以下、添付図面を参照しながら本発明による作業機械の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係る作業機械の一例として、ハイブリッド型建設機械1の外観を示す斜視図である。図1に示すように、ハイブリッド型建設機械1はいわゆるリフティングマグネット車両であり、無限軌道を含む走行機構2と、走行機構2の上部に旋回機構3を介して回動自在に搭載された旋回体4とを備えている。旋回体4には、ブーム5と、ブーム5の先端にリンク接続されたアーム6と、アーム6の先端にリンク接続されたリフティングマグネット7とが取り付けられている。リフティングマグネット7は、鋼材などの吊荷Gを磁力により吸着して捕獲するための設備である。ブーム5、アーム6、及びリフティングマグネット7は、それぞれブームシリンダ8、アームシリンダ9、及びバケットシリンダ10によって油圧駆動される。また、旋回体4には、リフティングマグネット7の位置や励磁動作および釈放動作を操作する操作者を収容するための運転室4aや、油圧を発生するためのエンジン(内燃機関発動機)11といった動力源が設けられている。エンジン11は、例えばディーゼルエンジンで構成される。
また、ハイブリッド型建設機械1はサーボ制御ユニット60を備えている。サーボ制御ユニット60は、旋回機構3やリフティングマグネット7といった作業要素を駆動するための交流電動機や、エンジン11をアシストするための電動発電機、並びに蓄電池(バッテリー)の充放電を制御する。サーボ制御ユニット60は、直流電力を交流電力に変換して交流電動機や電動発電機を駆動するためのインバータユニット、バッテリーの充放電を制御する昇降圧コンバータユニットといった複数のドライバユニットと、該複数のドライバユニットを制御するためのコントロールユニットとを備えている。
図2は、本実施形態のハイブリッド型建設機械1の電気系統や油圧系統といった内部構成を示すブロック図である。なお、図2では、機械的に動力を伝達する系統を二重線で、油圧系統を太い実線で、操縦系統を破線で、電気系統を細い実線でそれぞれ示している。また、図3は、図2における蓄電手段120の内部構成を示す図である。
図2に示すように、ハイブリッド型建設機械1は電動発電機12および減速機13を備えており、エンジン11及び電動発電機12の回転軸は、共に減速機13の入力軸に接続されることにより互いに連結されている。エンジン11の負荷が大きいときには、電動発電機12がこのエンジン11を作業要素として駆動することによりエンジン11の駆動力を補助(アシスト)し、電動発電機12の駆動力が減速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。一方、エンジン11の負荷が小さいときには、エンジン11の駆動力が減速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電を行う。電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータによって構成される。電動発電機12の駆動と発電との切り替えは、ハイブリッド型建設機械1における電気系統の駆動制御を行うコントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
減速機13の出力軸にはメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されており、メインポンプ14には高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。コントロールバルブ17は、ハイブリッド型建設機械1における油圧系の制御を行う装置である。コントロールバルブ17には、図1に示した走行機構2を駆動するための油圧モータ2a及び2bの他、ブームシリンダ8、アームシリンダ9、及びバケットシリンダ10が高圧油圧ラインを介して接続されており、コントロールバルブ17は、これらに供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御する。
電動発電機12の電気的な端子には、インバータ回路18Aの出力端が接続されている。インバータ回路18Aは、本実施形態における第3のインバータ回路である。インバータ回路18Aの入力端には、蓄電手段120が接続されている。蓄電手段120は、図3に示すように、直流母線であるDCバス110、昇降圧コンバータ(直流電圧変換器)100及びバッテリ19を備えている。即ち、インバータ回路18Aの入力端は、DCバス110を介して昇降圧コンバータ100の入力端に接続されることとなる。昇降圧コンバータ100の出力端には、蓄電池としてのバッテリ19が接続されている。バッテリ19は、例えばキャパシタ型蓄電池によって構成される。バッテリ19の大きさの一例としては、電圧2.5V、容量2400Fのキャパシタが144個直列に接続されたもの(すなわち、両端電圧360V)が好適である。
インバータ回路18Aは、コントローラ30からの指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う。すなわち、インバータ回路18Aが電動発電機12を力行運転させる際には、必要な電力をバッテリ19と昇降圧コンバータ100からDCバス110を介して電動発電機12に供給する。また、電動発電機12を回生運転させる際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス110及び昇降圧コンバータ100を介してバッテリ19に充電する。なお、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧値、バッテリ電圧値、及びバッテリ電流値に基づき、コントローラ30によって行われる。これにより、DCバス110を、予め定められた一定電圧値に蓄電された状態に維持することができる。
蓄電手段120のDCバス110には、インバータ回路20Bを介してリフティングマグネット7が接続されている。リフティングマグネット7は、金属物を磁気的に吸着させるための磁力を発生する電磁石を含んでおり、インバータ回路20Bを介してDCバス110から電力が供給される。インバータ回路20Bは、コントローラ30からの指令に基づき、電磁石をオンにする際には、リフティングマグネット7へ要求された電力をDCバス110より供給する。また、電磁石をオフにする場合には、回生された電力をDCバス110に供給する。
更に、蓄電手段120には、インバータ回路20Aが接続されている。インバータ回路20Aの一端には作業用電動機としての旋回用電動機(交流電動機)21が接続されており、インバータ回路20Aの他端は蓄電手段120のDCバス110に接続されている。旋回用電動機21は、旋回体4を旋回させる旋回機構3の動力源である。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。なお、インバータ回路20Aは、本実施形態における第1のインバータ回路である。
旋回用電動機21が力行運転を行う際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が旋回減速機24にて増幅され、旋回体4が加減速制御され回転運動を行う。また、旋回体4の慣性回転により、旋回減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させる。旋回用電動機21は、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号によりインバータ回路20Aによって交流駆動される。旋回用電動機21としては、例えば、磁石埋込型のIPMモータが好適である。
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出する。レゾルバ22が回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構3の回転角度及び回転方向が導出される。メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、コントローラ30からの指令によって、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構3に機械的に伝達する減速機である。
なお、DCバス110には、インバータ回路18A、20A及び20Bを介して、電動発電機12、旋回用電動機21、及びリフティングマグネット7が接続されているので、電動発電機12で発電された電力がリフティングマグネット7又は旋回用電動機21に直接的に供給される場合もあり、リフティングマグネット7で回生された電力が電動発電機12又は旋回用電動機21に供給される場合もあり、さらに、旋回用電動機21で回生された電力が電動発電機12又はリフティングマグネット7に供給される場合もある。
インバータ回路18A、20A及び20Bは大電力を制御するので、発熱量が極めて大きくなる。また、昇降圧コンバータ100に含まれるリアクトル101(図3を参照)においても発熱量が多大となる。したがって、インバータ回路18A、20A及び20B、並びに昇降圧コンバータ100を冷却する必要が生じる。そこで、本実施形態のハイブリッド型建設機械1は、エンジン11用の冷却液循環システムとは別に、昇降圧コンバータ100、インバータ回路18A,20A,及び20Bを冷却するための冷却液循環システム70を備えている。
冷却液循環システム70は、昇降圧コンバータ100、インバータ回路18A,20A及び20B等に供給される冷却液を循環させるためのポンプ(冷却液循環用ポンプ)72と、このポンプ72を駆動するポンプモータ(冷却用電動機)71とを有している。ポンプモータ71は、インバータ回路20Cを介して蓄電手段120に接続されている。インバータ回路20Cは、本実施形態における冷却用電動機駆動回路であって、コントローラ30からの指令に基づき、昇降圧コンバータ100を冷却する際にポンプモータ71へ要求された電力を供給する。本実施形態の冷却液循環システム70は、昇降圧コンバータ100、インバータ回路18A,20A,及び20B、並びにコントローラ30を冷却する。加えて、冷却液循環システム70は、電動発電機12、減速機13、および旋回用電動機21を冷却する。
パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続されている。操作装置26は、旋回用電動機21、走行機構2、ブーム5、アーム6、及びリフティングマグネット7を操作するための操作装置であり、操作者によって操作される。操作装置26には、油圧ライン27を介してコントロールバルブ17が接続され、また、油圧ライン28を介して圧力センサ29が接続される。操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を操作者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。ここでは、作業用電動機としての旋回用電動機21を挙げているが、さらに、走行機構2を作業用電動機として電気駆動させても良い。更にフォークリフトに本願発明を適用する場合には、リフティング装置を作業用電動機として電気駆動させても良い。
圧力センサ29は、操作装置26に対して旋回機構3を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号は、コントローラ30に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。
コントローラ30は、本実施形態における制御部を構成する。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置によって構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUが実行することにより実現される。また、コントローラ30の電源は、バッテリ19とは別のバッテリ(例えば24V車載バッテリ)である。コントローラ30は、圧力センサ29から入力される信号のうち、旋回機構3を旋回させるための操作量を表す信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(アシスト運転及び発電運転の切り替え)、リフティングマグネット7の駆動制御(励磁と消磁の切り替え)、並びに、昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるバッテリ19の充放電制御を行う。
また、本実施形態のコントローラ30は、ハイブリッド型建設機械1のメンテナンス等を実施するときにDCバス110の電圧を低下させる(具体的には、DCバス110に接続された平滑用コンデンサ等に蓄積された電荷を消費させる)ためのDCバス電圧低下モード(母線電圧低下モード)を有している。コントローラ30は、このDCバス電圧低下モードにおいて、インバータ回路18A,20Aおよび20B、並びに昇降圧コンバータ100を全て停止させ、昇降圧コンバータ100とバッテリ19との間に設けられたスイッチ(後述)を非接続状態とした後、インバータ回路20Cを駆動してポンプモータ71に電力を消費させることによりDCバス110の電圧を低下させる。DCバス電圧低下モードは、ハイブリッド型建設機械1の運転が停止された際(具体的には、操作者のキー40の操作によりエンジン11が停止しようとするとき)、或いは、運転室4a(図1参照)内の操作パネルを介して作業者によりDCバス電圧低下モードの開始に関する入力が為された際に開始される。
ここで、本実施形態における昇降圧コンバータ100について詳細に説明する。図3に示すように、昇降圧コンバータ100は、昇降圧型のスイッチング制御方式を備えており、リアクトル101、トランジスタ100B及び100Cを有する。トランジスタ100Bは昇圧用のスイッチング素子であり、トランジスタ100Cは降圧用のスイッチング素子である。トランジスタ100B及び100Cは、例えばIGBT(InsulatedGate Bipolar Transistor)によって構成され、互いに直列に接続されている。
具体的には、トランジスタ100Bのコレクタとトランジスタ100Cのエミッタとが相互に接続され、トランジスタ100Bのエミッタはスイッチ100Fを介してバッテリ19の負側端子およびDCバス110の負側配線に接続され、トランジスタ100CのコレクタはDCバス110の正側配線に接続されている。そして、リアクトル101は、その一端がトランジスタ100Bのコレクタ及びトランジスタ100Cのエミッタに接続されるとともに、他端がスイッチ100Eを介してバッテリ19の正側端子に接続されている。トランジスタ100B及び100Cのゲートには、コントローラ30からPWM電圧が印加される。スイッチ100E及び100Fは、コントローラ30からの指令によりその接続状態が制御される。
なお、トランジスタ100Bのコレクタとエミッタとの間には、整流素子であるダイオード100bが逆方向に並列接続されている。同様に、トランジスタ100Cのコレクタとエミッタとの間には、ダイオード100cが逆方向に並列接続されている。トランジスタ100Cのコレクタとトランジスタ100Bのエミッタとの間(すなわち、DCバス110の正側配線と負側配線との間)には、平滑用のコンデンサ110aが接続され、このコンデンサ110aは、昇降圧コンバータ100からの出力電圧、電動発電機12からの発電電圧や旋回用電動機21からの回生電圧を平滑化する。DCバス110の正側配線と負側配線との間には、DCバス110の電圧を検出するための電圧センサ110bが設けられている。電圧センサ110bによる電圧検出結果は、コントローラ30へ提供される。
このような構成を備える昇降圧コンバータ100において、直流電力をバッテリ19からDCバス110へ供給する際には、スイッチ100E,100Fが接続された状態で、コントローラ30からの指令によってトランジスタ100BのゲートにPWM電圧が印加される。そして、トランジスタ100Bのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力がダイオード100cを介して伝達され、この電力がコンデンサ110aにより平滑化される。また、直流電力をDCバス110からバッテリ19へ供給する際には、スイッチ100E,100Fが接続された状態で、コントローラ30からの指令によってトランジスタ100CのゲートにPWM電圧が印加されるとともに、トランジスタ100Cから出力される電流がリアクトル101により平滑化される。
図4は、冷却液循環システム70について説明するためのブロック図である。図4に示すように、冷却液循環システム70は、ポンプモータ71によって駆動されるポンプ72と、ラジエター73と、サーボ制御ユニット60とを含んでいる。ポンプ72によって循環された冷却液はラジエター73により放熱され、サーボ制御ユニット60へ送られる。サーボ制御ユニット60は、昇降圧コンバータ100、インバータ回路18A,20A及び20B、並びにコントローラ30を冷却するための配管を有しており、冷却液はこの配管内を循環する。サーボ制御ユニット60の配管を通過した冷却液は、旋回用電動機21、電動発電機12、および減速機13をこの順に冷却したのち、ポンプ72からラジエター73へ戻される。なお、サーボ制御ユニット60の入口には、冷却液の温度を検出するための温度センサ77が設けられることが好ましい。更に、検出した温度を表示する表示装置を備えると尚良い。これにより、ラジエター73が詰まり冷却性能が低下した場合には、温度検出値に基づいて旋回用電動機21及び電動発電機12(または、これらのうち一方)の出力を制限することができる。その結果、連続的な運転を可能とすることができ、ハイブリッド型建設機械1を停止させることなく継続的な作業が可能となる。
次に、図5を用いてサーボ制御ユニット60について説明する。図5は、サーボ制御ユニット60の外観を示す斜視図である。サーボ制御ユニット60は、略直方体状の外観を有しており、コントローラ30を収容するコントロールユニット600と、昇降圧コンバータユニット66と、インバータユニット62〜65とを備えている。昇降圧コンバータユニット66は昇降圧コンバータ100を収容しており、インバータユニット62〜65は例えばインバータ回路18A、20A、20B及びその他のインバータ回路を収容している。
昇降圧コンバータユニット66及びインバータユニット62〜65は、それぞれ奥行き方向に長い直方体状の金属容器を有する。これらのユニット62〜66は、その長手方向と交差する方向に並んだ状態で、金属製の上面が開いた板状台座67内に設置され、ボルトにより板状台座67に各々固定されている。そして、これらのユニット62〜66の上に、ユニット62〜66の上面を覆うように上蓋としてのコントロールユニット底板61が設けられており、コントロールユニット底板61上にコントロールユニット600が載置されている。更にコントロールユニット600の上面には空冷のためのヒートシンク68が取り付けられている。ユニット62〜66の上面側は、コントロールユニット底板61によって密閉されている。
コントロールユニット600は、昇降圧コンバータユニット66及びインバータユニット62〜65を制御するためのコントローラを収容している。コントローラは、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置や電子回路を有しており、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUが実行することにより実現される。
また、コントロールユニット600には冷却用配管608が内蔵されている。同様に、昇降圧コンバータユニット66には冷却用配管66aが、インバータユニット62〜65には冷却用配管62a〜65aが、それぞれ内蔵されている。
図6は、各冷却用配管62a〜66aを接続した状態を示す斜視図である。ラジエター73(図4参照)から延設された配管90Aは、三本の配管90B〜90Dに分岐される。これらの配管のうち、配管90Bはコントロールユニット600の冷却用配管608の一端に連結され、冷却用配管608の他端は、更に別の配管90Eを介してインバータユニット62の冷却用配管62aの一端に連結される。また、配管90Cは昇降圧コンバータユニット66の冷却用配管66aの一端に連結され、冷却用配管66aの他端は、配管90Fを介してインバータユニット64の冷却用配管64aの一端に連結される。また、配管90Dはインバータユニット65の冷却用配管65aの一端に連結され、冷却用配管65aの他端は、配管90Gを介してインバータユニット63の冷却用配管63aの一端に連結される。
そして、インバータユニット62〜64の冷却用配管62a〜64aの他端には、それぞれ配管90J、90Iおよび90Hが連結される。配管90J、90Iおよび90Hは一本の配管90Kに連結され、配管90Kが例えば旋回用電動機21等の他の被冷却要素へ延設される。
次に、コントロールユニット600の構成について詳細に説明する。図7(a)はコントロールユニット600の平面断面図であり、図7(b)は図7(a)のI−I線に沿う側断面図であり、図7(c)は図7(a)のII−II線に沿う側断面図であり、図7(d)は図7(a)のIII−III線に沿う側断面図である。また、図8(a)は図7(a)のIV−IV線に沿う側断面図であり、図8(b)はコントロールユニット600を図8(a)と同方向から見た側面図である。
コントロールユニット600は、筐体容器601a及び筐体カバー601bからなる筐体601を有し、コントローラの電子回路等が、この筐体601内に収容されている。
コントロールユニット600の筐体601は、直方体状の外観を有すると共に、複数のドライバユニットである昇降圧コンバータユニット66及びインバータユニット62〜65上に設けられている。また、筐体601は、略長方形状の平面形状を有する底面上に、略直方体状の内空間を有する。この内空間は外気と遮断されており、コントロールユニット600の筐体601は、密閉構造となっている。なお、ユニット62〜66が配列された方向は、コントロールユニット600の短手方向と一致しており、この方向は、図7(a)の紙面上下方向に相当する。また、複数のユニット62〜66が配列された方向と直交する方向は、コントロールユニット600の長手方向と一致しており、この方向は、図7(a)の紙面左右方向に相当する。
筐体601内の底面上には、長方形の平面形状を有するカードプレート602が設けられている。カードプレート602は、カードプレート602の長手方向及び短手方向をそれぞれコントロールユニット600の長手方向及び短手方向と一致させて配置されている。カードプレート602には、略長方形の平面形状の開口が設けられている。
カードプレート602の開口内には、この開口と略同形状の平面形状を有すると共に略直方体状の外観を有するヒートシンク(熱伝導プレート)603が筐体601内の底面上に設けられている。ヒートシンク603は、筐体601内に設けられる電子部品を冷却するためのものであり、冷却用配管608が、ヒートシンク603に対し熱的に結合して(例えば接触して)設けられている。ヒートシンク603は、冷却用配管608を循環する冷却液により冷却される。この冷却液は、例えば水である。
ヒートシンク603上には、略長方形の平面形状を有するコントロールカード604が設けられている。コントロールカード604は、種々の電子部品が実装される基板であり、その裏面がヒートシンク603と対向するように配置されている。コントロールカード604の裏面上には、電子部品の一種として複数のCPU605a〜605eが実装されている。複数のCPU605a〜605eは、複数のユニット62〜66のそれぞれと一対一で対応しており、ユニット62〜66のうち各々対応するユニットのインバータ回路に含まれるトランジスタのオン/オフを制御する。また、複数のCPU605a〜605eは、ヒートシンク603と熱的に結合されている。すなわち、ヒートシンク603は、複数のCPU605a〜605eと冷却用配管608との間に配置される。
カードプレート602上には、複数の冷却用ファン606aがコントロールユニット600の短手方向に配列されている。複数の冷却用ファン606aは、CPU605a〜605eで発生した熱により熱せられた空気を攪拌して筐体内の温度勾配を解消するためにCPU605a〜605eのそれぞれに対応して設けられており、CPU605a〜605eのそれぞれに向かう気流を発生する。
筐体601内の底面上には、カードプレート602と並んで、長方形の平面形状を有するカードプレート613が更に設けられている。このカードプレート613上には電源カード609が設けられている。電源カード609上には、2個の電源IC(電源ユニット)610が設けられている。各電源IC610には、電源ICを空冷するためのヒートシンク611が設けられている。また、筐体601の内側面に接して熱伝導プレート614が設けられており、電源IC610及びヒートシンク611は、熱伝導プレート614と面接触している。このため、電源IC610で発生した熱の一部を放熱することが可能となる。また、カードプレート613上には、2個の冷却用ファン606bが設けられている。これらの冷却用ファン606bは、電源IC610で発生した熱により熱せられた空気を攪拌して筐体内の温度勾配を解消するために設けられており、電源IC610に向かう気流を発生する。
コントロールカード604に実装された電子部品の入出力部はコネクタ607に接続されており、例えばユニット62〜66を動作させるための命令信号や電子部品からの出力信号等はコネクタ607を介して入出力される。コネクタ607は、例えばサーボ制御ユニット60を制御するための制御部(図示せず)と配線接続される。
コネクタ607は、筐体601の側面における凹状窪み部分に設けられており、この窪み部分は、パッキン616により覆われている。パッキン616は、筐体カバー601bを介してパッキン押さえ部材617により覆われている。パッキン616により、コネクタ607の防水及び防塵が実現される。
ここで、コントロールユニット600における水冷構造について更に詳細に説明する。図9〜図11は、冷却構造について示す図である。図9(a)はヒートシンク603及び冷却用配管608を示す平面図であり、図9(b)は図9(a)に示されるV−V線に沿う側断面図である。また、図10は、ヒートシンク603及び冷却用配管608を覆うように配置されたコントロールカード604を示す平面図である。また、図11は、図10に示されるVI−VI線に沿う断面の一部を示す側断面図である。
図9(a)及び図9(b)に示されるように、本実施形態における冷却用配管608はヘアピンパイプ状に成形されており、ヒートシンク603の裏面側に接合されて固定されている。より詳細には、冷却用配管608は、複数の配管部分608aを含んで構成されている。これら複数の配管部分608aは、ヒートシンク603の短手方向に各々延びており、且つ該方向と交差するヒートシンク603の長手方向に所定の間隔をおいて並設されている。そして、複数の配管部分608aは、その一端側及び他端側がU字状の配管部分608bによって交互に連結されることにより、全体として単一の配管を構成している。
ヒートシンク603は、ヒートシンク603の短手方向に延びておりヒートシンク603の長手方向に並ぶ複数の矩形状の冷却領域603a〜603eを含んでいる。複数の冷却領域603a〜603eのそれぞれは、複数の配管部分608aのうち隣り合う2本の配管部分608aと熱的に結合されている。言い換えれば、複数の冷却領域603a〜603eは、上方から見てそれぞれが2本の配管部分608aを含むように画定されている。
また、図10及び図11を参照すると、上述したように、コントロールカード604の裏面上には複数のCPU605a〜605eが実装され、表面上には電磁弁などへの電気信号を生成する電気接点618等の電気部品が複数配置されている。そして、複数のCPU605a〜605eは、コントロールカード604に形成されたパターン配線によって接続され、通信を行っている。これらのCPU605a〜605eはヒートシンク603の長手方向に並んで配置されており、それぞれヒートシンク603の冷却領域603a〜603e上に配置されている。そして、CPU605aは熱伝導性シート612を介してヒートシンク603の冷却領域603aと熱的に結合されており、CPU605bは熱伝導性シート612を介して冷却領域603bと熱的に結合されている(図11を参照)。CPU605c〜605eも同様に、熱伝導性シートを介して冷却領域603c〜603eと熱的に結合されている。すなわち、本実施形態においては、複数のCPU605a〜605eが、一つのCPUにつき一つの冷却領域に対して熱的に結合されている。
なお、コントロールカード604には、例えば図10に示すようにCPU605c〜605eとは別のCPU615が実装されていることがある。このCPU615は、例えば複数のCPU605a〜605eを統合的に制御するための上位CPUである。このようなCPUは、インバータ回路等を制御するCPU605c〜605eと比較して発熱量が大きくないため、冷却領域603c〜603eとは関係なくコントロールカード604上の任意の位置に配置される。
また、上述したように、CPU605a〜605eは、CPU605a〜605eとヒートシンク603との間に配設された熱伝導性シート612を介してヒートシンク603と熱的に結合されている。熱伝導性シート612は、ヒートシンク603からCPU605a〜605eへ伝わる振動を吸収しうる弾性材料を含むことが好ましく、例えばシリコーンゴムからなる。
続いて、昇降圧コンバータユニット66及びインバータユニット62〜65における水冷構造について詳細に説明する。図12(a)は、昇降圧コンバータユニット66の内部構成を示す平面図である。また、図12(b)は、昇降圧コンバータユニット66の内部構成を示す側面図である。なお、これらの図においては、昇降圧コンバータユニット66の内部構成がわかるようにケースの天板や側板を外した状態を示している。
昇降圧コンバータユニット66の内部には、昇降圧コンバータ100のトランジスタ100B及び100C(図3参照)を組み込んだインテリジェントパワーモジュール(IPM:Intelligent Power Module)103と、リアクトル101と、冷却用配管66aとが内蔵されている。IPM103は、配線基板104上に実装されている。冷却用配管66aは、昇降圧コンバータユニット66の側面に沿って二次元状に配設されている。具体的には、冷却用配管66aは、昇降圧コンバータユニット66の内部でなるべく長く配設されるように幾重にも折れ曲がった状態で矩形断面の金属容器66bに収容されており、またこの金属容器66bの内側面に接している。金属容器66bの外側面には、図12(a)に示すようにリアクトル101及びIPM103が接触配置されており、金属容器66bはリアクトル101及びIPM103からの熱を冷却用配管66aへ伝える。これにより、リアクトル101及びIPM103が冷却される。なお、リアクトル101には、リアクトル101の温度を検出するための温度センサ107が設けられることが好ましい。
図13(a)は、インバータユニット62の内部構成を示す平面図である。また、図13(b)は、インバータユニット62の内部構成を示す側面図である。なお、これらの図においては、図12と同様に、インバータユニット62の内部構成がわかるようにケースの天板や側板を外した状態を示している。また、インバータユニット63〜65の内部構成は、内蔵するインバータ回路の構成を除いて、図13に示すインバータユニット62の内部構成と同様である。
インバータユニット62の内部には、インバータ回路のトランジスタを組み込んだIPM105と、冷却用配管62aとが内蔵されている。IPM105は、配線基板106上に実装されている。冷却用配管62aは、昇降圧コンバータユニット66における冷却用配管66aと同様の形態で配設されている。冷却用配管62aは矩形断面の金属容器62bに収容されており、またこの金属容器62bの内側面に接している。金属容器62bの外側面には、図13(a)に示すようにIPM105が接触配置されており、金属容器62bはIPM105からの熱を冷却用配管62aへ伝える。
図14は、冷却液循環システム70による旋回用電動機21の冷却方式を説明するための図である。なお、電動発電機12における冷却方式も旋回用電動機21における方式と同様なので、ここでは旋回用電動機21についてのみ代表して説明する。
図14に示すように、旋回用電動機21は、駆動部ケース201と、駆動部ケース201に取り付けられたステータ202と、ステータ202の径方向内方において回転自在に配設されたロータ203と、ロータ203を貫通して延在し、駆動部ケース201に対してベアリング204、205によって回転自在に配設された出力軸206とを備えている。駆動部ケース201は、側板207及び208と、側板207及び208の間に取り付けられ、軸方向に延びる筒状のモータフレーム209とによって構成され、ベアリング204は側板207に、ベアリング205は側板208に、ステータ202はモータフレーム209に取り付けられている。
ステータ202は図示されないコイルを備えており、該コイルに所定の電流を供給すると、旋回用電動機21が駆動され、ロータ203が電流の大きさに対応する回転速度で回転する。そして、ロータ203の回転は、ロータ203が取り付けられた出力軸206に伝達される。
旋回用電動機21の駆動に伴って発生した熱を放熱し、旋回用電動機21を冷却するために、駆動部ケース201の外周にはジャケット211が取り付けられている。ジャケット211は、冷却液が供給される冷却液供給口212、旋回用電動機21を冷却した後の、温度が高くなった冷却液を排出する冷却液排出口213、及び冷却液供給口212と冷却液排出口213とを連結し、螺旋又は蛇行させて延在する一本の冷却液流路214を有する。ポンプ72からラジエター73及びサーボ制御ユニット60を通過して冷却液供給口212へ供給された冷却液は、冷却液流路214内を蛇行しながら流れ、その間に旋回用電動機21を冷却した後、冷却液排出口213から排出される。なお、この冷却液循環システムには、図14に示すように冷却液を補充するための補助タンク75が設けられることが好ましい。
ここで、コントローラ30のDCバス電圧低下モードについて更に説明する。前述したように、DCバス電圧低下モードとは、ハイブリッド型建設機械1の運転が停止した状態においてDCバス110の電圧を低下させるための動作モードであって、インバータ回路18A,20Aおよび20B、並びに昇降圧昇降圧コンバータ100を全て停止させ、昇降圧コンバータ100とバッテリ19との間に設けられたスイッチ100E,100Fを非接続状態とした後、インバータ回路20Cを駆動してポンプモータ71に電力を消費させることにより、DCバス110の電圧を低下させるモードである。
図15は、DCバス電圧低下モードにおけるハイブリッド型建設機械1の動作を示すフローチャートである。まず、作業者によって、ハイブリッド型建設機械1の運転を停止する為にイグニッションキー40が操作される(ステップS11)。本実施形態では、このようにハイブリッド型建設機械1の運転が停止される毎に、コントローラ30がDCバス電圧低下モードを開始する。すなわち、コントローラ30は、上記キー40の操作を受けて、インバータ回路18A、20A及び20Bの駆動を停止する(ステップS12)。これにより、電動発電機12、旋回用電動機21、及びリフティングマグネット7への電力供給が停止する。次に、コントローラ30は、昇降圧コンバータ100の駆動を停止する(ステップS13)。そして、コントローラ30は、昇降圧コンバータ100とバッテリ19との間のスイッチ100E,100F(図3を参照)を非導通状態とする(ステップS14)。これにより、DCバス110とバッテリ19とが電気的に分離される。そして、コントローラ30は、エンジン11のECU等に指示してエンジン11を停止させる(ステップS15)。
このとき、インバータ回路20Cは冷却用電動機であるポンプモータ71の駆動を続けており、ポンプモータ71によって冷却液循環システム70の内部を冷却液が循環し続けている。コントローラ30は、インバータ回路20Cの駆動を続けて、ポンプモータ71の動作を継続させる(ステップS16)。インバータ回路20Cの駆動は、図3に示した電圧センサ110bによって検出されるDCバス110の電圧が所定の閾値以下となるまで継続される(ステップS17;No)。なお、この所定の閾値は、例えば「人体が著しく濡れている状態、または金属製の電気機械設備や構造物人体の一部が常時接触している状態」でも安全とされる25Vが好適である(日本電気協会指針・種別第2種)。
そして、DCバス110の電圧が所定の閾値以下になると(ステップS17;Yes)、コントローラ30はインバータ回路20Cの駆動を停止する(ステップS18)。これにより、ポンプモータ71の動作が停止してDCバス電圧低下モードが終了し、ハイブリッド型建設機械1の運転が完全に停止する。
図16は、DCバス電圧低下モードにおけるDCバス110の電圧の推移の一例を示すグラフである。ポンプモータ71の駆動が継続されたままスイッチ100E,100F(図3を参照)が非導通状態になると(図中の時刻T1)、DCバス110の電圧Vdcは直前の電圧Vactから徐々に低下する。この低下速度はポンプモータ71の消費電力に依存する。そして、DCバス110の電圧Vdcが所定の閾値Vthを下回ると(図中の時刻T2)、ポンプモータ71の動作が停止するので電圧Vdcの低下速度は緩くなる。
本実施形態のハイブリッド型建設機械1によって得られる効果について説明する。上述したように、ハイブリッド型建設機械1は、インバータユニット62〜65や昇降圧コンバータユニット66、コントロールユニット600を冷却するための冷却液循環用のポンプ72を備えている。そして、メンテナンスなどの必要に応じてDCバス110の電圧を低下させる際、ポンプ72を駆動するためのポンプモータ71をコントローラ30がDCバス110の電圧によって駆動させることにより、DCバス110の電圧が消費される。本来、ポンプ72はインバータユニット62〜65や昇降圧コンバータユニット66を冷却するためにハイブリッド型建設機械1に搭載されたものなので、このような方式によれば、DCバス電圧低下モードのためだけに抵抗やスイッチ等の部品を新たに追加する必要はない。従って、本実施形態のハイブリッド型建設機械1によれば、信頼性の低下が抑制された構成でもって、DCバス110の電圧を低下させることができる。
また、ポンプモータ71は、例えば油圧ポンプを駆動する電動発電機12や、旋回体4といった作業要素を駆動する旋回用電動機21等の作業用電動機とは異なり、可動部や作業要素等に対して駆動力を与えるものではなく、このポンプモータ71が駆動しても配管内部を冷却液が循環するだけである。従って、本実施形態のハイブリッド型建設機械1によれば、作業要素等に対して駆動力を与えることなくDCバス110の電圧を低下させることができるので、DCバス110の電圧を安全に低下させることができる。
また、本実施形態では、コントローラ30が、ハイブリッド型建設機械1の運転が停止される毎にDCバス電圧低下モードを開始している。これにより、ハイブリッド型建設機械1が運転を停止している時には必ずDCバス110の電圧が低下していることとなり、メンテナンスの際にDCバス110の電圧を低下させるための作業を省くことができる。
なお、本実施形態では、ポンプモータ71及びポンプ72を含む冷却液循環システム70が、インバータユニット62〜65(インバータ回路18A、20A及び20B)、昇降圧コンバータユニット66(昇降圧コンバータ100)、及びコントロールユニット600(コントローラ30)を冷却しているが、これらのうち少なくとも一つのユニットを冷却するためのポンプ及びポンプモータであっても、該ポンプモータを駆動することによりDCバス110の電圧を好適に低下させることができる。
また、本実施形態では、ポンプモータ71を駆動することによってDCバス110の電圧を低下させているが、図7に示した冷却用ファン606a,606bを回転させることによってDCバス110の電圧を低下させてもよく、これらの方式を併用してもよい。具体的には、冷却用ファン606a,606bを駆動するためのモータ(すなわち冷却用電動機)を駆動する回路(冷却用電動機駆動回路)をDCバス110と該モータとの間に設け、この回路をコントローラ30が制御する構成とする。そして、DCバス電圧低下モードにおいて、コントローラ30が上記回路によってモータを回転させることにより、DCバス110の電圧が消費される。また、本実施形態ではコントロールユニット600にのみ冷却用ファンが設けられているが、冷却用ファンは、インバータユニット62〜65(インバータ回路18A、20A及び20B)、昇降圧コンバータユニット66(昇降圧コンバータ100)、及びコントロールユニット600(コントローラ30)のうち少なくとも一つに内蔵されていればよい。
続いて、上記実施形態におけるDCバス電圧低下モードの変形例について説明する。図17は、一変形例に係るDCバス電圧低下モードでのハイブリッド型建設機械1の動作を示すフローチャートである。まず、作業者によって、ハイブリッド型建設機械1の運転を停止する為にイグニッションキー40が操作される(ステップS21)。なお、本変形例においても、ハイブリッド型建設機械1の運転が停止される毎に、コントローラ30がDCバス電圧低下モードを開始する。すなわち、コントローラ30は、上記キー40の操作を受けて、インバータ回路18A、20A及び20Bの駆動を停止する(ステップS22)。これにより、電動発電機12、旋回用電動機21、及びリフティングマグネット7への電力供給が停止する。
次に、コントローラ30は、図3に示した電圧センサ110bによって検出されるDCバス110の電圧値と、バッテリ19の両端電圧とを比較する(ステップS23)。そして、DCバス110の電圧値がバッテリ19の両端電圧より大きい場合(ステップS23;Yes)、昇降圧コンバータ100におけるDCバス110側の目標電圧をバッテリ19の両端電圧と等しく設定し(ステップS24)、昇降圧コンバータ100の駆動を継続する(ステップS25)。そして、DCバス110の電圧値がバッテリ19の両端電圧より大きい間は(ステップS26;Yes)、昇降圧コンバータ100を駆動してバッテリ19の充電を行う。
DCバス110の電圧値がバッテリ19の両端電圧以下になると(ステップS26;No、またはステップS23;No)、コントローラ30は、昇降圧コンバータ100の駆動を停止する(ステップS27)。そして、コントローラ30は、昇降圧コンバータ100とバッテリ19との間のスイッチ100E,100F(図3を参照)を非導通状態とする(ステップS28)。これにより、DCバス110とバッテリ19とが電気的に分離される。そして、コントローラ30は、エンジン11のECU等に指示してエンジン11を停止させる(ステップS29)。
このとき、インバータ回路20Cは冷却用電動機であるポンプモータ71の駆動を続けており、ポンプモータ71によって冷却液循環システム70の内部を冷却液が循環し続けている。コントローラ30は、インバータ回路20Cの駆動を続けて、ポンプモータ71の動作を継続させる(ステップS30)。インバータ回路20Cの駆動は、電圧センサ110bによって検出されるDCバス110の電圧が所定の閾値以下となるまで継続される(ステップS31;No)。なお、この所定の閾値の好適な値は、上記実施形態と同様である。
そして、DCバス110の電圧が所定の閾値以下になると(ステップS31;Yes)、コントローラ30はインバータ回路20Cの駆動を停止する(ステップS32)。これにより、ポンプモータ71の動作が停止してDCバス電圧低下モードが終了し、ハイブリッド型建設機械1の運転が完全に停止する。
本変形例では、上記実施形態と同様、DCバス電圧低下モードにおいて、コントローラ30がポンプモータ71をDCバス110の電圧によって駆動させることにより、DCバス110の電圧が消費される。従って、DCバス電圧低下モードのためだけに抵抗やスイッチ等の部品を新たに追加する必要がなく、信頼性の低下が抑制された構成でもって、DCバス110の電圧を低下させることができる。また、ポンプモータ71は可動部や作業要素等に対して駆動力を与えるものではないので、DCバス110の電圧を安全に低下させることができる。
また、本変形例のように、DCバス電圧低下モード開始時にDCバス110の電圧がバッテリ19の両端電圧より高い場合には、スイッチ100E及び100Fを非接続状態とする前に、昇降圧コンバータ100を駆動してバッテリ19を充電させることが好ましい。これにより、DCバス110の電圧を少しでもバッテリ19に蓄え、エネルギー効率をより向上させることができる。
上記実施形態におけるDCバス電圧低下モードの別の変形例について説明する。図18は、別の変形例に係るDCバス電圧低下モードでのハイブリッド型建設機械1の動作を示すフローチャートである。本変形例では、ハイブリッド型建設機械1が運転を停止している状態において、運転室4a(図1参照)内の操作パネルを介して作業者によりDCバス電圧低下モードの開始に関する入力が為された際に、コントローラ30がDCバス電圧低下モードを開始する。
まず、作業者によってイグニッションキー40が操作され、ハイブリッド型建設機械1が通電状態とされる(ステップS41)。なお、このときエンジン11は停止したままであり、インバータ回路18A、20A〜20Cも停止した状態である。そして、コントローラ30は、作業者によるDCバス電圧低下モードの開始に関する入力を受けて(ステップS42)、インバータ回路20Cの駆動を開始する(ステップS43)。すなわち、インバータ回路20Cは冷却用電動機であるポンプモータ71の駆動を開始し、ポンプモータ71によって冷却液循環システム70の内部を冷却液が循環し始める。コントローラ30は、インバータ回路20Cの駆動を続けてポンプモータ71の動作を継続させ(ステップS44)、このインバータ回路20Cの駆動は、電圧センサ110bによって検出されるDCバス110の電圧が所定の閾値以下となるまで継続される(ステップS45;No)。なお、この所定の閾値の好適な値は、上記実施形態と同様である。
そして、DCバス110の電圧が所定の閾値以下になると(ステップS45;Yes)、コントローラ30はインバータ回路20Cの駆動を停止する(ステップS46)。これにより、ポンプモータ71の動作が停止してDCバス電圧低下モードが終了する。
本変形例では、上記実施形態と同様、DCバス電圧低下モードにおいて、コントローラ30がポンプモータ71をDCバス110の電圧によって駆動させることにより、DCバス110の電圧が消費される。従って、DCバス電圧低下モードのためだけに抵抗やスイッチ等の部品を新たに追加する必要がなく、信頼性の低下が抑制された構成でもって、DCバス110の電圧を低下させることができる。また、ポンプモータ71は可動部や作業要素等に対して駆動力を与えるものではないので、DCバス110の電圧を安全に低下させることができる。
また、本変形例のように、ハイブリッド型建設機械1が運転を停止している状態で、作業者からの入力があった場合にコントローラ30がDCバス電圧低下モードを開始してもよい。これにより、作業者が必要に応じてDCバス110の電圧を低下させることができる。
ここで、上記実施形態では、図4に示したように、サーボ制御ユニット60、旋回用電動機21、電動発電機12、減速機13等の発熱体全てをキーオフ後に冷却する形態について説明したが、本発明に係る作業機械においては、冷却用電動機が少なくともコントロールユニット600を冷却すればよい。コントロールユニット600は密閉構造を有するので、コントロールユニット600内に配置された電子部品は外気によっては冷却されない。このため、キーオフ後に直ちにコントロールユニット600での冷却液の循環を停止させると、運転により高温となったコントロールユニット600内の電子部品からヒートシンクを介して熱を奪うことができず、コントロールユニット600内の電子部品の温度や筐体601内の空気の温度が上昇してしまう。これに対して、キ−オフ後にコントロールユニット600の冷却液の循環を持続させることにより、コントロールユニット600内の電子部品の寿命を延ばすことができる。
本発明を他の作業機械に適用した例について説明する。図19(a)は、作業機械としてのフォークリフト1Aの外観を示す図である。図19(a)に示すように、フォークリフト1Aは、その車体後方に重りをつけることにより当該車体のバランスをとるように構成された、いわゆるカウンタ式のフォークリフトである。
フォークリフト1Aは、運転者が乗り込んで着座するための運転席31、フォーク32、車輪34,38等を有して構成されている。フォーク32は、荷物を昇降させるためのものであり、このフォーク32は、運転席31より前方側に設けられている。車輪34,38は、運転席31より前方と後方とに2つずつ配置されており、運転席31よりも後方に配置された車輪38は、操舵用の車輪である。一方、運転席31よりも前方に配置された車輪34は、駆動輪である。
図19(b)は、フォークリフト1Aが備える電気系統の概略構成図である。フォークリフト1Aは、インバータ回路42,43を有しており、インバータ回路42,43は、蓄電手段41からの直流電力により駆動される。インバータ回路42は、直流電力を交流電力に変換して荷役モータ35を駆動する。一方、インバータ回路43は、走行モータ36を駆動する。荷役モータ35は、フォーク32を昇降させるための作業用電動機であり、走行モータ36は、車輪34を駆動するための作業用電動機である。インバータ回路42,43は、図示しないコントローラによって駆動される。なお、蓄電手段41、インバータ回路42,43を内蔵するインバータユニット、及びコントローラを内蔵するコントロールユニットの構成は、上述した蓄電手段120、インバータユニット62〜65及びコントロールユニット600と同様にできる。
また、フォークリフト1Aは、インバータ回路42,43並びに蓄電手段41の昇降圧コンバータを冷却するための冷却液循環システムを備えている。すなわち、フォークリフト1Aは、冷却液を循環させるポンプ78と、ポンプ78を駆動するポンプモータ(冷却用電動機)79と、ポンプモータ79と蓄電手段41との間に接続されたインバータ回路44とを備えている。インバータ回路44は、インバータ回路42,43と同様に図示しないコントローラによって駆動される。
そして、このコントローラは、蓄電手段41のDCバスの電圧を低下させるためのDCバス電圧低下モードを有しており、該DCバス電圧低下モードにおいて、インバータ回路42,43を停止させると共に、インバータ回路44を駆動してポンプモータ79に電力を消費させることによりDCバスの電圧を低下させる。
本発明による作業機械は、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では作業機械としてリフティングマグネット車両並びにフォークリフトの場合を例示して説明したが、他の作業機械(例えば、ショベルやホイルローダ、クレーン)にも本発明を適用してもよい。