JP2010219251A - リアクトル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リアクトル1は、環状の磁性コア11と、磁性コア11の外周に配置されるコイル12と、磁性コア11とコイル12との組合体10の外周を覆う外側樹脂部13と、サーミスタといったセンサが挿入されるセンサ用穴13hとを具える。リアクトル1は、ケースを省略したことで、小型である。センサ用穴13hを外側樹脂部13の樹脂成型により形成されたものとすることで、センサ用穴13hの位置決めが容易である上に、センサを簡単に所定の位置に配置することができ、リアクトル1の製造性に優れる。また、センサ用穴13hの形成時にコイル12などを損傷し難く、樹脂成型時にセンサを損傷することも無い。
【選択図】図1
Description
昨今、ハイブリッド自動車などの車載部品には、小型化、軽量化が望まれている。そこで、ケースを省略することが考えられるが、ケースを省略すると、磁性コアやコイルがむき出しの状態になるため、粉塵や腐食などの外部環境からの保護や機械的な保護を図ることが望まれる。
以下、図1を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。以下、図において同一符号は同一物を示す。リアクトル1は、内部に冷媒の循環路を有する金属製(代表的にはアルミニウム製)の冷却ベース(図示せず)といった固定対象に直接取り付けられて利用されるものであり、環状の磁性コア11の外周にコイル12が配置された組合体10と、この組合体10の外周を覆う外側樹脂部13とを具える。このリアクトル1の特徴とするところは、外側樹脂部13にセンサ用穴13hを具える点にある。以下、各構成をより詳細に説明する。
[磁性コア]
磁性コア11の説明は、後述する図4を適宜参照して行う。磁性コア11は、コイル12が配置される一対の直方体状のコイル巻回部11cと、コイル12が配置されずに露出されている一対の端部コア11eとを有し、離間して配置されるコイル巻回部11cを挟むように端部コア11eが配置されて閉ループ状(環状)に形成される。コイル巻回部11cは、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなるコア片11mと、アルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材11gとを交互に積層して構成され、端部コア11eは、上記軟磁性材料からなるコア片である。各コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ギャップ材11gは、インダクタンスの調整のためにコア片11m間に設けられる隙間に配置される板状材である(エアギャップの場合もある)。これらコア片及びギャップ材は、接着剤などで一体に接合される。コア片やギャップ材の個数は、リアクトル1が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。また、コア片やギャップ材の形状は適宜選択することができる。
コイル12は、図1に示すように巻線12wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子12a,12bを具える。両コイル素子12a,12bは、各軸方向が平行するように横並びに配置されている。各コイル素子12a,12bはそれぞれ、別々の巻線12wにより形成されており、各コイル素子12a,12bを形成する巻線の端部同士を溶接などにより接合して一体のコイル12としている。巻線12wは、導体の外周に絶縁被覆層を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆層がエナメルからなる被覆平角線を利用している。各コイル素子12a,12bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されている。巻線は、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。後述する実施形態2のリアクトルに具えるコイル22(図3(B)参照)のように両コイル素子22a,22bが1本の連続する巻線22wにより形成され、巻線22wの一部を折り返してなる巻返し部22rにより連結された構成としてもよい。
磁性コア11とコイル12とを具える組立体10には、インシュレータ14も設けられている。インシュレータ14は、コイル巻回部11cの外周を覆う筒状ボビン14bと、コイル12の端面に当接される一対の鍔部14fとを具える。筒状ボビン14bは、半割れの角筒片同士を係合する構成とすると、コイル巻回部11cの外周を容易に覆うことができる。各鍔部14fは、ボビンの一端部に配置される矩形枠である。インシュレータには、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂が利用できる。
上記組合体10は、その外周を外側樹脂部l3により覆われている。ここでは、外側樹脂部l3は、上記組立体10を作製した後、エポキシ樹脂を注型成形することで、外側樹脂部13の外観が直方体状となるように形成している。巻線12wの端部は、図1に示すように外側樹脂部13から露出されている。そして、リアクトル1では、外側樹脂部13においてコイル素子12a,12b間を覆う箇所にセンサ用穴13hを具える。
上記構成を具えるリアクトル1は、以下のようにして形成することができる。
上記構成を具えるリアクトル1は、ケースを具えていないことで小型、軽量でありながら、外側樹脂部13を具えることで、組合体10を外部環境から保護したり、機械的に保護したりすることができる。かつ、リアクトル1は、リアクトルの物理量を測定するセンサを配置するためのセンサ用穴13hを具えており、このセンサ用穴13hに所望のセンサ(例えば、温度を測定するサーミスタ)を挿入することで、所望のセンサを簡単に位置決めすることができる。特に、リアクトル1では、センサ用穴13hを外側樹脂部13の成型時に同時に形成し、かつ成型後にセンサを配置する構成であるため、センサ用穴の形成にあたりコイル12などを損傷したり、センサを具えるリアクトルの形成にあたりセンサを損傷したりする恐れがほとんどない。また、外側樹脂部13の成型時にセンサ用穴13hを形成することで、センサ用穴の位置決めを容易に行えて、センサ用穴を簡単に形成することができるため、リアクトルの製造性に優れる。
上記実施形態1では、センサ用穴13hが開口部から底面に亘って一様な大きさ(直径)である構成を説明したが、例えば、開口部側の直径が大きな段差形状の穴としてもよい。この場合、センサを樹脂などで覆ってT字状に成型し、突出した部分が上記段差にあたり止めされるような構成とすると、センサ用穴からのセンサの抜け落ちを低減できる。更に、上記突出した部分にネジ穴を設けて、ネジなどで外側樹脂部に固定する構成とすると、センサをリアクトルに強固に固定することができ、抜け落ちをより確実に防止できる。或いは、センサを接着剤などでセンサ用穴に固定してもよい。
以下、図2〜図4を参照して、実施形態2のリアクトル2を説明する。なお、図2では、外側樹脂部の一部を切り欠いて外側樹脂部の内側に存在する磁性コア及びコイル成形体が見えるようにしている。リアクトル2は、環状の磁性コア11の外周にコイル成形体22Aが配置された組合体20と、この組合体20の外周を覆う外側樹脂部23とを具える。リアクトル2において実施形態1のリアクトル1との主たる相違点は、コイル22が内側樹脂部22cに覆われたコイル成形体22Aである点にある。以下、この相違点を中心に説明し、その他の点は実施形態1のリアクトル1と概ね同じであるため、説明を省略する。
コイル成形体22Aは、図3(II)に示すように、1本の連続する巻線22wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子22a,22bを有するコイル22と、コイル22の外周を覆う内側樹脂部22cとを具える。
コイル22は、上述のように1本の連続する巻線22wを巻回して形成されている。巻線22wの両端部は、ターン形成部分から適宜引き延ばされて内側樹脂部22cの外部及び外側樹脂部23の外部に引き出され(図2)、実施形態1のリアクトル1と同様にして、端子部材(図示せず)が接続される。
各コイル素子22a,22bの形状を保持するように内側樹脂部22cを具える。ここでは、特に、各コイル素子22a,22bのそれぞれを圧縮状態に保持するように内側樹脂部22cを具える。また、ここでは、内側樹脂部22cは、図3(I),(II)に示すようにコイル22の外形に概ね沿って覆っており、巻線22wの両端部、及びコイル素子22a,22bのターン形成部分の外周面の一部が内側樹脂部22cの構成樹脂により覆われず露出されている。即ち、内側樹脂部22cの外周面は、凹凸形状である。内側樹脂部22cにおいて両コイル素子22a,22bのターン形成部分を覆う箇所の厚さは、図3(III)に示すように実質的に均一であり、巻返し部22rを覆う箇所は、図3(I),(II)に示すようにコイルの軸方向にせり出した形状である。内側樹脂部22cの表面、及び上記露出されたターン形成部分は、リアクトル2を組み立てたとき、外側樹脂部23の内面に接触される。
上記コイル成形体22Aは、以下のような成形金型を利用して製造することができる。成形金型は、開閉可能な一対の第一金型及び第二金型から構成されるものが利用できる。第一金型は、コイル22の一端側(図3において巻線22wの端部を引き出している側)に位置する端板と、各コイル素子22a,22bの内周にそれぞれ挿入される直方体状の中子とを具え、第二金型は、コイルの他端側(図3において巻返し部22r側)に位置する端板と、コイル22の周囲を覆う周側壁とを具える。これら第一金型、第二金型は、駆動機構により金型内部において進退可能な複数の棒状体を具え、これらの棒状体により、各コイル素子22a,22bの端面(ターン形成部分が環状に見える面)を適宜押圧してコイル素子22a,22bを圧縮する。上記棒状体は、コイル22の圧縮に対する十分な強度と、内側樹脂部22cの成形時の熱などに対する耐熱性とを具えており、かつコイル22において内側樹脂部22cで被覆されない箇所を少なくするために、極力細くすることが好ましい。また、第二金型は、上記周側壁からコイル素子間に進退可能な円柱状の中子を具える。この中子は、センサ用穴を形成するために利用される。
上記磁性コア11とコイル成形体22Aとを組み合わせてなる組合体20は、図2に示すようにその外周を外側樹脂部23により覆われて、リアクトル2が構成される。この外側樹脂部23には、コイル成形体22Aに具えるセンサ用内穴22hに連通するセンサ用外孔23hを具える。このセンサ用外孔23hは、外側樹脂部23の成型時に同時に形成されたものである。ここでは、センサ用外孔23hは、コイル成形体22Aのセンサ用内穴22hと同じ大きさ(直径)を有する円筒状であり、開口部からセンサ用内穴22hに亘って一様な大きさ(直径)を有する。このようなセンサ用外孔23hは、外部樹脂部23を成型する前に、コイル成形体22Aのセンサ用内穴22hに嵌合する大きさ(直径)を有する円柱材を挿入しておき、この状態で外部樹脂部23を成型することで容易に形成することができる。上記円柱材は、コイル成形体22Aのセンサ用内穴22hに挿入したとき、一端が外部樹脂部23の表面から突出するように十分な長さのものを利用するとよく、成型後、リアクトル2から抜き取る。
上記構成を具えるリアクトル1は、以下のようにして組み立てることができる。
上記構成を具えるリアクトル2は、実施形態1のリアクトル1と同様にケースを具えていないことで、小型・軽量でありながら、外側樹脂部23及び内側樹脂部22cを具えることで、磁性コア11やコイル22の外部環境からの保護及び機械的保護を図ることができる。かつ、リアクトル2は、コイル成形体22を利用することで、組み立て時、コイル22が伸縮せずコイル22が取り扱い易いことから、製造性に優れる。また、コイル成形体22を利用することで、インシュレータなどを省略できるため、部品点数の削減、及びこれらの部品を配置する工程の削減を図ることができ、この点からも製造性に優れる。更に、リアクトル2は、実施形態1のリアクトル1と同様に、外側樹脂部23や内側樹脂部22cの成型時に同時に形成されたセンサ用内穴22h及びセンサ用外孔23hを具えることで、サーミスタといったセンサの位置決めを容易に行えると共に、これらの穴22h,孔23hの形成や上記センサを具えるリアクトルの形成にあたり、コイル22やセンサなどを損傷する恐れがほとんど無い。かつ、センサ用内穴22h及びセンサ用外孔23hの形成も容易である。
上記実施形態2では、外側樹脂部23のセンサ用外孔23hの開口部から、コイル成形体22Aのセンサ用内穴22hの底面までの大きさ(直径)が一様である形態を説明したが、例えば、外側樹脂部23のセンサ用外孔23hの大きさと、コイル成形体22Aのセンサ用内穴22hの大きさとを異ならせてもよい。より具体的には、外側樹脂部のセンサ用外孔をコイル成形体のセンサ用内穴よりも大きくして、全体として、開口部側の直径が大きな段差形状の穴としてもよい。この場合、外側樹脂部の成型時にコイル成形体のセンサ用内穴に挿入する円柱材として、大径部と細径部とを具える段差形状のものを利用するとよい。そして、変形例1で説明したように、センサを樹脂などでT字状に形成しておき、上記段差にあたり止めされる構成とすると、上記段差形状の穴からのセンサの抜け落ちを低減することができる。
11m コア片 11g ギャップ材 12,22 コイル 12a,12b,22a,22b コイル素子
12w,22w 巻線 12d コイルベース面 13,23 外側樹脂部 13h センサ用穴
13d 樹脂ベース面 13b,23b ボルト孔 14 インシュレータ 14b 筒状ボビン
14f 鍔部
22A コイル成形体 22c 内側樹脂部 22r 巻返し部 22h センサ用内穴
22e 端面 22d 成形体ベース面 23h センサ用外孔 23f フランジ部
100 ボルト 220 中空孔 221 凹み
Claims (6)
- 磁性コアと、この磁性コアの外周に配置されるコイルとを具えるリアクトルであって、
前記磁性コアと前記コイルとの組合体の外周を覆う外側樹脂部と、
前記リアクトルの物理量を測定するセンサが配置されるセンサ用穴とを具えており、
前記センサ用穴は、前記外側樹脂部の樹脂成型により設けられていることを特徴とするリアクトル。 - 前記コイルは、一対のコイル素子を具え、両コイル素子は、各軸方向が平行するように配置されており、
前記センサ用穴は、前記外側樹脂部において前記コイル素子間を覆う箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。 - 巻線を螺旋状に巻回してなるコイルが磁性コアに配置されたリアクトルに用いられるコイル成形体であって、
前記コイルの形状を保持する内側樹脂部と、
前記リアクトルの物理量を測定するセンサが配置されるセンサ用内穴とを具えており、
前記センサ用内穴は、前記内側樹脂部の樹脂成型により設けられていることを特徴とするコイル成形体。 - 前記コイルは、一対のコイル素子を具え、両コイル素子は、各軸方向が平行するように配置されており、
前記センサ用内穴は、前記内側樹脂部において前記コイル素子間を覆う箇所に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のコイル成形体。 - 前記内側樹脂部は、セラミックスフィラーを含有した樹脂により構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のコイル成形体。
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載のコイル成形体と、
前記コイル成形体が配置される磁性コアと、
前記コイル成形体と磁性コアとの組合体の外周を覆う外側樹脂部と、
前記内側樹脂部のセンサ用内穴に連通し、かつ当該外側樹脂部の樹脂成型により設けられたセンサ用外孔とを具えることを特徴とするリアクトル。
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