JP2010218612A - ディスク駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベースプレートのワイヤ引き出し孔からのリークを軽減する。
【解決手段】ブラシレスモータ100において、ハブ10には、磁気記録ディスク200が載置される。ベースプレート50は、上面50a上でハブ10を回転自在に支持する。積層コア60は、ベースプレート50の上面50a上に固定され、円環部とそこから半径方向に伸びる複数の突極とを含む。コイル70は、複数の突極に巻き線されて形成される。円筒状マグネット40は、ハブ10に固定され、積層コア60の複数の突極と径方向に対向し、周方向に複数の駆動用着磁が施される。コイル70の一端のワイヤ72は、ベースプレート50に設けられた開口54を通じてベースプレート50の下面50bに引き出され、コイル70に電流を供給するための駆動配線106とベースプレート50の開口54上を避けた位置で接続される。ベースプレート50の開口54には樹脂102が充填される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスクを回転駆動するディスク駆動装置に関する。
コンピュータの記憶装置等に使用されるメディアとしては、ハードディスクドライブが知られている。ハードディスクドライブでは、記録トラックが形成された磁気記録ディスクをブラシレスモータにより高速で回転させる。記録トラックに含まれる磁気データのリード/ライトのために、磁気記録ディスクの表面に磁気ヘッドを僅かな隙間をもって配置する(特許文献1参照)。
特開2008−61331号公報
近年、高密度化の点で有利であることから、磁気ヘッドに磁気抵抗効果型素子(以下、MR素子と呼ぶ)が多く用いられている。このMR素子にはサーマルアスペリティ障害(以下、TA障害と呼ぶ)が発生しうることが知られている。
TA障害とは、MR素子が瞬間的に加熱もしくは冷却されることによりその抵抗値が瞬間的に変化し、その変化がノイズとなって再生信号に現れてしまう障害である。瞬間的な加熱の原因のひとつとして、磁気ヘッドが記録トラックをトレースしている最中にMR素子に微小なパーティクルが衝突することがある。この衝突のエネルギーによってMR素子が瞬間的に加熱される。
パーティクルとは、例えば空気中の埃、部材表面の削れた粒子、砥石のかけら、油脂、である。
本発明者による検討の結果、TA障害は空中を浮遊する0.1μm〜数μmのパーティクルが磁気記録ディスクの表面に付着することにより発生しうることが見出された。
ハードディスクドライブのうち磁気記録ディスクが載置される領域は通常、パーティクル等が取り除かれた清浄な空気で満たされた上で密封される。しかしながら例えばベースプレートに設けられるコイルのワイヤの引き出し孔にリークが生じると、そこから外部のパーティクルが磁気記録ディスク側の空間に侵入してTA障害の原因となりうる。
他の態様のディスク駆動装置でも同様の課題が生じうる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的はベースプレートに設けられるコイルのワイヤの引き出し孔からのリークを軽減したディスク駆動装置の提供にある。
本発明のある態様は、ディスク駆動装置に関する。このディスク駆動装置は、記録ディスクが載置されるハブと、一方の面上で軸受を介してハブを回転自在に支持するベースと、ベースの一方の面上に固定され、円環部とそこから半径方向に伸びる複数の突極とを含むコアと、複数の突極に巻き線されて形成されるコイルと、ハブに固定され、複数の突極と径方向に対向し、周方向に複数の駆動用着磁が施されたマグネットと、を備える。コイルの一端のワイヤは、ベースに設けられた開口を通じてベースの他方の面に引き出され、コイルに電流を供給するための駆動配線とベースに設けられた開口上を避けた位置で接続される。ベースに設けられた開口には樹脂が充填される。
「ディスク駆動装置」は、記録ディスクを駆動するための装置であってもよく、例えばブラシレスモータであってもよい。
この態様によると、駆動配線とコイルの一端のワイヤとの接続部分をワイヤが引き出される開口から離すことができる。これにより樹脂が充填された開口の気密性を高めることができる。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ベースプレートに設けられるコイルのワイヤの引き出し孔からのリークを軽減できる。
図1(a)、(b)は、第1の実施の形態に係るブラシレスモータの断面図および部分的な下面図である。 図2(a)、(b)は、比較技術に係るブラシレスモータの部分的な断面図および部分的な下面図である。 図3(a)、(b)は、第2の実施の形態に係るブラシレスモータの部分的な断面図および部分的な下面図である。 図4(a)、(b)は、第3の実施の形態に係るブラシレスモータの部分的な断面図および部分的な下面図である。 図5(a)、(b)は、第4の実施の形態に係るブラシレスモータの部分的な断面図および部分的な下面図である。 図6(a)、(b)は、第5の実施の形態に係るブラシレスモータの部分的な断面図および部分的な下面図である。 変形例に係るブラシレスモータのうち、ベースプレートに設けられた開口付近の部分的な断面図である。
以下、本発明を好適な実施の形態および比較技術をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
本発明の実施の形態は、ハードディスクドライブに搭載され磁気記録ディスクを駆動するブラシレスモータに好適に用いられる。特に磁気ヘッドにMR素子を用いるハードディスクドライブのブラシレスモータに好適に用いられる。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100では、コイル70の一端のワイヤ72はベースプレート50に設けられた開口54を通じてベースプレート50の下面50bに引き出される。このコイル70の一端のワイヤ72は、開口54上を避けた位置で駆動配線106と接続される。ブラシレスモータ100ではさらに、気密を保つために開口54に樹脂102を充填する。これにより駆動配線106とワイヤ72とを電気的に接続することと、ベースプレート50の開口54を封止することとが独立に行われうるので、それぞれの信頼性が向上する。
図1(a)、(b)は、第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100の断面図および部分的な下面図である。図1(a)は、第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100の断面図である。図1(b)は、第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100のベースプレート50の開口54付近の下面図である。図1(a)の断面図は図1(b)のA−A線断面図に対応する。
ブラシレスモータ100はハードディスクドライブに搭載され、2枚の磁気記録ディスク200を回転させる。ブラシレスモータ100は、略カップ状のハブ10と、シャフト20と、フランジ22と、ヨーク30と、円筒状マグネット40と、ベースプレート50と、積層コア60と、コイル70と、スリーブ80と、プレート90と、潤滑油92と、樹脂102と、フレキシブルプリント基板104と、を備える。以降ベースプレート50に対してハブ10が設けられている側を上側として説明する。
ベースプレート50の上面50a側、つまり磁気記録ディスク200が搭載される側にはパーティクルなどを除去した清浄な空気が満たされる。ブラシレスモータ100が搭載されるハードディスクドライブは、このベースプレート50の上面50a側を密閉するようにその筐体が形成される。
ハブ10と、シャフト20と、フランジ22と、ヨーク30と、円筒状マグネット40と、はロータを構成し、ブラシレスモータ100の回転時にはこれらが一体となってモータ回転軸Rの回りを回転する。シャフト20の一端はハブ10の中心に設けられた開口部に圧入と接着とを併用した状態で固着される。シャフト20の他端にはフランジ22が圧入状態で固着される。
2枚の磁気記録ディスク200の中央の孔は、上側に突き出た形のハブ10の円筒状部分12に嵌合される。円環状の第1スペーサ202は、2枚の磁気記録ディスク200の間に挿入される。クランパ206は、円環状の第2スペーサ204を介して2枚の磁気記録ディスク200および第1スペーサ202をハブ10に対して押しつけて固定する。クランパ206は、複数のクランプネジ208によってハブ10の上面10aに対して固定される。
ヨーク30はその断面が逆L字型であり、鉄などの磁性材料により形成される。ヨーク30はハブ10の下面に圧入により固定される。ヨーク30の内周面には円筒状マグネット40が接着固定される。円筒状マグネット40は、ネオジウム、鉄、ホウ素などの希土類材料によって形成され、積層コア60の12本の突極と径方向に対向する。円筒状マグネット40にはその周方向に8極の駆動用着磁が施される。円筒状マグネット40の表面には電着塗装やスプレー塗装などによる防錆処理が施される。
ベースプレート50と、積層コア60と、コイル70と、スリーブ80と、プレート90と、はステータを構成し、ブラシレスモータ100の回転時にはロータを回転自在に支持する。ベースプレート50はハードディスクドライブのベースと一体である。ベースプレート50にはモータ回転軸Rを中心とした円筒状部分52が設けられ、その円筒状部分52の内周面にスリーブ80が接着固定される。スリーブ80にはシャフト20が収まる。スリーブ80のフランジ22側の面にはプレート90が接着固定される。
なお、ベースプレート50はハードディスクドライブのベースと別体とされてもよい。
ベースプレート50は、アルミニウムの合金をダイカストにより成型し、その表面の少なくとも一部に絶縁のための皮膜(以下、絶縁皮膜と称する)を施して形成される。薄さや皮膜強度の観点から、絶縁皮膜はエポキシ系の樹脂をカチオン電着塗装する方法によって形成されることが好ましい。
ロータの一部であるシャフト20およびフランジ22と、ステータの一部であるスリーブ80およびプレート90との間には潤滑油92が注入される。シャフト20、フランジ22、潤滑油92、スリーブ80およびプレート90はハブ10を回転自在に支持する軸受を構成する。ベースプレート50はその上面50a上でこの軸受を介してハブ10を回転自在に支持する。
スリーブ80の内周面には、上下に離間した1組のヘリングボーン形状のラジアル動圧溝82が形成される。フランジ22の上面には、ヘリングボーン形状の第1スラスト動圧溝24が、フランジ22の下面には、ヘリングボーン形状の第2スラスト動圧溝26が形成される。ブラシレスモータ100の回転時には、これらの動圧溝が潤滑油92に生成する動圧によって、ロータはラジアル方向およびスラスト方向に支持される。
スリーブ80の開放端側には、スリーブ80の内周面とシャフト20の外周面との間の隙間が上方に向けて徐々に広がる部分であるキャピラリーシール部98が形成される。キャピラリーシール部98は毛細管現象により潤滑油92の漏れ出しを防止する。
積層コア60は円環部とそこから半径方向外側に伸びる12本の突極とを有する。積層コア60は、18枚の薄型電磁鋼板を積層しカシメにより一体化して形成される。積層コア60の表面には電着塗装や粉体塗装などによる絶縁塗装が施される。それぞれの突極にはコイル70が巻回される。このコイル70に3相の略正弦波状の駆動電流が流れることにより突極に沿って駆動磁束が発生する。積層コア60は、その円環部の内周面が円筒状部分52の外周面に圧入されもしくは隙間ばめによって接着固定される。
コイル70は、ワイヤを積層コア60の突極のそれぞれに必要な回数だけ巻き付けることによって形成される。ワイヤは、ある突極に対して下側から巻き始められ、3相駆動においてその突極と同じ相を担うべき突極に連続して上側から巻き付けられる。巻き終わりのワイヤは突極の下側に引き出される。この際、巻き終わりのワイヤの途中が突極に接着剤74によって固定される。これにより巻き終わりのワイヤのほつれが防止される。また、ブラシレスモータ100の超音波洗浄を行う際、巻き終わりのワイヤが共振して断線する可能性が低減される。
このようにして引き出された巻き終わりのワイヤ(以下、コイル70の一端のワイヤ72と呼ぶ)は、ベースプレート50に設けられた開口54を通じてベースプレート50の下面50b側に引き出される。コイル70の一端のワイヤ72は開口54上で折り曲げられ、ベースプレート50の下面50bに貼り付けられたフレキシブルプリント基板104の駆動配線106と接続される。ワイヤ72が接続される側のフレキシブルプリント基板104の一端は、開口54の端から所定の距離Lだけ手前に位置する。所定の距離Lは、実験により定められる。
フレキシブルプリント基板104は、ストリップ状の絶縁フィルム108と、ストリップ状の駆動配線106と、保護フィルム110と、がこの順に積層された構造を有する。絶縁フィルム108は、ベースプレート50の下面50bに両面テープによって貼り付けられる。駆動配線106は絶縁フィルム108を介してベースプレート50の下面50bと絶縁される。フレキシブルプリント基板104のうち開口54に近い部分では保護フィルム110が剥離され、駆動配線106が外部に露出する。駆動配線106は図示しない駆動回路からコイル70に駆動電流を供給する。
清浄な空気で満たされたベースプレート50の上面50a側の気密性を保つため、ベースプレート50の開口54には液体状の樹脂102が充填され硬化される。樹脂102は開口54を塞ぐように充填される。また、樹脂102は駆動配線106とコイル70の一端のワイヤ72との接続部分を覆うように塗布される。これにより、その接続部分およびベースプレート50の下面50bに出ているワイヤ72が保護されると共に外部から絶縁される。
ここで用いられる樹脂102は、紫外線照射と加熱とを併用して硬化される樹脂、例えばエポキシアクリルハイブリッド樹脂を主成分とする樹脂である。
コイル70の一端のワイヤ72は、駆動配線106に溶着される。この溶着は、コイル70の一端のワイヤ72を駆動配線10に対して押さえ付け圧力を加えた状態で加熱することにより行われる。これにより、半田付けを使用しないでワイヤ72を駆動配線106に接続できる。
半田付けを用いる場合、半田付けをする箇所にフラックスを塗布することが一般的である。半田付け後にフラックスをそのまま放置すると錆の原因等となる。したがって半田付け後はフラックスを洗浄する。しかしながら洗浄によってフラックスが抜けた後の空間を通して、外部からベースプレート50の上面50a側へリークする場合がある。本実施の形態では、半田付けおよびフラックスを使用しないのでかかる不都合は生じない。
以上のように構成されたブラシレスモータ100の動作について説明する。ブラシレスモータ100を回転させるために、3相の駆動電流が駆動配線106を通じてコイル70に供給される。駆動電流がコイル70を流れることにより、12本の突極に沿って駆動磁束が発生する。この駆動磁束によって円筒状マグネット40にトルクが与えられ、ロータ全体が回転する。
ここで、樹脂102を用いず半田付けによってベースプレートの開口を塞ぐ比較技術について説明する。図2(a)、(b)は、比較技術に係るブラシレスモータ300の部分的な断面図および部分的な下面図である。図2(a)は、ブラシレスモータ300のうち、ベースプレート350に設けられた開口354付近の部分的な断面図である。図2(b)は、ベースプレート350の開口354付近の下面図である。図2(a)の断面図は図2(b)のB−B線断面図に対応する。
ブラシレスモータ300のうち図2(a)、(b)で図示されない部分は、第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100と同様の構成を有するので説明を省略する。
積層コア360の突極に巻き付けられたコイル370の一端のワイヤ372はベースプレート350の開口354を通じて、ベースプレート350の上面350aから下面350bへ引き出される。ベースプレート350の下面350bには開口354を覆うように絶縁フィルム308および駆動配線306が設けられる。駆動配線306および絶縁フィルム308には開口354と連通する孔が設けられ、ワイヤ372はこの孔を通じてベースプレート350の下面350bへ引き出される。駆動配線306とワイヤ372は半田付けによって電気的に接続される。加えて、ベースプレート350の上面350a側の気密性を保つため、半田390はワイヤ372と駆動配線306に設けられた孔との隙間を塞ぐように半田付けされる。この半田付けの際、フラックスを使用する。フラックスは駆動配線306やワイヤ372や開口354の縁に付着する。半田付け後はフラックスを洗浄する。
フラックスを洗浄した後には微小な空間ができ、これが外部からベースプレート350の上面350a側へのリークの原因となる場合がある。また、絶縁フィルム308とベースプレート350の間および絶縁フィルム308と駆動配線306との間からリークする可能性がある。このようなリークが発生すると、外部からパーティクルなどがベースプレート350の上面350a側に侵入し、空気の清浄さが損なわれる可能性があった。
そこで、本実施の形態に係るブラシレスモータ100によれば、コイル70の一端のワイヤ72は、ベースプレート50の開口54上を避けた位置で駆動配線106と接続される。その上で開口54には樹脂102が充填される。したがって、駆動配線106とワイヤ72とを電気的に接続することと、ベースプレート50の開口54を封止することとが独立に行われうるので、それぞれの信頼性が向上する。特にベースプレート50の開口54に樹脂102を充填する際、ワイヤ72と駆動配線106との溶着部分は物理的に離されているので、比較技術で示されたようなリークの可能性が軽減され気密の信頼性が向上する。その結果、ベースプレート50の上面50a側をパーティクルの少ない清浄な状態に保つことができる。これによりTA障害が抑制される。
また、本実施の形態に係るブラシレスモータ100では、コイル70の一端のワイヤ72をベースプレート50の下面50bに引き出した後折り曲げている。したがって、樹脂102の厚みを薄くでき、ブラシレスモータ100が熱膨張したとしてもワイヤ72は切れにくくなる。
ベースプレート50の開口54を塞ぐために粘度の低い液状の加熱硬化型樹脂を使用する場合、ブラシレスモータの製造工程において樹脂を開口54に充填した後加熱炉まで搬送する間に樹脂が流れて拡がり、開口54を密閉できない可能性がある。これを避けるため粘度の高い樹脂を用いると、開口54への充填に時間がかかり、作業効率が低下しうる。そこで本実施の形態に係るブラシレスモータ100によれば、ベースプレート50の開口54は紫外線照射と加熱とを併用して硬化される樹脂によって充填される。この場合、ブラシレスモータの製造工程においては、開口54に樹脂を充填すると共にワイヤ72と駆動配線106との溶着部分に樹脂を塗布する。その後直ちに紫外線を照射して樹脂の表面を硬化させる。これにより加熱炉への搬送中も樹脂は拡がりにくくなる。加熱炉へ搬送されたブラシレスモータは適切に加熱され、樹脂はその内部まで硬化される。特に、紫外線照射と加熱とを併用して硬化される樹脂のなかでも粘度の低い液状の樹脂が使用されると、開口54への充填がスムーズに短時間で行われうるので作業効率が上昇しうる。また、樹脂は加熱により内部まで硬化されるので、樹脂成分の揮発が抑えられ、ベースプレート50の上面50a側の空気の汚染を低減できる。その結果TA障害を抑制できる。
本実施の形態に係るブラシレスモータ100において、紫外線照射と加熱とを併用して硬化される樹脂としてエポキシアクリルハイブリッド樹脂を主成分とする樹脂を使用した場合、波長が200〜400nmの紫外線の照射によって短時間で表面を硬化できるので好適である。
なお、硬化前の樹脂102の25℃における粘度は、4Pa・sより大きく16Pa・sより小さい範囲にある粘度であることが好ましい。4Pa・sより大きい粘度とすることで、樹脂102の必要以上の広がりを抑止でき、16Pa・sより小さい粘度とすることで開口54を塞ぐための時間を十分に短くできるからである。
本実施の形態に係るブラシレスモータ100では、ベースプレート50の表面の少なくとも一部には絶縁皮膜が施される。アルミニウムの合金をアルミダイカストにより成型してベースプレートを作成した場合、ベースプレートの表面には多数の小さな凹部が形成されることが知られている。この凹部に小さなパーティクルなどの不純物が付着していると、この不純物がベースプレートの磁気記録ディスク側に放出されてTA障害の原因となる虞がある。そこで本実施の形態ではベースプレート50の表面に絶縁皮膜を施しているので、凹部から放出されるパーティクルなどの不純物の量を軽減できる。
特にベースプレート50の上面50aに絶縁皮膜が施されていると、ベースプレート50の上面50a側の空気の清浄度を維持する観点から好ましい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るブラシレスモータ400と第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100との主な違いは、絶縁フィルムの形状である。
図3(a)、(b)は、第2の実施の形態に係るブラシレスモータ400の部分的な断面図および部分的な下面図である。図3(a)は、ブラシレスモータ400のうち、ベースプレート50に設けられた開口54付近の部分的な断面図である。図3(b)は、ベースプレート50の開口54付近の下面図である。図3(a)の断面図は図3(b)のC−C線断面図に対応する。
ブラシレスモータ400のうち図3(a)、(b)で図示されない部分は、第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100と同様の構成を有するので説明を省略する。
絶縁フィルム408は、ベースプレート50の開口54を覆うように延伸される。絶縁フィルム408には開口54と連通する開口410が設けられる。コイル70の一端のワイヤ72は、絶縁フィルム408の開口410を通してベースプレート50の下面50b側に引き出される。
絶縁フィルム408の開口410は、ベースプレート50の開口54と同心となるよう形成される。絶縁フィルム408の開口410の直径は、ベースプレート50の開口54の直径よりも小さい。したがって、絶縁フィルム408の開口410は、ベースプレート50の開口54のベースプレート50の下面50b側の縁54aにかからない。これにより、ベースプレート50の開口54の内部で壁に当たらないようワイヤ72が位置決めされるので、ワイヤ72がベースプレート50と短絡する可能性を低減できる。
清浄な空気で満たされたベースプレート50の上面50a側の気密性を保つため、ベースプレート50の開口54には液体状の樹脂402が充填され硬化される。樹脂402は駆動配線406とコイル70の一端のワイヤ72との溶着部分を覆うように塗布される。
本実施の形態に係るブラシレスモータ400によると、絶縁フィルム408には開口54と連通する開口410が設けられる。これにより、ワイヤ72とベースプレート50の下面50bとの間の絶縁の信頼性を高めることができる。
また、ベースプレート50の下面50b側の縁54aは尖っているので、ここにワイヤ72が当たるとベースプレート50へ短絡する可能性は高くなる。そこで本実施の形態に係るブラシレスモータ400ではベースプレート50の下面50b側の縁54aは絶縁フィルム408によって覆われているのでそこでの短絡を防止できる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係るブラシレスモータ500と第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100との主な違いは、絶縁フィルムの形状である。
図4(a)、(b)は、第3の実施の形態に係るブラシレスモータ500の部分的な断面図および部分的な下面図である。図4(a)は、ブラシレスモータ500のうち、ベースプレート50に設けられた開口54付近の部分的な断面図である。図4(b)は、ベースプレート50の開口54付近の下面図である。図4(a)の断面図は図4(b)のD−D線断面図に対応する。
ブラシレスモータ500のうち図4(a)、(b)で図示されない部分は、第1の実施の形態に係るブラシレスモータ100と同様の構成を有するので説明を省略する。
絶縁フィルム508は、ベースプレート50の開口54のベースプレート50の下面50b側の縁54aのうち、駆動配線506とコイル70の一端のワイヤ72との溶着部分側の縁を覆う。ワイヤ72をベースプレート50の開口54の内部で好適に位置決めするために、絶縁フィルム508は縁54aのおよそ30%を覆うことが好ましい。
清浄な空気で満たされたベースプレート50の上面50a側の気密性を保つため、ベースプレート50の開口54には液体状の樹脂502が充填され硬化される。樹脂502は駆動配線506とコイル70の一端のワイヤ72との溶着部分を覆うように塗布される。
ベースプレート50の下面50b側の縁54aは尖っているので、ここにワイヤ72が当たるとベースプレート50へ短絡する可能性は高くなる。そこで本実施の形態に係るブラシレスモータ500では、絶縁フィルム508は、縁54aのうち駆動配線506とワイヤ72との溶着部分側の縁を覆うので、縁54aでの短絡を防止できる。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係るブラシレスモータ600と第2の実施の形態に係るブラシレスモータ400との主な違いは、駆動配線の形状である。
図5(a)、(b)は、第4の実施の形態に係るブラシレスモータ600の部分的な断面図および部分的な下面図である。図5(a)は、ブラシレスモータ600のうち、ベースプレート50に設けられた開口54付近の部分的な断面図である。図5(b)は、ベースプレート50の開口54付近の下面図である。図5(a)の断面図は図5(b)のE−E線断面図に対応する。
ブラシレスモータ600のうち図5(a)、(b)で図示されない部分は、第2の実施の形態に係るブラシレスモータ400と同様の構成を有するので説明を省略する。
駆動配線606は、ベースプレート50の開口54を覆うように延伸される。駆動配線606には、ベースプレート50の開口54と連通する開口610が設けられる。駆動配線606の開口610は、絶縁フィルム608に第2の実施の形態と同様にして設けられる開口612と同心となるよう形成される。駆動配線606の開口610の直径は、絶縁フィルム608の開口612の直径よりも小さい。したがって、駆動配線606の開口610は、ベースプレート50の開口54のベースプレート50の下面50b側の縁54aにかからない。
コイル70の一端のワイヤ72は、絶縁フィルム608の開口612と、駆動配線606の開口610とを通してベースプレート50の下面50b側に引き出される。
清浄な空気で満たされたベースプレート50の上面50a側の気密性を保つため、ベースプレート50の開口54には液体状の樹脂602が充填され硬化される。樹脂602は駆動配線606とコイル70の一端のワイヤ72との溶着部分を覆うように塗布される。
本実施の形態に係るブラシレスモータ600によると、ベースプレート50の開口54の内部で壁に当たらないようワイヤ72が位置決めされるので、ワイヤ72がベースプレート50と短絡する可能性を低減できる。
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係るブラシレスモータ700と第4の実施の形態に係るブラシレスモータ600との主な違いは、ベースプレートの形状である。
図6(a)、(b)は、第5の実施の形態に係るブラシレスモータ700の部分的な断面図および部分的な下面図である。図6(a)は、ブラシレスモータ700のうち、ベースプレート750に設けられた開口754付近の部分的な断面図である。図6(b)は、ベースプレート750の開口754付近の下面図である。図6(a)の断面図は図6(b)のF−F線断面図に対応する。
ブラシレスモータ700のうち図6(a)、(b)で図示されない部分は、第4の実施の形態に係るブラシレスモータ600と同様の構成を有するので説明を省略する。
ベースプレート750の下面750b上には凹部756が設けられ、駆動配線706および絶縁フィルム708はその凹部756に配設される。凹部756はフレキシブルプリント基板の配設経路に沿って設けられる。凹部756の深さDは、樹脂702がベースプレート750の下面750bから突き出さないように定められる。なお、凹部756の深さDは、ベースプレート750の剛性が必要以上に低下しないよう実験により定められてもよい。
ベースプレート750の開口754に対する駆動配線706および絶縁フィルム708の関係は第4の実施の形態と同様である。ワイヤ72の引き出し方および樹脂702の塗布の仕方も第4の実施の形態と同様である。
本実施の形態に係るブラシレスモータ700によると、ブラシレスモータ700の厚みを低減できる。
以上、実施の形態に係るブラシレスモータの構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
例えば、第1から第3の実施の形態において、駆動配線が配設される凹部をベースプレートの下面に設けてもよい。
第1から第5の実施の形態において、ベースプレートの開口には、ベースプレートの上面上でベースプレートの開口から突き出るように樹脂が充填されてもよい。例として第4の実施の形態に係るブラシレスモータ600の変形例を説明する。図7は、変形例に係るブラシレスモータ800のうち、ベースプレート50に設けられた開口54付近の部分的な断面図である。図7に示されるように、ベースプレート50の開口54には、ベースプレート50の上面50a上でベースプレート50の開口54から突き出るように樹脂802が充填される。
ブラシレスモータの製造工程には、ベースプレートの開口に充填した樹脂が硬化した後でブラシレスモータを超音波洗浄する工程がある。この工程において、コイルの一端のワイヤのうち自由に動く部分が長いと、その部分が超音波と共振して断線する可能性がある。そこで本変形例に係るブラシレスモータによると、コイルの一端のワイヤのうち自由に動く部分を、第1から第5の実施の形態に係るブラシレスモータよりも短くできる。したがって上述のような断線の可能性を低減できる。また、超音波洗浄における超音波の出力を上げることができるので、効率的に洗浄を行うことができる。
第1から第5の実施の形態ではコイルの巻き終わりの一端のワイヤについて説明したが、これに限られない。例えば、コイルの巻き始めと巻き終わりの両方をベースプレートの下面に引き出す必要がある場合は、コイルの巻き始めの一端のワイヤにも第1から第5の実施の形態を適用してもよい。
第1から第5の実施の形態に係るブラシレスモータにおいて、コイルの一端のワイヤは駆動配線と点溶接されてもよい。この場合、溶着部分を小さく形成することができるので、駆動配線の寸法、特にその幅を低減できる。これによりブラシレスモータをさらに小型化できる。
本発明者の実験によると、コイルの一端のワイヤの直径が0.23mmのとき、500〜1000Aの電流を20〜80μsの間点溶接部分に流すことによって、溶接部分を十分に小さくできることが確認された。
第1から第5の実施の形態ではコイルの一端のワイヤは、駆動配線に溶着される場合について説明したが、これに限られず、コイルの一端のワイヤは、駆動配線に接続されればよい。例えばこの接続は半田付けによって行われてもよい。
第1から第5の実施の形態では、フレキシブルプリント基板を備える場合について説明したが、これに限られない。フレキシブルプリント基板の駆動配線は、ストリップ状(もしくはリボン状、箔状)の配線であればよい。フレキシブルプリント基板の絶縁フィルムは、ストリップ状(もしくはリボン状、箔状)の絶縁部材であればよい。特に絶縁部材がポリイミドを含んで形成される絶縁部材である場合、絶縁部材の耐熱性が高まり、コイルの一端のワイヤを駆動配線に溶着する際に発生する熱による変形が軽減される。
第1から第5の実施の形態ではマグネットが積層コアの外側に位置する、いわゆるアウターロータ型のブラシレスモータについて説明したが、これに限られない。たとえばマグネットが積層コアの内側に位置する、いわゆるインナーロータ型のブラシレスモータであってもよい。
第1から第5の実施の形態ではスリーブがベースプレートに固定され、シャフトがスリーブに対して回転する場合について説明したが、たとえばシャフトがベースプレートに固定され、スリーブがハブと共にシャフトに対して回転するようなシャフト固定型であってもよい。
第1から第5の実施の形態では積層コアを用いる場合について説明したが、コアは積層コアでなくてもよい。
以上、実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能であることはいうまでもない。
10 ハブ、 20 シャフト、 22 フランジ、 30 ヨーク、 40 円筒状マグネット、 50 ベースプレート、 54 開口、 60 積層コア、 70 コイル、 72 ワイヤ、 80 スリーブ、 90 プレート、 100 ブラシレスモータ、 102 樹脂、 104 フレキシブルプリント基板、 106 駆動配線、 200 磁気記録ディスク。

Claims (13)

  1. 記録ディスクが載置されるハブと、
    一方の面上で軸受を介して前記ハブを回転自在に支持するベースと、
    前記ベースの一方の面上に固定され、円環部とそこから半径方向に伸びる複数の突極とを含むコアと、
    前記複数の突極に巻き線されて形成されるコイルと、
    前記ハブに固定され、前記複数の突極と径方向に対向し、周方向に複数の駆動用着磁が施されたマグネットと、を備え、
    前記コイルの一端のワイヤは、前記ベースに設けられた開口を通じて前記ベースの他方の面に引き出され、前記コイルに電流を供給するための駆動配線と前記ベースに設けられた開口上を避けた位置で接続され、
    前記ベースに設けられた開口には樹脂が充填されることを特徴とするディスク駆動装置。
  2. 前記ベースに設けられた開口に充填される樹脂は、前記駆動配線と前記コイルの一端のワイヤとの接続部分をも覆うように塗布されることを特徴とする請求項1に記載のディスク駆動装置。
  3. 前記駆動配線は、ストリップ状の絶縁部材を介して前記ベースの他方の面と絶縁され、
    前記絶縁部材には、前記ベースに設けられた開口と連通する開口が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のディスク駆動装置。
  4. 前記駆動配線は、ストリップ状の絶縁部材を介して前記ベースの他方の面と絶縁され、
    前記絶縁部材は、前記ベースに設けられた開口の前記ベースの他方の面側の縁のうち、前記駆動配線と前記コイルの一端のワイヤとの接続部分側の縁を覆うことを特徴とする請求項1または2に記載のディスク駆動装置。
  5. 前記絶縁部材には、前記ベースに設けられた開口と連通し、前記ベースに設けられた開口の前記ベースの他方の面側の縁にかからない開口が設けられることを特徴とする請求項3に記載のディスク駆動装置。
  6. 前記駆動配線はストリップ状の配線であり、
    前記駆動配線には、前記ベースに設けられた開口と連通し、前記ベースに設けられた開口の前記ベースの他方の面側の縁にかからない開口が設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のディスク駆動装置。
  7. 前記コイルの一端のワイヤは、前記駆動配線と溶着されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のディスク駆動装置。
  8. 前記コイルの一端のワイヤは、前記駆動配線と点溶接されることを特徴とする請求項7に記載のディスク駆動装置。
  9. 前記絶縁部材は、ポリイミドを含んで形成されることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のディスク駆動装置。
  10. 前記ベースは、アルミニウムの合金を含んで形成され、前記ベースの表面には絶縁のための被膜が形成されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のディスク駆動装置。
  11. 前記ベースの他方の面上には凹部が設けられ、前記駆動配線は前記凹部に配設されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のディスク駆動装置。
  12. 前記ベースに設けられた開口には、前記ベースの一方の面上で前記ベースに設けられた開口から突き出るように樹脂が充填されることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のディスク駆動装置。
  13. 前記樹脂は、紫外線照射と加熱とを併用して硬化されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のディスク駆動装置。
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