JP2010204214A - フォトマスクブランクス及びフォトマスク - Google Patents

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Abstract

【課題】遮光材料を大量に含有する場合であっても、露光により高感度で硬化し、細線の太りが抑制された高解像度の画像を形成しうるフォトマスクブランクス、及び、該フォトマスクブランクスを用いて作製された、高解像度な遮光層を有するフォトマスクを提供する。
【解決手段】透明基板上に、(A)重合開始剤、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、(C)バインダーポリマー、及び、(D)遮光材料、を含む感光性組成物層を有し、透明基板日の感光性組成物層を有しない面に反射防止層を備えるフォトマスクブランクスであり、該反射防止層は水溶性ポリマーを含有し、波長405nmにおける分光濃度が1.5以上3.0以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明はフォトマスクブランクス、及び、それを用いたフォトマスクに関する。より詳細には、PDP、FED、LCD等のフラットパネルディスプレイ、CRT用シャドーマスク、印刷配線板、半導体等の分野におけるフォトリソ工程において用いうるフォトマスクを作製しうるフォトマスクブランクス、及びそれにより得られたフォトマスクに関する。
フラットパネルディスプレイ、CRT用シャドーマスク、印刷配線板、半導体等の分野におけるフォトリソ工程において用いられるフォトマスクとしては、金属クロム層(Cr層)を設けたCrマスク、ハロゲン化銀乳剤層を設けたEmマスク(エマルションマスク)が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
Crマスクは、石英やガラス等の透明基板上にクロム層をスパッタリング法により形成後、この上にエッチングレジストを塗布などにより設け、HeCdレーザー(442nm)などによる露光、アルカリ水溶液などでの現像によるエッチングレジストのパターニング、クロムのエッチング、及びエッチングレジストの剥離を行って作製される。Crマスクは、ピンホール等の欠陥修正可能で、高解像度、高耐久性(耐傷性)、高洗浄性にも優れるというメリットを有するものの、作製工程が煩雑なため高価であり、製造に際してクロムエッチングが行われることに起因する廃液処理等の環境面の問題も有している。
Emマスクは、ハロゲン化銀乳剤層(感光性層)を石英やガラス等の透明基板上に設け、YAGレーザーなどにより露光、現像、定着処理で作製されるものである。Emマスクは光に対する感度が高いものの、感光性材料に起因して解像度が余り高くなく(3μm程度)、極微細なパターンを作製するには不向きであり、耐久性に乏しい、欠陥修正が実質的に困難であるという欠点を有している。
また、他のタイプのフォトマスクとして、黒色顔料等の黒色材料及び光ラジカル系の重合性成分を含有し、かつ近紫外光ないし可視光で画像形成が可能な感光性層を有するフォトマスクブランクスを用いて作製されるものが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。該フォトマスクブランクスが有する感光性層は、フォトマスク作製時に照射される近紫外ないし可視領域における吸光度が小さいため高感度であり、一方、フォトマスク使用時に照射される紫外領域の光の吸収特性が良好なため、感光性層を露光・現像することにより、解像度に優れたフォトマスクを得ることができる。また、このフォトマスクは、金属膜を必要とせず、レリーフ画像であるため欠陥修正を簡便に行うことができ、感度や解像度等のバランスがよく、安価で環境への負荷も小さいという特徴も有する。
フォトマスクの作製に黒色材料を含む光ラジカル系の重合性組成物を用いた感光性層に含有するフォトマスクブランクスを用いる場合、350nmから450nm等の如き短波光源を用いた半導体レーザーによる走査露光システムによるパターン形成も可能となる。
フォトマスクは繰り返し使用上の耐久性の観点から、透明基板、特に透明なガラス基板を用いることが一般的である。
しかしながら、このような感光性層を有するフォトマスクを露光して画像形成を行う際に黒色材料が露光光を吸収してしまうため、感光性層の深部、基板付近では硬化が十分ではなく、一方、強い露光条件で露光すると、非硬化部であるべき部分が硬化してしまうという予期せぬ硬化反応が起こってしまい、得られるフォトマスクの解像度が低下するという問題があり、露光波長や露光エネルギーなどの露光条件の設定が困難であった。さらに、最適条件で露光した場合でも、露光光が透明基板表面において反射、拡散し、この拡散した反射光が感光性組成物層の裏面から照射されることになり、所望されない領域が硬化して、細線の太りを生じるなど、パターン状の遮光層の解像度が低下するという問題があることが判明した。
このように、高感度と保存安定性を達成するとともに、解像度、特に、細線の太りなどを抑制した高解像度の画像を形成しうるフォトマスクブランクスは未だ提供されておらず、従来にはない新たな技術が求められているのが現状である。
特開2005−283914号公報 特開2001−343734号公報
教育文科会編、「フォトファブリケーション」、日本フォトファブリケーション協会発行、67〜80ページ、1992年6月
本発明は、前記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、遮光材料を大量に含有する場合であっても、露光により高感度で硬化し、細線の太りが抑制された高解像度の画像を形成しうるフォトマスクブランクス、及び、該フォトマスクブランクスを用いて作製された、高解像度な遮光層を有するフォトマスクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 透明基板上に、(A)重合開始剤、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、(C)バインダーポリマー、及び、(D)遮光材料、を含む感光性組成物層を有し、透明基板日の感光性組成物層を有しない面に反射防止層を備えるフォトマスクブランクス。
<2> 前記反射防止層の反射率が5%以下である<1>に記載のフォトマスクブランクス。
<3> 前記反射防止層が水溶性ポリマーを含有し波長405nmにおける分光濃度が1.0以上5.5以下である<1>又は<2>に記載のフォトマスクブランクス。
<4> 前記反射防止層としてカーボンブラックを含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
<5> 前記透明基板の感光性組成物層を形成する側の表面に密着性下塗り層を有する<1>〜<4>のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
<6> 前記感光性層が、更に、増感色素を含有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
<7> 前記(D)遮光材料としてカーボンブラックを含有する<1>〜<6>のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
<8> 前記感光性組成物層の膜厚が1.2μm以上3.0μm以下である<1>〜<7>のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
<9> 前記透明基板が、厚み0.1mm以上20mm以下の透明なガラスである<1>〜<8>のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
<10> <1>〜<9>のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクスが有する感光性組成物層を、画像様に露光した後、現像することで形成された遮光層を備え、該感光層の膜厚が0.8μm以上2.0μm以下であり、且つ、波長365nmにおけるオプティカルデンシティー(O.D.)が3.5以上であるフォトマスク。
以下、本発明のさらなる好ましい態様について記載する。
<11> 前記感光性組成物層上に、さらに、25℃における酸素透過性が1.0ml/m・da・atm以上2000ml/m・day・atm以下の酸素遮断性層を有する前記フォトマスクブランクス。
<12> 前記(A)重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾール化合物であることを特徴とする前記フォトマスクブランクス。
<13> 前記本発明のフォトマスクブランクスが有する感光性組成物層を、画像様に露光した後、現像することで形成された遮光層を有するフォトマスク。
<14> 前記遮光層におけるラインアンドスペース(L/S)の線幅が、0.1μm以上10μm以下である前記フォトマスク。
<15> 透明基板上に、反射防止層を設ける工程と、該透明基板の反射防止層非形成面に、(A)重合開始剤、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、(C)バインダーポリマー、及び、(D)遮光材料、を含む感光性組成物層を形成する工程と、該感光性組成物層を画像様に露光した後、感光性組成物層の未露光領域とを現像除去して画像様の遮光層を形成する工程と、を有するフォトマスクの製造方法。
<16> 前記露光が、390nm〜420nmの光を放射するレーザーを用いて行われる画像様露光である前記フォトマスクの製造方法。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定している。
本発明のフォトマスクブランクスは、透明基板の感光性組成物層非形成面に反射防止層を有することから、感光性組成物層を画像様に露光する露光光は、透明基板裏面の反射防止層に積極的に吸収されるため、透明基板表面における露光光の反射が抑制されるとともに、露光光が深部まで到達することになり、反射光の拡散による裏面からの露光が防止され、それに起因する所望されない領域の硬化が抑制されて高解像その画像形成が可能となったものと考えられる。
本発明によれば、遮光材料を大量に含有する場合であっても、露光により高感度で硬化し、細線の太りが抑制された高解像度の画像を形成しうるフォトマスクブランクスを提供することができる。
また、本発明のフォトマスクブランクスを用いることで、高解像度な遮光層を有するフォトマスクを提供することができる。
以下、本発明のフォトマスクブランクス、及びそれにより作製されたフォトマスクについて詳細に説明する。
[フォトマスクブランクス]
本発明のフォトマスクブランクスは、透明基板上に、(A)重合開始剤、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、(C)バインダーポリマー、及び、(D)遮光材料、を含む感光性組成物層を有し、透明基板の感光性組成物層を有しない面に反射防止層を備えることを特徴とする。また、目的に応じて、該感光性組成物層上には、更に、酸素遮断性層等の他の層を有することもできる。
なお、本明細書では、透明基板の感光性組成物層形成面を透明基板の表面、感光性組成物層非形成面を透明基板の裏面とそれぞれ称することがある。
(感光性組成物層)
本発明のフォトマスクブランクスが有する感光性組成物層は、少なくとも遮光材料を含有し且つ紫外光ないし可視光で画像形成が可能な層である。即ち、感光性組成物層は、近紫外光ないし可視光による画像様の露光後、現像液を用いて現像処理することにより、画像形成が可能な層である。
感光性組成物層は、環境問題上アルカリ現像型が好ましく、本発明においては、露光部分が硬化してアルカリ現像液に不溶化するネガ型の層を用いている。
以下、本発明に係る感光性組成物層に含まれる各成分について詳述する。
<(A)重合開始剤>
本発明における感光性組成物層は、(A)重合開始剤を含有する。
本発明における(A)重合開始剤としては、特許文献、その他の公報等で公知である種々の光重合開始剤、あるいは2種以上の光重合開始剤の併用系(光重合開始系)を適宜選択して使用することができる。本発明においては、単独で用いる光重合開始剤、2種以上の光重合開始剤を併用した系を総括して単に光重合開始剤という。
本発明における重合開始剤には特に制限はなく、露光波長に応じて適宜選択され、例えば400nm付近の光を光源として用いる場合には、光重合開始剤として、ベンジル、ベンゾイルエーテル、ミヒラーズケトン、アントラキノン、チオキサントン、アクリジン、フェナジン、ベンゾフェノン、ヘキサアリールビスイミダゾール化合物等の公知の光重合開始剤から広く選択して使用される。
なかでも、(A)重合開始剤としては、増感色素との共存下で光照射されたときに、増感色素の光励起エネルギーを受け取って活性ラジカルを発生し、(C)エチレン性不飽和化合物を重合に到らしめるラジカル発生剤である、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、チタノセン系化合物、メタロセン化合物、トリアジン化合物、オキシムエステル化合物、ハロゲン化炭化水素誘導体、ジアリールヨードニウム塩、有機硼素酸塩、及び有機過酸化物等が好ましく挙げられ、さらに、露光感度、基板に対する感光性組成物層の密着性、及び保存安定性等の面から、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、メタロセン化合物、トリアジン化合物、オキシムエステル化合物、及び有機硼素酸塩が好ましく、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物が特に好ましい。
本発明における好ましい光重合開始剤であるヘキサアリールビイミダゾール化合物について説明する。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、欧州特許第24629号、欧州特許第107792号、米国特許第4410621号、欧州特許第215453号及びドイツ特許公開3211312号等の各明細書に記載の種々の化合物を使用することが可能である。好ましいものとしては、例えば、2,4,5,2’,4’,5’−ヘキサフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラキス(3−メトキシフェニル)−ビスイミダゾール、2,5,2’,5’−テトラキス(2−クロロフェニル)−4,4’−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,2’−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−ニトロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ジ−o−トリル−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−エトキシフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、及び2,2’−ビス(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニルビスイミダゾール等を挙げることができる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物は2種以上併用してもよい。
光重合開始剤としてヘキサアリールビイミダゾール化合物を用いる場合、該ヘキサアリールビスイミダゾール化合物の使用量は、後述する(B)エチレン性不飽和化合物の総量100質量部に対し、0.05〜50質量部が好ましく、より好ましくは0.2〜30質量部である。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物とともに、他の光重合開始剤を併用してもよい。他の重合開始剤を用いる場合の添加量としては、後述する(B)エチレン性不飽和化合物の総量100質量部に対し、0.05〜50質量部が好ましく、より好ましくは0.2〜30質量部である。
光重合開始剤は、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール等のチオール化合物、N−フェニルグリシン、N,N−ジアルキルアミノ芳香族アルキルエステル等のアミン化合物等の水素供与性化合物と併用することにより、更に光開始能力が高められることが知られており、必要に応じて光重合開始剤に水素供与性化合物を併用してもよい。
特に、光開始能力が高く本発明に好適な水素供与性化合物としては、メルカプト基含有化合物が挙げられる。
メルカプト基含有ヘテロ環化合物を併用する場合の添加量は、ヘキサアリールビイミダゾール化合物等の光重合開始剤1molに対して、0.2〜10.0molの比率で使用するのが好ましく、より好ましくは、0.5〜6.0molの比率、さらに好ましくは、0.5〜4.0molの比率である。
感光性組成物層中における重合開始剤の含有量は、感光性組成物層を構成する全固形成分100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.5質量部〜15質量部、さらに好ましくは1質量部〜10質量部の範囲である。
<(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物(エチレン性不飽和化合物)>
感光性組成物層は、エチレン性不飽和結合を有する化合物(エチレン性不飽和化合物)を含有する。
エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和結合を分子内に少なくとも一つ有する化合物であり、感光性組成物層が活性光線の照射を受けた時、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋、硬化に寄与する。
エチレン性不飽和化合物は、例えば、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは2〜6個有する化合物の中から任意に選択することができる。モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものである。
エチレン性不飽和化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸とアルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸とアミン化合物とのアミド類が用いられ、具体的には、特開2001−343734号公報の段落番号〔0012〕、特開2003−107697号公報の段落番号〔0020〕〜〔0025〕、特開2003−186176号公報の段落番号〔0029〕〜〔0038〕、特開2006−259558号公報の段落番号〔0126〕〜〔0140〕、特開2007−47742号公報の段落番号〔0173〕〜〔0187〕、特開2007−86165号公報の段落番号〔0140〕〜〔0149〕に記載の化合物が使用される。
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。さらに日本接着協会誌Vo1.20,No.7,300〜308頁(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
本発明において好ましく用いられるエチレン性不飽和化合物としては、イソシアネート基を複数有する化合物と水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートとの付加反応によって得られるウレタン結合を複数有する重合性化合物が好ましく用いられ、例えば、特公昭56−17654号公報に記載されている。
なお、(B)エチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性組成物層の全質量に対し、5質量%〜80質量%が好ましく、より好ましくは30質量%〜70質量%の範囲である。
<(C)バインダーポリマー>
感光性組成物層は、バインダーポリマーを含有する。
高分子バインダーとしては、高分子化合物であれば特に限定されず利用することができるが、現像性の観点から、アルカリ可溶性であることが好ましい。このようなバインダーポリマーとしては、側鎖にアルカリ可溶性基を有する高分子化合物が好ましい。アルカリ可溶性基としては、酸基又はその塩が挙げられる。特に、カルボキシル基を有する高分子化合物が好ましく用いられる。
バインダーポリマーの骨格としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子骨格が好ましく、これらの中でも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂等のビニル共重合体、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。具体的には、特開2001−343734号公報の段落番号〔0011〕、特開2003−107697号公報の段落番号〔0017〕〜〔0019〕、特開2003−186176号公報の段落番号〔0022〕〜〔0027〕、特開2006−259558号公報の段落番号〔0143〕〜〔0147〕、特開2007−86165号公報の段落番号〔0152〕〜〔0154〕等に記載のバインダーポリマーが好ましく用いられる。
バインダーポリマーとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂が好ましく用いられる。
上記の中でも、本発明に係る感光性層が含有する高分子バインダーとしては、側鎖に架橋性基を有するポリウレタン樹脂、及び、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
本発明で特に好ましく用いられる側鎖に架橋性基を有するポリウレタン樹脂は、例えば、(i)ジイソシアネート化合物、(ii)少なくとも1つのカルボキシル基を有するジオール化合物、(iii)架橋性基を有するジイソシアネート化合物及び必要であれば(iv)カルボキシル基を有さないジオール化合物、を重付加反応させることにより得ることができる。これらの具体例は、特開2007−57597号公報の段落番号〔0050〕〜〔0137〕に挙げられ、好ましく用いられる。
高分子バインダーとしては、ポリウレタン合成時に側鎖に架橋性基を導入して得られる上記のポリウレタン樹脂のほかに、特開2003−270775号公報に記載されるようなカルボキシル基を有するポリウレタンに高分子反応で架橋性基を導入して得られるポリウレタン樹脂を用いることもできる。
本発明におけるバインダーポリマーとしては、例えば、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開2001−109139号、特開2001−117217号、特開2001−312062号、特開2003−131397号の各公報に記載のポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。
本発明に用いることができるバインダーポリマーとして好適な材料の一例は、(a)カルボン酸(その塩を含む)を含有する繰り返し単位(以下、適宜、繰り返し単位(a)と称する。)、及び(b)ラジカル架橋性を付与する繰り返し単位(以下、適宜、繰り返し単位(b)と称する。)を有する共重合体である。
(a)カルボン酸を含有する繰り返し単位(繰り返し単位(a))としては特に限定されないが、下記一般式(i)で表される繰り返し単位が好ましく用いられる。
Figure 2010204214
一般式(i)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子よりなる群から選択される2以上の原子を含んで構成され、その原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR−を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。
一般式(i)においてRで表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含んで構成され、その総原子数は、2〜82であることが好ましく、2〜50であることがより好ましく、2〜30であることがさらに好ましい。Rで表される連結基は置換基を有していてもよい。ここで示す総原子数とは、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。より具体的には、Rで表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることがさらに好ましく、5〜10であることが最も好ましい。
なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(i)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
一般式(i)においてRで表される連結基として、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレン、あるいはこれらの基を構成する任意の炭素原子上の水素原子を除き(n+1)価の基としたものなどが挙げられ、これらの基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有するものが好ましい。特に、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10のものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基が挙げられる。
一般式(i)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
共重合体における繰り返し単位(a)の含有量は、総繰り返し単位数を100とした場合、そのうちの5〜50、好ましくは5〜25、より好ましくは5〜15である。
(b)ラジカル架橋性を付与する繰り返し単位(繰り返し単位(b))はとしては特に限定されないが、ラジカル架橋性基としてエチレン性不飽和基を有するものが好ましく用いられる。
ラジカル架橋性基は、具体的には、置換基を有してもよいアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基など)、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、アルキニル基(エチニル基、プロパギル基など)、プロピオロイル基などが挙げられる。
共重合体における繰り返し単位(b)の含有量は、総繰り返し単位数を100とした場合、そのうちの5〜90、好ましくは20〜85、より好ましくは40〜80である。
また、本発明におけるバインダーポリマーは、特に限定されないが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(以下、適宜、繰り返し単位(1)と称する。)を含んでいてもよい。
Figure 2010204214
一般式(1)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−NH−基を表し、Yは、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、炭素数5から12の脂環式アルキル基、炭素数6から20の芳香環を有する基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、又は−NH−基を表し、Rは、炭素数1から18のアルキル基、炭素数5から20の脂環構造を有するアルキル基又は炭素数6から20の芳香環を有する基を表す。
繰り返し単位(1)の含有量は、総繰り返し単位数を100とした場合、そのうちの1〜40であることが好ましく、さらに好ましくは3〜25、より好ましくは、5〜15である。
一般式(1)の他にも、繰り返し単位として、側鎖に、エステル基、アミド基を有するアクリル樹脂、メタクリル樹脂、又はウレタン樹脂が好ましく用いられている。
これらの繰り返し単位の含有量は、総繰り返し単位数を100とした場合、そのうちの1〜40、好ましくは3〜25、より好ましくは、5〜15である。
感光性組成物層の現像性を維持する観点からは、(C)バインダーポリマー分子量としては、重量平均分子量で、5000〜300000の範囲であることが好ましく、より好ましい範囲は20000〜150000である。
(C)バインダーポリマーは、感光性組成物層中に任意の量で含有させることができるが、画像強度等の観点からは、感光性組成物層の全固形分中、好ましくは10質量%〜90質量%、より好ましくは30質量%〜80質量%である。
<(D)遮光材料>
本発明のフォトマスクブランクスにおける感光性組成物層は遮光材料を含有する。
本発明における遮光材料とは、フォトマスクが適用される活性光線の波長の光を反射、吸収することにより透過させない機能を有する材料であり、具体的には、マスクとして使用する際の露光光源(水銀灯、メタルハライド灯キセノン灯等)が発する波長域200〜450nm、好ましくは250〜400nm程度、の光を実質遮光できるものであり、塗膜形成時のオプティカルデンシティー(O.D.)が2.5以上であることを要し、好ましくは、3.0以上であるものを指す。
オプティカルデンシティー(O.D.)は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量がフォトマスクブランクスとして必要な範囲において適宜決定された厚みの感光性層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に感光性層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
本発明における遮光材料は、フォトマスクブランクスにより作製されたフォトマスクの使用目的等に応じて適宜選択すればよい。
遮光材料として具体的には、特開2001−343734号公報の段落番号〔0015〕〜〔0016〕、特開2003−107697号公報の段落番号〔0027〕、〔0035〕〜〔0038〕、特開2003−186176号公報の段落番号〔0041〕〜〔0043〕、特開2004−302012号の段落番号〔0038〕〜〔0040〕に記載の金属粒子(金属化合物粒子、複合粒子、コア・シェル粒子などを含む)、顔料その他の粒子、フラーレンなどが好適に用いられる。
本発明に用いうる遮光材料としては、黒色材料であることが好ましく、該黒色材料としては、黒色顔料及び金属微粒子の少なくとも1種であることが好ましい。
以下、本発明に適用しうる遮光材料について詳細に説明する。
本発明における遮光材料として特に好ましくは、カーボンブラックである。
遮光材料としてカーボンブラックを用いる場合、感光性組成物層は、カーボンブラックのみを含有してもよいし、カーボンブラックと、他の色材(例えば、他の着色剤)を併用してもよい。カーボンブラックと他の色材を併用する場合には、感光性組成物層に含有される全着色剤中50質量%以上がカーボンブラックであると、感光性組成物層の色濃度を高濃度にする点で好ましい。
顔料を遮光材料として用いる場合、100nm以下の平均粒径を有する顔料が好ましく、1nm以上60nm以下のものがより好ましい。
なお、顔料は、感光性組成物層の形成に用いる感光性組成物中において、各種分散剤により分散されていることが好ましい。
感光性組成物層固形分中の(D)遮光材料の含有量は、フォトマスクブランクスにより作製されるフォトマスクの濃度や、膜厚、フォトマスクを作製する際の感度、解像性等を考慮して決められ、その種類によっても異なるが、10質量%〜50質量%が好ましく、より好ましくは15質量%〜35質量%である。
<(E)増感色素>
感光性組成物層は、増感色素を含有することが好ましい。増感色素とは、吸収した光のエネルギーを光重合開始剤へとエネルギー移動又は電子移動により伝達することが可能な色素を言う。増感色素は、この機能を有する増感色素であれば特に吸収波長は限定されず、露光に用いるレーザーの波長により適宜選択されるが、本発明では、特に、360nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素が好ましく用いられる。
本発明に用いることができる増感色素としては、特に制限はなく、公知の増感色素を用いることができる。例えば、ローズベンガル、エオシン、エリスロシン、メロシアニン系化合物、ケトクマリン系化合物、ローダニン環を有する色素、等が挙げられる。
また、本発明における増感色素としては、下記一般式(I)で表される増感色素(以下、適宜「特定増感色素」と称する。)が好ましい。
Figure 2010204214
一般式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。Xは−N(R)を表す。R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、Rは、R、R、R、又はRと脂肪族性又は芳香族性の環を形成するために結合することができる。Zは隣接する原子と共同して、酸性核を形成するのに必要な2価の非金属原子団を表す。
特定増感色素の特徴の1つは、350nmから450nm波長領域に特に優れた吸収特性を有することにある。更に、特定増感色素は、感光性層中に含有される種々の開始剤化合物の分解を効率良く引き起こし、非常に高い感光性を示す。
一般式(I)中、Zは、酸性核を形成するのに必要な2価の非金属原子団を表し、好ましくはヘテロ原子を含む5員又は6員環構造を表す。
ここで「酸性核」とは、ジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of the Photographic Process)第4版、マクミラン出版社、1977年、198頁により定義されるものである。
一般式(I)における酸性核の具体例としては、特開2007−47742号公報の段落番号〔0233〕〜〔0234〕および段落番号〔0251〕〜〔0257〕、特開2007−86165号公報の段落番号〔0098〕〜0099〕および段落番号〔0111〕〜〔0122〕に記載の酸性核が挙げられる。
これらの酸性核は更に置換基を有してもよい。酸性核に導入しうる好ましい置換基としては、アルケニル基、芳香族基、芳香族複素環残基等の不飽和結合を有する置換基が挙げられる。
一般式(I)における好ましい酸性核としては、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、1,3−オキサゾリジン2,4−ジオン核、2−イミノ−2,4−オキサゾリジンジオン核が挙げられ、更に好ましくは、1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン核、2−イミノ−2,4−オキサゾリジンジオン核である。
一般式(I)中、R、R、R、R、R、又はRで表される一価の非金属原子団としては、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、及び置換若しくは無置換のアルコキシ基が好ましい。具体的には、特開2006−259558号公報の段落番号〔0035〕〜〔0042〕、特開2007−47742号公報の段落番号〔0235〕〜〔0245〕、特開2007−86165号公報の段落番号〔0100〕〜〔0110〕に記載の化合物が用いられる。
及びRのより好ましい例としては、置換若しくは無置換のアルキル基、及び置換若しくは無置換のアルコキシ基が挙げられる。R及びRの更に好ましい例としては、置換基を有してもよい炭素数1〜15のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1〜15のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。R及びRの両方が、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルコキシ基である場合が、特に好ましい。
及びRのより好ましい例は、置換若しくは無置換のアルキル基であること、即ち、一般式(I)におけるXがジアルキルアミノ基であることである。R及びRのさらに好ましい例としては、置換基を有してもよい炭素数2〜15のアルキル基であり、具体的にはエチル基、ブチル基が挙げられる。
また、Rのより好ましい例としては、置換基を有してもよい炭素数1〜15のアルキル基、及び炭素数1〜15のアルコキシ基が挙げられる。
特定増感色素の内でも、下記一般式(II)で表される構造を有する増感色素は、高い増感能を有する上、保存安定性にも非常に優れた感光性組成物を与えるため、特に好ましい。
Figure 2010204214
一般式(II)中、X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又はNR21を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。Xは−N(R)を表す。R、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、Rは、R、R、R又はRと脂肪族性又は芳香族性の環を形成するために結合することができる。
ここで、一般式(II)中、R〜Rで表される一価の非金属原子団は、前記一般式(I)における一価の非金属原子団と同義であり、また、好ましい範囲も同様である。Rで表される一価の非金属原子団は、特に、水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基が好ましい。
更に、一般式(II)において、Xとしては酸素原子が好ましい。また、YとしてはNR21が好ましく、R21は水素原子又は1価の非金属原子団を表し、特に、水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基が好ましい。
増感色素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増感色素の添加量は、感光性層を構成する全固形成分100質量部に対し、0.05質量部〜30質量部が好ましく、より好ましくは0.1質量部〜20質量部、更に好ましくは0.2質量部〜10質量部の範囲である。
−(F)その他の成分−
本発明における感光性組成物層には、前記(A)〜(D)の必須成分、好ましい併用成分である(E)成分に加えて、目的に応じて種々の化合物を併用することができ、例えば、特開平9−25360号公報に記載のUV吸収剤や特開2004−302012号公報の段落番号〔0047〕に記載の熱重合禁止剤を添加することができる。
さらに、本発明で使用する感光性組成物には必要に応じて公知の添加剤、例えば可塑剤、界面活性剤等を添加することができる。
<感光性組成物層の形成>
感光性組成物層は、前述した各必須成分及び任意成分を含有する塗布液(感光性組成物層形成用塗布液)を、適切な基板上にスピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、あるいはカーテンコーター等を用いて直接塗布により設けることが可能である。
感光性組成物層の膜厚は、膜厚の均一性、解像度及び感度の観点から、0.3μm〜7μmの範囲が好ましい。特に好ましい膜厚は、0.5μm〜3μmである。
(透明基板)
前記感光性組成物層及び所望により後述する酸素遮断性層を適切な透明基板上に形成し、透明基板裏面に反射防止層を形成することにより、本発明のフォトマスクブランクスが得られる。
透明基板は目的に応じて適宜選択されるが、透明基板ごとフォトマスクを形成し、そのまま繰り返し使用するという観点からは、フォトマスクが用いられる露光光源の波長に対して吸収のないもの、具体的には、可視光に用いる場合には、透明基板を用いる。本発明における、透明基板とは、350〜750nmの波長領域に極大吸収を有さない基板を意味する。
本発明のフォトマスクブランクスに用いる透明基板としては、ガラス板(例えば、石英ガラス、ソーダガラス、無アルカリガラスなど)、透明プラスティックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)から選択される透明基板を使用することができる。
透明基板の厚さは、フォトマスクブランクスによって適宜設定することができるが、0.1mm以上20mm以下の範囲が好ましく、1mm以上7mm以下の範囲が好ましく、1mm以上5mm以下の範囲が好ましい。
透明基板に用いる光学ガラスは一般的に4〜8%の反射のロスが有り、これを抑制することで、後述する反射防止層の機能を十分に発現することができる。即ち、ガラス基板として、無反射ガラスや反射防止膜をコートしたガラスを用いることによりこのロスを防ぎ高い透過率が得られる。
反射防止膜としては、誘電体多層膜のコートによる反射防止膜があり、このコーティングにより透過率99%以上の高透過率を実現可能である。
また、光の波長(数百ナノメートル)以下の周期構造をガラス表面に作ると、空気の屈折率1からガラスの屈折率(例えば1.45)まで、屈折率を滑らかに変化させる構造を作ることができることが知られており、このようなガラスもまた、本発明の透明基板として好適である。
本発明に好ましく用いられる表面の反射が抑制されたガラス基板としては、反射防止ガラス、無反射ガラス、低反射ガラスとも称するものが挙げられる。これらは市販品としも入手可能であり、例えば、旭ガラス(株)製(商品名:ノングレアS)、セラテックジャパン(株)製(商品名:ガラス基板(BK7)、3波長AR膜)、(商品名:水晶 単層AR膜)及び、(商品名:水晶 多層AR膜)などが挙げられる。
(密着性下塗り層)
透明基板には、感光性組成物層との密着性向上を目的として、その表面に密着性下塗り層を有することが好ましい。
密着性下塗り層は、透明基板の感光性組成物層形成面の表面にシランカップリング剤による処理を行うことで形成される。
密着性下塗り層の形成に用いるシランカップリング剤は公知のものが特に制限なく用いられるが、なかでもアミノ基を持つシランカップリング剤が好ましい。
具体的には、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
更に、基体との密着性を向上させるために、添加剤として密着促進剤を含有させることができる。このような密着促進剤としては、官能性シランカップリング剤を好適に用いることができる。ここに、官能性シランカップリング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基等の反応性置換基を有するシラン化合物を意味し、その具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
アミノ基を有するシランカップリング剤の市販品として、例えば、(信越化学(株)製)の商品で、以下に示すものがあり、本発明に好適に利用できる。
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM−602)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−603)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−603)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−903)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−903)、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物(商品名:KBE−9103)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM−573)、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(商品名:KBM−575)、特殊アミノシラン(商品名:KBM−6123)、
これらの化合物を用いて密着性下塗り層を形成する際の好ましい濃度範囲は0.01%〜10%水溶液がであり、0.03%〜8%水溶液がより好ましく、0.05%〜6%水溶液が最も好ましい。
好ましい処理温度は5℃〜60℃が好ましく、10℃〜50℃がより好ましく、15℃〜40℃が最も好ましい。
好ましい処理時間は0.5分〜30分間浸漬であり、1分〜20分間浸漬がより好ましく、2分〜15分間浸漬が最も好ましい。
処理後には、水洗を行って過剰のシランカップリング剤を除去することが好ましい。
好ましい水洗条件は、イオン交換水、純水、超純水が好ましく、流水洗浄が好ましい。洗浄時間は5秒〜60分が好ましく、10秒〜45分がより好ましく、20秒〜30分間洗浄する事が好ましい。
好ましい水洗水の処理温度は5℃〜60℃が好ましく、10℃〜50℃がより好ましく、15℃〜40℃が最も好ましい。
好ましい乾燥条件は電気炉によるオーブン乾燥、赤外線による熱輻射乾燥、熱風による乾燥、自然乾燥が好ましく、オーブン乾燥または赤外線による輻射は乾燥時間が早い点で好ましい。
好ましい乾燥温度は、基板の表面温度が70℃〜180℃の範囲が好ましく、80℃〜160℃がより好ましく、90℃〜140℃が最も好ましい。
好ましい乾燥処理の処理時間は0.5分〜60分間であり、1分〜45分間がより好ましく、3分〜30分間が最も好ましい。
<反射防止層>
本発明のフォトマスクブランクスは、前記透明基板の裏面、即ち、感光性組成物層非形成面に反射防止層を備える。
本発明における反射防止層とは、390nm〜420nmの光を吸収する層であり、露光後、容易に除去できる層が好ましい。
反射防止層の好ましい態様としては。入手性、剥離容易性の観点から、水溶性ポリマーと光を吸収する顔料または、染料とを含む塗布層が好ましい。まず、塗布により形成しうる反射防止層について述べる。
(水溶性ポリマー)
反射防止層の層形成に用いられる水溶性ポリマーとしては、比較的結晶性に優れた化合物を用いることが好ましく、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、酸性セルロース類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類等の如きセルロース誘導体、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン、コラーゲン、ヒアルロン酸、アルブミンなどの水溶性タンパク質、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドポリエステル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質、ポリウレタン、アルギニン・カルボマーなどのような水溶性ポリマーが挙げられる。
ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチン加水分解物、ゼラチン酵素分解物も用いることができる。
これらは単独又は混合して使用できる。これらのうち、ゼラチンやポリビニルアルコールを主成分として用いることが、現像除去性の観点から好ましい。
このような水溶性ポリマーは市販品としても入手可能であり、例えば、新田化学(株)製、商品名:ファインケミカル用ゼラチン、ソマール(株)製、アラビアガムなどが挙げられる。
反射防止層における水溶性ポリマーの含有量としては、固形分換算で、10質量%〜80質量%の範囲であることが好ましく、15質量%〜75質量%の範囲であることがより好ましい。
(390nm〜420nmの光を吸収する顔料または染料)
本発明の好ましい態様においては、反射防止層は前記水溶性ポリマーとともに、390nm〜420nmの光を吸収する顔料または、染料を含有する。
本発明における390nm〜420nmの光を吸収する顔料または染料としては、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料や、除去しない場合には、可視光領域に吸収を持たない酸化亜鉛超微粒子が好ましい。
以下に、本発明に好適に用いうる390nm〜420nmの光を吸収する顔料または、染料を挙げる。顔料又は染料としては、ブルー、グリーン、レッド、イエロー、あるいはバイオレットなどの染料あるいは顔料を組み合わせて用いることが可能である。
前記のブルー顔料およびイエロー顔料としては、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・イエローGT(C.I.ピグメントイエロー12)、パーマネント・イエローGR(C.I.ピグメント・イエロー17)、パーマネント・イエローHR(C.I.ピグメント・イエロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64等を挙げることができる。その他、パラメトキシケイ皮酸2エチルヘキシル(オクチル) 、パラジメチルアミノ安息香酸2エチルヘキシル(オクチル)、オキシベンゾン(ベンゾフェノン3)、光触媒作用が期待できる酸化チタン、酸化チタンも好適に利用できる。
顔料又は染料の感光性樹脂組成物(固形分)中の含有量は、フォトマスクの濃度やフォトマスク作製の際の感度及び解像性等を考慮して決められ、着色材の種類によっても異なるが、一般的に10〜50質量%で、より好ましくは15〜35質量%である。
などが挙げられ、吸収率が高く薄層化でき、しかも容易に除去性が視認できる観点からはカーボンブラックが好ましく、除去しない場合には、可視光領域に吸収を持たない酸化亜鉛超微粒子が好ましい。
反射防止層中の390nm〜420nmの光を吸収する顔料または、染料の含有量としては、後述する分光濃度を達成する量であることが好ましいが、具体的には、固形分換算で、 10質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、15質量%〜35質量%の範囲である。
カーボンブラックの市販品例としては、Pigment Black(ピグメント・ブラック)7(カーボンブラック C.I.No.77266)が好ましい。市販品として、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学(株)製)が挙げられる。
チタンブラックの例としては、TiO、TiO、TiNやこれらの混合物が好ましい。市販品として、三菱マテリアルズ(株)製の(商品名)12Sや13Mが挙げられる。
酸化亜鉛超微粒子の市販品として、例えば、大阪セメント(株)製 商品名:超微粒子酸化亜鉛 型番:ZnO−310、ZnO350が挙げられる。
反射防止層は、水溶性ポリマーに顔料又は染料を添加し、水または/及び、アルコール、IPA、MEKなどの有機溶媒からなる反射防止層塗布液を調製し、これを塗布することで形成しうる。
塗布する方法は、スプレー塗布、ワイヤーバー塗布、ギーサー塗布、スピン塗布、スキャン塗布など公知の方法を適宜使用できる。塗布量の調製の容易性から、ワイヤーバー塗布、スピン塗布が好ましい。このましい反射防止層の膜厚は、0.1〜500μmの範囲である。
本発明においては、透明基板裏面に市販の反射防止フィルムやAR(アンチリフレクション)フィルムを貼付して、反射防止層とすることもできる
ここで用いられる反射防止フィルムとしては、パナソニック電工(株)製 商品名:ファインティアラ、(株)東京シスコン製 商品名:無反射フィルムなどが挙げられる。
また、反射防止処理剤をコーティングして反射防止層を形成することも可能であり、反射防止層形成に用いうるコーティング用反射防止処理剤として、独ロジモール(LOSIMOL)(株)製 商品名:GT−11などが挙げられる。
(反射防止層の好ましい物性)
反射防止層の特性として、反射率を下げる方法としては、(1)光の表面反射率を下げる方法と(2)光の吸収率を上げる方法が考えられる。(1)表面反射率を下げる方法としては、透明基板の選択や感光性組成物層形成面の表面処理など、前述の方法で行うことができる。
本発明の反射防止層は(2)光の吸収率を上げる手段であり、このような反射防止層の好ましい光学特性としては、分光光度計にて下記式より算出した分光濃度で、波長405nmにおいて1.0以上5.5以下であることが好ましく、2以上5.0以下であることよりが好ましい。即ち、遮光性能上1.0以上が好ましく、2以上がさらに好ましく、2.5以上が最も好ましい。また、製造時の乾燥や現像時の脱離の容易性などの点で、5.5以下が好ましく、5.0以下がさらに好ましく、4.5以下が最も好ましい。
また、(1)光の表面反射率を下げる方法と(2)光吸収率を上げる方法との両方に対して好ましい反射防止層の光学特性としては、分光光度計にて下記式より算出した反射率で、波長405nmにおいて、5%以下が好ましく、4.5以下がさらに好ましく、4以下が最も好ましい。
このような分光濃度は、水溶性ポリマー中に含まれる顔料又は染料の種類と量、及び、反射防止層の膜厚を制御することで達成しうる。
入射光強度=反射光強度+透過光強度+吸収光強度
反射率は下記式にて算出される。
反射率R[%]=〔反射光強度/入射光強度〕×100
分光濃度は、下記式にて算出され、定義される。
透過率T[%]=〔透過光強度/入射光強度〕×100
分光濃度=Log(1/T)
なお、透明基板の反射光強度、透過光強度及び吸収光強度は、以下の方法で測定することができる。
本発明における具体的な測定条件は以下に示すとおりである。
すなわち、Varian社製 CARY−5を用いて、JIS R−3106に従い測定した。反射率としては、フロート板ガラスの表面にアルミニウムを真空蒸着させた表面鏡を標準試料として用いた。透過率100%の標準試料としては、光路中に試料を挿入しない場合の空気層を用いた。
(酸素遮断性層)
本発明のフォトマスクブランクスは、感光性組成物層上に酸素の透過性を適切に制御するための酸素遮断性層を有することが好ましい。
以下、酸素遮断性層について説明する。
酸素遮断性層は、25℃、1気圧下における酸素透過率が、1.0ml/m・day・atm以上2000ml/m・day・atm以下であることが好ましく、2.0ml/m・day・atm以上1500ml/m・day・atm以下がより好ましく、5.0ml/m・day・atm以上1000ml/m・day・atm以下がさらに好ましく、10ml/m・day・atm以上800ml/m・day・atm以下が最も好ましい。
酸素透過性が上記範囲内であることで、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じることなく、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生ずるという問題もなく、良好な感度が得られる。
なかでも、酸素透過率を、10ml/m・day・atm以上800ml/m・day・atm以下とすることで、解像度と画像エッジ部の直線性を向上させることができる。
酸素遮断性層が有する酸素透過性が、上記範囲内であることで、フォトマスクブランクスの製造時及び生保存時に、不要な重合反応が生じることがなく、また、フォトマクスを作製する際の画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生ずるという問題もない。したがって、かかる特徴を有する本発明のフォトマスクブランクスにより、高い解像性と良好な画像エッジ部の直線性とを有するフォトマスクを得ることができる。
このような特性を有する酸素遮断性層については、以前より種々検討がなされており、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に保護層として詳細に記載されている。
本明細書において、酸素遮断性層が有する酸素透過性は、以下の測定方法(モコン法)により測定した酸素透過率である。
−酸素透過性の測定方法−
酸素透過性の高いポリエチレンフィルム(富士フイルム(株)製「エバービュティーペーパー」の表面ゼラチン層を溶解除去することで作製したポリエチレンラミネート紙)に、感光性層上に形成する酸素遮断性層と同様の組成の塗膜を塗布乾燥し、測定用のサンプルを作製する。JIS−K7126B及びASTM−D3985に記載の気体透過度試験方法に則り、モコン社製OX−TRAN2/21を用い、25℃60%RHの環境下で酸素透過率(ml/m・day・atm)を測定する。
酸素遮断性層が有する酸素透過性の制御は、例えば、酸素遮断性層が含有する各成分の種類及び含有量の調整(具体的には、例えば、ポリビニルアルコールのケン化度の調整、可塑剤を添加、等)、酸素遮断性層の膜厚の調整、好ましい酸素透過性を示す樹脂の採用等の各手段、或いは、これらの各手段を適宜組み合わせることにより実施することができる。
<水溶性高分子化合物>
酸素遮断性層は、酸素遮断性及び現像性の観点から、水溶性高分子化合物を含有することが好ましい。
水溶性高分子としては、比較的結晶性に優れた化合物を用いることが好ましく、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドポリエステル、ポリウレタンなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独又は混合して使用できる。
これらのうち、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
酸素遮断性層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていてもよい。また、酸変性ポリビニルアルコールなど、ポリビニルアルコール誘導体を用いてもよい。
また、同様に、ビニルアルコール単位以外の重合単位を有する共重合体であってもよく、そのような共重合体としては、例えば、ビニルアルコール/ビニルピロリドン共重合体等が挙げられる。
25℃、1気圧下において、1.0ml/m・day・atm以上2000ml/m・day・atm以下の酸素透過性を有する酸素遮断層を形成するにために好適に用いられる水溶性高分子化合物としては、比較的結晶性に優れた化合物を用いることが好ましく、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドポリエステル、ポリウレタンなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独又は混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
酸素遮断性層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、及びアセタールで置換されていてもよい。また、酸変性ポリビニルアルコールなど、ポリビニルアルコール誘導体を用いてもよい。
また、同様に、ビニルアルコール単位以外の重合単位を有する共重合体であってもよく、そのような共重合体としては、例えば、ビニルアルコール/ビニルピロリドン共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100モル%加水分解され、重合繰り返し単位が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。具体的には、(株)クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−505、PVA−613、L−8、KL−504、KL−506、KL−318、KL−118、KM−618、KM−118、C−506、R−2105、R−1130、R−2130、M−205、MP−203、LM15,LM20、LM25等が挙げられ、これらは単独又は混合して使用できる。
また、特開平3−203932号公報に記載のポリオキシアルキレン基を側鎖に含むポリビニルアルコール誘導体も好ましく用いられる。ポリビニルアルコール誘導体中に含まれるポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、及びオキシエチレン−オキシプロピレン混合基よりなる群から選択される1種以上の基であることが好ましい。
酸素遮断性層における水溶性高分子化合物の含有量は、酸素遮断性層の全固形分中、好ましくは20質量%〜95質量%、より好ましくは30質量%〜90質量%である。
<界面活性剤>
酸素遮断性層には、界面活性剤を添加することができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能である。
酸素遮断性層における界面活性剤の添加量は、酸素遮断性層の全固形分中、1.0質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは2.0質量%〜8.0質量%である。添加量が少なくなると、摩擦係数低下の効果が小さくなる場合がある、一方、添加量が多過ぎると酸素遮断性層の塗布性が劣化し、塗布ムラを生じる場合がある。
<酸素遮断性層の形成>
酸素遮断性層は、酸素遮断性層を形成するための塗布液を調製し、該塗布液を前記感光性組成物層上に塗布することにより形成することができる。酸素遮断性層の塗布方法に関しては、逐次に塗設する方法と、一気に重層塗布する方法とを適用できるが、いずれであっても構わない。
酸素遮断性層の膜厚は、0.05μm以上1.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。
なお、酸素遮断層の具体的な態様としては、上述した事項の他、特開2006−259558号公報の段落番号〔0177〕〜〔0182〕、特開2007−47742号公報の段落番号〔0346〕〜〔0348〕、特開2007−86165号公報の段落番号〔0253〕〜〔0257〕、特開2008−139813号の段落番号〔0211〕〜〔0259〕に記載の保護層に関する事項も好適に適用することができる。
このようにして、透明基板裏面に反射防止層を形成し、透明基板表面に、(A)〜(D)及び好ましくは(E)の各成分を含む感光性組成物層を形成し、好ましくは、その表面に酸素遮断性層を形成して、本発明のフォトマスクブランクスを得る。
[フォトマスク及びフォトマスクの製造方法]
本発明のフォトマスクは、既述した本発明のフォトマスクブランクスを用い、フォトマスクブランクスが有する感光性組成物を、画像様に露光した後、現像することで形成した遮光層を有することを特徴とする。
具体的には、既述のフォトマスクブランクスを、近紫外光ないし可視光で画像様露光した後(露光工程)、露光後のフォトマスクブランクスを、現像液を用いて現像することにより感光性組成物層の未露光部を除去する(現像工程)により、画像様の遮光層(露光部)を有するフォトマスクを得ることができる。
フォトマスクとして使用する際の露光波長が紫外線領域の場合には、前記現像工程で、未露光領域の感光性組成物層とともに除去する事が好ましい。
顔料としてカーボンブラックを使用する場合には紫外線領域〜赤外線領域の広い範囲で吸収を持つので、前記現像工程で、未露光領域の感光性組成物層とともに除去する。
フォトマスクとして使用する際の露光波長が紫外線領域以外の赤外線や可視光線の場合には、前記現像工程で、未露光領域の感光性組成物層とともに除去せずに用いる事もできる。
反射防止層が反射防止フィルムを透明基板裏面に貼付することで形成される場合、現像工程の前又は後に反射防止フィルムを剥離する工程が必要となる。
本発明のフォトマスクブランクスを用いて作製されるフォトマスク(本発明のフォトマスク)としては、該フォトマスクブランクスを、350nm以上450nm以下の光を放射するレーザー(より好ましくは390nm以上450nm以下の光を放射するレーザー)を用いて画像様露光した後、現像することにより作製されたものが好適な態様である。
以下、本発明のフォトマスクを製造するための各工程について説明する。
〔露光工程〕
露光工程は、フォトマスクブランクスを、線画像、網点画像、等を有する透明原画を通して画像様に露光するか、デジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光することにより行うことが好ましい。本発明のフォトマスクブランクスの画像形成には、レーザーによる露光が好適に用いられる。
露光光源としては、350nm以上450nm以下の範囲の光を放射するレーザーが好ましい。例えば、以下のものが挙げられる。ガスレーザーとしては、Arイオンレーザー(364nm、351nm)、Krイオンレーザー(356nm、351nm)、He−Cdレーザー(441nm、325nm)などが挙げられ、固体レーザーとしては、Nd:YAG(YVO)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm)などが挙げられ、半導体レーザー系では、KNbOリング共振器(430nm)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm)、AlGaInN(350nm〜450nm)などが挙げられ、その他のレーザーとして、Nレーザー(337nm)、XeF(351nm)などが挙げられる。
これらの中でも、特に、AlGaInN半導体レーザー(InGaN系半導体レーザー400nm〜410nm)が、波長特性、コストの面で好適である。
〔現像工程〕
現像工程に用いられる現像液としては、特に制限はなく、公知の現像液などが例示できるが、特公昭57−7427号公報に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミン又はジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようなアルカリ剤は、これを含有するアルカリ性水溶液の濃度が0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.5質量%〜15質量%、最も好ましくは1質量%〜12重量%になるように添加される。
また、現像液として用いられるアルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3375171号及び同第3615480号に記載されているものを挙げることができる。さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
特に好ましい現像液としては、特開2002−202616公報に記載の非イオン性化合物を含有し、pHが11.5〜12.8であり、かつ3mS/cm〜30mS/cmの電導度を有する現像液が挙げられる。
また、炭酸イオン及び炭酸水素イオンを含む現像液を用いる場合、そのpHとしては、8.5〜10.8の範囲であることが好ましく、pH9.0〜10.5であることがより好ましく、pH9.5〜10.3であることが特に好ましい。このpH範囲内であると、非画像部の現像性が低下せず、また、空気中の炭酸ガスの影響により処理能力が変動しないので好ましい。
現像工程において、露光後のフォトマスクブランクスに、現像液を接触させる態様としては、手処理、浸漬処理、及び機械による処理などが挙げられる。
フォトマスクとして使用する際の露光波長が紫外線領域の場合や、顔料としてカーボンブラックを使用する場合には反射防止層形成面も現像し、除去する必要がある。
手処理としては、例えば、クラス100以下のクリーンルーム内で、光学用スポンジや光学用ポリウレタン製脱脂綿等に充分現像液を含ませ、全体を擦りながら処理し、処理終了後は充分に水洗する態様が挙げられる。この場合には、反射防止層形成面も、感光性組成物層形成面と同様に擦り処理を行えばよい。
浸漬処理としては、例えば、クラス100以下のクリーンルーム内で、露光後のフォトマスクブランクスを、現像液の入ったバットや深タンクに浸して撹拌した後、光学用スポンジや光学用ポリウレタン製脱脂綿等スポンジなどで擦りながら充分に水洗する方法が挙げられる。浸漬時間は、約60秒であることが好ましい。現像液に浸漬することで反射防止層が容易に除去されない場合には、感光性組成物層形成面と同様に擦り処理を行えばよい。
機械処理には、自動現像機を用いることができる。自動現像機を用いる場合としては、例えば、現像槽に仕込んだ現像液をポンプで汲み上げて、露光後のフォトマスクブランクスにスプレーノズルから吹き付けて処理する方式、現像液が満たされた槽中に液中ガイドロールなどによって、露光後のフォトマスクブランクスを浸漬搬送させて処理する方式、実質的に未使用の現像液を、一枚毎の露光後のフォトマスクブランクスに必要な分だけ供給して処理するいわゆる使い捨て処理方式のいずれの方式も適用できる。どの方式においても、高圧洗浄、ブラシやモルトンなどの機構があるものがより好ましい。また、レーザー露光部と自動現像機部分とが一体に組み込まれた装置を利用することもできる。
また、現像する際における現像液の温度としては、20℃〜35℃の範囲が好ましく、25℃〜30℃の範囲がより好ましい。
〔その他の工程〕
また、フォトマスクブランクスに対しては、必要に応じて、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面に加熱処理を施してもよい。加熱処理を施すことにより、感光性層中の画像形成反応が促進され、感度の向上、感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは、全面露光を行うことも有効である。
反射防止層の形成に反射防止フィルムを用いる場合には、反射防止フィルムの剥離工程を行う。剥離工程は、現像工程の前でも後でもよいが、加熱処理工程の前に行うことが好ましい。
通常、現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。一方、現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は150℃〜500℃の範囲加熱処理を行う。
また、フォトマスクブランクスに対する画像形成後においては、画像上に熱硬化型のエポキシ樹脂等の保護膜を設けてもよい。画像上に保護膜を設けることにより、更に膜強度を向上させることもできる。
以上のようにして、本発明のフォトマスクブランクスを用いてフォトマスク(本発明のフォトマスク)が得られる。
本発明のフォトマスクにおける遮光層の膜厚は、0.8μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以上1.8μm以下がより好ましい。
また、本発明のフォトマスクにおける遮光層は、365nmにおけるオプティカルデンシティー(O.D.)が3.5以上であることが好ましく、4.0以上がより好ましい。
本発明のフォトマスクにおける遮光層の最も好適な態様は、遮光層の膜厚及び365nmにおけるO.D.の双方が、上記の範囲を満たす態様である。
また、本発明のフォトマスクブランクスは高解像度の画像形成が可能であるために、微細な線幅の画像をエッジ直線性が良好な状態で形成することができる。このようなフォトマスクブランクスを用いて形成されるフォトマスクの好適な態様の一つは、遮光層におけるラインアンドスペース(L/S)の線幅が、好ましくは0.1μm以上30μm以下である態様である。形成されるL/Sは、より好ましくは0.1μm以上25μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上20μm以下のものであり、前記本発明のフォトマスクブランクスにより、このような微細な線幅のL/Sを有する遮光層の形成が可能となった。
本発明のフォトマスクブランクスは、透明基板の反射光による所望されない裏面からの露光が防止されることから、反射光に起因する細線の太りが抑制され、高精細の画像形成を形成しうる。
本発明のフォトマスクブランクスを用いて得られたフォトマスクは、PDP、FED、LCD等のフラットパネルディスプレイ、CRT用シャドーマスク、印刷配線板、半導体等の分野におけるフォトリソ工程において好適に用いることができる。
本発明で用いるフォトマスクを、紫外感光性のレジストのパターニング用に用いる際には、超高圧水銀灯などの紫外線露光機にバンドパスフィルターを組み入れて、露光波長を選択することも可能である。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1〜5]
1.フォトマスクブランクスの作製
(感光性組成物層の形成)
ガラス基板上に、密着性下塗り層を設けた。
厚さ1.1mmで400mm×300mmの透明ガラス基板(コーニング社#7059)を洗浄し、シランカップリング剤(信越化学「KBM−603」)1%水溶液に3分間浸漬後、30秒間純水で洗浄して過剰なシランカップリング剤を洗い落とし、水切りしてオーブン中110℃で20分間熱処理し、密着性下塗り層を設けた。
さらに、該密着性下塗り層表面に、下記組成の感光性組成物層用塗布液組成物(P−1)を乾燥塗布質量が1.4g/mとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ、感光性組成物層を形成した。
<感光性組成物層用塗布液組成物(P−1)>
・カーボンラック分散液(下記組成の分散液) 16.0質量部
・エチレン性不飽和化合物(C−1)(下記構造の化合物) 4.2質量部
・バインダーポリマー(D−1)(下記構造の高分子バインダー) 3.6質量部
(MW:50000)
・増感色素(A−1)(下記構造の化合物) 0.21質量部
・重合開始剤(B−1)(下記構造の化合物) 0.81質量部
・連鎖移動剤(F−1)(下記構造の化合物) 0.3質量部
・フッ素系ノニオン界面活性剤 0.05質量部
(メガファックF780、大日本インキ化学工業(株)製)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 112質量部
感光性組成物層用塗布液組成物(P−1)の調製に用いたカーボンブラック分散液の組成は、以下の通りである。
<カーボンラック分散液の組成>
・カーボンブラック 13.1質量部
(商品名:Nipex 35、エボニック・デグサ ジャパン(株)製)
・分散剤(下記構造の化合物) 0.65質量部
・ポリマー 6.72質量部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53質量部
Figure 2010204214
実施例及び比較例の感光性組成物層用塗布液組成物の調製に用いた、増感色素(A−1)、重合開始剤(B−1)、エチレン性不飽和結合含有化合物(C−1)、バインダーポリマー(D−1)、及び、連鎖移動剤(F−1)の構造を以下に示す。
Figure 2010204214
Figure 2010204214
(酸素遮断性層の形成)
この感光性組成物層上に、下記組成の酸素遮断性層塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥して酸素遮断性層を形成した。酸素遮断性層の膜厚(μm)を、「SURFCOM130A、東京精密(株)製」にて直接膜厚測定したところ0.2μmであった。また、前記の方法によりこの酸素遮断性層の酸素透過性を測定したところ、170ml/m・day・atmであった。
<酸素遮断性層塗布液>
・水 87g
・ポリビニルアルコール(PVA205、(株)クラレ製) 10g
・ポリビニルピロリドン((株)BASF製) 2g
・EMALEX710(日本エマルジョン(株)製、界面活性剤) 1g
(反射防止層の形成)
<反射防止層用塗布液1の調整>
・ゼラチン 36g
(商品名:ファインケミカル用ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)
・カーボンブラック 13.5g
(商品名:Nipex 35、エボニック・デグサ ジャパン(株)製)
・水 1L
前記成分を混合して調製した反射防止層用塗布液をさらに希釈し、カーボンブラックの塗布量が0.1g/mとなるように太さ4番のワイヤーを巻いたバーで塗布を行った。その後、100℃のオーブンで3分間乾燥させて反射防止層を形成し、実施例1のフォトマスクブランクスを得た。
膜厚は、東京精密(株)社製サーフコム480Aにより測定した。
透明ガラスに同様の塗布液を塗布して反射防止層と同様の条件の皮膜を設け、分光光度計にて波長405nmの透過率を測定し、その値から前記式により換算して、光学濃度を算出した。光学濃度は1.2であった。
前記反射防止層の塗布膜厚を、塗布バーの番手を適宜変更することで下記表1に記載のように換えた他は同様にして透明ガラス基板裏面に反射防止層を、表面に感光性組成物層と酸素遮断性層とを備えた実施例2〜実施例5のフォトマクスブランクスを得た。
Figure 2010204214
2.フォトマスクブランクスの評価
(1)感度評価
以上のようにして得られた実施例及び比較例の各フォトマスクブランクス(10×10cm)を、レーザープロッターとして、VIOLD(大日本スクリーン製造(株)製)(レーザー出力350mW、光源は405nmバイオレットレーザー)により露光した。次いで、露光後の各フォトマスクブランクスを、下記組成のアルカリ現像液1Lに30℃、15秒間浸漬して現像、水洗した後、乾燥した。更に、180℃・30分加熱処理を行い、所望のフォトマスクを得た。
露光量は、露光量を変化させながら画像形成し、フォトマスクのライン/スペース30μm/30μmが再現する際の露光量を最適露光量と定め、その際、併せて同条件で各反射防止膜の違いによる線幅の変化を計測した。
さらに、Siウエハーカット用ダイシング装置にてラインを断面方向に切断し、SEM観察し、ガラス基板と感光層の界面で太りが発生しているかどうかを観察し、評価した。
結果を上記表1に併記した。
なお、現像、加熱処理後のフォトマスクの365nmの吸光度は、約4.0であった。
また、東京精密(株)社製サーフコム480Aにより測定した遮光層の膜厚は、1.5μmであった。
前記表1の結果より、本発明のフォトマスクブランクスは、ライン/スペース30μm以下の細線を形成でき、細線の太りの発生が抑制されていることがわかる。
<アルカリ現像液組成>
下記組成からなるpH11.95の水溶液
・水酸化カリウム 0.2g
・1Kケイ酸カリウム 2.4g
(SiO/KO=1.9)
・下記化合物 5.0g
・エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1g
・水 91.3g
Figure 2010204214
[実施例6]
実施例1の反射防止層用塗布液1を下記組成に換えた他は、実施例1と同じにして、反射防止層用を形成し、実施例6のフォトマスクブランクスを得た。ここで、反射防止層用塗布液の固形分濃度は実施例1におけるものの2倍である。
<反射防止層用塗布液2の調整>
・ゼラチン 36g
(商品名:ファインケミカル用ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)
・カーボンブラック 13.5g
(商品名:Nipex 35、エボニック・デグサ ジャパン(株)製)
・水 0.5L
[実施例7]
実施例1の反射防止層用塗布液1を下記組成に換えた他は、実施例1と同じにして、反射防止層用を形成し、実施例7のフォトマスクブランクスを得た。ここでは、反射防止層用塗布液に用いた水溶性ポリマーとしてゼラチンに換えてポリビニルアルコールを用いている。
<反射防止層用塗布液3の調整>
・ポリビニルアルコール 36g
(商品名:ポリビニルアルコール(鹸化度86.5〜89mol%程度)重合度500 関東化学(株)製、)
・カーボンブラック 13.5g
(商品名:Nipex 35、エボニック・デグサ ジャパン(株)製)
・水 0.5L
[実施例8]
反射防止層の形成に、ARコーティング剤を用いた。
実施例1で用いた透明基板裏面に、ロジモール社製、商品名:GT−11を、同社製の専用シンナー(商品名:GT−11シンナー)にて10倍に希釈し、スプレーにて塗装し、膜厚100μmの黒色の塗膜を形成し、これを反射防止層とした。その他は、実施例1と同様にしてフォトマスクブランクスを得た。なお、フォトマスクの作製に際しては、露光現像後にロジモール社製の専用シンナーを含浸した光学レンズ用ふき取りシートにてふき取ることで反射防止層を除去した。
[実施例9]
実施例1において用いた透明基板に換えて、反射防止層として予め市販のARコーティング剤を両面に設けた無反射ガラス〔共同写真要品(株)製、商品名:KPS無反射ガラス(六切り)〕を用いた。
[実施例10]
反射防止層の形成として、ARフィルムを貼付した。
実施例1で用いた透明基板裏面に、予め市販のARフィルム〔(株)東京シスコン製 商品名:反射ゼロNeフィルム 型番TS−Ne 厚み0.5mm〕を貼付し、これを反射防止層とした。その他は、実施例1と同様にしてフォトマスクブランクスを得た。
[比較例1]
実施例1において透明基板裏面に反射防止層を形成しなかった他は、実施例1と同じにしてフォトマスクブランクスを得た。
[比較例2]
実施例1において透明基板裏面に反射防止層を形成せず、アルミニウム蒸着層(膜厚0.1μm)を形成した他は、実施例1と同じにしてフォトマスクブランクスを得た。
実施例6〜実施例10及び比較例1,2を実施例1〜5と同様に評価した。結果を下記表2に示す。
Figure 2010204214
表2から明らかなように、各実施例のフォトマスクブランクスは、高精細な画像が形成され、細線の太りが抑制されており、これにより得られた各フォトマスクは、解像度が高いことがわかる。なお、実施例9及び実施例10の如き反射防止フィルムを用いて反射防止層を形成する態様では、反射防止能を有するものの光学濃度が低いために、露光光源によっては剥離せず、そのままフォトマスクとして使用しうる。
他方、反射防止層を設けなかった比較例1では、線幅30μmのラインアンドスペースが形成され、解像度は良好であるものの、細線の太りが僅かであるが観察された。また、UV光を反射するアルミニウム蒸着層を設けた比較例2は細線の太りが発生し、線幅30μmのラインアンドスペースを形成できず、解像度が劣ることがわかる。

Claims (10)

  1. 透明基板上に、(A)重合開始剤、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、(C)バインダーポリマー、及び、(D)遮光材料、を含む感光性組成物層を有し、透明基板の感光性組成物層を有しない面に反射防止層を備えるフォトマスクブランクス。
  2. 前記反射防止層の反射率が5%以下である請求項1に記載のフォトマスクブランクス。
  3. 前記反射防止層が水溶性ポリマーを含有し波長405nmにおける分光濃度が1.0以上5.5以下である請求項1又は請求項2に記載のフォトマスクブランクス。
  4. 前記反射防止層としてカーボンブラックを含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
  5. 前記透明基板の感光性組成物層を形成する側の表面に密着性下塗り層を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
  6. 前記感光性層が、更に、増感色素を含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
  7. 前記(D)遮光材料としてカーボンブラックを含有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
  8. 前記感光性組成物層の膜厚が1.2μm以上3.0μm以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
  9. 前記透明基板が、厚み0.1mm以上20mm以下の透明なガラスである請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクス。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクスが有する感光性組成物層を、画像様に露光した後、現像することで形成された遮光層を有し、該遮光層の膜厚が0.8μm以上2.0μm以下であり、且つ、365nmにおけるオプティカルデンシティー(O.D.)が3.5以上であるフォトマスク。
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