JP2010200619A - 魚釣用スピニングリール - Google Patents

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Abstract

【課題】釣糸を係止し易く、かつ、係止状態から急激に釣糸が引出される際に容易に係止状態を解除することのできる魚釣用スピニングリールを提供すること。
【解決手段】釣糸8が巻回される釣糸巻回胴部16aの前部にフランジ16cを配置し、後部にスカート部16bを配置したスプール16を備え、ハンドル28の回転操作に連動して回転するロータ16の釣糸案内部36を介して、釣糸巻回胴部16aの釣糸巻回面17上に釣糸を巻回する魚釣用スピニングリール10であって、スプール16の外面上に釣糸保持部材46を装着し、釣糸巻回胴部16aの釣糸巻回面17よりも径方向外方部位で、この釣糸保持部材46と、この釣糸保持部材46に対してスプールの軸方向に沿って対向するスプールの部位52aとの間に、釣糸巻回胴部16aから引出された釣糸の一部8aを軸方向に沿う前後から挟持する挟持溝56を形成した魚釣用スピニングリール。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ハンドルの回転操作に連動して回転するロータの釣糸案内部を介して、スプールの釣糸巻回胴部に釣糸を巻回する魚釣用スピニングリールに関する。
例えばトローリングを行う際に、両軸リールに代えてスピニングリールを用いたり、より細い釣糸を用いたりすることにより、より厳しい条件下で魚とのファイトを楽しむスポーツフィッシングが行われるようになってきている。
このようなトローリング釣法では、アウトリガーと称するアーム部材をボートの船尾側から側方に張出し、この先端側に設けたラインクリップを介して釣糸および仕掛けを後方に流すことにより、近くに置いた釣り竿から後方に流した釣糸との間隔を広げ、隣接する釣り竿から延びる釣糸同士が互いに絡まらないようにすることがある。
スピニングリールから繰出す釣糸をアウトリガーを用いてボートの側方に張出して後方に流す場合には、波、風向き、ボートの向きの影響等により、スプールからアウトリガーのラインクリップまでの間で、釣糸の弛みすなわち糸フケが発生すると、この釣糸がスプールから外れてロータ側に移動する糸落ちや、ロータに絡まる糸絡みが発生し易くなる。このような糸落ちや糸絡みを防ぐためには、釣糸をスプールに一時的に保持させ、釣糸に張力を付与しておく必要がある。
このようなスピニングリールにおける糸フケを防止するための手段として、種々の手段が開発されている。
例えば、スプールの後側に位置する金属薄板製スカート部の外周に、周方向に延びる溝部を形成し、糸止め本体部の周方向の一部を切り欠いて釣り糸係止部を形成した合成樹脂製の糸止め部材を、この溝部に着脱自在に装着し、周方向に移動自在としたスピニングリールのスプールがある(例えば特許文献1参照)。
また、スプールのスカート部の外周面に浅溝を形成し、スプールの内側に固定した挟着片の屈曲した先端部を、この浅溝に形成した貫通孔から外部に突出させ、この挟着片の先端部の下面と浅溝との間で釣糸を挟着止する釣糸挟着止装置が開発されている(例えば特許文献2参照)。
特開2002−360133 実開昭56−8182号公報
しかし、金属製スカート部の周方向に延びる溝部に糸止め部材を装着したスプールは、軸方向に延びる釣り糸係止部に釣糸を係止した後、釣糸と共に釣り糸巻取り方向に移動し、その弾性力により固定するものであり、釣り糸をスプールの径方向外方から係止する。また、挟着片の先端部の下面と浅溝との間で釣糸を係止する釣糸挟着止装置も、挟着片の先端部により、釣糸を径方向外方から係止したものである。
いずれも、係止された釣糸はスプール径方向外側すなわち釣糸を上から押さえる状態で径方向内方に押圧して保持するものである。また、釣糸を係止させる際には、糸止め部材又は釣糸を巻回胴部の後方に向けて軸方向に移動し、所要部位を係止させた後、この係止された部位と胴部との間で弛みを除去する必要があり、面倒な操作を必要とする。
更に、巻取り状態で魚がヒットし、スピニングリールの釣糸案内部を介して釣糸が急激に引出される際に、釣糸の係止状態を解除しにくく、このため、糸止め部材を折損したり、糸切れが発生することもある。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、釣糸を係止し易く、かつ、係止状態から急激に釣糸が引出される際に容易に係止状態を解除することのできる魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によると、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部の前部にフランジを配置し、後部に円筒部を配置したスプールを備え、ハンドルの回転操作に連動して回転するロータの釣糸案内部を介して、前記釣糸巻回胴部の釣糸巻回面上に釣糸を巻回する魚釣用スピニングリールであって、前記スプールの外面上に釣糸保持部材を装着し、前記釣糸巻回胴部の釣糸巻回面よりも径方向外方部位で、この釣糸保持部材と、この釣糸保持部材に対してスプールの軸方向に沿って対向するスプールの部位との間に、前記釣糸巻回胴部から引出された釣糸の一部を軸方向に沿う前後から挟持する挟持溝を形成した魚釣用スピニングリールが提供される。
更に、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部の前部にフランジを配置し、後部に円筒部を配置したスプールを備え、ハンドルの回転操作に連動して回転するロータの釣糸案内部を介して、前記釣糸巻回胴部の釣糸巻回面上に釣糸を巻回する魚釣用スピニングリールであって、前記スプールの外周に装着されて釣糸の一部を保持する釣糸保持部材を備え、この釣糸保持部材は、前記釣糸巻回胴部の釣糸巻回面よりも径方向外方部位で、釣糸の一部をスプールの軸方向に沿う前後から挟持する挟持溝を有する魚釣用スピニングリールが提供される。
前記釣糸保持部材は、前記スプールの円筒状部に装着されることが好ましい。
本発明の魚釣用スピニングリールによると、挟持溝が、釣糸巻回胴部の釣糸巻回面よりも径方向外方部位で、スプールの軸方向に沿う前後から釣糸の一部を挟持することにより、スプールの釣糸巻回胴部から繰出された釣糸が、釣糸の巻回方向に沿う状態で保持され、釣糸を係止させ易く、かつ、係止状態から急激に釣糸が引出される際にも釣糸を損傷させることなく容易に係止状態を解除することができる。
釣糸保持部材がスプールの円筒状部に装着される場合には、釣糸の係止および係止解除操作を容易かつ確実に行うことができる。
本発明の好ましい実施形態による魚釣用スピニングリールの説明図。 釣糸を係止した状態のスプールの説明図。 スプールの内部構造を示し、(A)は縦断面図、(B)はその一部を拡大した断面図、(C)は変形例の断面図。 図3のIV−IV線に沿う断面図。 リール本体に装着した状態の内部構造を示す説明図。 ボートからアウトリガーを張出したトローリングの際の説明図。 図6の一部を拡大した説明図。
図1から図5は、本発明の好ましい実施形態による魚釣用スピニングリール10を示す。
図1にその全体を示すように、本実施形態の魚釣用スピニングリール10は、剛性構造のリールボディの一側に固定される着脱可能の蓋体(図示しない)でその内部空間を閉じたリール本体12を有し、このリール本体12から上方に延出する脚部12aの端部に形成された竿取付部12bを介して釣竿に取り付けられる。このリール本体12の内部空間内に、ロータ14を回転駆動してスプール16に釣糸を巻回するための巻取駆動機構18と、スプール16を前後に往復動させるスプール往復動装置20とが設けられている。
本実施形態の巻取駆動機構18は、リール本体12内のハンドル軸22に固定されたドライブギヤ24と、このドライブギヤ24に噛合するピニオンギヤ26とを備える。ハンドル軸22はリール本体12のリールボディと蓋体とにそれぞれ支えられた2つの軸受で回転自在に支えられ、ハンドル28により回転される。このハンドル28の回転により、ハンドル軸22およびドライブギヤ24を介して駆動されるピニオンギヤ26は、筒軸37(図5)の後端部に一体的に形成してあり、この筒軸37はハンドル軸22に対して直交する前後方向に延びかつリール本体12に対して回転自在に支持されている。このピニオンギヤ26と同軸かつ一体に形成される筒軸37の先端側に、上述のロータ14が一体的に取り付けられる(図5)。
この筒軸37を介してピニオンギヤ26と共に回転するロータ14は、ハンドル軸22側に位置する基端側の径方向に対向した部位から前方に突出する一対のアーム部30を有し、これらのアーム部30の先端側にベール支持部材32を介してベール34およびラインローラ36が配置されている。このベール34およびラインローラ36は、一方のアーム部30内に配置した振分け機構により、図1に示す巻取り位置と、図示しない釣糸放出位置とに振分け配置することができる。ハンドル28を回転すると、ベール34およびラインローラ36は、釣糸放出位置に配置されている状態でも、図1に示す巻取り位置に復帰される。釣糸はベール34からラインスライダー35を介してラインローラ36に案内され、このラインローラ36からスプール16上に順に巻回される。
このピニオンギヤ26および筒軸37内を、スプール軸38が貫通し、ハンドル軸22と直交する方向に延在している。このスプール軸38は、ピニオンギヤ26と同軸状に配され、このピニオンギヤ26およびリール本体12に対してハンドル軸22と直交する方向に沿って前後動することができる。このスプール軸38の先端部に、釣糸が巻回されるスプール16が取り付けられる。
スプール16をスプール軸38を介して前後方向に往復動するスプール往復動装置20は、ピニオンギヤ26に噛合する連動歯車40で回転駆動されるカム軸42を有し、このカム軸で前後方向に移動される摺動体44がスプール軸38の後端に取付けられている。ハンドル軸22が回転されると、ピニオンギヤ26および連動歯車40を介して回転駆動されるカム軸40により、摺動体44およびこの摺動体が取付けられたスプール軸38が、ロータ14の回転と同期して前後方向に往復動される。
このように形成された魚釣用スピニングリール10は、ハンドル28を回転操作してハンドル軸22を回転させると、スプール往復動装置20の摺動体44に取付けられたスプール軸38を介してスプール16が前後に往復動し、一方、巻取駆動機構18のドライブギヤ24とピニオンギヤ26とを介してロータ14が回転駆動される。したがって、スプール16の凹設された釣糸巻回胴部16aに、ラインローラ36で案内された釣糸がほぼ均等に巻回される。
実施形態として、ロータ14の逆転防止機構を図示してないが、筒部14a内に、このロータ14の回転状態を、逆転防止状態と正逆転可能状態とに切換える逆転防止機構(図示しない)を設けてもよい。この場合には、リール本体12の好適位置に設けたレバー(図示しない)により、ロータ14を釣糸巻取方向(正転方向)および釣糸繰出方向(逆転方向)に自由に回転できる正逆転可能状態と、正転方向にのみ回転可能な逆転防止状態とに切換えることができる。
図2および図3に示すように、スプール16は、釣糸8が巻回される釣糸巻回胴部16aを外周部に凹設し、この釣糸巻回胴部16aの前部に前側フランジ16cを配置し、後部にスカート部16cと後側フランジ16dとからなる円筒部を配置した円筒状構造に形成してある。この釣糸巻回胴部16aの略円筒状の釣糸巻回面17には、特に、釣糸巻回面17上の最も内側の第1層を形成する釣糸8が軸方向に沿って摺動するのを防止する周方向溝17a(図3、5)を形成してもよく、その形状も、円筒状に代え、テーパ状、逆テーパ状あるいは中高形状等、種々の形状に形成することができる。
図2から図4に示すように、このような釣糸巻回胴部16aに隣接するスプール16の外周面上の部位には、本実施形態では、スカート部16bを形成する材料よりも柔軟で弾性を有する、例えばニトリルゴム(NBR)や軟質樹脂等の弾性材料で環状構造に形成した釣糸保持部材46を装着してある。
図3の(A)および(B)に示す釣糸保持部材46は、リング状の本体部48と、この本体部48の内周側から突出する突条50とを有する。一方、スプール16のスカート部16bの前端側すなわち釣糸巻回胴部16aに隣接する端部側には、釣糸保持部材46の本体部48を収容する収容溝52を形成し、この収容溝52の底面には、釣糸保持部材46の突条50を嵌合させてこのスプール16に固定する保持溝54を形成してある。本実施形態の収容溝52は、径方向外方および前方に向けて開口する。
このような釣糸保持部材46の突条50を、スプール16の保持溝54に嵌合し、本体部48を、収容溝52に収容すると、この本体部48の後端面48aとスプール16の部位である収容溝52の前端面52aとがスプール16の軸方向に沿って対向する。これらの軸方向に沿って対向する2つ面の間により、釣糸8を挟持する挟持溝56が釣糸巻回胴部16aの釣糸巻回面17よりも径方向外方部位に形成される。
この挟持溝56は、スカート部16bの外周面上を周方向に沿って延びており、その延設方向の全体にわたって径方向外方に開口する。図3の(B)に点線で示すように、釣糸巻回胴部16aから繰出された釣糸の一部8aを周方向に沿って挟持溝56の径方向外方に配置し、挟持溝56内に押し込むように付勢すると、釣糸保持部材46が弾性変形し、図3の(B)に実線で示すように、釣糸の一部8aが挟持溝56内に貫入する。この釣糸8の一部8aは本体部48の後端面48aと収容溝52の前端面52aとで前後から付勢した状態で確実に保持される。この挟持溝56から外部に延びる自由端側に、付勢力に抗して釣糸の一部8aを引出すと、図4に示すように、釣糸巻回胴部16a上の釣糸8の弛みが解消される。スプール16に対する釣糸8の係止を極めて容易かつ確実に行うことができる。
このように一部8aが係止されることにより、ベール34が釣糸巻取位置(図2)又は釣糸放出位置(図示しない)のいずれの位置に配置された状態でも、釣糸巻回胴部16a上に巻回された釣糸8に緩みが生じない。挟持溝56内に挟持する釣糸8の長さを調整することで、保持力を調整することができる。特に、釣糸保持部材46がスプール16の円筒状部を形成するスカート部16bに装着されることにより、手元側の広く安定した領域で釣糸8の係止操作を容易に行うことができ、また、係止解除操作は釣糸8を、例えば自由端側から救い上げるようにして挟持溝56から径方向外方に滑らせることで容易かつ確実に行うことができる。
図2に示すように、このように挟持溝56でその一部8aを挟持された釣糸8は、前側フランジ16cの外縁部を超えて前方に繰出され、釣り竿6(図6,7)に設けた釣糸ガイド(図示せず)を介して繰出される。
例えば魚がヒットして釣糸8が前方に繰出されると、挟持溝56内に挟持された釣糸の一部8aがこの挟持溝56から直ちに引出される。挟持溝56は、釣糸の一部8aをスプール16の軸方向に沿う前後から付勢するのみであるため、釣糸の一部8aに損傷を与えることがない。また、挟持溝56がスカート部16bの外周面に沿う円弧状の部分で釣糸の一部8aを挟持するため、挟持溝56から突出する部位を挟持する力が小さく、したがって、挟持溝56から離脱する際に、釣糸8に大きな力が作用することもない。
このような挟持溝56は、釣糸保持部材46とスプール16の部位との間に形成するだけでなく、図3の(C)に示すように、釣糸保持部材46自身に形成することもできる。この場合も、挟持溝56は、釣糸巻回胴部16aの釣糸巻回面17よりも径方向外方部位で、スカート部16bの外周面に沿って周方向に延び、径方向外方に開口する。
挟持溝56を釣糸保持部材46に直接形成する場合には、挟持溝56の形成が極めて簡単に行うことができると共に、スプール16への取付け位置及び取付状態に制約を受けない。
このような挟持溝56を形成する釣糸保持部材46は、スカート部16bの全周にわたって連続する環状構造に代え、1つ又は複数の円弧状に形成し、好適な収容溝52を介してスプール16のスカート部16b等に装着してもよい。この場合には、挟持溝56は、スプール16の外周面に沿う1つ又は複数の円弧状の溝で形成される。いずれの場合も、釣糸8の導入を容易にするために、挟持溝56の径方向外側に、図3の(B)に示すような開先状の案内面58を形成してもよい。また、挟持溝56の前側と後側との一方を他方より高くした段差面を形成し、釣糸8を導入するようにしてもよい。更に、釣糸保持部材46の外周面に、案内溝(図示しない)を形成し、釣糸巻回胴部16aと挟持溝56との間で釣糸8を案内するようにしてもよい。
このような挟持溝56を形成した魚釣用スピニングリール10によると、挟持溝56が、釣糸巻回胴部16aの釣糸巻回面17よりも径方向外方部位で、スプール16の軸方向に沿う前後から釣糸の一部8aを挟持することにより、スプール16の釣糸巻回胴部16aから繰出された釣糸8が、釣糸の巻回方向に沿う状態で保持され、釣糸8を係止させ易く、かつ、係止状態から急激に釣糸が引出される際にも釣糸を損傷させることなく容易に係止状態を解除することができる。
挟持溝56を形成する釣糸保持部材46は、収容溝52内に適宜の手段で固定することができ、上述のような突条50と保持溝54だけでなく、例えば接着剤を用いてもよく、更に、収容溝52の前方を閉じた凹溝状に形成し、釣糸保持部材46を軸方向に移動不能に収容することもできる。
図3の(A)および図5に示すように、スプール16の軸方向のほぼ中央部の内側には、スプール軸38に装着するための貫通孔60を軸心と同心状に配置した支持壁62を一体に形成し、例えば図示しないドラグ機構を収容する前部凹部64を形成してある。この支持壁62のスカート部16b側からは、例えばドラグ機構の制動板押圧用の押圧スプリングの付勢力を支えるスプリングメタルである六角形状である非円形内周面を有する筒状構造のスプール支持部材66(図5)が突出する。
一方、図5に示すように、スプール軸38が摺動自在に貫通する筒軸37の先端部はロータ14の前壁14bに回り止め嵌合し、ロータナット68によりロータ14と筒軸37とが強固な一体構造に形成されている。本実施形態のロータナット68は、例えばボール軸受70を介してスプール軸38に対して回転自在でかつスプール軸38の軸方向移動を阻害しない構造に形成してある。具体的には、スプール16が最も後方に移動した状態でも、図5に示すようにロータナット68の前端面68aとスプール軸38に一体的に固定されスプール16で嵌合支持するスプール支持部材66の後端面66aとの間の間隙Sを、相互接触を防止できる程度の極僅かな大きさに形成することにより、上述のスプール往復動装置20(図1)による軸方向に沿う移動距離を最大としつつ、魚釣用リール10の全体の軸方向長さを短くしてある。
本実施形態では、これらのロータナット68とスプール支持部材66との間の軸方向間隙Sを、スプール軸38に近い中心側で狭くかつスプール軸38から離隔する外側で広く形成してあり、半径方向断面がスプール軸38側に向けてテーパ状の形状を形成する。
このように半径方向外方に向けて軸方向間隔が増大する間隙Sをロータナット68の前端面68aとスプール支持部材66の後端面66aとの間に形成することにより、スカート部16bの後端側でスカート部16bとロータ14との間に形成される隙間からスカート部16bの内部に入りこみ、間隙S内に落ち込んで絡みついただ場合でも、容易に解いて抜き出すことができる。
このような釣糸8の落ち込みあるいは糸絡みは、特に、トローリング釣法等で太いショックリーダーを使用する場合に、その剛性により、釣糸巻回胴部16aになじみ難くいために、不意にスプール16から脱落することで発生することが多く、このような場合であっても、容易に釣糸8を解くことができる。特に、スプール支持部材66の後端面66aと共に間隙Sを区画するロータナット68の前端面68aとを、テーパ状に形成したことにより、この前端面68aに沿って釣糸8を半径方向外方に案内することができる。
このような、テーパ状の端面66a,68aで区画する間隙Sは、上述のようなロータの逆転防止機構の切換レバーを設けてないスピニングリールでも、絡んだ糸8を容易に解くことができるため、このような、ロータ14の逆転ができないスピニングリールに特に有益である。
上述の魚釣用スピニングリール10は、通常の釣り用として用いることが可能なことは勿論であるが、特に、ボートから仕掛けを流しつつ掛かった魚とのファイトを行うトローリング釣法にも、好適に用いることができる。
例えば図6および図7に示すように、例えばボートYの船尾側の左舷側位置A、中央位置Bおよび右舷側位置Cの3つの位置にそれぞれ釣り竿6を設置する場合は、中央位置Bに配置した釣り竿6からは釣糸8および仕掛けをそのまま後方に流し、左舷位置Aおよび右舷位置Cに設置した釣り竿6については、側方かつ後方に張出したアウトリガーポールRを介して流し、隣接する釣糸8との間隔を広げ、それぞれの釣り竿6から延びる釣糸8同士が絡まるのを防止する。
この場合には、図7に示すように、アウトリガーポールRの先端に設けたラインクリップLとスピニングリール10との間で釣糸8が弛むことがある。このような釣糸の弛みは、波によるボートYの上下動、風向きの変化、更に、ボートYの進行方向や速度が変化する場合に発生し易い。釣糸8の弛みは、特に、道糸又はショックリーダー等の太い釣糸8を用いるトローリングの場合、スプール16の釣糸巻回胴部16a上に巻回した釣糸8の緩みおよびスプール16からの脱落を生じやすいが、上述のように、スプール16の外周面に挟持溝56を形成したスピニングリール10では、釣糸巻回胴部16aに隣接した部位で釣糸の一部8aが挟持されて保持されているため、釣糸8がスピニングリール10上で緩むことはない。
更に、魚がヒットして急激に釣糸8が引出された場合には、挟持溝56内の釣糸8は径方向外方から押さえられることなく、スプール16の軸方向に沿う前後からのみ弾力的に付勢された状態で保持されているだけであるため、この挟持溝56から容易に外れることができる。このとき、釣糸8および釣糸保持部材46が損傷することもない。
仮に、釣糸巻回胴部16aから脱落した釣糸8が後方の隙間からスプール16内に落ち込み、ロータナット68の前端面68aとスプール支持部材66の後端面66aとの間の間隙S内に絡みついた場合でも、テーパ状の端面66a,68aを介して容易に解くことができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限るものではない。例えば、ロータナット68とスプール支持部材66との間の間隙Sを、径方向外方に向けて軸方向距離を互いに大きく形成するテーパ状の端面66a,68aは、挟持溝56を設けない魚釣用スピニングリールに形成することも可能である。更に、挟持溝56は、釣糸の一部8aを径方向に沿って導入又は抜出可能なものであれば、上述の実施形態のようにスプール16の中心軸線に対して直交する方向に形成するだけでなく、傾斜方向に形成することも可能である。
8…釣糸、10…魚釣用スピニングリール、14…ロータ、16…スプール、16a…釣糸巻回胴部、16b…スカート部(円筒部)、16c…フランジ、28…ハンドル、46…釣糸保持部材、52a…スプールの部分(端面)、56…挟持溝。

Claims (3)

  1. 釣糸が巻回される釣糸巻回胴部の前部にフランジを配置し、後部に円筒部を配置したスプールを備え、ハンドルの回転操作に連動して回転するロータの釣糸案内部を介して、前記釣糸巻回胴部の釣糸巻回面上に釣糸を巻回する魚釣用スピニングリールであって、
    前記スプールの外面上に釣糸保持部材を装着し、前記釣糸巻回胴部の釣糸巻回面よりも径方向外方部位で、この釣糸保持部材と、この釣糸保持部材に対してスプールの軸方向に沿って対向するスプールの部位との間に、前記釣糸巻回胴部から引出された釣糸の一部を軸方向に沿う前後から挟持する挟持溝を形成したことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
  2. 釣糸が巻回される釣糸巻回胴部の前部にフランジを配置し、後部に円筒部を配置したスプールを備え、ハンドルの回転操作に連動して回転するロータの釣糸案内部を介して、前記釣糸巻回胴部の釣糸巻回面上に釣糸を巻回する魚釣用スピニングリールであって、
    前記スプールの外周に装着されて釣糸の一部を保持する釣糸保持部材を備え、この釣糸保持部材は、前記釣糸巻回胴部の釣糸巻回面よりも径方向外方部位で、釣糸の一部をスプールの軸方向に沿う前後から挟持する挟持溝を有することを特徴とする魚釣用スピニングリール。
  3. 前記釣糸保持部材は、前記スプールの円筒状部に装着される請求項1又は2に記載の魚釣用スピニングリール。
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