JP2010201387A - ガス分解素子および発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化が可能で、耐高温の耐酸化性を有する低コストのガス分解素子、発電装置を提供する。
【解決手段】ガス分解素子10は、アンモニア等の含水素ガスが導入される多孔質のアノード2と、酸化性気体が導入される多孔質のカソード3とを備えている。アノードとカソードとの間には、イオン導電性をもつイオン導電材1が介在している。カソード3は、金属粒状体31と、イオン導電性のセラミックス32との焼結体である。金属粒状体31は、Niおよび/またはFeを主成分として構成され、少なくとも表面領域は高耐熱合金化されている。高耐熱合金化処理には、クロマイジング,アルミナイジング等がある。金属粒状体31の最表層は、0.5〜100nmの厚さで酸化されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、含水素ガスを分解するためのガス分解素子および発電装置に係り、特に耐酸化性の向上対策に関する。
分子中に水素原子を含むガス(以下、本明細書では、「含水素ガス」という)は、燃焼性があるために燃料として利用できるものが多いが、有害なものもある。たとえば、アンモニアは、農業や工業に不可欠の化合物であるが、ヒトには有害である。そこで、従来より、水中や大気中のアンモニアを分解する方法が、多く開示されてきた。
特許文献1には、中和剤などの薬液を用いる接触法の例が開示されている。この方法では、噴霧状のアンモニア水を空気流と接触させて空気中にアンモニアを分離して、次亜臭素酸溶液または硫酸と接触させている。
特許文献2には、燃焼法の例が開示されている。この方法では、上記と同じプロセスで空気中にアンモニアを分離した後、アンモニアを触媒により燃焼させている。この場合には、アンモニアを燃料として利用することができる。
特許文献3には、熱分解法の例が開示されている。この方法では、アンモニア含有排水を触媒を用いて分解して、窒素と水とに分解している。
一方、アンモニア分解反応の触媒については、以下のものが公表示されている。アンモニア以外の含水素ガスについても、これらは触媒として利用することができる。
特許文献3には、遷移金属成分を含む多孔質カーボン粒子、マンガン組成物、鉄−マンガン組成物が開示されている。
特許文献4には、クロム化合物、銅化合物、コバルト化合物が開示されている。
特許文献5には、アルミナ製3次元網状構造体に担持された白金が開示されている。
上記の触媒を用いた化学反応によってアンモニアを分解する方法では、窒素酸化物NOxの生成を抑えることができる。
特許文献6,7では、触媒に二酸化マンガンを用いることによって、100℃以下で、より効率的にアンモニアの熱分解を促進する方法が提案されている。
特開平07−031966号公報 特開平07−116650号公報 特開平11−347535号公報 特開昭53−011185号公報 特開昭54−010269号公報 特開2006−231223号公報 特開2006−175376号公報
上記接触法、燃焼法、熱分解法などによれば、アンモニアなどの含水素ガスの分解は可能である。しかし、上記の方法では、薬品や外部エネルギー(燃料)を必要とし、さらに触媒の定期的交換を要し、ランニングコストが高いという問題がある。また、装置が大掛かりとなり、たとえば既存の設備に付加的に設ける場合に配置が難しい場合も生じる。特に、白金を用いる場合には、資源の枯渇、高コストという大きな課題がある。さらに、二酸化炭素を排出するという不具合もある。
特に、燃焼法では、空気を必要とするために、1000℃以上の火炎中では、NOxを排出する問題も発生する。
本発明の目的は、小型化が可能で、高温での耐酸化性を有する低コストのガス分解素子およびこれを用いた発電装置を提供することにある。
本発明のガス分解素子は、分子中に水素原子を含む含水素ガスを分解するために用いられる素子である。そして、含水素ガスが導入される多孔質のアノードと、アノードと対をなし、酸化性気体が導入される多孔質のカソードとを備えている。また、アノードとカソードとの間に、イオン導電性をもつイオン導電材を介在させている。ここで、カソードは、少なくとも表面領域が高耐熱合金化され、その最表層が酸化された金属粒状体を含んでいる。
含水素ガスには、水素,メタン,エタン,プロパン等の炭化水素系ガスや、メタノール,エタノールなどの揮発性アルコールや、アンモニアなどがある。
金属粒状体には、金属粒だけのもの、金属粒連鎖体だけのもの、両者が混在しているものがある。金属粒連鎖体とは、金属粒が連らなってできた数珠状の細長い金属体をいう。
含水素ガスは、炭化水素系ガス,アンモニアガス,水素ガス,揮発性アルコールおよび揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)ガスから選ばれる少なくとも1つのガスである。
上記構成により、カソード側に、高温(たとえば800℃程度)の酸化性気体が導入され、アノード側にアンモニア等の含水素ガスと還元性ガス(たとえば水素)が導入されると、以下の作用効果が得られる。
アノードでは、イオン導電材を通ってカソードから送られる酸素イオンと、含水素ガスと還元性ガスとが反応(アノード反応)して、含水素ガスが、水と他の分子とに分解されるとともに、電子が発生する。たとえば、含水素ガスがアンモニアである場合には、水と窒素とに分解される。含水素ガスが炭化水素系ガスである場合には、水と炭酸ガスとに分解される。
アノード反応で生じた電子は、外部からカソードに送られる。カソードでは、アノードから送られる電子と酸化性気体の電気化学的反応(カソード反応)によって、酸化性気体(たとえば空気)中の酸素が陰イオン化される。この陰イオンは、イオン導電材を通ってアノードに送られ、電気化学的反応によって、含水素ガスの分解を促進させる。
このとき、上記カソードにおいて、金属粒状体の酸化膜が触媒となって、電子と酸素との電気化学的反応が促進される。特に、アノードに、高温(たとえば、800℃程度)の含水素ガスと水素とが導入されると、上記アノードおよびカソードにおける電気化学的反応が促進されることが知られている。
本発明では、少なくとも金属粒状体の表面領域が高耐熱合金化されているので、高温の酸化雰囲気中でも大きな耐酸化性を示す。すなわち、カソードの劣化が抑制され、酸化に起因する堆積物の発生も抑制され、ひいては、メンテナンスがほとんど不要となる。よって、ランニングコストを削減することができる。よって、ガス分解素子を高温で使用して、小型の素子で、大きな処理能力を確保することができる。しかも、白金(Rt)などの高価な貴金属を使用する必要がないので、低コスト化も可能である。
特に、金属粒状体の表面領域は、クロム(Cr)および/またはアルミニウム(Al)に富化されていることにより、高温においても高い耐酸化性を発揮することができる。このための処理としては、クロマイジング(Chromizing)、アルミナイジング(Aluminizing)などがある。
上記金属粒状体の表面領域が、強磁性材料であるNiまたはFeを主成分として構成されていることにより、強磁性金属イオンおよび還元性イオンを含む溶液からの析出過程において、金属粒状体の凝集作用が促進される。つまり、金属粒状体は、数珠状またはひも状に連なる連鎖体となる割合が高くなる。その結果、金属粒状体の導電性が高くなり、電気化学的反応であるカソード反応が促進されるとともに、イオン道電材への陰イオンの移動も促進される。
金属粒状体の酸化された最表層の厚さが、0.5〜100nmであることにより、たとえば600℃〜950℃程度の高温の酸化雰囲気においても、耐酸化性が確実に得られる。
カソードは、金属粒状体と、イオン導電性セラミックスとを含む焼結体とすることが好ましい。これによって、カソードの全位置で、酸化性気体の流通性を確保して、酸化性気体中の酸素と陰イオンとの反応を、触媒作用と電子導電性とを確保しながら、進行させることができる。
上記アノードおよび/またはカソードの、イオン導電材と反対側に、多孔質金属体の集電体を配置することができる。これによって、含水素ガスの流通性を、集電体/電極(アノード、カソード)の部分で、確保することができる。さらに、集電体/電極(アノード、カソード)の部分で、高い電子伝導性を確保することができるため、電力発生(燃料電池)、または電力消費(電気分解装置)の、電力の授受を損失なく確実に行うことができる。
カソードとアノードから電力の取り出しができる構成とすることができる。これによって、含水素ガスを燃料とし、ガス分解素子によって燃料電池を構成して発電を行うことができる。
また、イオン導電材、アノードおよびカソードを加熱するヒータをさらに配置して、上記電力をヒータに供給することができる。これによって、エネルギー効率の優れた含水素ガス分解を行うことができる。
本発明の発電装置は、上記の電力の取り出しができるガス分解素子を備え、電力を他の電気装置に供給するための電力供給部品を備えている。これによって、ガス分解素子を発電装置として用いることができる。ここで、電力供給部品は、配電用の配線、端子などでもよい。
本発明の電極の製造方法は、金属粒状体とイオン導電性セラミックスとの焼結体を形成してから、焼結体を、合金化用元素を含む雰囲気に接触させて、高耐熱合金化処理を行う方法である。
金属粒状体には、金属粒だけのもの、金属粒連鎖体だけのもの、両者が混在しているものがある。
この方法により、高耐熱合金化された表面領域を焼結温度まで昇温する必要がないので、触媒機能や耐高温酸化性機能を高く維持することができる。
また、焼結後に露出している金属粒状体の表面領域だけを高耐熱合金化処理することができる。つまり、焼結前に、高耐熱合金化処理をすると、焼結前には分離していたが、焼結後に結合した金属粒状体同士の境界も高耐熱合金化されて、導電機能が悪化するおそれもある。それに対して、この方法では、上記境界部分は金属粒状体を構成する金属のままであるので、導電機能が高く維持される。
金属粒状体は、少なくとも表面領域がニッケル(Ni)および/または鉄(Fe)によって構成されていることが好ましい。これにより、金属粒状体が金属連鎖体になる割合が高くなるからである。
高耐熱合金化処理の際には、クロム(Cr)および/またはアルミニウム(Al)を含む雰囲気に接触させることが好ましい。
本発明のガス分解素子またはその製造方法によれば、小型化が可能で、高温での耐酸化性を有する低コストのガス分解素子を実現することができる。さらに、このガス分解素子を、発電装置として用いることができる。
本発明の実施の形態1に係るガス分解素子の構成を概略的に示すブロック図である。 実施の形態1に係るガス分解素子の内部構造を示す断面図である。 カソード集電体およびカソードにおける分子、イオンおよび電子の流れの説明図である。 アノードにおける分子、イオンおよび電子の流れの説明図である。 (a),(b)は、順に、アルミナイジング,クロマイジング工程の手順を化学反応式で示す図である。 本発明の実施の形態2に係るガス分解素子の構成を概略的に示すブロック図である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るガス分解素子10の構成を概略的に示すブロック図である。図2は、実施の形態1に係るガス分解素子10の内部構造を示す断面図である。
図1に示すように、ガス分解素子10は、固体電解質1を挟んで相対向するアノード2およびカソード3を備えている。また、アノード2の外側にはアノード集電体8が、また、カソード3の外側にはカソード集電体7が配置されている。
態では、
Figure 2010201387
上記表1は、ガス分解素子10の使用態様を示すものである。
表1に示すように、ガス分解素子10は、燃料電池として発電させることもできるし、電気分解装置として電力投入して作動させることもできる。本実施の形態1では、図1に示すように、ガス分解素子10を燃料電池として用いる場合について説明する。これは、表1におけるR1〜R3の電気化学反応の場合に対応する。
本実施の形態では、アノード2に、含水素ガスとして、アノード2にアンモニアと水素とを、カソード3に酸素を含む空気を導入する場合、すなわち表1のR1の電気化学反応を行う場合について説明する。
ただし、本発明における含水素ガスは、アンモニアや水素ガスに限定されるものではない。含水素ガスとしてしては、炭化水素系ガス,アンモニアガス,水素ガス,揮発性アルコール,および揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)ガスから選ばれる少なくとも1つのガスを用いることができる。
なお、燃料電池では、アノード2は燃料極、カソードは空気極と呼ばれることが多いが、本説明では、アノード2およびカソード3の用語を用いる。
アノード2は、後述する構成を有する金属粒状体21と、酸素イオン導電性のセラミックス22とを主成分とする焼結体である。金属粒状体21には、金属粒と金属が連結されてなる金属粒連鎖体とがあるが、本実施の形態では、金属粒状体21が金属粒連鎖体である場合について、説明する。
酸素イオン導電性のセラミックス22としては、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)、SDC(サマリウム安定化セリア)、LSGM(ランタンガレート)、GDC(ガドリア安定化セリア)などを用いることができる。
また、カソード3は、空隙3hのある多孔体であり、最表面が酸化された金属粒状体31と、酸素イオン導電性のセラミックス32と、好ましくは銀粒子33とを主成分とする焼結体である。金属粒状体31は、ニッケル(Ni)または鉄(Fe)を主成分としており、さらに好ましくはTiを2〜10000ppm程度の微量含むものである。金属粒状体31の少なくとも表面領域は、高耐熱合金化されている。高耐熱合金化処理としては、クロマイジング、アルミナイジングなどがある。金属粒状体21には、金属粒と金属が連結されてなる金属粒連鎖体とがあるが、本実施の形態では、金属粒状体21が金属粒連鎖体である場合について説明する。
酸素イオン導電性のセラミックス32としては、SSC(サマリウムストロンチウムコバルタイト)、LSC(ランタンストロンチウムコバルタイト)、LSM(ランタンストロンチウムマンガナイト)などを用いることができる。
電解質1は、酸素イオン導電性がある、固体酸化物、溶融炭酸塩、リン酸、固体高分子などを用いることができる。特に、固体酸化物は小型化でき、取り扱いが容易なので好ましい。固体酸化物としては、SSZ、YSZ、SDC、LSGM、GDCなどを用いることができる。
カソード集電体7およびアノード集電体8は、連続気孔を持つ金属多孔体であり、ニッケル(Ni)およびまたは鉄(Fe)を主成分として構成されている。また、金属多孔体の少なくとも表面領域は、高耐熱合金化されている。高耐熱合金化処理としては、クロマイジング、アルミナイジングなどがある。
図3は、カソード集電体7およびカソード3における分子、イオンおよび電子の流れの説明図である。図4は、アノード2における分子、イオンおよび電子の流れの説明図である。以下、図2,図3および図4を参照しながら、本実施の形態のガス分解素子10における作用を説明する。
本実施の形態では、分解対象のガスはアンモニア(NH3)であり、酸素イオンを供給する気体は、空気すなわち酸素(O2)とする。アノード集電体8に通されたアンモニアは、アノード集電体の空隙を通って、アノード2まで拡散する。そして、アノード2において、下記反応式(1)
2NH3+3O2−→N2+3H2O+6e− (1)
に従った電気化学的反応(アノード反応)が生じ、アンモニアが分解される。この反応は、金属粒状体21の最表層(酸化膜)と、固体電解質1と、空気層とが接触する3層界面で生じる。反応後の流体であるN2+3H2Oはアノード2から放出される。
アノード反応における金属粒状体21の重要な機能は、電気化学的反応の触媒としての機能と、電気化学的反応で生じた電子eを伝える導電機能とである。
なお、含水素ガスとして、アンモニアに代えて、メタンガス,エタンガス,プロパンガス等の炭化水素系ガスや、メタノール,エタノールなどの揮発性アルコールを用いた場合には、アノード2から、HOとCOとが排出される。
また、カソード集電体7に酸化性気体(たとえば空気)が通されると、カソード3に導入された空気の中の酸素は、下記反応式(2)
O2+2e−→2O2− (2)
に従った電気化学的反応(カソード反応)をする。この反応は、金属粒状体31の最表層(酸化膜)と、固体電解質1と、空気層とが接触する3層界面で生じる。反応によって生じた酸素イオンO2−は、カソード3中のセラミックス32から固体電解質1を通って、アノード2に到達する。アノード2に到達した酸素イオンO2−は、アンモニアと反応式(2)に示すカソード反応をして、アンモニアは分解される。
カソード反応における金属粒状体31の重要な機能は、電気化学的反応の触媒としての機能と、電気化学的反応のための電子eを送り込む導電機能とである。
また、アノード2で生成された電子e−は、負荷5を経てカソード3に向かって流れる。反応式(1),(2)に示す反応の結果、アノード2とカソード3との間に電位差が生じ、カソード3は、アノード2よりも電位が高くなる。よって、カソード3からアノード2に、負荷5を経て電流Iが流れる。上記の反応では、カソード3の電位が、アノード2よりも高くないと、電気化学反応が進行しないが、外部から電位を印可しなくても、この電位条件は満たされ、このガス分解素子10は燃料電池として発電をする。
ガス分解素子10の場合、電解質1の酸素イオンの通過時間を短縮し、かつ各電極での電気化学反応速度も確保することが好ましい。そこで、全体の電気化学反応を促進するために、ヒータ等によって、たとえば600℃〜950℃に加熱される。つまり、負荷5の一部をヒータとすれば、アンモニア等の含水素ガスの分解効率を向上させることができる。ただし、ガス分解素子10を、必ずしも600℃〜950℃の範囲に保持する必要はない。
−カソード側の構成上のポイント−
燃料電池では、アンモニア等の含水素ガスの分解は、600℃〜950℃で、酸素イオンを供給するための酸化性ガスが流れる雰囲気、つまり、高温の酸化雰囲気で行われる。ところが、Ni等からなる金属粒状体31については、高温酸化による触媒作用の劣化や電導性の劣化が生じる。
そこで、本実施の形態のカソード3中の金属粒状体31は、触媒機能および導電機能に加えて、高耐酸化性を有している。具体的には、金属粒状体31の少なくとも表面領域が高耐熱合金化されていること、最表層の酸化膜の厚さが、600℃〜950℃の範囲の高温の酸化雰囲気に適していること、がポイントである。
本実施の形態では、カソード3の金属粒状体31は、ニッケル(Ni)および/または鉄(Fe)を主成分としており、少なくとも表面領域が、高耐熱合金化されている。金属粒状体31の内部は、高耐熱合金化されている必要はない。むしろ、金属粒状体31の内部が、高耐熱合金化されていないことにより、電気抵抗値を低くして、導電性を高めることができる。さらに好ましくはTiを2〜10000ppm程度の微量含むことにより、触媒機能がより高められる。
特に、ニッケル(Ni)は、めっき体や微粒子の作製が容易なため、連続気孔の金属多孔体を製造する上で、非常に好適な金属である、一定の耐酸化性能を備えている、などの利点を有している。
高耐熱合金化処理としては、クロマイジング、アルミナイジング等がある。これにより、金属粒状体31の表面領域は、Crおよび/またはAlの富化層となっている。NiやFe自体、酸素の分解を促進する触媒作用を有するが、クロマイジングやアルミナイジングによって形成されたCrおよび/またはAlの富化層の酸化物は、これら金属の促進作用をさらに大きく高めることができる。
また、金属粒状体31の最表層の酸化層31bの厚さは、0.5〜100nmの範囲にある。この厚さ範囲に形成することにより、電気化学的反応に必要なイオンの伝達量と、高温の酸化雰囲気に対する高耐酸化性とを確保することができる。また、酸下層31bの厚さが0.5nm未満では、触媒効果が発現せず、100nmを超えると電気抵抗値が大きくなり、電子伝導性が低下する。すなわち、酸下層31bの厚さが0.5〜100nmの範囲にあることで、触媒効果と電子伝導性とを両立させることができる。
また、金属粒状体31を、金属粒連鎖体とすることにより、導電機能をさらに高めることができる。金属粒連鎖体(金属粒状体31)は、ひも状に細長く、酸化層31bで被覆された中身31aは良導体の金属(Ni)である。電子e−は、ひも状の金属粒連鎖体の長手方向に、その中身31aを通って、スムースに流れる。このため、電子e−のカソード3への導電性を高く維持することができる。
−アノード側の構成−
上記のカソード3中のNiを主成分とする金属粒状体31の作用は、気体を酸素からアンモニア等の含水素ガスに置き換えて、そのまま、アノード2中の金属粒状体21についても言えることである。
そこで、アノード2の金属粒状体21も、ニッケル(Ni)からなる金属粒連鎖体とするのがよい。Niに鉄(Fe)を少し含むものであってもよい。さらに好ましくはTiを2〜10000ppm程度の微量含むことにより、触媒機能がより高められる。
−実施の形態1の効果−
上述のように、カソード3およびカソード集電体7には、酸素原子を含む酸化力の高い気体が導入される。600℃〜950℃の高温で酸化力の高い気体にさらされる金属は、特別な金属を除いて、当該気体によって酸化されてゆき、所定期間経過後に使用不能になる。カソード3が、使用不能になる形態は、酸化増量による目詰まり(通気性の低下、圧力損失の増大)、集電性能の低下、などである。なお、カソード集電体7においても、高温酸化による同様の、通気性の低下、導電性の低下などが生じる。
一方、アノード2やアノード集電体8などのアノード側は還元性の気体が流通するので、高温酸化の問題は生じにくい。
ここで、本実施の形態では、金属粒状体31の少なくとも表面領域に、クロマイジング、アルミナイジング等の高耐熱合金化処理が施されている。したがって、高温の酸化雰囲気においても、大きな耐酸化性を示す。よって、高温の酸化雰囲気におけるカソード3の金属部分の劣化や、反応生成物の堆積を抑制することができる。
そのため、メインテナンスはほとんど必要なく、ランニングコストを大幅に低減することができる。
しかも、上記のアノード2およびカソード3の構成によって、アノード反応およびカソード反応は、非常に高い反応速度で進行する。このため、小型の簡単な構造の素子によって、大量のアンモニアを能率よく分解することができる。
また、白金(Pt)のような高価な貴金属を用いることもないので、イニシャルコストも低くて済む。
さらに、上記のように発電が可能なので、たとえば本実施の形態のガス分解素子10に内蔵されるヒータの電力を外部から供給しなくてもよいか、または外部からの供給量を減らすことができる。このため、エネルギー効率に優れている。
なお、温度を上げて、触媒に分解対象ガスを接触させるだけで、その分解対象ガスの分解は進行する。それは先行文献に開示されており、上記したように周知である。
しかし、上記のように、燃料電池を構成する素子において、カソード3からイオン導電性の固体電解質1を経て、高温で酸素イオンを反応に関与させ、その結果、生じる電子を外に導通させることで、分解反応速度は飛躍的に向上する。上記カソード3の機能、およびその機能をもたらす構成をもつことが、本発明の大きな特徴の一つである。
Figure 2010201387
表2は、クロム処理による耐食性の向上効果を示すデータである。この試験は、SUS304(8〜10%Ni,18〜20%Cr),SUS310S(19〜22%Ni,24〜26Cr),45Cr30Ni合金の板材について、行なっている。試験温度は800℃,900℃で、0.1%SO,15%CO,2%O,残Nの成分のガスを、100hrの間流している。
表2に示されるように、クロマイジング処理を施したSUS等は、無処理材よりも、約5〜20倍の耐食性,耐腐食量があることがわかる。つまり、カソード3の金属粒状体31に、高耐熱合金化を行うことにより、高温の酸化雰囲気における耐酸化性が向上することがわかる。
−金属粒状体の製造方法−
次に、上記のガス分解素子10の金属粒状体21,31の製造方法について説明する。
1.金属粒状体の形成
カソードおよびアノードの金属粒状体21,31は、還元析出法によって製造するのがよい。この金属粒状体21,31の還元析出法については、特開2004−332047号公報などに詳述されている。ここで紹介されている還元析出法は、還元剤として3価チタン(Ti)イオンを用いる方法であり、析出する金属粒(Ni粒など)は微量のTiを含む。このため、Ti含有量を定量分析することで、3価チタンイオンによる還元析出法で製造されたものと特定することができる。3価チタンイオンとともに存在する金属イオンを変えることで、所望の金属の粒を得ることができる。さらに、金属粒連鎖体とするには、Niの場合はNiイオンを共存させる。Feイオンを微量加えると、微量Feを含むNi粒連鎖体が形成される。また、連鎖体を形成するには、金属が強磁性金属であり、かつ所定のサイズ以上であることがよい。NiもFeも強磁性金属なので、金属粒連鎖体を容易に形成することができる。サイズについての要件は、強磁性金属が磁区を形成して、相互に磁力で結合し、その結合状態のまま金属の析出→金属層の成長が生じて、金属体として全体が一体になる過程で、必要である。所定サイズ以上の金属粒が磁力で結合した後も、金属の析出は続き、たとえば結合した金属粒の境界のネックは、金属粒の他の部分とともに、太く成長する。
そこで、アノード2またはカソード3の金属粒状体21,31に含まれる金属粒の平均直径Dは5nm以上、500nm以下の範囲とするのがよい。また、金属粒連鎖体の平均長さLは0.5μm以上、1000μm以下の範囲とするのがよい。
また、上記平均長さLと平均径Dとの比は3以上とするのがよい。ただし、これら範囲外の寸法を持つものであってもよい。
次に、上記のカソード3の金属粒連鎖体31に、図5(a),(b)に示すアルミナイジング,クロマイジングのような高耐熱合金化処理を施す。アルミナイジング,クロマイジングの双方を行なってもよい。
図5(a)はアルミナイジングの具体例を示している。この方法では、非処理物を、Fe−Al合金粉およびNH4Cl粉よりなる調合剤とともに鋼製ケース内に埋め込む。次いで、ケースを密封して、その密封したケースを炉内に装入し、900℃〜1050℃に加熱する。これによってAl拡散浸透層を得ることができ、耐高温酸化性、耐摩耗性等を向上することができる。
図5(b)はクロマイジングの具体例を示している。この方法では、Niめっき多孔体(Me)を、Cr粉、Al2O3粉およびNH4Cl粉よりなる調合剤とともに、ケース内に埋め込む。次いで、ケース内にH2ガスまたはArガスを通しながら、炉内にて900℃〜1100℃に加熱する。これによって、Cr拡散浸透層を得ることができ、耐高温酸化性能を高めることができる。
なお、図5(a),(b)では、アルミナイジングおよびクロマイジングともに、粉末法のみを示したが、気体法、溶融塩法など、既存の任意の方法を用いて、AlまたはCrを拡散浸透することができる。
−カソード
高耐熱合金化処理は、後述する焼結の後でもよい。図5(a),(b)に示す処理の前に、後述する焼結を行う。そして、焼結体の多孔部にCrを含む微粉末、あるいは、Crを含む微粉末およびAlを含む微粉末をすり込んで、高温に保持する。あるいは、Cr,Alを含むガスを焼結体に流しつつ、高温保持することにより、クロマイジング、アルミナイジングを行う。
これにより、金属粒状体31,21の表面領域に、Cr,Al等を浸透させて、クロマイジング,アルミナイジング等を施す。また、コスト低減のために、Crに代えて、酸化クロム(CrO)を用いることができる。その後、次の表面酸化処理を行う。
この方法により、高耐熱合金化された表面領域を焼結温度まで昇温する必要がないので、触媒機能や耐高温酸化性機能を高く維持することができる。
また、焼結後に露出している金属粒状体21,31の表面領域だけを高耐熱合金化処理することができる。つまり、焼結前に、高耐熱合金化処理をすると、焼結前には分離していたが、焼結後に結合した金属粒または金属粒連鎖体の境界も高耐熱合金化されて、導電機能が悪化する。それに対して、この方法では、上記境界部分はNiやFeを主成分とする金属のままであるので、導電機能が高く維持される。
2.焼結
アノード2またはカソード3に含まれるセラミックス22または32の原料粉末の平均径は0.5μm〜50μm程度とする。表面酸化された金属粒状体21,31と、SSZ22,LSZ32との配合比は、mol比で0.1〜10の範囲とする。
焼結方法は、たとえば大気雰囲気中で、温度1000℃〜1600℃の範囲に、30分〜180分間保持することで行う。
カソード3は、酸化層付き金属粒連鎖体31、LSM、Ag粒子33等の焼結体で構成される。Ag粒子の平均径は、10nm〜100nmとするのがよい。銀と、LSMとの配合比は、0.01〜10程度とするのがよい。
3.表面酸化
アノード2,カソード3内の各金属粒状体21,31は、電気化学反応を促進する触媒作用を高めるために、表面酸化される。
表面酸化処理は、(i)気相法による熱処理酸化、(ii)電解酸化、(iii)化学酸化の3種類が好適な手法である。(i)では大気中で500〜700℃にて1〜30分処理するのがよい。最も簡便な方法である。(ii)では標準水素電極基準で3V程度に電位を印加し、陽極酸化することにより表面酸化を行うが、表面積に応じ電気量により酸化膜厚を制御できる特徴がある。しかし、大面積化した場合、均一に酸化膜をつけることは難しい手法である。(iii)では硝酸などの酸化剤を溶解した溶液に1〜5分程度浸漬することで表面酸化する。酸化膜厚は時間と温度、酸化剤の種類でコントロールできるが薬品の洗浄が手間となる。いずれの手法も好適であるが、(i)または(iii)がより好ましい。
望ましい酸化層の厚みは、0.5〜100nmである。ただし、この範囲外であってもかまわない。酸化皮膜が薄すぎると触媒機能が不十分となる。また、わずかな還元雰囲気でもメタライズされてしまう恐れがある。さらに、イオンは酸化膜を通って運ばれるので、ある程度の厚みが必要である。逆に酸化皮膜が厚すぎると触媒性は充分保たれるが、反面、界面での電子伝導性が損なわれ、発電性能が低下する。
連鎖状金属粉末の表面酸化の時期は、上記の焼結体形成の前でもよいが、焼結体形成後が好ましい。
次に、カソード集電体7の製造工程、特に、連続気孔の多孔体(以下、めっき多孔体と呼ぶ)について、概略的に説明する。
まず、ウレタン等の樹脂に発泡処理を施し発泡させたものを準備する。次いで、発泡した気孔を連続する気孔連続化処理を行う。気孔連続化処理は、ウレタン溶解性のある薬液により、孔部分に残存する薄膜を溶解して除膜するか、あるいは、爆発処理で除膜する方法等がある。但し、これらの方法に限られるものではない。また、ブリヂストン等で気孔連続化処理したウレタンを入手することができ、この方法は好ましく用いられている。このあと、気孔内壁に、導電性炭素膜を付着させるか、または無電解めっき等により導電薄膜を形成する。次いで、電気めっきによって、金属めっき層を導電性炭素膜または導電薄膜上に形成する。この金属めっき層が気孔体の骨格となる。金属めっきはニッケルイオンを含むめっき液を用い、Niめっき層を形成するのがよい。Niは、上記の低温域で耐高温酸化性を有し、かつめっき層の形成が容易である。次いで、熱処理によって樹脂を消散させて、金属めっき層のみを残して、Niめっき多孔体とする。
より高温での耐酸化性能を得るためには、上述のように、Niめっき多孔体に対して合金化処理を施す。この合金化処理は、Cr、Al、その他の金属を外から表層に拡散導入することにより行われる。合金化を表層のみに止めて、合金化表層付きめっき多孔体とするのが普通であるが、中まで合金化する場合もある。
また、めっき液にニッケルイオンおよび他の金属イオンを溶解させて、めっき体をニッケル合金とすることができる。そのように、直接、合金めっき層を形成することで、ニッケル合金の骨格を形成してもよい。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係るガス分解素子の構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態における反応は、一般的には、表1の反応R4のように、電気分解反応である。すなわち、このガス分解素子10は、電気分解素子であり、電力を投入してアンモニア等の含水素ガスを分解する。アノード2には、アンモニア等の含水素ガスを導入し、カソード3には二酸化炭素を導入する。
アノード反応は、実施の形態1と同じであるが、カソード反応は、CO2+2e−→CO+O2−である。
この場合、アノード集電体8と、カソード集電体7との間に、電源9を配置して、アノード側が高くなるように、外部から電位差(電圧)を印加する。外部の電源9は、ガス分解素子10に対して電力を消費する。
上記のように、実施の形態1との間に、電力の発生と消費という相違はあるが、アノード2/電解質1/カソード3および集電体7,8の構成は、実施の形態1と同様である。
つまり、アノード2およびカソード3も、実施の形態1と同様に、表面酸化された金属粒状体21,31とセラミックス22,32との焼結体によって構成されている。カソード3の金属粒状体31は、実施の形態1と同様に、少なくとも表面領域が高耐熱合金化されている。よって、高温の酸化性雰囲気において、高い耐酸化機能を発揮することができる。
その結果、本実施の形態のガス分解素子10によっても、小型で簡単な素子によって大量のアンモニアガスを迅速に処理することができ、イニシャルコストおよびランニングコストが安価である。
実施の形態1においても説明したように、触媒のもとで分解対象ガスを分解させることは周知である。しかし、本実施の形態では、電気化学反応において二酸化炭素を酸素イオンの供給源として反応に関与させ、実用レベルの分解速度を得るために、600℃〜950℃に加熱しながら、維持管理を容易にすることができる。アンモニア分解速度の向上については、実施の形態1におけるものと同様に、カソードにおける触媒(銀粒子、酸化層付き金属粒連鎖体)の酸素イオン生成促進、およびアノードにおける銀粒子を除く同様の構成および作用効果を持たせたることで、反応速度を大幅に向上させることができる。
次に、試験体を用いて実際に検証した例について説明する。用いた試験体は、本発明の実施例1〜8および比較例1,2である。実施例1〜8および比較例1,2における各部の材料やサイズは、表3に示すとおりである。
Figure 2010201387
試験により、所定の温度で、20%のアンモニアを含む空気を分解する能力の時間推移を測定した。結果を表4に示す。ただし、表4における基本条件の処理能力とは、実施例2の試験体を用いて、温度800℃で、5h(5時間)経過時点のものである。この時点の処理能力は1.1mmol/cm・minであり、表4には、この値を100として、各試験体の処理能力が相対値で示されている。
Figure 2010201387
表4から、以下のことがわかる。
カソードの金属粒状体がFe20%Niで構成された実施例1(試験番号t1〜t3)だけについてみると、分解温度が700℃、800℃、9000℃と、高くなるにつれて、初期(5h)の処理能力は高いが、長時間(5000h(5000時間))使用すると、処理能力が低下する。これは、金属粒状体の表面の劣化によると考えられる。
金属粒状体をNiで構成し、酸化層の厚みを、10nm,0.5nm,100nmに変化させた実施例2,3,4(試験番号t4〜t6)についてみると、酸化層が薄いほど、初期(5h)の処理能力は高いが、長時間(5000h)使用すると、処理能力が低下する傾向がある。これは、酸化層が薄いほど、金属粒状体の表面が劣化しやすいからと考えられる。
表3に示されるように、実施例5,6,7は、金属粒状体をNiで構成し、表面層を、それぞれCr富化,Al富化,CrAl富化して、高耐熱合金化したものである。5000h経過後における実施例5,6,7(試験番号t7〜t8)の処理能力は、いずれも基本条件(5h経過時)の50%以上を保持している。特に、金属粒状体の表面層をCrAl富化した実施例7の処理能力は、5000h経過しても、基本条件の70%を維持している。よって、金属粒状体の表面層をCr,Al,CrAl等によって合金化することにより、高温の高酸化条件においても、高い耐熱性が得られている。特に、金属粒状体の表面をクロマイジングおよびアルミナイジングすることによって、顕著な効果を発揮することができる。
金属粒状体をNiで構成し、Ag10%を添加した実施例8の場合(試験番号t10)、初期(5h経過時)の処理能力は高いものの、5000h経過後には、処理能力が基本条件の30%程度まで低下している。したがって、Ag添加だけでは、十分な耐酸化性が得られていないことがわかる。
金属粒状体をNiで構成し、表面層を合金化せずに、酸化層の厚みを、0.3nm,1000nmとした比較例1,2(試験番号t11,t12)では、いずれも長時間経過後における処理能力が低下している。特に、酸化層の厚みを0.3nmまで薄くすると、このような高温での長時間の使用によって、著しく処理能力が低下していることがわかる。つまり、金属粒状体の劣化により触媒機能が十分発現していない。よって、酸化層の厚みは、0.5nm以上であることが好ましい。
酸化層の厚みを1000nmとした比較例2と、0.5nmとした実施例3とを比較すると、5000h経過時には、1000nmの方が処理能力が高い。しかしながら、比較例2の場合、5h、500hでの処理能力はかなり低い。また、このような厚い酸化層が存在すると、電子伝導性が低下する。よって、酸化層の厚みは、100nm以下であることが好ましい。
上記開示された本発明の実施の形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明のガス分解素子は、環境保護のためのアンモニア等の含水素ガスの分解装置や、発電装置として利用することができる。
1 イオン導電性電解質(固体酸化物電解質)
2 アノード
3 カソード
3h 空隙
5 負荷
7 カソード集電体
7a 骨格部
7h 空隙
8 アノード集電体
9 電源
21 金属粒状体
22 セラミックス
31 金属粒状体
32 セラミックス
33 銀粒子

Claims (13)

  1. 分子中に水素原子を含む含水素ガスを分解するために用いられる素子であって、
    前記含水素ガスが導入される多孔質のアノードと、
    前記アノードと対をなし、酸化性気体が導入される多孔質のカソードと、
    前記アノードとカソードとの間に介在し、イオン導電性をもつイオン導電材とを備え、
    前記カソードは、少なくとも表面領域が高耐熱合金化され、その最表層が酸化された金属粒状体を含んでいる、ガス分解素子。
  2. 請求項1記載のガス分解素子において、
    前記金属粒状体の表面領域は、クロム(Cr)および/またはアルミニウム(Al)に富化されている、ガス分解素子。
  3. 請求項1または2記載のガス分解素子において、
    前記カソードの金属粒状体は、ニッケル(Ni)および/または鉄(Fe)を主成分として構成されている、ガス分解素子。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載のガス分解素子において、
    前記金属粒状体の酸化された最表層の厚さは、0.5〜100nmである、ガス分解素子。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載のガス分解素子において、
    前記含水素ガスは、炭化水素系ガス,アンモニアガス,水素ガス,揮発性アルコール,および揮発性有機化合物ガスから選ばれる少なくとも1つのガスである、ガス分解素子。
  6. 請求項1〜5のうちいずれか1つに記載のガス分解素子において、
    前記カソードは、前記金属粒状体と、イオン導電性セラミックスとの焼結体である、ガス分解素子。
  7. 請求項1〜6のうちいずれか1つに記載のガス分解素子において、
    前記アノードおよび/またはカソードの、前記イオン導電材と反対側に、多孔質金属体の集電体が配置されている、ガス分解素子。
  8. 請求項1〜7のうちいずれか1つに記載のガス分解素子において、
    前記カソードと前記アノードから電力の取り出しが可能である、ガス分解素子。
  9. 請求項8記載のガス分解素子において、
    前記イオン導電材、アノードおよびカソードを、加熱するヒータをさらに備え、
    前記カソードと前記アノードから取り出された電力が、前記ヒータに供給される、ガス分解素子。
  10. 請求項9に記載のガス分解素子と、
    前記電力を他の電気装置に供給するための電力供給部品と、
    を備えている発電装置。
  11. 金属粒状体とイオン導電性セラミックスとの焼結体を形成する工程(a)と、
    前記工程(a)の後、前記焼結体を、合金化用元素を含む雰囲気に接触させて、高耐熱合金化処理を行う工程(b)と、
    を含む電極の製造方法。
  12. 請求項11記載の電極の製造方法において、
    前記工程(a)では、少なくとも表面領域がニッケル(Ni)および/または鉄(Fe)によって構成される金属粒状体を用いる、電極の形成方法。
  13. 請求項12記載の電極の製造方法において、
    前記工程(b)では、クロム(Cr)および/またはアルミニウム(Al)を含む雰囲気に接触させる、電極の製造方法。
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