JP2010214375A - 晶析装置、晶析方法、及び濃縮晶析システム - Google Patents

晶析装置、晶析方法、及び濃縮晶析システム Download PDF

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Abstract

【課題】小容積の濃縮液収容室に所定量の濃縮液が溜まった時点から結晶成長プロセスを開始することにより晶析に要する時間を短縮できる、晶析装置提供する。
【解決手段】晶析装置は晶析容器(14)を有する。晶析容器(14)は、第1の濃縮液収容室(58)と、第1の濃縮液収容室(58)の下方に位置し且つ第1の濃縮液収容室(58)よりも容積が小さい第2の濃縮液収容室(59)を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、溶液を濃縮する濃縮装置、濃縮された溶液から結晶を成長させる晶析
装置、およびそれら濃縮装置と晶析装置を組み合わせた濃縮晶析システムに関する。
溶媒に溶質を溶解させた溶液を濃縮して溶質の結晶を生成する濃縮装置として、図6に示すバッチ式濃縮装置が非特許文献1で提案されている。このバッチ式濃縮装置100は、加熱容器101と、気液分離容器102と、加熱容器101から気液分離容器102に溶液及びその蒸気を供給する供給管103と、気液分離容器102から加熱容器101に溶液(濃縮液)を返送する返送管104と、気液分離容器102から濃縮液を取り出す排出管105を備えている。この濃縮装置100によれば、溶液は加熱容器101の中で該加熱容器101の内部に配置された加熱器106によって加熱される。加熱された溶液とその蒸気は供給管103を介して気液分離容器102に供給される。気液分離容器102では、気液分離容器102の上部に設けた気液分離器(デミスタブランケット)107によって液滴が回収される。回収された液滴は、加熱容器101から供給された溶液と共に気液分離容器102に溜まり、返送管104を介して再び加熱容器101に返送される。しかし、この濃縮装置100はバッチ式濃縮装置であることから、濃縮処理する溶液が長時間(例えば、10時間)高温状態に晒されて熱的ストレスを受ける。そのため、加熱されると物性が変化し易い材料の濃縮には適していない。
原子力工業Vol.38、NO.8(1992)
濃縮装置で濃縮された溶液から結晶を析出させる晶析装置として、図7に示す晶析装置が特許文献1で提案されている。この晶析装置110は、晶析容器111と、晶析容器111内に貯留された濃縮溶液を攪拌する攪拌羽根112と、晶析容器111の中で成長した結晶を含む結晶スラリーを晶析容器111の底部から抜き出して再び晶析容器111に返送する返送管113及びポンプ114を備えている。このような構成を備えた晶析装置110では、結晶成長中は濃縮溶液を効果的に冷却することで結晶成長効率を高めるため、攪拌羽根112が常に溶液を回転攪拌している。そのため、晶析容器111内に存在する溶液の量が少ない状態でポンプ114を駆動すると、攪拌羽根112の攪拌によって溶液中に混入した気泡がポンプ114に入り、ポンプ114が空転して損傷する。したがって、晶析容器111に十分に溶液が貯蔵された状態になるまで晶析処理を開始できない。
特開2005−33951号公報
そこで、本発明は、濃縮率が高く、溶液に与える熱的ストレスが少なく、連続的に溶液を濃縮できる連続式の濃縮装置を提供すること、また、少ない液量から晶析処理を開始できる晶析装置を提供すること、さらに、これら濃縮装置と晶析装置を備えた濃縮晶析システムを提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明に係る濃縮装置は、鉛直方向に向けて配置された少なくとも一つの加熱管(27)と、加熱管(27)にその下端開口(29)から溶液(2)を供給する供給部(3)と、加熱管(27)の上部を囲み、加熱管(27)の上端開口(28)上に位置する液滴分離室(43)と、加熱管の上端開口を囲む濃縮液回収室(39)を形成する容器(37)と、濃縮液回収室(39)と加熱管(27)の下端開口(29)を接続する濃縮液返送管(46)と、液滴分離室(43)に配置され、蒸気中に含まれる液滴を分離して濃縮液回収室(39)に落下供給する液滴分離器(45)を備えている。
濃縮装置の他の形態は、加熱管(27)の周囲を囲み、加熱管(27)内の溶液を加熱する加熱媒体が収容される加熱室(30)を有する。
濃縮装置の他の形態は、濃縮された溶液の密度を測定する密度測定部(50)と、濃縮液回収室(39)又は濃縮液返送管(46)から、濃縮された溶液を抜き出す抜き取り部(48)と、密度測定部(50)で測定された密度に基づいて抜き取り部(48)を制御して、濃縮された溶液を抜き出す第1の制御部(51)を有する。
濃縮装置の他の形態は、濃縮液返送管(46)を流れる溶液の流量を測定する流量測定部(50)と、加熱管(27)に溶液を供給する溶液供給部(3)と、流量測定部(50)で測定された流量に基づいて溶液供給部(3)から加熱管(27)に供給する溶液の量を調整する第2の制御部(51)を有する。
濃縮装置の他の形態は、加熱管(27)の上端位置が濃縮液返送管(46)の上端位置よりも上方に配置されており、濃縮液回収室(39)、濃縮液返送管(46)、加熱管(27)を溶液が自然循環するように構成されている。
本発明はまた、晶析容器に収容された濃縮液を冷却して結晶を成長させる晶析装置において、
晶析容器(14)は、第1の濃縮液収容室(58)と、第1の濃縮液収容室(58)の下方に位置し且つ第1の濃縮液収容室(58)よりも容積が小さい第2の濃縮液収容室(59)を有する。
本発明の他の形態の晶析装置は、第2の濃縮液収容室(59)の内径が、第1の濃縮液収容室(58)の内径よりも小さい。
本発明の他の形態の晶析装置は、第2の濃縮液収容室(59)が、晶析容器(14)の底部(57)を下方に変形させて形成されている。
本発明の他の形態の晶析装置は、第2の濃縮液収容室(59)から濃縮液を取り出して第1の濃縮液収容室(58)に噴射する返送噴射手段(63)を有する。
本発明の他の形態の晶析装置は、第2の濃縮液収容室(59)から取り出された濃縮液を冷却する冷却部(21)を有する。
本発明の他の形態の晶析装置は、第2の濃縮液収容室(59)から濃縮液を取り出し、当該濃縮液を冷却器(21)中に通過させ、第1の濃縮液収容室(58)に噴射する返送噴射手段(61,63)を有する。
本発明の濃縮晶析システムは、以上の濃縮装置と晶析装置を組み合わせたものである。
本発明に係る濃縮装置及びこの濃縮装置を備えたシステムによれば、溶液を任意の一定倍率に濃縮制御することができる。また、溶液供給部から連続的又はほぼ連続的に供給される溶液を連続的に濃縮して排出できる。したがって、ある時間に濃縮装置に供給された溶液が長時間に亘って加熱状態に晒されることはない。そのため、本発明の濃縮装置は、溶液に与える熱的ストレスが少ないので、熱を受けることによって物性が変化し易い材料の濃縮に適する。さらに、濃縮装置の主要部は上下に配置された2つの容器によって構成されているので、占有面積が小さく、全体として小型化できる。
本発明に係る晶析装置及びこの晶析装置を備えたシステムによれば、小容積の濃縮液収容室に所定量の濃縮液が溜まった時点から結晶成長プロセスを開始できるため、晶析に要する時間を短縮できる。
以下、添付図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。なお、以下の記述では、図面に表された構成部分の状態や位置関係を説明するために「上」、「下」及びそれらの派生語を使用するが、それらの使用は発明の理解を容易にするためであって発明の技術的範囲を定めるために利用されるべきものではない。また、複数の図面に表された同一又は類似の部分には同一の符号を用いる。
〔1〕濃縮晶析システム:図1は、本発明に係る濃縮晶析システム(以下、単に「システム」という。)の概略構成を示す。図示するシステム1において、該システム1で処理される溶液2は、溶液貯蔵容器(溶液供給部)3に貯蔵されている。溶液貯蔵容器3は、本発明に係る連続式濃縮装置4に溶液供給手段5を介して接続されている。溶液供給手段5は、溶液貯蔵容器3と濃縮装置4を連結する溶液供給管6と、該溶液供給管6に付設された溶液供給弁7を備えており、溶液供給弁7の開閉に基づいて、溶液供給管6を介して、溶液貯蔵容器3から濃縮装置4に溶液を供給する。
濃縮装置4は、下部構造の加熱部8と該加熱部8の上に連結された上部構造の回収部9を有する。加熱部8は、溶液貯蔵容器3から供給された溶液を加熱部8で加熱する。回収部9は、加熱された溶液を回収すると共に蒸気から液滴を分離して回収する。回収部9で回収された溶液(濃縮液)は、加熱部8に返送される。このように、溶液は加熱と気液分離のプロセスを繰り返して濃縮される。一方、回収部9で液滴が除去された蒸気は、凝縮器10で凝縮され、その凝縮液が図示しない回収装置に回収される。
濃縮装置4で濃縮された溶液2(以下、この濃縮された溶液を「濃縮液11」という。)は、濃縮液輸送手段(濃縮液輸送管12)を介して晶析装置13に送られる。晶析装置13は晶析容器14を備えており、濃縮装置4から濃縮液輸送手段12を介して送られる濃縮液11が晶析容器14に供給される。晶析装置13には、溶質の結晶化を促進する貧溶媒(例えば、メタノール)を貯蔵する貧溶媒貯蔵容器15が付設されており、この品溶媒貯蔵容器15から晶析容器14に貧溶媒輸送手段(貧溶媒輸送管16)を介して貧溶媒17が供給されて濃縮液11と混合される。晶析容器14に供給される濃縮液11と貧溶媒17の割合は一定に管理される。
晶析装置13は、晶析容器14から濃縮液11の一部を取り出して再び晶析容器14に返送する循環手段18を有する。循環手段18は、晶析容器14の底部から出発し、晶析容器14の天井部を貫通して晶析容器14内に帰還する返送管19と、返送管19を介して晶析容器14の底部から濃縮液11を取り出して再び晶析容器14内に送り戻す循環ポンプ20を備えている。返送管19には冷却部又は冷却器(第1の冷却器)21が付設されており、返送管19を輸送される濃縮液が冷却器21で冷却されるようにしてある。また、晶析容器14の底部は固液分離装置22に接続されている。したがって、晶析容器14の濃縮液は、返送管19を通じて循環されながら冷却器21で冷却されて結晶化され、結晶スラリーになる。そして、結晶スラリーは晶析容器14から取り出されて固液分離装置22に供給され、そこで成長結晶だけが取り出される。
〔2〕濃縮装置:図2を参照して濃縮装置4を説明する。濃縮装置4の下部構造である加熱部8は下部容器23を有する。下部容器23は、円筒体で形成されており、鉛直方向に配置された筒状壁部24を有し、筒状壁部24の上端部と下端部がそれぞれ上部壁25と下部壁26によって閉鎖されている。加熱部8において被加熱流体の溶液2が通過する複数の加熱管27は、筒状壁部24の内側で鉛直方向に配置されており、各加熱管27の上端部(上端開口28)と下端部(下端開口29)が上部壁25と下部壁26を貫通して突出させてある。図3に示すように、実施の形態では9本の加熱管27が水平方向に一定の間隔をあけて配置されているが、加熱管27の数や配置は実施例に限定されるものではない。図2に戻り、筒状壁部24、上部壁25及び下部壁26によって囲まれると共に加熱管27の外周面に接して形成されている加熱媒体室(加熱室)30は、筒状壁部24に設けた加熱媒体入口31と加熱媒体出口32を介して加熱媒体供給部33と加熱媒体回収部34にそれぞれ接続されており、加熱媒体供給部33から加熱媒体が加熱媒体室30に供給された後、その加熱媒体が加熱媒体室30から加熱媒体回収部34に排出されて回収されるようにしてある。
筒状壁部24の底部は底蓋35によって覆われており、底蓋35と下部壁26の間に形成された分配室(供給部)36に各加熱管27の下端開口29が接続されている。分配室36は、溶液供給管6を介して溶液貯蔵容器3に接続されており、溶液供給弁7の制御に基づいて、溶液貯蔵容器3から溶液2が分配室36を介して各加熱管27に供給されるようにしてある。
濃縮装置4の上部構造である回収部9は上部容器37を有する。上部容器37は、下部容器23の円筒体よりも大径の円筒体で形成されており、鉛直方向に配置された筒状壁部38を有する。上部容器37の筒状壁部38は、下部容器23の筒状壁部24と同軸上に配置されている。また、上部容器37における筒状壁部38の下部が、下部容器23における筒状壁部24の上部に間隔をあけて外装されており、下部容器23の上部外周に環状空間からなる回収室39が形成されている。上部容器37と下部容器23は、下部容器23の外周に固定された環状フランジ40上に、上部容器37の下端部に固定された環状フランジ41が連結されており、下部容器23の環状フランジ40で回収室39の底部を閉鎖している。上部容器37の上部は開放されて蒸気出口42を形成しており、この蒸気出口42が凝縮器10(図1参照)に接続されている。
上部容器37の内側には液滴分離室43が形成されており、この液滴分離室43に気液分離手段が配置されている。実施の形態において、気液分離手段は、加熱管27の上端開口28から上方に所定距離をあけて対向し、加熱管27から放出される蒸気を径方向外側に分散させる分散板44と、分散板44で分散された蒸気と接触して該蒸気に含まれる液滴を付着させて分離回収する液滴分離器(デミスタブランケット)45が配置されている。
回収室39は濃縮液返送管46を介して下部容器23の分配室36に接続されており、回収室39に回収された濃縮液(溶液)11が濃縮液返送管46を介して下部容器23の分配室36に返送されるようにしてある。図示するように、濃縮液返送管46は回収室39から水平方向に伸びており、この水平部分の内面下端が回収室39の底部から所定の高さH1に位置するようにしてある。
回収室39は、濃縮液輸送管12を介して晶析容器14に接続されている。濃縮液輸送管12は濃度調整弁(抜き取り部)48を備えており、後に詳述するように、濃度調整弁48の開閉を調整することによって濃縮液11の濃度が調整されている。また、濃縮液輸送管12は、均圧管49を介して上部容器37の液滴分離室43に接続されている。さらに、図示するように、濃縮液輸送管12は回収室39に水平方向から接続されており、その内面下端が回収室39の底部から所定の高さH2に位置させてあり、この高さH2は濃縮液返送管46の高さH1よりも大きくしてある。
濃縮装置4における濃縮率及び濃縮装置4に対する溶液の供給量を制御するために、流量と質量密度を計測可能な質量流量計(密度測定部)50が濃縮液返送管46に設けてある。質量流量計50の出力部は制御部(濃縮率及び供給量制御部)51の入力部に接続されており、質量流量計50で計測された濃縮液11の密度と返送流量が制御部51に出力されるようにしてある。制御部51の出力部は、濃縮液輸送管12に設けた濃度調整弁48に接続されており、制御部51からの出力に基づいて濃度調整弁48が開閉制御されるようにしてある。また、制御部51の出力部は、溶液供給管6に設けた溶液供給弁7と流量計52に接続されており、流量計52で計測された溶液供給量を参考にしながら、制御部51が溶液供給弁7を制御するようにしてある。濃縮液返送管46はまた、濃縮装置4に存在する溶液2又は濃縮液11の残留量(ホールアップ量)を監視するための観察窓又はサイトグラス53を備えており、サイトグラス53を通して濃縮液返送管46内にある濃縮液11の液面が目視できるようにしてある。
このような構成を備えた濃縮装置4によれば、溶液供給弁7の制御に基づいて溶液貯蔵容器3から溶液供給管6を介して供給された溶液2は、加熱部8における下部容器23の分配室36に入り、そこで複数の加熱管27に分配される。一方、下部容器23の加熱媒体室30には加熱媒体供給部33から加熱された加熱媒体が供給され、この加熱媒体によって加熱管27内にある溶液2が加熱される。加熱媒体は気体又は液体のいずれであってもよい。
加熱された溶液2は、加熱管27内で気体と液体が混在する気液混相状態になり、加熱管27の上端開口28から液滴分離室43に流出した溶液(濃縮液)11が、下部容器23の上部壁25上を外側に移動し、回収室39に流れ込む。一方、溶液2の蒸気は、加熱管27の上端開口28から液滴分離室43を上昇し、分散板44によって分散された後、液滴分離器45によって液滴(溶液の濃縮液)が分離されて回収される。液滴分離器45で回収された液滴は上部容器37の底部に落下し、回収室39に回収される。回収室39に貯まった濃縮液11は、濃縮液返送管46内にある濃縮液11と加熱管27内にある気液混相状態の溶液2の密度差に基づいて、濃縮液返送管46を介して分配室36に自然に移動する。つまり、溶液2(濃縮液11)は、分配室36から加熱管27、回収室39、濃縮液返送管46を結ぶ循環経路(濃縮液循環系)に沿って自然循環する。この自然循環の原理は後述する。
このようにして濃縮液11が循環される過程で該濃縮液11の密度は次第に上昇する。この濃縮液11の密度は、濃縮液返送管46に設けた質量流量計50によって計測され、制御部51に出力される。制御部51は、計測された密度が目標濃縮率に対応する密度(既定値)に達しているか否か判断し、計測密度が既定値以上になれば、濃度調整弁48を開いて回収室39の濃縮液11を晶析装置13に排出する。逆に、計測密度が既定値未満の場合、制御部51は濃度調整弁48を閉じて濃縮液11の抜き取りを中断する。このように、濃縮装置4では、濃縮液11の濃度に応じて抜き取り量を調整し、それによって晶析装置13に供給する濃縮液11の密度(濃縮率)を適正に管理している。
密度(濃縮率)制御は、溶液貯蔵容器3から濃縮装置4に対する溶液供給量の管理と密接に関連している。そのため、制御部51は、質量流量計50の出力に基づいて、濃縮液返送管46を輸送される濃縮液の流量を参照しながら、溶液供給管6を通じて濃縮装置4に溶液2を供給する。このとき、制御部51は、溶液供給管6に設けた流量計52の出力に基づいて供給量を確認しながら溶液供給弁7をカスケード制御し、これにより、濃縮液返送管46を流れる濃縮液11の流量、すなわち、濃縮装置4のホールドアップ量を一定に維持する。なお、実施の形態の濃縮装置4は濃縮液返送管46にサイトグラス53を備えており、サイトグラス53を通じて確認される液面が一定していればホールドアップ量が一定に維持されており、ホールドアップ量が増加又は減少すると液面が上昇又は下降することから、サイトグラス53を介してホールドアップ量が一定に維持されているか否か目視で確認できる。
図5を参照して自然循環の原理を説明する。図において、符号L1は加熱管27の下端高さ、符号L2は加熱管27の上端高さ、符号L2’は回収室から返送管に濃縮液が流れ込む最低の高さを示す。符号h1はL1からL2までの距離、符号h1’はL1からL2’までの距離を示す。符号ρは加熱管27内で気液混相状態にある溶液2の比重、符号ρ’(>ρ)は濃縮液11の比重を示す。そして、濃縮装置4では、ρ・h<ρ’h’の関係が成立するように、高さh1、h1’が決められている。その結果、加熱管27内で気液混相状態にある溶液2は上昇流を形成し、濃縮液返送管46内の濃縮液11は下降流を形成し、全体的には加熱管27と濃縮液返送管46を循環する循環流が形成される。なお、加熱管の上端開口は、濃縮液返送管の上端位置よりも上方にある。
このように、本発明に係る濃縮装置4によれば、溶液貯蔵容器3から連続的又はほぼ連続的に供給される溶液を連続的に目標倍率に濃縮して排出できる。また、濃縮度の制御が可能であることから、濃縮不足等を補うために追加濃縮するという必要もない。したがって、ある時間に濃縮装置4に供給された溶液が長時間に亘って加熱状態に晒されることはない。そのため、本発明の濃縮装置は、溶液に与える熱的ストレスが少ないので、熱を受けることによって物性が変化し易い材料の濃縮に適する。また、加熱部8と回収部9が上下に配置されており、濃縮装置4の主要部は加熱部8の下部容器23と回収部9の上部容器37を組み合わせた一つの容器で構成されている。さらに、濃縮装置の占有面積が小さく、全体として、従来の濃縮装置に比べて小型化できる。
なお、以上の説明では、下部容器23の外側に環状の濃縮液回収室39を形成したが、加熱管27を下部容器上部壁25から十分突出させ、この下部容器上部壁25に隣接し且つ加熱管突出部を囲む周囲の空間を濃縮液回収室として利用することもできる。
〔3〕晶析装置:図4を参照して晶析装置13を説明する。図示するように、晶析装置13は、濃縮装置4と貧溶媒貯蔵容器15からそれぞれ供給される濃縮液11と貧溶媒17を混合攪拌して結晶スラリーを生成するための晶析容器14を有する。晶析容器14は、鉛直軸を中心とする略円筒形の周壁55と、上方に向けて突出する略球面形の天井部56と、下方に向けて突出する略球面形の底部57を有し、底部57の上に大容積の上部濃縮液収容室(第1の濃縮液収容室)58が形成されている。また、底部57は、その中央部を下方に膨出させ、上部濃縮液収容室58よりも小径で小容積の下部濃縮液収容室(第2の濃縮液収容室)59が形成されている。以下、必要に応じて、上部濃縮液収容室58と下部濃縮液収容室59を合わせた全体を「濃縮液収容室60」という。
晶析容器14に収容されている濃縮液11を冷却するために、下部濃縮液収容室59の底部中央にスラリー輸送管61の一端が接続されている。スラリー輸送管61は、スラリー循環ポンプ20、冷却器21を備えており、晶析容器14の天井部56を貫通して濃縮液収容室60内に伸びている。濃縮液収容室60内に位置するスラリー輸送管61の端部は円周水平方向に向けられて噴射ノズル63が形成されており、該噴射ノズル63から噴射されるスラリーによって上部濃縮液収容室58及び下部濃縮液収容室59に回転攪拌流を形成するようにしてある。
濃縮液輸送管12と貧溶媒輸送管16は、天井部56を貫通して濃縮液収容室60に接続されている。同様に、種晶貯蔵容器64からの種晶供給管65が天井部56を濃縮液収容室60に接続されている。
このように構成された晶析装置13によれば、濃縮装置4、貧溶媒貯蔵容器15、種晶貯蔵容器64からそれぞれ濃縮液、貧溶媒、種晶が晶析容器14に供給される。そして、晶析処理の開始時、供給された濃縮液等は下部濃縮液収容室59に溜まる。下部濃縮液収容室59に所定量(所定深さ)の濃縮液等が溜まると、スラリー循環ポンプ20が駆動を開始し、下部濃縮液収容室59から抽出された濃縮液等がスラリー輸送管61を介して循環されるとともに、スラリー輸送管61を移動する濃縮液等が冷却器21によって冷却される。このとき、スラリー循環ポンプ20の駆動に基づいて下部濃縮液収容室59の底部から濃縮液等が抜き出されることにより下部濃縮液収容室59に収容されている濃縮液等が周方向に移動してその液面中央部が下がる。しかし、下部濃縮液収容室59の横断面積は上部濃縮液収容室58の横断面積に比べて極めて小さいので、小量の濃縮液をもって循環に必要な液面高さを確保できる。また、従来の晶析装置にある攪拌羽根が存在しない。そのため、晶析容器14から抜き出される濃縮液等に空気を巻き込むことがなく、この巻き込み空気によって生じるスラリー循環ポンプ20の空転を回避できる。
このようにして下部濃縮液収容室59から抜き出された濃縮液等はスラリー輸送管61を介して冷却器21に供給され、ここで冷却されて結晶の析出が行われた後、噴射ノズル63から濃縮液収容室60に返送される。このとき、噴射ノズル63から噴射される結晶スラリーは、下部濃縮液収容室59に攪拌流を形成し、これにより濃縮液、貧溶媒及び種晶の混合攪拌が行われる。通常結晶化には所定の時間(例えば、1時間)を要する。したがって、濃縮液等の供給が終了後約1時間経過した時点で晶析を終了し、スラリー輸送管61から分岐したスラリー排出管66の弁67を開放し、固液分離装置22に供給する。
このように、本発明に係る晶析装置13によれば、下部濃縮液収容室59に所定量の濃縮液等が溜まった時点から冷却及び結晶成長プロセスを開始できるため、従来の晶析装置に比べて、晶析開始までに要する時間が短縮できる。また、晶析開始直後はスラリー輸送管61に設けた冷却器21のみを駆動してスラリーを冷却すればよい。
本発明に係る濃縮晶析システムの概略構成を示す図。 本発明に係る濃縮装置の縦断面図。 図2に示す濃縮装置のIII-III線に沿った横断面図。 本発明に係る晶析装置の縦断面図。 濃縮装置に循環流が形成される原理を説明する図。 従来の濃縮装置の斜視図。 従来の晶析装置の断面図。
1:システム、2:溶液、3:溶液貯蔵容器(溶液供給部)、4:濃縮装置、5:溶液供給手段、6:溶液供給管、7:溶液供給弁、8:加熱部、9:回収部、10:凝縮器、11:濃縮液、12:濃縮液輸送手段(濃縮液輸送管)、13:晶析装置、14:晶析容器、15:貧溶媒貯蔵容器、16:貧溶媒輸送手段(貧溶媒輸送管)、17:貧溶媒、18:循環手段、19:返送管、20:循環ポンプ、21:冷却器、22:固液分離装置、23:下部容器、24:筒状壁部、25:上部壁、26:下部壁、27:加熱管、28:上端開口、29:下端開口、30:加熱媒体室(加熱室)、31:加熱媒体入口、32:加熱媒体出口、33:加熱媒体供給部、34:加熱媒体回収部、35:底蓋、36:分配室(供給部)、37:上部容器、38:筒状壁部、39:回収室、40:環状フランジ、41:環状フランジ、42:蒸気出口、43:液滴分離室、44:分散板、45:液滴分離器、46:濃縮液返送管、48:濃度調整弁(抜き取り部)、49:均圧管、50:質量流量計、51:制御部、52:流量計、53:サイトグラス、55:周壁、56:天井部、57:底部、58:上部濃縮液収容室、59:下部濃縮液収容室、60:濃縮液収容室、61:スラリー輸送管、63:噴射ノズル、64:種晶貯蔵容器、65:種晶供給管。

Claims (7)

  1. 晶析容器に収容された濃縮液を冷却して結晶を成長させる晶析装置において、
    晶析容器は、第1の濃縮液収容室と、第1の濃縮液収容室の下方に位置し且つ第1の濃縮液収容室よりも容積が小さい第2の濃縮液収容室を備えたことを特徴とする晶析装置。
  2. 第2の濃縮液収容室の内径は、第1の濃縮液収容室の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の晶析装置。
  3. 第2の濃縮液収容室は、晶析容器の底部を下方に変形させて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の晶析装置。
  4. 第2の濃縮液収容室から濃縮液を取り出して第1の濃縮液収容室に噴射する返送噴射手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の晶析装置。
  5. 第2の濃縮液収容室から取り出された濃縮液を冷却する冷却部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の晶析装置。
  6. 第2の濃縮液収容室から濃縮液を取り出し、当該濃縮液を冷却器中に通過させ、第1の濃縮液収容室に噴射する返送噴射手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の晶析装置。
  7. 濃縮装置と請求項1〜6のいずれかの晶析装置を備えたことを特徴とする濃縮晶析システム。
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