JP2010216761A - マルチ形空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】他の室内機および室外機に影響を与えることなく、高湿度条件下におかれた室内機での結露を防止することができるマルチ形空気調和機を提供することを目的とする。
【解決手段】1台の室外機2に対して、室内熱交換器71および室内膨張弁72を有する室内機7A,7Bが複数台並列に接続されているマルチ形空気調和機1において、室内機7A,7Bには、冷房運転時、室内空気の条件が結露条件か否かを判定する結露判定手段86と、該結露判定手段86が結露条件と判定したとき、室内膨張弁72を制御して室内熱交換器71への冷媒循環量を減少させることにより結露を防止する結露防止手段87とを備え、室内機7A,7B毎に個別に結露を防止する制御部80が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、1台の室外機に対して、室内機が複数台並列に接続されているマルチ形空気調和機に関するものである。
空気調和機において、冷房運転時における湿度制御は、室内空気の温度と湿度とを検出してその露点を算出し、室内熱交換器での冷媒蒸発温度を室内空気の露点温度以上または以下に調節すべく、圧縮機の回転数および室内送風機の回転数を制御することにより行われている。これによって、冷房運転中の室内熱交換器での結露を防止し、不冷房とならないようにしている。
つまり、空気調和機での結露防止運転は、室内空気の露点を算出してその露点温度と室内熱交換器の温度とを比較し、露点温度が室内熱交換器の温度よりも低い場合には、結露が発生しないのでそのまま運転を継続する。一方、露点温度が室内熱交換器の温度よりも高い場合には、結露が発生してしまうため、室内送風機の回転数を増加させて室内熱交換器の温度を露点温度よりも高くし、室内送風機の回転数が最大のときは、圧縮機の回転数を低下して室内熱交換器の温度を露点温度よりも高くすることによって、結露を防止していた(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−307705号公報
しかしながら、室内機が複数台接続されているマルチ形空気調和機では、一般に複数台の室内機のうち一番温度の低い室内機に合わせて冷媒の蒸発温度が決まってしまう。このため、或る室内機が高湿度条件下におかれても、他の室内機が運転中の場合には、圧縮機の回転数を制御して冷媒の蒸発温度を高湿度条件下におかれている室内機に合わせて上げることはできない。その結果、高湿度条件下におかれている室内機の熱交換器において結露が発生し、不冷房となってしまうことがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、他の室内機および室外機に影響を与えることなく、高湿度条件下におかれた室内機での結露を防止することができるマルチ形空気調和機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のマルチ形空気調和機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるマルチ形空気調和機は、室外機に対して、室内熱交換器および室内膨張弁を有する室内機が複数台並列に接続されているマルチ形空気調和機において、前記室内機には、冷房運転時、室内空気の条件が結露条件か否かを判定する結露判定手段と、該結露判定手段が結露条件と判定したとき、前記室内膨張弁を制御して前記室内熱交換器への冷媒循環量を減少させることにより結露を防止する結露防止手段とを備え、前記室内機毎に個別に結露を防止する制御部が設けられていることを特徴とする。
マルチ形空気調和機では、一般に複数台の室内機のうち一番温度の低い室内機に合わせて冷媒の蒸発温度が決まる。従って、或る室内機が高湿度条件下におかれても他の室内機が運転中は、冷媒の蒸発温度を高湿度条件下におかれた室内機に合わせて上げることはできない。その結果、高湿度条件下におかれている室内機の熱交換器に結露が発生し、不冷房となってしまうことがある。本発明によれば、結露条件か否かを判定し、結露条件と判定されたときに、当該室内機の室内膨張弁を制御して室内熱交換器への冷媒循環量を減少させることにより結露を防止するようにしているため、結露条件と判定された室内機の室内膨張弁を介して当該室内機への冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことによって室内熱交換器への結露を防止することができる。従って、マルチ形空気調和機において、或る室内機が高湿度条件下におかれても、他の室内機や室外機に対して影響を与えることなく、当該室内機の結露を防止しつつ、不冷房とならないように冷房運転を継続することができる。
さらに、本発明のマルチ形空気調和機は、上記のマルチ形空気調和機において、前記結露防止手段は、結露条件と判定されたとき、設定された時間間隔で断続的に前記室内膨張弁を開閉動作させるように構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、結露防止手段が、結露条件と判定されたとき、設定された時間間隔で断続的に室内膨張弁を開閉動作させるように構成されているため、開閉動作される室内膨張弁の時間間隔を適正に設定することにより、結露条件と判定された室内機への冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことができる。つまり、室内膨張弁が開とされる時間が短く、閉とされる時間が長すぎると、冷房能力が落ちすぎて不冷房となり、逆に室内膨張弁が開とされる時間が長すぎると、結露のリスクが高くなるので、冷房能力と結露との兼ね合いで膨張弁の開閉時間の間隔を適正に設定することにより、冷房能力を適度に落として高湿度条件下におかれた室内機への結露を防止することができる。従って、当該室内機の結露を防止しつつ、不冷房とならないように冷房運転を継続することができる。
さらに、本発明のマルチ形空気調和機は、上記のマルチ形空気調和機において、前記室内膨張弁は、前記の開閉動作時に閉状態とされる時の弁開度を記憶し、閉状態から開状態とされる時に、記憶されている閉状態とされた時の弁開度に戻されるように開閉動作されることを特徴とする。
本発明によれば、室内膨張弁が、開閉動作時に閉状態とされる時の弁開度を記憶し、閉状態から開状態とされる時に、記憶されている閉状態とされた時の弁開度に戻されるように開閉動作されるため、室内膨張弁が開閉動作によって開かれるときの弁開度を適正な弁開度とし、冷房能力を向上させることができるとともに、弁開度が大きくなり過ぎることにより発生する液バックのリスクを低減することができる。従って、結露防止運転時においても当該室内機を安定して運転することができる。
さらに、本発明のマルチ形空気調和機は、上述のいずれかのマルチ形空気調和機において、前記室内膨張弁は、前記の開閉動作時に閉状態から開状態とされるとき、弁の開度変化量が漸次大きくされるように開動作されることを特徴とする。
本発明によれば、室内膨張弁が、開閉動作時に閉状態から開状態とされるとき、弁の開度変化量が漸次大きくされるように開動作されるため、室内膨張弁が開閉動作によって開状態とされるときの開弁速度を適正な速度とし、冷房能力を向上させることができるとともに、開弁速度が速くなり過ぎることにより生じる液バックのリスクを低減することができる。従って、結露防止運転時においても当該室内機を安定して運転することができる。
さらに、本発明のマルチ形空気調和機は、上記のマルチ形空気調和機において、前記結露防止手段は、結露条件と判定されたとき、前記室内熱交換器の入り口付近の冷媒温度と中間点付近の冷媒温度との差が設定温度に上昇されるように前記室内膨張弁の開度を絞るように構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、結露防止手段が、結露条件と判定されたとき、室内熱交換器の入り口付近の冷媒温度と中間点付近の冷媒温度との差が設定温度に上昇されるように室内膨張弁の開度を絞るように構成されているため、室内膨張弁の開度を室内熱交換器の入り口付近の冷媒温度と中間点付近の冷媒温度との差が設定温度まで上昇されるように絞ることにより、結露条件と判定された室内機への冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことができる。つまり、室内熱交換器に流入された冷媒がその中間点付近でガス化され、入り口付近の冷媒との温度差が設定温度に上昇されるように室内膨張弁の開度を絞ることによって、冷房能力を適度に落として高湿度条件下におかれた室内機への結露を防止することができる。従って、当該室内機の結露を防止しつつ、不冷房とならないように冷房運転を継続することができる。
さらに、本発明のマルチ形空気調和機は、上記のマルチ形空気調和機において、前記結露防止手段は、結露条件と判定されたとき、前記室内機から吹出される空気温度が設定温度に上昇されるように前記室内膨張弁の開度を絞るように構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、結露防止手段が、結露条件と判定されたとき、室内機から吹出される空気温度が設定温度に上昇されるように室内膨張弁の開度を絞るように構成されているため、室内膨張弁の開度を室内機からの吹出し空気温度が設定温度まで上昇されるように絞ることにより、結露条件と判定された室内機への冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことができる。つまり、室内熱交換器により冷却され、室内機から吹出される空気温度が設定温度まで上昇されるように室内膨張弁の開度を絞ることによって、冷房能力を適度に落として高湿度条件下におかれた当該室内機の結露を防止することができる。従って、室内機の結露を防止しつつ、不冷房とならないように冷房運転を継続することができる。
本発明によると、結露条件と判定された室内機の室内膨張弁を介して当該室内機への冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことによって室内熱交換器への結露を防止することができるため、マルチ形空気調和機において、或る室内機が高湿度条件下におかれても、他の室内機や室外機に対して影響を与えることなく、当該室内機の結露を防止しつつ、不冷房とならないように冷房運転を継続することができる。
本発明の第1実施形態に係るマルチ形空気調和機の冷媒回路図である。 図1に示すマルチ形空気調和機の室内機の結露防止制御フロー図である。 図2に示す室内機の結露防止制御時の動作説明図である。 本発明の第2実施形態に係るマルチ形空気調和機の室内機の結露防止制御フロー図である。 本発明の第3実施形態に係るマルチ形空気調和機の室内機の結露防止制御フロー図である。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図3を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係るマルチ形空気調和機の冷媒回路図が示されている。マルチ形空気調和機1は、1台の室外機2と、室外機2から導出されるガス側配管4および液側配管5と、このガス側配管4および液側配管5間に分岐器6を介して並列に接続されている複数台の室内機7A,7Bと、から構成されている。
室外機2は、冷媒を圧縮するインバータ駆動の圧縮機21と、冷媒ガス中から冷凍機油を分離する油分離器22と、冷媒の循環方向を切り換える四方切換弁23と、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器24と、室外熱交換器24と一体的に構成されている過冷却コイル25と、暖房用の室外電動膨張弁(EEVH)26と、液冷媒を貯留するレシーバ27と、液冷媒に過冷却を与える過冷却熱交換器28と、過冷却熱交換器28に分流される冷媒量を制御する過冷却用電動膨張弁(EEVSC)29と、圧縮機21に吸入される冷媒ガス中から液分を分離し、ガス分のみを圧縮機21に吸入させるアキュームレータ30と、ガス側操作弁31と、液側操作弁32と、を備えている。
室外機2側の上記各機器は、吐出配管33A、ガス配管33B、液配管33C、ガス配管33D、吸入配管33E、および過冷却用の分岐配管33F等の冷媒配管を介して公知の如く接続され、室外側冷媒回路34を構成している。また、室外機2には、室外熱交換器24に対して外気を送風する室外ファン35が設けられている。
さらに、油分離器22と圧縮機21の吸入配管33Eとの間には、油分離器22内で吐出冷媒ガスから分離された冷凍機油を所定量ずつ圧縮機21側に戻すため、キャピラリチューブ等の固定絞り(絞り)36を有する第1油戻し回路37と、電磁弁38およびキャピラリチューブ等の固定絞り(絞り)39を有する第2油戻し回路40との並列回路が接続されている。
ガス側配管4および液側配管5は、室外機2のガス側操作弁31および液側操作弁32に接続される冷媒配管であり、現場での据え付け施工時に、室外機2とそれに接続される室内機7A,7Bとの間の距離に応じてその長さが設定されるようになっている。ガス側配管4および液側配管5の途中には、適宜数の分岐器6が設けられ、この分岐器6を介してそれぞれ適宜台数の室内機7A,7Bが接続されている。これによって、密閉された1系統の冷凍サイクル3が構成されている。
室内機7A,7Bは、冷媒と室内空気とを熱交換させて室内の空調に供する室内熱交換器71と、冷房用の室内電動膨張弁(EEVC)72と、室内熱交換器71を通して室内空気を循環させる室内ファン73と、を備えており、室内側の分岐ガス配管4Aおよび分岐液配管5Aを介して分岐器6に接続されている。
上記したマルチタイプの空気調和機1において、冷房運転は、以下により行われる。
圧縮機21で圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、吐出配管33Aに吐出され、油分離器22で冷媒中に含まれている冷凍機油が分離される。その後、冷媒ガスは、四方切換弁23によりガス配管32B側に循環され、室外熱交換器24で室外ファン35により送風される外気と熱交換されて凝縮液化される。この液冷媒は、過冷却コイル25で更に冷却された後、室外電動膨張弁26を通過し、レシーバ27にいったん貯留される。
レシーバ27で循環量が調整された液冷媒は、液配管33Cを介して過冷却熱交換器28を流通される過程で、過冷却用分岐配管33Fに一部が分流され、過冷却用電動膨張弁(EEVSC)29で断熱膨張された冷媒と熱交換されて過冷却度が付与される。この液冷媒は、液側操作弁32を経て室外機2から液側配管5へと導出され、更に液側配管5に導出された液冷媒は、分岐器6により各室内機7A,7Bの分岐液配管5A,5Bへと分流される。
分岐液配管5A,5Bに分流された液冷媒は、各室内機7A,7Bに流入し、室内電動膨張弁(EEVC)72で断熱膨張され、気液二相流となって室内熱交換器71に流入される。室内熱交換器71では、室内ファン73により循環される室内空気と冷媒とが熱交換され、室内空気は冷却されて室内の冷房に供される。一方、冷媒はガス化され、分岐ガス配管4A,4Bを経て分岐器6に至り、他の室内機からの冷媒ガスとガス側配管4で合流される。
ガス側配管4で合流された冷媒ガスは、再び室外機2に戻り、ガス側操作弁31、ガス配管33D、四方切換弁23を経て吸入配管33Eに至り、分岐配管33Fからの冷媒ガスと合流された後、アキュームレータ30に導入される。アキュームレータ30では、冷媒ガス中に含まれている液分が分離され、ガス分のみが圧縮機21へと吸入される。この冷媒は、圧縮機21において再び圧縮され、以上のサイクルを繰り返すことによって冷房運転が行われる。
一方、暖房運転は、以下により行われる。
圧縮機21により圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、吐出配管33Aに吐出され、油分離器22で冷媒中に含まれている冷凍機油が分離された後、四方切換弁23によりガス配管33D側に循環される。この冷媒は、ガス側操作弁31、ガス側配管4を経て室外機2から導出され、更に分岐器6、室内側の分岐ガス配管4A,4Bを経て室内機7A,7Bへと導入される。
室内機A,7Bに導入された高温高圧の冷媒ガスは、室内熱交換器71で室内ファン73によって循環される室内空気と熱交換され、室内空気は加熱されて室内の暖房に供される。室内熱交換器71で凝縮液化された液冷媒は、室内電動膨張弁(EEVC)72、分岐液配管5A,5Bを経て分岐器6に至り、他の室内機からの冷媒と合流された後、液側配管5を経て室外機2に戻される。なお、暖房時、室内機7A,7Bでは、凝縮器として機能する室内熱交換器71の出口における冷媒の過冷却度が一定値となるように、室内電動膨張弁(EEVC)72の開度が制御されている。
室外機2に戻った冷媒は、液側操作弁32、液配管33Cを経て過冷却熱交換器28に至り、冷房時の場合と同様に過冷却が付与された後、レシーバ27に流入され、いったん貯留されることにより循環量が調整される。この液冷媒は、液配管33Cを介して室外電動膨張弁(EEVH)26に供給され、そこで断熱膨張された後、過冷却コイル25を経て室外熱交換器24へと流入される。
室外熱交換器24では、室外ファン35から送風される外気と冷媒とが熱交換され、冷媒は外気から吸熱して蒸発ガス化される。この冷媒は、室外熱交換器24からガス配管33B、四方切換弁23、吸入配管33Eを経て過冷却用分岐配管33Fからの冷媒と合流され、アキュームレータ30に導入される。アキュームレータ30では、冷媒ガス中に含まれている液分が分離されてガス分のみが圧縮機21へと吸入される。この冷媒は、圧縮機21で再び圧縮され、以上のサイクルを繰り返すことによって暖房運転が行われる。
マルチ形空気調和機では、複数台の室内機7A,7Bがそれぞれ異なる場所に設置されるのが常であり、設置場所に応じて異なるタイプの室内機が設置されることがある。このため、上記した冷房運転時において、複数台の室内機7A,7Bの中の或る室内機が高湿度条件下におかれた場合、結露しやすいタイプの室内機において、室内熱交換器71に結露が発生し、不冷房に至ることがある。かかる結露を防止するため、各室内機7A,7Bに以下の通り結露防止用の制御部80が設けられている。
制御部80には、図1に示されるように、室内機7A,7Bに吸い込まれる室内空気の湿度を検出する湿度センサ81、吸い込み空気温度を検出する温度センサ82、室内機7A,7Bから吹出される空気の温度を検出する温度センサ83、室内熱交換器71の入り口付近の冷媒温度を検出する温度センサ84および室内熱交換器71の中間点付近の冷媒温度を検出する温度センサ85の検出値が入力されるようになっている。なお、室内機7B側に設けられる制御部80およびセンサ81ないし85は、図示省略されている。
制御部80は、冷房運転時、湿度センサ81の検出値または吸込み空気温度センサ82の検出値と吹出し空気温度センサ83の検出値との差に基づいて室内空気の条件が結露条件か否かを判定する結露判定手段86と、該結露判定手段86により室内空気の条件が結露条件と判定されたとき、室内膨張弁72を制御して室内熱交換器71への冷媒循環量を減少させ、その結露を防止する結露防止手段87とを備え、各室内機7A,7B毎に個別に結露を防止することができるように構成されている。
また、制御部80は、図2に示されるように、ステップS1において、湿度センサ81の検出湿度または吸込み空気温度センサ82の検出温度と吹出し空気温度センサ83の検出温度との温度差に基づいて、結露判定手段86により室内空気の条件が結露条件か否かを判定し、室内機7Aまたは7Bが結露条件下におかれていると判定された場合、ステップS2に移行し、結露防止手段87により当該室内機7Aまたは7Bに対して冷媒循環量を減少する制御が開始されるようになっている。
冷媒循環量の減少制御は、具体的には、ステップS3に示されるように、当該室内機7Aまたは7Bの室内膨張弁72を設定された時間間隔で断続的に開閉動作させることにより行われる。このように、設定時間間隔で断続的に開閉動作される室内膨張弁72の時間間隔を適正に設定することにより、結露条件と判定された室内機7Aまたは7Bへの冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことが可能となる。
つまり、湿度が高く、結露する可能性があると判定された場合、室内膨張弁7を閉状態として室内熱交換器71への冷媒の循環を停止させ、室内熱交換器71の温度が徐々に上昇される段階で室内膨張弁7を開状態として冷媒を再循環させる動作を繰り返すことによって、冷房能力を適度に落とすことができる。この場合、室内膨張弁72が開とされる時間が短く、閉とされる時間が長すぎると、冷房能力が落ちすぎて不冷房となり、逆に室内膨張弁72が開とされる時間が長すぎると、結露のリスクが高くなるので、冷房能力と結露との兼ね合いで室内膨張弁72の開閉時間の間隔を、例えば開時間を10分、閉時間を3分というように設定することにより、ステップS4の如く、当該室内機7A,7Bの結露を防止しつつ、不冷房に至らないように冷房運転を継続できるようにしている。
上記による結露防止運転は、冷房運転が停止されるか、室内空気の湿度が低下され、結露条件から脱却されるまでステップS4により継続され、冷房運転が停止されるか、または室内空気の湿度が低下されると、ステップS5により停止されるようになっている。
また、室内膨張弁72は、制御部80によって上記の如く開閉動作される際、閉状態とされる時の弁開度を記憶し、閉状態から再び開状態とされる時に、記憶されている閉状態とされた時の弁開度に戻されるようになっている。さらに、室内膨張弁72は、上記の開閉動作時に閉状態から開状態に動作されるとき、弁の開度変化量が漸次大きくされるようになっている。
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
マルチ形空気調和機では、複数台の室内機7A,7Bがそれぞれ異なる場所に設置されるため、それぞれの室内機7A,7Bが異なる条件下で運転されることになる。複数台の室内機7A,7Bの中の或る室内機が冷房運転時に高湿度条件下におかれた場合、当該室内機7Aまたは7Bの室内熱交換器71において結露が発生する可能性があるが、マルチ形空気調和機では、他の室内機7A,7Bの冷房運転に影響を与えないようにする必要があることから、圧縮機の回転数を制御して冷媒の蒸発温度を上げることができない。
しかるに、本実施形態では、各室内機7A,7Bに制御部80が設けられており、湿度センサ81の検出値または吸込み空気温度センサ82の検出値と吹出し空気温度センサ83の検出値との差に基づいて、結露判定手段86により室内空気の条件が結露条件か否かを判定し、結露条件と判定された場合に、結露防止手段87により当該室内機7Aまたは7Bの室内膨張弁72を制御し、室内熱交換器71への冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落として結露を防止するようにしている。
つまり、結露条件と判定されたとき、当該室内機7Aまたは7Bの室内膨張弁72が結露防止手段87により設定された時間間隔で、例えば上記の如く10分間開、3分間閉というように断続的に開閉動作されるようになっている。このため、結露条件と判定された室内機7Aまたは7Bへの冷媒循環量を減少させることができ、これによって、冷房能力を適度に落とし、室内熱交換器71への結露を防止することができる。従って、マルチ形空気調和機1において、他の室内機や室外機に対して影響を与えることなく、当該室内機7Aまたは7Bの結露を防止しつつ、不冷房とならないように冷房運転を継続することができる。
また、室内膨張弁72が上記の如く開閉動作される際、閉状態とされる時の弁開度を記憶し、閉状態から開状態とされる時に、記憶されている閉状態とされた時の弁開度に戻されるようになっているため、図3にR1に示されるように、室内膨張弁72が開閉動作によって開かれるときの弁開度を適正な弁開度とし、冷房能力を向上させることができるとともに、弁開度が大きくなり過ぎることにより発生する液バックのリスクを低減することができる。従って、結露防止運転時においても当該室内機7Aまたは7Bを安定して運転することができる。
さらに、室内膨張弁72が開閉動作される際、閉状態から開状態とされるとき、弁の開度変化量が漸次大きくされるようになっているため、図3にR2に示されるように、室内膨張弁72が開閉動作によって開状態とされるときの開弁速度を適正な速度とし、冷房能力を向上させることができるとともに、開弁速度が速くなり過ぎることにより発生する液バックのリスクを低減することができる。従って、結露防止運転時においても当該室内機7Aまたは7Bを安定して運転することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、結露防止運転時、室内熱交換器71の入り口付近の冷媒温度と中間点付近の冷媒温度との差が設定温度に上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞るようにしている点が異なる。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態においては、図4に示されるように、ステップS11において室内空気の条件が結露条件か否かを判定し、室内機7Aまたは7Bが結露条件下におかれていると判定されると、ステップS12に移行し、当該室内機7Aまたは7Bに対して冷媒循環量を減少する制御が開始されるようになっている。
冷媒循環量の減少制御は、ステップS13に示されるように、温度センサ84により検出される室内熱交換器71の入り口付近の冷媒温度と、温度センサ85により検出される室内熱交換器71の中間点付近の冷媒温度との温度差が、設定温度(例えば、3deg)まで上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞ることにより行われる。このように、室内熱交換器71の入り口付近の冷媒温度と中間点付近の冷媒温度との差が設定温度に上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞ることによって、結露条件と判定された室内機7Aまたは7Bへの冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことが可能となる。なお、ステップS14,S15は、第1実施形態のステップS4,S5と同様である。
しかして、本実施形態によれば、結露防止手段86により、室内機7Aまたは7Bが結露条件下におかれていると判定されると、当該室内機7Aまたは7Bの室内熱交換器71の入り口付近の冷媒温度と中間点付近の冷媒温度との差が設定温度に上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞るようにしているため、結露条件と判定された室内機7Aまたは7Bへの冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことができる。つまり、室内熱交換器71に流入された冷媒がその中間点付近でガス化され、入り口付近の冷媒との温度差が、上記の如く、3degまで上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞ることによって、冷房能力を適度に落として高湿度条件下におかれた室内機7Aまたは7Bへの結露を防止することができる。従って、本実施形態によっても、第1実施形態と同様、室内機7Aまたは7Bの結露を防止しつつ、不冷房とならないように冷房運転を継続することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図5を参照して説明する。
本実施形態は、上記した第1および第2実施形態に対して、結露防止運転時、室内機7Aまたは7Bから吹出される空気温度が設定温度に上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞るようにしている点が異なる。その他の点については、第1および第2実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態においては、図5に示されるように、ステップS21において室内空気の条件が結露条件か否かを判定し、室内機7Aまたは7Bが結露条件下におかれていると判定されると、ステップS22に移行し、当該室内機7Aまたは7Bに対して冷媒循環量を減少する制御が開始されるようになっている。
冷媒循環量の減少制御は、ステップS23に示されるように、温度センサ83により検出される室内機7Aまたは7Bから吹出される空気温度が、設定温度まで上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞ることにより行われる。このように、室内機7Aまたは7Bからの吹出し空気温度が設定温度に上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞ることにより、結露条件と判定された室内機7Aまたは7Bへの冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことが可能となる。なお、ステップS24,S25は、第1実施形態のステップS4,S5と同様である。
しかして、本実施形態によれば、結露防止手段86により、室内機7Aまたは7Bが結露条件下におかれていると判定されると、当該室内機7Aまたは7Bから吹出される空気温度が設定温度に上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞るようにしているため、結露条件と判定された室内機7Aまたは7Bへの冷媒循環量を減少させ、冷房能力を適度に落とすことができる。つまり、室内熱交換器71により冷却され、室内機7Aまたは7Bから吹出される空気温度が設定温度まで上昇されるように室内膨張弁72の開度を絞ることによって、冷房能力を適度に落として高湿度条件下におかれた当該室内機7Aまたは7Bの結露を防止することができる。従って、本実施形態によっても、上記第1および第2実施形態と同様、室内機7Aまたは7Bの結露を防止しつつ、不冷房とならないように冷房運転を継続することができる。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記した各実施形態において例示した設定値等は、単に一例を示したものに過ぎず、これらの設定値に制限されるものでないことは云うまでもない。
1 マルチ形空気調和機
2 室外機
7A,7B 室内機
71 室内熱交換器
72 室内膨張弁
80 制御部
81 湿度センサ
82,83,84,85 温度センサ
86 結露判定手段
87 結露防止手段

Claims (6)

  1. 室外機に対して、室内熱交換器および室内膨張弁を有する室内機が複数台並列に接続されているマルチ形空気調和機において、
    前記室内機には、冷房運転時、室内空気の条件が結露条件か否かを判定する結露判定手段と、該結露判定手段が結露条件と判定したとき、前記室内膨張弁を制御して前記室内熱交換器への冷媒循環量を減少させることにより結露を防止する結露防止手段とを備え、前記室内機毎に個別に結露を防止する制御部が設けられていることを特徴とするマルチ形空気調和機。
  2. 前記結露防止手段は、結露条件と判定されたとき、設定された時間間隔で断続的に前記室内膨張弁を開閉動作させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチ形空気調和機。
  3. 前記室内膨張弁は、前記の開閉動作時に閉状態とされる時の弁開度を記憶し、閉状態から開状態とされる時に、記憶されている閉状態とされた時の弁開度に戻されるように開閉動作されることを特徴とする請求項2に記載のマルチ形空気調和機。
  4. 前記室内膨張弁は、前記の開閉動作時に閉状態から開状態とされるとき、弁の開度変化量が漸次大きくされるように開動作されることを特徴とする請求項2または3に記載のマルチ形空気調和機。
  5. 前記結露防止手段は、結露条件と判定されたとき、前記室内熱交換器の入り口付近の冷媒温度と中間点付近の冷媒温度との差が設定温度に上昇されるように前記室内膨張弁の開度を絞るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチ形空気調和機。
  6. 前記結露防止手段は、結露条件と判定されたとき、前記室内機から吹出される空気温度が設定温度に上昇されるように前記室内膨張弁の開度を絞るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチ形空気調和機。

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