JP2010201515A - 電動グリッパ - Google Patents

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Abstract

【課題】 電動グリッパにおいて、軽量化を図り、部品点数を削減するとともに装置の構造を簡素化する。
【解決手段】 筺体12に固定されたステッピングモータ2の出力軸2aに円盤カム3が軸着され、筺体12と円盤カム3との間にねじりコイルばね6A,6Bが介装されている。円盤カム3の螺旋状に形成されたカム溝26A,26Bには、移動子33,33のベアリング36,36が係入され、移動子33,33はリニアガイド5によって直線的に移動するように支持されている。移動子33,33には、互いに閉じたときまたは互いに開いたときにワークを把持する把持部材4A,4Bが設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ステッピングモータを駆動源として複数の把持部材が互いに開閉する電動グリッパに関し、特に停電時において把持部材からワークが脱落することのない電動グリッパに関するものである。
従来の電動グリッパとしては、ベースの両端部に設けた各支軸に互いに開閉するように回動自在に支持された一対のフィンガーレバーと、前記各支軸に巻回されフィンガーレバーがワークを把持する方向にフィンガーレバーを付勢する一対のねじりコイルばねと、これらねじりコイルばねのねじりモーメントに抗してフィンガーレバーを互いに開く方向に回動させるカムと、このカムを移動させるラックおよびピニオンと、ピニオンを回転させるモータとによって構成され、停電等によってモータの駆動が停止しても、ねじりコイルばねのねじりモーメントによって、フィンガーレバーからワークが脱落しないようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
実公昭62−16305号公報(明細書の第2頁右欄第10行〜第3頁第36行、第2図)
上述したような電動グリッパにおいては、ラックの移動方向に延在するようにカムを配設し、さらにカムの延在方向の外側にフィンガーレバーを設けるというように装置全体が大型化し、軽量化に支障をきたすという問題があった。また、フィンガーレバーを駆動する部材として、モータの他に、ピニオン、一対のラック、一対のカム、一対のねじりコイルばねを必要とするため、部品点数が増加するだけではなく、装置の構造が複雑になるという問題もあった。
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、装置全体の軽量化を図り、部品点数を削減するとともに装置の構造を簡素化した電動グリッパを提供するところにある。
この目的を達成するために、本発明は、筺体に設けられたステッピングモータと、このステッピングモータの出力軸と一体的に回動し螺旋状に形成された複数のカム溝を有する円盤カムと、この円盤カムの回動にともない各カム溝に沿って移動する複数の把持部材と、これら把持部材を直線的に移動させ前記円盤カムと協働して複数の前記把持部材を互いに開閉させるリニアガイドとを備え、前記円盤カムと筺体との間に、複数の前記把持部材を互いに閉じる方向に付勢する第1のねじりコイルばねを介装したものである。
本発明は、筺体に設けられたステッピングモータと、このステッピングモータの出力軸と一体的に回動し螺旋状に形成された複数のカム溝を有する円盤カムと、この円盤カムの回動にともない各カム溝に沿って移動する複数の把持部材と、これら把持部材を直線的に移動させ前記円盤カムと協働して複数の前記把持部材を互いに開閉させるリニアガイドとを備え、前記円盤カムと筺体との間に、複数の前記把持部材を互いに開く方向に付勢する第2のねじりコイルばねを介装したものである。
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記円盤カムに、前記第1または第2のねじりコイルばねの一端部を選択的に装着する二つのばね装着部を設けたものである。
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記円盤カムおよび前記ねじりコイルばねを囲むように前記筺体に固定されたスペーサを備え、このスペーサに、前記第1または第2のねじりコイルばねの他端部を装着するばね装着部を設けたものである。
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記第1または第2のねじりコイルばねの他端部を、前記一端部から前記第1または第2のねじりコイルばねの接線方向に延設した先端部に設けたものである。
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記ステッピングモータの出力軸の回動角を検出するエンコーダを設け、前記把持部材による把持力を、前記ステッピングモータのトルクによる把持力と前記ねじりコイルばねのねじりモーメントによる把持力との合成とし、前記把持部材の移動位置に対する当該把持部材による把持力の変化を相対的に小さくするように、前記ねじりコイルばねの巻数と、前記円盤カムの回動量に対する前記把持部材の移動量の関係とを設定するものである。
本発明によれば、ステッピングモータの駆動によって回動する円盤カムのカム溝のカム作用によって直接把持部材を移動させる構造としたため、装置全体を小型化かつ軽量化することができる。また、ステッピングモータと把持部材との間に、円盤カム、一本のねじりコイルばねおよびリニアガイドとを介装しただけの構造であるため、部品点数を削減できるとともに装置の構造を簡素化することができる。
前記発明のうちの一つの発明によれば、円盤カムに設けた二つの装着部に第1または第2のねじりコイルばねの一端部を選択的に装着できるようにしたことにより、一つの電動グリッパによって、把持部材を互いに閉じた方向でワークを把持するタイプと、互いに開いた方向でワークを把持するタイプの2種類に対応することができるため、製造コストを低減することができる。
同図(A)は本発明に係る電動グリッパを一部破断して示す正面図、同図(B)は底面図である。 本発明に係る電動グリッパを一部破断して示す側面図である。 図2におけるIII 矢視図である。 同図(A)は本発明に係る電動グリッパにおけるスペーサの底面図、同図(B)は同図(A)におけるIV(B)-IV(B) 線断面図である。 同図(A)は本発明に係る電動グリッパにおける円盤カムの底面図、同図(B)は同図(A)におけるV(B)-V(B) 線断面図である。 同図(A)は本発明に係る電動グリッパにおいて、把持部材が互いに閉じるときにワークを把持する場合に使用するねじりコイルばねの正面図、同図(B)は同図(A)におけるVI(B)矢視図である。 同図(A)は本発明に係る電動グリッパにおいて、把持部材が互いに開くときにワークを把持する場合に使用するねじりコイルばねの正面図、同図(B)は同図(A)におけるVII (B)矢視図である。 本発明に係る電動グリッパにおいて、把持部材が互いに閉じたときにワークを把持する場合における円盤カムと把持部材の動作を説明するための図1(A)におけるVIII-VIII 線断面図であって、同図(A)は円盤カムが自由状態であることを示し、同図(B)はねじりコイルばねのねじりモーメントに抗して把持部材を互いに開いたときの円盤カムの回動位置を示し、同図(C)は把持部材が互いに閉じたときの円盤カムの回動位置を示す。 本発明に係る電動グリッパにおいて、把持部材が互いに開いたときにワークを把持する場合における円盤カムと把持部材の動作を説明するための図1(A)におけるVIII-VIII 線断面図であって、同図(A)は円盤カムが自由状態であることを示し、同図(B)は把持部材が互いに開いたときの円盤カムの回動位置を示し、同図(C)はねじりコイルばねのねじりモーメントに抗して把持部材が互いに閉じたときの円盤カムの回動位置を示す。 本発明に係る電動グリッパにおいて、電動グリッパの変位と把持力との関係を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態を図1ないし10に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に全体を符号1で示す電動グリッパは、駆動源としてのステッピングモータ2と、このステッピングモータ2の正逆方向への駆動によって時計または反時計方向に回動する円盤カム3と、この円盤カム3の回動にともない後述する各カム溝26A,26Bに沿って移動する一対の把持部材4A,4Bと、これら把持部材4A,4Bを直線的に移動させ、円盤カム3と協働して把持部材4A,4Bを互いに開閉させるリニアガイド5と、円盤カム3にねじりモーメントを付与する第1および第2のねじりコイルばね6A,6Bとから概ね構成されている。
10,11は共に有底角筒状に形成されたブラケットであって、互いの底部間でステッピングモータ2を挟持するようにして、四本の通しボルト13を一方のブラケット10から挿通させ、他方のブラケット11に螺合することにより、ステッピングモータ2を介して筺体12が形成される。
15はブラケット10に取り付けられたロータリエンコーダであって、ステッピングモータ2の出力軸2aの回動角を検出することにより、把持部材4A,4Bがワークを把持するときに、把持部材4A,4B間の間隔を所定の間隔になるようにステッピングモータ2の駆動を制御する。
17は扁平な正方体に形成されたスペーサであって、図4に示すように四隅にボルト挿通孔18が設けられており、中央部には内フランジ19aが形成された孔19が設けられている。内フランジ19aの内周部の一部には、同図(A)に示すように半円形の凹部21が設けられており、この凹部21にはスペーサ17を貫通するばね装着部としてのばね係入孔21aが設けられている。
円盤カム3は、図5に示すように扁平な円柱状のカム部23aと、このカム部23aよりも径の小さい扁平な円柱状のばね巻回部23bとによって一体に形成されており、カム部23aとばね巻回部23bとの間には段部23cが設けられている。ばね巻回部23bの中央部には、ステッピングモータ2の出力軸2aが嵌合される凹部25が設けられており、凹部25に嵌合された出力軸2aは接着剤によって固定され、円盤カム3は出力軸2aと一体的に回動する。
段部23cには、同図(A)に示すように円周方向に互いに180°だけ間隔をおいてばね装着部としての二つのばね係入孔27A,27Bが設けられており、一方のばね係入孔27Aには、後述する第1のねじりコイルばね6Aの折曲部6aが係入され、他方のばね係入孔27Bには、第2のねじりコイルばね6Bの折曲部6aが係入される。カム部23aの下面には、螺旋状に形成された一対のカム溝26A,26Bが設けられており、これらカム溝26A,26Bは、円盤カム3の回転中心であるO点を中心として点対称となるように配置されている。
図1において、30は正方体に形成されたガイドブロックであって、中央部に円盤カム3のカム部23aが嵌入する孔30aが設けられている。リニアガイド5はボルト31によってガイドブロック30に取り付けられており、矢印A−B方向に直線的に延在するガイド溝5aが設けられている。
33,33は一対の移動子であって、リニアガイド5のガイド溝5aによって互いに開閉するように矢印A−B方向を直線的に移動自在に支持されており、この移動子33とリニアガイド5とガイドブロック30とは、一体化されユニット化されている。各移動子33にボルト34によって把持部材4A,4Bが取り付けられている。この移動子33には、ガイド溝5aを貫通するピン35が植設されており、ピン35の一端部には、円盤カム3のカム溝26A,26Bに係入されるカムフォロアとして機能するベアリング36が装着されている。
第1のねじりコイルばね6Aは、図6に示すように巻回部の一端部が下方に直角に折り曲げられ折曲部6aを形成し、他端部が折曲部6aに対応した部位から接線方向に延設され、この延設部6bの先端部が上方に直角に折り曲げられ折曲部6cを形成している。この第1のねじりコイルばね6Aは、折曲部6cを起点として折曲部6a側が同図(B)において時計方向に巻かれており、折曲部6cを固定した状態で、折曲部6aを同図(B)中時計方向に巻き込むことにより、折曲部6aを反時計方向に付勢するねじりモーメントが蓄積される。
第2のねじりコイルばね6Bは、図7に示すように巻回部の一端部が下方に直角に折り曲げられ折曲部6aを形成し、他端部が折曲部6aに対応した部位から接線方向に延設され、この延設部6bの先端部が上方に直角に折り曲げられ折曲部6cを形成している。この第2のねじりコイルばね6Bは、折曲部6cを起点として折曲部6a側が同図(B)において反時計方向に巻かれており、折曲部6cを固定した状態で、折曲部6aを同図(B)中反時計方向に巻き込むことにより、折曲部6aを時計方向に付勢するねじりモーメントが蓄積される。
次に、このように構成された電動グリッパの組立方法について説明する。先ず、把持部材が互いに閉じたときにワークを把持する場合について説明する。この場合は、第1のねじりコイルばね6Aを用い、この第1のねじりコイルばね6Aの折曲部6cをスペーサ17のばね係入孔21aに係入し、折曲部6aを円盤カム3の一方のばね係入孔27Aに係入する。この状態で、ステッピングモータ2の出力軸2aに円盤カム3の凹部25を嵌合させ、接着剤によって出力軸2aに円盤カム3を固定する。
次いで、円盤カム3のカム溝26A,26B内に移動子33,33の各ベアリング36,36を係入させるようにして、スペーサ17にユニット化したガイドブロック30、リニアガイド5、移動子33を堆積状態で仮に組み付ける。この状態で、ガイドブロック30を第1のねじりコイルばね6Aの巻き方向に360°だけ巻き込むことにより、第1のねじりコイルばね6Aにねじりモーメントが蓄積される。
このねじりモーメントを蓄積させた状態で、図3に示すようにガイドブロック30の四隅に設けた貫通孔(図示せず)とスペーサ17のボルト挿通孔18とを挿通させた通しボルト37をブラケット11のねじ穴に螺合させることにより、図1(A)に示すように、円盤カム3がスペーサ17に囲まれるように、リニアガイド5、ガイドブロック30およびスペーサ17が筺体12に堆積状態で組み付けられる。このとき、第1のねじりコイルばね6Aに蓄積されたねじりモーメントによって、円盤カム3は、図8(A)中反時計方向に付勢される。
次に、このように組み立てられた電動グリップにおける把持部材による把持動作について説明する。ステッピングモータ2を正方向に駆動することにより、出力軸2aが回動し、円盤カム3が図8(B)に示すように、第1のねじりコイルばね6Aのねじりモーメントによる付勢力に抗して角度αだけ時計方向に回動する。この円盤カム3の回動によりカム溝26A,26Bに沿ってベアリング36,36が互いに離間する方向に移動する。この移動と、ベアリング36,36が装着された一対の移動子33,33が矢印A−B方向に移動自在に支持するリニアガイド5との協働によって、把持部材4Aが。図1(A)中矢印A方向に移動し、把持部材4Bが矢印B方向に移動して、把持部材4A,4Bが互いに開いた状態になる。
この状態から、ステッピングモータ2を逆方向に駆動することにより、出力軸2aが回動し、円盤カム3が図8(C)に示すように、第1のねじりコイルばね6Aのねじりモーメントによる付勢力と同じ方向である反時計方向に角度αだけ回動する。この円盤カム3の回動によりカム溝26A,26Bに沿ってベアリング36,36が互いに近接する方向に移動する。この移動と、ベアリング36,36が装着された一対の移動子33,33を矢印A−B方向に移動自在に支持するリニアガイド5との協働によって、把持部材4Aが、図1(A)中矢印B方向に移動し、把持部材4Bが矢印A方向に移動して、把持部材4A,4Bが互いに閉じた状態になり、これら把持部材4A,4Bによってワーク(図示せず)が把持される。
ここで、停電や故障等によってステッピングモータ2の駆動が停止した場合は、第1のねじりコイルばね6Aの付勢力が、同図(A)に示すように円盤カム3に対して図中反時計方向に作用しているため、円盤カム3は同図(C)に示す状態が保持される。このため、把持部材4A,4Bは互いに閉じた状態が保持され、これら把持部材4A,4Bによってワークも把持された状態が保持されるから、ワークが把持部材4A,4Bから脱落するようなことがない。
次に、把持部材が互いに開いた状態でワークを把持する場合について説明する。この場合は、第2のねじりコイルばね6Bを用い、この第2のねじりコイルばね6Bの折曲部6cをスペーサ17のばね係入孔21aに係入し、折曲部6aを円盤カム3の他方のばね係入孔27Bに係入する。この状態で、ステッピングモータ2の出力軸2aに円盤カム3の凹部25を嵌合させ、接着剤によって出力軸2aに円盤カム3を固定する。
次いで、円盤カム3のカム溝26A,26B内に移動子33,33の各ベアリング36,36を係入させるようにして、スペーサ17にユニット化したガイドブロック30、リニアガイド5、移動子33を堆積状態で仮に組み付ける。この状態で、ガイドブロック30を第2のねじりコイルばね6Bの巻き方向に360°だけ巻き込むことにより、第2のねじりコイルばね6Bにねじりモーメントが蓄積される。
このねじりモーメントを蓄積させた状態で、図3に示すようにガイドブロック30の四隅に設けた貫通孔(図示せず)とスペーサ17のボルト挿通孔18とを挿通させた通しボルト37をブラケット11のねじ穴に螺合させることにより、図1(A)に示すようにリニアガイド5、ガイドブロック30およびスペーサ17が筺体12に堆積状態で組み付けられる。このとき、第2のねじりコイルばね6Bに蓄積されたねじりモーメントによって、円盤カム3は、図9(A)中時計方向に付勢される。
次に、このように組み立てられた電動グリップにおける把持部材による把持動作について説明する。ステッピングモータ2を逆方向に駆動することにより、出力軸2aが回動し、円盤カム3が図9(B)に示すように、第2のねじりコイルばね6Bのねじりモーメントによる付勢力に抗して角度αだけ反時計方向に回動する。この円盤カム3の回動によりカム溝26A,26Bに沿ってベアリング36,36が互いに近接する方向に移動する。この移動と、ベアリング36,36が装着された一対の移動子33,33が矢印A−B方向に移動自在に支持するリニアガイド5との協働によって、把持部材4Aが、図1(A)中矢印B方向に移動し、把持部材4Bが矢印A方向に移動して、把持部材4A,4Bが互いに閉じた状態になる。
この状態から、ステッピングモータ2を正方向に駆動することにより、出力軸2aが回動し、円盤カム3が図9(C)に示すように、第2のねじりコイルばね6Bのねじりモーメントによる付勢力と同じ方向である時計方向に角度αだけ回動する。この円盤カム3の回動によりカム溝26A,26Bに沿ってベアリング36,36が互いに離間する方向に移動する。この移動と、ベアリング36,36が装着された一対の移動子33,33を矢印A−B方向に移動自在に支持するリニアガイド5との協働によって、把持部材4Aが、図1(A)中矢印A方向に移動し、把持部材4Bが矢印B方向に移動して、把持部材4A,4Bが互いに開いた状態になり、これら把持部材4A,4Bによってワーク(図示せず)が把持される。
ここで、停電や故障等によってステッピングモータ2の駆動が停止した場合は、第2のねじりコイルばね6Bの付勢力が、同図(A)に示すように円盤カム3に対して図中時計方向に作用しているため、円盤カム3は同図(C)に示す状態が保持される。このため、把持部材4A,4Bは互いに開いた状態が保持され、これら把持部材4A,4Bによってワークも把持された状態が保持されるから、ワークが把持部材4A,4Bから脱落するようなことがない。
このように、ステッピングモータ2の駆動によって回動する円盤カム3のカム溝26A,26Bのカム作用によって直接把持部材4A,4Bを移動させる構造としたため、装置全体を小型化かつ軽量化することができる。また、ステッピングモータ2と把持部材4A,4Bとの間に、円盤カム3、一本のねじりコイルばね6A,6Bおよびリニアガイド5とを介装しただけの構造であるため、部品点数を削減できるとともに装置の構造を簡素化することができる。
また、円盤カム3に設けた二つのばね係入孔27A,27Bに第1または第2のねじりコイルばね6A,6Bの一端部を選択的に装着できるようにしたことにより、一つの電動グリッパによって、把持部材4A,4Bを互いに閉じた方向でワークを把持するタイプと、互いに開いた方向でワークを把持するタイプの2種類に対応することができるため、製造コストを低減することができる。
ここで、表1および図10を用いて、このように構成された電動グリッパにおいて、把持部材4A,4Bの変位に対してモータのトルクとねじりコイルばねのねじりモーメントとによる合成把持力について説明する。なお、表1は、本発明に係る電動グリッパにおいて、電動グリッパの変位に対してモータのトルクとねじりコイルばねのねじりモーメントとによる電動グリッパの合成把持力を説明するための表である。
Figure 2010201515
ここでは、把持部材4A,4Bの変位を0〜5.0mmの範囲とし、定格トルクによる把持力が3.0Nで電流値の制御により定格の30%までに制御が可能なステッピングモータ2を使用し、ねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力を、把持部材4A,4Bの変位が0mmのときにステッピングモータ2のトルクによる把持力の30%で、把持部材4A,4Bの変位が5mmのときにステッピングモータ2のトルクによる把持力の36%とした場合について説明する。
把持部材4A,4Bによる把持力を最大とするようにした場合、把持部材4A,4Bの変位が0mmのときは、把持部材4A,4Bによる把持力は、ステッピングモータ2のトルクによる把持力3.0Nとねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力0.9Nとを加算した3.9Nとなり、把持部材4A,4Bの変位が5mmのときは、把持部材4A,4Bによる把持力は、ステッピングモータ2のトルクによる把持力3.0Nとねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力1.1Nとを加算した4.1Nとなる。これを図10において表すと、グラフ(1)で示され、把持部材4A,4Bの変位に対する把持部材4A,4Bによる把持力の変化量が小さく、把持部材4A,4Bの変位の範囲内において同じような把持力が得られることが判る。したがって、ワークの外形寸法に関係なく変化の少ない安定した把持力が得られるため、使い勝手が向上する。
また、把持部材4A,4Bの移動を反対とした場合は、把持部材4A,4Bの変位が0mmのとき、把持部材4A,4Bによる把持力は、ステッピングモータ2のトルクによる把持力3.0Nにねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力0.9Nを減算した2.1Nとなり、把持部材4A,4Bの変位が5mmのときは、把持部材4A,4Bによる把持力は、ステッピングモータ2のトルクによる把持力3.0Nにねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力1.1Nを減算した1.9Nとなる。これを図10において表すと、グラフ(2)で示される。
一方、把持部材4A,4Bによる把持力を最小とするようにした場合、把持部材4A,4Bの変位が0mmのときは、把持部材4A,4Bによる把持力は、ステッピングモータ2のトルクによる把持力0.9Nとねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力0.9Nとを加算した1.8Nとなり、把持部材4A,4Bの変位が5mmのときは、把持部材4A,4Bによる把持力は、ステッピングモータ2のトルクによる把持力0.9Nとねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力1.1Nとを加算した2.0Nとなる。これを図10において表すと、グラフ(3)で示され、把持部材4A,4Bの変位に対する把持部材4A,4Bによる把持力の変化量が小さく、把持部材4A,4Bの変位の範囲内において同じような把持力が得られることが判る。したがって、ワークの外形寸法に関係なく変化の少ない安定した把持力が得られるため、使い勝手が向上する。
また、把持部材4A,4Bの移動を反対とした場合は、把持部材4A,4Bの変位が0mmのとき、把持部材4A,4Bによる把持力は、ステッピングモータ2のトルクによる把持力0.9Nにねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力0.9Nを減算した0Nとなり、把持部材4A,4Bの変位が5mmのときは、把持部材4A,4Bによる把持力は、ステッピングモータ2のトルクによる把持力0.9Nにねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力1.1Nを減算した−0.2Nとなる。これを図10において表すと、グラフ(4)で示される。
このように、この実施例においては、把持部材4A,4Bによる把持力を、ステッピングモータ2のトルクによる把持力とねじりコイルばね6A,6Bのねじりモーメントによる把持力との合成とし、把持部材4A,4Bの移動位置に対する当該把持部材4A,4Bによる把持力の変化を相対的に小さくするように、ねじりコイルばね6A,6Bの巻数と、円盤カム2の回動角に対する把持部材4A,4Bの移動量との関係を設定している。
実施の形態2
上述した第1の実施例では、予め共に、第1および第2のねじりコイルばね6A,6Bを、巻き方向に巻き込んだ状態で円盤カム3に付勢力を付与するようにしたが、この第2の実施例では、予め共に、第1および第2のねじりコイルばね6A,6Bを、巻き方向と反対方向に回動させた状態で円盤カム3に付勢力を付与するようにしたものである。
すなわち、第1の実施例と同様に、第1のねじりコイルばね6Aの折曲部6aを円盤カム3のばね係入孔27Aに係入し、折曲部6cをスペーサ17のばね係入孔21aに係入した上で、第1の実施例と反対に、第1のねじりコイルばね6Aを巻き方向と反対方向に回動させた状態で円盤カム3に付勢力を付与するようにする。このようにすることにより、一対の把持部材4A,4Bは互いに開く方向に付勢され、上述した第1の実施例における第2のねじりコイルばね6Bを用いたのと同じ作用が得られる。
同様に、第1の実施例と同様に、第2のねじりコイルばね6Bの折曲部6aを円盤カム3のばね係入孔27Bに係入し、折曲部6cをスペーサ17のばね係入孔21aに係入した上で、第1の実施例と反対に、第2のねじりコイルばね6Bを巻き方向と反対方向に回動させた状態で円盤カム3に付勢力を付与するようにする。このようにすることにより、一対の把持部材4A,4Bは互いに閉じる方向に付勢され、上述した第1の実施例における第1のねじりコイルばね6Aを用いたのと同じ作用が得られる。
なお、本実施例においては、把持部材4A,4Bを一対としたが、三個以上としてもよく、その場合は円盤カム3のカム溝26A,26Bも把持部材の数量に対応させて三個以上とすればよい。また、本実施例においては、ステッピングモータ2の出力軸2aに円盤カム3を接着剤によって固定する構造としたが、円盤カムを出力軸に着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
1…電動グリッパ、2…ステッピングモータ、2a…出力軸、3…円盤カム、4A,4B…把持部材、5…リニアガイド、5a…ガイド溝、6A…第1のねじりコイルばね、6B…第2のねじりコイルばね、6a,6c…折曲部、12…筺体、17…スペーサ、21a…ばね係入孔、26A,26B…カム溝、27A,27B…ばね係入孔、33…移動子、36…ベアリング(カムフォロア)。

Claims (6)

  1. 筺体に設けられたステッピングモータと、このステッピングモータの出力軸と一体的に回動し螺旋状に形成された複数のカム溝を有する円盤カムと、この円盤カムの回動にともない各カム溝に沿って移動する複数の把持部材と、これら把持部材を直線的に移動させ前記円盤カムと協働して複数の前記把持部材を互いに開閉させるリニアガイドとを備え、
    前記円盤カムと筺体との間に、複数の前記把持部材を互いに閉じる方向に付勢する第1のねじりコイルばねを介装したことを特徴とする電動グリッパ。
  2. 筺体に設けられたステッピングモータと、このステッピングモータの出力軸と一体的に回動し螺旋状に形成された複数のカム溝を有する円盤カムと、この円盤カムの回動にともない各カム溝に沿って移動する複数の把持部材と、これら把持部材を直線的に移動させ前記円盤カムと協働して複数の前記把持部材を互いに開閉させるリニアガイドとを備え、
    前記円盤カムと筺体との間に、複数の前記把持部材を互いに開く方向に付勢する第2のねじりコイルばねを介装したことを特徴とする電動グリッパ。
  3. 前記円盤カムに、前記第1または第2のねじりコイルばねの一端部を選択的に装着する二つのばね装着部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の電動グリッパ。
  4. 前記円盤カムおよび前記ねじりコイルばねを囲むように前記筺体に固定されたスペーサを備え、このスペーサに、前記第1または第2のねじりコイルばねの他端部を装着するばね装着部を設けたことを特徴とする請求項3記載の電動グリッパ。
  5. 前記第1または第2のねじりコイルばねの他端部を、前記一端部から前記第1または第2のねじりコイルばねの接線方向に延設した先端部に設けたことを特徴とする請求項4記載の電動グリッパ。
  6. 前記ステッピングモータの出力軸の回動角を検出するエンコーダを設け、前記把持部材による把持力を、前記ステッピングモータのトルクによる把持力と前記ねじりコイルばねのねじりモーメントによる把持力との合成とし、前記把持部材の移動位置に対する当該把持部材による把持力の変化を相対的に小さくするように、前記ねじりコイルばねの巻数と、前記円盤カムの回動量に対する前記把持部材の移動量の関係とを設定することを特徴とする請求項1または2記載の電動グリッパ。
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