DR(デジタル放射線)は、感光フィルム層または輝尽性蛍光体を利用して放射線曝露を捕捉し、これによって被写体内部の身体的特徴の画像を生成し、記憶する、フィルム式またはCR(コンピュータ放射線)イメージング技術に代わるものとしてますます受け入れられている。デジタル放射線の場合、放射線感応層上で捕捉された放射線曝露エネルギーが画素ごとに電子画像データに変換され、この画像データがメモリ回路に記憶されて、後に好適な電子画像表示装置上で読み出され、表示される。デジタル放射線を成功に導いた牽引力のひとつが、記憶された画像を迅速に視覚化し、データネットワークを通じて1つまたは複数の遠隔地に通信して放射線科医による分析と診断に供することができる能力であり、これによって、フィルムを現像してチェックし、それから包装して遠隔地に郵便や宅配便で送付したり、あるいはフィルムを別のスキャナ装置に入れて、デジタル画像データを提供したりする場合のようなタイムラグがない。
フラットパネルDR(デジタル放射線)イメージングシステムには、従来のフィルム式または初期のCR(コンピュータ放射線)システムと比較して、多数の利点がある。その際立った利点の中に、DRシステムの場合、オペレータや技術者が曝露後にどのような種類のイメージング媒体の移動、取り扱い、加工またはスキャンも行わずに、放射線画像データを取得できる点がある。DRレシーバパネルから直接ダウンロードされたデータは、現場または適切にネットワーク接続されたビューワワークステーションで素早く閲覧、診断できる。他の利点としては、X線放射を生成する既存のハードウェアコンポーネントに利用できる点とオペレータの技術レベルへの依存性が低い点が挙げられる。
初期のフラットパネルDR(デジタル放射線)イメージング検出器は、その大きさ、重量、費用の面から、これを収容するように特に設計された臥位型および立位型ブッキー構造(bucky structure)に永久的に取り付けられていた。改良が重ねられた結果、もともとフィルムやCRカセッテ(cassette)を使用するように設計されたイメージングシステムで使用できる、より小型の、持ち運び可能なDRイメージングカセッテが実現した。軽量化、小型化によって、DRカセッテフォームファクタをISO−4090による35×43cmという標準カセッテ形状に適合させることができると思われる。その結果、この標準に適合する既存の臥位型または立位型X線ユニットにDRカセッテを嵌め込むことが可能となり、DR検出の有用性を、フィルムやCRカセッテが装備されている既存のX線撮影室の改善へと拡張でき、現在行われているように既存の臥位型および立位型X線撮影装置をアップグレードあるいは改造する必要がなくなるため、コスト面で有利である。その結果、改善されたDR検出器は、現在ではフィルムとCR検出器用に限定されているシステムでも使用できるであろう。さらに、DRカセッテは小型で軽量であり、より可搬性が高いため、より多くの用途が考えられ、例えば、DRカセッテを束縛型(tethered)デバイスとして、つまり、電源およびデータ転送用の1本または複数のケーブルで受信システムに接続されるデバイスとして使用できるほか、近くのイメージング装置にデータを無線転送できる解放型(un-tethered)デバイスとして使用し、相互接続のための面倒なケーブルを不要とすることができる。
小型、軽量であることに加え、無線通信を利用する解放型であり、オンボードバッテリ電源を備える、本当の意味でポータブルなデジタル検出器を提供することが非常に望ましい。このような新たな利点を有するポータブルDR検出器は、既存のX線イメージングシステムに容易に組み込むことができる。これは、必要に応じて一箇所から別の場所に簡単に移動できる検出器の提供に役立ち、電源またはデータケーブルを接続する必要性から生じる面倒な要求やリスクがなくなる。
完全にポータブルな無線通信型のDRカセッテを実現することは望ましいゴールではあるが、現実的にはまだ問題がある。受け取った放射線を感知し、感知した信号をデジタルデータに変換する画像捕捉コンポーネントは、小型化して、DRカセッテそのものの中にパッケージすることができる。しかしながら、連続的な画像捕捉のためのバッテリ電源の供給に必要な追加の支援回路構成と、遠隔システムとの無線通信を行うのに必要な回路構成をコンパクトにパッケージすることは依然として困難である。さらに、このような完全な可搬性や解放型の操作はすべてのイメージングシステムに必要というわけではなく、束縛型の操作でも十分に容認可能なシステムもありうる。
上記のことから、完全なポータブル型として解放モードで使用することも、束縛式にホストおよび電源供給と接続して使用することも可能なDRカセッテが有利であろうと理解できる。
本発明の目的は、診断用イメージング技術を進化させることである。この目的を念頭に置き、本発明は、入力電源コネクタを通じて電力を受け取ると入射放射線に応答して被写体のデジタル画像を取得するようになされ、取得したデジタル画像を第一のデータコネクタからの出力として供給するようになされたカセッテと、カセッテを取り外し自在に嵌め込むようになされたサポートトレイであって、(1)カセッテをサポートトレイに嵌め込んだときにカセッテ上の第一のデータコネクタと切り離し自在に係合する第二のデータコネクタと、(2)電力供給を受けるとカセッテの第一のデータコネクタから得られたデジタル画像をホストプロセッサに転送する無線通信回路と、(3)少なくともサポートトレイ回路構成上の無線通信回路と嵌め込まれたカセッテの入力電源コネクタに電源を供給するバッテリと、を備えるサポートトレイとを備えるデジタル放射線撮影装置を提案する。
本発明の特徴は、ポータブルDRカセッテ用の支援電子部品と電源回路を保持するトレイを提供することである。
本発明の利点はDRカセッテを多数の異なる構成で使用できることであり、束縛型の操作だけでなく、解放型の操作が可能となる。
本願には、本発明の主旨を具体的に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲が添付されているが、本発明は、付属の図面を参照しながら以下の説明を読むことによって、よりよく理解できると確信する。
また、本発明の一実施形態においては、前記サポートトレイの少なくとも第二の縁辺に沿って側壁が形成されていることが好適である。
また、本発明の一実施形態においては、前記サポートトレイは長方形であり、前記バッテリと前記無線通信回路は前記サポートトレイの複数の縁辺に沿って格納されていることが好適である。
また、本発明の一実施形態においては、前記サポートトレイの他の縁辺のうちの少なくとも1つに沿って側壁が形成されていることが好適である。
また、本発明の一実施形態においては、前記サポートトレイは、前記カセッテが前記サポートトレイに嵌め込まれると、前記入力電源コネクタと切り離し自在に係合するようになされた出力コネクタをさらに備えることが好適である。
また、本発明の一実施形態においては、前記カセッテは、前記サポートトレイから取り外されると、関連する放射線イメージングシステムのブッキー装置に嵌め込まれるような寸法であることが好適である。
また、本発明の一実施形態に係る方法は、被写体のデジタル放射線画像を取得する方法であって、デジタル放射線カセッテをサポートトレイ内に嵌め込み、前記デジタル放射線カセッテと前記サポートトレイの間のデータ接続と電源接続を確立するステップと、前記サポートトレイを前記被写体の付近に設置し、前記被写体への放射線の曝露を行い、前記デジタル放射線カセッテでデジタル画像を取得するステップと、前記取得したデジタル画像を、前記サポートトレイから提供される無線通信を使ってホストプロセッサに転送するステップと、を含む。
また、本発明の一実施形態においては、前記デジタル放射線カセッテに、曝露のための準備を行わせる命令を転送するステップをさらに含むことが好適である。
また、本発明の一実施形態においては、前記被写体は第一の被写体であり、前記デジタル画像は第一のデジタル画像であり、前記ホストプロセッサは第一のプロセッサであり、前記方法は、前記サポートトレイから前記デジタル放射線カセッテを取り外すステップと、前記デジタル放射線カセッテをブッキー装置の中に位置づけ、前記ブッキー装置を第二の被写体の付近に位置づけるステップと、データケーブルと電源ケーブルを前記デジタル放射線カセッテに接続するステップと、前記第二の被写体を放射線に曝露させ、前記デジタル放射線カセッテで第二のデジタル画像を取得するステップと、前記取得したデジタル画像を前記データケーブルで第二のホストプロセッサに転送するステップと、をさらに含むことが好適である。
また、本発明の一実施形態に係る装置は、入射放射線に応答して被写体のデジタル画像を取得するようになされたカセッテを備え、前記カセッテは入力電源コネクタと出力データコネクタを有し、前記カセッテは少なくとも、前記カセッテが、前記入力電源コネクタにバッテリを接続するサポートトレイ内に嵌め込まれ、前記サポートトレイが前記取得したデジタル画像を受け取るために前記カセッテの前記出力データコネクタと係合する入力データコネクタをさらに提供し、前記サポートトレイが前記取得したデジタル画像を転送するための無線通信回路をさらに備える無線転送モードと、前記カセッテが前記サポートトレイから取り外され、前記入力電源コネクタとの電源ケーブル接続を有し、前記取得したデジタル画像転送のための前記出力データコネクタとのデータケーブル接続を有するような束縛型転送モード、の少なくとも2つのモードのいずれでも動作可能である。
また、本発明に係る実施形態においては、前記カセッテは、曝露中に前記カセッテが前記サポートトレイから取り外され、前記取得したデジタル画像を転送するために前記サポートトレイに嵌め込まれるような独立型曝露モードでもさらに動作可能であることが好適である。
また、本発明に係る実施形態においては、前記カセッテは、それが無線転送モードにあることを示す信号を感知することが好適である。
また、本発明の一実施形態に係る装置は、物体のデジタル放射線撮影に使用するための装置であって、前記物体の少なくとも一部から放射線を受けるように位置づけられるようになされたサポートトレイと、前記放射線に応答して画像をデジタル的に捕捉するためのセンサアレイを有するカセッテであって、前記トレイ上に取り外し自在に取り付けられるカセッテと、前記トレイによって支持され、前記センサアレイからのデジタル出力信号を受け取るように前記カセッテと切断自在に接続する電子部品と、前記トレイにより支持され、前記センサアレイを前記電子部品に切断自在に接続するための少なくとも1つの切断自在のコネクタと、を備え、前記トレイに複数の交換可能なカセッテを使用できる。
また、本発明に係る実施形態においては、前記トレイは長方形であり、前記電子部品と切断自在のコネクタは前記トレイの少なくとも1つの縁辺に沿って配置されていることが好適である。
また、本発明に係る実施形態においては、前記トレイは、前記少なくとも1つの縁辺以外の他の縁辺に沿って薄い縁壁を有し、前記他の縁辺は画像捕捉中に前記物体の付近に位置づけることができることが好適である。
また、本発明に係る実施形態においては、前記トレイは長方形であり、薄い周辺縁辺を有する底壁を備え、前記電子部品と切断自在のコネクタが前記底壁によって支持されることが好適である。
また、本発明に係る実施形態においては、前記トレイによって支持され、前記電子部品を関連する放射線イメージングシステムに接続するための少なくとも1つの別の切断自在のコネクタをさらに備えることが好適である。
また、本発明に係る実施形態においては、前記トレイは、関連する放射線イメージングシステムの支持用ブッキーの中に嵌め込むことができるサイズであり、従来の放射線フィルムカセッテと代替できることが好適である。
本発明の上記およびそれ以外の目的、特徴、利点は、本発明の実施形態が示され、説明されている図面を参照しながら下記の詳細な説明を読めば、当業者にとって明らかとなるであろう。
以下の説明は特に、本発明による装置の一部を構成する、またはこの装置とより直接的に協働する要素に関する。具体的に図示または説明されていない要素は、当業者の間で周知の各種の形態をとることができると理解するべきである。
本願で提供する図面は、全体的な機能的関係と特徴を示すためのものであり、ある縮尺に従って描こうとしたものではない。
本発明の実施形態は、ポータブルDRカセッテを使用できる環境を広げるようなDRカセッテ用サポートトレイを提供する。図1Aから図1Cは、本発明の実施形態による装置と方法を用いたDRイメージングで実現できる様々な好適な環境を示す。
図1Aは、コード付き転送モードで、被写体、例えば患者14の画像形成を行う放射線イメージング装置10を示す。放射線イメージング装置10はブッキー18を有し、ポータブルDRカセッテ20がブッキー18にセットされると、ブッキー18からDRカセッテ20への支援用電力とデータ通信のための接続が行われる。この種の環境では束縛型、つまりケーブル接続による操作が可能であり、ケーブルからブッキー装置へ電源とデータ通信の接続が行われる。DRカセッテ20のISO適合のフォームファクタは、このような環境に有利であろう。データは、画像データおよび記憶プロセッサである、ディスプレイ26を備えるホストプロセッサ24に供給される。
図1Bは、束縛型の接続が行われず、その代わりに無線転送モードで動作する別の放射線イメージング装置12におけるDRカセッテ20の使用例を示す。このような装置の場合、DRカセッテ20は、サポートトレイ50に取り付けて放射線画像データを取得するのに使用できる。DRカセッテ20とサポートトレイ50の組み合わせによって形成されるイメージング検出器80は、フィルムまたはCRカセッテの寸法には適合しないであろう。しかしながら、検出器80は、検出器80の周囲に十分な空間が確保できるのであれば、さまざまな条件下での画像形成に使用可能であろう。
サポートトレイ50は、データ取得のための追加の電源を供給し、ホストプロセッサ24への無線データ通信を行う。本発明の実施形態では、同じDRカセッテ20を、図1Aに示すような束縛型のDRカセッテ20の構成と、図1Bに示すような検出器80の構成のいずれにも使用できる。図1Cに示す「独立型」の構成も、バッテリコンポーネントの容量に応じて任意でサポートできる。
図1Cは、束縛型の接続を行わない独立型曝露モードという別の実施形態におけるDRカセッテ20の使用例を示しており、曝露中はサポートトレイ50から取り外されている。曝露後に、DRカセッテ20は所定の位置に戻され、つまりトレイ50の中に嵌め込まれ、取得した画像データがホストプロセット26に無線転送される。注意すべき点は、この実施形態ではDRカセッテ20用に大きなオンボード電源容量が必要となる点であり、これはデータ取得と変換処理に大量の電力が必要であるからである。図1Cの実施形態の場合、トレイ50は、曝露後に、得られた画像データを無線通信する手段としてのみ機能する。
図2Aのブロック図は、ある実施形態におけるDRカセッテ20の機能コンポーネントを示す。センサアレイ30がDRカセッテ20の感知部の上に設けられ、電源供給されると放射線源からのエネルギーを受け取る。アドレシング回路構成32とアナログ・デジタル(A/D)回路構成34は、センサアレイ30からの信号にアクセスし、これをデジタル画像データに変換し、このデータをロジックおよび記憶回路構成36に供給するコンポーネントとなる。ある実施形態において、任意のバッテリまたはその他のオンボード電源38が、アドレシング、データ変換、記憶機能のための電源供給とその支援に必要な最小限の電力を供給する。インタフェースポート40および42は、DRカセッテ20の中の電源供給およびデータ記憶コンポーネントとのコネクタとなる。図の実施形態では、インタフェースポート42がデータコネクタ、インタフェースポート40が入力電源コネクタである。
図2Aに示す装置はDRカセッテ20の多数の実施形態のうちの1つであり、この実施例の多数の変化形態を考案できることがわかる。例えば、アドレシング、データ取得、処理、記憶のための支援回路は、さまざまな方法で実装できる。ある実施形態では、電源38は、1つまたは複数の完全な画像を得る画像データ取得機能を支援するのに十分な容量を有し、図1Cに関して前述したような独立モードでの画像取得が可能となる。別の実施形態では、電源38は、このようなデータ取得と変換機能を支援するための容量を持たず、図1Aに関して説明した構成を使用する場合に必要であるように、DRカセッテ20が1つの動作電源から別の電源に移される間に、記憶された状態と動作状況に関する少量の情報を保存するのに十分な電力だけを有する。
図2Bのブロック図は検出器80の機能コンポーネントを示しており、1つの実施形態として、DRカセッテ20がサポートトレイ50の中に取り外し自在に嵌め込まれている。バッテリ48は、DRカセッテ20に電力を供給するための電源となり、またDRカセッテ20の電源38の再充電電力を供給することもできる。無線回路52は、電力が供給されるとカセッテの第一のデータコネクタから得られたデジタル画像を外部ホストプロセッサ24(図1Bおよび1C)に転送し、ホストプロセッサ24から無線で伝送された命令を受け取る。インタフェースポート44および46はそれぞれ、トレイ50とDRカセッテ20の間の出力電力およびデータ接続を行い、これらに対応するDRカセッテ20上の入力電源とデータコネクタと切り離し自在に係合できる。DRカセッテ20は、機械的ラッチを使って取り外し自在に嵌め込むことができ、あるいは、受動的に取り付け、トレイ50自体の本体に構築されたブラケットやガイド等の拘束機能によって所定の位置に保持し、あるいはそのインタフェースポートコネクタの1つまたは複数と接続されたときに所定の位置に支持することができる。有利な点として、トレイ50を初期のフィルムやCRカセッテのフォームファクタに適合させる必要がないため、バッテリ48は、DRカセッテ20のオンボード電源38より大型、重量でもよく、またこれより大きな容量を有していてもよい。
ある実施形態において、DRカセッテ20は、インタフェースポート46上の信号やインタフェースポート44からの信号等、サポートトレイ50から供給される信号を感知することにより、無線転送または束縛型転送のためのその動作モードを自動的に感知する。別の実施形態では、DRカセッテ20はその動作モードを判断しない。
図3Aの斜視図は、検出器80のある実施形態において、DRカセッテ20をトレイ50に嵌め込む様子を示す。ここで、トレイ50はDRカセッテ20用の丈夫な運搬用ケースとなり、持ち運び中の損傷から保護するための手段となる。図3Bは、トレイ50に取り付けられたDRカセッテ20を示す。この実施形態では、任意のハンドル54がトレイ50の縁辺の1つに設けられている。図3Cおよび3Dは、別の実施形態においてトレイ50の長い縁辺に設けられたハンドル54の位置を示す。
図3Cの斜視図はトレイ50の別の実施形態を示し、コンポーネントがトレイ50の2つの側に設けられている。図3Dは、トレイ50にDRカセッテ20が嵌め込まれた検出器80のアセンブリを示す。これら以外にも、例えばトレイのコンポーネントがDRカセッテ20の長い縁辺に沿って取り付けられているものなど、他の配置も可能であることがわかる。トレイ50のコンポーネントの配置は異なるタイプの画像形成に合わせて最適化でき、例えばDRカセッテ20の1つの角を患者その他の被写体に直接当たるように嵌め込み易くしてもよい。
図3Eの斜視図はトレイ50の別の実施形態を示し、コンポーネントがトレイ50の2つの縁辺に沿って設けられ、任意の薄い壁56がトレイ50の他の1つまたは複数の縁辺に沿って設けられている。図3Fは、DRカセッテ20をトレイ50の中に嵌め込むことによって形成される検出器80を示す。壁56は、トレイ内にカセッテ20を保持し、カセッテ20の持ち運び、取り回し中の損傷からさらに保護するのに役立つ。
図4のブロック図は、図1Aに示すコード付カセッテの実施形態においてトレイ50からDRカセッテ20を取り外して使用するシーケンスを示す。接続ステップ60で、DRカセッテ20をトレイ50から取り外し、コード付き構成のブッキー18に接続する。位置決めステップ62で、DRカセッテ20を被写体である患者14の付近(背後)に設置する。次の準備および曝露ステップ64で、DRカセッテ20を画像受取のために準備し、患者14への曝露を行い、電力供給されたセンサアレイで画像信号を得る。ブッキー18での画像形成が完了すると、転送ステップ66で、取得した画像データを接続ケーブル上でホストプロセットに送信する。その後、オペレータがDRカセッテ20をトレイ50に戻す。
図5のブロック図は、図1Bに示される実施形態においてDRカセッテ20とトレイ50の組み合わせを検出器80として使用するシーケンスを示す。位置決めステップ68で、検出器80を患者14の画像形成を行う位置に設置する。次の準備および曝露ステップ64では、DRカセッテ20を初期化した後に、患者14への曝露を行い、センサアレイで画像信号を取得する。その後、転送ステップ70で、画像データをトレイ50からホストプロセッサ24に転送する。DRカセッテ20に準備および曝露処理を開始させ、取得した画像データの送信を開始させる命令を無線で供給できる。これらの命令は、ホストプロセッサ24(図1B)から出してもよい。検出器80は、患者の背後に設置したままでも、あるいは画像データ伝送のために取り外してもよい。
図6のブロック図は、図1Cに示す実施形態においてDRカセッテ20とトレイ50を使用するシーケンスを示す。取り外しステップ58で、DRカセッテ20をトレイ50から取り外す。位置決めステップ72で、DRカセッテ20を患者14の画像形成を行う位置に設置する。次の準備および曝露ステップ64では、画像取得のためにDRカセッテ20を準備した後に、患者14への曝露を行い、センサアレイで画像データを取得する。画像形成のための曝露が完了したら、再取り付けステップ66でDRカセッテ20をトレイ50に戻す。その後、転送ステップ74で画像データをトレイ50からホストプロセッサ24に転送する。
以上のように、トレイ50は、DRカセッテ20を束縛モード(図1A)、あるいは解放モードで、トレイ50の中に取り付けて検出器80を形成する形態(図1B)、あるいは曝露中はトレイ50から分離し、データ転送中はトレイ50にもう一度嵌め込む形態(図1C)等、さまざまな構成で使用することができるようにするメカニズムとなる。これにより、DRカセッテ20の柔軟な使用が可能となり、DRカセッテをメーカの異なる既存のDRイメージングシステムを改善するものとして使うことができる。そのインタフェースポートにコネクタを正しく係合させることで、トレイ50は、多数の異なる寸法のDRカセッテ20のいずれにも使用でき、例えばフィルムやCRカセッテ式の画像形成に使用される従来のフォームファクタに適合するカセッテも利用できる。得られたデジタル画像をトレイ50から転送させる命令を出すには、さまざまなメカニズムのどれを使ってもよい。データは、取得時に自動的に送信しても、あるいは遠隔ホストプロセッサ24から入力される、またはトレイ50でのスイッチ設定その他のメカニズムによって入力される命令により指示されたときに送信してもよい。
トレイ50を使用することによって、カセッテ用ハウジング自体にオンボード無線通信回路を取り付ける必要性等、DRカセッテ20を完全にポータブルとするために必要とされる事柄のいくつかが不要となる。トレイ50は、輸送やポジショニング中の折り曲げ、つぶれ、落下等からの保護手段となる。
他の実施形態では、トレイ50自体で、または無線通信チャネル上で送信されるオペレータの命令を通じて、オペレータからの1つまたは複数の指示を出すことができる。例えば、「ウェイクアップ」または「スタンバイモード」の命令を入力して、トレイ50を消費電力低減のため等に適した状態としてもよい。
本発明を、特にその好ましい実施形態に関して説明したが、上述の、また付属の特許請求の範囲に記された本発明の範囲内で、当業者は本発明の範囲から逸脱せずに変更や改変を加えることができることが理解されるであろう。例えば、無線通信は、RF(無線周波数)通信でも、赤外線でも、あるいはデータの転送に使用されるその他の無線通信メカニズムでも利用できる。IEEE 802.11bと802.11gをはじめとする多くの種類の無線プロトコルが現在使用され、無線データ通信の当業者の間でよく知られている。
以上のように、束縛型操作、無線操作のいずれによる取得デジタル画像データの転送にも使用できるデジタル放射線撮影装置が提供される。