JP2010216275A - エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】予混合圧縮自己着火燃焼が成立する着火性の制御レンジを拡大し得るエンジンを提供する。
【解決手段】燃料を高沸点成分と低沸点成分とに分離可能な分離装置(19)を具備し、分離装置(19)により、高自着火性かつ高沸点の燃料である第2燃料(ディーゼル燃料)を、高自着火性かつ低沸点の燃料である第1分離燃料(ディーゼル軽質燃料)と、高自着火性かつ高沸点の燃料である第2分離燃料(ディーゼル重質燃料)とに分離し、低負荷において、第1分離燃料(ディーゼル軽質燃料)を供給し、高負荷において、低自着火性かつ低沸点の燃料である第1燃料(ガソリン)と、第2燃料(ディーゼル燃料)または第2分離燃料(ディーゼル重質燃料)と、を供給する。
【選択図】図21

Description

この発明はエンジン(内燃機関)に関する。
ガソリンを原料燃料として分離装置により、原料燃料からオクタン価の高い高オクタン価燃料と、原料燃料よりオクタン価の低い低オクタン価燃料とに分離し、運転条件に応じてこれら燃料のいずれか一方または両方をエンジンに供給するものがある(特許文献1参照)。
特表2004−522039号公報
ところで、予混合圧縮自己着火燃焼は、高効率でかつ超低NOxの燃焼である点で注目されており、軽油(ディーゼル燃料)、メタノール、天然ガス、ガソリンなど、様々な燃料を用いた予混合圧縮自己着火燃焼の研究開発が行われている。
ここで、予混合圧縮自己着火燃焼が行われるようにするには、目標とするクランク角位置で燃焼が開始されるように燃料の着火性を制御する必要がある。本発明者の研究によれば、燃料の性状を決定する着火性(自着火性)とは別のパラメータに沸点があり、着火性のみを考慮し沸点を考慮しないとすれば別の問題が発生することが判明している。すなわち、高着火性の燃料は着火遅れが大きいので、例えば吸気行程まで進めて早期に噴射することにより燃焼室内に予混合気を形成させることになるが、その高着火性の燃料が併せて高沸点の燃料であれば、吸気行程まで進めて早期に噴射したとき、燃料噴霧が気化しないためにシリンダ壁やピストン冠面にまで飛んで付着したり、オイル希釈などが発生する。従って、燃焼室内に予混合気を形成させるにしても、燃料の着火性と沸点の両方を考慮する必要があるのである。
しかしながら、燃焼室内に予混合気を形成させるに際して、燃料の着火性と沸点の両方を考慮するものは開示されていない。着火性と沸点とのいずれかのパラメータのみの制御では、予混合圧縮自己着火燃焼が成立する着火性の制御レンジを拡大することは困難である。
そこで本発明は、予混合圧縮自己着火燃焼が成立する着火性の制御レンジを拡大し得るエンジンを提供することを目的とする。
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にする
ために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
本発明は、燃料を高沸点成分と低沸点成分とに分離可能な分離装置(19)を具備し、分離装置(19)により、高自着火性かつ高沸点の燃料である第2燃料(ディーゼル燃料)を、第1燃料(ガソリン)の沸点より沸点が高い範囲で相対的に低沸点の、高自着火性かつ低沸点の燃料である第1分離燃料(ディーゼル軽質燃料)と、第1燃料(ガソリン)の沸点より沸点が高い範囲で相対的に高沸点の、高自着火性かつ高沸点の燃料である第2分離燃料(ディーゼル重質燃料)とに分離し、低負荷において、第1分離燃料(ディーゼル軽質燃料)を供給し、高負荷において、第1燃料(ガソリン)と、第2燃料(ディーゼル燃料)または第2分離燃料(ディーゼル重質燃料)と、を供給する。
また、本発明は、相対的に自着火性の低い低自着火性かつ相対的に沸点の低い低沸点の第1燃料(ガソリン)と、第1燃料(ガソリン)より相対的に自着火性の高い高自着火性かつ相対的に沸点の高い高沸点の第3燃料(ディーゼル燃料)と、この第3燃料(ディーゼル燃料)を、自着火性が第1燃料(ガソリン)よりも高くかつ沸点が第1燃料(ガソリン)よりも高く第3燃料(ディーゼル燃料)よりも低い第2燃料(ディーゼル軽質燃料)と、自着火性が第1燃料(ガソリン)よりも高くかつ沸点が第2燃料(ディーゼル軽質燃料)よりも高い第4燃料(ディーゼル重質燃料)に分離する燃料分離手段(19)と、この第4燃料(ディーゼル重質燃料)を第3燃料(ディーゼル燃料)に混合して新たな第3燃料(ディーゼル燃料)とする燃料混合手段(61)と、第1燃料(ガソリン)、第2燃料(ディーゼル軽質燃料)、第3燃料(ディーゼル燃料)を燃焼室に供給する燃料供給手段(11、12)と、第2燃料(ディーゼル軽質燃料)の残量を検出する第2燃料残量検出手段(48)とを備えたエンジンであって、少なくとも第2燃料(ディーゼル軽質燃料)の残量に基づき、燃焼室に供給する第1燃料(ガソリン)、第2燃料(ディーゼル軽質燃料)、第3燃料(ディーゼル燃料)の組合せと燃焼形態を決める。
本発明によれば、予混合圧縮自己着火燃焼が成立する着火性の制御レンジを拡大することができる。また、相対的に自着火性の低い低自着火性かつ相対的に沸点の低い低沸点の第1燃料と、第1燃料より相対的に自着火性の高い高自着火性かつ相対的に沸点の高い高沸点の第3燃料と、この第3燃料を、自着火性が第1燃料よりも高くかつ沸点が第1燃料よりも高く第3燃料よりも低い第2燃料と、自着火性が第1燃料よりも高くかつ沸点が第2燃料よりも高い第4燃料に分離する燃料分離手段と、この第4燃料を第3燃料に混合して新たな第3燃料とする燃料混合手段と、第1燃料、第2燃料、第3燃料を燃焼室に供給する燃料供給手段と、第2燃料の残量を検出する第2燃料残量検出手段とを備えたエンジンであって、少なくとも前記燃料の残量に基づき、燃焼室に供給する第1燃料、第2燃料、第3燃料の組合せと燃焼形態を決めるので、低負荷側のかなりの運転領域でシリンダ壁やピストン冠面への燃料付着、オイル希釈などを発生させることなく予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることができる。
本発明の第1実施形態の燃料供給装置の概略構成図である。 エンジンの概略構成図である。 第1実施形態の燃料制御を説明するための領域図である。 第1実施形態の負荷制御を説明するための運転領域図である。 第1実施形態の負荷制御を説明するための特性図である。 第1実施形態の当量比制御を説明するための特性図である。 第1実施形態の着火開始直前の予混合気の分布図である。 第1実施形態の当量比制御を説明するための特性図である。 第2実施形態の負荷制御を説明するための特性図である。 第2実施形態の当量比制御を説明するための特性図である。 第2実施形態の着火開始直前の予混合気の分布図である。 第3実施形態の負荷制御を説明するための特性図である。 第3実施形態の当量比制御を説明するための特性図である。 第3実施形態の着火開始直前の予混合気の分布図である。 第4実施形態の負荷制御を説明するための運転領域図である。 第4実施形態の負荷制御を説明するための特性図である。 第4実施形態の当量比制御を説明するための特性図である。 第4実施形態の着火開始直前の予混合気の分布図である。 第5実施形態のA領域での燃焼形態の決定方法を説明するためのフローチャートである。 第6実施形態のB領域またはC領域での燃焼形態の決定方法を説明するためのフローチャートである。 第1実施形態の変形例の燃料供給装置の概略構成図である。 第1実施形態の他の変形例の燃料供給装置の概略構成図である。
図1は本発明の第1実施形態の燃料供給装置の概略構成図、図2はエンジン1の概略構成図である。図1において、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4は吸気ポート、5は排気ポート、6は吸気弁、7は排気弁、8はピストン、9は燃焼室である。
燃焼室9の天井には、2つの燃料噴射弁11、12(燃料供給手段)が燃焼室9に臨んで設けられている。そして、第1燃料噴射弁11からの燃料噴霧と第2燃料噴射弁12からの燃料噴霧とが燃焼室9のほぼ中央で混じり合うように、2つの燃料噴射弁11、12が配置されている。第1燃料噴射弁11には、ガソリンタンク13内の燃料が燃料供給通路14を介して供給される。一方、第2燃料噴射弁12にはディーゼル燃料タンク16内の燃料が燃料供給通路17を介して導かれる。
排気ポート5の直ぐ下流の排気管10には、ディーゼル燃料タンク16内の燃料が通路18を介して導かれる分留器19(燃料燃料分離手段)を備える。分留器19は排気の熱を利用してディーゼル燃料タンク16内のディーゼル燃料(軽油)を、沸点が相対的に低い低沸点の燃料(以下単に「ディーゼル軽質燃料」という。)と、沸点が相対的に高い高沸点の燃料(以下単に「ディーゼル重質燃料」という。)との2つに分離するものである。なお、燃料分留器19は設定沸点を変更可能である。
分離されたディーゼル軽質燃料とディーゼル重質燃料とは図示しないポンプにより通路21、22を介して各タンク23、24に導かれ貯溜される。ディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料を第2燃料噴射弁12に導くためディーゼル軽質燃料タンク23と連通する燃料供給通路28が燃料供給通路17に、またディーゼル重質燃料タンク24内のディーゼル重質燃料を第2燃料噴射弁12に導くためディーゼル重質燃料タンク24と連通する燃料供給通路29が燃料供給通路17に合流されている。
この結果、本実施形態では、燃焼室9に供給する燃料として、ガソリンタンク13内のガソリン、ディーゼル燃料タンク16内のディーゼル燃料、ディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料及びディーゼル重質燃料タンク24内のディーゼル重質燃料の合計4つの燃料を用いることが可能である。燃料の着火性(自着火性)や燃料の沸点が異なるこれら4つの燃料を選択しあるいは組み合わせて用いるため、燃料供給通路14にポンプ31を、燃料供給通路17にポンプ34及び常閉の開閉弁35を、燃料供給通路28にポンプ37、常閉の開閉弁38を、燃料供給通路29にポンプ40、常閉の開閉弁41を備えている。
本実施形態では、ディーゼル燃料タンク16内のディーゼル燃料の燃料性状はディーゼル重質燃料と同等であるので、ディーゼル燃料タンク16内のディーゼル燃料はディーゼル重質燃料として扱う。このため、実質的にはディーゼル軽質燃料と、ディーゼル重質燃料のいずれかを第2燃料噴射弁12に供給することとなる。
図21は図1に示される第1実施形態の変形例の燃料供給装置で、図1と同一部分には同一の符号を付している。図21では、分留器19により分留されるディーゼル重質燃料を通路22を介してディーゼル燃料第2タンク61(燃料混合手段)に貯溜する。ディーゼル燃料第2タンク61には図示しないポンプ等でディーゼル燃料タンク16内のディーゼル燃料も供給する。つまり、ディーゼル燃料第2タンク61ではディーゼル重質燃料とディーゼル燃料タンク16内のディーゼル燃料とが混合されて新たなディーゼル燃料となる。ディーゼル燃料第2タンク61内の新たなディーゼル燃料は、燃料供給通路63を介して第2燃料噴射弁12に供給される。ディーゼル軽質燃料を供給する燃料供給通路28はこの燃料供給通路63に合流させる。
この変形例では、ディーゼル燃料第2タンク61内のディーゼル燃料をディーゼル重質燃料として扱う。なお、ディーゼル燃料第2タンク61とを別に設けるのではなく、図22に示したように、ディーゼル燃料タンク16とディーゼル燃料第2タンク61とを一つの燃料タンクで構成してもかまわない。図21、図22に示す燃料供給装置によれば、図1に示す燃料供給装置よりも全体の構成が簡素になっている。
また、ディーゼル燃料をディーゼル軽質燃料とディーゼル重質燃料とに分離する燃料分離手段としては分留器19に限らず、改質触媒を用いてディーゼル燃料の一部を分子量を低下させることにより、ディーゼル重質燃料からディーゼル軽質燃料を生成するものでも構わない。
アクセルセンサ52からのアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)、エアフローメータ53からの吸入空気流量、回転速度センサ54からのエンジン回転速度が入力されるエンジンコントローラ51では、エンジンの負荷と回転速度から定まる運転条件が、低負荷側の予混合圧縮自己着火燃焼領域(後述する)にあるか否かを判定し、運転条件がこの予混合圧縮自己着火燃焼領域にある場合に、原則として予混合圧縮自己着火燃焼が行われるように、また運転条件が予混合圧縮自己着火燃焼領域を外れて高負荷側にある場合には、従来からあるディーゼル燃焼または従来からある点火プラグで着火する火炎伝播燃焼が行われるように、図21に示す燃料供給装置であれば、上記3つの各ポンプ31、37、40の駆動、停止を制御し、上記2つの各開閉弁38、41の開閉を制御し、かつ2つの燃料噴射弁11、12からの燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御する(図1に示す燃料供給装置であれば、上記4つの各ポンプ31、34、37、40の駆動、停止を制御し、上記3つの各開閉弁35、38、41の開閉を制御し、かつ2つの燃料噴射弁11、12からの燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御する)。
なお、上記の火炎伝播燃焼を行わせるには、点火プラグ(点火装置)が必要となるので、燃焼室9に臨んで設けておく(図示しない)。
また、エンジン1が搭載され車両の使われ方は様々であるので、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料、ガソリンのうちいずれかの燃料が不足する事態になると、運転条件が予混合圧縮自己着火燃焼領域にあっても予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることができなくなることが考えられる。そこで、図21に示す燃料供給装置であれば、エンジンコントローラ51に燃料残量センサ47、48、49からの各タンク13、23、61の燃料残量を入力させておき、少なくとも燃料残量センサ48(第2燃料残量検出手段)により検出されるディーゼル軽質燃料の残量に基づいて、上記3つのタンク13、23、61に残存する燃料(図1に示す燃料供給装置であれば上記4つのタンク13、16、23、24に残存する燃料)で燃焼可能な燃焼形態を決定し、その決定した燃焼形態を行わせる。
ここで決定される燃焼形態は、燃料を圧縮上死点前に噴射供給して予混合気を形成させ、所定の時期に着火を開始して燃焼させる予混合圧縮自己着火燃焼、燃焼室9内ガスの酸素濃度を大きく低下させると共に燃料を圧縮上死点後に噴射供給して低温予混合気を形成させる低温予混合燃焼、燃料を点火装置で着火して燃焼させる火炎伝播燃焼のいずれかである。
上記の予混合圧縮自己着火燃焼には、本発明者が開発した新しい燃焼形態が含まれている。ガソリン、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料の3つの燃料を用いたこの新しい燃焼形態を次に説明する。
まず、燃料制御を図3を参照して説明すると、図3は横軸に沸点を、縦軸に着火性(自着火性)を採っている。本実施形態では、ガソリンとディーゼル燃料という区分けではなく、燃料を新たに沸点と着火性との2つのパラメータで特定されるものとして扱う。参考のため縦軸にオクタン価とセタン価を重ねて記載しているが、着火性というパラメータでみると、ガソリンは相対的に着火性の低い低着火性の燃料、ディーゼル燃料は相対的に着火性の高い高着火性の燃料であると捉えなおすことができる。この結果、沸点と着火性とをパラメータとする2次元の領域上でみると、ガソリンは低着火性かつ低沸点の燃料(第1燃料)であるため左上に、ディーゼル重質燃料は高着火性かつ高沸点の燃料であるため右下に、ディーゼル軽質燃料は高着火性かつディーゼル重質燃料よりは低沸点の燃料であるため、ディーゼル重質燃料の左に位置することとなる。
さて、着火性及び沸点の異なるガソリン、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料の3つ燃料を用いることが可能となったことから、この3つの燃料を用いた新たな燃焼形態を本発明者が開発している。本発明者が開発した新たな燃焼形態は、予混合圧縮自己着火燃焼の一種である。従来公知の予混合圧縮自己着火燃焼は、燃焼室9内の全体に均一な予混合気を形成するものをいうが、本発明者が新たに開発した燃焼形態は、予混合気を成層予混合気とするものである。ここで、「成層予混合気」とは、予混合気が燃焼室9の一部に形成されるものをいう。つまり、燃焼室9内に予混合気が存在するところと、予混合気が存在しないところとが存在するものとなる。この新たな燃焼形態を、「成層予混合圧縮自己着火燃焼」(Stratified Compression Combustion Ignition)と名付ける。この成層予混合圧縮自己着火燃焼と区別するため従来公知の予混合圧縮自己着火燃焼を「均一予混合圧縮自己着火燃焼」(Homogeneous Compression Combustion Ignition)と名付ける。
成層予混合圧縮自己着火燃焼を開発したのは、より一層の燃費向上のためである。均一予混合気の場合には、燃焼室9の全体に広がった均一な予混合気がある程度の濃さにならないと、圧縮着火を行っても均一予混合気に着火し得ないのであるが、成層予混合気では、均一予混合気よりも濃い成層予混合気が燃焼室9内の一部に存在するため、圧縮着火を行うとこの濃い成層予混合気が着火して燃焼を開始する。つまり、成層予混合圧縮自己着火燃焼では、燃焼室9のうちに部分的に濃い成層予混合気を形成してやればよいので、成層予混合気を形成するほうが燃焼室9の全体に均一な予混合気を形成するよりも燃料を節約できるのである。
成層予混合圧縮自己着火燃焼では、圧縮着火の前に成層予混合気のままで維持させることがキーポイントとなる。成層予混合気のままでいられるか否かは沸点(予混合気の作りやすさ)及び着火性(燃えやすさ)に関係する。予混合圧縮自己着火燃焼領域のうち高負荷側では、低着火性(燃えにくい)の燃料でないと、圧縮着火の前に成層予混合気が着火して燃焼を開始してしまい成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることができなくなる。その一方で、予混合圧縮自己着火燃焼領域のうち低負荷側では軽質(成層予混合気を作りやすい)の燃料でないと、そもそも成層予混合気を作ることができず成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることができない。
予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷の違いが成層予混合気に与える影響と、上記ガソリン、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料の3つの燃料の燃料性状(着火性及び沸点)の違いとを合わせ考慮すると、予混合圧縮自己着火燃焼領域における低負荷側では、気化し易いディーゼル軽質燃料を用いて成層予混合気が作られるようにし、一方、予混合圧縮自己着火燃焼領域における高負荷側の境界付近では低着火性のガソリンを用いて成層予混合気が圧縮着火の前に燃えてしまわないようにすればよい。
予混合圧縮自己着火燃焼領域における途中の負荷域では、ディーゼル重質燃料とガソリンとを組み合わせて、つまりディーゼル重質燃料とガソリンとを混合させて用いる。予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が増大するほど燃料の着火性が低くなるように(成層予混合気が着火しにくくなるように)すればよいので、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が増大するほどガソリンの供給割合を増加させてゆく(逆に言えば、ディーゼル重質燃料の供給割合を減少させてゆく)。
この結果、燃料制御としては、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が増大するほど矢印の向きに主噴射燃料(主噴射に用いる燃料)を変えてゆくことになる。なお、図3に示す「高負荷」はあくまで予混合圧縮自己着火燃焼領域内での高負荷をいうのであって、一般点な意味での高負荷(つまりアクセルペダルを大きく踏み込んでいる状態)ではない。
次に、負荷制御を図4を参照して説明すると、図4は横軸にエンジン回転速度Neを、縦軸にエンジントルク(エンジン負荷)を採った運転領域図である。
成層予混合圧縮自己着火燃焼(図では「SCCI」で略記)では、理論空燃比よりも少しリーン側の値を目標当量比として一定に維持するが、目標当量比を一定に保ったまま燃料噴射量が増えると、成層予混合圧縮自己着火燃焼を維持できなくなるので、高負荷側の運転域では成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることができない。従って、低負荷側の所定の領域で成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせ、高負荷側の領域になると、従来からあるガソリンエンジンを点火装置で着火して燃焼させる火炎伝播燃焼あるいは従来からあるディーゼルエンジンでの圧縮自己着火燃焼を行わせる。
ここで、成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせ得る低負荷側の領域を「予混合圧縮自己着火燃焼領域」で定義する。なお、本実施形態では、後述するように予混合圧縮自己着火燃焼領域と同じ領域で均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるため、予混合圧縮自己着火燃焼領域では、原則として成層予混合圧縮自己着火燃焼かまたは均一成層予混合圧縮自己着火燃焼が行われる。予混合圧縮自己着火燃焼領域はさらに低負荷側からA領域(第1領域)、B領域(第2領域)、C領域(第2領域)の3つの負荷領域に区分けする。
次に、成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるための負荷制御を図5を参照して具体的に説明すると、図5は横軸に予混合圧縮自己着火燃焼領域におけるエンジントルク(エンジン負荷)を採ったときの、主噴射の燃料噴射量、主噴射の燃料噴射時期(以下「主噴射時期」という。)、燃料の沸点、燃料の着火性、目標当量比の特性を示している。
目標当量比はA、B、Cの全ての領域(つまり予混合圧縮自己着火燃焼領域)で一定(理論空燃比より若干リーン側の値)である(図5第5段目参照)。着火性は予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が増加するほど低くなる側に向かう(図5第4段目参照)。これは、目標とするクランク角より前に成層予混合気が着火を開始しないようにする必要があり、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が高くなるほど成層予混合気が着火しやすくなるので、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が高くなるほど成層予混合気が着火しずらくなるように、つまり低着火性とするものである。一方、沸点は低負荷側で高くしている(図5第3段目参照)。これは、燃料噴霧が気化しないためにシリンダ壁やピストン冠面にまで飛んで付着したり、オイル希釈などが発生することを防止するための対策である。
こうした予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷に対する着火性及び沸点の特性が得られるように、燃料を調整する。すなわち、最も低負荷側のA領域でも成層予混合気を形成させるため、ディーゼル軽質燃料を用いる。これは、高着火性(燃焼しやすい)かつ低沸点(気化しやすい)であるディーゼル軽質燃料であれば、低負荷状態でも着火しやすい成層予混合気を形成させることができると共に、低負荷状態でも燃料噴霧が直ぐに気化してシリンダ壁やピストン冠面にまで飛ぶことが無く、オイル希釈などが発生することを避けることができるためである。
一方、B領域及びC領域ではガソリンとディーゼル重質燃料との混合燃料を用いる。予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が上昇するほど着火性が低くなるようにガソリンの混合割合を増やしてゆき、C領域の高負荷側境界でガソリンの混合割合が100%(つまりガソリンのみ)となるようにする。このように予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が上昇するほどガソリンの混合割合を増やしてゆくのは、高負荷側になっても成層予混合気を維持させるには、低着火性(燃えにくい)の燃料であることが必要であるからである。
実際には、B領域の低負荷側の一部領域であるB1領域で、ディーゼル重質燃料に代えて、ディーゼル軽質燃料を用いている。これは、低負荷側でディーゼル重質燃料の混合割合が増加してくると、第2燃料噴射弁12から噴射された液滴が気化せずにシリンダ壁やピストン冠面ににまで飛んで付着する事態が生じ、こうした事態になると、別の問題(オイル希釈など)が生じることが考え得るので、気化しやすいディーゼル軽質燃料に代えることとしたものである。
B1領域の高負荷側の境界は、主噴射期の空気密度に基づいて判断する。すなわち、成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるための主噴射時期は圧縮上死点(TDC)よりも進角側にある。主噴射時期が早いことは燃焼室9内の空気密度が小さいことを意味し、燃焼室9内の空気密度が小さいと燃料噴霧は貫徹力(貫通度)によりシリンダ壁やピストン冠面まで飛んで付着する。一方、主噴射時期が遅れるほどピストン8の上昇によって燃焼室9内圧力が高くなりそのぶん燃焼室9内の空気密度が大きくなる。燃焼室9内の空気密度が大きくなれば燃料噴霧の貫徹力が弱まるため、燃料噴霧はシリンダ壁やピストン冠面まで飛んで付着しなくなる。従って、主噴射時期の空気密度及び燃料噴霧の貫徹力(これは第2燃料噴射弁12の仕様と噴射圧から決まる)からディーゼル重質燃料でも燃料噴霧がシリンダ壁やピストン冠面まで飛んで付着しない範囲の最低の負荷を予め求め、その求めた負荷をB1領域の高負荷側の境界として定める。
ガソリンの主噴射時期(図では「主噴射(ガソリン)」で表示)、ディーゼル燃料(A領域及びB1領域ではディーゼル軽質燃料、B1領域を除く残りのB領域及びC領域ではディーゼル重質燃料)の主噴射時期(図では「主噴射(ディーゼル)」で表示)はいずれも予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が大きくなるほど進角する特性である。この理由は後述するように、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が大きくなるほど多くなる主噴射燃料量(主噴射の燃料噴射量)に対して、目標とするクランク角で着火を開始させるためには、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が大きくなるほど早めに噴き始めないと主噴射燃料量の全てを噴き終えることができなくなるためである。また、B1領域を除く残りのB領域及びC領域でガソリンの主噴射時期を、ディーゼル重質燃料の主噴射時期より進角させている。これは、ガソリンのほうがディーゼル重質燃料よりも着火遅れが大きく、ガソリンとディーゼル重質燃料とで成層予混合気の着火開始タイミングを同じにするには、ガソリンの主噴射時期をディーゼル重質燃料の主噴射時期より進めることが必要であるためである。
次に、当量比制御を図6を参照して説明すると、図6は横軸に圧縮上死点(TDC)を中心とするクランク角を、縦軸に当量比を採ったときのD、E、Fの各場合の当量比変化を重ねて示している。ここで、Dはディーゼル軽質燃料を主噴射する場合を、Fはガソリンのみの燃料を主噴射する場合を示している。Eはディーゼル重質燃料とガソリンとの混合燃料を主噴射する場合を示している。実際には、第2燃料噴射弁12を用いるディーゼル重質燃料の主噴射時期と第1燃料噴射弁11を用いるガソリンの主噴射時期とは相違しているので、図6のEのように本来一つの主噴射時期で表すことはできないのであるが、ここでは、イメージとしてディーゼル軽質燃料の主噴射時期と、ガソリンのみの燃料の主噴射時期との間にくることを表している。
さて、成層予混合圧縮自己着火燃焼では、A、B、Cの領域に関係なく、着火開始時期を所定のクランク角位置、例えば図示のように圧縮上死点(TDC)より少し進角側の位置にする必要があり(着火開始時期はTDCより進角側にある場合に限定されるものでなく、TDCより遅角側のこともある)、着火開始時期に目標当量比が得られるようにしなければならない。着火遅れ期間は燃料の着火性が悪い(低着火性)ほど長くなるので、ディーゼル軽質燃料の主噴射時期が最も遅角側にあり、ディーゼル重質燃料及びガソリンの混合燃料の主噴射時期がディーゼル軽質燃料の主噴射時期よりも進角し、ガソリンのみの燃料の主噴射時期が最も進角している。ディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料及びガソリンの混合燃料、ガソリンのみの燃料の順に主噴射時期でのリッチ側への振れ量が大きくなっているが、これはガソリンのみの燃料の場合に着火遅れ期間が最も長くかつガソリンのみの燃料を主噴射するときの燃料噴射量が最も多いため気化して成層予混合気を作る燃料割合が大きいことを表している。
図7はピストン8中心軸に垂直な断面で燃焼室9を見た着火開始直前の予混合気分布をモデルで表している。D(ディーゼル軽質燃料を主噴射する場合)、E(ディーゼル重質燃料及びガソリンの混合燃料を主噴射する場合)、F(ガソリンのみの燃料を主噴射する場合)のいずれの場合にも燃焼室9内に成層予混合気が形成されている。すなわち、燃焼室9内に予混合気(成層予混合気)が存在するところと、予混合気が存在しないところとが存在する成層予混合気が形成されている。なお、D、E、Fの順に成層予混合気が広がっているのは、ディーゼル軽質燃料の場合、ディーゼル重質燃料及びガソリンの混合燃料の場合、ガソリンのみの燃料の場合の順に主噴射燃料量が多いためである。
図8は図6に示したディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料及びガソリンの混合燃料、ガソリンのみの燃料の3つの場合を、横軸のスケールを同じにして上下方向に並べたものである。図6では記載できなかったディーゼル重質燃料及びガソリンの混合燃料の主噴射時期を図8中段に記載している。すなわち、図8中段のE1は第1燃料噴射弁11を用いてガソリンを主噴射する場合を、E2は第2燃料噴射弁12を用いてディーゼル重質燃料を主噴射する場合を示している。E1で示したように、着火遅れ期間の長いガソリンは、燃料噴射量に応じて進角側のタイミングで燃料噴射する。
一方、ディーゼル重質燃料については、燃焼室9内の空気密度によって主噴射時期の進角限界が定まるので、この進角限界よりも遅角側のタイミングで主噴射を行う。ディーゼル重質燃料の主噴射時期が早すぎると、燃焼室9内の空気密度が小さいために燃料噴霧がシリンダ壁やピストン冠面まで飛んで付着し、燃料によるオイル希釈などの問題が発生する。一方、ディーゼル重質燃料の主噴射時期を遅らせていくと、ピストン8の上昇で燃焼室9内の空気密度が大きくなり、燃料噴霧の貫徹力(ペネトレーション)が弱まりシリンダ壁やピストン冠面まで飛ばなくなる。従って、シリンダ壁やピストン冠面への燃料付着が生じない範囲で最大の進角側主噴射時期となる空気密度が定まり、この空気密度での主噴射時期が、燃焼室9内の空気密度によって定まるディーゼル重質燃料の主噴射時期の進角限界である。
このように、B、C領域ではガソリンの主噴射時期をディーゼル重質燃料の主噴射時期よりも進角させることで、次の2つの効果が得られる。すなわち、ガソリン及びディーゼル重質燃料の混合燃料とすることで混合燃料の平均の着火遅れ期間をディーゼル重質燃料単独の場合より伸長させると共に、ガソリンの気化潜熱により燃焼室9内温度を低下させることによって着火遅れの短縮化を回避し、緩慢な熱発生を達成する(つまり成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる)ことができる。また、ディーゼル重質燃料を噴射することで、ディーゼル重質燃料の液滴のモーメンタムにより燃料噴霧が燃焼室9内に広がり、成層予混合気の均一化を促進することができる。
図9、図10、図11は第2実施形態で、第1実施形態の図5、図6、図7と置き換わるものである。また、図12、図13、図14は第3実施形態で、第1実施形態の図5、図6、図7と置き換わるものである。
第2実施形態は、第1実施形態に対して、図9、図10に示したように主噴射の後に副噴射を追加するものである。副噴射の目的は主噴射による着火を開始させるに際して、種火を形成することにより主噴射により形成される成層予混合気の着火を確実に行わせるためのものである。副噴射を行うことで、成層予混合気が着火を開始する前に図11に示したように副噴射による種火が6箇所で生じている。このように6箇所で副噴射による種火が生じるのは、第2燃料噴射弁12が、燃焼室9に向かって等間隔に6個の噴孔を有しているためである。副噴射の燃料としては主噴射に用いる燃料と同じ燃料を用いればよい。例えば、A領域及びB1領域ではディーゼル軽質燃料を用い、B1領域を除く残りのB領域及びC領域ではディーゼル重質燃料及びガソリンの混合燃料を用いる。副噴射の燃料噴射時期(以下「副噴射時期」という。)は図9第2段目に示したように、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が大きくなるほど進角させる。
第2実施形態は、副噴射の燃料として主噴射に用いる燃料と同じ燃料を用いたが、第3実施形態は、主噴射燃料とは関係なく独自の副噴射燃料を作り、この作った副噴射燃料を副噴射するものである。すなわち、図12第3段目、第4段目に示したように予混合圧縮自己着火燃焼領域における高負荷になるほど、主噴射燃料と相違して沸点が高くなり、かつ主噴射燃料と同様に予混合圧縮自己着火燃焼領域における高負荷になるほど着火性が低くなるものの主噴射燃料ほど着火性が低くならない特性が得られるようにディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料、ガソリンを用いて独自の副噴射燃料を作るようにする。
この場合、主噴射燃料と副噴射燃料とを同じ燃料噴射弁を用いて燃焼室9内に供給することは困難であるので、第3実施形態では、副噴射燃料を供給するための第3燃料噴射弁を燃焼室9に臨んで設け、副噴射燃料タンク内の副噴射燃料をポンプにより第3燃料噴射弁に向けて圧送させるように構成しておくと共に、エンジンコントローラ51により、副噴射時期になったタイミングで第3燃料噴射弁を開いて副噴射燃料を燃焼室9に噴射供給するようにする(図示しない)。
第3実施形態において、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が大きくなるほど副噴射燃料の沸点が高くなるようにしているのは、予混合圧縮自己着火燃焼領域における主噴射燃料量の増加に応じて燃焼室9内での成層予混合気が広がるのに対応し、副噴射による種火も燃焼室9内での成層予混合気の広がりに応じて第2燃料噴射弁の噴孔からより遠くで生じるようにするためである。すなわち、副噴射燃料の沸点が主噴射燃料よりも高いために、第2実施形態と副噴射時期は同じでも、副噴射の燃料噴霧は第2実施形態の副噴射の燃料噴霧よりも遠くまで液滴のまま飛ぶことになり、図14に示したように、副噴射による種火はDの場合よりもEの場合のほうが、Eの場合よりもFの場合のほうがピストン8中心より周囲に広がって生じている。このように、第3実施形態は、予混合圧縮自己着火燃焼領域における主噴射燃料量が増加するほど燃焼室9内に広がって形成される成層予混合気に応じた種火を与えるものである。言い換えると、着火源が予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷に応じて分散化するのであり、空間的着火性を向上させることができる。また、予混合圧縮自己着火燃焼領域における高負荷になるほど主噴射燃料ほど着火性が低くならないようにしたのは、主噴射燃料より先に副噴射燃料が着火するようにするためである。
図15、図16、図17、図18は第4実施形態で、第1実施形態の図4、図5、図6、図7と置き換わるものである。
第1から第3までの実施形態は、予混合圧縮自己着火燃焼領域で、ガソリン、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料の3つ燃料を用いて成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるものであったが、第4実施形態は、図15に示したように同じ予混合圧縮自己着火燃焼領域で、ガソリン、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料の3つ燃料を用いて均一予混合圧縮自己着火燃焼(図では「HCCI」で略記)を行わせるものである。
図5と図16とを比較すれば分かるように、成層予混合圧縮自己着火燃焼と均一予混合圧縮自己着火燃焼との燃焼形態の違いにも拘わらず、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷に対する沸点及び着火性の特性並びに主噴射燃料量の特性は同じである。成層予混合圧縮自己着火燃焼と均一予混合圧縮自己着火燃焼の燃焼形態の違いによって相違するのは、目標当量比と主噴射時期だけである。すなわち、燃焼室9の全体に均一な予混合気を形成させる場合に、目標当量比が一定であると、予混合圧縮自己着火燃焼領域における高負荷側でトルクが出ないので、均一予混合圧縮自己着火燃焼では予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が大きくなるほど目標当量比をリッチ側にしている(図16第5段目参照)。
また、燃焼室9の全体に均一な予混合気を形成させるには、成層予混合気を形成させる場合よりも主噴射時期を進角させる必要があり、A領域でのディーゼル軽質燃料の主噴射時期、B,C領域でのガソリンの主噴射時期、B,C領域でのディーゼル重質燃料及びガソリンの主噴射時期とも図5の場合より早くなっている(図16第2段目参照)。
また、均一予混合圧縮自己着火燃焼では図18に示したように、A領域、B領域、C領域の違いに関係なく均一な予混合気が燃焼室9の全体に広がる。この場合、特にA領域では、主噴射燃料が小さいために均一な予混合気はリーンな状態になっている。成層予混合圧縮自己着火燃焼では、燃焼室9の全体で平均すると成層予混合気の当量比はリーンになるものの、部分的に濃い成層予混合気が混在し、従って圧縮着火によりこの部分的に濃い成層予混合気が先に着火して燃焼が開始されるので、第1実施形態で説明したように、基本的に副噴射は不要である。一方、均一予混合圧縮自己着火燃焼では、燃焼室9の全体にわたって均一な予混合気を形成しなければならないのに特に低負荷のA領域では主噴射燃料量そのものが小さく、従ってリーンな均一予混合気しか形成し得ないので、着火源があることが好ましい。このため、均一予混合圧縮自己着火燃焼では図17に示したように副噴射を加えている。
副噴射時期は第2実施形態と同様の時期とし(図16第2段目、図17参照)、副噴射燃料としても第2実施形態の副噴射燃料と同様、つまり主噴射燃料と同じものものとする。このため、副噴射による種火は、図18に示したように第2実施形態と同様の場所に(局所的に)発生する。
このように、均一予混合圧縮自己着火燃焼では、副噴射を行わせることで、局所的に着火性が向上し、これによって均一予混合圧縮自己着火燃焼のリーン側燃焼限界を拡大できることとなる。
以上で、予混合圧縮自己着火燃焼についての基本的な説明を終える。
次に、図19、図20は第5、第6の実施形態で、図21に示した燃料供給装置であることを前提として、少なくともディーゼル軽質燃料の残量に基づき、ガソリンタンク13、ディーゼル軽質燃料タンク23、ディーゼル燃料第2タンク61に残留する3つの燃料の組合せと最適な燃焼形態とを決定するものである。このうち図19は運転条件がA領域にある場合の燃焼形態の決定方法を、図20は運転条件がB領域(ただしB1領域は無視する)かまたはC領域にある場合の燃焼形態の決定方法を示している。なお、図19、図20は処理の時間的流れを示すもので、一定時間毎に繰り返し実行するものでない。また、図20において図19と同一部分には同一のステップ番号を付している。
第1から第4までの実施形態では、ガソリン、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料の3つの燃料が不足することなく各タンク13、23、61に貯溜されていることを前提とするものであった。実際の運転では、特定の運転が多く行われることがあり得るので、ガソリン、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル重質燃料の3つの燃料のいずれもが不足する事態があり得る。従って、図4、図15に示した予混合圧縮自己着火燃焼領域で成層予混合圧縮自己着火燃焼や均一予混合圧縮自己着火燃焼を常に行うことができるとは限らない。そこで、第5、第6の実施形態では各タンク13、23、61に現在残っている燃料がどのくらいあるのかを確認しつつ、残っている燃料で可能な燃焼形態を決定し、その決定した燃焼を行わせることで燃焼が途切れることがないように、つまり車両の航続距離を最大化する。
具体的に運転条件がA領域にある場合の燃焼形態の決定方法を図19を参照して説明する。図19においてステップ1では、燃料残量センサ47により検出されるガソリンタンク13内のガソリン量Qgと基準値を比較する。基準値はガソリンタンク13にガソリンの給油が必要であるか否かを判定するための値で、予め定めておく。ガソリンタンク13内のガソリン量Qgが基準値未満であるときには、ステップ2に進みガソリンの給油が必要であるとの警告を出す(警告ランプを付ける)。
ガソリンタンク13内のガソリン量Qgが基準値以上であるときには、ステップ3、4に進み、燃料残量センサ48により検出されるディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowと第1、第2の基準値を比較する。ここで、2つの基準値は、ディーゼル軽質燃料タンク23内に残留するディーゼル軽質燃料量が大、中、小のいずれのランクにあるのかを判定するためのもので、第1基準値は第2基準値より大きい値としている。この結果、2つの基準値との比較により「大」、「中」、「小」の3つの場合に分けることができる。ここで、「大」とは、ディーゼル軽質燃料量が第1基準値より大きい場合、「中」とはディーゼル軽質燃料量が第1基準値以下で第2基準値より大きい場合、「小」とはディーゼル軽質燃料量が第2基準値以下である場合を表す。「大」、「中」、「小」の3つに区分けするための第1、第2の基準値は予め適合により定めておく。
ディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowが第1基準値を超えていれば、「大」の場合である、つまりディーゼル軽質燃料は十分あると判断してステップ5に進み、ディーゼル軽質燃料を用いて成層予混合圧縮自己着火燃焼あるいは均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる。
具体的には図21において開閉弁41を全閉としてディーゼル重質燃料の供給を遮断し、開閉弁38を開きディーゼル軽質燃料を第2燃料噴射弁12に供給し、第2燃料噴射弁12を主噴射時期に開いてディーゼル軽質燃料を噴射供給する。副噴射を行う場合には、主噴射時期の後の副噴射時期にも第2燃料噴射弁12を開く。主噴射燃料量の調整は、主噴射期間で行う。
ディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowが第1基準値以下でかつ第2基準値を超えているときには、「中」の場合である、つまりディーゼル軽質燃料タンク23内に残留しているディーゼル軽質燃料は少し足りない程度であると判断してステップ6に進み、ディーゼル軽質燃料の消費を抑制するため、ガソリンとディーゼル軽質燃料とを用いて均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる。すなわち、ディーゼル軽質燃料の一部をガソリンで代えて用いる。
具体的には図21において開閉弁41を全閉としてディーゼル重質燃料の供給を遮断し、開閉弁38を開きディーゼル軽質燃料を第2燃料噴射弁12に供給し、第2燃料噴射弁12を主噴射時期に開いてディーゼル重質燃料を噴射供給する。副噴射を行う場合には、主噴射時期の後の副噴射時期にも第2燃料噴射弁12を開く。一方、第1燃料噴射弁11を主噴射時期に開いてガソリンを噴射供給する。副噴射を行う場合には、主噴射時期の後の副噴射時期にも第1燃料噴射弁11を開く。
ディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowが第2基準値以下であるときには、「小」の場合である、つまりディーゼル軽質燃料タンク23内に残留しているディーゼル軽質燃料は不足する、従ってそのままではディーゼル軽質燃料を用いて成層予混合圧縮自己着火燃焼や均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることができないと判断してステップ7に進み、燃料残量センサ49により検出されるディーゼル燃料第2タンク61内のディーゼル重質燃料量Qdhighと基準値を比較する。基準値はディーゼル燃料第2タンク61内に残留するディーゼル重質燃料が十分あるか否かを判定するための値で、予め適合により定めておく。ディーゼル重質燃料量Qdhighが基準値未満であれば、ディーゼル重質燃料が不足すると判断してステップ8に進み、ディーゼル重質燃料は使わず、ガソリンを供給して点火プラグで着火する火炎伝播燃焼(図では「SI」で略記)を行わせる。
具体的には図21において第1燃料噴射弁11を所定の燃料噴射時期に開いてガソリンを噴射供給する。この所定の燃料噴射時期は吸気行程や圧縮行程にあればよい。
ディーゼル燃料第2タンク61内のディーゼル重質燃料量Qdhighが基準値以上であるときには、ディーゼル重質燃料が十分あると判断してステップ9に進む。
ステップ9以降は、成層予混合圧縮自己着火燃焼や均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるほどディーゼル軽質燃料が残っていない場合の対策である。すなわち、ステップ9ではディーゼル燃料第2タンク61内に残留するディーゼル重質燃料を常閉の開閉弁27を開き通路26を介し分留器19に導くと共に、分留器19の分留温度(設定沸点)を高温側にシフト(変更)して再分留し、分留して得られるディーゼル軽質燃料を通路21を介してディーゼル軽質燃料タンク23に貯溜する。残りのディーゼル重質燃料は通路22を介してディーゼル燃料第2タンク61に戻す。これは、ディーゼル燃料第2タンク61内に多く残っているディーゼル重質燃料からディーゼル軽質燃料を絞り出すことを意図するものである。分留器19により再分留を行わせる期間は簡単には一定時間でよい。
このようにして分留器19により再分留してディーゼル軽質燃料を絞り出した後に、ステップ10で燃料残量センサ48により検出されるディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowと第2基準値を再び比較する。ディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowが第2基準値を超えている、つまりディーゼル軽質燃料を絞り出すことができていればディーゼル軽質燃料を少しは用いることができると判断し、ステップ11に進みガソリンとディーゼル軽質燃料とを用いて公知の低温予混合燃焼(図では「MK」で略記)を行わせる。
具体的には図21において開閉弁41を全閉としてディーゼル重質燃料の供給を遮断し、開閉弁38を開きディーゼル軽質燃料を第2燃料噴射弁12に供給し、第2燃料噴射弁12を所定の燃料噴射時期に開いてディーゼル軽質燃料を噴射供給する。一方、第1燃料噴射弁12を所定の燃料噴射時期に開いてガソリンを噴射供給する。ここで、所定の各燃料噴射時期は圧縮上死点後に設定されている。また、燃焼室9内ガスの酸素濃度が小さくなるように大量のEGRや吸気絞り、排気絞りを行う。
ここで、低温予混合燃焼は、大量のEGRを行うこと等で燃焼室9内ガスの酸素濃度を低下させた状態で、着火遅れ期間を燃料噴射期間より長期化するため燃料噴射時期を圧縮上死点後とするもので、これによってNOxとパティキュレートを共に低減できる。
一方、ディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowが第2基準値以下であるときには、ディーゼル軽質燃料を絞り出すことができていないためにディーゼル軽質燃料とガソリンだけでは低温予混合燃焼を行わせることができない、従ってディーゼル重質燃料をも用いる必要があると判断し、ステップ12に進みガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル重質燃料とを用いて公知の低温予混合燃焼を行わせる。
具体的には図21において開閉弁41開きディーゼル重質燃料を第2燃料噴射弁12に供給すると共に、開閉弁38を開きディーゼル軽質燃料を第2燃料噴射弁12に供給し、第2燃料噴射弁12を所定の燃料噴射時期に開いてディーゼル軽質燃料及びディーゼル重質燃料の混合燃料を噴射供給する。一方、第1燃料噴射弁11を所定の燃料噴射時期に開いてガソリンを噴射供給する。ここで、所定の各燃料噴射時期は圧縮上死点後に設定されている。また、燃焼室9内ガスの酸素濃度が小さくなるように大量のEGRや吸気絞り、排気絞りを行う。
次に、運転条件がB領域またはC領域にある場合の燃焼形態の決定方法を図20を参照して説明する。ここでは、図19と相違する部分を主に説明する。図19と相違する部分はステップ21〜24のみである。
図20においてステップ21では燃料残量センサ48により検出されるディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowと第3基準値を比較する。ここで、第3基準値は、上記の第1基準値よりも大きな値を設定している。ディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowが第3基準値を超えていれば、ディーゼル軽質燃料があり余っていると判断してステップ22に進み、ガソリンと、ディーゼル重質燃料と、ディーゼル軽質燃料とを用いて、均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる。
B領域またはC領域では、ガソリン及びディーゼル重質燃料の混合燃料を用いて成層予混合圧縮自己着火燃焼や均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるのが原則であるが、ディーゼル軽質燃料があり余っているので、余っているディーゼル軽質燃料をガソリンに代えて用いるものである。また、余っているディーゼル軽質燃料をガソリンに代えて用いるとしても、ディーゼル軽質燃料はガソリンよりも着火性が高い(着火しやすい)ので、成層予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることは困難であることが考えられる。この点、成層予混合気よりも燃焼室の全体にわたる均一な予混合気のほうが形成させ易いので、成層予混合圧縮自己着火燃焼はやめて均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる。ディーゼル軽質燃料をガソリンに代えて用いることでガソリンの消費を抑えることができる。
具体的には図21において開閉弁41開きディーゼル重質燃料を第2燃料噴射弁12に供給すると共に、開閉弁38を開きディーゼル軽質燃料を第2燃料噴射弁12に供給し、第2燃料噴射弁12を所定の主噴射時期に開いてディーゼル軽質燃料及びディーゼル重質燃料の混合燃料を噴射供給する。一方、第1燃料噴射弁11を所定の主噴射時期に開いてガソリンを噴射供給する。ここで、所定の各燃料噴射時期は均一予混合圧縮自己着火燃焼が行われるように適合により予め定めておく。
ディーゼル燃料第2タンク61内のディーゼル重質燃料からディーゼル軽質燃料を絞り出した後のステップ10で、燃料残量センサ48により検出されるディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowが第2基準値以下であるときにはステップ23に進み、ガソリンを供給して点火プラグで着火する火炎伝播燃焼(図では「SI」で略記)を行わせる。これは、高負荷側のB、C領域になると公知の低温予混合燃焼を行わせることができないので、低温予混合燃焼に代えて点火プラグで着火する火炎伝播燃焼とするものである。
具体的には図21において第1燃料噴射弁11を所定の燃料噴射時期に開く。この所定の燃料噴射時期は、吸気行程や圧縮行程にあればよい。
一方、ステップ10で燃料残量センサ48により検出されるディーゼル軽質燃料タンク23内のディーゼル軽質燃料量Qdlowが第2基準値を超えているときにはステップ24に進み、ガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル重質燃料とを用いて均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる。これは、絞り出したディーゼル軽質燃料をガソリンに代えて用いることでガソリンの消費を低減するようにしたものである。
具体的には図21において開閉弁41開きディーゼル重質燃料を第2燃料噴射弁12に供給すると共に、開閉弁38を開きディーゼル軽質燃料を第2燃料噴射弁12に供給し、第2燃料噴射弁12を所定の主噴射時期に開いてディーゼル軽質燃料及びディーゼル重質燃料の混合燃料を噴射供給する。副噴射を行う場合には、主噴射時期の後の副噴射時期にも第2燃料噴射弁12を開く。一方、第1燃料噴射弁11を所定の主噴射時期に開いてガソリンを噴射供給する。副噴射を行う場合には、主噴射時期の後の副噴射時期にも第1燃料噴射弁11を開く。ここで、所定の各燃料噴射時期は均一予混合圧縮自己着火燃焼が行われるように適合により予め定めておく。
ここで、上記第1から第6までの実施形態をまとめて本実施形態とし、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態(請求項1から11までのいずれか一つに記載の発明)によれば予混合圧縮自己着火燃焼が成立する着火性の制御レンジを拡大することができる。すなわち、分離装置(19)によって燃料の沸点の幅を拡げ、沸点の異なる燃料を負荷に応じて使い分けることにより、燃焼不良(自着火できずに失火すること)や性能低下(シリンダボアへの燃料付着が原因で起きる未燃HC排出による排気悪化やオイル希釈による潤滑性能低下)を抑制しながら、予混合圧縮自己着火燃焼を実行できる運転条件(負荷範囲)を拡大することができる。
本実施形態(請求項12に記載の発明)によれば、ガソリン(相対的に自着火性の低い低自着火性かつ相対的に沸点の低い低沸点の第1燃料)と、ディーゼル燃料(ガソリンより相対的に自着火性の高い高自着火性かつ相対的に沸点の高い高沸点の第3燃料)と、このディーゼル燃料を、ディーゼル軽質燃料(自着火性がガソリンよりも高くかつ沸点がガソリンよりも高くディーゼル燃料よりも低い第2燃料)と、ディーゼル重質燃料(自着火性がガソリンよりも高くかつ沸点がディーゼル軽質燃料よりも高い第4燃料)に分離する分留器19(燃料燃料分離手段)と、ディーゼル重質燃料をディーゼル燃料に混合して新たなディーゼル燃料(第3燃料)とするディーゼル燃料第2タンク61(燃料混合手段)と、ガソリン、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル燃料(ディーゼル重質燃料が混合される前のディーゼル燃料、ディーゼル重質燃料が混合された後のディーゼル燃料のいずれでもかまわない)を燃焼室9に供給する燃料噴射弁11、12(燃料供給手段)と、ディーゼル軽質燃料の残量を検出する燃料残量センサ48(第2燃料残量検出手段)とを備えたエンジンであって、少なくともディーゼル軽質燃料の残量に基づき、燃焼室9に供給するガソリン、ディーゼル軽質燃料、ディーゼル燃料の組合せと燃焼形態を決めるので、低負荷側のかなりの運転領域で予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることができることとなった。
本実施形態(請求項13に記載の発明)によれば、低負荷側の領域を予混合圧縮自己着火燃焼領域として予め設定し、この設定した予混合圧縮自己着火燃焼領域をさらに低負荷側のA領域(第1領域)と高負荷側のB、C領域(第2領域)とに分割し、ディーゼル軽質燃料(第2燃料)の残量が第1基準値より大きく運転条件がA領域にある場合に、ディーゼル軽質燃料を供給して予混合気を形成し、予混合圧縮自己着火燃焼(成層予混合圧縮自己着火燃焼または均一予混合圧縮自己着火燃焼)を行わせ、またディーゼル軽質燃料の残量が第1基準値より大きく運転条件がB、C領域にある場合に、ガソリン(第1燃料)とディーゼル燃料(第3燃料)を供給してガソリンとディーゼル燃料の中間の着火性を有する予混合気を形成し、予混合圧縮自己着火燃焼(成層予混合圧縮自己着火燃焼または均一予混合圧縮自己着火燃焼)を行わせるようにしている(図19のステップ3、5、図20ステップ3、5参照)。B、C領域と比較して燃焼室9内の温度、圧力が低いA領域においては、ディーゼル軽質燃料を使用するので、ピストン冠面への燃料付着、燃料によるオイル希釈などの跳ね返りなく予混合圧縮自己着火燃焼に最適な着火性を確保できる。一方、B、C領域でもディーゼル軽質燃料を供給したのでは、燃焼室9のガス密度、温度がA領域と比較して高くなり、ディーゼル軽質燃料は噴射後早期にガス化するため、十分な混合時間が得られず、局所濃度の高い混合気が形成される結果、予混合圧縮自己着火燃焼が成立しなかったり排気性能が悪くなるのであるが、B、C領域においては、ガソリンとディーゼル燃料を使用するので、両者の混合比で着火性を制御することが可能となり、急峻な燃焼を抑えて燃焼騒音を抑制すると共に低エミッション(超低NOx)を実現できる。
本実施形態(請求項14に記載の発明)によれば、ディーゼル軽質燃料の残量が第1基準値以下で運転条件がA領域(第1領域)にある場合に、ガソリンとディーゼル軽質燃料を供給してガソリンとディーゼル軽質燃料の中間の着火性を有する均一な予混合気を燃焼室9の全体に形成し、均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる(図19のステップ3、6参照)ので、ガソリンとディーゼル軽質燃料の燃料タンク13、23の残量を平均化するとともに、燃費への跳ね返りの少ない均一予混合圧縮自己着火燃焼を実現することが可能となり、これによってタンク13、23に残留しているガソリンとディーゼル軽質燃料に対する航続距離を最大化することができる。
本実施形態(請求項15に記載の発明)によれば、分留器19は設定沸点を変更可能であり、ディーゼル軽質燃料の残量が第1基準値より小さな第2基準値以下でありかつディーゼル燃料が基準値以上でありかつ運転条件がB領域またはC領域にある場合に、分留器19の設定沸点を高沸点側へ変更して、ディーゼル燃料をディーゼル軽質燃料とディーゼル重質燃料に再分離し、ディーゼル燃料第2タンク61(燃料混合手段)により、この再分離したディーゼル重質燃料をディーゼル燃料に混合して新たなディーゼル燃料とする(図19のステップ7、9、図20のステップ7、9参照)ので、ディーゼル燃料からディーゼル軽質燃料を絞り出すことが可能となり、これによってディーゼル軽質燃料に対する航続距離を最大化することができる。
本実施形態(請求項16に記載の発明)によれば、再分離後のディーゼル軽質燃料の残量が第2基準値より大きく運転条件がA領域にある場合に、再分離後のディーゼル軽質燃料とガソリンを圧縮上死点後に供給してガソリンとディーゼル軽質燃料の中間の着火性を有する低温予混合気を形成し、低温予混合燃焼を行わせる(図19のステップ10、11参照)ので、ガソリンとディーゼル軽質燃料の燃料タンク13、23の残量を平均化するとともに、予混合圧縮自己着火燃焼の次に燃費への跳ね返りの少ない低温予混合燃焼を実現することが可能となり、これによってタンク13、23に残留しているガソリンとディーゼル軽質燃料に対する航続距離を最大化することができる。
本実施形態(請求項17に記載の発明)によれば、再分離後のディーゼル軽質燃料の残量が第2基準値以下であり運転条件がA領域にある場合に、再分離後のディーゼル軽質燃料)とガソリンとディーゼル燃料とを圧縮上死点後に供給してガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料の中間の着火性を有する低温予混合気を形成し、低温予混合燃焼を行わせる(図19のステップ10、12参照)ので、ガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料の燃料タンク13、23、61の残量を平均化するとともに、予混合圧縮自己着火燃焼の次に燃費への跳ね返りの少ない低温予混合燃焼を実現することが可能となり、これによってタンク13、23、61に残留しているガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料に対する航続距離を最大化することができる。
本実施形態(請求項18に記載の発明)によれば、燃焼室9の混合気に対して着火し得る点火装置を備え、ディーゼル軽質燃料の残量が第2基準値以下でかつディーゼル燃料の残量が基準値未満であり運転条件がA領域またはB、C領域にある場合に、ガソリンを供給して燃焼室内に混合気を形成しこの混合気に点火装置で着火し火炎伝播燃焼を行わせる(図19のステップ4、7、8、図20のステップ4、7、8参照)ので、予混合圧縮自己着火燃焼領域の全域において着火性の高い燃料であるディーゼル軽質燃料の残量が第2基準値以下と少ないときにも、燃焼を成立させることができる。
本実施形態(請求項19に記載の発明)によれば、再分離後のディーゼル軽質燃料の残量が第2基準値より大きく運転条件がB、C領域にある場合に、再分離後のディーゼル軽質燃料とガソリンとディーゼル燃料とを供給すると共に、ガソリンの供給割合を減らしその減らした分をディーゼル軽質燃料で補填し、ガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料との中間の着火性を有する均一予混合気を燃焼室9の全体に形成し、均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる(図20のステップ10、24参照)ので、ガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料のタンク13、23、61の残量を平均化するとともに、均一予混合圧縮自己着火燃焼を実現することが可能となり、これによってガソリンの消費を抑えつつタンク13、23、61に残留しているガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料に対する航続距離を最大化することができる。
本実施形態(請求項20に記載の発明)によれば、燃焼室9の混合気に対して着火し得る点火装置を備え、再分離後のディーゼル軽質燃料の残量が第2基準値以下であり運転条件がB、C領域にある場合に、ガソリンを供給して燃焼室内に混合気を形成しこの混合気に点火装置で着火し火炎伝播燃焼を行わせる(図20のステップ10、24参照)ので、
B、C領域において着火性の高い燃料であるディーゼル軽質燃料の残量が第2基準値以下と少ないときにも、燃焼を成立させることができる。
本実施形態(請求項21に記載の発明)によれば、ディーゼル軽質燃料の残量が第1基準値より大きな第3基準値より大きく運転条件がB、C領域にある場合に、ガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料を供給すると共に、ガソリンの供給割合を減らしその減らした分をディーゼル軽質燃料で補填し、ガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料との中間の着火性を有する均一予混合気を燃焼室9の全体に形成し、均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる(図20のステップ21、22参照)ので、ガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料のタンク13、23、61の残量を平均化するとともに、均一予混合圧縮自己着火燃焼を実現することが可能となり、これによってガソリンの消費を抑えつつタンク13、23、61に残留しているガソリンとディーゼル軽質燃料とディーゼル燃料に対する航続距離を最大化することができる。
予混合圧縮自己着火燃焼において、均一な予混合気を燃焼室9の全体に形成する場合には、予混合圧縮自己着火燃焼領域おける負荷が大きくなるほど予混合気の当量比を大きくする必要があり、その分、供給する燃料量が多くなるのであるが、本実施形態(請求項22に記載の発明)によれば、予混合気は燃焼室に予混合気の存在する部分と存在しない部分とがある成層予混合気であるので、予混合圧縮自己着火燃焼領域の全域で燃焼室全体の予混合気の当量比を一定に保つことが可能となり、均一な予混合気を燃焼室9の全体に形成する場合より燃料消費を抑えることができる。
本実施形態(請求項23に記載の発明)によれば、燃料供給手段は燃焼室9天井にあって燃料を燃焼室9に向けて等間隔で噴射し得る複数の噴孔を有する燃料噴射弁11、12であり、この燃料噴射弁11、12を用いて予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるための燃料噴射を主噴射として行わせると共に、この主噴射によって形成される予混合気の着火開始の前に副噴射を行うので、副噴射による混合気が燃焼室9内で複数の種火となって燃焼を開始することから、着火制御性を向上できる。
成層予混合気は予混合圧縮自己着火燃焼領域おける負荷が大きくなるほど燃焼室9内に広がる範囲が拡大してゆくのであるが、本実施形態(請求項24に記載の発明)によれば、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が大きくなるほど副噴射による燃料噴霧が燃焼室9内をより遠くまで飛ぶように副噴射用の燃料を調整するので、予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷に応じて燃焼室9内に広がる成層予混合気に合わせて着火源を分散化することが可能となり、空間的着火性を向上できる。
本実施形態(請求項26に記載の発明)によれば、燃料供給手段は燃焼室9天井にあって燃料を燃焼室9に向けて等間隔で噴射し得る複数の噴孔を有する燃料噴射弁11、12であり、この燃料噴射弁11、12を用いて予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるための燃料噴射を主噴射として行わせると共に、この主噴射によって形成される予混合気の着火開始の前に副噴射を行うので、副噴射による混合気が燃焼室9内で複数の種火となって燃焼を開始することから、着火制御性を向上できる。
本実施形態(請求項27に記載の発明)によれば、B、C領域における負荷が大きくなるほどガソリンの供給割合を増やすので、B、C領域における負荷が大きくなるほどガソリンによる燃料噴霧の貫徹力が増大し、B、C領域における負荷が大きくなっても、着火性の高い予混合気を形成することができる。
本実施形態(請求項28に記載の発明)によれば、燃焼形態は、燃料を圧縮上死点前に供給して予混合気を形成する予混合圧縮自己着火燃焼、燃焼室内のガスの酸素濃度を低下させると共に燃料を圧縮上死点後に供給して低温予混合気を形成する低温予混合燃焼、燃料を点火装置で着火して燃焼させる火炎伝播燃焼のいずれかであるので、
タンク13、23、61に残留しているガソリンと、ディーゼル軽質燃料と、ディーゼル燃料とを用いて途切れることなく燃焼を行わせることができる。
本実施形態(請求項29に記載の発明)によれば、第1燃料はガソリン、第2燃料はディーゼル軽質燃料、第3燃料はディーゼル燃料、第4燃料はディーゼル重質燃料であるので、ガソリンと、ディーゼル軽質燃料と、ディーゼル燃料とを用いて予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることができる。
実施形態では、第2燃料噴射弁12をディーゼル重質燃料とディーゼル軽質燃料とに共用する場合で説明したが、ディーゼル重質燃料用の燃料噴射弁と、ディーゼル軽質燃料用の燃料噴射弁とを別々に設けるようにしてかまわない。
11 第1燃料噴射弁(燃料供給手段)
12 第2燃料噴射弁(燃料供給手段)
13 ガソリンタンク
16 ディーゼル燃料タンク
19 分留器(燃料分離手段)
23 ディーゼル軽質燃料タンク
24 ディーゼル重質燃料タンク
48 残量センサ(第2燃料残量検出手段)
51 エンジンコントローラ
61 ディーゼル燃料第2タンク(燃料混合手段)

Claims (29)

  1. 燃料を高沸点成分と低沸点成分とに分離可能な分離装置を具備し、
    前記分離装置により、高自着火性かつ高沸点の燃料である第2燃料を、低自着火性かつ低沸点の燃料である第1燃料の沸点より沸点が高い範囲で相対的に低沸点の、高自着火性かつ低沸点の燃料である第1分離燃料と、第1燃料の沸点より沸点が高い範囲で相対的に高沸点の、高自着火性かつ高沸点の燃料である第2分離燃料とに分離し、
    低負荷において、第1分離燃料を供給し、
    高負荷において、第1燃料と、第2燃料または第2分離燃料と、を供給することを特徴とするエンジン。
  2. 前記低負荷において、前記第1分離燃料の均質予混合気による圧縮自己着火燃焼を行なうことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
  3. 高自着火性の燃料を直接燃焼室内に噴射する噴射弁を備え、
    前記低負荷において、圧縮自己着火に至らない程度に希薄な前記第1分離燃料の均質予混合気を形成した後、高自着火性の燃料を前記噴射弁より直接燃焼室内に噴射することにより着火源となる混合気を形成し、自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
  4. 前記着火源となる混合気を形成する高自着火性の燃料は、前記第2燃料または前記第2分離燃料であることを特徴とする請求項3に記載のエンジン。
  5. 前記高負荷において、負荷が高くなるにつれて、高自着火性かつ高沸点の燃料に対する低自着火性且つ低沸点の燃料の噴射割合を増大させることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の内燃機関。
  6. 前記高負荷において、前記第1燃料と、前記第2燃料または前記第2分離燃料とによる、均質予混合気による圧縮自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項5に記載のエンジン。
  7. 高自着火性かつ高沸点の燃料を直接燃焼室内に噴射する噴射弁を備え、
    前記高負荷において、前記第1燃料と、前記第2燃料または前記第2分離燃料とによる、圧縮自己着火に至らない程度に希薄な均質予混合気を形成した後、前記第2燃料または前記第2分離燃料を前記噴射弁より直接燃焼室内に噴射することにより着火源となる混合気を形成し、自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項5に記載のエンジン。
  8. 低自着火性かつ低沸点の燃料および高自着火性かつ高沸点の燃料を直接燃焼室内に噴射する噴射弁を備え、
    前記高負荷において、前記第1燃料と、前記第2燃料または前記第2分離燃料とによる、圧縮自己着火に至らない程度に希薄な均質予混合気を形成した後、前記第1燃料および前記第2燃料または前記第2分離燃料を前記噴射弁より直接燃焼室内に噴射することにより着火源となる混合気を形成し、自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項5に記載のエンジン。
  9. 高自着火性かつ高沸点の燃料を直接燃焼室内に噴射する噴射弁を備え、
    前記高負荷において、前記第1燃料による、圧縮自己着火に至らない程度に希薄な均質予混合気を形成した後、高自着火性かつ高沸点の燃料を前記噴射弁より直接燃焼室内に噴射することにより、自着火性が中間の着火源となる混合気を形成し、自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載のエンジン。
  10. 高自着火性かつ高沸点の燃料を直接燃焼室内に噴射する噴射弁を備え、
    前記高負荷において、前記第1燃料による、圧縮自己着火に至らない程度に希薄な均質予混合気を形成した後、高自着火性かつ高沸点の燃料を前記噴射弁より直接燃焼室内に噴射することにより、自着火性が中間でかつ圧縮自己着火に至らない程度に希薄な混合気を形成し、さらに高自着火性かつ高沸点の燃料を前記噴射弁より直接燃焼室内に噴射することにより、着火源となる混合気を形成し、自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載のエンジン。
  11. 低自着火性かつ低沸点の燃料を直接燃焼室内に噴射する第1噴射弁と、
    高自着火性かつ高沸点の燃料を直接燃焼室内に噴射する第2噴射弁とを備え、
    前記高負荷において、前記第1燃料による、圧縮自己着火に至らない程度に希薄な均質予混合気を形成した後、高自着火性かつ高沸点の燃料を前記第2噴射弁より直接燃焼室内に噴射することにより、自着火性が中間でかつ圧縮自己着火に至らない程度に希薄な混合気を形成し、さらに高自着火性かつ高沸点の燃料および低自着火性かつ低沸点の燃料を前記第1、第2の噴射弁より直接燃焼室内に噴射することにより、着火源となる混合気を形成し、自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載のエンジン。
  12. 相対的に自着火性の低い低自着火性かつ相対的に沸点の低い低沸点の第1燃料と、
    前記第1燃料より相対的に自着火性の高い高自着火性かつ相対的に沸点の高い高沸点の第3燃料と、
    この第3燃料を、自着火性が前記第1燃料よりも高くかつ沸点が前記第1燃料よりも高く前記第3燃料よりも低い第2燃料と、自着火性が前記第1燃料よりも高くかつ沸点が前記第2燃料よりも高い第4燃料に分離する燃料分離手段と、
    この第4燃料を前記第3燃料に混合して新たな第3燃料とする燃料混合手段と、
    前記第1燃料、前記第2燃料、前記第3燃料を燃焼室に供給する燃料供給手段と、
    前記第2燃料の残量を検出する第2燃料残量検出手段と、
    を備えたエンジンであって、
    少なくとも前記第2燃料の残量に基づき、前記燃焼室に供給する第1燃料、第2燃料、第3燃料の組合せと燃焼形態を決めることを特徴とするエンジン。
  13. 低負荷側の領域を予混合圧縮自己着火燃焼領域として予め設定し、この設定した予混合圧縮自己着火燃焼領域をさらに低負荷側の第1領域と高負荷側の第2領域とに分割し、
    前記第2燃料の残量が第1基準値より大きく運転条件が前記第1領域にある場合に、前記第2燃料を供給して予混合気を形成し、予混合圧縮自己着火燃焼を行わせ、また前記第2燃料の残量が第1基準値より大きく運転条件が前記第2領域にある場合に、前記第1燃料と前記第3燃料を供給して第1燃料と第3燃料の中間の着火性を有する予混合気を形成し、予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項12に記載のエンジン。
  14. 前記第2燃料の残量が前記第1基準値以下で運転条件が前記第1領域にある場合に、前記第1燃料と前記第2燃料を供給して第1燃料と第2燃料の中間の着火性を有する均一予混合気を燃焼室の全体に形成し、均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項12に記載のエンジン。
  15. 前記燃料分離手段は設定沸点を変更可能であり、
    前記第2燃料の残量が前記第1基準値より小さな第2基準値以下でありかつ前記第3燃料が基準値以上でありかつ運転条件が前記第1領域または第2領域にある場合に、前記燃料分離手段の設定沸点を高沸点側へ変更して、前記第3燃料を前記第2燃料と前記第4燃料に再分離し、前記燃料混合手段により、この再分離した第4燃料を第3燃料に混合して新たな第3燃料とすることを特徴とする請求項12に記載のエンジン。
  16. 前記再分離後の第2燃料の残量が前記第2基準値より大きく運転条件が前記第1領域にある場合に、前記再分離後の第2燃料と前記第1燃料を圧縮上死点後に供給して第1燃料と第2燃料の中間の着火性を有する低温予混合気を形成し、低温予混合燃焼を行わせることを特徴とする請求項15に記載のエンジン。
  17. 前記再分離後の第2燃料の残量が前記第2基準値以下であり運転条件が前記第1領域にある場合に、前記再分離後の第2燃料と前記第1燃料と第3燃料とを圧縮上死点後に供給して第1燃料と第2燃料と第3燃料の中間の着火性を有する低温予混合気を形成し、低温予混合燃焼を行わせることを特徴とする請求項15に記載のエンジン。
  18. 燃焼室の混合気に対して着火し点火装置を備え、
    前記第2燃料の残量が前記第2基準値以下でかつ前記第3燃料の残量が基準値未満であり運転条件が前記第1領域または第2領域にある場合に、前記第1燃料を供給して燃焼室内に混合気を形成しこの混合気に前記点火装置で着火し火炎伝播燃焼を行わせることを特徴とする請求項12に記載のエンジン。
  19. 前記再分離後の第2燃料の残量が前記第2基準値より大きく運転条件が前記第2領域にある場合に、前記再分離後の第2燃料と前記第1燃料と前記第3燃料とを供給すると共に、第1燃料の供給割合を減らしその減らした分を第2燃料で補填し、第1燃料と第2燃料と第3燃料との中間の着火性を有する均一予混合気を燃焼室の全体に形成し、均一予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項15に記載のエンジン。
  20. 前記燃焼室の混合気に対して着火し得る点火装置を備え、
    前記再分離後の第2燃料の残量が前記第2基準値以下であり運転条件が前記第2領域にある場合に、前記第1燃料を供給して燃焼室内に混合気を形成しこの混合気に前記点火装置で着火し火炎伝播燃焼を行わせることを特徴とする請求項15に記載のエンジン。
  21. 前記第2燃料の残量が前記第1基準値より大きな第3基準値より大きく運転条件が前記第2領域にある場合に、前記第1燃料と前記第2燃料と前記第3燃料を供給すると共に、第1燃料の供給割合を減らしその減らした分を第2燃料で補填し、第1燃料と第2燃料と第3燃料との中間の着火性を有する均一予混合気を燃焼室の全体に形成し、予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることを特徴とする請求項12に記載のエンジン。
  22. 前記予混合気は燃焼室に予混合気の存在する部分と存在しない部分とがある成層予混合気であることを特徴とする請求項13に記載のエンジン。
  23. 前記燃料供給手段は燃焼室天井にあって燃料を燃焼室に向けて等間隔で噴射し得る複数の噴孔を有する燃料噴射弁であり、
    この燃料噴射弁を用いて前記予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるための燃料噴射を主噴射として行わせると共に、この主噴射によって形成される予混合気の着火開始の前に副噴射を行うことを特徴とする請求項22に記載のエンジン。
  24. 前記予混合圧縮自己着火燃焼領域における負荷が大きくなるほど前記副噴射による燃料噴霧が燃焼室内をより遠くまで飛ぶように副噴射用の燃料を調整することを特徴とする請求項23に記載のエンジン。
  25. 前記予混合気は燃焼室の全体に広がる均一な予混合気であることを特徴とする請求項123に記載のエンジン。
  26. 前記燃料供給手段は燃焼室天井にあって燃料を燃焼室に向けて等間隔で噴射し得る複数の噴孔を有する燃料噴射弁であり、
    この燃料噴射弁を用いて前記予混合圧縮自己着火燃焼を行わせるための燃料噴射を主噴射として行わせると共に、この主噴射によって形成される予混合気の着火開始の前に副噴射を行うことを特徴とする請求項25に記載のエンジン。
  27. 前記第2領域における負荷が大きくなるほど前記第1燃料の供給割合を増やすことを特徴とする請求項13に記載のエンジン。
  28. 前記燃焼形態は、燃料を圧縮上死点前に供給して予混合気を形成する予混合圧縮自己着火燃焼、燃焼室内のガスの酸素濃度を低下させると共に燃料を圧縮上死点後に供給して低温予混合気を形成する低温予混合燃焼、燃料を点火装置で着火して燃焼させる火炎伝播燃焼のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載のエンジン。
  29. 前記第1燃料はガソリン、前記第2燃料はディーゼル軽質燃料、前記第3燃料はディーゼル燃料、前記第4燃料はディーゼル重質燃料であることを特徴とする請求項13に記載のエンジン。
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