JP2010202773A - インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法 - Google Patents

インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010202773A
JP2010202773A JP2009049900A JP2009049900A JP2010202773A JP 2010202773 A JP2010202773 A JP 2010202773A JP 2009049900 A JP2009049900 A JP 2009049900A JP 2009049900 A JP2009049900 A JP 2009049900A JP 2010202773 A JP2010202773 A JP 2010202773A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink composition
polymer
value
ink
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009049900A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4658203B2 (ja
Inventor
Terukazu Yanagi
輝一 柳
Takahiro Ishizuka
孝宏 石塚
Akio Tamura
顕夫 田村
Naruhiro Kato
考浩 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2009049900A priority Critical patent/JP4658203B2/ja
Priority to EP10001760.7A priority patent/EP2226366B1/en
Priority to US12/711,277 priority patent/US8389602B2/en
Publication of JP2010202773A publication Critical patent/JP2010202773A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4658203B2 publication Critical patent/JP4658203B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/40Ink-sets specially adapted for multi-colour inkjet printing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/32Inkjet printing inks characterised by colouring agents
    • C09D11/322Pigment inks
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/32Inkjet printing inks characterised by colouring agents
    • C09D11/324Inkjet printing inks characterised by colouring agents containing carbon black
    • C09D11/326Inkjet printing inks characterised by colouring agents containing carbon black characterised by the pigment dispersant
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/54Inks based on two liquids, one liquid being the ink, the other liquid being a reaction solution, a fixer or a treatment solution for the ink

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】耐ブロッキング性が良好な画像を形成可能なインクジェット用インク組成物を提供する。
【解決手段】インクジェット用インク組成物を、水不溶性ポリマー分散剤によって被覆された顔料を含む着色粒子と、親水性モノマーに由来する構成単位および疎水性モノマーに由来する構成単位を含み、ガラス転移温度が150℃以上であって、I/O値が0.20以上0.55以下である第1のポリマーを含む自己分散性ポリマー粒子と、を含んで構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法に関する。
近年、資源保護、環境保全、作業の安定性向上等のニーズの高まりによって塗料ならびにインク(以下、「インキ」ともいう)の水性化が進行しつつある。水性塗料ならびに水性インキに要求される品質は、油性塗料ならびに油性インキと同様、流動性、貯蔵安定性、皮膜の光沢、鮮明性、着色力等である。しかしながら、大部分の顔料は水性ビヒクルに対して油性の場合に比べ顔料分散性等の適性が著しく劣るため通常の分散方法では満足な品質は得られない。これまで、各種の添加剤、例えば水性用顔料分散樹脂や界面活性剤の使用が検討されてきたが上記すべての適性を満足し、既存の高品質を有する油性塗料または油性インキに匹敵するような水性塗料または水性インキは得られていない。
このような問題を解決するために、例えば、色材として水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤と、ポリマー粒子を含有する水性インク組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。該水性インク組成物を用いたインクジェットインクは耐水性、耐擦過性、耐マーカー性、印字性に優れるとされている。
また、色材として水不溶性ポリマーによって被覆されている着色剤と添加剤として樹脂エマルジョンを少なくとも含有するインク組成物であって、水不溶性ポリマーの重量平均分子量が50000〜150000であり、樹脂エマルジョンは少なくとも該水不溶性ポリマーと構成成分が同一構造を持ち、その分子量が該水不溶性ポリマーに対して、1.5倍〜4倍の重量平均分子量のポリマーからなることを特徴とするインク組成物が開示され(例えば、特許文献2参照)、該インクは光沢性と耐擦過性とが良好であるとされている。
特開2001−329199号公報 特開2006−273892号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載のインク組成物では形成される画像の耐擦過性は改良されるものの、耐ブロッキング性の点で満足すべきものとは言い難かった。
本発明は、形成される画像の耐ブロッキング性が良好なインクジェット用インク組成物、該インクジェット用インク組成物を含むインクセット、および該インクジェット用インク組成物を用いる画像形成方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 水不溶性ポリマー分散剤によって被覆された顔料を含む着色粒子と、親水性モノマーに由来する構成単位および疎水性モノマーに由来する構成単位を含み、ガラス転移温度が150℃以上であって、I/O値が0.20以上0.55以下である第1のポリマーを含む自己分散性ポリマー粒子と、を含有するインクジェット用インク組成物。
<2> 前記第1のポリマーのI/O値は、0.40以上0.50以下である前記<1>に記載のインクジェット用インク組成物。
<3> 前記親水性モノマーに由来する構成単位は、カルボキシル基を有する構成単位である前記<1>または<2>に記載のインクジェット用インク組成物。
<4> 前記第1のポリマーは、(メタ)アクリル系ポリマーである前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
<5> I/O値が0.70以上1.00未満である第1の親水性有機溶剤の少なくとも1種をさらに含む前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
<6> I/O値が1.00以上1.50以下である第2の親水性有機溶剤の少なくとも1種をさらに含む前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
<7> 前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物と、前記インクジェット用インク組成物と接触して凝集体を形成可能な処理液と、を含むインクセット。
<8> 前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物と接触して凝集体を形成可能な処理液を、記録媒体に付与する処理液付与工程と、前記インクジェット用インク組成物を、記録媒体に付与して画像を形成するインク付与工程と、を備える画像形成方法。
<9> 前記インクジェット用インク組成物が付与された記録媒体を、加熱定着する工程をさらに備える前記<8>に記載の画像形成方法。
本発明によれば、形成される画像の耐ブロッキング性が良好なインクジェット用インク組成物、該インクジェット用インク組成物を含むインクセット、および該インクジェット用インク組成物を用いる画像形成方法を提供することができる。
<インクジェット用インク組成物>
本発明のインクジェット用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ということがある)は、水不溶性ポリマー分散剤によって被覆された顔料を含む着色粒子の少なくとも1種と、親水性モノマーに由来する構成単位および疎水性モノマーに由来する構成単位を含み、ガラス転移温度が150℃以上であって、I/O値が0.20以上0.55以下である第1のポリマーを含む自己分散性ポリマー粒子の少なくとも1種とを含む。
かかる構成のインク組成物を用いることで、耐ブロッキング性が良好な画像を形成することができ、特に高温高湿条件下においても良好な耐ブロッキング性を有する画像を形成することができる。
[自己分散性ポリマー粒子]
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、親水性モノマーに由来する構成単位の少なくとも1種と、疎水性モノマーに由来する構成単位の少なくとも1種とを含み、ガラス転移温度が150℃以上であって、I/O値が0.20以上0.55以下である第1のポリマーを含む。
前記第1のポリマーのガラス転移温度は150℃以上であるが、耐ブロッキング性と画像の耐擦性の観点から、150〜250℃であることが好ましく、160〜200℃であることがより好ましい。
第1のポリマーのガラス転移温度が150℃未満では、耐ブロッキング性(特に高温高湿条件下)が低下する場合がある。またガラス転移温度が250℃以下であることで画像の耐擦性が向上する。
第1のポリマーのガラス転移温度は、通常用いられる方法によって適宜制御することができる。例えば、第1のポリマーを構成するモノマーの重合性基の種類、モノマー上の置換基の種類やその構成比率、ポリマー分子の分子量等を適宜選択することで、第1のポリマーのガラス転移温度を所望の範囲に制御することができる。
本発明において第1のポリマーのガラス転移温度(Tg)は、実測によって得られる測定Tgを適用する。具体的には、測定Tgは、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定された値を意味する。
但し、ポリマーの分解等により測定が困難な場合は、下記計算式で算出される計算Tgを適用する。
計算Tgは下記の式(1)で計算する。
1/Tg=Σ(X/Tg) (1)
ここで、計算対象となるポリマーはi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xはi番目のモノマーの重量分率(ΣX=1)、Tgはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tg)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用する。
また前記第1のポリマーのI/O値は0.20以上0.55以下であるが、耐ブロッキング性とインク組成物の安定性の観点から、0.30以上0.54以下であることが好ましく、0.40以上0.50以下であることがより好ましい。
前記第1のポリマーのI/O値が0.20未満ではインク組成物の安定性が低下する場合がある。またI/O値が0.55を超えると耐ブロッキング性(特に高温高湿条件下)が低下する場合がある。
前記I/O値とは、無機性値/有機性値とも称される各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり、各官能基にパラメータを設定する官能基寄与法の一つである。
前記I/O値については、有機概念図(甲田善生著、三共出版(1984))などに詳細な説明がある。I/O値の概念は、化合物の性質を、共有結合性を表す有機性基と、イオン結合性を表わす無機性基とに分け、全ての有機化合物を有機軸、無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて示すものである。
前記無機性値とは、有機化合物が有している種々の置換基や結合等の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に数値化したものである。具体的には、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近でとると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定め、この数値に基づいて各種置換基あるいは各種結合などの沸点への影響力を数値化した値が、有機化合物が有している置換基の無機性値となる。例えば、−COOH基の無機性値は150であり、2重結合の無機性値は2である。したがって、ある種の有機化合物の無機性値とは、化合物が有している各種置換基や結合等の無機性値の総和を意味する。
また、前記有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。すなわち、直鎖飽和炭化水素化合物の炭素数5〜10付近で炭素1個が加わることによる沸点上昇の平均値は20℃であるから、これを基準に炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基礎として各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値となる。例えば、ニトロ基(−NO)の有機性値は70である。
I/O値は、0に近いほど非極性(疎水性、有機性が大きい)の有機化合物であることを示し、値が大きいほど極性(親水性、無機性が大きい)の有機化合物であることを示す
本発明において、第1のポリマーのI/O値は以下の方法によって求めたものを意味する。甲田善生著、有機概念図―基礎と応用−(1984)13ページ等に記載されている有機性(O値)、無機性(I値)を元に、第1のポリマーを構成する各モノマーのI/O値(=I値/O値)を算出する。ポリマーを構成する各モノマーについて、その(I/O値)と(ポリマー中のモル%)との積を算出し、これらを合計して、小数点以下第3位を四捨五入したものを第1のポリマーのI/O値とした。
ただし、各モノマーの無機性値の算出方法として、一般的には2重結合を無機性2として加算するが、ポリマー化すると2重結合はなくなるため、本発明ではモノマーの無機性値として2重結合分は加算していない数値を用いて第1のポリマーのI/O値を算出した。
本発明においては、第1のポリマーを構成するモノマーの構造および含有率を適宜調整することで所望のI/O値を有するポリマーを構成することができる。
本発明において自己分散性ポリマーとは、界面活性剤の不存在下、転相乳化法により分散状態としたとき、ポリマー自身の官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマーをいう。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンション)の両方の状態を含むものである。
本発明における自己分散性ポリマーにおいては、インク組成物に含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性ポリマーの乳化又は分散状態、すなわち自己分散性ポリマーの水性分散物の調製方法としては、転相乳化法が挙げられる。転相乳化法としては、例えば、自己分散性ポリマーを溶媒(例えば、親水性有機溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、自己分散性ポリマーが有する塩生成基(例えば、酸性基)を中和した状態で、攪拌、混合し、前記溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
また本発明の自己分散性ポリマーにおける安定な乳化又は分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶剤を除去した後でも、乳化又は分散状態が、25℃で、少なくとも1週間安定に存在し、沈殿の発生が目視で確認できない状態であることをいう。
また、自己分散性ポリマーにおける乳化又は分散状態の安定性は、遠心分離による沈降の加速試験によっても確認することができる。遠心分離による、沈降の加速試験による安定性は、例えば、上記の方法により得られたポリマー粒子の水性分散物を、固形分濃度25質量%に調整した後、12000rpmで一時間遠心分離し、遠心分離後の上澄みの固形分濃度を測定することによって評価できる。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離によるポリマー粒子の沈降が生じない、すなわち、ポリマー粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
本発明における自己分散性ポリマーは、分散状態としたときに水溶性を示す水溶性成分の含有量が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性成分が10質量%以下とすることで、ポリマー粒子の膨潤やポリマー粒子同士の融着を効果的に抑制し、より安定な分散状態を維持することができる。また、インク組成物の粘度上昇を抑制でき、例えば、インク組成物をインクジェット法に適用する場合に、吐出安定性がより良好になる。
ここで水溶性成分とは、自己分散性ポリマーに含有される化合物であって、自己分散性ポリマーを分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散性ポリマーを製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
本発明における第1のポリマーは、親水性モノマーに由来する親水性構成単位の少なくとも1種と、疎水性モノマーに由来する疎水性構成単位の少なくとも1種とを含む。前記第1のポリマーの主鎖骨格については特に制限はないが、ポリマー粒子の分散安定性の観点から、ビニルポリマーであることが好ましく、(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。ここで(メタ)アクリル系ポリマーとは、メタクリル酸誘導体に由来する構成単位およびアクリル酸誘導体に由来する構成単位の少なくとも1種を含むポリマーを意味する。
(親水性構成単位)
本発明における親水性構成単位は、親水性基含有モノマー(親水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、および形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、少なくとも1種は解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離性基であることがより好ましい。前記アニオン性の解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が特に好ましい。
本発明における親水性基含有モノマーは、自己分散性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中でも、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種がより好ましい。
またノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、例えば、2−メトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(分子量200〜1000)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(分子量200〜1000)モノメタクリレートなどの(ポリ)エチレンオキシ基またはポリプロピレンオキシ基を含有するエチレン性不飽和モノマーや、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
また、ノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、末端が水酸基のエチレン性不飽和モノマーよりも、末端がアルキルエーテルのエチレン性不飽和モノマーのほうが、粒子の安定性、水溶性成分の含有量の観点で好ましい。
本発明における親水性構成単位としては、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位のみを含有する態様、および、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性構成単位とを両方含有する態様のいずれかであることが好ましい。
また、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位を2種以上含有する態様や、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性構成単位を2種以上併用する態様であることもまた好ましい。
前記自己分散性ポリマーにおける親水性構成単位の含有率は、粘度と経時安定性の観点から、25質量%以下であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、2〜23質量%であることがさらに好ましく、4〜20質量%であることが特に好ましい。
また2種以上の親水性構成単位を有する場合、親水性構成単位の総含有率が前記範囲内であることが好ましい。
前記自己分散性ポリマーにおけるアニオン性の解離性基を有する親水性構成単位の含有量は、酸価が後述する好適な範囲となるような範囲が好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有する構成単位の含有量としては、吐出安定性と経時安定性の観点から、好ましくは0〜25質量%であって、より好ましくは0〜20質量%であって、特に好ましいのは0〜15質量%である。
前記自己分散性ポリマーがアニオン性の解離性基を有する場合、その酸価(KOHmg/g)は、自己分散性、水溶性成分の含有量、及びインク組成物を構成した場合の定着性の観点から、20以上200以下であることが好ましく、22以上120以下であることがより好ましく、25以上100以下であることが特に更に好ましい。特に好ましいのは、30以上、80以下である。酸価が20以上であることにより、粒子をより安定に分散することができ、酸価が200以下であることにより水溶性成分を少なくすることができる。
(疎水性構成単位)
本発明における疎水性構成単位は、疎水性基含有モノマー(疎水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の疎水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の疎水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記疎水性基としては、特に制限はなく、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基のいずれであってもよい。
本発明において前記疎水性モノマーは、耐ブロッキング性、耐擦性、分散安定性の観点から、少なくとも1種は環状脂肪族基含有モノマーであることが好ましく、環状脂肪族基含有(メタ)アクリレート(以下、「脂環式(メタ)アクリレート」いうことがある)であることがより好ましい。
−脂環式(メタ)アクリレート−
本発明において脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換または置換された脂環式炭化水素基を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
また、「脂環式(メタ)アクリレート」とは、脂環式炭化水素基を有する、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。
脂環式炭化水素基としては、環状の非芳香族炭化水素基を含むものであれば特に限定はなく、単環式炭化水素基、2環式炭化水素基、3環式以上の多環式炭化水素基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、およびビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
前記脂環式炭化水素基は、更に置換基を有してもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アルキルまたはアリールカルボニル基、およびシアノ基等が挙げられる。
また脂環式炭化水素基は、さらに縮合環を形成していてもよい。
本発明における脂環式炭化水素基としては、粘度や溶解性の観点から、脂環式炭化水素基部分の炭素数が5〜20であることが好ましい。
脂環式炭化水素基とアルコールに由来する構造部位とを結合する連結基としては、炭素数1から20までの、アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アラルキル基、アルコキシ基、モノまたはオリゴエチレングルコール基、モノまたはオリゴプロピレングリコール基などが好適なものとして挙げられる。
本発明における脂環式(メタ)アクリレートの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、自己分散性ポリマー粒子の分散安定性と、定着性、ブロッキング耐性の観点から、2環式(メタ)アクリレート、または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートを少なくとも1種であることが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、およびジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明において、自己分散性ポリマー粒子に含まれる脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率としては、自己分散状態の安定性、脂環式炭化水素基同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。特に好ましいのは50質量%以上80質量%以下である。
脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を20質量%以上とすることで、定着性、ブロッキングを改良することができる。一方、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位が90質量%以下であることでポリマー粒子の安定性が向上する。
本発明において自己分散性ポリマーは、疎水性構成単位として前記脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位に加え、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んで構成することができる。前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記脂環式(メタ)アクリレートおよび既述の親水性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はなく、公知のモノマーを用いることができる。
前記その他の構成単位を形成するモノマー(以下、「その他共重合可能なモノマー」ということがある)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点および自己分散性ポリマーの分散安定性の観点から、炭素数が1〜8の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートの少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは炭素数が1〜4の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはメチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレートである。ここで、鎖状アルキル基とは、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基のことをいう。
また本発明においては、芳香族基を含有する(メタ)アクリレートも好ましく用いることができる。
その他共重合可能なモノマーとして芳香族含有(メタ)アクリレートを含む場合、自己分散性ポリマー粒子の分散安定性の観点から、芳香族含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位は40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが特に好ましい。
また、その他共重合可能なモノマーとしてスチレン系モノマーを用いる場合、自己分散性ポリマー粒子とした際の安定性の観点から、スチレン系モノマーに由来する構成単位は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、スチレン系モノマーに由来する構成単位を含まない態様が特に好ましい。
ここで、スチレン系モノマーとは、スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン、クロロスチレンなど)、および、ポリスチレン構造単位を有するスチレンマクロマーのことを指す。
本発明においてその他共重合可能なモノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1のポリマーが、その他の構成単位を含有する場合、その含有量は10〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜75質量%であって、特に好ましいのは20〜70質量%である。その他の構成単位を形成するモノマーを、2種以上を組み合わせて使用する場合、その総含有量が前記範囲であることが好ましい。
本発明における第1のポリマーは、分散安定性の観点から、脂環式(メタ)アクリレート、その他共重合可能なモノマー、および親水性基含有モノマーの少なくとも3種を重合して得られるポリマーであることが好ましく、脂環式(メタ)アクリレート、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基含有(メタ)アクリレート、および親水性基含有モノマーの少なくとも3種を重合して得られるポリマーであることがより好ましい。
本発明においては、分散安定性の観点から、炭素数が9以上の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、および、芳香族基含有マクロモノマー等に由来する疎水性が大きい置換基を有する構成単位の含有量は、実質的に含まないことが好ましく、全く含まない態様であることがより好ましい
本発明における第1のポリマーは、各構成単位が不規則的に導入されたランダム共重合体であっても、規則的に導入されたブロック共重合体であっても良く、ブロック共重合体である場合の各構成単位は、如何なる導入順序で合成されたものであっても良く、同一の構成成分を2度以上用いてもよいが、ランダム共重合体であることが汎用性、製造性の点で好ましい。
本発明における第1のポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、10000〜20万であることがより好ましく、30000〜15万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
本発明における第1のポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上90質量%以下と、解離性基含有モノマーに由来する構造と、炭素数1〜8の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構造の少なくとも1種とを含み、酸価が20〜120であって、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が3000〜20万であるビニルポリマーであることが好ましい。
また、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上90質量%未満と、炭素数1〜4の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として10質量%以上80質量%未満と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構造を酸価が25〜100の範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が10000〜20万であるビニルポリマーであることがより好ましい。
さらに、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として40質量%以上80質量%未満と、少なくともメチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上60質量%未満含み、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する構造を酸価が30〜80の範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が30000〜15万であるビニルポリマーであることが特に好ましい。
以下に、自己分散性ポリマーの具体例として、例示化合物を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/72/8)、ガラス転移温度:180℃、I/O値:0.44
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(40/52/8)、ガラス転移温度:160℃、I/O値:0.50
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/62/10/8)、ガラス転移温度:170℃、I/O値:0.44
・メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/72/8)、ガラス転移温度:160℃、I/O値:0.47
尚、上記I/O値の計算においては、各ポリマーを構成するモノマーのI/O値として以下の数値を用いた。
メチルメタクリレート:0.60、イソボルニルメタクリレート:0.29、ジシクロペンタニルメタクリレート:0.32、メタクリル酸:0.47
本発明における自己分散性ポリマーの製造方法としては、特に制限はなく、公知の重合法によりモノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、インク組成物としたときの打滴安定性の観点から、有機媒体中で重合することがより好ましく、溶液重合法が特に好ましい。
本発明の自己分散性ポリマーの製造方法においては、モノマー混合物と、必要に応じて、有機溶剤及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させて前記水不溶性ポリマーを製造することができる。
本発明における自己分散性ポリマー粒子の水性分散物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により自己分散性ポリマー粒子の水性分散物とすることができる。自己分散性ポリマーを水性分散物として得る工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含む転相乳化法であることが好ましい。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶剤、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を攪拌して分散体を得る工程。
工程(2):前記分散体から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程。
前記工程(1)は、まず前記水不溶性ポリマーを有機溶剤に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶剤中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤及びエーテル系溶剤が好ましく挙げられる。
アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの有機溶剤の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が好ましい。
また、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。これは、例えば、油系から水系への転相時への極性変化が穏和になるためと考えることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、本発明の自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5〜120モル%使用することが好ましく20〜100モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることが更に好ましい。15モル%以上とすることで、水中での粒子の分散を安定化する効果が発現し、80モル%以下とすることで、水溶性成分を低下させる効果がある。
前記工程(2)では、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶剤は実質的に除去されており、有機溶剤の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
本発明における自己分散性ポリマー粒子の平均粒径は、1〜100nmの範囲であることが好ましく、3〜80nmがより好ましく、5〜60nmがさらに好ましい。特に好ましくは5〜40nmである。1nm以上の平均粒径であることで製造適性が向上する。また、100nm以下の平均粒径とすることで保存安定性が向上する。
また、自己分散性ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、水不溶性粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、自己分散性ポリマー粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
また本発明のインク組成物において、自己分散性ポリマー粒子は、実質的に着色剤を含有しない形態で存在することが好ましい。
本発明の自己分散性ポリマー粒子は自己分散性に優れており、ポリマー単独で分散させたときの安定性は非常に高いものである。しかし、例えば、顔料を安定に分散させる、所謂分散剤としての機能は高くないため、本発明における自己分散性ポリマーが顔料を含有する形態でインク組成物中に存在すると、結果としてインク組成物全体の安定性が大きく低下する場合がある。
本発明のインクジェット用インク組成物においては、自己分散性ポリマー粒子を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
また本発明のインク組成物における自己分散性ポリマー粒子の含有量としては、画像の光沢性などの観点から、インクジェット用インク組成物に対して、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが特に好ましい。
また、本発明のインクジェット用インク組成物における着色粒子と自己分散性ポリマー粒子の含有比率(着色粒子/自己分散性ポリマー粒子)としては、画像の耐擦過性などの観点から、1/0.5〜1/10であることが好ましく、1/1〜1/4であることがより好ましい。
[着色粒子]
本発明のインクジェット用インク組成物は、水不溶性ポリマー分散剤によって被覆された顔料を含む着色粒子の少なくとも1種を含む。
(顔料)
本発明における顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。具体的には特開2007−100071号公報記載の顔料などが挙げられ、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、カーボンブラック系顔料を用いることが好ましい。
(水不溶性ポリマー分散剤)
本発明における水不溶性ポリマー分散剤(以下、単に「分散剤」ということがある)としては、水不溶性のポリマー(以下、「第2のポリマー」ということがある)であって、顔料を分散可能であれば特に制限は無く、従来公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位の両方を含んで構成することができる。
前記疎水性の構成単位を構成するモノマーとしては、スチレン系モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また前記親水性構成単位を構成するモノマーとしては、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はない。前記親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、ノニオン性基は後述の自己分散性ポリマーにおけるノニオン性基と同義である。
本発明における親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
本発明における水不溶性ポリマー分散剤として、具体的には、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本発明において水不溶性ポリマー分散剤としては、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシル基を含むビニルポリマーであることが好ましく、疎水性の構成単位として少なくとも芳香族基含有モノマーに由来する構成単位を有し、親水性の構成単位としてカルボキシル基を含む構成単位を有するビニルポリマーであることがより好ましい。
また前記水不溶性ポリマー分散剤の重量平均分子量としては、顔料の分散安定性の観点から、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
本発明における着色粒子中における分散剤の含有量は、顔料の分散性、インク着色性、分散安定性の観点から、顔料に対し、分散剤が5〜200質量%であることが好ましく、10〜100質量%がより好ましく、20〜80質量%が特に好ましい。
前記着色粒子中の分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた着色粒子を得やすい傾向となり好ましい。
本発明における前記着色粒子は、前記水不溶性ポリマー分散剤に加えて、その他の分散剤を含んでいてもよい。例えば、従来公知の水溶性低分子分散剤や、水溶性ポリマー等を用いることができる。前記水不溶性ポリマー分散剤以外の分散剤の含有量は、前記分散剤の含有量の範囲内で用いることができる。
(その他の添加剤)
前記着色粒子には、必要に応じて、塩基性物質(中和剤)、界面活性剤等のその他の添加剤を添加することができる。
(塩基性物質)
塩基性物質としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。塩基性物質は、分散剤を中和する目的で、前記分散剤を含む組成物がpH7〜11となるように添加するのが好ましく、pH8〜10となるように添加するのがより好ましい。
塩基性物質の含有量としては、分散剤のイオン性基100モル%に対して、50〜150モル%であることが好ましく、70〜120モル%であることがより好ましく80〜100モル%であることが特に好ましい。
塩基性物質の具体例については、既述の自己分散性ポリマー粒子におけるものと同様である。
(着色粒子分散物の製造方法)
本発明における着色粒子は、例えば、顔料、分散剤、必要に応じて溶媒(好ましくは有機溶剤)等を含む混合物を、分散機により分散することにより着色粒子分散物として得ることができる。
本発明における着色粒子分散物は、顔料、分散剤、前記分散剤を溶解または分散する有機溶剤、及び塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液を混合した後(混合・水和工程)、前記有機溶剤を除く(溶媒除去工程)ことによって製造されることが好ましい。
この着色粒子分散物の製造方法によれば、前記着色粒子が微細に分散され、保存安定性に優れた着色粒子分散物を製造することができる。
前記着色粒子分散物の製造方法における有機溶剤は、本発明における分散剤を溶解または分散できることが必要だが、これに加えて水に対してある程度の親和性を有することが好ましい。具体的には、20℃において、水に対する溶解度が10質量%以上50質量%以下であるものが好ましい。
本発明における着色粒子分散物は、更に詳細には下記に示す工程(1)および工程(2)を含む製造方法で製造することができるが、これに限定されるものではない。
工程(1):顔料と、分散剤と、及び前記分散剤を溶解・分散する有機溶剤と、塩基性物質と、水とを含有する混合物を、分散処理する工程
工程(2):分散処理後の混合物から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程
前記工程(1)では、まず、前記分散剤を有機溶剤に溶解、または分散させ、これらの混合物を得る(混合工程)。次に顔料と、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液と、水と、必要に応じて界面活性剤等とを、前記混合物に加えて混合、分散処理し、水中油型の着色粒子分散物を得る。
前記塩基性物質の添加量(中和度)には、特に限定がない。通常、最終的に得られる着色粒子分散物の液性が、中性に近い液性、例えば、pH(25℃)が4.5〜10であることが好ましい。また前記分散剤に応じた中和度により、pHを決めることもできる。
前記着色粒子分散物の製造方法で用いる顔料、分散剤、及びその他の添加剤は、前述の着色粒子の項において記載したものと同義であり、好ましい例も同様である。
本発明に用いられる有機溶剤の好ましい例としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤が挙げられる。これらのうちアルコール系溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶剤の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。
また、これらの有機溶剤は、単独で用いても複数併用してもよい。
前記着色粒子分散物の製造においては、2本ロール、3本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸若しくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことができる。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
また、必要に応じて、縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
本発明における着色粒子分散物の製造方法において、前記有機溶剤の除去は特に限定されず、減圧蒸留等の公知に方法により除去できる。
このようにして得られた着色粒子分散物における着色粒子は良好な分散状態を保ち、かつ、得られた着色粒子分散物は経時安定性に優れたものとなる。
本発明において、着色粒子の平均粒径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。平均粒径が200nm以下であることで色再現性が良好になり、インクジェット方式の場合には打滴特性が良好になる。また、平均粒径が10nm以上であることで、耐光性が良好になる。
また、着色粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、着色粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、動的光散乱法を用いて測定することができる。
本発明のインク組成物において、上記着色粒子は1種単独で、また2種以上を組合せて使用してもよい。
また、着色粒子の含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%がより好ましく、1.5〜15質量%がさらに好ましく、1.5〜10質量%が特に好ましい。
[親水性有機溶剤]
本発明のインクジェット用インク組成物は、水系媒体を含むことが好ましい。水系媒体は少なくとも水を溶媒として含むが、水と親水性有機溶剤の少なくとも1種とを含むことが好ましい。親水性有機溶剤は乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤などの目的で用いられる。
ノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤や湿潤剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い親水性有機溶剤が好ましい。
また、インクジェット用インク組成物を紙により良く浸透させる目的で、浸透促進剤として親水性有機溶剤が好適に使用される。
本発明のインクジェット用インク組成物は、I/O値が0.70以上1.00未満である第1の親水性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。第1の親水性有機溶剤のI/O値が1.00未満であることで、自己分散性ポリマー粒子との相溶性が向上し、形成される画像の定着性がより効果的に向上し、画像の耐擦性がより向上する。また、第1の親水性有機溶剤のI/O値が0.70以上であることで、インク組成物の安定性が向上する。
尚、親水性有機溶剤のI/O値は、前記第1のポリマーにおけるI/O値の算出と同様にして算出したものである。
また本発明のインクジェット用インク組成物は、前記第1の親水性有機溶剤に加えて、I/O値が1.00以上1.50以下である第2の親水性有機溶剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。第2の親水性有機溶剤のI/O値が1.00以上であることでインク組成物の安定性がより効果的に向上する。また第2の親水性有機溶剤のI/O値が1.50以下であることで形成される画像の定着性が低下することを抑制することができる。
I/O値が0.70以上1.00未満である第1の親水性有機溶剤の具体例としては、グリコールエーテル等を挙げることができ、プロピレングリコールエーテルあるいはエチレングリコールエーテル類が好ましく、より好ましくはプロピレングリコールエーテルであり、具体的にはトリプロレングリコールモノメチルエーテル(I/O値:0.80)、トリプロレングリコールモノエチルエーテル(I/O値:0.73)、トリプロレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:0.61)、ジプロレングリコールモノエチルエーテル(I/O値:0.78)、ジプロレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:0.70)、プロレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:0.88)が挙げられる。
中でも画像定着性とインク安定性の観点から、トリプロレングリコールモノメチルエーテル(I/O値:0.80)が好ましい。
また、I/O値が1.0以上1.5以下である第2の親水性有機溶剤の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(I/O値:1.50)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(I/O値:1.20)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:1.40)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(I/O値:1.20)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(I/O値:1.43)、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(I/O値:1.43)、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール(I/O値:1.43)、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール(I/O値:1.25)、トリプロピレングリコール(I/O値:1.33)、サンニックスGP250(I/O値:1.30、三洋化成工業社製)等を挙げることができる。中でも画像定着性とインク安定性の観点から、サンニックスGP250が好ましい。
本発明のインクジェット用インク組成物における第1の親水性有機溶剤の含有率としては、画像定着性とインク安定性の観点から、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜16質量%であることがより好ましく、2〜12質量%であることが更に好ましい。
さらに第1の親水性有機溶剤として、I/O値が0.70以上1.00未満から選ばれる親水性有機溶剤を1〜16質量%含むことが好ましく、I/O値が0.70以上0.90未満から選ばれる親水性有機溶剤を2〜12質量%含むことがより好ましい。
また本発明のインクジェット用インク組成物における第2の親水性有機溶剤の含有率としては、画像定着性とインク安定性の観点から、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜16質量%であることがより好ましく、2〜12質量%であることが更に好ましい。
さらに第2の親水性有機溶剤として、I/O値が1.00以上1.50以下から選ばれる親水性有機溶剤を1〜16質量%含むことが好ましく、I/O値が1.20以上1.40以下から選ばれる親水性有機溶剤を2〜12質量%含むことがより好ましい。
さらに本発明のインクジェット用インク組成物における第1の親水性有機溶剤に対する第2の親水性有機溶剤の含有比率(第2の親水性有機溶剤:第1の親水性有機溶剤)としては、画像定着性とインク安定性の観点から、1:10〜10:1であることが好ましく、1:4〜4:1であることがより好ましく、1:2〜2:1であることがより好ましい。
本発明のインクジェット用インク組成物は、前記第1の親水性有機溶剤および
第2の親水性有機溶剤に加えて、その他の親水性有機溶剤をさらに含んでいてもよい。その他の親水性有機溶剤としては、乾燥防止剤や湿潤剤の目的として,多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン(I/O値:5.00)、エチレングリコール(I/O値:2.00)、ジエチレングリコール(I/O値:5.00)、トリエチレングリコール(I/O値:3.43)、プロピレングリコール(I/O値:2.50)、ジプロピレングリコール(I/O値:2.00)、1,3−ブタンジオール(I/O値:2.50)、2,3−ブタンジオール(I/O値:2.50)、1,4−ブタンジオール(I/O値:2.50)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(I/O値:2.00)、1,5−ペンタンジオール(I/O値:2.00)、テトラエチレングリコール(I/O値:2.91)、1,6−ヘキサンジオール(I/O値:1.67)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(I/O値:1.67)、ポリエチレングリコール(I/O値はエチレン鎖の繰り返し数による)、1,2,4−ブタントリオール(I/O値:3.75)、1,2,6−ヘキサントリオール(I/O値:2.50)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また浸透剤の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール(I/O値:1.67)、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール(I/O値:1.67)、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(I/O値:2.00)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(I/O値:1.88)を好ましい例として挙げることができる。
その他の親水性有機溶剤の含有率としては、例えば、16質量%以下とすることができ、12質量%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましい。
本発明のインクジェット用インク組成物における親水性有機溶剤は、1種単独であっても2種以上を混合して用いられてもよい。親水性有機溶剤の含有率は、安定性と吐出性の観点から、1質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましく使用される。
本発明に使用される水の添加量は特に制限は無いが、インクジェット用インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
(その他の添加剤)
本発明のインクジェット用インク組成物は、上記成分に加えて必要に応じてその他の添加剤を含むことができる。
本発明におけるその他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インクジェット用インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インクジェット用インク組成物の調製時に添加してもよい。具体的には特開2007−100071号公報の段落番号[0153]〜[0162]に記載のその他の添加剤などが挙げられる。
表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェット方式で良好に打滴するために、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。一方、インクの付与をインクジェット方式以外の方法で行う場合には、20〜60mN/mの範囲が好ましく、30〜50mN/mの範囲がより好ましい。
インク組成物の表面張力は、例えば、プレート法を用いて25℃で測定することができる。
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社)やオルフィンE1010(日信化学工業(株)製)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、これら表面張力調整剤は、消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等、も使用することができる。
本発明のインク組成物の粘度としては、インクの付与をインクジェット方式で行う場合、打滴安定性と凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。
また、インクの付与をインクジェット方式以外の方法で行う場合には、1〜40mPa・sの範囲が好ましく、5〜20mPa・sの範囲がより好ましい。
インク組成物の粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計を用いて20℃で測定することができる。
<インクセット>
本発明のインクセットは、前記インクジェット用インク組成物の少なくとも1種と、前記インクジェット用インク組成物と接触して凝集体を形成可能な処理液の少なくとも1種とを含む。
本発明のインクセットは、前記インクジェット用インク組成物を用いる画像形成方法に用いられ、特に後述の画像形成方法に用いるインクセットとして好ましい。
本発明のインクセットはこれらを一体的に若しくは独立に収容したインクカートリッジとして用いることができ、取り扱いが便利である点等からも好ましい。インクセットを含んで構成されるインクカートリッジは当技術分野において公知であり、公知の方法を適宜用いてインクカートリッジにすることができる。
(処理液)
本発明における処理液は、前記インクジェット用インク組成物と接触したときに凝集体を形成できる水性組成物であり、具体的には、インク組成物と混合されたときに、インク組成物中の着色粒子(顔料等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分を少なくとも含み、必要に応じて、他の成分を含んで構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
(凝集成分)
処理液は、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分の少なくとも1種を含有する。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
処理液の例としては、インク組成物のpHを変化させることにより凝集物を生じさせることができる液体組成物が挙げられる。このとき、処理液のpH(25℃±1℃)は、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜6であることが好ましく、1.2〜5であることがより好ましく、1.5〜4であることが更に好ましい。この場合、吐出工程で用いる前記インク組成物のpH(25±1℃)は、7.5〜9.5(より好ましくは8.0〜9.0)であることが好ましい。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25℃)が3〜5である場合が好ましい。
前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、凝集成分として、酸性化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。酸性化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基を有する化合物、あるいはその塩(例えば多価金属塩)を使用することができる。中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシル基を有する化合物がより好ましく、カルボキシル基を有する化合物であることが更に好ましい。
カルボキシル基を有する化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明における処理液は、上記酸性化合物に加えて、水系溶媒(例えば、水)を更に含んで構成することができる。
処理液中の酸性化合物の含有量としては、凝集効果の観点から、処理液の全質量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい
また、高速凝集性を向上させる処理液の好ましい一例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液も挙げることができる。多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩、及びポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
金属の塩の処理液中における含有量としては、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲である。
処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mであることが好ましく、20〜45mN/mであることがより好ましく、25〜40mN/mであることがさらに好ましい。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、本発明のインクジェット用インク組成物と接触して凝集体を形成可能な処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、前記インクジェット用インク組成物を記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を備え、必要に応じてその他の工程を備えて構成される。
以下、本発明のインクジェット記録方法を構成する各工程を説明する。
−インク付与工程−
インク付与工程は、既述の本発明のインクジェット用インク組成物を記録媒体にインクジェット法で付与する。本工程では、記録媒体上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。本発明のインク組成物における各成分の詳細及び好ましい態様などの詳細については、既述した通りである。
インクジェット法を利用した画像の記録は、具体的には、エネルギーを供与することにより、所望の被記録媒体、すなわち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に液体組成物を吐出することにより行なえる。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。本発明のインクジェット記録方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、一般にダミージェットを行なわないライン方式に適用した場合に、吐出精度及び画像の耐擦過性の向上効果が大きい。
更には、本発明におけるインク付与工程では、ライン方式による場合に、インク組成物を1種のみ用いるのみならず2種以上のインク組成物を用い、先に吐出するインク組成物(第n色目(n≧1)、例えば第2色目)とそれに続いて吐出するインク組成物(第n+1色目、例えば第3色目)との間の吐出(打滴)間隔を1秒以下にして好適に記録を行なうことができる。本発明においては、ライン方式で1秒以下の吐出間隔として、インク滴間の干渉で生じる滲みや色間混色を防止しつつ、従来以上の高速記録下で耐擦過性に優れ、ブロッキングの発生が抑えられた画像を得ることができる。また、色相及び描画性(画像中の細線や微細部分の再現性)に優れた画像を得ることができる。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、高精細な画像を得る観点で、0.5〜6pl(ピコリットル)が好ましく、1〜5plがより好ましく、更に好ましくは2〜4plである。
−処理液付与工程−
処理液付与工程は、インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液を記録媒体に付与し、処理液をインク組成物と接触させて画像化する。この場合、インク組成物中のポリマー粒子や色材(例えば顔料)などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。なお、処理液における各成分の詳細及び好ましい態様については、既述した通りである。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
処理液付与工程は、インク組成物を用いたインク付与工程の前又は後のいずれに設けてもよい。
本発明においては、処理液付与工程で処理液を付与した後にインク付与工程を設けた態様が好ましい。すなわち、記録媒体上に、インク組成物を付与する前に、予めインク組成物中の色材(好ましくは顔料)を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像化する態様が好ましい。これにより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液の付与量としては、インク組成物を凝集可能であれば特に制限はないが、好ましくは、凝集成分(例えば、2価以上のカルボン酸又はカチオン性有機化合物)の付与量が0.1g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集成分の付与量が0.1〜1.0g/mとなる量が好ましく、より好ましくは0.2〜0.8g/mである。凝集成分の付与量は、0.1g/m以上であると凝集反応が良好に進行し、1.0g/m以下であると光沢度が高くなり過ぎず好ましい。
また、本発明においては、処理液付与工程後にインク付与工程を設け、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。インク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
[加熱定着工程]
本発明のインクジェット記録方法は、前記インク付与工程の後、インク組成物の付与により形成されたインク画像に加熱面を接触させて加熱定着する加熱定着工程を有することが好ましい。加熱定着処理を施すことにより、記録媒体上の画像の定着が施され、画像の擦過に対する耐性をより向上させることができる。
加熱は、画像中のポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度で行なうことが好ましい。Tg以上に加熱されるので、皮膜化して画像が強化される。加熱温度は、好ましくはTg+10℃以上の温度域が好ましい。具体的には、加熱温度は、40〜150℃の範囲が好ましく、より好ましくは50℃〜100℃の範囲であり、更に好ましくは60℃〜90℃の範囲である。
加熱と共に加圧する際の圧力としては、表面平滑化の点で、0.1〜3.0MPaの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0MPaの範囲であり、更に好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲である。
加熱の方法は、特に制限されないが、ニクロム線ヒーター等の発熱体で加熱する方法、温風又は熱風を供給する方法、ハロゲンランプ、赤外線ランプなどで加熱する方法など、非接触で乾燥させる方法を好適に挙げることができる。また、加熱加圧の方法は、特に制限はないが、例えば、熱板を記録媒体の画像形成面に押圧する方法や、一対の加熱加圧ローラ、一対の加熱加圧ベルト、あるいは記録媒体の画像記録面側に配された加熱加圧ベルトとその反対側に配された保持ローラとを備えた加熱加圧装置を用い、対をなすローラ等を通過させる方法など、接触させて加熱定着を行なう方法が好適に挙げられる。
加熱加圧する場合、好ましいニップ時間は、1ミリ秒〜10秒であり、より好ましくは2ミリ秒〜1秒であり、更に好ましくは4ミリ秒〜100ミリ秒である。また、好ましいニップ幅は、0.1mm〜100mmであり、より好ましくは0.5mm〜50mmであり、更に好ましくは1〜10mmである。
前記加熱加圧ローラとしては、金属製の金属ローラでも、あるいは金属製の芯金の周囲に弾性体からなる被覆層及び必要に応じて表面層(離型層ともいう)が設けられたものでもよい。後者の芯金は、例えば、鉄製、アルミニウム製、SUS製等の円筒体で構成することができ、芯金の表面は被覆層で少なくとも一部が覆われているものが好ましい。被覆層は、特に、離型性を有するシリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂で形成されるのが好ましい。また、加熱加圧ローラの一方の芯金内部には、発熱体が内蔵されていることが好ましく、ローラ間に記録媒体を通すことによって、加熱処理と加圧処理とを同時に施したり、あるいは必要に応じて、2つの加熱ローラを用いて記録媒体を挟んで加熱してもよい。発熱体としては、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等が好ましい。
加熱加圧装置に用いられる加熱加圧ベルトを構成するベルト基材としては、シームレスのニッケル電鍮が好ましく、基材の厚さは10〜100μmが好ましい。また、ベルト基材の材質としては、ニッケル以外にもアルミニウム、鉄、ポリエチレン等を用いることができる。シリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂を設ける場合は、これら樹脂を用いて形成される層の厚みは、1〜50μmが好ましく、更に好ましくは10〜30μmである。
また、前記圧力(ニップ圧)を実現するには、例えば、加熱加圧ローラ等のローラ両端に、ニップ間隙を考慮して所望のニップ圧が得られるように、張力を有するバネ等の弾性部材を選択して設置すればよい。
加熱加圧ローラ、あるいは加熱加圧ベルトを用いる場合の記録媒体の搬送速度は、200〜700mm/秒の範囲が好ましく、より好ましくは300〜650mm/秒であり、更に好ましくは400〜600mm/秒である。
−記録媒体−
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しおらい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
上記の中でも、色材移動の抑制効果が大きく、従来以上に色濃度及び色相の良好な高品位な画像を得る観点からは、好ましくは、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5でmL/m・ms1/2の記録媒体であり、より好ましくは0.1〜0.4mL/m・ms1/2の記録媒体であり、更に好ましくは0.2〜0.3mL/m・ms1/2の記録媒体である。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機(株)製)を用いて接触時間100msと接触時間900msにおける水の転移量の差から算出されるものである。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクジェットによる画像形成においては、画像の光沢や擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明のインクジェット記録方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。より具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(いずれも東ソー(株)製の商品名)を用いて3本直列に接続し、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35/min、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
<インクジェット用インク組成物の調製>
(水不溶性ポリマー分散剤P−1の合成)
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、水不溶性ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JIS K0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(着色粒子分散物Cの調製)
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製;シアン顔料)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した後、更に、高速遠心冷却機7550(久保田製作所製)を用いて、50mL遠心菅を使用し、8000rpmで30分間遠心処理を行ない、沈殿物以外の上澄み液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物として、着色粒子分散物Cを得た。
(自己分散性ポリマー粒子の調製)
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン540.0gを仕込んで、窒素雰囲気下で75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、メチルメタクリレート(MMA)216g、イソボルニルメタクリレート(IBOMA)280.8g、メタクリル酸(MAA)43.2g、メチルエチルケトン108g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)2.16gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」1.08g、メチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.54g、メチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は63000、酸価は52.1(mgKOH/g)であった。
次に、重合溶液588.2gを秤量し、イソプロパノール165g、1モル/LのNaOH水溶液120.8mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に蒸留水718gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保って溶媒を留去した。更に、反応容器内を減圧して、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を留去し、固形分濃度26.0%の例示化合物ポリマー(B−02)の分散物を得た。
得られたポリマー(B−02)のガラス転移温度を以下の方法で測定したところ、160℃であった。
上記重合後のポリマー溶液を固形分量として0.5gになる量をとりわけ、50℃で4時間減圧乾燥させ、ポリマー固形分を得た。得られたポリマー固形分を用い、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220によりTgを測定した。測定条件は、サンプル量5mgをアルミパンに密閉し、窒素雰囲気下、以下の温度プロファイルで2回目の昇温時の測定データのDDSCのピークトップの値をTgとした。
30℃→−50℃ (50℃/分で冷却)
−50℃→230℃ (20℃/分で昇温)
230℃→−50℃ (50℃/分で冷却)
−50℃→230℃ (20℃/分で昇温)
上記自己分散性ポリマー粒子(B−02)の分散物と同様にして、下記表1に示した自己分散性ポリマー粒子の分散物を調製した。尚、表1のポリマー組成中、MMAはメチルメタクリレートを、IBOMAはイソボルニルメタクリレートを、DCPMAはジシクロペンタニルメタクリレートを、MAAはメタクリル酸をそれぞれ意味し、数値は各モノマーの構成比(質量基準)を意味する。
Figure 2010202773
(インクジェット用インク組成物の調製)
上記で得られた樹脂被覆顔料粒子の分散物Cと、自己分散性ポリマー粒子B−01を用い、下記のインク組成になるように各成分を混合した。これをプラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、PVDF5μmフィルター(Millex−SV、直径25mm、ミリポア社製)で濾過し、シアンインク(インクジェット用インク組成物)C−01を調製した。
〜インク組成〜
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) :4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) :2%
・ポリマー粒子の水性分散物(固形分) :4%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製、親水性有機溶剤、I/O値1.30)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGmME) :6%
(和光純薬社製、親水性有機溶剤、I/O値0.80)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) :1%
・イオン交換水 :73%
上記シアンインクC−01の調製において、自己分散性ポリマー粒子B−01の代わりに、自己分散性ポリマー粒子B−02〜B−07をそれぞれ用いた以外は上記と同様にして、シアンインクC−02〜C−07をそれぞれ調製した。
<処理液の調製>
下記のようにして、処理液(1)〜(2)を調製した。なお、表面張力、粘度、及びpHの測定は、上記と同様の方法により測定した。
−処理液(1)の調製−
下記組成となるように各成分を混合し、処理液(1)を調製した。処理液(1)の物性値は、粘度2.6mPa・s、表面張力37.3mN/m、pH1.6(25℃)であった。
〜処理液(1)の組成〜
・マロン酸 :15.0%
(2価のカルボン酸、和光純薬工業(株)製)
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル :20.0%
(和光純薬工業(株)製)
・N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム :1.0%
(界面活性剤)
・イオン交換水 :64.0%
<画像形成および評価>
GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製)を用意し、これに繋がる貯留タンクを上記で得たシアンインクに詰め替えた。記録媒体として特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を、500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージ上に固定し、ステージ温度を30℃で保持し、これに上記で得た処理液(1)をバーコーターで約1.2μmの厚みとなるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。
その後、GELJET GX5000プリンターヘッドを、前記ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に対して、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)が75.7度傾斜するように固定配置し、記録媒体を副走査方向に定速移動させながらインク液滴量2.4pL、吐出周波数24kHz、解像度1200dpi×1200dpiの吐出条件にてライン方式で吐出し、シアンインクのベタ画像を印画した。
印字直後、60℃で3秒間乾燥させ、更に60℃に加熱された一対の定着ローラ間を通過させ、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmにて定着処理を実施し、評価サンプルを得た。
(ブロッキング評価)
得られた評価サンプルを3.5cm×4cmのサイズに2枚裁断し、10cm×10cmのアクリル板(厚み7mm)の上に印字面同士が向かい合うように評価サンプルを載せ、更にこの評価サンプルの上に重ねて同じサイズに裁断した未印字の特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を10枚載せた上に、更に10cm×10cmのアクリル板(厚み7mm)を載せ、25℃、50%RHの環境条件下で12時間放置した。
放置後、最上部のアクリル板の上に1kgの分銅(加重700kg/mに相当)を載せ、下記表2に「ブロッキング条件」として記載した温度および相対湿度条件下で、更に24時間放置した。
更に、25℃、50%RHの環境条件下で2時間保管した後、評価サンプル上に重ねた未印字の特菱アート(未印字紙)を剥がした。このときの剥がれ易さ及び剥がした後の接着を目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
○:印字面に接着しなかった。
×:印字面に接着が生じ、紙の付着が目視で確認できた。
Figure 2010202773
表2から、本発明のインクジェット用インク組成物を用いて形成された画像は、高温高湿条件下においても、耐ブロッキング性に優れることが分かる。
(耐擦性評価)
上記で得られた評価サンプルについて、特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm、荷重260kg/mに相当)に巻きつけたもので、評価サンプルを3往復擦って色材はがれを目視で観察した。
本発明のインクジェット用インク組成物で作製したいずれの評価サンプルについても目視で擦り傷が確認できず、耐擦性が良好であることが分かった。一方、比較例のインクジェット用インク組成物で作製した評価サンプルでは、いずれも色材のはがれが観察された。

Claims (9)

  1. 水不溶性ポリマー分散剤によって被覆された顔料を含む着色粒子と、
    親水性モノマーに由来する構成単位および疎水性モノマーに由来する構成単位を含み、ガラス転移温度が150℃以上であって、I/O値が0.20以上0.55以下である第1のポリマーを含む自己分散性ポリマー粒子と、
    を含有するインクジェット用インク組成物。
  2. 前記第1のポリマーのI/O値は、0.40以上0.50以下である請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
  3. 前記親水性モノマーに由来する構成単位は、カルボキシル基を有する構成単位である請求項1または請求項2に記載のインクジェット用インク組成物。
  4. 前記第1のポリマーは、(メタ)アクリル系ポリマーである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
  5. I/O値が0.70以上1.00未満である第1の親水性有機溶剤の少なくとも1種をさらに含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
  6. I/O値が1.00以上1.50以下である第2の親水性有機溶剤の少なくとも1種をさらに含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物と、前記インクジェット用インク組成物と接触して凝集体を形成可能な処理液と、を含むインクセット。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物と接触して凝集体を形成可能な処理液を、記録媒体に付与する処理液付与工程と、
    前記インクジェット用インク組成物を、記録媒体に付与して画像を形成するインク付与工程と、を備える画像形成方法。
  9. 前記インクジェット用インク組成物が付与された記録媒体を、加熱定着する工程をさらに備える請求項8に記載の画像形成方法。
JP2009049900A 2009-03-03 2009-03-03 インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法 Active JP4658203B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009049900A JP4658203B2 (ja) 2009-03-03 2009-03-03 インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
EP10001760.7A EP2226366B1 (en) 2009-03-03 2010-02-22 Ink composition for ink-jet recording, ink set and image forming method
US12/711,277 US8389602B2 (en) 2009-03-03 2010-02-24 Ink composition for ink-jet recording, ink set and image forming method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009049900A JP4658203B2 (ja) 2009-03-03 2009-03-03 インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010202773A true JP2010202773A (ja) 2010-09-16
JP4658203B2 JP4658203B2 (ja) 2011-03-23

Family

ID=42111902

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009049900A Active JP4658203B2 (ja) 2009-03-03 2009-03-03 インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US8389602B2 (ja)
EP (1) EP2226366B1 (ja)
JP (1) JP4658203B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011046908A (ja) * 2009-07-30 2011-03-10 Fujifilm Corp インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP2012067265A (ja) * 2010-09-27 2012-04-05 Fujifilm Corp 黒色系インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット画像形成方法
JP2012179758A (ja) * 2011-02-28 2012-09-20 Fujifilm Corp 処理液収容容器及び処理液カートリッジ
EP2644663A1 (en) 2012-03-28 2013-10-02 Fujifilm Corporation Image forming method

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2902212B1 (en) * 2012-09-27 2017-09-06 FUJIFILM Corporation Image formation method
EP3218420B1 (en) * 2014-11-13 2019-07-10 Rohm and Haas Company Polymer dispersion and its application in high pigment volume concentration paints
JP2021183746A (ja) * 2020-05-22 2021-12-02 コニカミノルタ株式会社 前処理液、前処理布帛およびその製造方法、ならびに画像形成方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000007961A (ja) * 1998-06-18 2000-01-11 Dainippon Ink & Chem Inc 水性インク組成物
JP2001329199A (ja) * 2000-05-23 2001-11-27 Kao Corp 水性インク組成物
JP2005171223A (ja) * 2003-11-19 2005-06-30 Sanyo Shikiso Kk インクジェットインク用ポリマー組成物並びにインクジェットインク用顔料分散体及びその製造方法

Family Cites Families (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59157636A (ja) 1983-02-25 1984-09-07 Fuji Photo Film Co Ltd カラ−画像形成方法
JPS62238783A (ja) 1986-04-10 1987-10-19 Nitto Boseki Co Ltd インクジエツト記録用紙
JPH072430B2 (ja) 1988-12-16 1995-01-18 旭硝子株式会社 記録用シート
JPH07276789A (ja) 1994-04-05 1995-10-24 Fuji Photo Film Co Ltd 記録用シート
JPH0827693A (ja) 1994-07-12 1996-01-30 Mitsubishi Paper Mills Ltd 記録用紙及び塗工用原紙
JPH08169172A (ja) 1994-12-20 1996-07-02 Mitsubishi Paper Mills Ltd インクジェット記録シート
JP3684674B2 (ja) 1996-06-06 2005-08-17 コニカミノルタホールディングス株式会社 インクジェット記録用紙およびこれを用いた記録方法
JPH10217473A (ja) 1996-10-14 1998-08-18 Canon Inc 液体噴射記録ヘッドおよびその製造方法
JPH10153989A (ja) 1996-11-22 1998-06-09 Nec Home Electron Ltd ドットクロック回路
JPH10235995A (ja) 1996-12-26 1998-09-08 Fuji Photo Film Co Ltd 画像記録媒体および画像記録方法
JPH10217597A (ja) 1997-02-10 1998-08-18 Fuji Photo Film Co Ltd 画像形成方法
JPH10337947A (ja) 1997-06-04 1998-12-22 Fuji Photo Film Co Ltd 画像記録媒体
US7040747B2 (en) * 1999-07-30 2006-05-09 Seiko Epson Corporation Recording method for printing using two liquids on recording medium
US6500880B1 (en) * 2000-10-26 2002-12-31 Hewlett-Packard Comapny Black to color bleed control using specific polymers in ink-jet printing inks containing pigmented inks requiring dispersants
JP4171607B2 (ja) 2002-04-16 2008-10-22 富士フイルム株式会社 水性インク
JP4142336B2 (ja) 2002-05-02 2008-09-03 富士フイルム株式会社 ハロゲン化銀写真感光材料
EP1371697A3 (en) * 2002-06-14 2004-01-02 Rohm And Haas Company Polymeric binders for inkjet inks
JP2004309806A (ja) 2003-04-08 2004-11-04 Fuji Photo Film Co Ltd ハロゲン化銀写真感光材料
JP2004325707A (ja) 2003-04-24 2004-11-18 Fuji Photo Film Co Ltd ハロゲン化銀写真感光材料および水性塗布組成物
JP4152819B2 (ja) * 2003-07-04 2008-09-17 花王株式会社 インクジェット記録用水系インク
CN101048471B (zh) * 2004-10-29 2010-10-27 花王株式会社 用于喷墨打印的水基墨
JP2006273892A (ja) 2005-03-28 2006-10-12 Seiko Epson Corp インク組成物及びこれを用いた記録方法、記録物
JP2007100071A (ja) 2005-09-07 2007-04-19 Fujifilm Corp インクセット、画像記録方法及び装置
JP4629762B2 (ja) * 2008-09-24 2011-02-09 富士フイルム株式会社 水性インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP5376935B2 (ja) * 2008-12-26 2013-12-25 富士フイルム株式会社 インクジェット記録方法
JP5490419B2 (ja) * 2009-01-15 2014-05-14 富士フイルム株式会社 インクセットおよびインクジェット画像形成方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000007961A (ja) * 1998-06-18 2000-01-11 Dainippon Ink & Chem Inc 水性インク組成物
JP2001329199A (ja) * 2000-05-23 2001-11-27 Kao Corp 水性インク組成物
JP2005171223A (ja) * 2003-11-19 2005-06-30 Sanyo Shikiso Kk インクジェットインク用ポリマー組成物並びにインクジェットインク用顔料分散体及びその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011046908A (ja) * 2009-07-30 2011-03-10 Fujifilm Corp インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP2012067265A (ja) * 2010-09-27 2012-04-05 Fujifilm Corp 黒色系インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット画像形成方法
JP2012179758A (ja) * 2011-02-28 2012-09-20 Fujifilm Corp 処理液収容容器及び処理液カートリッジ
EP2644663A1 (en) 2012-03-28 2013-10-02 Fujifilm Corporation Image forming method

Also Published As

Publication number Publication date
US8389602B2 (en) 2013-03-05
JP4658203B2 (ja) 2011-03-23
EP2226366B1 (en) 2017-10-04
EP2226366A1 (en) 2010-09-08
US20100227064A1 (en) 2010-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4897023B2 (ja) インク組成物、インクセットおよびインクジェット画像形成方法
JP5523772B2 (ja) インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP4920731B2 (ja) インク組成物、インクセットおよびインクジェット画像形成方法
JP4629762B2 (ja) 水性インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP4902711B2 (ja) インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP5579460B2 (ja) インク組成物及び画像形成方法
JP4658203B2 (ja) インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP5538733B2 (ja) 水性インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP5523884B2 (ja) インク組成物、インクセットおよびインクジェット画像形成方法
JP2011195685A (ja) インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP2011079901A (ja) インクセット及び画像形成方法
JP5489490B2 (ja) インクジェットインク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP2011038008A (ja) 水性インク組成物、複合粒子の製造方法、インクセット、及び、画像形成方法
JP5328409B2 (ja) インクジェット記録用インクセット及び画像記録方法
JP5489817B2 (ja) インクセット及び画像形成方法
JP5680360B2 (ja) 黒色系インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット画像形成方法
JP5606708B2 (ja) インク組成物、インクセットおよびインクジェット画像形成方法
EP2487209B1 (en) Ink composition, ink set and inkjet image forming method
JP2010155907A (ja) インクジェットインク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP5448659B2 (ja) インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
EP2487208A1 (en) Ink composition, ink set and inkjet image forming method
JP2011195785A (ja) インク組成物、インクセット、及び画像形成方法
JP2011046870A (ja) インク組成物、インクセット、画像形成方法及び顔料分散液
JP2010053297A (ja) 自己分散ポリマー水性分散物の製造方法、水性インク組成物及びその製造方法、インクセット、ならびに画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100906

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101130

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101222

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140107

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4658203

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250