JP2010208112A - 耐熱性難燃積層体および該積層体を利用した配線ケーブル - Google Patents

耐熱性難燃積層体および該積層体を利用した配線ケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン系化合物等を含有せず、特に難燃性、機械特性に優れた難燃性積層体および配線ケーブルを提供する。
【解決手段】上記課題を解決する手段は、ガラス転移温度が20℃以下のポリエステル系樹脂(A)、メラミンおよび架橋剤の混合物を主成分とするA層の少なくとも片側に、ガラス転移温度が60℃以上のポリエステル系樹脂(B)を主成分とするB層を有する積層体であり、前記積層体のゲル分率が15質量%以上、55質量%以下でありかつ積層体に占めるメラミンの割合が10質量%以上、40質量%以下であることを特徴とする耐熱性難燃積層体および当該積層体を含む配線ケーブル。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性、耐熱性、および機械特性(例えば、引張強度、引張伸度)に優れた難燃性積層体に関するものである。具体的には、電気絶縁材、メンブレンスイッチ回路印刷基材、複写機内部部材、面状発熱体基材、FPC(フレキシブルプリントサーキット)、フラットケーブル、配線ケーブルおよび補強板等に好適に使用可能な耐熱性難燃積層体に関するものである。
ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレンなどの汎用プラスチックは燃焼しやすいため、難燃性を付与するために主としてハロゲン系化合物、特に臭素系化合物が使用されてきた。しかし、ハロゲン系化合物からは燃焼時にダイオキシン類のような有害ガスが発生する場合があり、火災時の死亡事故を誘発するだけでなく、廃棄物焼却処理やサーマルリサイクルの際の安全性にも課題がある。一方、ハロゲン系化合物の代替としてはリン系化合物が広く使用されているが、成形性や耐熱性等の実用面に悪影響を与えるものがある。ポリエステル系樹脂に関して、ハロゲン系、またはリン系化合物を配合することによる難燃化の手法が開示されているが(特許文献1および2)、ハロゲン系難燃剤の安全性問題、および、リン系難燃剤によるポリエステル系樹脂の耐熱性低下等の問題があるため、難燃性、耐熱性、機械特性を全て満足することは技術的に非常に困難である。そこで、上記問題を解決するものとして非ハロゲン、非リンでの難燃化が近年検討されている。
公知のものとしては、ポリエステルフィルムの両面に非可燃性ガスを発生させる樹脂層が積層されたポリエステルフィルムに関する技術が開示されている(特許文献5)。しかしながら、前記ポリエステルフィルムでは、積層フィルムの表面に難燃化層を設置することにより難燃性は付与されるものの、引張強度、衝撃強度等に代表される機械強度の低下が生じるため、実用上十分な技術とは言い難いという問題点があった。
また、低濃度のアリル基を含有する生分解性材料を架橋させる技術(特許文献4)、あるいは、多官能トリアジン化合物を高分子に添加し架橋させる技術(特許文献5)が開示されているが、これらの技術においては、生分解性材料のようなポリエステル系樹脂にアリル基を有する化合物を添加、架橋することで、融点を超えた温度での樹脂の溶融は抑制できても、樹脂の融点を超えた温度では大きく弾性率が低下するため、荷重下における変形を抑制することはできない。
特開平6−79846 特開平9−111100 特開2006−35504 特開2003−313214 特開2004−204195
本発明の耐熱性難燃積層体(以後、本積層体という場合もある)は、ハロゲン系化合物、およびリン系化合物を含有せずに優れた難燃性を有しかつ優れた耐熱性、機械特性をも有する積層体を提供するものである。
本発明者らは、このような現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、効果の高い本発明を完成するに至った。
本発明によれば、ガラス転移温度が20℃以下のポリエステル系樹脂(A)、メラミンおよび架橋剤の混合物を主成分とするA層の少なくとも片側に、ガラス転移温度が60℃以上のポリエステル系樹脂(B)を主成分とするB層を有する積層体であり、前記積層体のゲル分率が15質量%以上、55質量%以下でありかつ積層体に占めるメラミンの割合が10質量%以上、40質量%以下である耐熱性難燃積層体により、優れた、難燃性、耐熱性及び機械特性を有する積層体およびそれを利用した配線ケーブルを提供することができる。尚、本発明でいう、「主成分」とは層の全質量に対して主成分の質量%が50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上のことをいう。
本発明の難燃性積層体は、優れた難燃性、耐熱性、機械特性を有するため、電気絶縁材、メンブレンスイッチ回路印刷基材、複写機内部部材、面状発熱体基材、FPC補強板等の分野に広く使用することができる。また、ハロゲン系化合物、リン化合物を含有しないため、環境汚染等の問題を引き起こすことのない安全性に優れた材料を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<ポリエステル系樹脂(A)>
本発明で使用するポリエステル系樹脂(A)は、ガラス転移温度が20℃以下であることが重要である。この条件を満たすことにより、ガラス転移温度が60℃で以上であるポリエステル系樹脂(B)からなるB層との接着性が良好であり、2次加工、および使用時における層間での剥離を生じることのない積層体を提供することができるだけでなく、優れた機械強度を有する積層体を提供することができる。また、本発明におけるポリエステル系樹脂(A)は、単一の樹脂であっても、二種類以上の樹脂の混合物であってもよい。
本積層体に用いるポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度は、20℃以下、好ましくは10℃以下であり、さらに好ましくは0℃以下である。ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度が20℃以下であれば、成形時、二次加工時、および使用時において、ポリエステル系樹脂(B)からなるB層との剥離という問題が発生しないだけでなく、優れた機械特性(特に引張伸度)を本発明の積層体に付与することができる。尚、本積層体に用いるポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度の下限値は特に限定されるものではないが、前記ガラス転移温度が−100℃以上であれば、全ての実用温度域において、ポリエステル系樹脂(B)からなるB層との優れた接着強度が得られる。また、本積層体に用いるポリエステル系樹脂(A)の結晶融解熱量ΔHmが40J/g以下、好ましくは35J/g以下、より好ましくは30J/g以下であれば、さらにB層との接着強度を向上することができる。
上記ポリエステル系樹脂(A)としては、ガラス転移温度が20℃以下である脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、またはポリエステル系ホットメルト接着剤等を単独、または混合することによって使用することができる。
上記脂肪族ポリエステルとしては、コハク酸、および1,4−ブタンジオールを重合して得られるポリブチレンサクシネート(三菱化学社製「GSPla」AZシリーズ、昭和高分子社製「ビオノーレ」#1000シリーズ等が挙げられる。
上記脂肪族ポリエステルとしては、コハク酸、1,4−ブタンジオール、およびアジピン酸を重合して得られるポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体(三菱化学社製「GSPla」ADシリーズ、昭和高分子社製「ビオノーレ」#3000シリーズ等が挙げられる。
上記芳香族脂肪族ポリエステルとしては、アジピン酸、1,4―ブタンジオール、およびテレフタル酸を重合して得られるポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体(BASF社製「エコフレックス」シリーズ、Eastman Chemicals社製の「Eastar Bio」シリーズ)等が挙げられる。
上記脂肪族ポリエステル、および芳香族脂肪族ポリエステルの重量平均分子量の下限値は、50,000以上、好ましくは80,000以上、さらに好ましくは100,000以上であり、芳香族脂肪族ポリエステルの重量平均分子量の上限値は400,000以下、好ましくは300,000以下さらに好ましくは250,000以下である。芳香族脂肪族ポリエステルの重量平均分子量が、50,000以上であれば、使用時における機械物性等の低下が発生せず、芳香族脂肪族ポリエステルの重量平均分子量が、400,000以下である場合には、加工時における粘度が最適となり、積層体の厚み不良、あるいは、メラミンの分散不良という問題が発生しない。
なお、上記重量平均分子量は、次の方法で測定を行なった。すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、溶媒としてクロロホルムを使用し(溶液濃度0.2wt/vol%、溶液注入量200μl、溶媒流速1.0ml/分、溶媒温度40℃)て測定を行い、ポリスチレン換算で、ポリエステル系樹脂の重量平均分子量を算出した。用いた標準ポリスチレンの重量平均分子量は、2,000,000、430,000、110,000、35,000、10,000、4,000、600である。
上記ポリエステル系ホットメルト接着剤としては、二塩基酸とグリコールとの重縮合ポリマーであるポリエステル系ホットメルト樹脂を主成分として含有する樹脂組成物(東洋紡績社性「バイロン」(登録商標)シリーズ、日本合成化学工業社製「ニチゴーポリエスター」シリーズ)等が挙げられる。ポリエステル系ホットメルト接着剤の原料モノマーとして用いられる二塩基酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、グリコールの具体例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ポリオキシレングリコール等が挙げられる。本積層体においては、アジピン酸や1,4−ブタンジオール等を分子骨格に含むポリエステル樹脂からなるホットメルト樹脂が好ましく用いられる。
上記ポリエステル系ホットメルト接着剤の重量平均分子量の下限値は、20,000以上、好ましくは25,000以上、さらに好ましくは30,000以上であり数平均分子量の上限値は、120,000以下、好ましくは110,000以下、さらに好ましくは100,000以下である。ポリエステル系ホットメルト接着剤の重量平均分子量20,000以上、120,000以下の範囲であれば、実用上十分な機械特性を有しかつ溶融粘度が適当であるために、成形加工に問題が発生する可能性が低い。
<メラミン>
メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)とは、有機化合物であり、構造の中心にトリアジン環を持つ有機窒素化合物の一種である。
本発明で使用するメラミンの平均粒径は、10μm以下、好ましくは8μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。メラミンの平均粒径を10μm以下とすることにより、本積層体の難燃性および機械強度を向上させることができる。尚、前記平均粒径は、メラミンを円相当形として計算した値である。
本積層体全体に占めるメラミンの含有率は、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下であることがより好ましい。本発明の積層体を構成する樹脂組成物に占めるメラミンの含有率が10質量%以上である場合には、十分な難燃性を付与することができる。一方、メラミンの含有率が40質量%以下である場合には、難燃性が無い層の機械物性が著しく低下しなく、積層体全体としての機械物性を損なうことがない。
また、表面処理を施したメラミンを使用することもできる。表面処理を施す場合の表面処理剤の具体例としては、エポキシシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン、アミノシラン、イソシアネートシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、高級脂肪酸等が挙げられる。これらの表面処理剤でメラミンを処理することによって、メラミンの分散性を向上し、本発明の積層体の難燃性をさらに向上することができる。
前記した表面処理を施したメラミンを使用する場合には、表面処理を施したメラミンと表面処理を施していないメラミンとを混合して使用しても良いし、表面処理を施したメラミンのみで使用してもよい。表面処理を施したメラミンの含有率は、本積層体の全メラミン成分の質量に対して下限値は、10質量%以上、このましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上であり、上限値は、100質量%以下、このましくは80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。10質量%以上であれば、表面処理により優れた分散性を付与することができ、100質量%以下であれば機械物性の低下、粘度上昇という問題が発生しない。
<架橋剤>
本発明に用いる架橋剤としては、分子内にアクリル基・メタクリル基・アリル基・ビニル基等の官能基を2個以上有する分子量が概ね2000以下の化合物が好適に使用できる。具体的には、ジアリルイソシアネート、トリアリルイソシアネート、ジメタアリルイソシアネート、トリメタアリルイソシアネート、ジアリルモノグリシジルイソシアネート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールメタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン等が挙げられる。
上記架橋剤の配合量としては、A層に占める架橋剤の割合が、0.1質量%以上、5質量%以下であることが好ましく、0.5質量以上、4質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上、3質量%以下であることがさらに好ましい。かかる範囲で架橋剤を配合することにより十分なゲル分率が得られ、積層体に優れた耐熱性を付与することができる。
<ポリエステル系樹脂(B)>
本発明に用いるポリエステル系樹脂(B)としては、ガラス転移温度が60℃以上であることが重要である。この条件を満たすことにより、優れた耐熱性を有する積層体を提供することができる。ポリエステル系樹脂(B)の具体例としては、多価カルボン酸と多価アルコールを重合して得られる芳香族ポリエステル、乳酸系樹脂等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。
本積層体に用いるポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度の下限値は、60℃以上、好ましくは65℃以上であり、さらに好ましくは70℃以上である。ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度の下限値が60℃以上であれば、二次加工時、および使用時における、耐熱性不足という問題が発生しない。尚、本積層体に用いるポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度の下限値は特に限定されるものではないが、前記ガラス転移温度が100℃以下であれば、十分な難燃性、耐熱性、機械特性を備えた積層体が得られる。また、本積層体に用いるポリエステル系樹脂(B)の結晶融解熱量ΔHmの下限値が、45J/g以上、好ましくは50J/g以上、さらに好ましくは、55J/g以上であれば、より耐熱性に優れた積層体を提供することができる。
前記多価カルボン酸と多価アルコールを重合して得られる脂肪族、芳香族ポリエステルに用いられる多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分が挙げられる。これらの多価カルボン酸成分は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また多価アルコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノー、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)などが挙げられる。これらの多価アルコール成分は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
前記多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とにより構成されるポリエステル系樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。この中でも特に耐熱性の点からポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。
前記多価カルボン酸と多価アルコールを重合して得られるポリエステル系樹脂(B)の重量平均分子量は、通常30,000以上、好ましくは35,000以上、さらに好ましくは40,000以上であり、通常80,000以下、好ましくは75,000以下、さらに好ましくは70,000以下である。重量平均分子量が30,000以上であれば、適度な樹脂凝集力が得られ、積層体の強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、重量平均分子量が80,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点からは好ましい。
本積層体の全層厚に対するA層の厚さの割合は、全積層体を構成する樹脂組成物中に占めるメラミンの割合が10質量%以上、40質量%以下となるように適宜調整することが可能であるが、層厚は、通常20%以上、好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上であり、70%以下、好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。A層の層厚の割合を20%以上、70%以下とすることにより、本発明の積層体に十分な難燃性、耐熱性、機械特性を付与することができる。
<カルボジイミド化合物>
本積層体にさらに耐加水分解性を付与するために、カルボジイミド化合物を配合することができる。
カルボジイミド化合物は、下記一般式の基本構造を有するものが挙げられる。
−(N=C=N−R−)n−
(上記式において、nは1以上の整数を示す。Rはその他の有機系結合単位を示す。これらのカルボジイミド化合物は、Rの部分が、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかでもよい。)
通常nは1〜50の間で適宜決められる。
具体的には、例えば、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等およびこれらの単量体が挙げられる。該カルボジイミド化合物は、1種、または2種以上組み合わせて用いられる。
前記カルボジイミド化合物の配合量としては、ポリエステル系樹脂(A)、または/および、ポリエステル系樹脂(B)の100質量部に対して、0.5質量部以上、m、10質量部以下の割合で配合することが好ましく、1質量部以上、5質量部以下の割合で配合することがより好ましい。かかる範囲を下回る場合、耐久性を付与する効果が低く、かかる範囲を上回る場合、樹脂組成物の軟質化を生じるため耐熱性を損なう場合がある。
また本積層体の効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などが含有されていてもよい。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
これらの中でも無機の粒子、例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、金属微粉末などを添加した場合には易滑性、耐傷性などが向上するので好ましい。無機粒子の平均粒子径は0.005μm以上、5μm以下であることが好ましく、0.05μm以上、1μm以下であることがより好ましい。また、その添加量は、A層を構成する樹脂組成物、B層、またはA層およびB層間の接着層を構成する樹脂組成物のそれぞれに対して、0.05質量%以上、20重量%以下の割合で配合することが好ましく、0.1質量%以上、10重量%以下の割合で配合することがより好ましい。添加量が多すぎる場合には、成型加工性が低下する場合がある
<成形方法>
本積層体の成形方法について以下に示す。
本積層体におけるA層とB層の積層方法としては、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等により積層することができる。
共押出の場合、A層とB層を複数台の押出機を用いてフィードブロックやマルチマニホールドダイを通じ樹脂を合流させ、本積層体を成形する。本積層体にさらに耐熱性、機械強度を付与するには、前記工程にて得られた積層体をロール法、テンター法、チューブラー法等を用いて一軸、もしくは、二軸に延伸することができる。本積層体は、A層およびB層、A層またはB層を延伸することが可能である。A層および/またはB層の延伸倍率は、MD(長手方向)に1.5倍、このましくは3倍、さらにこのましくは5倍、TD(横手方向)に1.5倍、このましくは3倍、さらにこのましくは5倍である。また、延伸はMDおよび/またはTDに行うことができるが、耐熱性、機械特性の向上の観点からMDおよびTDに延伸することが好ましい。
押出ラミネートの場合、ポリエステル系樹脂(B)を単軸あるいは二軸押出機を用いてTダイ、Iダイ等から押出を行った後、ロール法、テンター法、チューブラー法等を用いてB層となる単層体を得る。続いて、ポリエステル系樹脂(A)、メラミン、架橋剤、およびその他添加剤との混合物を主成分とする難燃性を有さないA層の両面に、A層のキャスティングと同時に前記B層をラミネートすることで積層体を得ることができる。
熱ラミネート、およびドライラミネートの場合、ポリエステル系樹脂(A)、メラミン、架橋剤およびその他添加剤の混合物を単軸、または二軸押出機を用いてTダイ、Iダイ等から押出し、A層となる単層体を得る。また、同様の方法を用いてポリエステル系樹脂(B)からなるB層を作製する。続いて、A層およびB層を加熱下、または層間に接着層を配置することでラミネートを行い、A層およびB層からなる積層体を得ることができる。
なお、本積層体を延伸した場合、いずれの場合も積層体の熱収縮を抑制するために、延伸後シートを把持した状態でヒートセットを行うことが好ましい。通常、ロール法では延伸後加熱ロールに接触させてヒートセットを行い、テンター法ではクリップでシートを把持した状態でヒートセットを行う。ヒートセット温度は使用する樹脂の種類によるが、使用する樹脂の融点よりも約10〜100℃低い温度でヒートセットを行うことが好ましい。また、両外層となるポリエステル樹脂層のインキ密着性をさらに向上させる目的で、コロナ処理などの放電処理、火炎処理などの表面処理を施すことができる。
次に、上記方法で得られた本積層体に耐熱性を付与するため、電離性放射線の照射による架橋を行うことが重要である。電離性放射線としては、紫外線・電子線・α線、β線、γ線、中性子線等が挙げられるが、より効率良く架橋を進行させるためには電子線、およびγ線を用いることが好ましい。また、電離性放射線の照射線量としては、10kGy以上、100kGy以下であることが好ましく、20kGy以上、80kGy以下であることがより好ましく、30kGy以上、70kGy以下であることがさらに好ましい。かかる範囲の照射線量で電離性放射線を照射することにより、十分に架橋が進行し、本積層体に優れた耐熱性を付与することができる。照射時間は特に限定されるものではなく、本積層体の架橋反応が十分に完了する時間を行えばよい。
この時、本発明の積層体のゲル分率が、15質量%以上、55質量%以下であることが重要であり、20質量%以上、40質量%以下であることがより好ましく、25質量%以上、45質量%以下であることがさらに好ましい。ゲル分率が15質量%未満である場合には十分な耐熱性付与効果が得られず、55質量%を超える場合には過剰な架橋により外観、機械強度を損なう場合がある。
<用語の説明>
本明細書において「配線ケーブル」とは、金属導体を樹脂フィルムで被覆してなる構成を備えたものを意味し、例えば2以上の金属導体を並べ、これらの樹脂フィルムで被覆してなる構成を備えたフラットケーブルが代表例である。
本積層体は、優れた難燃性、耐熱性、機械特性を兼ね備えているため、電気絶縁材、メンブレンスイッチ回路印刷基材、複写機内部部材、面状発熱体基材、FPC補強板等の用途に用いることができる。
<ガラス転移温度、結晶融解熱量の測定>
本積層体で使用するポリエステル系樹脂(A)およびポリエステル系樹脂(B)ついてのガラス転移温度および結晶融解熱量の測定方法について以下に説明する。
(1)ポリエステル系樹脂(A)またはポリエステル系樹脂(B)を直径5mm の10mg 程度の鱗片状にして、試験サンプルとする。
(2)前記(1)で得られた試験サンプルを、示差走査熱量計(DSC)によりJIS−K7121に基づいて試験片を200℃で2分保持した後、10℃/分の速度にて−40℃まで降温した。次いで、−40℃から200℃まで10℃/分にて昇温測定を行う。なお、一連の測定は窒素雰囲気下にて行なった。示差走査熱量計:パーキンエルマー製DSC−7
(3)前記(2)の測定により得られたサーモグラムよりガラス転移温度および結晶融解熱量を読み取る。
<ゲル分率の測定>
本積層体を構成する樹脂組成物のゲル分率の測定方法について、以下に説明する。
1)積層体から切り取った0.25gの試験片をクロロホルム20mlに、23℃で5時間溶解させる。
2)前記1)で作製した溶液をSigma Laborzentrifugen GmbH社製テーブルトップ高速冷却遠心機3−18Kを用いて、回転速度11,400rpmで不溶解物の分離を行った。
3)前記2)で得られた不溶解物を乾燥し、樹脂成分以外の成分(例えばメラミン、無機物)を差し引いた後、以下の式にてゲル分率を算出した。
ゲル分率(質量%)=A/B×100
A:前記3)にて得られた樹脂成分以外の成分(例えばメラミン、無機物)の質量を差し引いた後の樹脂成分の不溶解物の質量
B:積層体中に占める樹脂成分以外の成分(例えばメラミン、無機物)の質量を差し引いた樹脂成分の理論質量
尚、メラミンの配合量があらかじめわからない時は、IR(赤外吸収分析)測定によりメラミンのトリアジン環由来のピーク(815cm−1)の強度によりメラミンの添加量の算定を行う。また、無機物質の配合量があらかじめわからない場合は、元素分析で無機元素の総和から無機物資の添加量の算定を行う。
以下に実施例および比較例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例および比較例中に示す結果は以下の方法で評価を行った。
(1)難燃性
<UL94VTM>
本積層体の難燃性の評価は、以下のようにUL94垂直燃焼試験により評価を行なった。すなわち、長さ200mm×幅50mm(厚みはそれぞれの試験片により異なる)の評価用サンプルを用いて、Underwriters Laboratories社の安全標準UL94垂直燃焼試験の手順に基づき、試験回数5回にて燃焼試験を実施した。UL94垂直燃焼試験UL94VTMの判定基準に基づき、VTM−0規格を満たす積層体を合格とした。
<燃焼時間>
前記UL94VTM試験において、燃焼時間を以下の手順に従って評価した。
1)バーナーの炎の長さが20mm±1mmとなるように調整し、試験積層体に炎が10mm±1mm接するようにして、所定の時間接炎する。
2) 次に、前記バーナーの炎を試験積層体から外し、試験積層体の燃焼時間をt1とする。
3)前記2)での燃焼時間終了後、所定の時間、前記<1>と同様の方法で接炎する。
4)次に、3)での接煙を外した後の、試験積層体の燃料時間をt2とする。さらに試験積層体の無煙燃焼時間をt3とする。
なお、表1および2に記載してある燃焼時間は、実施例、比較例に記載してある構成の試験積層体5組のt1、t2およびt3の合計時間を記載した(VL94VTM試験準拠)
(2)引張強度、引張伸度
長さ200mm×幅15mm(厚みはそれぞれの試験片により異なる)の評価用サンプルを用いて、JIS C 2318に基づき、引張破断強度、引張破断伸度の測定を行った。破断時の強度と伸びを測定しn=5での平均値を求めた。雰囲気温度23℃、相対湿度50%、引張り速度100mm/min、つかみ間隔100mmにて測定を行い、破断時の強度と伸度を測定し、n=5での平均値を求めた。引張強度は100MPa以上、引張伸度は100%以上を合格とした。
(3)耐熱性 (軟化温度)
長さ5mm×幅5mm(厚みはそれぞれの試験片により異なる)の評価用サンプルを用いて、JIS K7196に基づき、TMAによる軟化温度の測定を行った。雰囲気温度23℃、相対湿度50%、圧子への圧力0.5N、昇温速度5℃/分にてTMA曲線を測定し、圧子が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点を針侵入温度とし、この値から軟化温度を算出した。軟化温度は140℃以上を合格とした。
<B層の作製>
「B層−1」
ポリエステル系樹脂として三菱化学社製ノバペックス(ポリエチレンテレフタレート、ガラス転移温度=79℃、ΔHm=55J/g)を用い、まず、ノバペックスを直径40mm単軸押出機にて260℃で混練した後、口金から押出し、次いで約40℃のキャスティングロールにて急冷し、厚さ225μmの非晶シートを作製した。次いで、三菱重工株式会社製逐次2軸テンターに通紙し、95℃でMD(長手方向)に延伸倍率で3倍に延伸を行い、続いて、110℃でTD(横手方向)に延伸倍率で3倍に延伸を行った。さらにその後、160℃で15秒熱処理を行い、厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得た。
「B層−2」
前記B層−1と同様の方法、条件で厚さ108μmの非晶シートを作製した後、前記B層−1と同様の方法、条件で延伸を行い、厚さ12μmの二軸延伸フィルムを得た。
「B層−3」
ポリエステル系樹脂として、Nature Works社製NW4032D(ポリ乳酸、ガラス転移温度=55℃、ΔHm=42J/g)を用いた以外は、「B層−1」と同様の方法で厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得た。
(実施例1)
A層として、三菱化学社製GSPla AZ91T(ポリブチレンサクシネート、ガラス転移温度=−30℃、ΔHm=54.0J/g)、日産化学工業社製微粉メラミン(メラミン)および日本化成社製TMAIC(トリメタアリルイソシアネート)の混合物を用い、GSPla AZ91T、微粉メラミン、およびTMAICを混合質量比69:30:1の割合でドライブレンドした後、直径40mm同方向二軸押出機を用いて190℃で混練し、55℃のキャスティングロールで厚さ50μmのシート(A層)を得た。次いで、A層の両外層として、B層−1をキャストロール側とニップロール側から貼り合わせることにより、層構成が、B−1/A/B−1となる厚さ100μmの積層体を得た。続いて、積層体に照射線量50kGyで放射線(γ線)を照射した。得られた積層体について、ゲル分率、難燃性、引張強度、伸度、および耐熱性の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例2)
GSPla AZ91T、微粉メラミン、およびTMAICの混合質量比を59:40:1とした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
GSPla AZ91T、微粉メラミン、およびTMAICの混合質量比を49:50:1とした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
GSPla AZ91T、微粉メラミン、およびTMAICの混合質量比を59.5:40:0.5とした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
GSPla AZ91T、微粉メラミン、およびTMAICの混合質量比を57:40:3とした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例2にて、A層の厚みを20μmとした以外は同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例3にて、A層の厚みを70μmとした以外は同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例2にて、A層の厚みを30μmとし、B層としてB−2を用いた以外は同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
GSPla AZ91T、微粉メラミン、およびTMAICの混合質量比を39:60:1、A層の厚みを35μmとし、B層としてB層−2を用いた以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
ポリエステル系樹脂(A)として三菱化学社製GSPla AD92W(ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ガラス転移温度=−40℃、ΔHm=35J/g)を用い、GSPla AD92W、微粉メラミンおよびTMAICを混合質量比59:40:1でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
GSPla AD92W、微粉メラミン、およびTMAICの混合質量比を49:50:1、A層の厚みを70μmとした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
架橋剤として、四国化成工業社製DA−MGIC(ジアリルモノグリシジルイソシアネート)を用い、GSPla AZ91T、微粉メラミン、およびDA−MGICの混合質量比を59:40:1とした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
GSPla AZ91T、微粉メラミン、およびTMAICの混合質量比を84:15:1とした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
GSPla AZ91T、微粉メラミン、およびTMAICの混合質量比を39:60:1、A層の厚みを150μmとした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例2にて、架橋剤を配合せずに積層体の作製、評価を行った結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例2と同様のA層を作製し、B層を貼り合わせていない単層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例3にて、A層の厚みを10μmとした以外は同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例6)
メラミンの代わりに日産化学工業社製MC−860(メラミンシアヌレート)を用い、GSPla AZ91T、MC−860、およびTMAICの混合質量比を59:40:1とした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例7)
メラミンの代わりに昭和電工社製H42S(水酸化アルミニウム)を用い、GSPla AZ91T、H42S、およびTMAICの混合質量比を59:40:1とした以外は実施例1と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例8)
A層として、東洋紡績社製バイロン(登録商標)GA1310(ポリエステル系共重合体(テレフタル酸35mol%、イソフタル酸15mol%、1,4−ブタンジオール50mol%)、ガラス転移温度=27℃、ΔHm=26.1J/g)を用い、GA1310、微粉メラミン、およびTMAICの混合質量比を49:50:1とした以外は実施例3と同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例9)
実施例3にて、B層としてB層−3を用いた以外は同様の方法で積層体の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2010208112
表1より、実施例1〜12の本積層体の難燃性は、UL94VTMを合格し、燃焼時間が少なく良好であり、耐熱性等も良好であり、機械的強度も十分であるために総合評価が○となった。
一方、比較例1は、メラミンの全積層体に対する質量%が所定の範囲内で無い為に、難燃性が劣った。比較例2は、メラミンの全積層体に対する質量%が所定の範囲内で無い為に、引張強度、引張伸度、軟化温度が劣った。比較例3は架橋剤を添加しなく、ゲル分率が所定の範囲内になく、軟化温度が劣った。比較例4はB層を配さなかった為、引張強度、引張伸度、軟化温度が劣った。比較例5は、A層の厚みが薄い為に、メラミンの全積層体に対する質量%が低くなり難燃性が劣った。比較例6は、メラミンではなくメラミンシアヌレートを添加した為に、難燃性が劣った。比較例7は、メラミンではなく水酸化アルミニウムを添加した為に、難燃性が劣った。比較例8は、ポリエステル系樹脂(A)が所定のガラス転移温度を有してない為に、引張伸度が劣った。比較例9は、ポリエステル系樹脂(B)が所定のガラス転移温度を有さないので軟化温度が低く耐熱性が劣った。
上述したように、本積層体は、特定のポリエステル樹脂を使用し、特定の分量の特定のメラミンを使用しているので良好な難燃性、耐熱性を有する。また、本積層体で作製した配線ケーブル、フラットケーブル、電気絶縁材、メンブレンスイッチ回路印刷基材、複写機内部部材、面状発熱体基材、FPC補強板等は、難燃性、耐熱性および折り曲げ性が良好である。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う制電性樹脂成形体および該成形体の製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (7)

  1. ガラス転移温度が20℃以下のポリエステル系樹脂(A)、メラミンおよび架橋剤の混合物を主成分とするA層の少なくとも片側に、ガラス転移温度が60℃以上のポリエステル系樹脂(B)を主成分とするB層を有する積層体であり、前記積層体のゲル分率が15質量%以上、55質量%以下でありかつ積層体に占めるメラミンの割合が10質量%以上、40質量%以下であることを特徴とする耐熱性難燃積層体。
  2. A層に占める架橋剤の割合が、0.1質量%以上、5質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性難燃積層体。
  3. 架橋剤が、トリメタアリルイソシアネートであることを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱性難燃積層体。
  4. ポリエステル系樹脂(A)が、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体の内から選ばれる少なくとも1種類以上のポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱性難燃積層体。
  5. ポリエステル系樹脂(B)が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートの内から選ばれる少なくとも1種類以上のポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱性難燃積層体。
  6. B層が、少なくとも1方向に延伸されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐熱性難燃積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の耐熱性難燃積層体により構成された配線ケーブル。
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