光ファイバ用母材の製造方法。
【請求項３】クラッド材との間の摩擦を大きくするよ
うな形状に石英系材料からなるコア材の両端部を加工す
る工程と、前記コア材の外周にクラッド用石英系粉末か
らなる層を形成して多孔質母材を得る工程と、前記多孔
質母材を焼結する工程とを具備することを特徴とする光
ファイバ用母材の製造方法。