JP2010205918A - パワーデバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低価格でオン抵抗が低いパワーデバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本パワーデバイスは、金属製支持基板10と、金属製支持基板10の一方の主面10m側に順次形成されているIII族窒化物導電層20、III族窒化物能動層30および電極40と、を含む。また、本パワーデバイスの製造方法は、金属製支持基板10にIII族窒化物導電層20が接合された導電層接合金属製支持基板12を準備する工程と、III族窒化物導電層20上にIII族窒化物能動層30を形成する工程と、III族窒化物能動層30上に電極40を形成する工程と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物層を含むパワーデバイスおよびその製造方法に関し、詳しくは低価格でオン抵抗が低いパワーデバイスおよびその製造方法に関する。
近年、GaNなどのIII族窒化物材料を用いたパワーデバイスの開発が活発に行われている。かかるIII族窒化物パワーデバイスは、シリコン材料を用いたパワーデバイスに比べて、低損失(低オン抵抗)および高温動作可能な点で優れている。また、パワーデバイスは、大電流化および高耐圧化に有利な点、さらには配線の取り回しの容易さの点から、両側の主面にそれぞれ電極部が形成されている縦型構造が好ましい。このため、ショットキーバリアダイオード(以下、SBDという)、PNダイオード(以下、PNDという)、MOS(金属−酸化物−半導体)電界効果トランジスタ(以下、MOSFETという)などの縦型デバイス(縦型構造を有するデバイスをいう。以下同じ。)は、導電性GaN基板の主面上に能動層(デバイス作用を発現する層をいう。以下同じ。)が形成されていた。
たとえば、田辺達也,他3名,「GaN基板上GaNエピタキシャル成長とパワーデバイスへの応用」,SEIテクニカルレビュー,住友電気工業株式会社,第170号,2007年1月,pp34−39(以下、非特許文献1という)は、導電性GaN基板の主面上に能動層が形成された縦型構造のSBDおよびPNDを開示する。また、Hirotaka Otake, 他4名,“Vertical GaN-Based Trench Gate Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistors GaN Bulk Substrates”, Applied Physics Express, 1, The Japan Society of Applied Physics, 2008, pp011105-1−011105-3(以下、非特許文献2という)は、導電性GaN基板の主面上に能動層が形成された縦型構造のMOSFETを開示する。
田辺達也,他3名,「GaN基板上GaNエピタキシャル成長とパワーデバイスへの応用」,SEIテクニカルレビュー,住友電気工業株式会社,第170号,2007年1月,pp34−39 Hirotaka Otake, 他4名,"Vertical GaN-Based Trench Gate Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistors GaN Bulk Substrates", The Japan Society of Applied Physics, Applied Physics Express, 1, 2008, pp011105-1−011105-3
しかし、上記の非特許文献1および2に開示された縦型デバイス(SBD、PNDおよびMOSFET)は、いずれも導電性GaN基板として自立基板を用いているため、基板の自立性を確保するのに十分な厚さを必要とする。ここで、導電性自立GaN基板の自立性を確保するのに十分な厚さは、基板のサイズにも依存するが、たとえば直径2インチ(50.8mm)の基板では、200μm程度以上、好ましくは300μm程度以上である。また、導電性自立GaN基板は、導電性といえども通常1×10-2Ω・cm程度の比抵抗を有する。このため、基板として導電性自立GaN基板を用いた縦型デバイスは、導電性自立GaN基板の抵抗成分を無視することができず、オン抵抗を低減することが困難であった。また、GaN結晶の成長速度は小さいため、導電性自立GaN基板は高価であり、このため基板として導電性自立GaN基板を用いた縦型デバイスは、コストを低減する
ことが困難であった。
本発明は、上記問題点を解決して、低価格でオン抵抗が低いパワーデバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、金属製支持基板と、金属製支持基板の一方の主面側に順次形成されているIII族窒化物導電層、III族窒化物能動層および電極と、を含むパワーデバイスである。
本発明にかかるパワーデバイスにおいて、金属製支持基板は、金属製支持基板の熱膨張係数とIII族窒化物導電層の熱膨張係数との差が4.5×10-6-1以下であり、融点が1100℃より高く、1100℃以下の雰囲気でNH3ガスおよびH2ガスに対して化学的に安定とすることができる。ここで、金属製支持基板は、Mo、WおよびTaからなる群から選ばれるいずれかの金属を含むことができる。
また、本発明にかかるパワーデバイスにおいて、金属製支持基板は、金属基礎基板と、金属基礎基板の一方の主面に形成されている少なくとも1層の金属層と、を含むことができる。ここで、金属基礎基板は、Mo、WおよびTaからなる群から選ばれるいずれかの金属を含み、金属層は、W、TiおよびTaから選ばれるいずれかの元素を含むことができる。
また、本発明にかかるパワーデバイスにおいて、III族窒化物導電層の厚さは、0.05μm以上100μm以下とすることができる。
また、本発明は、金属製支持基板にIII族窒化物導電層が接合された導電層接合金属製支持基板を準備する工程と、III族窒化物導電層上にIII族窒化物能動層を形成する工程と、III族窒化物能動層上に電極を形成する工程と、を備えるパワーデバイスの製造方法である。ここで、III族窒化物能動層の形成温度は、700℃以上とすることができる。
本発明によれば、低価格でオン抵抗が低いパワーデバイスおよびその製造方法を提供することができる。
本発明にかかるパワーデバイスの基本構造を示す概略断面図である。 従来の典型的なパワーデバイスの基本構造を示す概略断面図である。 本発明にかかるパワーデバイスの一例を示す概略断面図である。 従来の典型的なパワーデバイスの一例を示す概略断面図である。 本発明にかかるパワーデバイスの他の例を示す概略断面図である。 従来の典型的なパワーデバイスの他の例を示す概略断面図である。 本発明にかかるパワーデバイスのさらに他の例を示す概略断面図である。 従来の典型的なパワーデバイスのさらに他の例を示す概略断面図である。 本発明にかかるパワーデバイスの製造方法の例を示すフローチャートである。 従来の典型的なパワーデバイスの製造方法の例を示すフローチャートである。 本発明にかかるパワーデバイスの製造方法において、導電層接合金属製支持基板を準備する工程の一例を示す概略断面図である。ここで、(a)は接合サブ工程を示し、(b)は分離サブ工程を示す。 本発明にかかるパワーデバイスの製造方法において、導電層接合金属製支持基板を準備する工程の他の例を示す概略断面図である。ここで、(a)はイオン注入サブ工程を示し、(b)は接合サブ工程を示し、(c)は分離サブ工程を示す。 本発明にかかるパワーデバイスおよび従来の典型的なパワーデバイスの順方向の電流−電圧特性を示すグラフである。 本発明にかかるパワーデバイスおよび従来の典型的なパワーデバイスの逆方向の電流−電圧特性を示すグラフである。
(実施形態1)
図1を参照して、本発明にかかるパワーデバイスの一実施形態は、金属製支持基板10と、金属製支持基板10の一方の主面10m側に順次形成されているIII族窒化物導電層20、III族窒化物能動層30および電極40と、を含む。ここで、能動層とは、そのパワーデバイスの作用を発現する層をいい、単層であっても、複層であってもよい。また、III族窒化物とは、III族元素の窒化物をいい、GaN、AlN、AlpGa1-pN(0<p<1)、InN、InqGa1-qN(0<q<1)などが挙げられる。
一方、図2を参照して、従来の典型的なパワーデバイスは、導電性自立III族窒化物基板120(たとえば導電性自立GaN基板)の一方の主面120m側に順次形成されているIII族窒化物能動層130および能動層側電極140と、導電性自立III族窒化物基板120の他方の主面120n側に形成されている基板側電極150と、を含む。ここで、導電性自立III族窒化物基板は、自立性を確保するために十分な厚さを有する。たとえば、直径2インチ(50.8mm)の導電性自立III族窒化物基板は、200μm程度以上の厚さ、好ましくは300μm程度以上の厚さを有する。また、導電性自立III族窒化物基板は、導電性といえども通常1×10-3Ω・cm〜1Ω・cm程度の比抵抗を有する。このため、従来の典型的なパワーデバイスは、導電性自立GaN基板の抵抗成分を無視することができず、オン抵抗を低減することが困難であった。また、III族窒化物結晶の成長速度は小さいため、導電性自立III族窒化物基板は高価であり、このため従来の典型的なパワーデバイスは、コストを低減することが困難であった。
図1および図2を参照して、上記の従来の典型的なパワーデバイスに比べて、本実施形態のパワーデバイスは、導電性III族窒化物に比べて比抵抗が極めて小さい金属製支持基板10を含むため、従来の典型的なパワーデバイスに含まれていた導電性自立III族窒化物基板120を含まなくても、金属製支持基板10により厚さの小さなIII族窒化物導電層20、III族窒化物能動層30および電極40をいずれも支持することができる。ここで、金属製支持基板10は導電性III族窒化物(たとえば導電性GaN)に比べて比抵抗が通常(範囲)1×10-6Ω・cm〜1×10-4Ω・cmと極めて低く、厚さが大きくても抵抗が低い。また、高価格で1×10-3Ω・cm〜1Ω・cm程度の比抵抗を有するIII族窒化物導電層20は導電性自立III族窒化物基板120に比べて厚さが極めて小さい。このため、本実施形態のパワーデバイスは、従来の典型的なパワーデバイスに比べて、低価格でオン抵抗が低い。ここで、比抵抗はホール測定装置により測定され、オン抵抗は半導体パラメータアナライザーにより測定される。
本実施形態のパワーデバイスにおいて、III族窒化物導電層20の厚さは、特に制限はないが、金属製支持基板10の主面10m上に接合によりIII族窒化物導電層20を形成させやすい観点から、0.05μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。また、III族窒化物導電層20の厚さは、特に制限はないが、パワーデバイスのオン抵抗を低減する観点から、100μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
本実施形態のパワーデバイスにおいて、金属製支持基板10は、金属製支持基板10とIII族窒化物導電層20との接合を確保する観点から、金属製支持基板10の熱膨張係数とIII族窒化物導電層20の熱膨張係数との差が4.5×10-6-1以下であることが好ましい。また、金属製支持基板10は、III族窒化物導電層20の主面20m上にIII族窒化物能動層30を形成する際に融解しない観点から、融点が1100℃より高いことが好ましく1200℃より高いことがより好ましい。また、金属製支持基板10は、III族窒化物導電層20の主面20m上にIII族窒化物能動層30を形成する際にIII族窒化物導電層20およびIII族窒化物能動層30への混入を防止する観点から、1100℃以下、好ましくは1200℃以下の雰囲気でNH3ガスおよびH2ガスに対して化学的に安定であることが好ましい。ここで、NH3ガスおよびH2ガスに対して化学的に安定とは、NH3ガスおよびH2ガスにより基板の表面から内部にわたって分解、化学反応などを起こさず、またはNH3ガスおよびH2ガスにより基板の表面が化学反応を起こしてもその化学反応による生成物が分解、化学反応などを起こさず、NH3ガスおよびH2ガスに対して耐性を有することをいう。
Figure 2010205918
ここで、表1に本実施形態のパワーデバイスに用いられるIII族窒化物および金属の諸物性値をまとめた。表1を参照して、上記の条件を満たし、金属製支持基板10に好適に用いられる金属としては、Mo、W、Taおよびそれらの合金などが挙げられる。すなわち、金属製支持基板10は、Mo、WおよびTaからなる群から選ばれるいずれかの金属を含むことが好ましい。
また、本実施形態のパワーデバイスにおいて、金属製支持基板10とIII族窒化物導電層20との接合性を高める観点から、金属製支持基板10は、金属基礎基板10bと、金属基礎基板10bの一方の主面に形成されている少なくとも1層の金属層10aと、を含むことが好ましい。
金属製支持基板10が金属基礎基板10bおよび金属層10aを含む場合、通常金属基礎基板10bは金属層10aに比べて極めて厚さが大きい。このため、金属製支持基板10の物性は、ほぼ金属基礎基板10bの物性により決まる。かかる観点から、金属基礎基板10bは、金属製支持基板10に適した物性を有すること、すなわち、金属基礎基板の熱膨張係数とIII族窒化物導電層の熱膨張係数との差が4.5×10-6-1以下であり、融点が1100℃より高く、1100℃以下の雰囲気でNH3ガスおよびH2ガスに対して化学的に安定であることが好ましい。かかる観点から、金属基礎基板10bに用いられ
る金属としては、金属製支持基板10に好適に用いられる金属が好ましい。したがって、金属基礎基板10bに好適に用いられる金属としては、Mo、W、Taおよびそれらの合金などが挙げられる。すなわち、金属製基礎基板10bは、Mo、WおよびTaからなる群から選ばれるいずれかの金属を含むことが好ましい。
金属層10aは、III族窒化物導電層20に接合するため、融解しても問題がない観点から融点が1100℃以下であってもよく、III族窒化物能動層の形成の際NH3ガスまたはH2ガスに接触することがない観点からNH3ガスおよびH2ガスに対して化学的に安定でなくてもよい。かかる観点から、金属層10aに用いられる金属としては、Mo、W、Ta、Ti、V、Zr、Nb、Hfおよびそれらの合金などの他に、Al、Mn、Fe、Cu、Ga、Yおよびそれらの合金などが挙げられる。さらに、III族窒化物半導体で形成されるIII族窒化物導電層との接合強度が高い観点から、金属層10aは、W、TiおよびTaからなる群から選ばれるいずれかの金属を含むことが好ましく、W、Ti、Taおよびこれらの合金であることがより好ましい。
図1を参照して、本実施形態のパワーデバイスは、具体的には、金属製支持基板10の一方の主面10m上に形成されているIII族窒化物導電層20と、III族窒化物導電層20の主面20m上に形成されているIII族窒化物能動層30と、III族窒化物能動層30上に形成されている電極40とを含む。
ここで、III族窒化物導電層20の形成方法には、特に制限はないが、厚さが小さく結晶性のよいIII族窒化物導電層20を形成する観点から、図11および図12を参照して、III族窒化物導電基板の一方の主面2nを金属製支持基板の一方の主面10m上に接合した後、III族窒化物導電基板2を一方の主面2nから所定の深さTの位置で分離することが好ましい。また、III族窒化物能動層30の形成方法には、特に制限はないが、厚さが小さく結晶性のよいIII族窒化物能動層30を形成する観点から、III族窒化物導電層20の主面20m上にIII族窒化物能動層30をエピタキシャル成長させることが好ましい。また、電極40の形成方法には、特に制限はないが、III族窒化物能動層30との良好な電気的接触を形成する観点から、III族窒化物能動層上に、真空蒸着法、スパッタ法などにより形成することが好ましい。なお、金属製支持基板10は、金属基礎基板10bと金属基礎基板10bの一方の主面に形成されている少なくとも1層の金属層10aとを含んでいてもよい。
図3を参照して、本実施形態のパワーデバイスの一例であるSBDは、金属製支持基板10の一方の主面10m上にIII族窒化物導電層20として形成されているn+−GaN層と、n+−GaN層(III族窒化物導電層20)の主面20m上にIII族窒化物能動層30として順次形成されているn+−GaN層31およびn−GaN層32と、n−GaN層32上に電極40として形成されているショットキー電極と、を含む。ここで、n+−GaN層31は省略することができる。本SBDは、金属製支持基板10がカソードCとして、ショットキー電極(電極40)がアノードAとして接続される。
図5を参照して、本実施形態のパワーデバイスの他の例であるPNDは、金属製支持基板10の一方の主面10m上にIII族窒化物導電層20として形成されているn+−GaN層と、n+−GaN層(III族窒化物導電層20)の主面20m上にIII族窒化物能動層30として順次形成されているn+−GaN層31、n−GaN層32、p−GaN層33およびp+−GaN層34と、p+−GaN層34上に電極40として形成されているp−オーミック電極と、を含む。ここで、n+−GaN層31は省略することができる。本PNDは、金属製支持基板10がカソードCとして、p−オーミック電極(電極40)がアノードAとして接続される。
図7を参照して、本実施形態のパワーデバイスのさらに他の例であるMIS(金属−絶縁体−半導体)トランジスタは、金属製支持基板10の一方の主面10m上にIII族窒化物導電層20として形成されているn+−GaN層と、n+−GaN層(III族窒化物導電層20)の主面20m上にIII族窒化物能動層30として順次形成されているn+−GaN層31、n−GaN層32、p−GaN層33およびn+−GaN層36と、III族窒化物能動層30上に電極40として形成されているソース電極41およびゲート電極42と、を含む。ここで、ソース電極41はn+−GaN層36の主面の一部分に形成されている。また、III族窒化物能動層30のn+−GaN層36、p−GaN層33およびn−GaN層32がメサ状にエッチングされ、そのエッチング部分に絶縁層50が形成され、絶縁層50上にゲート電極42が形成されている。また、n+−GaN層31は省略することができる。また、本MISトランジスタは、金属製支持基板10がドレインDとして、ソース電極41がソースSとして、ゲート電極42がゲートGとして接続される。
(実施形態2)
図1および図9を参照して、本発明にかかるパワーデバイスの製造方法は、金属製支持基板10にIII族窒化物導電層20が接合された導電層接合金属製支持基板12を準備する工程(S1)と、III族窒化物導電層20上にIII族窒化物能動層30を形成する工程(S2)と、III族窒化物能動層30上に電極40を形成する工程(S3)と、を備える。本実施形態のパワーデバイスの製造方法により、低価格でオン抵抗が低いパワーデバイスが得られる。
本実施形態のパワーデバイスは、導電層接合金属製支持基板12の準備工程(S1)を備える。本工程により、結晶性のよい導電層を有する導電層接合金属製支持基板12が低価格で得られる。導電層接合金属製支持基板12の準備工程(S1)には、特に制限はないが、導電層の厚さを均一にし易い観点から、以下の2つの例が好ましく行われる。
図11を参照して、導電層接合金属製支持基板12の準備工程の一例は、図11(a)に示すようにIII族窒化物導電基板2の一方の主面2nと金属製支持基板10の一方の主面10mとを貼り合わせて接合する接合サブ工程と、図11(b)に示すようにIII族窒化物導電基板2の主面2nから深さTの面(主面2nに平行な面)でIII族窒化物導電基板2を分離する分離サブ工程とを含む。かかる工程により、金属製支持基板10の主面10m上に厚さTのIII族窒化物導電層20が接合された導電層接合金属製支持基板12が得られる。
ここで、III族窒化物導電基板2の一方の主面2nと金属製支持基板10の一方の主面10mとを接合する方法には、特に制限はないが、貼り合わせる面の表面を洗浄して直接貼り合わせ、貼り合わせ後600℃〜1200℃に昇温して接合することによる直接接合法、プラズマやイオンなどで貼り合わせ面を活性化させ接合することによる表面活性化法などが好ましく用いられる。
ここで、主面2nから深さTの面(主面2nに平行な面)でIII族窒化物導電基板2を分離する方法には、特に制限はなく、放電加工機、ワイヤーソー、内周刃、外周刃、レーザ照射などにより機械的に分離することができる。このような機械的な分離方法は、金属製支持基板10上のIII族窒化物導電層20の厚さTを10μm以下にすることは困難であり、通常、III族窒化物導電層20の厚さが10μmよりも大きい導電層接合金属製支持基板12を製造するのに適した方法である。
図12を参照して、導電層接合金属製支持基板12の準備工程の他の例は、図12(a)に示すようにIII族窒化物導電基板2の一方の主面2nから深さTIの面2i(主面
2nに平行な面)に水素、ヘリウム、窒素、酸素、アルゴンなどのイオンIを注入するイオン注入サブ工程と、図12(b)に示すようにイオンが注入されたIII族窒化物導電基板2の一方の主面2nと金属製支持基板10の一方の主面10mとを接合する接合サブ工程と、図12(c)に示すように金属製支持基板10およびIII族窒化物導電基板2に力を加えて、主面2nから深さTIの面(主面2nに平行な面)でIII族窒化物導電基板2を分離する分離サブ工程とを含む。
上記の工程により、金属製支持基板10の主面10m上に厚さTのIII族窒化物導電層20が接合された導電層接合金属製支持基板12が得られる。ここで、導電層接合金属製支持基板12のIII族窒化物導電層20の厚さTの大きさは上記イオンの注入深さTIの大きさにほぼ等しい。また、上記イオン注入サブ工程においては、基板へのダメージを小さくする観点から、半径の小さいイオンが好ましく、水素イオンが最も好ましい。また、分離サブ工程において、金属製支持基板10およびIII族窒化物導電層20に加えられる力には、直接的な力の他、熱処理によって生じる応力などの間接的な力も含まれる。
かかる方法は、III族窒化物導電基板2中のイオンが注入された部分が脆化することを利用したものであり、イオンの注入深さTIは精度よく調節することができるため、厚さTの小さい、たとえば、0.05μm〜30μm程度のIII族窒化物導電層20を有する導電層接合金属支持機基板を製造するのに適した方法である。
また、図11および図12を参照して、金属製支持基板10が金属基礎基板10bと少なくとも1層の金属層10aとを含む場合であっても、上記と同様にして、導電層接合金属製支持基板12が得られる。
本実施形態のパワーデバイスは、III族窒化物能動層の形成工程(S2)を備える。本工程により、結晶性のよいIII族窒化物導電層20上に結晶性のよいIII族窒化物能動層30が形成される。III族窒化物能動層30の形成方法は、特に制限はないが、結晶性のよいIII族窒化物能動層30を成長させる観点から、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MBE(分子線成長)法などの気相法が好ましく用いられる。さらに、III族窒化物能動層30の成長速度の調節が容易な観点から、MOCVD法がより好ましく用いられる。III族窒化物能動層30の形成温度は、III族窒化物の化学組成によって異なり特に制限はないが、結晶性のよい能動層が得られる観点から、700℃以上が好ましく、950℃以上がより好ましい。
ここで、パワーデバイスの種類により、形成されるIII族窒化物能動層30が異なる。図3および図9を参照して、SBDを製造する場合には、III族窒化物導電層20の主面20m上に、III族窒化物能動層30として、n+−GaN層31およびn−GaN層32を順次成長させる。また、図5および図9を参照して、PNDを製造する場合には、III族窒化物導電層20の主面20m上に、III族窒化物能動層30として、n+−GaN層31、n−GaN層32、p−GaN層33およびp+−GaN層34を順次成長させる。また、図7および図9を参照して、MISトランジスタを製造する場合には、III族窒化物導電層20の主面20m上に、III族窒化物能動層30として、n+−GaN層31、n−GaN層32、p−GaN層33およびn+−GaN層36を順次成長させる。なお、図3のSBD、図5のPNDおよび図7のMISトランジスタの製造において、n+−GaN層31は省略することができる。
本実施形態のパワーデバイスの製造方法は、電極の形成工程(S3)を備える。本工程により形成される電極は、III族窒化物能動層30の主面上に形成される電極40を意味する。かかる電極40の形成方法は、特に制限はないが、電極厚さの制御が容易で、か
つ電極厚さを均一にし易い観点から、電子ビーム(EB)蒸着法、抵抗加熱蒸着法、スパッタ法などが好ましい。本実施形態の製造方法により製造されるパワーデバイスは、III族窒化物導電層20に接合する金属製支持基板10を含んでいるため、基板側の電極は不要となる。このため、基板側の電極を形成する工程が不要となる。
ここで、パワーデバイスの種類により、形成される電極40が異なる。図3および図9を参照して、SBDを製造する場合には、III族窒化物能動層30のn−GaN層32上に電極40としてショットキー電極を形成する。図5および図9を参照して、PNDを製造する場合には、III族窒化物能動層30のp+−GaN層34上に電極40としてp−オーミック電極を形成する。図7および図9を参照して、MISトランジスタを製造する場合には、電極40として、III族窒化物能動層30のn+−GaN層36上の一部にソース電極41を形成するとともに、III族窒化物能動層30のn+−GaN層36、p−GaN層33およびn−GaN層32をメサ状にエッチングして、そのエッチング部分に絶縁層50を形成し、絶縁層50上にゲート電極42を形成する。
[実施例A]
実施例Aとして、パワーデバイスとしてSBDを製造した実施例について説明する。実施例Aは、以下の実施例A1〜A9および比較例RA1を含む。
(実施例A1)
1.導電層接合金属製支持基板の準備
まず、図11を参照して、以下のようにして、GaN導電層(III族窒化物導電層20)がMo支持基板(金属製支持基板10)に接合されたGaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した(導電層接合金属製支持基板S1)。
まず、HVPE法によりGaNインゴットを成長させた。GaNインゴットは、酸素がドープされたn型GaN結晶で形成されており、キャリア濃度は約5×1018cm-3であった。GaNインゴットの直径は2インチ(50.8mm)、厚さは1mm、主面は(0001)面に対して0.5°のオフ角を有していた。ここで、キャリア濃度は、ホール測定装置により測定した。
その後、GaNインゴットの外周を円筒研削により整形した。さらに、GaNインゴットの表主面(Ga面)の鏡面研磨を行った後、裏主面(N面)の鏡面研磨を行った。鏡面研磨では、ダイヤモンドスラリーを使用したメカニカル研磨を行った後、ケミカルメカニカル研磨を行った。表面粗さRa(JIS B0601に規定する算術平均粗さRaをいう。以下同じ。)が2nm以下、表面粗さP−V(Peak To Valley。表面において最も高い場所と最も低い場所との高低さをいう。以下同じ。)が10nm以下、全厚み変動ばらつきTTV(基板の一方の主面を真空吸着してできた平面を基準面とし、その基準面から他方の主面の最も高い場所と最も低い場所との差をいう。以下同じ。)が30μm以下、反りが30μm以下となるように加工した。ここで、GaN基板の表面粗さRaおよびP−Vは菱化システム社のマイクロマップにより80μm角の範囲内で測定し、全厚み変動ばらつきTTVはニデック社のフラットネステスターにより測定した。
次に、GaNインゴットを洗浄した。まず、60℃に加熱したIPA(イソプロピルアルコール。以下同じ)を用いた超音波洗浄を10分間行った。次いで、70℃に加熱したSC−1液(NH4OH/H22/H2O混合液)を用いた洗浄を10分間行った。次いで、純水リンスを10分間行った。次いで、70℃に加熱したSC−2液(HCl/H22/H2O混合液)を用いた洗浄を10分間行った。次いで、純水リンスを10分間行った。次いで、希フッ酸洗浄を5分間行った。次いで、王水洗浄を5分間行った。次いで、純
水リンスを10分間行った。次いで、IPAの蒸気乾燥を10分間行った。
次に、洗浄後のGaNインゴットの裏主面(N面)(主面2n)をRIE(反応性イオンエッチング)により活性化した。すなわち、1Paの圧力下でアルゴンプラズマによりGaNインゴットの裏主面の表面層を1nmエッチングした。次に、両主面研磨した厚さ500μmのMo支持基板(金属製支持基板10)の一方の主面をアルゴンプラズマでエッチングした。
次に、GaNインゴット(III族窒化物導電基板2)のアルゴンプラズマでエッチングした裏主面(N面)(主面2n)と、Mo支持基板(金属製支持基板10)のアルゴンプラズマでエッチングした主面と、を接合させた。具体的には、GaNインゴットとMo支持基板とを貼り合わせ、100℃の雰囲気温度下、1000N/cm2の圧力で5分間保持した。さらに、窒素雰囲気下、1100℃で30分以上アニールを行った。ここで、アニールは、100℃/分以下の速度で昇温および降温を行った。
次に、Mo支持基板上に厚さ120μmのGaN導電層が形成されるようにGaNインゴットをスライスした。スライスは、直径0.07mmのブラスメッキワイヤーを有するアッパーカット式マルチワイヤソーを用いて、高濃度の油性ダイヤモンドスラリーを使用しながら行った。ワイヤー速度は平均500m/minとして、インゴットの送り速度は1〜1.5mm/hrとした。また、ワイヤーエテンションは10Nとした。このようにして、GaN導電層接合Mo支持基板を得た。得られたGa導電層接合Mo支持基板について、支持基板と導電層との接合強度は、引張試験により測定したところ5MPa以上(接合界面におけるGaN導電層破壊)と良好であった。
次に、GaN導電層接合Mo支持基板の表主面(Ga面)の鏡面研磨を行った。鏡面研磨では、ダイヤモンドスラリーを使用したメカニカル研磨の後、ケミカルメカニカル研磨を行った。研磨後の表面粗さRaが1.5nmとなるように加工した。これにより、Mo支持基板上のGaN導電層の厚さを100μmとした。メカニカル研磨では、直径450mmの錫製定盤を用いた。定盤の回転数は40rpmとした。加工液としては、水溶性の多結晶ダイヤモンドスラリーを用いた。スラリー中の砥粒の粒度は0.5μm以下とした。荷重は250gf/cm2とした。ケミカルメカニカル研磨では、直径450mmの定盤を用いた。研磨パッドとしては、不織布を用いた。定盤の回転数は40rpmとした。加工液としては、コロイダルシリカとナノダイヤモンドとの混合液を用いた。荷重は250gf/cm2とした。
次に、GaN導電層の表面を洗浄した。具体的には、まず60℃に加熱したIPAを用いた超音波洗浄を10分間行った。次いで、70℃に加熱したSC−1液(NH4OH/H22/H2O混合液)を用いた洗浄を10分間行った。次いで、純水リンスを10分間行った。次いで、70℃に加熱したSC−2液(HCl/H22/H2O混合液)を用いた洗浄を10分間行った。次いで、純水リンスを10分間行った。次いで、希フッ酸洗浄を5分間行った。次いで、純水リンスを10分間行った。次いで、IPAの蒸気乾燥を10分間行った。このようにして、GaN導電層の厚さが100μmであるGaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)が準備された。
2.能動層の形成
次に、図3および図9を参照して、GaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の表主面(Ga面)(主面20m)上に、MOCVD法により、III族窒化物能動層30として、ストップ層の機能を有するキャリア濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+−GaN層31と、ドリフト層の機能を有するキャリア濃度が7×1015cm-3で厚さ5μmのn−GaN層32と、を順次成長させた(能動層の形成工程
S2)。上記能動層の成長において、成長温度は1050℃、成長圧力は200Torr(26.7kPa)、原料ガスとしてはTMG(トリメチルガリウム)およびNH3(アンモニア)ガスを用い、ドーパントガスとしてはSiH4(シラン)ガスを用い、キャリアガスとしてはH2ガスを用いた。
3.電極の形成
次に、図3および図9を参照して、n−GaN層32上に電極40を形成した(電極の形成工程S3)。まず、n−GaN層32の表面を有機洗浄した。具体的には、アセトンを用いた超音波洗浄を5分間、IPAを用いた超音波洗浄を5分間、純水を用いた超音波洗浄を5分間、を順次行った後、窒素ガスブローにより乾燥させた。次いで、フォトリソグラフィー、10質量%塩酸水溶液による表面の前処理、Ni/Au(Ni層厚さ50nm、Au層厚さ300nm)のEB蒸着およびリフトオフにより、n−GaN層32上に電極40として直径200μmのショットキー電極を形成した。このようにして、パワーデバイスたるSBDが得られた。
4.パワーデバイスの物性
得られたSBDについて、オン抵抗は半導体パラメータアナライザーを用いて測定したところ1.18mΩ・cm2と低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは半導体パラメータアナライザーを用いたI−V(電流−電圧)測定から1.33Vと低く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は半導体パラメータアナライザーを用いたI−V(電流−電圧)測定から354Vと高かった。結果を表2にまとめた。
(実施例A2)
スライス後のGaN導電層(III族窒化物導電層20)の厚さを50μm、研磨後のGaN導電層の厚さを30μmとしたこと以外は、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した。得られたGa導電層接合Mo支持基板について、支持基板と導電層との接合強度は5MPa以上(接合界面におけるGaN導電層破壊)と良好であった。次に、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の表主面(Ga面)(主面20m)上に、III族窒化物能動層30(キャリア濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+−GaN層31およびキャリア濃度が7×1015cm-3で厚さ5μmのn−GaN層32)を成長させた。次に、実施例A1と同様にして、n−GaN層32上に電極40(直径200μmのショットキー電極)を形成して、パワーデバイスたるSBDを得た。得られたSBDについて、オン抵抗は1.11mΩ・cm2と低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは1.28Vと低く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は330Vと高かった。結果を表2にまとめた。
(実施例A3)
1.導電層接合金属製支持基板の準備
まず、図12を参照して、以下のようにして、GaN導電層(III族窒化物導電層20)がMo支持基板(金属製支持基板10)に接合されたGaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した。
実施例A1と同様にHVPE法により成長させ洗浄し両主面を鏡面研磨した、酸素がドープされた直径が2インチ(50.8mm)で厚さが500μmのGaN導電基板(III族窒化物導電基板2)を準備した。このGaN導電基板は、主面が(0001)面に対して0.5°のオフ角を有しており、キャリア濃度は約5×1018cm-3であった。
このGaN導電基板(III族窒化物導電基板2)の裏主面(N面)(主面2n)側か
ら水素イオン(イオンI)を注入した。加速電圧は100eVとし、ドーズ量は2.5×1017cm-2とした。イオン流入のピーク位置(面2i)は、裏主面(主面2n)から約0.9μmの深さであった。水素イオン注入後、GaN導電基板の表面を洗浄した。
水素イオン注入し洗浄した後のGaN導電基板(III族窒化物導電基板2)の裏主面(N面)をAr(アルゴン)ガス中で放電させたプラズマに接触させて清浄面とした。一方、両面研磨した厚さ500μmのMo支持基板(金属製支持基板10)の主面をArガス中で放電させたプラズマに接触させて清浄面とした。ここで、Arガス中でのプラズマ放電条件は、RFパワーが100W、Arガス流量が50sccm、圧力が5.9Paであった。次いで、清浄面とされたGaN導電基板の裏主面(N面)と清浄面とされたMo支持基板の主面とを大気中で貼り合わせることにより接合した。貼り合わせ後は接合強度が弱いため、接合させた基板をN2ガス中300℃で2時間加熱することにより、接合強度を増大させた。
さらに、900℃で2時間、N2ガス中で加熱することにより、GaN導電基板(III族窒化物導電基板2)が裏主面(主面2n)から約0.9μmの深さの面(主面2nに平行な面)で分離して、Mo支持基板(金属製支持基板10)にGaN導電層(III族窒化物導電層20)が接合したGaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)が得られた。次いで、研磨によりGaN導電層の厚さが0.3μmのGaN導電層接合Mo支持基板を得た。得られたGa導電層接合Mo支持基板について、支持基板と導電層との接合強度は5MPa以上(接合界面におけるGaN導電層破壊)と良好であった。
2.能動層の形成
次に、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の表主面(Ga面)(主面20m)上に、III族窒化物能動層30(キャリア濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+−GaN層31およびキャリア濃度が7×1015cm-3で厚さ5μmのn−GaN層32)を成長させた。
3.電極の形成
次に、実施例A1と同様にして、n−GaN層32上に電極40(直径200μmのショットキー電極)を形成して、パワーデバイスたるSBDを得た。
4.パワーデバイスの物性
得られたSBDについて、オン抵抗は1.08mΩ・cm2と低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは1.26Vと低く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は301Vと高かった。結果を表2にまとめた。
(比較例RA1)
1.導電性自立III族窒化物基板の準備
まず、図4および図10を参照して、実施例A1と同様にHVPE法により成長させ洗浄し両主面を鏡面研磨した、酸素がドープされた直径が2インチ(50.8mm)で厚さが350μmの導電性自立GaN基板(導電性自立III族窒化物基板120)を準備した(導電性自立III族窒化物基板の準備工程S11)。この導電性自立GaN基板は、主面が(0001)面に対して0.5のオフ角を有しており、キャリア濃度が約5×1018cm-3であった。
2.能動層の形成
次に、図4および図10を参照して、導電性自立GaN基板(導電性自立III族窒化物基板120)の一方の主面120m上に、実施例A1と同様にして、III族窒化物能
動層130(キャリア濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+−GaN層131およびキャリア濃度が7×1015cm-3で厚さ5μmのn−GaN層132)を成長させた(能動層の成形工程S12)。
3.電極の形成
次に、図4および図10を参照して、以下のようにして、導電性自立GaN基板(導電性自立III族窒化物基板120)の他方の主面120n上に基板側電極150としてオーミック電極を形成し(基板側電極の形成工程S33)、n−GaN層32上に能動層側電極140としてショットキー電極を形成した(能動層側電極の形成工程S34)。
まず、導電性自立GaN基板の裏主面(N面)(主面120n)を有機洗浄した。具体的には、アセトンを用いた超音波洗浄を5分間、IPAを用いた超音波洗浄を5分間、純水を用いた超音波洗浄を5分間、を順次行った後、窒素ガスブローにより乾燥させた。次いで、導電性自立GaN基板の裏主面(N面)の全面に、EB蒸着法により、Ti/Al/Ti/Auがそれぞれ20nm/100nm/20nm/300nmの厚さの層を形成し、N2ガス中600℃で1分間熱処理して、オーミック電極(基板側電極150)を得た。次いで、実施例A1と同様にして、n−GaN層32上に直径200μmのショットキー電極(能動層側電極140)を形成して、パワーデバイスたるSBDを得た。このように、比較例RA1においては、ショットキー電極(能動層側電極140)のみならず、オーミック電極(基板側電極150)をも形成する必要があった。
4.パワーデバイスの物性
得られたSBDについて、オン抵抗は1.38mΩ・cm2と高く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは1.42Vと高く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は342Vと高かった。結果を表2にまとめた。
(実施例A4)
金属製支持基板10として、厚さ500μmのMo基礎基板(金属基礎基板10b)の一方の主面上に厚さ0.2μmのW層(金属層10a)が形成されているW/Mo支持基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合W/Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した。得られたGa導電層接合W/Mo支持基板について、支持基板と導電層との接合強度は10MPa以上(接合界面におけるGaN導電層破壊)と優れていた。次に、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合W/Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の表主面(Ga面)(主面20m)上に、III族窒化物能動層30(キャリア濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+−GaN層31およびキャリア濃度が7×1015cm-3で厚さ5μmのn−GaN層32)を成長させた。次に、実施例A1と同様にして、n−GaN層32上に電極40(直径200μmのショットキー電極)を形成して、パワーデバイスたるSBDを得た。得られたSBDについて、オン抵抗は1.10mΩ・cm2と低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは1.27Vと低く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は320Vと高かった。結果を表2にまとめた。
(実施例A5)
金属製支持基板10として、厚さ500μmのMo基礎基板(金属基礎基板10b)の一方の主面上に厚さ0.2μmのTi層(金属層10a)が形成されているTi/Mo支持基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合Ti/Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した。得られたGa導電層接合Ti/Mo支持基板について、支持基板と導電層との接合強度は10MPa以上(接合界面におけるGaN導電層破壊)と優れていた。次に、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合T
i/Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の表主面(Ga面)(主面20m)上に、III族窒化物能動層30(キャリア濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+−GaN層31およびキャリア濃度が7×1015cm-3で厚さ5μmのn−GaN層32)を成長させた。次に、実施例A1と同様にして、n−GaN層32上に電極40(直径200μmのショットキー電極)を形成して、パワーデバイスたるSBDを得た。得られたSBDについて、オン抵抗は1.11mΩ・cm2と低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは1.28Vと低く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は325Vと高かった。結果を表2にまとめた。
(実施例A6)
金属製支持基板10として、厚さ500μmのMo基礎基板(金属基礎基板10b)の一方の主面上に厚さ0.2μmのTa層(金属層10a)が形成されているTa/Mo支持基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合Ta/Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した。得られたGa導電層接合Ta/Mo支持基板について、支持基板と導電層との接合強度は10MPa以上(接合界面におけるGaN導電層破壊)と優れていた。次に、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合Ta/Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の表主面(Ga面)(主面20m)上に、III族窒化物能動層30(キャリア濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+−GaN層31およびキャリア濃度が7×1015cm-3で厚さ5μmのn−GaN層32)を成長させた。次に、実施例A1と同様にして、n−GaN層32上に電極40(直径200μmのショットキー電極)を形成して、パワーデバイスたるSBDを得た。得られたSBDについて、オン抵抗は1.12mΩ・cm2と低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは1.30Vと低く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は323Vと高かった。結果を表2にまとめた。
(実施例A7)
金属製支持基板10として、厚さ500μmのW支持基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合W支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した。得られたGa導電層接合W支持基板について、支持基板と導電層との接合強度は5MPa以上(接合界面におけるGaN導電層破壊)と良好であった。次に、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合W支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の表主面(Ga面)(主面20m)上に、III族窒化物能動層30(キャリア濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+−GaN層31およびキャリア濃度が7×1015cm-3で厚さ5μmのn−GaN層32)を成長させた。次に、実施例A1と同様にして、n−GaN層32上に電極40(直径200μmのショットキー電極)を形成して、パワーデバイスたるSBDを得た。得られたSBDについて、オン抵抗は1.13mΩ・cm2と低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは1.30Vと低く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は330Vと高かった。結果を表2にまとめた。
(実施例A8)
金属製支持基板10として、厚さ500μmのTa支持基板を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合Ta支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した。得られたGa導電層接合Ta支持基板について、支持基板と導電層との接合強度は5MPa以上(接合界面におけるGaN導電層破壊)と良好であった。次に、実施例A1と同様にして、GaN導電層接合Ta支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の表主面(Ga面)(主面20m)上に、III族窒化物能動層30(キャリア濃度が1×1018cm-3で厚さ0.5μmのn+−GaN層31およびキャリア濃度が7×1015cm-3で厚さ5μmのn−GaN層32)を成長させた。次に
、実施例A1と同様にして、n−GaN層32上に電極40(直径200μmのショットキー電極)を形成して、パワーデバイスたるSBDを得た。得られたSBDについて、オン抵抗は1.10mΩ・cm2と低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは1.28Vと低く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は320Vと高かった。結果を表2にまとめた。
Figure 2010205918
表2を参照して、SBDにおいて、基板として従来の典型的な導電性自立GaN基板に替えて金属製支持基板を用いることにより、逆方向耐電圧の高さを維持しながらオン抵抗を低減した結果、順方向電圧Vfを低減することができた(比較例RA1、実施例A1〜A8)。また、GaN導電層の厚さが小さくなるほど、オン抵抗および順方向電圧Vfが
低減した(実施例A1〜A3)。さらに、金属製支持基板として金属基礎基板の一方の主面に金属層が形成されている金属/金属支持基板を用いたものは、支持基板と導電層との接合強度が優れていた(実施例A4〜A6)。
ここで、実施例A1および比較例RA1において作製されたSBDの順方向の電流−電圧特性を図13に示し、逆方向の電流−電圧特性を図14に示した。図13を参照して、実施例A1においては比較例RA1に比べて、オン抵抗が約0.2mΩ・cm2低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfが約1V低いSBDが得られた。これは、比較例RA1に比べて実施例A1のSBDはGaN導電層(基板)の厚さが小さいこと、支持基板と抵抗が著しく低いMo支持基板を有するためと考えられる。一方、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧については、実施例A1は比較例RA1と同等であった。
[実施例B]
実施例Bとして、パワーデバイスとしてPNDを製造した実施例について説明する。実施例Bは、以下の実施例B1および比較例RB1を含む。
(実施例B1)
1.導電性接合金属製支持基板の準備
図9を参照して、実施例A2と同様にして、GaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した(導電性接合金属製支持基板の準備工程S1)。かかるGa導電層接合Mo支持基板について、支持基板と導電層との接合強度は5MPa以上(接合界面におけるGaN導電層破壊)と良好であった。
2.能動層の形成
次に、図5および図9を参照して、GaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の一方の主面20m上に、MOCVD法により、III族窒化物能動層30として、厚さ0.5μmのn+−GaN層31(キャリア濃度:1×1018cm-3)、厚さ7μmのn−GaN層32(キャリア濃度:3×1016cm-3)、厚さ0.5μmのp−GaN層33(Mg濃度:7×1017cm-3)およびコンタクト層たる厚さ75nmのp+−GaN層34(Mg濃度:1×1019cm-3)を成長させた(能動層の形成工程S2)。ここで、Mg濃度はSIMS(2次イオン質量分析法)により測定した。上記能動層の成長において、成長温度は1050℃、成長圧力は200Torr(26.7kPa)とし、原料ガスとしてはTMG(トリメチルガリウム)およびNH3(アンモニア)ガスを用い、ドーパントガスとしてはSiH4(シラン)ガスおよびCP2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)ガスを用い、キャリアガスとしてはH2ガスを用いた。
3.電極の形成
次に、図5および図9を参照して、p+−GaN層34上に、フォトリソグラフィーによりパターン化されたレジストマスクを形成し(図示せず)、p+−GaN層34およびp−GaN層33の一部をRIE(反応性イオンエッチング)してメサ形状を形成した。次いで、p+−GaN層34の表面を有機洗浄した。具体的には、アセトンを用いた超音波洗浄を5分間、IPAを用いた超音波洗浄を5分間、純水を用いた超音波洗浄を5分間、を順次行った後、窒素ガスブローにより乾燥させた。次いで、フォトリソグラフィー、10質量%塩酸水溶液による表面の前処理、Ni/Au(Ni層厚さ50nm、Au層厚さ100nm)を抵抗加熱蒸着およびリフトオフにより形成し、N2ガス中700℃で合金化させて、p+−GaN層34上に電極40としてp−オーミック電極を形成した(電極の形成工程S3)。電極部およびその近傍部の大きさは、p−オーミック電極が直径50μm、メサ形状部を構成するp+−GaN層34およびp−GaN層33が直径60μmであった。このようにして、パワーデバイスたるPNDが得られた。
4.パワーデバイスの物性
得られたPNDについて、電流密度が500A/cm2におけるオン抵抗は0.60mΩ・cm2と低く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは4.10Vと低く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は830Vであった。結果を表3にまとめた。
(比較例RB1)
1.導電性自立III族窒化物基板の準備
まず、図6および図10を参照して、比較例RA1と同様の導電性自立GaN基板(導電性自立III族窒化物基板120)を準備した(導電性自立III族窒化物基板の準備工程S11)。
2.能動層の形成
次に、図6および図10を参照して、導電性自立GaN基板(導電性自立III族窒化物基板120)の一方の主面120m上に、実施例B1と同様にして、III族窒化物能動層130(厚さ0.5μmのn+−GaN層131(キャリア濃度:1×1018cm-3)、厚さ7μmのn−GaN層132(キャリア濃度:3×1016cm-3)、厚さ0.5μmのp−GaN層133(Mg濃度:7×1017cm-3)および厚さ75nmのp+−GaN層134(Mg濃度:1×1019cm-3))を成長させた(能動層の成形工程S12)。
3.電極の形成
次に、図6および図10を参照して、実施例B1と同様にして、p+−GaN層34上に能動層側電極140としてp−オーミック電極を形成した(能動層側電極の形成工程S43)。次いで、導電性自立GaN基板の裏主面(N面)の全面に、EB蒸着法により、Ti/Al/Ti/Auがそれぞれ20nm/100nm/20nm/300nmの厚さの層を形成し、N2ガス中600℃で1分間熱処理して、基板側電極150としてn−オーミック電極を形成した(基板側電極の形成工程S44)。このようにして、パワーデバイスたるPNDを得た。このように、比較例RB1においては、p−オーミック電極(能動層側電極140)のみならず、n−オーミック電極(基板側電極150)をも形成する必要があった。
4.パワーデバイスの物性
得られたPNDについて、電流密度が500A/cm2におけるオン抵抗は0.87mΩ・cm2と高く、電流密度が500A/cm2における順方向電圧Vfは4.25Vと高く、リーク電流密度が1×10-3A/cm2における逆方向耐電圧は850Vであった。結果を表3にまとめた。
Figure 2010205918
表3を参照して、PNDにおいても、基板として従来の典型的な導電性自立GaN基板に替えて金属製支持基板を用いることにより、逆方向耐電圧の高さを維持しながらオン抵抗および順方向電圧Vfを低減することができた(比較例RB1、実施例B1)。
[実施例C]
実施例Cとして、パワーデバイスとしてMISトランジスタを製造した実施例について説明する。実施例Cは、以下の実施例C1および比較例RC1を含む。
(実施例C1)
1.導電性接合金属製支持基板の準備
図9を参照して、実施例A2と同様にして、GaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)を準備した(導電性接合金属製支持基板の準備工程S1)。
2.能動層の形成
次に、図7および図9を参照して、GaN導電層接合Mo支持基板(導電層接合金属製支持基板12)の一方の主面20m上に、MOCVD法により、III族窒化物能動層30として、厚さ0.5μmのn+−GaN層31(キャリア濃度:1×1018cm-3)、厚さ7μmのn−GaN層32(キャリア濃度:3×1016cm-3)、厚さ0.5μmのp−GaN層33(Mg濃度:7×1017cm-3)および厚さ0.5μmのn+−GaN層36(キャリア濃度:1×1018cm-3)を成長させた(能動層の形成工程S2)。上記能動層の成長において、成長温度は1050℃、成長圧力は200Torr(26.7kPa)とし、原料ガスとしてはTMG(トリメチルガリウム)およびNH3(アンモニア)ガスを用い、ドーパントガスとしてはSiH4(シラン)ガスおよびCP2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)ガスを用い、キャリアガスとしてはH2ガスを用いた。
3.電極の形成
次に、図7および図9を参照して、n+−GaN層36の表面を有機洗浄した。具体的には、アセトンを用いた超音波洗浄を5分間、IPAを用いた超音波洗浄を5分間、純水を用いた超音波洗浄を5分間、を順次行った後、窒素ガスブローにより乾燥させた。次いで、フォトリソグラフィー、10質量%塩酸水溶液による表面の前処理、Ti/Al/Ti/Auをそれぞれ20nm/100nm/20nm/300nmの厚さでEB蒸着およびリフトオフにより形成して、N2ガス中600℃で1分間熱処理することにより、n+−GaN層36上の一部分に電極40の一つであるソース電極41を形成した。次に、ソース電極41が形成されていないIII族窒化物能動層30の一部分において、RIEにより、n+−GaN層36、p−GaN層33およびn−GaN層32をメサ状にエッチングした。そのエッチング部分(メサ斜面)上に、p−CVD(プラズマ化学気相堆積)法
により、絶縁層50として厚さ100nmのSiO2層を形成した。次いで、N2ガス中1000℃で30分間熱処理することにより、SiO2層とGaN層との界面欠陥を低減させた。次いで、SiO2層(絶縁層50)上に、Ni/Au(Ni層厚さ50nm/Au層厚さ100nm)を抵抗加熱蒸着およびリフトオフすることにより、電極40の一つとしてゲート電極を形成した(電極の形成工程S3)。このようにして、パワーデバイスたるMISトランジスタが得られた。
(比較例RC1)
1.導電性自立III族窒化物基板の準備
まず、図8および図10を参照して、比較例RA1と同様の導電性自立GaN基板(導電性自立III族窒化物基板120)を準備した(導電性自立III族窒化物基板の準備工程S11)。
2.能動層の形成
次に、図8および図10を参照して、導電性自立GaN基板(導電性自立III族窒化物基板120)の一方の主面120m上に、実施例C1と同様にして、MOCVD法により、III族窒化物能動層130として、厚さ0.5μmのn+−GaN層131(キャリア濃度:1×1018cm-3)、厚さ7μmのn−GaN層132(キャリア濃度:3×1016cm-3)、厚さ0.5μmのp−GaN層133(Mg濃度:7×1017cm-3)および厚さ0.5μmのn+−GaN層136(キャリア濃度:1×1018cm-3)を成長させた(能動層の形成工程S12)。
3.電極の形成
次に、図8および図10を参照して、実施例C1と同様にして、n+−GaN層36上およびメサ状に形成されたSiO2層(絶縁層50)上に能動層側電極140としてそれぞれソース電極141およびゲート電極142を形成した(能動層側電極の形成工程S43)。次いで、導電性自立GaN基板の裏主面(N面)の全面に、EB蒸着法により、Ti/Al/Ti/Auがそれぞれ20nm/100nm/20nm/300nmの厚さの層を形成することにより、基板側電極150としてドレイン電極を形成した(基板側電極の形成工程S44)。このようにして、パワーデバイスたるMISトランジスタを得た。このように、比較例RB1においては、ソース電極141およびゲート電極142(能動層側電極140)のみならず、ドレイン電極(基板側電極150)をも形成する必要があった。
得られたMISトランジスタの特性について。実施例C1と比較例RC1とを比べると、ゲート電圧10Vにおけるオン抵抗は、比較例RC1に比べて実施例C1のほうが約0.2mΩ・cm2低かった。このように、導電性自立GaN基板に替えて金属製支持基板を用いることによりオン抵抗を低減することができた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
2 III族窒化物導電基板、2i 面、10 金属製支持基板、10a 金属層、10b 金属基礎基板、2n,10m,20m,120m,120n 主面、12 導電層接合金属製支持基板、20 III族窒化物導電層、30,130 III族窒化物能動層、31,131 n+−GaN層、32,132 n−GaN層、33,133 p−GaN層、34,134 p+−GaN層、36,136 n+−GaN層、40 電極、
41,141 ソース電極、42,142 ゲート電極、50 絶縁層、120 導電性自立III族窒化物基板、140 能動層側電極、150 基板側電極。

Claims (8)

  1. 金属製支持基板と、前記金属製支持基板の一方の主面側に順次形成されているIII族窒化物導電層、III族窒化物能動層および電極と、を含むパワーデバイス。
  2. 前記金属製支持基板は、前記金属製支持基板の熱膨張係数と前記III族窒化物導電層の熱膨張係数との差が4.5×10-6-1以下であり、融点が1100℃より高く、1100℃以下の雰囲気でNH3ガスおよびH2ガスに対して化学的に安定である請求項1に記載のパワーデバイス。
  3. 前記金属製支持基板は、Mo、WおよびTaからなる群から選ばれるいずれかの金属を含む請求項2に記載のパワーデバイス。
  4. 前記金属製支持基板は、金属基礎基板と、前記金属基礎基板の一方の主面に形成されている少なくとも1層の金属層と、を含む請求項1に記載のパワーデバイス。
  5. 前記金属基礎基板は、Mo、WおよびTaからなる群から選ばれるいずれかの金属を含み、
    前記金属層は、W、TiおよびTaから選ばれるいずれかの元素を含む請求項4に記載のパワーデバイス。
  6. 前記III族窒化物導電層の厚さは、0.05μm以上100μm以下である請求項1から請求項5までに記載のパワーデバイス。
  7. 金属製支持基板にIII族窒化物導電層が接合された導電層接合金属製支持基板を準備する工程と、前記III族窒化物導電層上にIII族窒化物能動層を形成する工程と、前記III族窒化物能動層上に電極を形成する工程と、を備えるパワーデバイスの製造方法。
  8. 前記III族窒化物能動層の形成温度は、700℃以上である請求項7に記載のパワーデバイスの製造方法。
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