JP2010215985A - 高炉の炉底ブロックの交換方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 操業時の位置で上部炉体を保持し上部炉体と基礎との間に所定の搬入間隔を確保する保持工程(S2〜S5)と、設置現場とは別の作業現場で搬入間隔よりも小さい高さの炉底ブロックを製造する製造工程S10と、製造工程で製造された炉底ブロックを上部炉体の下方に搬入する搬入工程S6と、搬入された炉底ブロックを持ち上げるとともに補助脚部を設置して荷重を支持させる上昇工程S7と、炉底ブロックを基礎に固定しかつ炉底ブロックと上部炉体とを連結して炉体を形成する炉体形成工程S8とを含む。
【選択図】図2
Description
このような工期短縮のための技術として、大ブロック工法が開発されている(特許文献1参照)。
特許文献1では、改修すべき高炉の炉体を複数のリングブロックに分割し、各ブロックを順次解体用の作業現場へと搬出して解体する。一方、別の組立用の作業現場において、予め炉体の各ブロックを組み立てておき、各ブロックを順次高炉の設置位置に搬入する。そして、例えばリフトアップ工法などによって、各ブロックを設置現場上に吊り下げ、基礎上の炉底ブロックの上に順次接合してゆき、全体を一体化して高炉炉体を構築するようにしている。
特許文献1では、炉体各部を構成する複数のリングブロックの搬出・搬入にあたっては、専用の炉体用輸送台車(ドーリー)を用いていた。
ここで、高炉のシャフト部については、冷却用のステーブや耐火物などの改善、減尺操業による補修技術の進歩などにより、その寿命は15年以上まで延長できるようになった。しかし、炉底部については、その寿命は依然として15年程度が技術的限界である。
これに対し、高炉の寿命延長を目的として、高炉の炉底部のみを中間改修する技術が提案されている(特許文献2および特許文献3参照)。
特許文献2では、炉底ブロックを搬出あるいは搬入する際に、設置現場の高炉基礎から外部へと移動軌道を設置し、その上に流体膜を形成して浮上する流体浮上式の揚重装置(エアキャスタ)を配置し、このエアキャスタにより炉底ブロックを浮上搬送する方式が用いられている。
特許文献3では、炉底ブロックの底部に突起状の脚部を形成し、この脚部で基礎上面に支持されるようにしている。そして、脚部を長尺状としかつ並列に配置し、各々の間にエアキャスタの列を導入可能なスペースを確保して、エアキャスタの設置・除去を容易にするとともに、エアキャスタによる支持が炉底ブロック底面の全体にバランスよく行われるようにしている。
ここで、炉体を単に所定高さで輪切りにして上部炉体と炉底ブロックとを分割した場合、分割された上部炉体と炉底ブロックとの間には切断による僅かな隙間しか残らない。このような僅かな隙間だけを空けた状態で、炉底ブロックを搬出・搬入しようとすると、切断縁の各部の凹凸や搬出・搬入経路の凹凸などによって相互に干渉し、意図しない破損等を生じる可能性がある。
しかし、上部炉体を再利用するためには、これをなるべく操業時の状態で維持することが望ましい。これは、上部炉体自体の現状維持とともに、構造的な支持、接続される配管配線の類が多岐にわたることによる。従って、上部炉体を元の位置で維持する場合、一重の輪切りでは上部炉体と炉底ブロックとの間隔が僅かでしかなく、前述した干渉の問題が避けられない。
このような相互の干渉を回避するために、上部炉体と炉底ブロックとを分割する際に、各々の間隔が大きくなるように切断することが考えられる。具体的には、炉体に対して上下に異なる高さで二重の輪切りを行い、その間に区画される所定幅の切除領域を切除する。これにより、上部炉体と炉底ブロックとの間に十分な間隔を確保することができ、旧炉底ブロックの搬出および更新用の新たな炉底ブロックの搬入の際に、これらの炉底ブロックと上部炉体との干渉を回避することが考えられる。
更に、前述した切除領域の補轍作業においては、補轍部分の上端と上部炉体との間で、各々鉄皮、ステーブ、冷却用配管、耐火材の接続を行うとともに、補轍部分の下端と炉底ブロックとの間で同様な接続を行う必要があり、各接続が二重となる。つまり、接続作業の繁雑が増大するとともに、接続箇所が完全かどうかの確認も増大する。
このような補轍作業は、上部炉体と炉底ブロックとが設置された高炉の設置現場での現場施工で行うため、改修工期の長期間化の原因となるという問題があった。
ここで、炉底ブロックを上部炉体の下方に搬入して上部炉体と接続する際に、炉底ブロックの高さを搬入間隔より小さく製造することで、搬入工程での上部炉体との干渉を回避できる。
また、搬入した炉底ブロックを上昇させ、炉底ブロックの上端と上部炉体の下端とを接近させたうえで直接連結することで、干渉防止のために炉底ブロックと上部炉体との間隔を空けた場合でも、当該間隔を埋めるための鉄皮、ステーブ、耐火材の補轍が必要なくなり、二重の接続を含む補轍作業も省略することができる。
高炉の改修においては、高炉として操業していた炉体を休止させ、上部炉体部分をその位置で保持したうえ、炉底ブロックを分割して搬出することで、保持工程を実現することができる。
このような脚部を有する炉底ブロックでは、炉底ブロックの搬入に、炉底ブロックの下面側に進入して炉底ブロックを持ち上げる(揚重する)揚重装置を用いることができる。このような揚重装置としては、油圧ジャッキやリフト装置など、昇降式の支持部を有する既存の構成が適宜利用できる。揚重装置としては、後述するエアキャスタなど、自走機能を有するものを用いてもよい。
このような揚重装置により炉底ブロックを持ち上げれば、この状態で補助脚部を追加することができる。補助脚部が追加されれば、揚重装置による支持を解除して脚部の間から退出させた後も、炉底ブロックの荷重を補助脚部により支持することができ、炉底ブロックを先に持ち上げた高さに保持することができる。
このような本発明では、炉底ブロックの荷重を補助脚部で支持させることで、揚重装置による炉底ブロックの荷重支持と交替することができ、揚重装置が炉底ブロックの荷重支持から解放され、揚重装置の上下何れかに介装材を追加可能となる。
続いて、再度炉底ブロックを持ち上げると、揚重装置の上下何れかに介装材が配置されているため、炉底ブロックは先に揚重装置で持ち上げられていた高さより介装材の分だけ高く持ち上げられる。この状態では、炉底ブロックと基礎との間には介装材なしで持ち上げていた状態より大きな間隔が形成されるので、この間隔に補助脚部を追加して炉底ブロックの荷重を支持することができる。
このような介装材を用いることで、補助脚部の追加を複数回繰り返すことができるようになり、その結果、複数の補助脚部の追加によって炉底ブロックを更に高い位置に保持することができる。
補助脚部についても、介装材と同様な板材、構造体、充填固化物などを適宜利用することができる。
本発明において、炉底ブロックの上昇に応じた支持を行う手段としては、脚部に追加される補助脚部に限らず、脚部と別個に補助脚部を設置設置してもよい。ただし、もとの脚部を利用しつつ継ぎ足して高さを稼げることから、脚部と補助脚部との組み合わせが好ましい。脚部と別に設置する場合、全体として炉底ブロックの重量を支持できる性能があればよく、炉底ブロックの底面になるべく均等に分布させて荷重を受けるようにすることが望ましい。
具体的には、揚重装置を脚部の間から退出させ、炉底ブロックの外部に出した状態で揚重装置の支持部に介装材を載せる。続いて、揚重装置を再び脚部の間に進入させると、介装材が一体に送り込むこと、つまり介装材の設置を揚重装置によって行うことができ、作業効率の向上に効果的である。
介装材は揚重装置の下に敷いてもよく、揚重装置がその上を走行するようにしてもよい。あるいは、介装材は揚重装置の上下ともに配置してもよい。
このような本発明では、炉底ブロックの上昇工程を、揚重装置による炉底ブロックの持ち上げと、補助脚部および介装材の設置とからなる単純な作業の繰り返しで実施することができ、大規模な揚重装置などを別途準備する必要がない。
このような本発明では、揚重装置を炉底ブロックに対して配備する際にその自走機能を利用できるとともに、同自走機能を利用して搬入工程に利用することができる。搬入工程において、揚重装置はその全行程に利用するのではなく、例えば主たる搬送手段である搬送用架台の上面から基礎の上面への移動の部分など、部分的な利用が可能である。
このような本発明では、揚重装置を扁平で薄い形状とすることができ、炉底ブロックの下面側の揚重装置が進入するスペースの高さが小さくても済む。また、空気浮上するために水平方向の駆動に対して摩擦抵抗が少なく、搬出・搬入を効率よく行うことができる。
なお、自走式の揚重装置としては、空気浮上するものに限らず、他の流体で浮上するものの他、車輪により転がり支持するもの、摺動支持するものを用いてもよい。転がり支持するものとしては、車輪を有し牽引等で駆動されるもの、エンジンあるいはモータで自走するものが利用でき、例えばドーリーの高さを低くしたもの等を用いてもよい。摺動支持するものとしては、二枚の摺動プレートの上面に昇降式の支持部として油圧ジャッキを設置した装置などを用いてもよい。
このような本発明では、上部炉体および炉底ブロックの互いの接合部分において鉄皮、ステーブ、耐火材までを事前施工しておけるとともに、事前施工が難しい鉄皮内側の充填材については接合後に外部から充填することができる。このため、炉体形成工程での作業を容易かつ迅速にできる。
このような本発明では、保持工程により、操業中の高炉の上部炉体相当部分を当該位置で支持しておき、この状態で吹き止め、分離、搬出を行うことで、新たな炉底ブロックの受け入れが可能となる。従って、既存の炉体を更新する際に適した方法とすることができ、保持工程を吹き止め前に行うことで工期短縮を図ることができる。
このような本発明では、分離された上部炉体において、その下端がステーブの目地に一致するため、新たな炉底ブロックも同様に上端がステーブの目地に対応するように製造すれば、各々を接続することで炉体としての連続性を確保することができる。
図1において、本発明が適用される高炉1は、設置現場2の地盤上に設置されている。
高炉1は、地盤上に設置された基礎3と、基礎3上に構築された炉体4と、炉体4の周囲に構築された炉体櫓5とを備えている。
炉体4のステーブ43には、冷媒配管を介して冷却装置が接続される(図示省略)。冷却装置は、炉体4および炉体櫓5の外部に設置された放熱器およびポンプを含み、ステーブ43に冷媒(本実施形態では水を用いる)を循環させるとともに、ステーブ43で吸熱した冷媒を放熱器で冷却させる。炉体4に設置された多数のステーブ43は、炉頂部、炉胸部、炉腹部、炉底部などの区画毎にグループ化され、各グループのそれぞれに冷却状態を細かく調整可能である。
なお、炉体櫓5には、炉体4を支持するための支持部53が形成され、後述する通り、炉底ブロック搬出時には、炉体4に支持部材4Aを形成して支持部53に接続することで、炉底ブロック7と分離された上部炉体6を基礎3上に浮かせた状態で支持可能である。
設置現場2から離れた地盤上には、分離した炉底ブロック7を解体し、あるいは更新用の炉底ブロック7Aを事前に製造しておく作業現場8が設定される。
作業現場8と設置現場2との間には、改修作業のために搬送装置10が設置される。
搬送用架台12の下面には、高荷重を支持しつつ搬送経路11上を摺動可能な下部摺動手段13が設置される。搬送用架台12の上面には、炉底ブロック7,7Aを水平に引出して搬送用架台12の上面へと移載するための上部摺動手段14(引出装置)が設置される。
このような下部摺動手段13を介して搬送経路11と摺接する搬送用架台12は、図示しない駆動装置(ウインチ等)で牽引されることで搬送経路11上を移動可能である。なお、搬送装置10は、前述のような牽引式のものに限らず、荷重負担が許容しうるものであれば自走式の台車(既存のドーリー等)であってもよい。
このような揚重装置を用いる場合、炉底ブロック7,7Aの下面には揚重装置を導入可能かつ揚重装置をリフトさせた際に支持状態にできる高さの空隙部を形成しておくことが望ましい。
なお、本実施形態では、更新用炉底ブロック7Aの搬入に揚重装置(後述するエアキャスタ)を用いるため、これを共用すれば装置の簡素化が可能である。
本実施形態の高炉改修手順では、通常の操業状態から減尺操業S1に入り、準備工程S2の後に吹き止めS3を行う。そして、分離工程S4および搬出工程S5により旧い炉底ブロック7を搬出し、旧炉底ブロック解体工程S11により解体する。一方、更新用の炉底ブロック7Aは、更新用炉底ブロック製造工程S10により製造され、搬入工程S6で旧炉底ブロック7を取り出した跡の上部炉体6の下方に搬入される。そして、炉底ブロック7Aは、上昇工程S7で持ち上げられた後、炉体形成工程S8により上部炉体6および基礎3と連結され、炉底部が更新された一連の炉体4として復元される。この後、試運転S9を実施し、通常の操業状態に復帰する。
そして、この保持工程(準備工程S2〜搬出工程S5)、製造工程(更新用炉底ブロック製造工程S10)、搬入工程S6、上昇工程S7、炉体形成工程S8により、本発明の高炉の炉底ブロックの交換方法が構成される。
以下、各工程について詳細に説明する。
このために、準備工程S2は、炉体4において実施される上部炉体支持工程S21、炉底(炉体4下部ないし基礎3の炉底ブロック7となる部分)において実施される基礎切断工程S22および引出装置設置工程S23、搬送装置10において実施される搬送経路設置工程S24および搬送用架台設置工程S25を含む。
このような上部炉体支持工程S21により、上部炉体6は、炉底ブロック7,7Aの入れ替え作業の間も操業状態の位置を維持することができ、周辺機器などの接続を解除する必要がない。
上部炉体支持工程S21は、炉体4の切断(後述する炉体全周切除工程S41)の前であればよいが、吹き止めS3の前に行うことで分離工程S4の工程緩和に好適である。
このような基礎切断工程S22により炉底ブロック7の下端側の切断が行われ、後述する炉体全周切除工程S41により同じく上端側の切断が行われることで、炉底ブロック7は炉体4から分離可能となる。
基礎切断工程S22は、炉体4における操業に直接影響を及ぼさないため、吹き止めS3の前に実施しておく。
搬送用架台設置工程S25は、搬送経路設置工程S24の後あるいはその途中において、搬送経路11上の何れかの位置に搬送用架台12を設置する。この際、作業現場8まで延びる搬送経路11上で搬送用架台12を構築してもよく、別の場所で搬送用架台12を構築しておき搬送経路11上に移載してもよい。
これらの各工程のうち、上部炉体支持工程S21については、比較的短期間での施工が可能である。しかし、基礎切断工程S22および引出装置設置工程S23、搬送経路設置工程S24および搬送用架台設置工程S25については、比較邸大規模な施工となるため、吹き止めS3の相当前の時点で開始する必要がある。このような場合、前述した減尺操業S1は準備工程S2と並行して実施し、各々の完了時期が吹き止めS3の開始予定時期に一致するように調整することが望ましい。
分離工程S4は、炉体4において実施される炉体全周切除工程S41、炉底(炉底ブロック7部分)において実施される内容物表面均し工程S42を含む。
作業用開口4Cは、後述する切除領域4B(炉体全周切除工程S41の部分で詳述する)の範囲内(図3,図4に示す上端レベルL1〜下端レベルL2の間)において、炉体4の周方向に間欠的に配置される。作業用開口4Cの加工にあたっては、切除領域4Bに該当するステーブ43Aの一枚分または複数枚分の区画を設定し、その区画に対応する鉄皮41を全周にわたって切断し、内側のステーブ43Aおよび耐火材42Aを除去する。
このような均し作業は、作業用開口4Cから到達可能な範囲の表面44Bに限られるが、各作業用開口4Cから順次行うことで実質的に炉内の全面が均されて表面44Cとされる。表面44Cは全面にわたって上端レベルL1より低いことが望ましい。
被覆材44Dとしては、いわゆるキャスタブルやセメントあるいはモルタルなど、液状で適用したのち固化して被膜あるいは被覆材層を形成できる無機材料が利用できる。高温の炉内で用いることから耐熱性が高いことが望ましく、併せてガス遮断性能が高いことが望ましい。
このような被覆材44Dの形成にあたっては、前述した作業用開口4Cからホース等を導入し、外部から圧送して表面44C上に散布する手法が利用できる。
このような被覆材44Dにより内容物47の表面を被覆することにより、内容物47自体の飛散が避けられるとともに、内容物47から発生するガスの大気中への放散を防止でき、高温の内容物47から発生する熱の放散も抑制することができる。さらに、酸素を含む外気の進入を遮断することで、炉底ブロック7内に残留する装入物44の酸化反応を抑えることができる。
図3および図4において、炉体全周切除工程S41は、炉体4の全周にわたって設定される切除領域4B(上端レベルL1〜下端レベルL2の間)の切除を行う。先行する内容物表面均し工程S42で作業用開口4Cが形成されている場合、それ以外の部分についての切除(鉄皮41の切断、ステーブ43A,耐火材42Aの除去)を行う。
切除領域4Bの設定については下記の通り行う(図3参照)。
このような上端レベルL1の設定により、炉体4の環状管51と重複する高さより上の部分を上部炉体6として残すことができ、かつ炉底ブロック7として搬出する際に環状管51との干渉を回避することができる。
このような下端レベルL2の設定により、上部炉体6の下端と搬出される炉底ブロック7(あるいは改めて搬入される更新用の炉底ブロック7A)の上端との間には十分な間隔が確保され、搬出および搬入の際に上下の変位等が生じたり、炉底ブロック7あるいは上部炉体6の切断端縁高さが上下に変動したりしても、上部炉体6と炉底ブロック7との相互の干渉を回避することができる。
搬出工程S5は、本実施形態では旧炉底ブロック搬出工程S51だけで構成される。
旧炉底ブロック搬出工程S51は、図5に示すように、炉底ブロック7を水平に引き出して搬送用架台12に移載し、搬送用架台12を作業現場8へと移動させる工程である。
搬送すべき炉底ブロック7は、前述した分離工程S4までの工程において、炉体4からの分離(炉体全周切除工程S41、基礎切断工程S22)がなされており、設置現場2の高炉1内から随時移動できる状態である。
図5において、旧炉底ブロック搬出工程S51では、炉底ブロック7を水平に引き出して高炉1内から搬送用架台12の上面(載置面)へと移載する作業と、炉底ブロック7を載置した搬送用架台12を搬送経路11に沿って牽引して作業現場8へと移動させる作業とを行う。
搬送用架台12により作業現場8へと移動された炉底ブロック7は、そのまま解体作業に入る(旧炉底ブロック解体工程S11、図2参照)。
次に、搬出工程S5で形成された間隔には、図6のように更新用の炉底ブロック7Aが搬入され(図2に示す搬入工程S6)、図7のように上部炉体6に直接接続するために持ち上げられ(図2に示す上昇工程S7)、上部炉体6と連結されるとともに基礎2に固定され(図2に示す炉体形成工程S8)、試運転が行われる(図2に示す試運転S9)。
ここで、更新用の炉底ブロック7Aは、予め減尺操業S1〜搬出工程S5まで期間に、設置現場2とは別の作業現場8において製造しておく(更新用炉底ブロック製造工程S10、図2参照)。
更新用の炉底ブロック7Aは、旧い炉底ブロック7よりも大きい規模あるいは小さい規模に変更することもできるが、上部炉体6を元の位置のまま共用することから、大幅な変更には適さない。
さらに、更新用の炉底ブロック7Aは、本発明に基づいて高炉1に組み込まれるため、以下のような高さ条件に基づいて製造される。
炉底ブロック7Aの鉄皮41の形状および炉内の艤装高さ(ステーブ43や羽口45、耐火材42などの設置高さあるいは炉内底面の高さ)は、旧い炉底ブロック7(図5参照)に対して前述した間隔dL分だけ低く形成されている(図6参照)。
これは、後述する上昇工程S7により、基礎3上に搬入された炉底ブロック7Aを間隔dL分だけ持ち上げ、炉底ブロック7Aの上端を上部炉体6の下端に直接接続するためであり、上昇工程S7で持ち上げられた炉底ブロック7A(図7参照)が、旧い炉底ブロック7の分離前の炉体4と同様の状態(図1参照)に回復できるようにするためである。
このような炉底ブロック7Aの製造高さの引き下げにあたって、旧い炉底ブロック7が基礎5の上部を切断する場合には、新たな炉底ブロック7Aの製造の際にはこの基礎5の切断分を省略することで、その高さ分の引き下げが可能である。このような基礎5の上部の切断を行わない場合には、炉底ブロック7Aの敷きビーム48(後述)の高さを下げることで炉底ブロック7Aの製造高さの引き下げを実現してもよい。
図8および図9に示すように、敷きビーム48は、形鋼481を格子状に組み合わせて全体が平板状となるように構成された構造物であり、炉底ブロック7Aの底面が収まる十分な広さを有している。
図10にも示すように、形鋼481の表裏には鋼板482が張られ、これらで封止される内部空間にはセメントあるいはモルタルなどの無機質の充填材483が充填される
敷きビーム48は、この脚部484で搬送用架台12の上面に着地する。この際、脚部484の各列の間には空隙485が形成される。
空隙485には、その長手方向の端部から揚重装置であるエアキャスタ140が進入可能である。
エアキャスタ140は、本体141の上面に昇降可能な支持部142を備えている。支持部142は、本体141に供給される圧縮空気により膨張し、底面に対して上昇可能である。
このようなエアキャスタ140は、敷きビーム48の下面の空隙485に導入され、支持部142を上昇させて敷きビーム48ないしその上方部分を含む炉底ブロック7A全体を持ち上げ、この状態で空気浮上することができる。
従って、これらのエアキャスタ140により、後述する搬入工程S6における搬送用架台12から基礎3上面への搬入が可能となり、これらのエアキャスタ140が上部摺動部材14として機能する。
搬入工程S6は、本実施形態では更新用炉底ブロック搬入工程S61だけで構成される。
更新用炉底ブロック搬入工程S61では、図6に示すように、高炉1の炉底部の炉底ブロック7を搬出した跡地に、更新用の炉底ブロック7Aを搬入する。
何れの場合も、更新用炉底ブロック搬入工程S61における作業は、前述した旧炉底ブロック搬出工程S51と逆の作業となる。
ただし、搬入工程S6では、上部摺動手段14としてエアキャスタ140を用いるため、搬送用架台12から基礎3上への移動にあたっては次の動作を行う。
次に、エアキャスタ140の流体噴出により地表面(搬送用架台12の上面ないし基礎3の上面)との間の摩擦を緩和し、この状態で炉底ブロック7Aを搬送用架台12から基礎3上の上部炉体6の直下の位置へ移動する。
続いて、エアキャスタ140の流体噴出を停止する。これにより、炉底ブロック7Aは、脚部484で基礎3の上面に着地する。
以上により、炉底ブロック7Aが基礎3と上部炉体6との間隔へと搬入される。
上昇工程S7は、炉底ブロック7Aの鉄皮41を上部炉体6と直接接続するために、図6の状態で搬入された炉底ブロック7A(上端がL2レベル)を図7の状態(上端がL2レベル)にまで持ち上げるものである。
本実施形態においては、上昇工程S7での持ち上げにエアキャスタ140の昇降機能を利用するとともに、上昇工程S7として、介装材追加工程S71、支持部上昇工程S72、補助脚部追加工程S73、支持部下降工程S74の各工程を含む。
具体的には、前述した搬入工程S6により、空隙485にはエアキャスタ140が配置されており、その支持部142は下降した状態にある(図10の実線の状態)。このエアキャスタ140を空隙485から外部に引き出し、その支持部142の上に介装材151を載置する。続いて、介装材151を載せた状態で、エアキャスタ140を移動させ、再び空隙485内に進入させる。これにより、空隙485には、エアキャスタ140およびその上の介装材151が積層された状態で収容される(図11参照)。
なお、一連のエアキャスタ140の引き出し先および介装材151を載せる作業場所として、搬送用架台12を基礎3に隣接した状態で保留しておき、その上面を用いることが望ましい。
介装材151の厚みとしては、下降させた状態のエアキャスタ140の支持部142の上面の高さと、敷きビーム48が脚部484で基礎3上に着地した状態の空隙485の上端の高さとの差h1よりやや小さい寸法であることが望ましい。介装材151の厚みが差h1より等しいか大きい場合には後述する空隙485への進入が困難となるし、差h1より大幅に小さい場合には炉底ブロック7Aを持ち上げる高さが稼げず、作業効率が低下することになる。
図11の状態では、空隙485にはエアキャスタ140および介装材151が収容されているが、介装材151の上面は敷きビーム48との間には間隔がある。ここで、支持部142を上昇させると、介装材151を介して炉底ブロック7Aが浮上し、脚部484の底面と基礎3の上面との間に高さh2の隙間が形成される(図12参照)。
補助部材161は、脚部484の下面に対応した形状の鋼製のブロックあるいは長尺材である。
図12の状態では、炉底ブロック7Aは介装材151を介してエアキャスタ140の支持部142に支持されている。ここで、エアキャスタ140の支持部142を下降させると、炉底ブロック7Aは下降し、補助脚部161を介して着地する。さらに支持部142が下降することで、介装材151および支持部142による支持は解除され、介装材151およびエアキャスタ140は炉底ブロック7Aの空隙485から退出可能な状態となる。
本実施形態においては、最終的に、炉底ブロック7Aの鉄皮41と上部炉体6の鉄皮41とを直接連結する。このために、炉底ブロック7Aの上端と上部炉体6の下端とを十分に接近させる必要があり、これらが互いに連結するために必要な距離となるまで前述した1サイクルを繰り返す。
次に、補助脚部追加工程S73により、補助部材161の下面に補助脚部162を追加する。
補助部材162は、図12で追加した補助脚部161と同様な鋼材を用いてもよいが、図14に示すようなモルタルを利用したものを用いてもよい。
図14において、脚部484の直下の基礎3の上面には、脚部484の平面形状を包囲しうる広さの樋部材165を載置し、その中にモルタルなどの無機質の充填材166を注入し、補助脚部161が充填材164に浸漬されるようにする。補助脚部161ないし脚部484の下端までが浸漬されてもよい。この状態で、所定時間を待機し、充填材166を固化させることで、補助脚部162が形成される。
この後、支持部下降工程S74により、エアキャスタ140の支持部142を下降させ、炉底ブロック7Aを補助脚部162で基礎3上に支持させる。
炉体形成工程S8は、上昇工程S7により上昇された炉底ブロック7Aの上端と上部炉体6の下端との接続を行う炉底ブロック上端接続工程S81と、炉底ブロック7Aの底部を基礎3に対して固定する炉底ブロック基礎側固定工程S82とを含む。
具体的には、炉底ブロック7Aと上部炉体6との突き合わせた状態(図16の状態)で、対向する鉄皮41,41を外側から溶接するとともに、溶接された鉄皮41,41の内側に充填材431を充填し、ステーブ43および耐火材42の目地接続を確保する。なお、炉底ブロック7Aおよび上部炉体6において、鉄皮41とステーブ43との間には充填材411が予め充填されている。
まず、接合前の状態(図15の状態)で炉底ブロック7Aのステーブ43の上面(または耐火材42の上面)に、封止材432を設置しておく。
次に、炉底ブロック7Aの上端と上部炉体6の下端とを突き合わせ、鉄皮41どうしの溶接を行う。この突き合わせにより、封止材432は上下のステーブ43で挟持され、鉄皮41との間に閉空間を形成する。
ここで、鉄皮41に貫通孔412を形成し、この貫通孔412を通して外部から前述した閉空間内へと充填材431を注入し、ステーブ43および封止材432と鉄皮41との間隔に充填した状態で固化させる。
これにより、上部炉体6および炉底ブロック7Aの互いの接合部分において鉄皮41、ステーブ43、耐火材42までが一連とされる。
以上のような炉体形成工程S8の後、試運転S9を実施する。
この試運転S9において各種調整を行い、規定の検査が完了したならば、通常の操業に復帰する。
揚重装置としては、エアキャスタ140に限らず、車輪などによる自走機能を有する他の揚重装置を用いてもよい。さらに、揚重装置としては、油圧ジャッキやリフト装置など、昇降式の支持部を有する既存の構成であれば適宜利用できる。また、自走式の揚重装置に限らず、台車と油圧ジャッキの組み合わせや、二枚の摺動プレートの上面に油圧ジャッキを設置した装置などを用いてもよい。
Claims (8)
- 高炉の設置現場の基礎の上方に操業時の位置で前記高炉の上部炉体を保持し、前記上部炉体と前記基礎との間に所定の搬入間隔を確保する保持工程と、
設置現場とは別の作業現場で、高さが前記搬入間隔よりも小さい炉底ブロックを製造する製造工程と、
前記製造工程で製造された前記炉底ブロックを前記保持工程で保持された前記上部炉体の下方に搬入する搬入工程と、
前記搬入工程で搬入された前記炉底ブロックを揚重装置で持ち上げ、前記炉底ブロックと前記基礎との間に補助脚部を追加し、前記補助脚部で前記炉底ブロックの荷重を支持させる上昇工程と、
前記炉底ブロックを前記基礎に固定しかつ前記炉底ブロックの上端と前記上部炉体の下端とを連結して炉体を形成する炉体形成工程と、を含むことを特徴とする高炉の炉底ブロックの交換方法。 - 請求項1に記載した高炉の炉底ブロックの交換方法において、
前記揚重装置は前記炉底ブロックと前記基礎との間に配置されかつ上面の支持部で前記炉底ブロックを持ち上げ可能であり、
前記上昇工程は、前記揚重装置の上側または下側に所定厚さの介装材を配置し、前記支持部を上昇させて前記炉底ブロックを持ち上げ、前記炉底ブロックと前記基礎との間に補助脚部を追加し、前記炉底ブロックの荷重を前記補助脚部で支持させることを特徴とする高炉の炉底ブロックの交換方法。 - 請求項2に記載した高炉の炉底ブロックの交換方法において、
前記上昇工程は、前記炉底ブロックの持ち上げと、前記補助脚部および前記介装材の設置とを、前記炉底ブロックの上端と前記上部炉体の下端とが互いに連結可能な距離となるまで複数回繰り返すことを特徴とする高炉の炉底ブロックの交換方法。 - 請求項1ないし請求項3の何れかに記載した高炉の炉底ブロックの交換方法において、
前記揚重装置は地上を走行可能であり、
前記搬入工程では、前記揚重装置により前記炉底ブロックを持ち上げた状態で前記揚重装置を走行させることを特徴とする高炉の炉底ブロックの交換方法。 - 請求項4に記載した高炉の炉底ブロックの交換方法において、
前記揚重装置として底面側の噴出空気により地上から浮上するエアキャスタを用いることを特徴とする高炉の炉底ブロックの交換方法。 - 請求項1ないし請求項5の何れかに記載した高炉の炉底ブロックの交換方法において、
前記炉体形成工程での前記炉底ブロックと前記上部炉体との連結の際には、前記炉底ブロックの鉄皮と前記上部炉体の鉄皮とを溶接し、前記炉底ブロックのステーブと前記上部炉体のステーブとの間に封止材を設置し、前記鉄皮に形成した貫通孔を通して外部から充填材を注入し、前記充填材を前記ステーブおよび前記封止材と前記鉄皮との間隔に充填することを特徴とする高炉の炉底ブロックの交換方法。 - 請求項1ないし請求項6の何れかに記載した高炉の炉底ブロックの交換方法において、
前記保持工程は、操業中の前記高炉の前記上部炉体となる部分を支持する工程を含む準備工程と、前記高炉を吹き止める吹き止め工程と、吹き止めした前記高炉の炉体を前記上部炉体と前記炉底ブロックとに分離する分離工程と、分離した前記炉底ブロックを前記設置現場から搬出する搬出工程とを含むことを特徴とする高炉の炉底ブロックの交換方法。 - 請求項7に記載した高炉の炉底ブロックの交換方法において、
前記分離工程は、前記上部炉体と前記炉底ブロックとの分離を、前記高炉のステーブの水平目地のうち前記高炉の環状管の直下にあるものの高さで行うことを特徴とする高炉の炉底ブロックの交換方法。
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