JP2010217674A - レンズ緩み防止部材及びカメラユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】カメラの通常使用時においてはボディ本体及びレンズ鏡筒の螺合が緩むことを確実に防止し、且つレンズ交換に際してはカメラを傷つけることなくボディ本体からレンズ鏡筒を取り外すことのできるレンズ緩み防止部材を提供する。
【解決手段】ボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31が螺合された状態において係止溝23と被係合爪33とを覆う筒体である筒本体部41と、係止溝23と相補的な形状を有し、且つ係止溝23に対して光軸方向から嵌合されるようにボディ本体側内周面41cに設けられる係止板42と、被係合爪33と係合するように鏡筒側内周面41dに設けられ、且つ係止板42が係止溝23に嵌合された状態において螺合解除方向のみへの被係合爪33の回転を規制する係合爪43と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、ねじ込み接続方式を採用するカメラに適用されるレンズの緩み防止部材、及び当該レンズの緩み防止部材を備えたカメラユニットに関する。
レンズ交換式のカメラでは、カメラのボディ本体に、レンズを収容したレンズ鏡筒を装着させるためのレンズマウントが設けられている。また、レンズマウントの機構としては、ボディ本体側及びレンズ鏡筒側の双方に設けたねじ溝を螺合させることによってボディ本体にレンズ鏡筒を接続するいわゆるねじ込み式マウントが公知である。一般に、カメラレンズマウントは、レンズ鏡筒をボディ本体に螺合するねじ溝のねじ径、ピッチ、フランジバックなどが規格化(標準化)されている(例えば、CマウントやCSマウント等と称呼されているものがある)。
また、従来から撮像素子として、CCD( Charge Coupled Device )を用いたCCDカメラや、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)を用いたCMOSカメラが、工場での生産ラインにおける部品の形状計測、位置認識、検査などのFA( Factory Automation )用途、監視用途、車載用途などの振動環境下において広く用いられている。
ここで、ねじ込み接続方式を採用するカメラをFA用途や監視用途、車載用途等に供した場合、ボディ本体及びレンズ鏡筒はねじ溝の螺合のみで固定されているため、長時間にわたり振動環境下に晒されるとねじ溝の螺合に緩みが生じ易いという実情がある。車載用カメラが振動環境下に晒されるのは言うまでもないが、FA用カメラにおいては、特にロボットアームに取り付けられた場合、常に振動環境下に晒されることになる。また、監視用カメラの場合、パン動作やチルト動作(以下、あわせて「パン・チルト動作」という)が多用されると、やはりレンズユニットの螺合が緩み易い。
このようなカメラのボディ本体に対するレンズ鏡筒の緩みは、以下に例示する不具合を招く。すなわち、レンズ鏡筒が緩むことに起因してレンズ焦点位置に狂いが生じ、いわゆるピント(焦点)ずれが発生する(以下本文中の「レンズ焦点位置」とは「レンズの後側焦点の位置」のことをいう)。従って、カメラとしての本質的な機能の大部分が損なわれてしまうことになる。また、ボディ本体とレンズ鏡筒との螺合の緩みが進行すると、最終的にはボディ本体からレンズ鏡筒が落下してしまい、レンズ鏡筒が破損する原因となる。また、FA用途の場合、特に、高速で動作なし得るロボットアームに固定されたカメラのレンズ鏡筒がボディ本体から外れた場合には、その慣性力によってレンズ鏡筒が高速で飛び出すといった事態を招く虞がある。また、レンズ鏡筒の緩みや落下が起きてしまうと生産ラインの稼働を一旦停止させる必要があり、かかる場合の経済的損失が多大となることが懸念される。
上記実情に鑑みて、従来では、螺合により接続した状態のボディ本体及びレンズ鏡筒を、さらにセットビス等のねじ部材を用いてその緩み対策を行っていた。しかし、このセットビスもねじ部材であるため、振動環境下に晒されることで結局は緩んでしまう。つまり、セットビスによるレンズ鏡筒の緩み対策は、レンズ鏡筒の緩みの開始時期を多少先延ばしにするだけであり、根本的な解決にはならない。
さらに、セットビスの螺合の緩みを防止するために、そのねじ部に接着剤(例えば、ネジロック等)を流し込むことも一般的に行われる。しかし、この種における接着剤の塗布
は手作業によることが多いため適切な部位に適切な量の接着剤を塗布することが難しい。従って、ねじの緩みを防止する効果が充分に発揮されない場合がある。また、このように接着剤をねじ部に塗布してしまうと、レンズ交換などに際して人為的にボディ本体からレンズ鏡筒を取り外した後にも、ねじ孔に接着剤が残ってしまう。そうすると、再度、レンズ鏡筒をボディ本体に接続するに当たり、セットビスのねじ孔に残った接着剤を除去する作業が必要となり不便である。
これに関連して、特許文献1には、振動に起因したねじの螺合の緩みを防止するための技術が開示されている。この従来文献に開示されたレンズ固定構造は、外周面にねじ溝が形成された第1の筒体(内筒)と、このねじ溝に螺合するねじ溝が内周面に形成された第2の筒体(外筒)と、第2の筒体に設けられたレンズ押さえ部とを具備し、第1及び第2の筒体をねじ溝に沿って回転させることによって第1の筒体の一端部とレンズ押さえ部の間にレンズを挟んで固定する。そして、第2の筒体の内周面には、第1の筒体の外周面に設けられた第1の爪部と係合して第1及び第2の筒体の螺合を解除する方向への回転を係止する第2の爪部が形成されており、レンズを取り外し不可能に固定している。
特開2007−322548号公報
上記の従来技術を、ねじ込み式マウントを具備するカメラのボディ本体とレンズ鏡筒との接続構造に適用した場合、確かに長期の振動環境下においてもボディ本体及びレンズ鏡筒の緩みを防止することができる。しかし、この構成では、レンズ鏡筒(レンズ)をボディ本体から意図的(人為的)に取り外す場合にはカメラの構成部品(ボディ本体やレンズ鏡筒)の一部を破壊し、或いは傷つける必要がある。
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ねじ込み接続方式を採用するカメラに適用され、カメラの通常使用時においてはボディ本体及びレンズ鏡筒の螺合が緩むことを確実に防止し、且つレンズ交換に際してはカメラを傷つけることなくボディ本体からレンズ鏡筒を取り外すことのできるレンズ緩み防止部材の提供にある。
上記課題を解決するために、本発明に係るレンズ緩み防止部材は、以下の手段を採用した。
すなわち、カメラのボディ本体及びレンズ鏡筒の何れか一方の有する第1筒体のねじ部と、他方の有する第2筒体のねじ部同士を螺合してボディ本体とレンズ鏡筒とを接続し、且つ該第1筒体の外周面に第1の係止部が凹設又は凸設されると共に該第2筒体の外周面に第1の係合爪部が設けられたカメラに適用されるレンズ緩み防止部材であって、前記第1及び第2筒体が螺合された状態において前記第1の係止部と前記第1の係合爪部とを覆う筒体である筒本体部と、前記第1の係止部と相補的な形状を有し、且つ該第1の係止部に対して光軸方向から嵌合されるように前記筒本体部における一端縁側の内周面に設けられる第2の係止部と、前記第1の係合爪部と係合するように前記筒本体部における他端縁側の内周面に設けられ、且つ前記第2の係止部が前記第1の係止部に嵌合された状態において前記第1及び第2筒体の螺合を解除する方向のみへの該第1の係合爪部の回転を規制する第2の係合爪部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、第1及び第2筒体の螺合が進行する方向への第1の係合爪部の回転が許容されるため、ボディ本体へのレンズ鏡筒の装着に際しては、第1及び第2筒体の螺合を円滑に行うことができる。
また、第1及び第2筒体の螺合が解除される方向に力が加わった場合、第2の係止部が第1の係止部に嵌合された状態において第1及び第2筒体の螺合を解除する方向への第1の係合爪部の回転が規制される。ここで、第2の係止部が第1の係止部に嵌合された状態では、第1筒体と筒本体部とにおける周方向への相対回転が規制されるため、第1及び第2筒体がその螺合が解除される方向に相対回転することを抑制できる。そのため、カメラのボディ本体とレンズ鏡筒を装着した後の通常使用時において、レンズ鏡筒に緩みが生じることを確実に抑制することができる。
また、前記第1の係合爪部は、前記第2筒体の外周面から径方向に延設された第1の径方向面と、該第1の径方向面に比べて周方向に傾斜して延設された第1の傾斜面とにより略直角三角形状に形成されており、前記第2の係合爪部は、前記筒本体部の内周面から径方向に延設されると共に前記第1の径方向面と対向する第2の径方向面と、該第2の径方向面に比べて周方向に傾斜して延設されると共に前記第1の傾斜面と対向する第2の傾斜面とにより略直角三角形状に形成されており、前記第1及び第2筒体を螺合する方向に該第1の係合爪部が回転する際には前記第1及び第2の傾斜面が当接し、該第1及び第2筒体の螺合を解除する方向に該第1の係合爪部が回転する際には前記第1及び第2の径方向面が当接するようにしても良い。
この構成によれば、第1及び第2筒体を螺合する方向に第1の係合爪部が回転する際には第1及び第2の傾斜面同士が当接する。この場合、回転に対する抵抗は増すものの第1の係合爪部及び/又は第2の係合爪部における若干の弾性変形を伴って第1及び第2筒体が螺合する方向への第1の係合爪部の回転が許容される。
これに対して、第1及び第2筒体の螺合を解除する方向に第1の係合爪部が回転する際には第1及び第2の径方向面同士が当接する。第1及び第2の径方向面は互いの回転方向に対向するように設けられている。そのため、第1及び第2の径方向面同士が当接すると第1及び第2筒体の螺合を解除する方向への第1の係合爪部の回転が規制される。
また、本発明に係るレンズ緩み防止部材は、カメラにおけるボディ本体とレンズ鏡筒との接続部に外嵌される付属部品である。そのため、レンズ交換時のように、レンズ鏡筒(レンズ)をボディ本体から意図的(人為的)に取り外す場合には付属部品としてのレンズ緩み防止部材を破壊すれば良く、カメラを傷つけることなくボディ本体からレンズ鏡筒を取り外すことができる。
また、本発明において、前記第2の係合爪部は前記筒本体部の内周面の略全周にわたって周方向に連続して並設されていても良い。そうすれば、第1の係合爪部は、常に何れかの第2の係合爪部に係合することになるので、第1及び第2筒体の螺合を解除する方向への第1の係合爪部の回転量を可及的に少なくすることができる。
また、本発明に係るレンズ緩み防止部材は、樹脂により形成されていると良い。これによれば、レンズ交換に際して簡単に破壊することができるで、ボディ本体からレンズ鏡筒を取り外す際の手間や、時間が掛からない。また、樹脂によって成型することでその製造コストを低く抑えることができる。
また、本発明において、前記筒本体部における一端縁部から他端縁部にかけて、他の部分に比べて切断容易な切断ガイド部が設けられていても良い。例えば、切断ガイド部は、
他の部分に比べて前記筒本体部の厚さが小さい薄肉部であっても良い。これにより、レンズ交換に際し、切断ガイド部に沿ってレンズ緩み防止部材を切断することでレンズ鏡筒の取り外しを容易に行うことができる。
また、前記筒本体部における前記切断ガイド部周辺には、該切断ガイド部を他の部分と切り離すための力が作用するつまみ部が設けられていると良い。例えば、前記筒本体部には複数の前記切断ガイド部が設けられており、且つ、前記つまみ部は隣り合う2本の切断ガイド部に挟まれた部分の端縁部から延設されたフランジ片であっても良い。これによれば、レンズ緩み防止部材の切断に際してカッターなどの切断器具を用いる必要がない。例えばフランジ片を手でつまみ、筒本体部の面外方向に力を作用させるだけで簡単に切断ガイド部を他の部分と切り離すことができる。そのため、レンズ交換に関する作業性を向上することができる。
また、本発明において、前記筒本体部の軸線方向における幅寸法は、前記第1及び第2筒体の螺合量が予め設定された規定螺合量に到達した時点で、カメラのボディ本体又はレンズ鏡筒に該筒本体部の端縁部が当接するように調節されており、該規定螺合量は任意のレンズ焦点位置に応じて設定されていても良い。
ここで、第1及び第2筒体の螺合量が変化するとレンズ焦点位置が変化する。そして、この構成によれば、上記螺合量を確実に規定螺合量まで到達させることができ、且つ、螺合量が規定螺合量を超えることはない。そのため、レンズ焦点位置を所望の位置に確実に合わせることができる。たとえば、レンズ焦点位置が複数設定される場合、筒本体部の幅寸法を相違させたレンズ緩み防止部材を規定螺合量の設定毎に用意しておくと良い。そして、レンズ焦点位置を変更する場合には、そのレンズ焦点位置に対応した幅寸法を有するものにレンズ緩み防止部材を交換すると良い。これによれば、所望のレンズ焦点位置毎にスペーサーリングなどを数多く用意する必要が無く、レンズ焦点位置を簡単かつ低コストに変更することができる。
なお、本発明は、上述した何れかのレンズ緩み防止部材と、該レンズ緩み防止部材が適用されるカメラにおけるボディ本体及びレンズ鏡筒と、を含んで構成されるカメラユニットとして捉えることができる。また、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせることができる。
本発明によれば、ねじ込み接続方式を採用するカメラの通常使用時においてはボディ本体及びレンズ鏡筒の螺合が緩むことを確実に防止し、且つレンズ交換に際してはカメラを傷つけることなくボディ本体からレンズ鏡筒を取り外すことのできるレンズ緩み防止部材を提供することができる。
実施例1におけるレンズ緩み防止部材を適用したカメラの外観を示した斜視図である。 図1に示したカメラの特徴的な部分の分解斜視図である。 ボディ本体へのレンズ鏡筒の装着に際して、係止溝に係止板が光軸方向から嵌合される状況を説明するための説明図である。 被係合爪及び係合爪の詳細構成を説明するための説明図である。 実施例2におけるレンズ緩み防止部材及びカメラからなるカメラユニットの分解斜視図である。 実施例2におけるレンズ緩み防止部材をカメラに装着した状態の斜視図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施例におけるレンズ緩み防止部材を適用したカメラの外観を示した斜視図である。また、図2は、図1に示したカメラの特徴的な部分の分解斜視図である。図1及び2に示したカメラ1はCCD( Charge Coupled Device )を撮像素子とし、レンズを交換可能ないわゆるレンズ交換式のCCDカメラである。カメラ1は、主としてボディ本体2、及び内部にレンズを収容するレンズユニットであってボディ本体2にねじ込み式で接続されるレンズ鏡筒3により構成されている。なお、本実施例においてカメラ1の撮像素子の種類は本質的な部分ではなく、これに代替する他の撮像素子(例えば、CMOS)を適宜採用することができる。
図2に示したように、レンズ鏡筒3はボディ本体2にねじ込み方式で着脱可能に構成され、カメラ1に使用するレンズを使用目的に応じて交換できるようになっている。ボディ本体2及びレンズ鏡筒3の接続部の構成について説明すると、ボディ本体2とレンズ鏡筒3には円筒形状に形成されたボディ本体側円筒部21と鏡筒側円筒部31の夫々が設けられている。ボディ本体側円筒部21の内径は鏡筒側円筒部31の外径と略等しい。そして、ボディ本体側円筒部21の開放端側の内周面と鏡筒側円筒部31の開放端側の外周面の夫々には、互いに螺合するねじ部22,32が形成されている。
上記構成のボディ本体2及びレンズ鏡筒3では、ボディ本体側円筒部21に対して鏡筒側円筒部31を一の方向に回転させることで、ボディ本体側円筒部21のねじ部22及び鏡筒側円筒部31のねじ部32の噛みあい量が増え、これらの螺合が進行する。以下、「螺合が行われる」、「螺合が進行する」、「螺合量が増える」等の表現は、概ね同様の意味として用いる。また、ボディ本体2(ボディ本体側円筒部21)及びレンズ鏡筒3(鏡筒側円筒部31)の螺合とは、それぞれのねじ部22,32が螺合を意味する。ここで、ボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31の螺合が進行するときの、ボディ本体側円筒部21に対する鏡筒側円筒部31の相対回転方向を「螺合進行方向」と称呼し、それと逆回転の方向を「螺合解除方向」と称呼する。カメラ1では、ボディ本体側円筒部21に対して鏡筒側円筒部31を螺合進行方向に回転させることでボディ本体2及びレンズ鏡筒3が接続される。逆に、固定されている双方を螺合解除方向に回転させることによりその螺合が解除され、最終的にボディ本体2からレンズ鏡筒3を取り外すことができる。
また、本実施例のボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31は同軸を有している。そして、ねじ部22,32を螺合した状態においてボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31が同軸上となり、さらにこれらの軸線は光軸と一致するように構成されている。また、一般的にレンズマウントと称呼されるボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31の螺合部は、規格化された標準マウント(例えば、Cマウント、CSマウント等)が採用されており、そのねじ径、ピッチ、フランジバックなどが規格化(標準化)されている。
図1及び図2中の符号4は、ボディ本体2及びレンズ鏡筒3における螺合の緩みを防止するためのレンズ緩み防止部材を表す。このレンズ緩み防止部材4は樹脂製である。以下、図2を参照して、ボディ本体側円筒部21、鏡筒側円筒部31及びレンズ緩み防止部材4の詳細構成について説明する。
ボディ本体側円筒部21における開放端側の外周面には、その開放端からボディ本体側
円筒部21の軸線方向に沿って長溝形状の係止溝23が凹設されている。この図においてはボディ本体側円筒部21の外周面に単一の係止溝23が設けられているが、当該外周面の周方向に複数の係止溝23を配置しても良い。一方、鏡筒側円筒部31の外周面には、複数の被係合爪33が設けられている。その詳しい配置位置について述べると、被係合爪33は、鏡筒側円筒部31のねじ部32よりも開放端から離れた位置(すなわち、レンズ鏡筒3側の部分)に設けられている。
一方、レンズ緩み防止部材4は、ボディ本体2(ボディ本体側円筒部21)及びレンズ鏡筒3(鏡筒側円筒部31)が螺合された状態において、上記した係止溝23と被係合爪33とを覆うように嵌められる円筒形状の筒本体部41と、後述する係止板42、係合爪43から構成される。そして、ボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31の外周側にレンズ緩み防止部材4を外嵌させた状態で互いのねじ部22,32に沿ってこれらを相対回転させることにより、ボディ本体2に対するレンズ鏡筒3の接続(固定、装着)が行われる。
ここで、筒本体部41の端縁のうち、ボディ本体2及びレンズ鏡筒3を螺合させる際にボディ本体2側に対向する一端側の端縁を「ボディ本体側端縁41a」と称し、他端側の端縁(すなわち、レンズ鏡筒3側に対向する方の端縁)を「鏡筒側端縁41b」と称する。図2に示すように、筒本体部41の内周面は、外筒本体部41の軸線方向における中間位置を境に、ボディ本体側端縁41a側の部分(以下、「ボディ本体側内周面41c」という)と鏡筒側端縁41b側の部分(以下、「鏡筒側内周面41d」という)とでその形状が相違する。
前述のボディ本体側内周面41cには、筒本体部41の軸線方向に沿って長板形状の係止板42が凸設されている。この係止板42は、ボディ本体側円筒部21の外周面に凹設されている係止溝23と相補的な形状となっている。すなわち、係止溝23に係る長溝に対して係止板42に係る長板が隙間を殆ど生じさせることなく嵌るようになっている。一方、筒本体部41における鏡筒側内周面41dには、その周方向に複数の係合爪43が並設されている。また、ボディ本体側内周面41cの内径は、ボディ本体側円筒部21の外径と略等しいか、僅かに大きくなるようにしている。
ここで、図2の状態から図1の状態に移行する際の状況、つまりボディ本体2にレンズ鏡筒3を装着する際の状況について、係止溝23と係止板42との関係、及び被係合爪33と係合爪43との関係を中心に説明する。図3は、ボディ本体2へのレンズ鏡筒3の装着に際して、係止溝23に係止板42が光軸方向から嵌合される状況を説明するための説明図である。具体的には、ボディ本体側内周面41cに凸設された係止板42とボディ本体側円筒部21に凹設された係止溝23との周方向における位置を一致させた状態でのボディ本体側円筒部21及び筒本体部41の部分断面を表している。なお、図中の鎖線は、ボディ本体側円筒部21の軸線を表す。ボディ本体2にレンズ鏡筒3を装着させる際には、係止溝23及び係止板42の周方向における位置合わせを行った上で、ボディ本体側円筒部21に対して筒本体部41を光軸方向に沿って(ボディ本体側円筒部21の軸線に平行に)スライドさせる。その結果、ボディ本体側内周面41cに設けられている係止板42が、ボディ本体側円筒部21の係止溝23に光軸方向から嵌合される(光軸方向は、図中矢印で表す)。
ボディ本体側円筒部21に形成された係止溝23の軸線方向の長さ、及び筒本体部41に形成された係止板42の軸線方向の長さの夫々を、「係止溝長さ」及び「係止板長さ」とする。本実施例では、係止板長さが係止溝長さ以下となるように設定されており、係止板42全体が係止溝23内に挿入されるようになっている。このようにして、係止板42が係止溝23に最後まで挿入されると、筒本体部41がそれ以上ボディ本体2側に接近す
ることはなく、ボディ本体2及びレンズ緩み防止部材4の各部位同士の光軸方向における相対的な位置関係が極まる(固定される)。そして、このように係止板42が係止溝23に嵌合された状態においては、ボディ本体2におけるボディ本体側円筒部21とレンズ緩み防止部材4における筒本体部41との周方向への相対回転が規制(禁止)される。
次に、ボディ本体2及びレンズ鏡筒3の接続に際して、鏡筒側円筒部31に設けられた被係合爪33と鏡筒側内周面41dに設けられた係合爪43の係合について説明する。上述のように、ボディ本体2及びレンズ鏡筒3の螺合は、ボディ本体側円筒部21の係止板42にレンズ緩み防止部材4の係止溝23を嵌合させた上で、鏡筒側円筒部31をボディ本体側円筒部21に対して螺合進行方向に回転させることで行われる。それに際して、本実施例では鏡筒側内周面41dの係合爪43及び鏡筒側円筒部31の被係合爪33が互いに係合するようになっている。図4は、被係合爪33及び係合爪43の詳細構成を説明するための説明図である。具体的には、ボディ本体側円筒部21のねじ部22及び鏡筒側円筒部31のねじ部32が噛み合い状態にあるときの、レンズ緩み防止部材4及びレンズ鏡筒3の光軸直交断面を表す。
被係合爪33は、その断面が略直角三角形の楔形をなしており、鏡筒側円筒部31の径方向外側に向かって延設された第1の径方向面33aと、第1の径方向面33aの最外端から鏡筒側円筒部31の外周面へ向かって周方向に傾斜した第1の傾斜面33bとを有している。ここで、第1の傾斜面33bは、第1の径方向面33aに比べてその周方向に傾斜して延設されている。また、被係合爪33は、鏡筒側円筒部31の外周面における周方向に沿って略等間隔(この図では、約90°毎)で同じ向きに並設されている。
一方、係合爪43も、その断面が略直角三角形の楔形をなしており、筒本体部41の径方向内側へ向かって延設された第2の径方向面43aと、該第2の径方向面43aの最内端から鏡筒側内周面41dへ向かって周方向に傾斜した第2の傾斜面43bとを有している。ここで、第2の傾斜面43bは、第2の径方向面43aに比べてその周方向に傾斜して延設されている。また、係合爪43は、筒本体部41における鏡筒側内周面41dの周方向に沿って、その全周にわたり連続的に(略隙間なく)、同じ向きに並設されている。
図示のように、鏡筒側円筒部31の外周面に形成された被係合爪33の最外端が、鏡筒側内周面41dに形成された係合爪43の最内端よりも外側の位置となるように形成されている。そして、被係合爪33における第1の径方向面33aは係合爪43における第2の径方向面33aに対向し、被係合爪33における第1の傾斜面33bは係合爪43における第2の傾斜面33bに対向するように形成されている。なお、鏡筒側内周面41dにおける係合爪43の最内端は、鏡筒側円筒部31の外周面に形成されたねじ部32の最外端よりも外側になるように形成されており、係合爪43に接触させることなくねじ部32をねじ部22と螺合させることができる。
ボディ本体側円筒部21の係止板42にレンズ緩み防止部材4の係止溝23を嵌合させた状態では、ボディ本体側円筒部21及びレンズ緩み防止部材4(筒本体部41)における周方向への相対回転が規制される。そのため、この状態で鏡筒側円筒部31を螺合進行方向に回転させると、鏡筒側円筒部31は筒本体部41に対して相対回転する(図中、矢印A方向)。すなわち、図中の矢印Aの方向は、ボディ本体側円筒部21に対する鏡筒側円筒部31の螺合進行方向に対応している。
このように、筒本体部41に対して鏡筒側円筒部31が矢印A方向に回転すると、その回転に伴って係合爪43における第2の傾斜面43bが被係合爪33の第1の傾斜面33bに当接する。言い換えると、ボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31の螺合進行方向に被係合爪33が回転する際には第1及び第2の傾斜面33b,43bが互いに当接
する。この状態では、回転に対する抵抗は増すものの、若干大きな力を矢印Aの方向へ加えることによって、係合爪43及び/又は被係合爪33の若干の弾性変形を伴って鏡筒側円筒部31を更に相対回転させることができる。
一方、鏡筒側円筒部31を螺合解除方向(すなわち、矢印Aの反対方向)に回転させようとした場合、その回転に伴って係合爪43における第2の径方向面43aが被係合爪33における第1の径方向面33aと当接する。言い換えると、ボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31の螺合解除方向に被係合爪33が回転する際には第1及び第2の径方向面33a,43aが互いに当接する。この状態では、ボディ本体側円筒部21の係止板42にレンズ緩み防止部材4の係止溝23は嵌合されているため、レンズ緩み防止部材4における筒本体部41のボディ本体側円筒部21に対する周方向への回転は規制されている。さらに、第1及び第2の径方向面33a,43aは、その回転方向に略直交する方向に設けられている。そのため、第1及び第2の径方向面33a,43a同士が当接すると、もはやそれ以上鏡筒側円筒部31の被係合爪33が矢印Aの反対方向に回転することが規制され、鏡筒側円筒部31の螺合解除方向への回転が禁止される。
以上により、レンズ緩み防止部材4の係合爪43は、鏡筒側円筒部31の外周面に形成された被係合爪33と係合するように筒本体部41の鏡筒側内周面41dに設けられ、且つ、且つ係止板42が係止溝23に嵌合された状態において螺合解除方向のみへの被係合爪33の回転を規制する。従って、ボディ本体2へのレンズ鏡筒3の装着に際しては、レンズ鏡筒3の螺合進行方向への相対回転が何等妨げられず、円滑な装着が実現される。また、レンズ鏡筒3の固定後においては該レンズ鏡筒3の螺合解除方向への相対回転が規制されるため、レンズ鏡筒3に緩みが生じることがない。
ところで、レンズ交換を行う場合には、ボディ本体2に固定された状態にあるレンズ鏡筒3を意図的(積極的)にボディ本体2から取り外す必要がある。そこで、本実施例におけるレンズ緩み防止部材4の筒本体部41には、ボディ本体側端縁41aから鏡筒側端縁41bにかけて、他の部分に比べて切断容易な切断ガイド部44が線状に設けられている(図2、4参照)。ここでいう「他の部分」には、例えば筒本体部41における切断ガイド部44に隣接する部位が該当する。具体的には、筒本体部41の外周面には、ボディ本体側端縁41aから鏡筒側端縁41bにかけて軸線方向に溝が形成された薄肉部44aが形成されている。
レンズ緩み防止部材4は樹脂製であるため、溝が形成されてない他の部分に比べて薄肉部44aの部材厚さ(肉厚)を小さくすることにより、薄肉部44aを他の部分に比べて容易に切断することができる。本実施例においては、この薄肉部44aによって切断ガイド部44が構成されている。なお、薄肉部44aの肉厚については、例えばカッターなどの刃物の刃を適度な力をもって薄肉部44aに当てれば難なく薄肉部44aを切断できる程度の厚さに設定すると良い(例えば、1.0mm以下程度)。また、具体的な厚さについては、経験則に基づいて予め最適な値を求めておくことができる。
また、切断ガイド部44は、他の部分に比べて切断容易であれば他の形態を採用できる。例えば、切断ガイド部44の部材厚さを他の部分に比べて小さくする代わりに、若しくはこれに併せて、切断ガイド部44を他の部分に比べて切断し易い材質で構成しても良い。また、例えば、切断ガイド部44の材料強度を他の部分に比べて低くしても構わない。
この構成により、カメラ1のレンズ交換に際して、レンズ緩み防止部材4を切断ガイド部44に沿って容易に切断できる。そのため、レンズ鏡筒3をボディ本体2から取り外し、レンズ交換を円滑且つ容易に行うことができる。また、カメラ1の付属部材であるレンズ緩み防止部材4を切断する作業だけでレンズ鏡筒3の螺合を解除できるため、精密機器
であるカメラ1(ボディ本体2、レンズ鏡筒3等)に傷を付けたり、大きな力を作用させる必要が無く、好適である。
また、レンズ交換時に破壊(切断、破断など)されたレンズ緩み防止部材4は通常は廃棄され、レンズ交換後は新しい別のレンズ緩み防止部材4がカメラ1に装着される。すなわち、レンズ緩み防止部材4はいわゆる使い捨て部材として取り扱われることになるが、その材質を樹脂製等とすることで製造コストを比較的低く抑えることができるため費用対効果が大きい。
また、レンズ緩み防止部材4が適用されるカメラ1は、工場での生産ラインにおける部品の形状計測、位置認識、検査などのFA(Factory Automation)用途、監視用途、車載用途などの振動環境下において用いられるカメラである場合に、レンズ緩み防止部材4の作用効果を特に顕著に奏する。車載用カメラが振動環境下に晒されるのは言うまでもないが、FA用カメラにおいては、特にロボットアームに取り付けられた場合、常に振動環境下に晒される。また、監視用カメラの場合、パン・チルト動作が多用されると、やはりレンズ鏡筒3の螺合が緩み易い。従って、ねじ込み接続方式を採用するカメラ1をFA用途や監視用途、車載用途等に供した場合、ボディ本体2及びレンズ鏡筒3はねじ部の螺合のみで固定されているため、振動環境下においてはレンズ鏡筒3が緩み易くなる。
従来のカメラでは、ボディ本体に螺合したレンズ鏡筒をさらにセットビスを用いてその固定度を高めることによりレンズの緩み対策を行っていたが、このセットビスもねじ部材であるため、レンズの緩みの開始時期を多少先延ばしにすることはできても、根本的な解決までは至らないという実情があった。これに対して、レンズ緩み防止部材4にはねじ機構が一切介在しない。そのため、FA用途や監視用途、車載用途などの振動環境下に晒される期間が長期に及んでも、レンズ交換時のようにレンズ緩み防止部材4を意図的に破壊しない限りレンズ鏡筒3の間の緩みは確実に抑制される。その結果、レンズ焦点位置に狂い(いわゆるピント(焦点)ずれ)が生じることがなく、カメラとしての本質的機能が良好に維持される。そのため、カメラ1の信頼性を向上させることができる。
また、当然ながら、ボディ本体2からレンズ鏡筒3が落下して破損する虞もない。従って、ピントずれや、レンズ鏡筒3の落下に起因して生産ラインの稼働を停止せざるをえないという事態が起こることに起因して、多大な経済的損失を被ることを確実に回避できる。また、高速で動作するロボットアームに取り付けられるFA用カメラの場合、レンズ鏡筒3がボディ本体2から外れるときの反動によってこのレンズ鏡筒3が高速で宙を舞ってしまうという事態を、レンズ緩み防止部材4を適用することで確実に回避できる。また、このレンズ緩み防止部材4によれば、レンズ交換を簡単に行うことができるので、生産品に応じて要求されるレンズ焦点距離が異なるFA用途のカメラに適用すると好都合である。
また、上記セットビスの緩みを防止する目的で、そのねじ部にネジロック等の接着剤を塗布することが従来から行われているが、接着剤の塗布作業は手作業によることが多い。そのため、接着剤の適切な塗布が難しくねじの緩みを防止する効果が充分に発揮されない場合もある。また、この種の接着剤では、レンズ交換時に人為的にボディ本体からレンズ鏡筒を取り外す際、セットビスのねじ孔に接着剤が残ってしまう。そうすると、再度、レンズ鏡筒をボディ本体に装着するに当たり、ねじ孔に残存する接着剤を前もって除去する必要があり、手間と時間が掛かる。これに対して、本実施例のレンズ緩み防止部材4によれば、レンズ交換時においても切断ガイド部44に沿って切断するだけでレンズ鏡筒3をボディ本体2から容易に取り外すことができるので、作業効率が良い。また、レンズ交換の際に切断したレンズ緩み防止部材4そのものを廃棄することになるので、細かな残骸などが発生することがなく、好適である。
本実施例においては、ボディ本体2におけるボディ本体側円筒部21、レンズ鏡筒3における鏡筒側円筒部31のそれぞれが本発明における第1筒体、第2筒に対応する。また、ボディ本体側円筒部21の外周面に凹設された係止溝23、筒本体部41の内周面(ボディ本体側内周面41c)に凸設された係止板42のそれぞれが、本発明における第1の係止部、第2の係止部に対応する。また、鏡筒側円筒部31の外周面に設けられた被係合爪33、筒本体部41の内周面(鏡筒側内周面41d)に形成された係合爪43のそれぞれが、本発明における第1の係合爪部、第2の係合爪部に対応する。
<変形例>
以下、実施形態の変形例について説明する。図4においては、鏡筒側円筒部31外周面の周方向に複数の被係合爪33が設けられているが、その配置間隔、配置する数などを適宜変更できる。また、鏡筒側円筒部31外周面に単一の被係合爪33を設けても良い。被係合爪33を単数、又は複数のいずれの数だけ設けるにせよ、この被係合爪33は筒本体部41の鏡筒側内周面41dの全周にわたり連続して並設された係合爪43に係止されるため、レンズ鏡筒3の螺合解除方向への回転が規制される。
また、本実施例とは逆に、鏡筒側円筒部31の外周面の周方向に全周にわたって連続して複数の被係合爪33を設け、筒本体部41の鏡筒側内周面41dに単数又は、被係合爪33よりも少ない数の係合爪43を設けるようにしても良い。しかし、多くの場合にレンズ鏡筒3における鏡筒側円筒部31は金属製であるのに対して、レンズ緩み防止部材4は樹脂製であり筒本体部41及び係合爪43を容易に一体成型できる。そのため、鏡筒側円筒部31における外周面の全周にわたって被係合爪33を設ける場合と、筒本体部41における鏡筒側内周面41dの全周にわたって係合爪43を設ける場合とを比較すると、後者の方がその加工のやり易さ、製造コスト等の面で有利である。
また、図2及び3において、ボディ本体側円筒部21及び筒本体部41にそれぞれ単一の係止溝23と係止板42が設けられているが、係止溝23及び係止板42をその周方向の複数箇所に設けることができる。例えば、係止溝23に係止板42を嵌合したときのボディ本体2及びレンズ鏡筒3の周方向の相対回転を確実に規制できるように、その設置数や、設置間隔等を決めると良い。
また、ボディ本体側円筒部21の外周面及び外筒本体部41の内周面に形成された係止溝23及び係止板42を入れ替えて設けても構わない。ボディ本体2とレンズ鏡筒3との周方向における相対回転を規制できるからである。この場合には、ボディ本体側円筒部21に係止溝23を凹設する代わりに係止板42を凸設し、ボディ本体側内周面41cに係止板42を凸設する代わりに係止溝23を凹設することになる。なお、係止溝23及び係止板42の形状の組み合わせについても、互いに相補的な形状同士であれば長溝形状及び長板形状の組合せ以外であっても構わない。
また、本実施例においては、ボディ本体2のボディ本体側円筒部21を本発明における第1筒体に対応させ、レンズ鏡筒3の鏡筒側円筒部31を本発明における第2筒体に対応させているが、双方の対応関係を逆にすることもできる。その場合、鏡筒側円筒部31の外周面(具体的には、図2において被係合爪33が設けられている部分)に、被係合爪33の代わりに第1の係止部としての係止溝が凹設(或いは、係止板が凸設)されることになる。一方、ボディ本体側円筒部21の外周面の開口端側、すなわち図2において係止溝23が設けられた部分には、該係止溝23に代わって第1の係合爪部としての被係合爪33が設けられることになる。
因みに、鏡筒側円筒部31の外周面に係止溝が凹設された場合には、レンズ緩み防止部
材4の鏡筒側内周面41dには、この係止溝と相補的に形成された係止板を凸設すると良い。逆に、鏡筒側円筒部31の外周面に係止板が凸設された場合には、レンズ緩み防止部材4の鏡筒側内周面41dには、この係止板と相補的に形成された係止溝を凹設すると良い。
また、本実施例においては筒本体部41を円筒形状としているが、ボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31が螺合された状態において係止溝23と被係合爪33とを覆う筒体であれば、他の形状を採用することができる。例えば、筒本体部41は、一方の端縁から他方の端縁にわたってスリットが形成されたいわゆるC字断面を有する筒体であっても良い。また、その外面形状についても円形以外の形状、例えば多角形を採用しても良く、本発明の本旨を逸脱しない範囲で適宜の形状を採用することができる。
また、本実施例においては、レンズ緩み防止部材4を樹脂製としているが、レンズ緩み防止部材4の材質はこれに限定されるものではない。例えば、レンズ緩み防止部材4を、金属と樹脂との組み合わせによって形成しても良い。より具体的には、筒本体部41において切断ガイド部44以外の部分をバネ材等の高弾性の金属製とすると共に係合爪43及び切断ガイド部44を樹脂で形成しても良い。また、レンズ緩み防止部材4全体を金属製としても良い。この場合は、金属平板にプレスによって係合爪43を形成した後、円筒形状に成形することでレンズ緩み防止部材4を形成することも可能である。
図5は、本実施例におけるレンズ緩み防止部材及びカメラからなるカメラユニットの分解斜視図である。具体的には、カメラ1のボディ本体2の斜め後ろ側からの斜視図であり、実施例1に係る構成と同等の構成要素については同じ符号を付している。
本実施例では、レンズ鏡筒3における鏡筒側円筒部31の外周面に設けられた33の配置パターンが実施例1と相違する。具体的には、鏡筒側円筒部31の外周面周方向に、連続して並んだ数個(ここでは、3個の例を図示)の被係合爪33を一群とし(以下、「被係合爪群330」と称する)、この被係合爪群330を、同じく周方向に沿って所定間隔(ここでは、約90°毎の例を図示)毎に設けている。このように、被係合爪群330毎に、複数の被係合爪33を連続して並べることにより、カメラ1の通常使用時においてレンズ鏡筒3の緩みを防止することに関しての信頼性が更に高まる。例えば、一の被係合爪33が係合爪43による当接によって破損しても、被係合爪群330の残りの被係合爪33がこれに噛み合う係合爪43によって係止されるため、鏡筒側円筒部31が螺合解除方向に回転することをより確実に阻止することができる。
次に、本実施例における切断ガイド部44について、図5及び6を参照して説明する。図6は、本実施例におけるレンズ緩み防止部材4をカメラ1に装着した状態の斜視図である。図5及び6に示すように、レンズ緩み防止部材4における筒本体部41の周面の一部には、コの字形にその断面が欠損している切り欠き部45が設けられており、その軸線方向である幅方向の長さ(以下、「幅寸法」という)Wszが他の部分に比べて小さくなっている。ここで、ボディ本体側端縁41aのうち、特に、切り欠き部45が設けられている部分を「切り欠き形成部端縁41e」と称呼する。
本実施例においても、他の部分に比べて切断容易な切断ガイド部44として薄肉部44aが筒本体部41の外周面に設けられているが、筒本体部41の軸線方向と平行に複数設けられている点で実施例1と相違する。図6においては、切り欠き形成部端縁41eの両端から鏡筒側端縁41bに向かって軸線方向に平行な2本の溝が形成された薄肉部44aが筒本体部41の外周面に設けられている。この隣り合う2本の薄肉部44aに挟まれた部分を「中間厚肉部46」と称すると、中間厚肉部46における切り欠き部45に対向す
る側の端縁は前述の切り欠き形成部端縁41eに相当する。本実施例では、この切り欠き形成部端縁41eからきり欠き部45へ向かって突出するフランジ片47が延設されている。
レンズ交換時のように、ボディ本体2に固定されたレンズ鏡筒3を一旦取り外す場合には、フランジ片47が筒本体部41の面外方向に引っ張られる。そして、フランジ片47に上記した面外方向力が作用することで、肉厚の小さな薄肉部44aが肉厚の大きな他の部分から切り離され、レンズ緩み防止部材4が薄肉部44aに沿って切断される。このフランジ片47は、薄肉部44aを他の部分と切り離すための力が作用するものであり、本発明におけるつまみ部に相当する。
本実施例における薄肉部44aの肉厚については、フランジ片47を手でつまんだ状態で適度の力で引っ張ることによって、薄肉部44aを難なく切り離すことができるような厚さに設定すると良い。また、具体的な厚さについては、経験則に基づいて予め最適な値を求めておくことができる。本構成を採用することにより、レンズ緩み防止部材4の切断に際してカッターなどの器具を用いる必要がないため、レンズ交換に関する作業性が向上する。
次に、本実施例においてレンズ緩み防止部材4における筒本体部41の幅寸法Wszについて説明する。図6に示した状態においては、ボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31の螺合量Qsは、ねじ部22,32を互いに最後まで噛み合わせたときの螺合量(以下、「最大螺合量」という)に相当し、この状態を「完全螺合状態」と称す。図6では、ボディ本体2及びボディ本体側端縁41aの間、レンズ鏡筒3及び鏡筒側端縁41bの間の何れにおいても適度な隙間が確保されている。つまり、この図では、ボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31の螺合状態が完全螺合状態に到達するまで、ボディ本体側端縁41aがボディ本体2に当接したり、鏡筒側端縁41bがレンズ鏡筒3に当接することがないように筒本体部41の幅寸法Wszが調節されている。これにより、レンズ緩み防止部材4の筒本体部41がボディ本体2とレンズ鏡筒3の何れとも干渉することなく、ボディ本体2にレンズ鏡筒3が固定(装着)される。
次に、筒本体部41の幅寸法Wszの設定に関する変形例を説明する。本変形例では、ボディ本体側円筒部21及び鏡筒側円筒部31の螺合状態が前述の完全螺合状態に到達する前に、すなわち螺合量Qsが最大螺合量よりも少ない規定螺合量Qstに到達した時点で鏡筒側端縁41bが後述するレンズ鏡筒3の対向面34に当接するように筒本体部41の幅寸法Wszを設定する。
レンズ鏡筒3には、レンズ鏡筒3をボディ本体2に固定する際に、筒本体部41の鏡筒側端縁41bと対向する位置に対向面34が形成されており、この対向面34と鏡筒側端縁41bとの距離(すき間)は螺合量Qsの増加に伴って減少する。そこで、本変形例では、螺合量Qsが規定螺合量Qstに到達する時点で筒本体部41の鏡筒側端縁41bとレンズ鏡筒3の対向面34との距離が零となるように(すき間がなくなるように)幅寸法Wszを設定している。そうすると、ちょうど螺合量Qsが規定螺合量Qstに到達するときに鏡筒側端縁41bがレンズ鏡筒3の対向面34に当接(衝突)するため、それ以上螺合を進行することはできない。
ここで、螺合量Qsが変化するとレンズ焦点位置が変化する。そのため、本変形例では、規定螺合量Qstをレンズ焦点位置に応じて設定することとした。これにより、レンズ焦点位置をその要求値に確実に合わせることができる。
より好ましい実施形態としては、レンズ焦点位置が複数設定されている場合、対応する
規定螺合量Qst毎に筒本体部41の幅寸法Wszが異なる複数種類のレンズ緩み防止部材4を用意すると良い。そうすれば、レンズ焦点位置の変更に際して、レンズ焦点位置に対応する幅寸法Wszのレンズ緩み防止部材4をカメラ1に装着し直すだけで、レンズ焦点位置を所望の位置に容易に合わせることができる。これによれば、所望のレンズ焦点位置毎にスペーサーリングなどを数多く用意する必要が無く、レンズ焦点位置を簡単かつ低コストに変更できる。
なお、本変形例では、螺合量Qsが規定螺合量Qstに到達した時点で、鏡筒側端縁41bがレンズ鏡筒3に当接するようにしたが、その時点でボディ本体側端縁41aがボディ本体2に当接するように筒本体部41の幅寸法Wszを設定しても良い。その場合の実施形態としては、実施例1で説明した変形例のように、ボディ本体側円筒部21の外周面に被係合爪を形成する場合に適用すると良い。その他、本発明の本旨を逸脱しない範囲であれば、本発明の実施形態には種々の変更を加え得る。
1 カメラ
2 ボディ本体
3 レンズ鏡筒
4 レンズ緩み防止部材
21 ボディ本体側円筒部
22 ねじ部
23 係止溝
31 鏡筒側円筒部
32 ねじ部
33 被係合爪
41 筒本体部
41a ボディ本体側端縁
41b 鏡筒側端縁
41c ボディ本体側内周面
41d 鏡筒側内周面
42 係止板
43 係合爪
44 切断ガイド部
44a 薄肉部
46 中間厚肉部
47 フランジ片(つまみ部)

Claims (10)

  1. カメラのボディ本体及びレンズ鏡筒の何れか一方の有する第1筒体のねじ部と、他方の有する第2筒体のねじ部同士を螺合してボディ本体とレンズ鏡筒とを接続し、且つ該第1筒体の外周面に第1の係止部が凹設又は凸設されると共に該第2筒体の外周面に第1の係合爪部が設けられたカメラに適用されるレンズ緩み防止部材であって、
    前記第1及び第2筒体が螺合された状態において前記第1の係止部と前記第1の係合爪部とを覆う筒体である筒本体部と、
    前記第1の係止部と相補的な形状を有し、且つ該第1の係止部に対して光軸方向から嵌合されるように前記筒本体部における一端縁側の内周面に設けられる第2の係止部と、
    前記第1の係合爪部と係合するように前記筒本体部における他端縁側の内周面に設けられ、且つ前記第2の係止部が前記第1の係止部に嵌合された状態において前記第1及び第2筒体の螺合を解除する方向のみへの該第1の係合爪部の回転を規制する第2の係合爪部と、
    を備えることを特徴とするレンズ緩み防止部材。
  2. 前記第1の係合爪部は、前記第2筒体の外周面から径方向に延設された第1の径方向面と、該第1の径方向面に比べて周方向に傾斜して延設された第1の傾斜面とにより略直角三角形状に形成されており、
    前記第2の係合爪部は、前記筒本体部の内周面から径方向に延設されると共に前記第1の径方向面と対向する第2の径方向面と、該第2の径方向面に比べて周方向に傾斜して延設されると共に前記第1の傾斜面と対向する第2の傾斜面とにより略直角三角形状に形成されており、
    前記第1及び第2筒体を螺合する方向に該第1の係合爪部が回転する際には前記第1及び第2の傾斜面が当接し、該第1及び第2筒体の螺合を解除する方向に該第1の係合爪部が回転する際には前記第1及び第2の径方向面が当接することを特徴とする請求項1に記載のレンズ緩み防止部材。
  3. 前記第2の係合爪部は前記筒本体部の内周面の略全周にわたって周方向に連続して並設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ緩み防止部材。
  4. 樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のレンズ緩み防止部材。
  5. 前記筒本体部における一端縁部から他端縁部にかけて、他の部分に比べて切断容易な切断ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のレンズ緩み防止部材。
  6. 前記切断ガイド部は、他の部分に比べて前記筒本体部の厚さが小さい薄肉部であることを特徴とする請求項5に記載のレンズ緩み防止部材。
  7. 前記筒本体部における前記切断ガイド部周辺には、該切断ガイド部を他の部分と切り離すための力が作用するつまみ部が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のレンズ緩み防止部材。
  8. 前記筒本体部には複数の前記切断ガイド部が設けられており、且つ、前記つまみ部は隣り合う2本の切断ガイド部に挟まれた部分の端縁部から延設されたフランジ片であることを特徴とする請求項7に記載のレンズ緩み防止部材。
  9. 前記筒本体部の軸線方向における幅寸法は、前記第1及び第2筒体の螺合量が予め設定
    された規定螺合量に到達した時点で、カメラのボディ本体又はレンズ鏡筒に該筒本体部の端縁部が当接するように調節されており、該規定螺合量は任意のレンズ焦点位置に応じて設定されていることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のレンズ緩み防止部材。
  10. 請求項1から9の何れか1項に記載のレンズ緩み防止部材と、該レンズ緩み防止部材が適用されるカメラにおけるボディ本体及びレンズ鏡筒と、を含んで構成されるカメラユニット。
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