JP5376935B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット法により記録媒体にインクを付与して画像を記録するインクジェット記録方法に関する。
カラー画像を記録する画像記録方法としては、近年、様々な方法が提案されているが、いずれにおいても画像の品質、風合い、記録後のカールなど、記録物の品位に対する要求は高い。
例えば、インクジェット技術は、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野に適用されてきたが、近年では商業印刷分野での応用がなされつつある。この商業印刷分野では、完全にインク溶剤の原紙への浸透をシャットアウトする、写真のような表面を有するものではなく、汎用の印刷紙のような印刷の風合いが要求されている。ここで、記録媒体における溶媒吸収層が20〜30μmと厚くなると、記録媒体の表面光沢、質感、こわさ(コシ)等が制限されてしまう。そのため、商業印刷分野でのインクジェット技術の適用は、記録媒体に対する表面光沢、質感、こわさ(コシ)等の制限が許容されるポスター、帳票印刷等に留まっている。
また、インクジェット記録専用の記録媒体は、溶媒吸収層、耐水層を有することによりコスト高となっており、この点も、商業印刷分野へのインクジェット技術適用の制限の一因となっている。
一方、高画質な画像を形成するインクジェット記録方法として、通常のインクジェット用インクとは別に、画像を良好にするための液体組成物を用意し、この液体組成物をインクジェット用インクの吐出に先立って記録媒体上に付着させて画像を記録する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、液体組成物中の成分によりインク中の成分を紙の表面で凝集させ、画像にクスミや滲みが発生する前に定着する。
また、インク溶媒の記録媒体への浸透を早める観点から、インク溶媒の記録媒体への浸透を早めるために浸透液を用い、この浸透液に界面活性剤を含有する技術や、画像部の光沢などの性能を向上するために画像部を定着する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−59933号公報 特開2008−200855号公報
しかしながら、上記した従来の記録方法や技術では、記録速度をさらに高速化した場合の記録性能までは保つことができないのが現状である。すなわち、例えばインクを吐出して描画した後に加熱圧着して定着する等、描画後に部材が触れる記録系では、描画してから定着までの時間が短いと画像部のタック性が高いために、画像部がオフセットしてしまうことがある。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、画像部の定着時におけるオフセットを防止し、画像品質を保持しつつ記録速度を高速化することができるインクジェット記録方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 記録媒体に顔料を含むインクを付与して画像を記録する画像記録工程と、画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上であるときに、圧着付与手段を前記画像部に圧接して画像部を固定化する固定化工程と、を有するインクジェット記録方法である。
<2> 前記<1>に記載のインクジェット記録方法は、前記記録終了から7秒以内に、前記画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上となることが好ましい。
<3> 前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録方法は、前記インクが更に樹脂粒子を含むことが好ましい。
<4> 更に、前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法は、画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上にするために、前記固定化工程前に前記画像部の温度を40℃以上に温調する工程を有することが好ましい。
<5> 前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法は、画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上にするために、前記顔料を含むインクの固形分濃度が8質量%以上であることが好ましい。
<6> 前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法において、前記記録媒体は、コート層を有する紙種より選ばれることが好ましい。
<7> 更に、前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法は、前記記録媒体に前記インク中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を付与する処理液付与工程を設けて好適に構成される。
<8> 前記<7>に記載のインクジェット記録方法においては、前記処理液付与工程により記録媒体に処理液を付与後、前記画像記録工程によりインクを付与して画像を記録し、記録された画像部を前記固定化工程により固定化することが好ましい。
<9> 前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法において、前記固定化工程は、前記圧接とともに加熱を行なうことが好ましい。
本発明によれば、画像部の定着時におけるオフセットを防止し、画像品質を保持しつつ記録速度を高速化することができるインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明のインクジェット記録方法について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、(i)記録媒体に顔料を含むインクを付与して画像を記録する画像記録工程と、(ii)画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上であるときに、圧着付与手段を前記画像部に圧接して画像部を固定化する固定化工程と、を設けて構成されたものであり、好ましくは、更に、(iii)記録媒体に前記インク中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を付与する処理液付与工程を設けて構成される。また、本発明のインクジェット記録方法は、必要に応じて、塗工紙に付与されたインク中の有機溶剤を乾燥除去するインク乾燥工程などの他の工程を更に設けて構成されてもよい。
本発明においては、画像記録の際に、インクを記録媒体に打滴して得られる画像部のタック性が時間経過で大きく変化する点を考慮し、画像部のタック性として特定の範囲を選択して画像部の固定化を開始することで、画像部のオフセットが防止されるので、画像定着が迅速に行なえ、ひいては記録速度の高速化が図れる。これにより、表面粗れなど紙表面が変化して最終的な画像面の風合いを損なうことなく、細線や微細な画像部分等を精細にかつ均質に描画でき、ベタ記録など広範囲にインクを付与した際には、ムラの発生を抑えて濃度均一性の高い画像が得られると共に、画像の光沢性等の風合い、耐擦過性(例えば紙との密着性)も向上する。また、高濃度の画像記録が可能で、画像の色再現性も良好になる。
特に、記録媒体としてアート紙又はコート紙に代表される、コート層を有する塗工紙を用いる場合、インクとインク中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液とを用いて描画する場合に効果的である。
画像部のタック性は、目的とする耐オフセット性を達成するために、画像部を固定化する前にボールタック試験法にて20mm以上とする。更には、耐オフセット性を良好にし、優れた画像品質を保ちながら記録速度をより高速化する観点から、画像部のタック性を記録(描画)終了時点から7秒以内にボールタック試験法にて20mm以上であることが好ましい。中でも、このタック性は、画像部を固定化する前にボールタック試験法にて30mm以上の範囲であることが好ましく、より好ましくは40mm以上の範囲であり、特に好ましくは50mm以上の範囲である。また、画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上になるために要する時間は、描画終了時点から7秒以内が好ましく、より好ましくは5秒以内、さらに好ましくは3秒以内、特に好ましくは1秒以内である。
ここで、記録終了時点とは、記録媒体上にインク滴が最後に着滴したときをいう。
ここで、画像部のタック性は、図1に示すボールタック試験法にて測定されるものである。この試験法は、傾斜30度の斜面を画像部の一端に設置し、斜面距離10mm(高さは5mm)の地点から、斜面に沿って、直径2mmのSUS製の球(質量:0.326〜0.328g、球表面:鏡面)を23℃、50%RH環境下で転がし、SUS製の球が画像部上を転がった距離を計測し、この距離の最大長を画像部のタック性を示す指標とする。タック性が高いとは、転がり距離が短いことを意味し、タック性が低いとは、転がり距離が長いことを意味する。
画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上にするための方法としては、例えば、(a)画像部から記録媒体への溶剤及び水の浸透や、処理液の記録媒体への浸透を速くする、(b)インク(画像部)中の固形分濃度を高くする、(c)画像部(処理液、インクを含む)の乾燥を速くする、(d)画像部のタック性が低くなる樹脂粒子、顔料分散剤、水溶性有機溶剤等を選択する、等の方法が挙げられる。これらの詳細については後述する。
本発明のインクジェット記録方法においては、処理液付与工程と画像記録工程とのいずれを先行して行なってもよい。細線や微細な画像部分等をより精細にかつ均質に描画し、あるいはベタ記録など広範囲にインクを付与した際のムラ発生を極力低減して濃度均一性をより高めることにより画像品質、耐オフセット性及び耐擦性をより向上させる観点からは、前記(iii)処理液付与工程により記録媒体に処理液を付与(好ましくは、紙上に処理液を(好ましくは紙全面に)塗布)した後に、前記(i)画像記録工程を設け、画像記録工程でインクを付与して描画し、次いで描画された画像部を前記(ii)固定化工程で固定化する態様が好ましい。
(記録媒体)
本発明のインクジェット記録方法では、従来から公知の記録媒体を任意に選択して使用できるが、本発明の効果がより奏される点で、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる塗工紙を用いることが好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。
これらの一般印刷用紙は、従来の通常の水性インクジェットによる画像形成においては、耐擦性や定着時のオフセットによる濃度バラツキ・画像粗れなど、画像品質上の問題を生じやすいが、本発明のインクジェット記録方法では、耐オフセット性に優れており、濃度ムラの発生が防止され、細線や微細な画像部分が精細かつ均質で耐擦過性の良好な画像を記録することができる。
塗工紙は、一般に上市されているものを入手して使用できる。例えば、一般印刷用塗工紙を用いることができ、具体的には、王子製紙製の「OKトップコート+」、日本製紙社製の「オーローラコート」、「ユーライト」等のコート紙(A2、B2)、及び三菱製紙社製の「特菱アート」等のアート紙(A1)などを挙げることができる。
以下、本発明のインクジェット記録方法を構成する各工程について詳述する。
−処理液付与工程−
本発明における処理液付与工程では、後述のインク中の成分を凝集させる(「固定化させる」ともいう)凝集剤を含む処理液を記録媒体に付与する。インクジェット記録方法を、前記処理液の存在下でインクを用いて画像記録する構成とすることにより、記録後のカールとカックル、及びインクハジキの発生に対する抑制効果も得られ、耐オフセット性、耐擦過性が良好な画像の記録に好適である。
(処理液)
本発明における処理液は、凝集剤の少なくとも1種を含有する。凝集剤は、後述のインクと接触したときに凝集物を生じさせるものであり、凝集させ得るものから特に制限なく選択することができる。
凝集剤としては、インクのpHを変化させることができる化合物であっても、多価金属塩であっても、カチオン性化合物であってもよい。本発明においては、インクの凝集性の観点から、インクのpHを変化させることができる化合物が好ましく、インクのpHを低下させ得る化合物がより好ましい。
インクのpHを低下させ得る化合物としては、酸性物質を挙げることができる。
酸性物質としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。
酸性物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明における処理液が酸性物質を含む場合、処理液のpHは、0.1〜6.0であることが好ましく、0.5〜5.0であることがより好ましく、0.8〜4.0であることがさらに好ましい。
前記多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩を挙げることができる。これら金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
中でも、水溶性の高い酸性物質が好ましい。また、インクと反応してインク全体を固定化させる観点から、3価以下の酸性物質が好ましく、2価以上3価以下の酸性物質が特に好ましい。
前記カチオン性化合物としては、カチオン性界面活性剤が好適に挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、1級、2級、又は3級アミン塩型の化合物が好ましい。このアミン塩型の化合物の例として、塩酸塩もしくは酢酸塩等の化合物(例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミンなど)、第4級アンモニウム塩型化合物(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクローライド、セチルトリメチルアンモニウムクローライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクローライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクローライド、塩化ベンザルコニウムなど)、ピリジニウム塩型化合物(例えば、セチルピリジニウムクローライド、セチルピリジニウムブロマイドなど)、イミダゾリン型カチオン性化合物(例えば、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリンなど)、高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物(例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミンなど)を挙げることができる。また、ポリアリルアミン類を用いても良い。これらのほか、所望のpH領域でカチオン性を示す両性界面活性剤も使用可能であり、例えば、アミノ酸型の両性界面活性剤、R−NH−CHCH−COOH型の化合物、カルボン酸塩型両性界面活性剤(例えば、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなど)、硫酸エステル型、スルホン酸型、又は燐酸エステル型等の両性界面活性剤、等が挙げられる。
凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
インクを凝集させる凝集剤の処理液中における含有量としては、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜45質量%であり、更に好ましくは5〜40質量%の範囲である。
前記酸性物質及びカチオン性化合物は、それぞれ1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記多価金属化合物とともに、酸性物質及びカチオン性化合物の少なくとも1種を併用するとき、酸性物質及びカチオン性化合物の処理液中における含有量(酸性物質及びカチオン性化合物の全含有量)は、前記多価金属化合物の全含有量に対して、5質量%〜95質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましい。
本発明における処理液は、前記凝集剤に加えて、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、更にその他の各種添加剤を用いて構成することができる。水溶性有機溶剤、その他の各種添加剤の詳細については、後述のインクにおけるものと同様である。
処理液の塗工紙上への付与は、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができ、スプレー塗布、塗布ローラ等の塗布、インクジェット方式による付与、浸漬などの任意の方法を選択することができる。
具体的には、例えば、ホリゾンタルサイズプレス法、ロールコーター法、カレンダーサイズプレス法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるナイフコーター法;ゲートロールコーター法などのトランスファーロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、リバースロールコーター法、スクイズロールコーター法などに代表されるロールコーター法;ビルブレードコーター法、ショートデュエルコーター法;ツーストリームコーター法などに代表されるブレードコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;キャストコーター法;グラビアコーター法;カーテンコーター法;ダイコーター法;ブラシコーター法;転写法などが挙げられる。
また、特開平10−230201号公報に記載の塗布装置のように、液量制限部材を備えた塗布装置を用いることで塗布量を制御して塗布する方法であってもよい。
処理液を付与する領域は、記録媒体(塗工紙)全体に付与する全面付与であっても、後の画像記録工程でインクジェット記録が行なわれる領域に部分的に付与する部分付与であってもよい。本発明においては、処理液の付与量を均一に調整し、細線や微細な画像部分等を均質に記録し、画像ムラ等の濃度ムラを抑える観点から、塗布ローラ等を用いた塗布によって塗工紙全体に付与する全面付与が好ましい。
凝集剤の付与量を前記範囲に制御して塗布する方法としては、例えば、アニロックスローラを用いた方法が挙げられる。アニロックスローラとは、セラミックが溶射されたローラ表面をレーザーで加工しピラミッド型や斜線、亀甲型などの形状を付したローラである。このローラ表面に付けられた凹みの部分に処理液が入り込み、紙面と接触すると転写されて、アニロックスローラの凹みで制御された塗布量にて塗布される。
処理液の表面張力(25℃)は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、25mN以上50mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上45mN/m以下である。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
本発明において、処理液の粘度は、VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
−第1の処理工程−
本発明においては、上記のようにして記録媒体(好ましくは塗工紙)に処理液を付与した後、乾燥処理及び浸透処理の少なくとも一方の処理を行なう(第1の処理工程)ことが好ましい。この第1の処理工程を設けることにより、(好ましくは、描画終了から7秒以内に)画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上に調節することができる。処理工程は、乾燥処理又は浸透処理のいずれか一方のみでもよく、乾燥処理及び浸透処理の両方を行なうものであってもよい。
前記乾燥処理としては、処理液の付与後に、処理液中に含まれる溶媒を乾燥除去する処理が挙げられる。処理液を塗工紙に付与した後に処理液中の溶媒を乾燥除去することで、カールやカックル、ハジキの発生をより効果的に抑制し、記録画像の耐オフセット性、耐擦過性をより向上させることができ、画像の記録をより良好に行なえる。
乾燥処理は、処理液に含まれる溶媒(例えば、水、水溶性有機溶剤)の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限はない。乾燥除去は、例えば、加熱、送風(乾燥風をあてる等)などによって乾燥させる方法により行なうことができる。
また、乾燥処理は、処理液の付与終了後に、記録媒体の搬送速度を変えることによっても行なうことができる。該搬送速度は、処理液に含まれる溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒)の少なくとも一部を除去することができる範囲であれば、特に制限はなく、好ましくは100〜3000mm/sであり、より好ましくは150〜2700mm/sであり、さらに好ましくは250〜2500mm/sである。
前記浸透処理としては、処理液が付与された塗工紙を所定の時間放置し、毛細管現象等による自然浸透により塗工紙に処理液を浸透させる方法、塗工紙の表面のうち、処理液を付与した面とは反対の面から処理液を減圧吸引する方法、塗工紙の表面と反対の面に蒸気圧差をつける方法等が挙げられる。
処理液が付与された塗工紙を放置する時間は、処理液の付与量や塗工紙の処理液付与面の面積にもよるが、通常、処理液付与面の面積1mに対し、処理液を付与した時点から0.01秒〜2秒である。
−画像記録工程−
画像記録工程は、顔料を少なくとも含むインクをインクジェット法により記録媒体上に付与し、画像を記録する。インクは、顔料に加え、樹脂粒子、水溶性有機溶剤、及び水を含む組成を有するものが好ましい。インクの詳細については後述する。
インクジェット法による画像記録は、エネルギーを供与することにより、処理液が付与された記録媒体(好ましくは塗工紙)に処理液と接触するようにインクを吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット法には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行なう際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
また、画像記録工程は、記録媒体の搬送速度を変えることにより行なうことができる。該搬送速度は、画像品質を損なわない範囲であれば特に制限はなく、好ましくは、100〜3000mm/sであり、より好ましくは150〜2700mm/sであり、さらに好ましくは250〜2500mm/sである。
−第2の処理工程−
本発明においては、(好ましくは、描画終了から7秒以内に)画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上に調節するために、画像部を温調、乾燥する等の処理を行なう第2の処理工程を設けることが好ましい。
画像部の乾燥処理は、画像記録工程でのインクの付与が終了した後に、記録媒体の搬送速度を変えることにより行なうことができる。該搬送速度は、画像部に含まれる溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒)の少なくとも一部を除去することができる範囲であれば、特に制限はなく、好ましくは100〜3000mm/sであり、より好ましくは150〜2700mm/sであり、さらに好ましくは250〜2500mm/sである。
また、画像部の乾燥処理は、画像部の温度を変えて温調する処理によっても行なうことができる。画像部の温度は、画像部に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去できる範囲であれば、特に制限はなく、好ましくは、画像部の表面温度が20℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは40℃以上である。上限値は、200℃が望ましい。
中でも、画像部の温調は、画像部の表面温度として、30℃以上180℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは35℃以上150℃以下の範囲であり、更に好ましくは40℃以上120℃以下の範囲である。
乾燥処理は、既述の第1の処理工程と同様に構成することができ、インク中の水や溶剤の少なくとも一部を乾燥除去できる方法であれば、特に制限はない。具体的には、画像部に対して加熱や送風(乾燥風の供給)などの一般に用いられる方法を適用して行なえる。
この乾燥処理は、カールやカックルの発生抑制と画像の耐オフセット性、耐擦過性の観点から、画像記録工程の後に設けることがより好ましい。
−固定化工程−
固定化工程は、前記画像記録工程で記録された画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上であるときに、圧着部材を画像部に圧接して画像部を固定化する。
画像の固定化は、画像部をなす記録媒体上のインクに圧着部材を圧接することにより行なえる。本発明においては、既述のように、固定化工程前にあらかじめ画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上とするので、圧着部材が接触した際に画像(インク)が圧着部材に転写して画像を損なうオフセット現象が防止され、画像品質を保ちつつ、画像定着を迅速に行なうことができる。これにより、画像の光沢性等の風合い、耐擦過性(例えば紙との密着性)が良好で画像品質に優れた画像が高速に記録される。
画像部の固定化は、画像記録工程の後に、例えば、少なくとも画像に圧力を付与する圧力付与手段を用い、この圧着付与手段を画像部に圧接して画像部を加圧することにより固定化(定着処理)する加圧工程を設けて行なってもよい。また、圧力付与手段に画像部を加熱する加熱手段を組み合わせ、画像部を加熱圧着することにより固定化(定着処理)する加熱圧着工程を設けてもよい。圧力付与手段としては、例えば、互いに圧接するロール対や加圧板などが挙げられ、加熱手段としては、例えば、加熱ロールや熱板などが挙げられる。
具体的には、例えば、画像記録工程の後に、記録媒体の表面を加熱された加熱ロールや熱板などで圧着する処理を行なうことができる。この場合、インク中に含まれる樹脂粒子を溶融させることができる。このとき、加熱温度は、インク中の樹脂粒子のTgより高いことが好ましい。
(インク)
次に、本発明におけるインクについて詳細に説明する。
本発明におけるインク(以下、単に「インク」ともいう。)は、顔料の少なくとも1種を含有し、好ましくは、顔料の少なくとも1種と、樹脂粒子の少なくとも1種と、水溶性有機溶剤の少なくとも1種とを含有する。また、インクは、必要に応じて、更に界面活性剤等のその他の成分を用いて構成することができる。
インクは、単色画像の形成のみならず、多色画像(例えばフルカラー画像)の形成に用いられ、所望の1色又は2色以上を選択して画像記録することができる。フルカラー画像を形成する場合は、インクとしてマゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができる。また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色調以外のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、白色(W)の色調のインクや、いわゆる印刷分野における特色のインク等を用いることができる。
上記の各色調のインクは、着色剤(例えば顔料)の色相を所望により変更することにより調製できる。
インク中の固形分濃度としては、特に制限はないが、各性能をバランスよく満たしながら、耐オフセット性、耐擦過性などの要求性能を達成する点、特に画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上にする点で、5質量%以上が好ましく、より好ましくは8質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、特に好ましくは12質量%以上である。上限値は、35質量%が望ましい。
中でも、インク中の固形分濃度は、5〜35質量%が好ましく、より好ましくは8〜30質量%であり、さらに好ましくは10〜25質量%であり、特に好ましくは12〜23質量%である。
<顔料>
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。例えば、前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。また、前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。これら顔料の中では、水分散性顔料が好ましい。
水分散性顔料の具体例として、下記(1)〜(4)の顔料を挙げることができる。
(1)カプセル化顔料、即ち、ポリマー微粒子に顔料を含有させてなるポリマー分散物であり、より詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し、顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散可能にしたもの
(2)自己分散顔料、即ち、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、より詳しくは、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたもの
(3)樹脂分散顔料、即ち、重量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料
(4)界面活性剤分散顔料、即ち、界面活性剤により分散された顔料
これらのうち、好ましくは(1)カプセル化顔料、(2)自己分散顔料であり、特に好ましくは(1)カプセル化顔料である。
ここで、(1)カプセル化顔料について詳述する。
カプセル化顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水と水溶性有機溶剤の混合溶媒中で自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常は数平均分子量が1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は、有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量は、この範囲内であると顔料における被覆膜として又はインクとした際の塗膜としての機能を発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で用いられるのが好ましい。
カプセル化顔料の樹脂の具体例としては、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂;塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する材料などが挙げられる。
これら樹脂のうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、「アニオン性基含有アクリルモノマー」という。)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。
カルボキシキル基を有するアクリルモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
カプセル化顔料は、上記の成分を用いて、従来の物理的、化学的方法により製造することができる。例えば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、又は特開平11−43636号の各公報に記載の方法により製造することができる。
具体的には、特開平9−151342号及び特開平10−140065号の各公報に記載の転相乳化法と酸析法等が挙げられ、中でも、分散安定性の点で転相乳化法が好ましい。転相乳化法については、後述する。
また、前記自己分散顔料も好ましい例の1つである。自己分散顔料とは、多数の親水性官能基及び/又はその塩(以下、「分散性付与基」という。)を、顔料表面に直接又はアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させたもので、顔料分散用の分散剤を用いずに水性媒体中に分散可能な顔料である。ここで、「分散剤を用いずに水性媒体中に分散」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても水性媒体中に分散可能なことをいう。
自己分散顔料を着色剤として含有するインクは、通常、顔料を分散させるために含有させる分散剤を含む必要がないため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんどなく、吐出安定性に優れるインクを調製しやすい。
自己分散顔料の表面に結合される分散性付与基には、−COOH、−CO、−OH、−SOH、−PO及び第4級アンモニウム並びにそれらの塩が例示でき、これらは顔料に物理的処理又は化学的処理を施すことで、分散性付与基又は分散性付与基を有する活性種を顔料表面に結合(グラフト)させることにより結合される。前記物理的処理としては、例えば、真空プラズマ処理等が例示できる。また、前記化学的処理としては、例えば、水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法、等が例示できる。
本発明においては、例えば、次亜ハロゲン酸及び/又は次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、あるいはオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散顔料を好ましい例として挙げることができる。自己分散顔料として市販品を使用してもよく、具体的には、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(商品名;キャボット社製)等が挙げられる。
ここで、転相乳化法について説明する。
転相乳化法は、基本的には、自己分散能又は溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。また、この混合溶融物には、上記の硬化剤又は高分子化合物を含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相乳化法」のより具体的な製造方法は、特開平10−140065号に記載の方法が挙げられる。
上記した転相乳化法及び酸析法のより具体的な方法については、特開平9−151342号、特開平10−140065号の各公報に記載を参照することができる。
なお、上記の顔料は、1種単独で使用してもよく、また、上記した各群内もしくは各群間より複数種を選択して組み合わせて使用してもよい。
顔料のインク中における含有量としては、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、インクの全質量に対して、1〜25質量%となる量が好ましく、5〜20質量%となる量がより好ましい。
<分散剤>
前記水分散性顔料を用いる場合、カプセル化顔料あるいは樹脂分散顔料では分散剤の少なくとも1種を用いることができる。分散剤としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等が使用できる。
例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの共重合体等が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、酢酸ビニル、酢酸アリル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クロトン酸エステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、芳香族基を置換してもよいアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、芳香族基を置換してもよいメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、ビニルアルコール、並びに上記化合物の誘導体等が挙げられる。
前記α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独もしくは複数を共重合して得られる共重合体を高分子分散剤として用いることができる。具体例として、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
分散剤は、重量平均分子量で2,000〜60,000のものが好ましい。
また、分散剤の顔料に対する添加量としては、質量基準で顔料の10%以上100%以下の範囲が好ましく、顔料の20%以上70%以下がより好ましく、更に好ましくは顔料の40%以上50%以下である。
<水溶性有機溶剤>
本発明におけるインクは、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含有することができる。水溶性有機溶剤は、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
水溶性有機溶剤の例としては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルカンジオール(多価アルコール類);グルコース、マンノース、フルクトース等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
乾燥防止や湿潤の目的としては、多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
浸透促進の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールが好適である。脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げることができる。
また、水溶性有機溶剤としては、記録媒体のカールの発生抑制の点から、下記構造式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
Figure 0005376935
構造式(1)において、l、m、及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、l+m+n=3〜15を満たし、l+m+nは3〜12の範囲が好ましく、3〜10の範囲がより好ましい。l+m+nの値は、3以上であると良好なカール抑制力を示し、15以下であると良好な吐出性が得られる。構造式(1)中、AOは、エチレンオキシ(EO)及び/又はプロピレンオキシ(PO)を表し、中でもプロピレンオキシ基が好ましい。前記(AO)、(AO)、及び(AO)における各AOはそれぞれ同一でも異なってもよい。
以下、前記構造式(1)で表される化合物の例をSP値(カッコ内)と共に示す。但し、本発明はこれに限定されるものではない。なお、SP値(溶解度パラメーター)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors, Polymer Engineering Science, 14, p.147 (1967)に記載の方法で算出されるものをいう。
Figure 0005376935
・nCO(AO)−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・nCO(AO)10−H AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・HO(A'O)40−H(A'O=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3)
・HO(A''O)55−H(A''O=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6)
・HO(PO)−H
・HO(PO)−H
・1,2−ヘキサンジオール
本発明において、EO及びPOは、それぞれエチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基を表す。
前記構造式(1)で表される化合物の全水溶性有機溶剤中に占める含有割合は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、更に50質量%以上が好ましい。前記範囲とすることにより、インクの安定性や吐出性を悪化させずにカールを抑制することができ好ましい。
水溶性有機溶剤は、1種単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
水溶性有機溶剤のインク中における含有量としては、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
<水>
本発明におけるインクは、水を含有することができるが、水の量には特に制限はない。中でも、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
<樹脂粒子>
本発明におけるインクは、樹脂粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。樹脂粒子を含有することにより、主にインクの記録媒体への定着性、画像の耐オフセット性、耐擦過性をより向上させることができる。樹脂粒子は、既述の処理液、又はこれを付与して乾燥させる等して既述の凝集剤を与えた紙と接触した際に凝集又は分散不安定化してインクを増粘させることにより、インク、すなわち画像を固定化させる機能を有する。
樹脂粒子としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。(メタ)アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂など、種々の樹脂微粒子を用いることができる。特に、(メタ)アクリル系樹脂粒子が好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有する(メタ)アクリルモノマー(アニオン性基含有(メタ)アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有(メタ)アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
このような樹脂粒子としては、水及び有機溶剤に分散されているラテックスを好適に用いることができる。ラテックスとしては、例えば、(メタ)アクリル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、スチレン系ラテックス、ポリエステル系ラテックス等、種々のラテックスを好適に用いることができる。特に、(メタ)アクリル系ラテックスが好ましい。
本発明における樹脂粒子としては、吐出安定性及び顔料の分散安定性の観点から、自己分散性ポリマーの粒子が好ましく、カルボキシル基を有する自己分散性ポリマーの粒子がより好ましい。
中でも、自己分散性ポリマーとしては、親水性の構成単位と疎水性の構成単位とを含み、疎水性の構成単位として脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造の少なくとも1種を含むポリマーが好ましい。脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造を有することで、形成される画像の定着性、ブロッキング耐性が良好なインクを得ることができる。また、インクジェット記録に適用する場合には、良好な吐出性が得られる。
本発明において自己分散ポリマーとは、界面活性剤の不存在下、転相乳化法により分散状態としたとき、ポリマー自身の官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマーをいう。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明における自己分散ポリマーにおいては、インクに含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散ポリマーであることが好ましい。
自己分散ポリマーの乳化又は分散状態、すなわち自己分散ポリマーの水性分散物の調製方法としては、転相乳化法が挙げられる。転相乳化法としては、例えば、自己分散ポリマーを溶媒(例えば、水溶性有機溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、自己分散ポリマーが有する塩生成基(例えば、酸性基)を中和した状態で、攪拌、混合し、前記溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
また、自己分散ポリマーにおける安定な乳化又は分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶剤を除去した後でも、乳化又は分散状態が、25℃で、少なくとも1週間安定に存在し、沈殿の発生が目視で確認できない状態であることをいう。
また、自己分散ポリマーにおける乳化又は分散状態の安定性は、遠心分離による沈降の加速試験によっても確認することができる。遠心分離による、沈降の加速試験による安定性は、例えば、上記の方法により得られたポリマー粒子の水性分散物を、固形分濃度25質量%に調整した後、12000rpmで一時間遠心分離し、遠心分離後の上澄みの固形分濃度を測定することによって評価できる。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離によるポリマー粒子の沈降が生じない、すなわち、ポリマー粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
本発明における自己分散ポリマーは、分散状態としたときに水溶性を示す水溶性成分の含有量が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性成分が10質量%以下とすることで、ポリマー粒子の膨潤やポリマー粒子同士の融着を効果的に抑制し、より安定な分散状態を維持することができる。また、インクの粘度上昇を抑制でき、例えば、インクをインクジェット法に適用する場合に、吐出安定性がより良好になる。
ここで水溶性成分とは、自己分散ポリマーに含有される化合物であって、自己分散ポリマーを分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散ポリマーを製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
(疎水性の構成単位)
本発明において自己分散ポリマー粒子は、疎水性の構成単位として、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造の少なくとも1種を含むことが好ましい。自己分散ポリマー粒子を構成するポリマーの主鎖骨格については、特に制限はないが、ポリマー粒子の分散安定性の観点から、ビニルポリマーであることが好ましい。
−脂環式(メタ)アクリレート−
脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換または置換された脂環式炭化水素基を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
また、「脂環式(メタ)アクリレート」とは、脂環式炭化水素基を有する、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。
脂環式炭化水素基としては、環状の非芳香族炭化水素基を含むものであれば特に限定はなく、単環式炭化水素基、2環式炭化水素基、3環式以上の多環式炭化水素基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、およびビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
前記脂環式炭化水素基は、更に置換基を有してもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アルキルまたはアリールカルボニル基、およびシアノ基等が挙げられる。
また、脂環式炭化水素基は、さらに縮合環を形成していてもよい。
本発明における脂環式炭化水素基としては、粘度や溶解性の観点から、脂環式炭化水素基部分の炭素数が5〜20であることが好ましい。
脂環式炭化水素基とアルコールに由来する構造部位とを結合する連結基としては、炭素数1から20までの、アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アラルキル基、アルコキシ基、モノまたはオリゴエチレングルコール基、モノまたはオリゴプロピレングリコール基などが好適なものとして挙げられる。
脂環式(メタ)アクリレートの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
単環式(メタ)アクリレートとして、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。2環式(メタ)アクリレートとして、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。3環式(メタ)アクリレートとして、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらのうち、自己分散ポリマー粒子の分散安定性と、定着性、ブロッキング耐性の観点から、2環式(メタ)アクリレート、または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートを少なくとも1種であることが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、およびジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明において、自己分散ポリマー粒子に含まれる脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率としては、自己分散状態の安定性、脂環式炭化水素基同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。特に好ましいのは50質量%以上80質量%以下である。
脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を20質量%以上とすることで、定着性、ブロッキングを改良することができる。一方、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位が90質量%以下であることでポリマー粒子の安定性が向上する。
本発明において自己分散ポリマーは、疎水性構成単位として前記脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位に加え、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んで構成することができる。前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記脂環式(メタ)アクリレートおよび後述の親水性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はなく、公知のモノマーを用いることができる。
前記その他の構成単位を形成するモノマー(以下、「その他共重合可能なモノマー」ということがある。)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点および自己分散ポリマーの分散安定性の観点から、炭素数が1〜8の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートの少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは炭素数が1〜4の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはメチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレートである。ここで、鎖状アルキル基とは、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基のことをいう。
また、本発明においては、芳香族基を含有する(メタ)アクリレートも好ましく用いることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして芳香族含有(メタ)アクリレートを含む場合、自己分散ポリマー粒子の分散安定性の観点から、芳香族含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位は40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが特に好ましい。
また、その他共重合可能なモノマーとしてスチレン系モノマーを用いる場合、自己分散ポリマー粒子とした際の安定性の観点から、スチレン系モノマーに由来する構成単位は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、スチレン系モノマーに由来する構成単位を含まない態様が特に好ましい。
ここで、スチレン系モノマーとは、スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン、クロロスチレンなど)、および、ポリスチレン構造単位を有するスチレンマクロマーのことを指す。
本発明においてその他共重合可能なモノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
自己分散ポリマー粒子が、その他の構成単位を含有する場合、その含有量は10〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜75質量%であって、特に好ましいのは20〜70質量%である。その他の構成単位を形成するモノマーを、2種以上を組み合わせて使用する場合、その総含有量が前記範囲であることが好ましい。
(親水性の構成単位)
本発明における自己分散ポリマーは、親水性の構成単位の少なくとも1種を含む。前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、および形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、少なくとも1種は解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離性基であることがより好ましい。前記アニオン性の解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インクを構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が特に好ましい。
本発明における親水性基含有モノマーは、自己分散性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中でも、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種がより好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、例えば、2−メトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(分子量200〜1000)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(分子量200〜1000)モノメタクリレートなどの(ポリ)エチレンオキシ基またはポリプロピレンオキシ基を含有するエチレン性不飽和モノマーや、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
また、ノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、末端が水酸基のエチレン性不飽和モノマーよりも、末端がアルキルエーテルのエチレン性不飽和モノマーのほうが、粒子の安定性、水溶性成分の含有量の観点で好ましい。
本発明における親水性の構成単位としては、アニオン性の解離性基を有する親水性単位のみを含有する態様、および、アニオン性の解離性基を有する親水性の構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性の構成単位とを両方含有する態様のいずれかであることが好ましい。
また、アニオン性の解離性基を有する親水性単位を2種以上含有する態様や、アニオン性の解離性基を有する親水性の構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性の構成単位を2種以上併用する態様であることもまた好ましい。
前記自己分散ポリマーにおける親水性構成単位の含有率は、粘度と経時安定性の観点から、25質量%以下であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、2〜23質量%であることがさらに好ましく、4〜20質量%であることが特に好ましい。
また、2種以上の親水性の構成単位を有する場合、親水性の構成単位の総含有率が前記範囲内であることが好ましい。
前記自己分散ポリマーにおけるアニオン性の解離性基を有する構成単位の含有量は、酸価が後述する好適な範囲となるような範囲が好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有する構成単位の含有量としては、吐出安定性と経時安定性の観点から、好ましくは0〜25質量%であって、より好ましくは0〜20質量%であって、特に好ましいのは0〜15質量%である。
前記自己分散ポリマーがアニオン性の解離性基を有する場合、その酸価(KOHmg/g)は、自己分散性、水溶性成分の含有量、及びインクを構成した場合の定着性の観点から、20以上200以下であることが好ましく、22以上120以下であることがより好ましく、25以上100以下であることが特に更に好ましい。特に好ましいのは、30以上、80以下である。酸価が20以上であることにより、粒子をより安定に分散することができ、酸価が200以下であることにより水溶性成分を少なくすることができる。
本発明における自己分散ポリマーは、分散安定性の観点から、脂環式(メタ)アクリレート、その他共重合可能なモノマー、および親水性基含有モノマーの少なくとも3種を重合して得られるポリマーであることが好ましく、脂環式(メタ)アクリレート、炭素数が1〜8の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基含有(メタ)アクリレート、および親水性基含有モノマーの少なくとも3種を重合して得られるポリマーであることがより好ましい。
本発明においては、分散安定性の観点から、炭素数が9以上の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、及び、芳香族基含有マクロモノマー等に由来する疎水性が大きい置換基を有する構成単位の含有量は、実質的に含まないことが好ましく、全く含まない態様であることがより好ましい
本発明における自己分散ポリマーは、各構成単位が不規則的に導入されたランダム共重合体であっても、規則的に導入されたブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体である場合の各構成単位は、如何なる導入順序で合成されたものであってもよく、同一の構成成分を2度以上用いてもよいが、ランダム共重合体であることが汎用性、製造性の点で好ましい。
自己分散ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、10000〜20万であることがより好ましく、30000〜15万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
また、本発明における自己分散ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、40〜180℃が好ましく、60〜170℃がより好ましく、70〜150℃が特に好ましい。ガラス転移温度が40℃以上であることで、インクを用いて記録した記録物の引っかき耐性やブロッキング性がより良好になる。また、ガラス転移温度が180℃以下であることで、耐擦性がより良好になる。
本発明の自己分散ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20質量%以上90質量%以下と、解離性基含有モノマーに由来する構造と、炭素数1〜8の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構造の少なくとも1種とを含み、酸価が20〜120であって、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が3000〜20万であるビニルポリマーであることが好ましい。
また、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として30質量%以上90質量%以下(好ましくは30〜80質量%)と、炭素数1〜4の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として10〜80質量%(好ましくは10〜65質量%)と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構造を酸価が25〜100の範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が10000〜20万であるビニルポリマーであることがより好ましい。
さらに、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として40質量%以上80質量%以下(好ましくは40〜75質量%)と、少なくともメチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20〜70質量%(好ましくは20〜55質量%)含み、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する構造を酸価が30〜80の範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が30000〜15万であるビニルポリマーであることが特に好ましい。
以下に、自己分散ポリマーの具体例として、例示化合物B−1〜B−13を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
・B−1:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/72/8)
・B−2:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/50/14/6)
・B−3:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(40/50/10)
・B−4:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/フェノキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/50/14/6)
・B−5:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=2)/メタクリル酸共重合体(30/54/10/6)
・B−6:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=2)/メタクリル酸共重合体(54/35/5/6)
・B−7:メチルメタクリレート/アダマンチルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=23)/メタクリル酸共重合体(30/50/15/5)
・B−8:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/50/22/8)
・B−9:エチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
・B−10:イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(40/50/10)
・B−11:n−ブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/スチレン/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
・B−12:メチルメタクリレート/ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(40/52/8)
・B−13:ラウリルメタクリレート/ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(25/65/10)
本発明における自己分散ポリマーの製造方法としては、特に制限はなく、公知の重合法によりモノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、インクとしたときの打滴安定性の観点から、有機媒体中で重合することがより好ましく、溶液重合法が特に好ましい。
本発明の自己分散ポリマーの製造方法においては、モノマー混合物と、必要に応じて、有機溶剤及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させて前記水不溶性ポリマーを製造することができる。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、凝集速度の観点から、有機溶媒中で合成されたポリマーを含み、該ポリマーはカルボキシル基を有し、(好ましくは酸価が20〜100であって)該ポリマーのカルボキシル基の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物として調製されたものであることが好ましい。すなわち、本発明における自己分散性ポリマー粒子の製造は、有機溶媒中でポリマーを合成する工程と、前記ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。
前記分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶媒中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。本発明の自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基(例えば、カルボキシル基)を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアニン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、本発明の自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5〜120モル%使用することが好ましく、10〜110モル%であることがより好ましく、15〜100モル%であることが更に好ましい。15モル%以上とすることで、水中での粒子の分散を安定化する効果が発現し、100モル%以下とすることで、水溶性成分を低下させる効果がある。
前記工程(2)においては、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
樹脂粒子(ラテックス粒子)の平均粒子径は、体積平均粒子径で10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましく、10〜50nmの範囲が特に好ましい。体積平均粒子径は、10nm以上であると製造適性が向上し、1μm以下であると保存安定性が向上する。
また、樹脂粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、水不溶性粒子を2種以上混合して使用してもよい。
なお、樹脂粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、インクの保存安定性の観点から、30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、樹脂粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を2種以上混合してもよい。
樹脂粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
樹脂粒子のインク中における含有量は、インクの全質量に対して、0.5〜20質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましい。
<界面活性剤>
本発明におけるインクは、必要に応じて、界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。表面張力調整剤として、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも用いることができる。更に、上記の分散剤(高分子分散剤)を界面活性剤としても用いてもよい。
界面活性剤をインクに含有する場合、界面活性剤はインクジェット法によりインクの吐出を良好に行なう観点から、インクの表面張力を20〜60mN/mに調整できる範囲の量を含有するのが好ましく、表面張力の点からはより好ましくは20〜45mN/mであり、更に好ましくは25〜40mN/mである。
界面活性剤のインク中における界面活性剤の具体的な量としては、前記表面張力となる範囲が好ましいこと以外は特に制限はなく、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
<その他成分>
インクは、上記の成分に加え、必要に応じて、更にその他成分として各種の添加剤を含むことができる。
前記各種の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
〜インクの物性〜
本発明におけるインクの表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
また、本発明におけるインクの25℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満であり、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(いずれも東ソー(株)製の商品名)を用いて3本直列につなぎ、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
(実施例1〜44、比較例1〜12)
<インクの調製>
(ポリマー分散剤P−1の合成)
下記スキームにしたがって、以下に示すようにしてポリマー分散剤P−1を合成した。
Figure 0005376935
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(樹脂被覆顔料粒子の分散物)
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
(自己分散性ポリマー粒子の合成・調製)
−自己分散ポリマー(B−01)の調製−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン540.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、メチルメタクリレート108g、イソボルニルメタクリレート388.8g、メタクリル酸43.2g、メチルエチルケトン108g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)2.16gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」1.08g、メチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.54g、メチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続け、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸(=20/72/8[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は61000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であり、酸価は52.1(mgKOH/g)であった。
次に、得られた樹脂溶液588.2gを秤量し、これにイソプロパノール165g、1モル/LのNaOH水溶液120.8mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次いで、蒸留水718gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化した後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保って溶媒を留去した。更に、反応容器内を減圧して、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を留去し、固形分濃度26.0%の自己分散ポリマー粒子B−1の水性分散物を得た。
(1−1)シアン顔料インクC−1の調製
上記の樹脂被覆顔料粒子の分散物と自己分散性ポリマー粒子B−1の水分散物とを用い、これらと共に下記組成となるように親水性有機溶剤、界面活性剤、及びイオン交換水を混合した後、5μmメンブランフィルタでろ過してシアン顔料インクC−1を調製した。
<シアン顔料インクC−1の組成>
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) ・・・ 4質量%
・前記ポリマー分散剤P−1 ・・・ 2質量%
・前記自己分散性ポリマー粒子B−1(固形分) ・・・ 6質量%
・下記構造式(1)で表される化合物 ・・・15質量%
(AO=エチレンオキシ、l+m+n≒6、SP値23.2)
・オルフィンE1010(日信化学(株)製;界面活性剤)・・・ 1質量%
・イオン交換水 ・・・全体で100質量%となるように添加
Figure 0005376935
pHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)を用いて、前記シアン顔料インクC−1のpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(1−2)シアン顔料インクC−2の調製
前記シアン顔料インクC−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から10質量%に代えたこと以外は、シアン顔料インクC−1の調製と同様にして、シアン顔料インクC−2を調製した。
(1−3)シアン顔料インクC−3の調製
前記シアン顔料インクC−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から15質量%に代えたこと以外は、シアン顔料インクC−1の調製と同様にして、シアン顔料インクC−3を調製した。
(2−1)マゼンタ顔料インクM−1の調製
前記シアン顔料インクC−1の調製において、顔料として用いたピグメント・ブルー15:3をCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)に代えたこと以外は、上記のシアン顔料インクC−1の調製と同様の方法により、マゼンタ顔料インクM−1を調製した。
pHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)を用いて、マゼンタ顔料インクM−1のpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(2−2)マゼンタ顔料インクM−2の調製
前記マゼンタ顔料インクM−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から10質量%に代えたこと以外は、マゼンタ顔料インクM−1の調製と同様にして、マゼンタ顔料インクM−2を調製した。
(2−3)マゼンタ顔料インクM−3の調製
前記マゼンタ顔料インクM−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から15質量%に代えたこと以外は、マゼンタ顔料インクM−1の調製と同様にして、マゼンタ顔料インクM−3を調製した。
(3−1)イエロー顔料インクY−1の調製
前記シアン顔料インクC−1の調製において、顔料として用いたピグメント・ブルー15:3をIrgalite Yellow GS(PY74、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)に代えたこと以外は、上記のシアン顔料インクC−1の調製と同様の方法により、イエロー顔料インクY−1を調製した。
pHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)を用いて、イエロー顔料インクY−1のpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(3−2)イエロー顔料インクY−2の調製
前記イエロー顔料インクY−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から10質量%に代えたこと以外は、イエロー顔料インクY−1の調製と同様にして、イエロー顔料インクY−2を調製した。
(3−3)イエロー顔料インクY−3の調製
前記イエロー顔料インクY−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から15質量%に代えたこと以外は、イエロー顔料インクY−1の調製と同様にして、イエロー顔料インクY−3を調製した。
(4−1)ブラック顔料インクK−1の調製
前記シアン顔料インクC−1の調製において、調製した樹脂被覆顔料粒子の分散物を、顔料分散体(CAB−O−JETTM 200(カーボンブラック)、CABOT社製)に代え、下記組成としたこと以外は、上記のシアン顔料インクC−1の調製と同様の方法により、ブラック顔料インクK−1を調製した。
<ブラック顔料インクK−1の組成>
・カーボンブラック ・・・ 4質量%
・前記ポリマー分散剤P−1 ・・・ 2質量%
・前記自己分散性ポリマー粒子B−1(固形分) ・・・ 6質量%
・前記構造式(1)で表される化合物 ・・・15質量%
(AO=エチレンオキシ(EO)、l+m+n≒6、SP値23.2)
・オルフィンE1010(日信化学(株)製;界面活性剤)・・・ 1質量%
・イオン交換水 ・・・全体で100質量%となるように添加
pHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)を用いて、ブラック顔料インクK−1のpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(4−2)ブラック顔料インクK−2の調製
前記ブラック顔料インクK−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から10質量%に代えたこと以外は、ブラック顔料インクK−1の調製と同様にして、ブラック顔料インクK−2を調製した。
(4−3)ブラック顔料インクK−3の調製
前記ブラック顔料インクK−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から15質量%に代えたこと以外は、ブラック顔料インクK−1の調製と同様にして、ブラック顔料インクK−3を調製した。
(5)顔料インクC−4,M−4,Y−4,K−4の調製
前記シアン顔料インクC−1、マゼンタ顔料インクM−1、イエロー顔料インクY−1、及びブラック顔料インクK−1の調製において、それぞれの組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から1.5質量%とし、前記構造式(1)で表される化合物の量を15質量%から10質量%に代えたこと以外は全て同様にして、シアン顔料インクC−4、マゼンタ顔料インクM−4、イエロー顔料インクY−4、及びブラック顔料インクK−4を調製した。
(6)比較用の顔料インクC−5,M−5,Y−5,K−5の調製
前記シアン顔料インクC−1、マゼンタ顔料インクM−1、イエロー顔料インクY−1、及びブラック顔料インクK−1の調製において、それぞれの組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から1質量%に代えたこと以外は全て同様にして、シアン顔料インクC−5、マゼンタ顔料インクM−5、イエロー顔料インクY−5、及びブラック顔料インクK−5を調製した。
(7)比較用の顔料インクC−6,M−6,Y−6,K−6の調製
前記シアン顔料インクC−1、マゼンタ顔料インクM−1、イエロー顔料インクY−1、及びブラック顔料インクK−1の調製において、それぞれの組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から3質量%に代えたこと以外は全て同様にして、シアン顔料インクC−6、マゼンタ顔料インクM−6、イエロー顔料インクY−6、及びブラック顔料インクK−6を調製した。
<処理液の調製>
下記組成中の成分を混合して処理液を調製した。この処理液のpHをpHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)にて測定したところ、1.21であった。
<処理液の組成>
・マロン酸 ・・・7.5g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル・・・10g
(以下、「DEGmEE」と略記する。)
・イオン交換水 ・・・7.5g
<画像記録>
記録媒体(塗工紙)として、下記表1〜表2に示すように、ユーライト(坪量104.7g/m)、特菱アート(坪量104.7g/m)、OKトップコート+(坪量104.7g/m)を用意し、下記表1〜表2に示すように、インク中の固形分量、インク乾燥処理時の搬送速度、画像部の表面温度等を変更して、以下に示すようにして画像を記録した。
[打滴方式]
インクとして、上記で得られたシアン顔料インク、マゼンタ顔料インク、イエロー顔料インク、ブラック顔料インクのうち、それぞれ固形分量が同じ4色(固形分量=12質量%,16質量%,21質量%、7.5質量%、7質量%、9質量%;例えば、シアン顔料インクC−1、マゼンタ顔料インクM−1、イエロー顔料インクY−1、及びブラック顔料インクK−1)をインクセットとして用い、処理液と共に、4色シングルパス記録によりライン画像とベタ画像の記録を実施した。このとき、ライン画像は、1200dpiの1ドット幅のライン、2ドット幅のライン、4ドット幅のラインをシングルパスで主走査方向に吐出することにより記録し、ベタ画像は、記録媒体をA5サイズにカットしたサンプルの全面にインクを吐出することによりベタ記録した。なお、記録する際の諸条件は下記の通りである。
[記録]
(1)処理液付与工程
まず、記録媒体の全面に、アニロックスローラ(線数100〜300/インチ)で塗布量が制御されたロールコーターにて付与量が1.7[g/m]になるように処理液を塗布した。
(2)第1の処理工程
次いで、下記条件にて処理液が塗布された記録媒体に乾燥処理及び浸透処理を施した。
・風速:10m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱
(3)画像記録工程
その後、処理液が塗布された記録媒体の塗布面に下記条件にてインクをインクジェット法で吐出し、ライン画像及びベタ画像を記録した。
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅のピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:0pL,2.0pL,3.5pL,4.0pLの4値記録
・駆動周波数:30kHz
(4)第2の処理工程(インク乾燥処理)
次いで、インクが吐出された記録媒体を下記条件で乾燥した。
・乾燥方法:送風乾燥
・搬送速度:500mm/s,1200mm/s,2500mm/s
・風速:15m/s
・温度:画像部の表面温度が下記表1〜表2に示す値になるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱
このとき、後述のローラ対を通過する前の画像部のタック性を下記の測定方法により測定した。
[タック性の測定]
図1に示すように、傾斜30度の斜面を画像部の一端に設置し、斜面距離10mm(高さは5mm)の地点から斜面に沿って直径2mmのSUS製の球(質量:0.327g、球表面:鏡面)を23℃、50%RH環境下で転がし、SUS製の球が画像部上を転がった距離を計測した。測定値を下記表1〜表2に示す。
得られたタック性の結果から、記録(描画)終了から次の固定化工程を開始するまでの時間を、下記表1〜表2に示す通りとした。
(5)固定化工程
次に、下記条件でローラ対に記録媒体を通過させることにより、画像部の加熱圧着処理を実施した。
<加熱圧着条件>
・シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
・ローラ温度:70℃
・圧力:0.2MPa
<評価>
上記のように記録したライン画像、ベタ画像に対して下記の評価を行なった。評価結果は、下記表1〜表2に示す。
−耐擦過性−
ベタ画像が記録された記録媒体の2cm四方のベタ部を印字直後、記録していない記録媒体(記録に用いたものと同じ記録媒体(以下、本評価において未使用サンプルという。)を重ねて荷重150kg/mをかけて10往復擦り、未使用サンプルの白地部分へのインクの転写度合いを目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:インクの転写は全くなかった。
B:インクの転写はほとんど目立たなかった。
C:インクの転写が多少見られた。
D:インクの転写が顕著であった。
−耐オフセット性−
マゼンタ顔料インクによるベタ画像上にシアン顔料インクをベタ記録したときの均一画像部について、加熱圧着後のオフセットの程度を目視にて観察し、濃度ムラの程度を指標にして下記の評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:オフセットはみられなかった。
B:一部に僅かにオフセットが見られたが、実用上支障のないレベルであった。
C:オフセットが発生した。
D:オフセットの発生が顕著であり、実用性の極めて低いレベルであった。
−画像品質(描画性)−
記録媒体上に記録された、1ドット幅のライン、2ドット幅のライン、4ドット幅のラインについて、下記の評価基準にしたがって描画性を評価した。
〈評価基準〉
A:全てのラインが均質なラインであった。
B:1ドット幅のラインは均質であったが、2ドット幅及び4ドット幅のラインの一部にライン幅の不均一やラインの切れが認められた。
C:1ドット幅のラインは均質であったが、2ドット幅及び4ドット幅のラインの全般にライン幅の不均一やラインの切れが認められた。
D:ライン全体にライン幅の不均一やラインの切れが顕著に認められた。
−表面光沢−
未記録の記録媒体及び、非画像部(画像記録後のインクが描画されていない部分)表面の60°鏡面光沢を光沢度計(IG−331、株式会社堀場製作所製)にて測定し、未記録の記録媒体と非画像部との間の表面光沢の変動幅を下記の評価基準にしたがって評価した。なお、表面光沢の変動幅が小さい程、良好な画像であることを示す。
〈評価基準〉
A:未記録の記録媒体の光沢度に対し±5%以内の変動幅であった。
B:未記録の記録媒体の光沢度に対し±10%以内の変動幅であった。
C:未記録の記録媒体の光沢度に対し±15%以上の変動幅であった。
D:未記録の記録媒体の光沢度に対し±20%以上の変動幅であった。
Figure 0005376935
Figure 0005376935
前記表1〜表2に示すように、実施例では、塗工紙を用いた場合に、均質な幅長のライン画像が得られ、ベタ記録した場合には濃度ムラの発生が抑えられ、均一で高い濃度の画像を得ることができた。しかも、オフセットによる画像バラツキが抑えられており、画像全体の光沢も良好であり、耐擦過性も良好であった。
これに対し、比較例では、濃度ムラ、ライン画像の描画性、光沢に劣っており、画像の耐オフセット性、耐擦過性も悪かった。
ボールタック試験法にて測定する方法を示す図である。

Claims (9)

  1. 記録媒体に顔料を含むインクを付与して画像を記録する画像記録工程と、
    画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上であるときに、圧着付与手段を前記画像部に圧接して画像部を固定化する固定化工程と、
    を有するインクジェット記録方法。
  2. 前記画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上となるのが、前記記録終了から7秒以内であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インクが、更に樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 更に、前記固定化工程前に前記画像部の温度を40℃以上に温調する工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記顔料を含むインクの固形分濃度が8質量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記記録媒体が、コート層を有する紙種より選ばれることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 更に、前記記録媒体に前記インク中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を付与する処理液付与工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記処理液付与工程により記録媒体に処理液を付与後、前記画像記録工程によりインクを付与して画像を記録し、記録された画像部を前記固定化工程により固定化することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記固定化工程は、前記圧接とともに加熱を行なうことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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