JP2010207785A - 排水の処理方法及び排水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機物とアンモニア性窒素とを含有する原水を浄化処理する方法であって、工程A:原水を、原生動物の実質的不存在下、細菌によって好気的に処理を行う細菌槽に導入して細菌処理し、該細菌により排水中の有機物を生物分解し、増殖した細菌を固液分離処理して除去する有機物の分解工程;工程B:工程Aで得た処理水中のアンモニア性窒素の一部を、好気的条件下、アンモニア酸化細菌で亜硝酸性窒素に酸化する工程;工程C:工程Bで亜硝酸化された亜硝酸性窒素と、工程Bで亜硝酸性窒素に酸化されなかったアンモニア性窒素とを含む被処理水を、脱窒槽内で、嫌気的条件下、独立栄養性脱窒細菌により上記処理水を脱窒処理する工程を有する排水処理方法。
【選択図】図1
Description
工程A:上記原水を、原生動物の実質的不存在下、細菌によって好気的に処理を行う細菌槽に導入して細菌処理し、該細菌により上記排水中の有機物を生物分解し、増殖した細菌を固液分離処理して除去する有機物の分解工程;
工程B:工程Aで得た処理水中のアンモニア性窒素の一部を、好気的条件下、アンモニア酸化細菌により亜硝酸性窒素に酸化する工程;及び、
工程C:工程Bで亜硝酸化された亜硝酸性窒素と、工程Bで亜硝酸性窒素に酸化されなかったアンモニア性窒素とを含む被処理水を、脱窒槽内で、嫌気的条件下、独立栄養性脱窒細菌により上記処理水を脱窒処理する工程。
図1は、本発明の排水の処理方法の概略を示すフロー図である。原水(排水)は、まず排水供給路1から細菌槽2に導入され、好気的条件下で処理される。本発明で処理の対象となる排水は、有機物とアンモニア性窒素とを含有する排水である。本発明で使用する細菌槽2は、従来の活性汚泥法に比べて高負荷運転が可能であるため、高濃度の有機物を含有する排水をそのまま処理することができるという利点があり、有機物を高濃度に含有する排水に適用可能である。本発明の排水の処理方法で処理対象とできる具体的な排水としては、鉄鋼の洗浄排水、めっき工場排水、嫌気性消化脱離液、及び食品加工排水などが挙げられる。
<人工排水の調製>
図2に記載の処理フローからなる排水処理の試験装置を作製し、表1に示した組成の人工排水の処理を連続して行った。なお、表1中のsolution 1とsolution 2の組成は、それぞれ、表2及び表3に示す通りである。
細菌槽2としては、容量0.8Lの曝気槽を使用し、細菌には非凝集性細菌を用いた。具体的には、特公昭56−48235号公報に記載の方法で、処理槽内を、原生動物が実質的に存在せず、非凝集性細菌が選択的に生息する環境にした。
表4に、細菌槽2、亜硝酸化槽4及び脱窒槽6における処理条件を示した。また、表4中に比較例で使用した活性汚泥槽における処理条件を合わせて示した。
上記で調製した人工排水を使用して、図2に示した処理フローに従って処理を行った。なお、処理前における人工排水の分析結果を表5に示した。まず、人工排水を細菌槽2に導入し、表4に記載の条件で好気処理した。処理後における処理水についての分析結果を表5に示した。この結果、BODで示される有機物が分解し、SSで示される懸濁質成分(細菌)に変化したことが確認した。次に、固液分離処理でSSを除去し、その後、処理した処理水を亜硝酸化槽4に導入し、表4に記載の条件で亜硝酸化処理を行った。その際、処理した処理水の半量を亜硝酸化処理し、残りの処理水は、亜硝酸化処理せずに脱窒槽6に導入されるように設計した。亜硝酸化処理後の処理水の分析結果を表5に示した。次に、固液分離処理でSSを除去した亜硝酸化処理をしない処理水と、亜硝酸化処理後の処理水とを脱窒槽6に導入し、表4に記載の条件で脱窒処理した。脱窒処理後の処理水の分析結果を表5に示した。なお、表5においては、アンモニア性窒素は「NH4−N」で表し、亜硝酸性窒素は「NO2−N」で表し、硝酸性窒素は「NO3−N」で表す。
表1に記載の組成の人工排水を、細菌槽に代えて活性汚泥槽で有機物の分解処理を行い、固液分離した処理水を用いた以外は実施例1と同様にして、処理を行った。活性汚泥槽の運転条件を表4に示し、最終処理水の水質の分析結果を表5に示した。
細菌槽で処理後に固液分離処理でSSを除去した処理水の亜硝酸化槽4への導入量が、脱窒槽6への導入量の2倍(すなわち、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素のモル比が1:2)になるようにしたこと以外は、実施例1と同様の方法で人工排水を処理した。その際の脱窒処理後における最終処理水の水質を表5に示した。
細菌槽で処理後に固液分離処理でSSを除去した処理水の亜硝酸化槽4への導入量が、脱窒槽6への導入量の2.5倍(すなわち、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素のモル比が1:2.5)になるようにしたこと以外は、実施例1と同様の方法で人工排水を処理した。その際の脱窒処理後における最終処理水の水質を表5に示した。
図3に記載の処理フローの排水処理装置を製造し、表1の組成の人工排水の処理を行った。細菌槽2で処理した処理水の全量を亜硝酸化槽4へと送り、そのアンモニア性窒素の一部を亜硝酸性窒素に変換し、これを脱窒槽6へと導入して、アナモックス細菌で処理した。本実施例の場合は、亜硝酸化槽4と、脱窒槽6の後にそれぞれ沈殿槽8A及び8Bを設置し、固液分離処理を行い、分離した汚泥の一部をそれぞれの槽に返送した。それぞれの固液分離処理の後の処理水の水質を表5に示した。亜硝酸化槽4内で、アンモニア性窒素を亜硝酸性窒素に変換する際のコントロールは、pH、DO、HRTによって行い、脱窒槽6内における被処理水のアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との比率が1:1となるように制御した。
2:細菌槽
3、3A、3B、5、7:流路
4:亜硝酸化槽
6:脱窒槽
8、8A、8B:沈殿槽
9:固液分離装置
Claims (10)
- 有機物とアンモニア性窒素とを含有する原水を浄化処理する方法であって、下記の工程A〜Cを有することを特徴とする排水処理方法。
工程A:上記原水を、原生動物の実質的不存在下、細菌によって好気的に処理を行う細菌槽に導入して細菌処理し、該細菌により上記排水中の有機物を生物分解し、増殖した細菌を固液分離処理して除去する有機物の分解工程;
工程B:工程Aで得た処理水中のアンモニア性窒素の一部を、好気的条件下、アンモニア酸化細菌により亜硝酸性窒素に酸化する工程;及び、
工程C:工程Bで亜硝酸化された亜硝酸性窒素と、工程Bで亜硝酸性窒素に酸化されなかったアンモニア性窒素とを含む被処理水を、脱窒槽内で、嫌気的条件下、独立栄養性脱窒細菌により上記処理水を脱窒処理する工程。 - 工程Bで、工程Aで得た処理水の一部を亜硝酸化槽に導入し、該亜硝酸化槽内で、好気的条件下、アンモニア酸化細菌により処理水中のアンモニア性窒素のほぼ全てを亜硝酸性窒素に酸化し、亜硝酸化槽からの亜硝酸性窒素を含む処理水と、亜硝酸化槽に導入しない工程Aからのアンモニア性窒素を含む処理水とを脱窒槽に導入して工程Cの処理をする請求項1に記載の方法。
- 工程Bで、工程Aで得た処理水の全部を亜硝酸化槽に導入し、該亜硝酸化槽内で、好気的条件下、アンモニア酸化細菌により処理水中のアンモニア性窒素の一部を亜硝酸性窒素に酸化し、亜硝酸化槽内からの処理水を脱窒槽に導入して工程Cの処理をする請求項1に記載の方法。
- 工程Cの脱窒槽内に導入された被処理水中のアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素のモル比が1:1〜2となるように、工程Aで得た処理水中のアンモニア性窒素を工程Bで亜硝酸化させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程Aで使用する細菌が非凝集性細菌であり、増殖した非凝集性細菌の除去を、加圧浮上分離処理を少なくとも含む固液分離処理によって行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、前記工程Bの処理水又は工程Cの処理水を固液分離処理する工程を設ける請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 原水が、鉄鋼の洗浄排水、めっき工場の排水、嫌気性消化脱離液、食品加工排水のいずれかである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 有機物とアンモニア性窒素とを含有する原水を浄化処理するための排水処理装置であって、上記原水を導入し、原生動物の実質的不存在下、細菌によって好気的に処理を行う細菌槽と、
増殖した細菌を除去するための固液分離処理槽と、
細菌槽で処理した処理水の少なくとも一部についてアンモニア性窒素を、好気的条件下、アンモニア酸化細菌で亜硝酸性窒素に酸化するための亜硝酸化槽と、
細菌槽で処理され、かつ、亜硝酸化槽で亜硝酸化された亜硝酸性窒素を含む処理水と、細菌槽で処理され、かつ、亜硝酸化槽での亜硝酸化がされなかったアンモニア性窒素を含む処理水とを被処理水として、嫌気的条件下、独立栄養性脱窒細菌により上記処理水を脱窒処理するための脱窒槽とを少なくとも備えてなることを特徴とする排水処理装置。 - 細菌槽で処理した処理水を、脱窒槽に導入する処理水と、亜硝酸化槽に導入する処理水とに分配するための導入路を有し、該導入路によって、脱窒槽に導入する処理水と亜硝酸化槽に導入する処理水との導入比率が1:1〜2となるように構成されている請求項8に記載の装置。
- 細菌槽の細菌が非凝集性細菌であり、増殖した細菌を除去するための固液分離処理槽に、加圧浮上分離処理槽を有する請求項8又は9に記載の装置。
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