JP2012067265A - 黒色系インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】黒色系インクジェット記録用インク組成物を、カーボンブラック顔料と、フタロシアニン顔料及びアゾ顔料から選ばれる着色顔料の少なくとも1種と、水系媒体とを含んで、平均一次粒子径が100nm以下であり、平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比(平均二次粒子径/平均一次粒子径)が2.0〜3.0となるように構成する。
【選択図】なし
Description
インクジェット記録用のインクに用いる着色剤には、耐光性や耐水性等の観点から、顔料が広く用いられている。そして、インクジェットプリンター用の記録液には黒色系インク用の顔料として、一般にカーボンブラックが用いられている。
これに対して補色顔料を用いることによってニュートラルな黒を出力できるブラックインク組成物が種々開発されている。例えば、カーボンブラックと非水溶性のフタロシアニン系色素を含有するインクジェット記録液が開示され、黒さと光沢感、耐擦過性に優れるとされている(例えば、特許文献1、2参照)。
本発明は、耐擦性に優れる画像を形成可能で、吐出性に優れる黒色系インクジェット記録用インク組成物およびこれを用いるインクジェット画像形成方法を提供することを課題とする。
<1> カーボンブラック顔料と、フタロシアニン顔料及びキナクリドン顔料から選ばれる着色顔料の少なくとも1種と、水系媒体とを含み、平均一次粒子径が50nm以下であり、平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比(平均二次粒子径/平均一次粒子径)が2.0〜3.0である、黒色系インクジェット記録用インク組成物。
かかる態様であることで、インクジェット法による画像形成において、色調と耐擦性に優れる画像を形成することができる。
また本発明のインク組成物においては、平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比(平均二次粒子径/平均一次粒子径)は2.0〜3.0であるが、耐擦性と吐出性の観点から、平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比が2.2〜3.0であることが好ましく、2.5〜3.0であることがより好ましい。
またインク組成物の平均二次粒子径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により測定される体積平均粒子径である。
また平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比を2.0〜3.0に制御する方法としては、例えば、後述の顔料分散物の製造方法により製造された顔料分散物を用いる方法等を挙げることができる。
ソルトミリングは、例えば、顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含む混合物を混練して顔料を磨砕処理することで、顔料粒子が効率よく微細化され、かつ、微細化された顔料粒子の粒度分布が狭い顔料磨砕物が得られる。
前記混合物を混練する方法としては、前記混合物を機械的に混練できる方法であれば特に制限なく、通常用いられる方法を用いることができる。例えば、ニーダー等のバッチ式混練機、スーパーミキサー((株)カワタ製)やトリミックス((株)井上製作所製)等のバッチ式混練機、連続式1軸混練機KCKミル(浅田鉄工(株)製)等の連続式混練機を用いる方法を挙げることができる。本発明においては、微細化効率、粒度分布の観点から、連続式混練機を用いることが好ましい。
前記磨砕工程における処理温度としては、特に制限はなく、例えば5〜200℃とすることができるが、顔料粒子の変色、粒度分布の観点から、5〜50℃であることが好ましく、10〜35℃であることがより好ましい。
これら洗浄工程および乾燥工程は、いわゆるソルベントソルトミリング法で通常用いられる方法を本発明においても特に制限なく適用することができる。
前記水溶性無機塩としては、通常用いられる水溶性無機塩を特に制限なく用いることができる。具体的には例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等を挙げることができる。また前記水溶性無機塩の粒子径としては特に制限はないが、顔料の2次凝集体の粒子径制御の観点から、水溶性無機塩の粒子径が体積基準のメディアン径で0.5〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。
前記水溶性有機溶剤は、水に溶解し、前記水溶性無機塩を実質的に溶解しない有機溶剤であれば特に制限はない。水溶性有機溶剤は粗顔料と水溶性無機塩とを含む混合物を混練に適用可能な硬さに調整するために用いることができる。 水溶性有機溶剤としては、例えば、1価アルコール、多価アルコール、および多価アルコールの誘導体を挙げることができる。より具体的には、プロピルアルコール、2−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの1価アルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルキレングリコール系溶剤;およびその誘導体であるエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのグリコールモノエーテル系溶剤;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン系溶剤;およびその誘導体であるグリセリンエーテルなどの水溶性有機溶剤などを挙げることができる。
なお、本発明に用いられる水溶性有機溶剤は上記のものに限定されるものではない。
本発明の黒色系インクジェット記録用インク組成物は、カーボンブラック顔料の少なくとも1種を含む。カーボンブラック顔料としては特に制限はないが、画像の耐擦性、画像濃度、保存安定性、の点で、pHが酸性から中性の領域であるカーボンブラック顔料であることが好ましい。さらにカーボンブラック顔料の平均一次粒子径は10〜50nmであることが好ましく、10〜30nmがさらに好ましい。
尚、平均一次粒子径は、日本電子(株)社製の透過型電子顕微鏡TEM2010(加圧電圧200kV)を用いて撮影された画像から、任意に選択した一次粒子1000個の粒子径(円相当径)を測定してその算術平均として算出される。
尚、カーボンブラック顔料のpHは、カーボンブラック顔料の水分散物のpH(25℃)として測定される。
尚、DBP吸収量は、JIS K6221 A法によって測定される。
具体例としては例えば、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000ULTRAII、Raven 3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRAII、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060、Raven700(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Black Pearls L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、 Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex35、Printex U、Printex V、Printex140U、Printex140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4、NIPEX180−IQ、NIPEX170−IQ(以上、デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.2200B、No.2300、No.990、No.980、No.970、No.960、No.950、No.850、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。
本発明のインク組成物におけるカーボンブラック顔料の含有比率は、特に制限されないが、印画濃度と耐擦性の観点から、0.5〜4質量%であることが好ましく、0.8〜2質量%であることがより好ましい。
本発明のインク組成物は、前記カーボンブラック顔料に加えて、フタロシアニン顔料及びキナクリドン顔料から選ばれる着色顔料の少なくとも1種を含む。前記フタロシアニン顔料及びキナクリドン顔料は、目的に応じて公知の有機顔料から適宜選択することができる。本発明に用いられる有機顔料の具体的な例を以下に示す。
本発明におけるカーボンブラック顔料及び着色顔料(以下、両者をまとめて単に「顔料」ともいう)は、水不溶性樹脂の少なくとも1種によってその表面の少なくとも一部が被覆された水分散性の顔料粒子として、本発明のインク組成物を構成していることが好ましい。
すなわち前記水不溶性樹脂は高分子分散剤として機能するものであることが好ましい。
さらに前記水不溶性樹脂は、前記疎水性構造単位として下記一般式(I)で表される構造単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。
また芳香環基は縮環を形成していてもよい。縮環を形成している場合としては、例えば、炭素数8以上の縮環型芳香環に由来する基、ヘテロ環が縮環した芳香環に由来する基を挙げることができる。さらにArは芳香環が2以上連結した化合物に由来する基であってもよい。
前記「ヘテロ環が縮環した芳香環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。ヘテロ環が縮環した芳香環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
中でも、Arとしては、無置換のベンゼン環、無置換のナフタレン環が好ましく、無置換のベンゼン環が特に好ましい。
他の疎水性構造単位としては、例えば、親水性構造単位に属しない(例えば親水性の官能基を有しない)例えば(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類等に由来の構造単位、ならびに主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位を挙げることができる。これらの構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、n−ブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレン、ビニルナフタレン等などが挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。中でも、ビニルアセテートが好ましい。
また、L1は、*−COO−、*−OCO−、*−CONR2−、*−O−、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、L1で表される基中の*印は、主鎖に連結する結合手を表す。フェニレン基が置換されている場合の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、シアノ基等が挙げられる。
中でも、特に好ましくは、炭素数1〜25(より好ましくは1〜10)のアルキレンオキシ基、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CH2CH2O)n−,n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基等、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
Ar1における芳香環化合物としては、特に限定されないが、ベンゼン、炭素数8以上の縮環型芳香環化合物、ヘテロ環が縮環した芳香環化合物、及び芳香環が2個以上連結した化合物が挙げられる。炭素数8以上の縮環型芳香環化合物、ヘテロ環が縮環した芳香環化合物、及び芳香環が2個以上連結した化合物の詳細については既述の通りである。
また非イオン性またはカチオン性の「親水性の官能基」としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基、及び後述のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが挙げられる。
親水性構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
親水性構造単位の含有量が15質量%以下であると、単独で水中に溶解する成分量が抑えられ、顔料の分散などの諸性能が良好になり、インクジェット記録時には良好なインク吐出性が得られる。
なお、酸価とは、水不溶性樹脂の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
また、数平均分子量(Mn)では1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、顔料における被覆膜としての機能又はインク組成物の塗膜としての機能を発揮することができる。本発明における水不溶性樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
前記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の種々の有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、水との混合溶媒として用いてもよい。重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常は0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は1〜100kg/cm2であり、特に1〜30kg/cm2程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られた樹脂は、再沈殿などの精製を行なってもよい。
本発明における顔料分散物の製造方法は、基本的には、転相乳化法と呼ばれる方法であることが好ましい。転相乳化法は、自己分散能又は溶解能を有する水不溶性樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。また、この混合溶融物には、硬化剤又は高分子化合物をさらに含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相乳化法」による具体的な方法は、例えば、特開平10−140065号公報に記載されている方法を参照できる。
一般に転相乳化法では水不溶性樹脂が分散剤として作用するため、水不溶性樹脂以外の分散剤を用いる必要はないが、本発明の効果を損なわない範囲でその他の樹脂分散剤を用いてもよい。
本発明における顔料分散物は、顔料(カーボンブラック顔料および着色顔料の少なくとも1種)、水不溶性樹脂(分散剤)、前記水不溶性樹脂を溶解または分散する有機溶剤、及び塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液を混合した後(混合・水和工程)、前記有機溶剤の少なくとも一部を除く(溶剤除去工程)ことによって製造されることが好ましい。
この顔料分散物の製造方法によれば、前記水不溶性樹脂で被覆された顔料が微細に分散され、保存安定性に優れた顔料分散物を製造することができる。また、前記平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比を所望の範囲に容易に制御することができる。
工程(2):分散処理後の混合物から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程
分散剤として用いる水不溶性樹脂の好ましい態様は既述のとおりである。
前記塩基性物質の添加量(中和度)には、特に限定がない。通常、最終的に得られる顔料分散物の液性が、中性に近い液性、例えば、pH(25℃)が4.5〜10であることが好ましい。また前記水不溶性樹脂に応じた中和度により、pHを決めることもできる。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
また、必要に応じて、縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを用いて微分散処理を行なうことにより得ることができる。
有機溶剤を除去して水系へと転相することで、顔料の粒子表面が水不溶性樹脂で被覆された樹脂被覆顔料粒子の分散物を得ることができる。得られた分散物中の有機溶剤は実質的に除去されていることが好ましい。ここでの除去後の有機溶剤の量は、好ましくは0.2質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。
すなわち、第1の水不溶性樹脂、有機溶剤、顔料、及び水を混合して分散処理する第1の分散工程と、さらに第2の水不溶性樹脂を添加し分散処理する第2の分散工程と、前記第2の分散工程で得られた水性分散体から前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する除去工程とを備え、必要に応じてその他の工程を含んでいることが好ましい。
水不溶性樹脂を一括で混合しないで、第1の水不溶性樹脂を第1の分散工程で添加し、その後に、第2の分散工程で第2の水不溶性樹脂を添加するという分割添加することにより、顔料等が微粒子として微細に分散された顔料分散物を製造することができ、インク組成物を構成した場合に、平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比を所望の範囲に制御することがより容易になる。
第1及び第2の水不溶性樹脂として同一の水不溶性樹脂を用いることにより、顔料分散体中の顔料は微細化されて分散され、分散安定性に優れた顔料分散体とすることができる。また、該顔料分散体を含有するインクジェット記録用インクは保存安定性及び吐出安定性に優れたものとなる。
(1)第1の水不溶性樹脂と有機溶剤と水と、好ましくは、更に、塩基性化合物(中和剤)と、を混合し、
(2)得られた混合液に顔料を混合して懸濁液とした後に、分散機等で顔料を分散処理して水性分散物を得る工程(第1の分散工程)と、
(3)得られた分散体に第2の水不溶性樹脂を、混合して懸濁液とした後に、分散機等で顔料を分散処理して水性分散物を得る工程(第2の分散工程)と、
(4)有機溶剤を、例えば蒸留して除くことによって、顔料を、水不溶性樹脂で被覆し、水中に分散させて水性分散物とする工程(除去工程)とを含む方法であることが好ましい。
また、上記(1)の第1の分散工程で用いられる有機溶剤は、上記(3)の第2の分散工程で用いられる有機溶剤と同一であっても、異なるものであってもよく、転相乳化による微細エマルションを得る上で同一であることが好ましい。
前記顔料分散粒子の粒子径の目安は、特に限定されるものではないが、70〜120nmであることが好ましい。
尚、分散処理、有機溶剤の除去については既述の通りである。
本発明のインク組成物は、媒体として少なくとも水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
本発明のインク組成物は、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。ここで乾燥防止効果、湿潤効果は、ノズルのインク噴出口において水性インクが付着乾燥することによる目詰まりを防止する効果等を意味する。乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。
また、浸透促進効果は、水性インクを紙へより良く浸透させる効果を意味する。
水溶性有機溶剤の例としては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンポリオール(多価アルコール類);エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
有機溶媒の水性インク中における含有量としては、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。
本発明のインク組成物は、樹脂粒子の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。これにより形成される画像の耐擦性がより効果的に向上する。
前記樹脂粒子は特に限定されるものではないが、自己分散性の樹脂粒子(以下、「自己分散性ポリマー粒子」ともいう)であることが好ましい。
100℃以上であることで画像の耐擦性が向上し、耐プレスブロッキング性を有する画像を形成することができる。さらに耐擦過性及び特に高温高湿条件下においても吐出回復性に優れ、良好な耐ブロッキング性を有する画像を形成することができる。
計算Tgは下記の式(1)で計算する。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi) (1)
ここで、計算対象となるポリマーはi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンション)の両方の状態を含むものである。
本発明における自己分散性ポリマー粒子においては、インク組成物に含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散性ポリマー粒子であることが好ましい。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離による樹脂粒子の沈降が生じない、すなわち、樹脂粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
ここで水溶性成分とは、自己分散性ポリマー粒子を構成するポリマーに含有される化合物であって、自己分散性ポリマー粒子を分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散性ポリマー粒子を製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
前記親水性構成単位は、親水性基含有モノマー(親水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
前記親水性基は、自己分散促進の観点、および形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、少なくとも1種は解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離性基であることがより好ましい。前記アニオン性の解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が特に好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中でも、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種がより好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、末端が水酸基のエチレン性不飽和モノマーよりも、末端がアルキルエーテルのエチレン性不飽和モノマーのほうが、粒子の安定性、水溶性成分の含有量の観点で好ましい。
また、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位を2種以上含有する態様や、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性構成単位を2種以上併用する態様であることもまた好ましい。
また2種以上の親水性構成単位を有する場合、親水性構成単位の総含有率が前記範囲内であることが好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有する構成単位の含有量としては、吐出安定性と経時安定性の観点から、好ましくは0〜25質量%であって、より好ましくは0〜20質量%であって、特に好ましいのは0〜15質量%である。
酸価が50mgKOH/g以上であることにより、該ポリマーを用いたインク組成物の吐出応答性、吐出回復性は向上し、酸価が75mgKOH/g以下であることにより粘度は上がり、耐ブロッキングは向上する傾向となる。
前記疎水性構成単位は、疎水性基含有モノマー(疎水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の疎水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の疎水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記疎水性基としては、特に制限はなく、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基のいずれであってもよい。
前記疎水性モノマーは、耐ブロッキング性、耐擦性、分散安定性の観点から、少なくとも1種は環状脂肪族基含有モノマーであることが好ましく、環状脂肪族基含有(メタ)アクリレート(以下、「脂環式(メタ)アクリレート」いうことがある)であることがより好ましい。
脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換または置換された脂環式炭化水素基を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
また、「脂環式(メタ)アクリレート」とは、脂環式炭化水素基を有する、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、およびビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
また脂環式炭化水素基は、さらに縮合環を形成していてもよい。
脂環式炭化水素基としては、粘度や溶解性の観点から、脂環式炭化水素基部分の炭素数が5〜20であることが好ましい。
単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を20質量%以上とすることで、定着性、ブロッキングを改良することができる。一方、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位が90質量%以下であることで樹脂粒子の安定性が向上する。
その他共重合可能なモノマーとして芳香族含有(メタ)アクリレートを含む場合、自己分散性ポリマー粒子の分散安定性の観点から、自己分散性ポリマーの全質量に対して、芳香族含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位は40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが特に好ましい。
ここで、スチレン系モノマーとは、スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン、クロロスチレンなど)、および、ポリスチレン構造単位を有するスチレンマクロマーのことを指す。
その他の構成単位を含有する場合、その含有量は、自己分散性ポリマーの全質量に対して、10〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜75質量%であって、特に好ましいのは20〜70質量%である。その他の構成単位を形成するモノマーを、2種以上を組み合わせて使用する場合、その総含有量が前記範囲であることが好ましい。
本発明においては、分散安定性の観点から、炭素数が9以上の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、および、芳香族基含有マクロモノマー等に由来する疎水性が大きい置換基を有する構成単位の含有量は、実質的に含まないことが好ましく、全く含まない態様であることがより好ましい
尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
酸価が50mgKOH/g以上であることにより、該ポリマーを用いたインク組成物の吐出応答性、吐出回復性は向上し、酸価が75mgKOH/g以下であることにより粘度が上がる傾向となる。
本発明において、酸価はJIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により求める。
上記中和度が40%以上であると粘度が上昇する効果、吐出応答性が良化する効果があり、60%以下であると吐出回復性が良化する点で好ましい。
また、中和度が40%以下、あるいは60%以上であると自己分散性ポリマー粒子が安定に製造できない等の弊害もある。
中和度は自己分散性ポリマー粒子の製造時において、自己分散性ポリマー粒子を構成するポリマーに含まれる解離性基を100モル%とした時に、添加したアルカリのモル%のことを言う。
また、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上90質量%未満と、炭素数1〜4の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として10質量%以上80質量%未満と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構造を酸価が50〜75mgKOH/gの範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が10000〜20万であるビニルポリマーであることがより好ましい。
さらに、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として40質量%以上80質量%未満と、少なくともメチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上60質量%未満含み、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する構造を酸価が50〜75mgKOH/gの範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が30000〜15万であるビニルポリマーであることが特に好ましい。
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(40/52/8)、ガラス転移温度:160℃、酸価:52.1mgKOH/g
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(38/52/10)、ガラス転移温度:160℃、酸価:65.1mgKOH/g
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(42/52/6)、ガラス転移温度:161℃、酸価:39.1mgKOH/g
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(36.5/52/11.5)、ガラス転移温度:160℃、酸価:74.8mgKOH/g
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(36/52/12)、ガラス転移温度:160℃、酸価:78.1mgKOH/g
・メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/62/10/8)、ガラス転移温度:170℃、酸価:52.1mgKOH/g
・メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/72/8)、ガラス転移温度:160℃、酸価:52.1mgKOH/g
・メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(18/72/10)、ガラス転移温度:161℃、酸価:65.1mgKOH/g
自己分散性ポリマーの製造方法においては、モノマー混合物と、必要に応じて、有機溶剤及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させて前記水不溶性ポリマーを製造することができる。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶剤、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を攪拌して分散体を得る工程。
工程(2):前記分散体から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの有機溶剤の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が好ましい。
また、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。これは、例えば、油系から水系への転相時への極性変化が穏和になるためと考えることができる。
0.1nm以上の平均粒径であることで製造適性、吐出回復性が更に向上し、10nm以下の平均粒径とすることで保存安定性、インクの増粘効果が向上する点で好ましい。また、自己分散性に増粘効果を持たせることで、結果として増粘剤の添加量を減らすことにより吐出応答性も良化することも可能になる。
また、自己分散性ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、水不溶性粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、自己分散性ポリマー粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明の自己分散性ポリマーは自己分散性に優れており、ポリマー単独で分散させたときの安定性は非常に高いものである。しかし、例えば、顔料を安定に分散させる、所謂分散剤としての機能は高くないため、本発明における自己分散性ポリマーが顔料を含有する形態でインク組成物中に存在すると、結果としてインク組成物全体の安定性が大きく低下する場合がある。
本発明のインク組成物における樹脂粒子(好ましくは、自己分散性ポリマー粒子)の含有量としては、耐擦性、耐プレスブロッキング性などの観点から、インク組成物全質量に対して、5質量%以上含有することが好ましく、5〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることが特に好ましい。
また、本発明のインク組成物における顔料粒子と樹脂粒子の含有比率(顔料粒子/樹脂粒子)としては、画像の耐擦性などの観点から、1/0.5〜1/10であることが好ましく、1/1〜1/4であることがより好ましい。
本発明のインク組成物は、界面活性剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いられ、例えば、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、ベタイン系の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、インクジェット法で良好に打滴するために、水性インクの表面張力を20〜60mN/mに調整できる量を含有するのが好ましい。中でも、界面活性剤の含有量は、表面張力を20〜45mN/mに調整できる量が好ましく、より好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
また両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。
また界面活性剤のインクジェット記録用水性インク中における含有量は、特に制限はなく、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である。
中でも、界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤を、水性インク中に0.1〜2.0質量%含むことが好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である。
本発明におけるインクジェット記録用水性インクは、上記の成分に加え、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の他の成分を含有してもよい。
前記インク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、水性インクを25℃の条件下で測定されるものである。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、水性インクを20℃の条件下で測定されるものである。
本発明のインクジェット画像形成方法は、前記黒色系インクジェット記録用インク組成物を、インクジェット法で記録媒体上に付与するインク付与工程を有し、必要に応じてその他の工程を有して構成される。
本発明のインクジェット画像形成方法は、所望の記録媒体上に、記録しようとする画像情報にしたがってインクジェット法で吐出することにより画像を記録する記録形態(第1記録形態)であってもよい。またこの第1記録形態のほか、インク組成物と、インク組成物と接触したときにインク組成物中の顔料等の粒子を凝集可能な成分を含む処理液と、を共に用い、インク組成物及び処理液を接触させて画像を記録する記録形態(第2記録形態)であってもよい。
インク付与工程は、既述の本発明のインク組成物を記録媒体にインクジェット法(シングルパス方式)で付与する。シングルパス方式については後述する。
本工程では、記録媒体上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。本発明のインク組成物における各成分の詳細及び好ましい態様などの詳細については、既述した通りである。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
本発明の画像形成方法は、このシングルパスヘッドを用いてシングルパス方式で記録媒体上にインク組成物を付与するものである。
ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明の画像形成方法は、本発明の前記インク組成物を用いることによりプレスブロッキングの発生を抑制することができ、また、前記インク組成物をシングルパス方式で吐出することにより、吐出精度の向上が図れ、また、ノズルプレートとインクとの接触による侵食の抑制効果も大きい。
処理液付与工程は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を記録媒体上に付与する工程である。
即ち、凝集体の形成が可能な処理液を記録媒体に付与し、処理液をインク組成物と接触させて画像化する。この場合、インク組成物中のポリマー粒子や色材(例えば顔料)などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。なお、処理液における各成分の詳細及び好ましい態様について、詳述する。
本発明における処理液は、既述のインク組成物と接触することで凝集体を形成可能なように構成されたものである。具体的には、処理液は、前記インク組成物中の色材粒子(顔料等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集剤を少なくとも含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
処理液は、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤の少なくとも1種を含有することができる。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25±1℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25±1℃)が1.5〜3である場合が好ましい。
前記凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、前記凝集剤(好ましく、有機酸)を含有するが、更に、水と共に水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤の詳細については、既述のインク組成物におけるものと同様である
(その他成分)
本発明における処理液は、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の各種添加剤を用いて構成することができる。
その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ、既述のインク組成物に含まれるその他の添加剤の具体的な例に挙げたものが適用できる。
本発明の画像形成方法は、前記画像形成工程の後、インク組成物の付与により形成されたインク画像に加熱面を接触させて加熱定着する加熱定着工程を有することも好ましい。加熱定着処理を施すことにより、記録媒体上の画像の定着が施され、画像の擦過に対する耐性をより向上させることができる。
ポリマー粒子の最低造膜温度(MFT)はポリマーのTgとインク溶剤の種類、量によって制御され、一般的にはTgが低いほど、インク溶剤のI/O値が低いほど、インク溶剤の量が多いほどMFTは低下する傾向にある。
除去工程を施すことにより、即ち、インクジェットヘッドに付着したインク組成物、インク組成物由来の固着物、又はその他の付着物を除去することにより、吐出直後及び経時後のインク吐出性がより向上する点で好ましい。
本発明の画像形成方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明の画像形成方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
本発明の画像形成方法によって記録媒体に記録された記録物は、高速記録する場合であっても、耐ブロッキング性に優れた、高精彩で耐擦性にすぐれたインクジェット記録物を得ることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel、Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
〜樹脂分散剤P−1(水不溶性樹脂)の合成〜
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコに、メチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、これにメチルエチルケトン50gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、フェノキシエチルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は過剰量のヘキサンに2回再沈殿させ、析出した樹脂を乾燥させて、フェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(共重合比[質量比]=60/30/10)共重合体(樹脂分散剤P−1)96.5gを得た。
得られた樹脂分散剤P−1の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は43500であった。さらに、JIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
〜樹脂粒子の合成〜
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン540.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、メチルメタクリレート108g、イソボルニルメタクリレート388.8g、メタクリル酸43.2g、メチルエチルケトン108g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)2.16gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」1.08g、メチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.54g、メチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は61000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))、酸価は52.1(mgKOH/g)であった。
なお、下記化合物例(B−01)の各構成単位の数字は質量比を表す。以下、各構造式に関しても同様である。
・B−01:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(20/72/8)
また、得られた樹脂粒子の体積平均粒子径をナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により測定したところ、16nmであった。
さらに得られた樹脂粒子のガラス転移温度を、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定したところ、180℃であった。
〜顔料分散物の調製〜
以下の組成となるように各成分を混合し、0.1mmφジルコニアビーズを用いてビーズミルで2時間分散した。続いて、得られた分散体を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、カーボンブラック濃度が10.0質量%となるよう樹脂被覆カーボンブラック粒子および樹脂被覆着色顔料の分散体を調製した
・カーボンブラック顔料 ・・・8.4部
(一次粒子径20nm)
・フタロシアニン顔料 ・・・2.8部
(C.I.PigmentBlue15:3、一次粒子径40nm)
・キナクリドン顔料 ・3.8部
(C.I.PigmentRed122、一次粒子径35nm)
・樹脂分散剤P−1 ・・・6.8部
・メチルエチルケトン ・・・18.0部
・1mol/L NaOH水溶液 ・・・5.6部
・イオン交換水 ・・・54.6部
(顔料のソルトミリング)
ニーダー(商品名:KHD−2、井上製作所)のタンクに、C.I.ピグメントレッド122の100質量部、粒径20μmの塩化ナトリウム1000質量部、ジエチレングリコール240質量部を投入し、50℃で6時間混練しソルトミリングを行った。次に得られた混練物1300質量部を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌しスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返し塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、40℃にて乾燥し、ソルトミリング処理ピグメントレッド122を得た。
C.I.ピグメントブルー15:3についても同様にソルトミリング処理を行った。
上記で得られた顔料分散物を用いて、以下の組成となるように各成分を混合してインク組成物を調製した。
・顔料分散物 ・・・20.0部
・樹脂粒子(固形分) ・・・7.0部
・グリセリン ・・・2.0部
・サンニックスGP−250 ・・・8.0部
(ニューポールGP−250 三洋化成工業(株)製)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル ・・・3.0部
・ジプロピレングリコール ・・・5.0部
・プロキセルXL−2(アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製)・・・0.05部
・ベンゾトリアゾール ・・・0.05部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1.0部
・イオン交換水 ・・・33.9部
下記組成となるように成分を混合溶解して、処理液を調製した。
−処理液の組成−
マロン酸 11.25質量%
DL−リンゴ酸 14.5質量%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0質量%
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFTG) 4.0質量%
イオン交換水 66.25質量%
東亜DDK(株)製pHメーターWM−50EGにて、pHを測定したところ、pH値は、1.10であった。また、協和界面科学(株)製 FASE Automatic Surface Tensionmeter CBVP−Zにて、表面張力を測定したところ、41.3mN/mであった。
顔料の選択やソルトミリングの処理時間を変更することで、平均一次粒子径の異なる顔料分散物を作製した。
また、分散時間、強度を変更することで平均二次粒子径についても制御して、表1に示すような実施例2〜6、比較例1〜4のインク組成物を作製した。
上記で得られたインク組成物について、以下のような評価を行なった。評価結果を表1に示した。
上記で得られたインク組成物について、以下のようにして平均一次粒子径を測定した。
インク組成物をカーボン支持膜に滴下して乾燥後に、透過型電子顕微鏡(TEM2010、加速電圧200kV、日本電子(株)社製)を用いて観察し、任意に選択した1000個の粒子の粒子径(円相当径)の算術平均として平均一次粒子径を算出した。尚、観察される粒子が、一次粒子どうしが結合した二次粒子を構成している場合には、二次粒子を構成する個々の一次粒子の粒子径を測定した。
上記で得られたインク組成物について、以下のようにして平均二次粒子径を測定した。
インク組成物の平均二次粒子径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により測定される体積平均粒子径である。
上記で得られた平均一次粒子径と平均二次粒子径とを用いて平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比(粒子径比)を算出した。
記録媒体としてA4サイズのOKトップコート(坪量104.7g/m2、王子製紙(株)製)を用いて、上記処理液とインク組成物とを組合せて用いて、下記画像記録条件で画像を描画記録した。
記録媒体へのインク組成物付与による描画の直前に前記処理液を、塗布バーを用いて1.7g/m2になる様に媒体表面に塗設した。
−−処理液用乾燥条件(送風乾燥)−−
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
処理液が付与された記録媒体上に下記条件で、インク組成物を付与して、ベタ画像を形成した。
ヘッド :1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置した。
吐出液滴量:2.4pLの記録とした。
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
−−インク用乾燥条件(送風乾燥)−−
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
画像部に、印画していないOKトップコート(坪量104.7g/m2、王子製紙(株)製)を重ねて、荷重150kg/m2をかけて、20mmのストロークで10往復擦った。その画像部の傷のつき方を目視で4段階評価した。
〜評価基準〜
○: 画像表面に擦れた痕がほとんど見られなかった。
△: 画像表面が少し削られた痕が見えた。実用上の使用限界。
×: 画像が削られ、インクの色が一部取れて紙帳面が見える深い傷が付いていた。
前記評価用プリンタを用いて、23℃、20%RHの環境下で、2000枚の画像を連続してプリントし、10枚目と2000枚目に出力した画像を目視観察で比較を行い、下記の基準により吐出安定性の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
〜評価基準〜
○:10枚目と2000枚目のいずれの画像にも、印画曲がりやスジ(不吐出による印画抜け)の発生はみられなかった。
△:2000枚目の画像に印画曲がりの発生が10箇所未満認められた。
×:2000枚目の画像に印画曲がりとスジの発生が10箇所以上認められた。
形成された画像の色調を以下のようにして評価した。
濃度1.5と濃度2.0の黒色ベタ画像を印画して、目視評価で比較した。その結果、実施例1〜6、比較例1〜4について、目視評価で有意な差は見られなかった。
尚、実施例1において、顔料をカーボンブラック単独15部としたこと以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調製し、上記と同様にして色調を評価した。
すなわち、形成された画像の色調を上記と同様に、濃度1.5と濃度2.0の黒色ベタ画像を印画して目視評価で比較したところ、顕著な差が認められた。
〜顔料分散物の調製〜
以下の組成となるように各成分を混合し、0.1mmφジルコニアビーズを用いてビーズミルで2時間分散した。続いて、得られた分散体を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、カーボンブラック濃度が10.0質量%となるように樹脂被覆カーボンブラック粒子および樹脂被覆着色顔料の分散体を調製した
・カーボンブラック顔料 ・・・5.4部
(一次粒子径20nm)
・フタロシアニン顔料 ・・・3.6部
(C.I.PigmentBlue15:3、一次粒子径40nm)
・キナクリドン顔料 ・・・6.0部
(C.I.PigmentRed122、一次粒子径35nm)
・樹脂分散剤P−1 ・・・6.8部
・メチルエチルケトン ・・・18.0部
・1mol/L NaOH水溶液 ・・・5.6部
・イオン交換水 ・・・54.6部
顔料の選択やソルトミリングの時間を変更することで、平均一次粒子径の異なる顔料分散物を作製した。
また、分散時間、強度を変更することで平均二次粒子径についても制御して、表2に示すような実施例8〜10、比較例6、7のインク組成物を作製した。
上記で得られたインク組成物を用いたこと以外は、上記と同様にして、評価を行なった。評価結果を表2に示した。
Claims (11)
- カーボンブラック顔料と、フタロシアニン顔料及びキナクリドン顔料から選ばれる着色顔料の少なくとも1種と、水系媒体とを含み、
平均一次粒子径が50nm以下であり、
平均一次粒子径に対する平均二次粒子径の比(平均二次粒子径/平均一次粒子径)が2.0〜3.0である、黒色系インクジェット記録用インク組成物。 - 樹脂粒子をさらに含む、請求項1に記載の黒色系インクジェット記録用インク組成物。
- 平均一次粒子径が35nm以下である、請求項1または請求項2に記載の黒色系インクジェット記録用インク組成物。
- 前記カーボンブラック顔料に対する前記着色顔料の含有比率(着色顔料/カーボンブラック顔料)が、50質量%以上200質量%以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の黒色系インクジェット記録用インク組成物。
- 前記フタロシアニン顔料に対する前記キナクリドン顔料の含有比率(キナクリドン顔料/フタロシアニン顔料)が、100質量%以上180質量%以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の黒色系インクジェット記録用インク組成物。
- 前記樹脂粒子は、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位とアニオン性の親水性構成単位とを含む、請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の黒色系インクジェット記録用インク組成物。
- 前記樹脂粒子のガラス転移温度が100℃以上200℃以下である、請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の黒色系インクジェット記録用インク組成物。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の黒色系インクジェット記録用インク組成物を、インクジェット法で記録媒体上に付与するインク付与工程を有するインクジェット画像形成方法。
- 前記記録媒体は、原紙と無機顔料を含むコート層とを有するコート紙である、請求項8に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記黒色系インクジェット記録用インク組成物と接触することによって、前記黒色系インクジェット記録用インク組成物の成分を凝集可能な処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程をさらに有する、請求項8または請求項9に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記黒色系インクジェット記録用インク組成物が付与された記録媒体を、加熱加圧処理する加熱定着工程をさらに有する、請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
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