JP2010207561A - 車椅子乗車可能な自動車及び車椅子乗車方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車体側部のドア開口から車椅子を乗車させ、その車椅子を容易に前向きの姿勢にさせることのできる自動車と、その車椅子乗車方法を提案する。
【解決手段】運転席13と助手席14と後席15の各シートクッション30,31,16を、立ち上がった状態の各シートバック32,33,17の着座者支え面35,36,18にそれぞれ重なった状態に立ち上げると共に、助手席14をインストルメントパネル37に隣接した最前方位置に移動させ、かつ運転席13をそのシートバック17が後席15のシートクッション17に当接した最後方位置に移動させ、車体2の側部のドア開口の下部と路面とに架け渡した車椅子乗降板1上で車椅子11の車輪を転動させながら該車椅子11を路面29から車室R内へ移動させ、次いで車R室内に移動した車椅子11を前方を向いた姿勢に回転させる。
【選択図】図3
【解決手段】運転席13と助手席14と後席15の各シートクッション30,31,16を、立ち上がった状態の各シートバック32,33,17の着座者支え面35,36,18にそれぞれ重なった状態に立ち上げると共に、助手席14をインストルメントパネル37に隣接した最前方位置に移動させ、かつ運転席13をそのシートバック17が後席15のシートクッション17に当接した最後方位置に移動させ、車体2の側部のドア開口の下部と路面とに架け渡した車椅子乗降板1上で車椅子11の車輪を転動させながら該車椅子11を路面29から車室R内へ移動させ、次いで車R室内に移動した車椅子11を前方を向いた姿勢に回転させる。
【選択図】図3
Description
本発明は、運転席と助手席とその後方に位置する後席とが配置された車室内に、車体側部のドア開口から車椅子を乗車させることのできる自動車と、その車椅子乗車方法に関するものである。
車椅子利用者が車椅子に乗ったまま車室内に乗車できる自動車は従来より周知である(特許文献1参照)。そのうちの1つに、車体側部のドア開口から車椅子を乗車させることのできる自動車が知られている。
図15は、この形式の自動車の一例を示す側面図であり、図16及び図17は、車椅子を当該自動車の車室内に乗車させるときの概略を示した部分断面平面図である。これらの図における矢印Frは自動車の前進方向を示し、矢印Wは車幅方向を示している。
図16及び図17に示すように、車室RA内には、運転席13Aと、その隣りに位置する助手席14Aと、その後方に位置する後席15Aとが配置されている。かかる自動車の車室RA内に車椅子を乗車させるときは、図16に示すように、後席15Aのシートクッション16Aを、そのシートバック17Aの着座者支え面18Aに重なった状態に立ち上げると共に、図15にも示したように、車体2Aの側部の後部側ドア4Aを開いて後部側のドア開口5Aを開放し、その車体側部のドア開口5Aの下部と路面29Aとに車椅子乗降板1Aを架け渡す。この状態で、図16に示すように、利用者PAが乗った車椅子11Aの前輪19Aと後輪20Aを車椅子乗降板1A上を転動させながら、当該車椅子11Aを矢印A方向に走行させて、図17に示したように、その車椅子11Aを車室RA内に移動させる。
上述のようにして車椅子11Aを車室RA内に移動させたとき、その車椅子11Aに着座した利用者PAの姿勢は、自動車の前進方向Frに対して横を向いた状態となっている。そこで、利用者PAが前向きとなるように車椅子11Aを図17に矢印Kで示した方向に回転させようとすると、その車椅子11Aが運転席13Aに当ってしまい、車椅子11Aを矢印K方向に回転させることはできない。後席が、図17に示した後席15Aよりも大きく後方に位置している自動車の場合には、車室内に移動させた車椅子11Aを、図16に矢印Yで示した方向に回転させることはできるが、この場合は車椅子11Aが後向きの姿勢となる。
上述のように、車室RA内には車椅子11Aを前向きに回転させるスペースがないため、車椅子11Aに着座した利用者PAは、横向きか又は後向きの姿勢で乗車せざるを得ず、自動車の走行時の快適性、安全性が失われる欠点を免れない。
本発明の目的は、上述した従来の欠点を除去し、車室内に入った車椅子の利用者が楽に前向きの姿勢となることのできる自動車と、その車椅子乗車方法を提供することにある。
本発明は、運転席と、助手席と、その後方に位置する後席とが配置された車室内に、車体側部のドア開口から車椅子を乗車させることのできる自動車において、前記運転席と助手席と後席の各シートクッションは、立ち上がった状態の各シートバックの着座者支え面にそれぞれ重なった格納位置に立ち上げ可能に支持され、前記運転席は、その立ち上がった状態のシートバックが、格納位置を占めた後席のシートクッションに当接した最後方位置に移動し、かつ前記助手席は、その格納位置を占めたシートクッションが、車室前部に位置するインストルメントパネルに隣接した最前方位置に移動することができるように、該運転席と助手席が、車体の床面を構成するフロアパネルにそれぞれ移動可能に支持されていることを特徴とする自動車を提案する。
また、本発明は、車室内に運転席と、助手席と、その後方に位置する後席とが配置された自動車の車室内に、車体側部のドア開口から車椅子を乗車させる車椅子乗車方法において、前記運転席と助手席と後席の各シートクッションを、立ち上がった状態の各シートバックの着座者支え面にそれぞれ重なった格納位置に立ち上げると共に、運転席をそのシートバックが後席のシートクッションに当接した最後方位置に移動させ、かつ助手席を車室前部に位置するインストルメントパネルに隣接した最前方位置に移動させた状態で、前記車体側部のドア開口から車椅子を車室内に載せて、該車椅子を前方を向いた姿勢で車室内に位置させることを特徴とする車椅子乗車方法を提案する。
さらに、本発明は、車室内に運転席と、助手席と、その後方に位置する後席とが配置された自動車の車室内に、車体側部のドア開口から車椅子を乗車させる車椅子乗車方法において、前記運転席と助手席と後席の各シートクッションを、立ち上がった状態の各シートバックの着座者支え面にそれぞれ重なった格納位置に立ち上げると共に、運転席をそのシートバックが後席のシートクッションに当接した最後方位置に移動させ、かつ助手席をインストルメントパネルに隣接した最前方位置に移動させた状態で、前記車体側部のドア開口の下部と路面とに架け渡した車椅子乗降板上で車椅子の車輪を転動させながら該車椅子を路面から車室内へ移動させ、車室内に移動させた車椅子を前方を向いた姿勢で位置させることを特徴とする車椅子乗車方法を提案する。
その際、上記車椅子乗車方法において、前記車椅子乗降板は、ほぼその全体が上下方向に傾斜していて、該車椅子乗降板上を走行して車室内に移動した車椅子を前方を向いた姿勢に回転させるように構成することができる。
また、上記車椅子乗車方法において、前記車椅子乗降板は、前記車体側部のドア開口の下部に配置された水平プレートと、上端部が前記水平プレートの車幅方向外端部に連結され、下端部が路面に接地された傾斜プレートとを具備し、前記車椅子の後輪が前記水平プレート上に載ったとき、該車椅子が斜め前方を向いた姿勢となるように当該車椅子を回転させ、次いで車椅子を車室内に移動させると有利である。
さらに、上記車椅子乗車方法において、前記車椅子乗降板は、前記車体側部のドア開口の下部に配置された水平プレートと、上端部が前記水平プレートの車幅方向外端部に連結され、下端部が路面に接地された傾斜プレートとを具備し、該車椅子乗降板は、車椅子が斜め前方に向けて傾斜プレートから水平プレートへと走行できるように、自動車の前進方向に対して傾斜した方向に延びていると有利である。
本発明によれば、簡単に、車椅子の利用者が前向きの姿勢で乗車することができる。
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
図1は自動車の概略斜視図であり、図2乃至図6は、自動車の車室内の様子と、車椅子を車室内に乗車させるときの概略を示した部分断面平面図であって、自動車の構成要素の一部を省略すると共に、自動車の車体2などを模式的に簡略化して示した図である。また図7乃至図11は、車室内に配置された座席を示す斜視図である。これらの図においても自動車の前進方向を矢印Frで示し、その車幅方向を矢印Wで示してあり、図12乃至図14においても同様である。また、本明細書及び特許請求の範囲における「前」又は「後」なる文言は、自動車の前進方向を基準とした前後を意味する。
図1に示した自動車においては、その車体2の車幅方向各側部に、前部側ドア3が矢印G方向に回動開閉可能に支持されていると共に、後部側ドア4が前後方向Hにスライド可能に支持されている。図1は、前部側ドア3と後部側ドア4が共に全開位置を占め、車体側部のドア開口5が開放された状態を示している。図1に示した自動車には、センターピラーは設けられていない。また、車体2の下部であって、車幅方向の各側部は、前後方向に延びるロッカパネル6により構成され、その左右の両ロッカパネル6には、車体2の床面を構成するフロアパネル7の各側縁部が固着されている。
図2に示すように、車室R内には、運転席13と、その隣りに位置する助手席14と、その後方に位置する後席15とが配置されている。図7にも示すように、運転席13と助手席14は、図示していない着座者の尻部を支えるシートクッション30,31と、着座者の背部を支えるシートバック32,33と、シートクッション30,31及びシートバック32,33をそれぞれ支える支持台44,45(図7)を有している。かかる運転席13と助手席14の前方にインストルメントパネル37(図2)が配置されている。車室Rの前部にインストルメントパネル37が位置しているのである。また、図2及び図9に示すように、後席15も、着座者の尻部を支えるシートクッション16と、着座者の背部を支えるシートバック17を有していると共に、シートクッション16に連結された脚部40,41とを有している。
運転席13と助手席14のシートバック32,33は、図7に示すように、これらが立ち上がった状態で、各支持台44,45にそれぞれ支持され、この状態で運転席13と助手席14に着座した着座者の背部が、各シートバック32,33の着座者支え面35,36に支えられる。一方、運転席13と助手席14のシートクッション30,31は、図7に示したほぼ水平な使用位置と、図8に示したように、立ち上がった状態の各シートバック32,33の着座者支え面35,36にそれぞれ重なった格納位置との間を回動可能に各支持台44,45に支持されている。着座者は、使用位置を占めたシートクッション30,31の上面に着座する。
図9に示すように、後席15のシートバック17は、立ち上がった状態で車体2に固定支持されていて、後席15に着座した着座者の背部は、そのシートバック17の着座者支え面18に支えられる。また、後席15のシートクッション16は、自動車の前進方向Frに見て右側の右クッション38と左側の左クッション39とに分割されていて、その右クッション38と左クッション39は、それぞれ図9に示したほぼ水平な使用位置と、図10に示したように、立ち上がった状態のシートバック17の着座者支え面18に重なった状態の格納位置との間を回動可能にシートバック17に連結されている。図11は左クッション39だけが格納位置に立ち上げられた状態を示している。
上述のように、運転席13と助手席14と後席15のシートクッション30,31,16は、立ち上がった状態の各シートバック32,33,17の着座者支え面35,36,18にそれぞれ重なった格納位置に立ち上げ可能に支持されていて、通常、シートクッション30,31,16は、図示していないロック装置によって使用位置にロックされている。
図10に示すように、前述の脚部40,41は、右クッション38と左クッション39の底面にそれぞれピン60,61を介して回動可能に連結され、図9に示したように、これらのクッション38,39が使用位置を占めたとき、各脚部40,41は、車体2のフロアパネル7上に載置され、これにより使用位置を占めた右クッション38と左クッション39が支えられる。着座者は、このように使用位置を占めたシートクッション16に着座することができる。また、右クッション38と左クッション39より成るシートクッション16を図10に示した格納位置に回動させたとき、各脚部40,41は、右クッション38と左クッション39の底面に接した状態に折り畳まれる。
上述のように、各座席13,14,15のシートクッション30,31,16は、着座者が腰を下ろすことのできるほぼ水平な使用位置と、立ち上がった状態のシートバック32,33,17の着座者支え面35,36,18に重なった状態の格納位置との間を回動可能に支持されている。その際、各シートバック32,33,17が、車体2のフロアパネル7に対してほぼ垂直に立ち上がったホームポジションと、そのホームポジションよりも後方に倒れた傾倒位置との間を回動可能に支持され、かつ、そのいずれの角度位置においてもロックされるように構成されている場合、さらには、各シートバック32,33,17が上述のホームポジションよりも前方へ傾倒できるように支持されている場合には、シートバック32,33,17がそのホームポジションを占めたときの状態が、当該シートバック32,33,17の立ち上がった状態である。
また、図7に示した運転席13の支持台44の底面には、互いに平行に前後方向に延びる一対のアッパレール(図示せず)が固定されている。一方、図7に示すように、車体2のフロアパネル7には、互いに平行に前後方向に延びる一対のロアレール42が固定され、その各ロアレール42に、上述のアッパレールがそれぞれ前後方向に摺動自在に嵌合している。同じく、助手席14の支持台45の底面にも一対のアッパレール(図示せず)が固定され、フロアパネル7には、互いに平行に前後方向に延びる一対のロアレール43が固定され、その各ロアレール43に、支持台45の底面に固定された上述のアッパレールがそれぞれ前後方向に摺動自在に嵌合している。ロアレール42,43については、図1にも簡略化して示してあるが、図2乃至図6及び図10乃至図14においては、ロアレール42,43の図示を省略してある。
上述した構成により、運転席13は、図7に示した通常の使用位置よりも後方にスライドすることができ、助手席14も、図7に示した通常の使用位置よりも前方にスライドすることができる。運転席13は、その立ち上がった状態のシートバック32が、格納位置を占めた後席15のシートクッション16に当接した最後方位置に移動し、かつ前記助手席14は、その格納位置を占めたシートクッション31が、車室Rの前部に位置するインストルメントパネル37に隣接した最前方位置に移動することができるように、当該運転席13と助手席14が、車体2の床面を構成するフロアパネル7にそれぞれ移動可能に支持されているのである(図3参照)。但し、通常は、運転席13と助手席14は、図7に示した使用位置にロックされている。図1は、助手席14が最前方位置に移動し、運転席が最後方位置に移動したときの様子を示している。
上述したアッパレールとロアレール42,43は、一般の自動車に広く採用されているシートトラックと同様な構造の装置である。
次に、図1に示した自動車の車室R内に、車体側部のドア開口5から車椅子を乗車させる車椅子乗車方法の一例を明らかにする。
図2、図7及び図9は、各座席13,14,15に着座者が着座するときの各座席13,14,15の状態を示していて、このとき各シートクッション30,31,16は、その使用位置にロックされている。これに対し、車椅子を車室R内に乗車させるときは、前述のロック装置によるロックを解除して、運転席13と助手席14と後席15の各シートクッション30,31,16を、図8及び図10に示したように、立ち上がった状態の各シートバック32,33,17の着座者支え面35,36,18にそれぞれ重なった状態の格納位置に立ち上げる。これと共に、運転席13と助手席14に対するロックを解除して、図3に示したように、運転席13をそのシートバック32が後席15のシートクッション16に当接した最後方位置に移動させ、助手席14を、図1及び図3に示したように、車室前部に位置するインストルメントパネル37に隣接した最前方位置に移動させる。このとき、助手席14のシートクッション31がインストルメントパネル37に近接して位置していてもよいが、図示した例では、シートクッション31がインストルメントパネル37に当接するところまで、助手席14を前方に移動させるように構成されている。
一方、図1に示したように、前部側ドア3を全開位置に回動させ、かつ後部側ドア4を全開位置にスライドさせてドア開口5を開放し、その車体側部のドア開口5の下部の後方部分と路面29とに車椅子乗降板1を架け渡す。図1に示した車椅子乗降板1は、図15に示した車椅子乗降板1Aと同様に、ほぼその全体が上下方向に傾斜していて、その車椅子乗降板1の上部と車体2のロッカパネル6に形成された取付孔に係止ピン12を嵌合することにより、その車椅子乗降板1を車体2に連結し、該車椅子乗降板1の下端部28を路面29に設置する。係止ピン12を取付孔から抜き出せば、車椅子乗降板1を車体2から取り外すことができ、取り外した車椅子乗降板1を折り畳んで、これを例えば車体後部の荷物室などに格納しておくことができる。
上述のように、運転席13を最後方位置に移動させ、助手席14を最前方位置に移動させると共に、車椅子乗降板1をドア開口5の下部と路面29とに架け渡した後、図3に示したように、車椅子乗降板1上で、利用者Pが着座した車椅子11の車輪、すなわちその前輪19と後輪20を転動させながら、当該車椅子11を矢印A方向に走行させて、路面29から車室R内に移動させる。その際、介護者が車椅子11のハンドル46を掴んで、これを押しながら、車椅子11を車室R内に運ぶこともできるし、モータ付きの車椅子の場合には、そのモータを作動させて、車椅子11を車椅子乗降板1上で走行させて、これを車室R内に移動させることもできる。
上述のように、車椅子11を車室R内に移動させるとき、後席15のシートクッション16は、そのシートバック17の着座者支え面18に重なった状態に立ち上がっており、しかも最後方位置を占めた運転席13のシートクッション30も立ち上がっているので、これらに邪魔されることなく、車椅子11を車室内に移動させることができる。このように簡単に車体側部のドア開口5から車椅子11を乗車させることができる。
図4は、上述のようにして車椅子11を車室R内に移動させたときの様子を示している。このとき、車椅子11と、これに着座した利用者Pは、自動車の前進方向Frに対して横方向を向いている。そこで、車室R内に移動させた車椅子11を、図4に矢印Kで示した方向に回転させる。これにより、図5に示したように、その車椅子11とその利用者Pは前方を向くことができる。このとき、運転席13は最後方位置を占め、助手席14は最前方位置を占めているので、車室R内に移動した車椅子11を、これらの座席13,14に邪魔されることなく、容易に前方を向いた姿勢に回転させることができる。このように、車室R内に移動させた車椅子11を前方を向いた姿勢に回転させ、次いで、必要に応じて、図6に示したように、車椅子11を後方に移動させる。この状態で、その車椅子11を図示していないロック装置によって車体2に対してロックすると共に、図6に示したように、運転席13を通常の運転時の位置に移動させて該運転席13をその位置にロックし、かつそのシートクッション30を水平な使用位置に回動させて、そのシートクッション30を使用位置にロックする。
上述のようにして、車室R内に入った車椅子11と、これに乗った利用者Pが、容易に前向きの姿勢となることができ、その利用者Pは快くドライブを楽しむことができる。また、図6及び図11に示したように、後席15の右クッション38を水平な使用位置に戻し、脚部40によって、その右クッション38を支持することにより、該右クッション38に図示していない介護者などが着座することができる。
上述したところと逆の手順で、車椅子11を車室外に移動させることができる。
図12に示した自動車は、その車体側部に支持された前部側ドア3と後部側ドア4とが共に回動開閉可能に車体2に支持されている。図12は、前部側ドア3が全閉位置を占め、後部側ドア4が全開位置を占めていて、車体側部の後部側のドア開口5が開放された状態を示している。図12に示した自動車の他の構成は、図1乃至図11に示した自動車と実質的に同様に構成されている。
また、図12に示した車椅子乗降板1も、開放された後部側のドア開口5の下部と路面29とに架け渡されているが、図12に示した車椅子乗降板1は、水平プレート9と、傾斜プレート10とを有し、水平プレート9は、車体側部のドア開口5の下部を区画するロッカパネル6に、ほぼ水平な状態で、係止ピン12によって着脱可能に連結されている。係止ピン12は、水平プレート9と車体2の側にそれぞれ形成された取付孔に着脱可能に嵌合している。かかる係止ピン12を上方に引き抜くことによって、水平プレート9をロッカパネル6から外すことができる。
また、水平プレート9の下面には、スタンド22が矢印B,C方向に回動可能に連結されていて、そのスタンド22を図12に示した起立位置に回動し、該スタンド22の下部を路面29に接地させることにより、そのスタンド22によって水平プレート9を下から支えることができる。水平プレート9を車体2から外してこれを格納するときは、スタンド22を矢印C方向に回動させて、これを折り畳む。
また、図12に示すように、水平プレート9には、プレート側フック23が固着され、このプレート側フック23は、全開位置を占めた後部側ドア4に固定されたドア側フック24に着脱可能に係合している。これにより、水平プレート9を安定した状態に支持できると共に、後部側ドア4をその全開位置にロックすることができる。
一方、傾斜プレート10の上端部25には爪26が固定され、その爪26が、水平プレート9に形成された係止孔8に着脱自在に嵌合し、これによって傾斜プレート10の上端部25が水平プレート9の車幅方向外端部27に連結され、傾斜プレート10の下端部28が路面29に接地される。このように、傾斜プレート10は傾斜状態で配置される。
また、水平プレート9の車幅方向外端部27は、車体2の車幅方向最外部よりも車幅方向外方に位置し、水平プレート9が車幅方向外方に大きく突出している。このように、図12に示した車椅子乗降板1は、車体側部のドア開口5の下部に配置された水平プレート9と、上端部25が水平プレート9の車幅方向外端部27に連結され、下端部28が路面29に接地された傾斜プレート10とを有している。係止ピン12を引き抜いて水平プレート9を車体2から外すと共に、爪26を係止孔8から外すことにより、傾斜プレート10と水平プレート9を分離し、これらを重ねて例えば自動車の荷物室に格納することができる。
図1乃至図11に示した実施形態例の場合には、車椅子乗降板1上を走行して車室R内に移動した後の車椅子11を前方に向いた姿勢に回転させたが、図12に示した車椅子乗降板1は、ドア開口5の下部に配置された水平プレート9を有しているので、図3を参照して先に説明したように、車椅子11を矢印Aで示した方向に移動させ、その車椅子11の後輪20が水平プレート9上に載ったとき、その車椅子11を一旦停止させ、次いでその車椅子11を図13に矢印Dで示した方向に回転させることができる。このように車椅子11の全体が車室R内に入る前に、その車椅子11を斜め前方を向いた姿勢にし、この状態で、車椅子11を図13に矢印Eで示すように車室R内に移動させ、次いでその車椅子11を図4、図5及び図6に示したところと同様にして、前方に向けて回転させて、車椅子11とその利用者Pを前向きの姿勢にさせることができる。このように、車椅子11の後輪20が水平プレート9上に載ったとき、該車椅子11が斜め前方を向いた姿勢となるように当該車椅子11を予備的に回転させ、次いでその車椅子11を車室R内に移動させるようにすると、車室R内の空間がより狭いときも、車椅子11を支障なく前方に向けて回転させることができる。
ところで、以上説明した車椅子乗降板1は、自動車の前進方向Frに対してほぼ直交する方向に延びている。このため、車椅子11も、自動車の前進方向Frに対して直交する向きに車椅子乗降板1を登って行くことになる。
これに対し、図14に示した車椅子乗降板1も、車体側部の後部側のドア開口5の下部に配置された水平プレート9と、上端部25が水平プレート9の車幅方向外端部27に連結され、下端部28が路面29に接地された傾斜プレート10とを有しているが、この車椅子乗降板1は、自動車の前進方向Frに対して傾斜した方向に延びている。このため、車椅子は、図14に矢印Aで示したように、斜め前方に向けて傾斜プレート10から水平プレート9へと走行しながら車室R内に移動し、しかる後、矢印K方向に回転して、前方を向いた姿勢となることができる。この方法によっても、車室内のスペースが狭くとも、車椅子を支障なく前向きに回転させることができる。しかも、水平プレート上で車椅子を回転させる必要がないので、より一層楽に車椅子を車室内に移動させることができる。このように、図14に示した車椅子乗降板1は、車椅子11が斜め前方に向けて傾斜プレート10から水平プレート9へと走行できるように、自動車の前進方向Frに対して傾斜した方向に延びているのである。
なお、図14に示した車椅子乗降板1を用いると、後部側ドア4を全開位置よりも小さな角度開いた半開き状態で停止させて車椅子を車室内に乗降させることもでき、このとき、プレート側フック23とドア側フック24を互いに係合させることができる。このように、後部側ドア4を半開き状態で車椅子を乗降させることができるので、狭い場所での車椅子の乗降が可能となる。また、図14に示した水平プレート9と傾斜プレート10は、ねじによって固定連結されているが、図12に示した例と同じく、爪を用いて、傾斜プレート10を水平プレートに連結することもできる。
以上、車椅子乗降版1を用いて、車椅子11を車室R内に乗車させる例を示したが、かかる車椅子乗降板1を用いずに、車椅子11を車体側部のドア開口5から車室R内に載せることもできる。この場合には、利用者Pの着座した車椅子11の前部を、車室外にて、開放したドア開口5に近づけた後、介護者が車椅子11のハンドル46を下方に押下する。これにより、車椅子11の前輪19が、接地したままの後輪20を中心として上方に持ち上がるので、その持ち上がった前輪19を車体2のロッカパネル6に引っ掛ける。次いで介護者がハンドル11を持ち上げると、後輪20も上昇するので、その状態で介護者が車椅子11を車室内に押せば、その車椅子11を車室内に移動させることができる。あとは、図1乃至図11に示した例と同様にして、車椅子11を前方に向いた姿勢に回転させればよい。
上述のように、車椅子乗降板1を用いたときも、或いはこれを用いないときも、運転席13と助手席14と後席15の各シートクッション30,31,16を、立ち上がった状態の各シートバック32,33,17の着座者支え面35,36,18にそれぞれ重なった格納位置に立ち上げると共に、運転席13をそのシートバック32が後席15のシートクッション16に当接した最後方位置に移動させ、かつ助手席14を車室前部に位置するインストルメントパネル37に隣接した最前方位置に移動させた状態で、車体側部のドア開口5から車椅子11を車室R内に載せて、該車椅子11を前方を向いた姿勢で車室R内に位置させることができる。
1 車椅子乗降板
2 車体
5 ドア開口
7 フロアパネル
9 水平プレート
10 傾斜プレート
11 車椅子
13 運転席
14 助手席
15 後席
16,30,31 シートクッション
17,32,33 シートバック
18,35,36 着座者支え面
20 後輪
25 上端部
27 車幅方向外端部
28 下端部
29 路面
37 インストルメントパネル
R 車室
2 車体
5 ドア開口
7 フロアパネル
9 水平プレート
10 傾斜プレート
11 車椅子
13 運転席
14 助手席
15 後席
16,30,31 シートクッション
17,32,33 シートバック
18,35,36 着座者支え面
20 後輪
25 上端部
27 車幅方向外端部
28 下端部
29 路面
37 インストルメントパネル
R 車室
Claims (6)
- 運転席と、助手席と、その後方に位置する後席とが配置された車室内に、車体側部のドア開口から車椅子を乗車させることのできる自動車において、前記運転席と助手席と後席の各シートクッションは、立ち上がった状態の各シートバックの着座者支え面にそれぞれ重なった格納位置に立ち上げ可能に支持され、前記運転席は、その立ち上がった状態のシートバックが、格納位置を占めた後席のシートクッションに当接した最後方位置に移動し、かつ前記助手席は、その格納位置を占めたシートクッションが、車室前部に位置するインストルメントパネルに隣接した最前方位置に移動することができるように、該運転席と助手席が、車体の床面を構成するフロアパネルにそれぞれ移動可能に支持されていることを特徴とする自動車。
- 車室内に運転席と、助手席と、その後方に位置する後席とが配置された自動車の車室内に、車体側部のドア開口から車椅子を乗車させる車椅子乗車方法において、前記運転席と助手席と後席の各シートクッションを、立ち上がった状態の各シートバックの着座者支え面にそれぞれ重なった格納位置に立ち上げると共に、運転席をそのシートバックが後席のシートクッションに当接した最後方位置に移動させ、かつ助手席を車室前部に位置するインストルメントパネルに隣接した最前方位置に移動させた状態で、前記車体側部のドア開口から車椅子を車室内に載せて、該車椅子を前方を向いた姿勢で車室内に位置させることを特徴とする車椅子乗車方法。
- 車室内に運転席と、助手席と、その後方に位置する後席とが配置された自動車の車室内に、車体側部のドア開口から車椅子を乗車させる車椅子乗車方法において、前記運転席と助手席と後席の各シートクッションを、立ち上がった状態の各シートバックの着座者支え面にそれぞれ重なった格納位置に立ち上げると共に、運転席をそのシートバックが後席のシートクッションに当接した最後方位置に移動させ、かつ助手席をインストルメントパネルに隣接した最前方位置に移動させた状態で、前記車体側部のドア開口の下部と路面とに架け渡した車椅子乗降板上で車椅子の車輪を転動させながら該車椅子を路面から車室内へ移動させ、車室内に移動させた車椅子を前方を向いた姿勢で位置させることを特徴とする車椅子乗車方法。
- 前記車椅子乗降板は、ほぼその全体が上下方向に傾斜していて、該車椅子乗降板上を走行して車室内に移動した車椅子を前方を向いた姿勢に回転させる請求項3に記載の車椅子乗車方法。
- 前記車椅子乗降板は、前記車体側部のドア開口の下部に配置された水平プレートと、上端部が前記水平プレートの車幅方向外端部に連結され、下端部が路面に接地された傾斜プレートとを具備し、前記車椅子の後輪が前記水平プレート上に載ったとき、該車椅子が斜め前方を向いた姿勢となるように当該車椅子を回転させ、次いで車椅子を車室内に移動させる請求項3に記載の車椅子乗車方法。
- 前記車椅子乗降板は、前記車体側部のドア開口の下部に配置された水平プレートと、上端部が前記水平プレートの車幅方向外端部に連結され、下端部が路面に接地された傾斜プレートとを具備し、該車椅子乗降板は、車椅子が斜め前方に向けて傾斜プレートから水平プレートへと走行できるように、自動車の前進方向に対して傾斜した方向に延びている請求項3に記載の車椅子乗車方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009095703A JP2010207561A (ja) | 2009-02-10 | 2009-04-10 | 車椅子乗車可能な自動車及び車椅子乗車方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009028752 | 2009-02-10 | ||
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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---|---|
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