JP2010199219A - 分布帰還型半導体レーザ及びその製造方法 - Google Patents

分布帰還型半導体レーザ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】動作電圧の上昇、出力特性のバラつき、これらを同時に抑制した、分布帰還型半導体レーザ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】活性層の端面からレーザ光を出射する分布帰還型半導体レーザにおいて、活性層上に形成された化合物半導体からなる光ガイド層と、光ガイド層上に形成された化合物半導体からなるクラッド層4とを備えている。クラッド層4は、第1クラッド層4A、第2クラッド層4B、及び第3クラッド層4Cを光ガイド層上に順次積層してなり、第1クラッド層4Aの表面は周期的な凹凸面を有しており、回折格子が形成されている。ここで、第2クラッド層4Bの屈折率は、第1クラッド層4A及び第3クラッド層4Cの屈折率のいずれよりも小さい。
【選択図】図2

Description

本発明は、分布帰還型半導体レーザ及びその製造方法に関するものである。
半導体レーザは、半導体に注入されたキャリアの再結合発光と共振を利用した発光素子であり、その構成元素によって出射光帯域が異なる。通常の半導体レーザは、劈開面を利用したファブリペロー共振器を有している。半導体レーザにおいて、単一縦モードの発振をさせるためには、回折格子を共振器内に組み込み、ブラッグ波長で発振させればよい。かかるタイプの半導体レーザを分布帰還型(DFB)半導体レーザという。多くの回折格子は、一定の周期Tで形成された凹凸構造を有している。この凹凸構造が含まれる導波路の有効屈折率をn、回折格子の次数をmとすると、ブラッグ波長λは2nT/mで与えられる。
特許文献1に記載のDFB半導体レーザにおいては、活性層上に化合物半導体からなる光導波路層(光ガイド層)が設けられて半絶縁性活性層を構成し、この光ガイド層上に化合物半導体からなるクラッド層が形成されている。光ガイド層とクラッド層との界面には回折格子が形成されている。界面の回折格子と活性層との間の領域には、高抵抗の光ガイド層のみが存在している。
一般的に、Alを含む化合物半導体の積層体に、回折格子を形成する場合、回折格子形成用のエッチング後において、化合物半導体表面が大気に晒される。これにより、化合物半導体の表面に酸化膜が形成されてしまう。この酸化膜は、注入キャリアに対して非発光再結合中心として働き、キャリアの空間的な不均一化を引き起こす。一方、半絶縁性活性層を構成する光ガイド層は、不純物濃度が極めて低く、高い抵抗率を有している。したがって、特許文献1に記載の構造の場合、酸化膜と高抵抗光ガイド層が連続となっているため、注入されたキャリアは、回折格子上の酸化膜によって空間的に不均一となり、均一化されないまま活性層に注入されることとなり、光出力特性が劣化する。このようなキャリアの空間的不均一性を改善するためには、酸化膜と高抵抗光ガイド層の間に抵抗の低い層を導入し、キャリアの再分配を生じさせることが望ましい。
特許文献2〜4に記載のDFB半導体レーザは、クラッド層内に回折格子を備えている。このクラッド層は、屈折率の大きな下部クラッド層及び屈折率の小さな上部クラッド層を積層して構成され、下部クラッドと上部クラッド層との界面に回折格子が形成されている。この構造の場合、回折格子と活性層との間に、抵抗の低い下部クラッド層を介在させることで、上記従来技術よりもキャリアの空間的不均一性を改善し光出力特性を改善することが可能である。
特許文献5は、屈折率の大きな上下のクラッド層間に、屈折率の小さな中間クラッド層を介在させ、中間クラッド層の形状をエッチングして回折格子を形成したDFB半導体レーザを開示している。
特許3295570号公報 特開平2−114589号公報 特開平11−74607号公報 特開2007−299791号公報 特開平8−107253号公報
しかしながら、特許文献2〜4に記載の構造の場合、上部クラッド層の屈折率は小さく、エネルギーバンドギャップが大きいため、この層の電気抵抗が大きくなり、動作電圧が増加してしまう。もちろん、上部クラッド層を薄くすれば、抵抗値は減少するが、この場合には、クラッド層本来の光閉じ込め作用が小さくなり、光出力特性が劣化する。
クラッド層全体の厚さを確保するために、下部クラッド層を厚くし、上部クラッド層を薄くすることも考えられるが、この場合には、活性層と回折格子との間隔が大きくなるために、回折格子の効果が低下し、波長選択性が悪化してしまう。
また、上記特許文献5に記載の構造の場合、中間クラッド層に回折格子を形成することとなるが、エッチング毎のエッチング条件のバラツキにより、エッチング速度がバラつき、エッチングが下部クラッド層に及ぶ場合がある。従ってエッチング毎に作製される回折格子構造の再現性、均一性が劣化する。これにより、製品毎の構造及び素子内での当該構造の差異が生じ、波長選択性などの出力特性のバラつきが大きくなる。また中間クラッド層をエッチングし過ぎると、回折格子が形成されず、DFB半導体レーザとして機能しなくなってしまう。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、動作電圧の上昇、出力特性のバラつき、これらを同時に抑制した、分布帰還型半導体レーザ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明に係る分布帰還型半導体レーザは、活性層の端面からレーザ光を出射する分布帰還型半導体レーザにおいて、活性層上に形成された化合物半導体からなる光ガイド層と、光ガイド層上に形成された化合物半導体からなるクラッド層とを備え、このクラッド層は、第1クラッド層、第2クラッド層、及び第3クラッド層を光ガイド層上に順次積層してなり、第1クラッド層の表面が周期的な凹凸面を有することで回折格子が形成され、第2クラッド層の屈折率は、第1クラッド層及び第3クラッド層の屈折率のいずれよりも小さいことを特徴とする。また、第2クラッド層の厚みは、第1クラッド層及び第3クラッド層の厚みのいずれよりも小さいことが好ましい。
この半導体レーザによれば、回折格子が抵抗の低いクラッド層内に存在しているため、クラッド層に注入されたキャリアが活性層に到達するまでに、再分配され、光出力特性の劣化が抑制される。回折格子に必要な屈折率差は第1及び第2クラッド層によって得ることができる。また、第2クラッド層は屈折率が小さく、厚さも薄いため、第2クラッド層は、活性層側からの光の閉じ込め作用には殆ど寄与しない。また、抵抗値も小さくなるため、製造誤差などによりその位置が変動したとしても、光伝播特性と動作電圧に与える影響も軽微であるという利点がある。
また、本発明に係る分布帰還型半導体レーザの製造方法は、活性層の端面からレーザ光を出射する分布帰還型半導体レーザの製造方法において、(A)活性層上に化合物半導体からなる光ガイド層を形成する工程と、(B)し、光ガイド層上に単一材料の化合物半導体からなる第1クラッド層を形成する工程と、(C)第1クラッド層の表面に周期的な凹凸面を形成することで回折格子を形成する工程と、(D)回折格子が形成された第1クラッド層上に化合物半導体からなる第2クラッド層を形成する工程と、(E)第2クラッド層上に化合物半導体からなる第3クラッド層を形成する工程とを備え、第2クラッド層の屈折率は、第1クラッド層及び第3クラッド層の屈折率のいずれよりも小さいことを特徴とする。また、第2クラッド層の厚みは、第1クラッド層及び第3クラッド層の厚みのいずれよりも小さいことが好ましい。
この製造方法によって製造された半導体レーザによれば、回折格子がクラッド層内に存在しているため、クラッド層に注入されたキャリアが活性層に到達するまでに再分配され、光出力特性が改善する。また、第1クラッド層は単一材料の化合物半導体からなるため、その形成時の均質性が高く、凹凸面を容易に安定して形成することができる。したがって、高精度な凹凸面を形成することができる。また、この凹凸面の形成工程に多少の揺らぎが生じ、これによって第2クラッド層の位置が変動しても、第2クラッド層は、屈折率が小さく、厚みが薄いため、活性層側からの光の閉じ込めには実質的に寄与せず、また、厚みの薄さに伴って抵抗値も小さくなるので、出力特性や動作電圧に与える影響は小さくなる。なお、光閉じ込め効果は、相対的に厚みの大きな第1及び第3クラッド層によって達成することができる。
第2クラッド層の屈折率が小さい場合には、エネルギーバンドギャップが大きくなり、したがって、抵抗値が高くなる傾向があるが、第2クラッド層は薄いため、抵抗値がさほど高くならず、動作電圧の増加を抑制することができる。
また、上記工程(C)は、第1クラッド層の表面上に周期的に形成された複数の開口を有するマスクを形成する工程と、マスクを介して第1クラッド層をエッチングし、エッチングされた領域間を、複数の突起部として残留させる工程とを備えることを特徴とする。
この場合、第1クラッド層はエッチングによって容易に形成することができる。エッチングに多少の揺らぎが生じ、第2クラッド層の位置が若干変動しても、上述のように、光出力特性への影響を抑制することができ、また、動作電圧の増加を抑制することができる。
また、上記工程(C)は、第1クラッド層の表面上に周期的に形成された複数の開口を有するマスクを形成する工程と、マスクを設けた状態で、第1クラッド層の表面から複数の突起部を成長させる工程とを備えることを特徴とする。
この場合、結晶成長によって形成された突起部の側面には、清浄化された結晶面が現れるため、この面上に更に良好な結晶性の第2クラッド層及び第3クラッド層を形成することができるため、抵抗値を低くなり、動作電圧の増加を抑制することができる。
また、上記工程(C)は、第1クラッド層の表面に集束イオンビームを照射することで、当該表面を加工し、周期的に形成された複数の突起部を形成する工程を備えることを特徴とする。
この場合、第1クラッド層の加工の際に、第1クラッド層を大気に晒す必要がないため、第1クラッド層の表面酸化を抑制することができ、したがって、酸化膜に起因する抵抗値の増加、これに伴う動作電圧の増加を抑制することができる。
本発明の分布帰還型半導体レーザ及びその製造方法によれば、動作電圧の上昇、出力特性のバラつきを抑制することができる。
分布帰還型半導体レーザの斜視図である。 図1に示した分布帰還型半導体レーザのII−II矢印断面図である。 半絶縁性活性層3の拡大図である。 クラッド層の拡大図である。 MQW層3Bの拡大図である。 比較例1に係る分布帰還型半導体レーザの縦断面図である。 比較例2に係る分布帰還型半導体レーザの縦断面図である。 各半導体レーザに流れる電流(A)と光出力(W)との関係を示すグラフである。 各半導体レーザに流れる電流(A)と波長(nm)との関係を示すグラフである。 各半導体レーザに流れる電流(A)と電気光変換効率(%)との関係を示すグラフである。 別の実施形態に係るクラッド層の拡大図である。 更に別の実施形態に係るクラッド層の拡大図である。 変形例に係る第1クラッド層の拡大図である。 回折格子の形成方法について説明するための図である。 分布帰還型半導体レーザの製造方法について説明するための図である。
以下、実施の形態に係る分布帰還型半導体レーザ(DFB半導体レーザ)及びその製造方法について説明する。なお、同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1はDFB半導体レーザの斜視図、図2は図1に示したDFB半導体レーザのII−II矢印断面図である。
このDFB半導体レーザは、基板1上に下部クラッド層(光閉じ込め層)2、半絶縁性活性層(光ガイド層含む)3、上部クラッド層(光閉じ込め層)4、コンタクト層5を順次形成し、コンタクト層5上に上部電極E1、基板1の裏面側に下部電極E2を形成したものである。上部電極E1は、上部クラッド層4上に形成された絶縁層6に設けられたスリット状の開口を介して、コンタクト層5に接触している。このスリットの長手方向はZ軸方向であって、レーザの共振長方向に一致する。また、上部クラッド層4は、半絶縁性活性層3上に順次形成された第1クラッド層4A、第2クラッド層4B、及び第3クラッド層4Cを備えている。
同図では、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系が示されている。共振長の方向をZ軸とすると、各半導体層の積層方向はY軸方向であり、これらの双方の軸に垂直な方向がX軸方向となる。このDFB半導体レーザにおいては、半絶縁性活性層3のZ軸に垂直な端面からレーザ光LBが出射される。
なお、コンタクト層5のX軸方向に沿った外側の領域の上部クラッド層4は、エッチングされており、クラッド層4はメサ型に加工され、コンタクト層5の直下の領域に電流通過領域が制限されている。なお、このメサ型の加工の深さは、活性層3にまで及んでいてもよい。また、第1クラッド層4Aの上面、及び第2クラッド層4Bの少なくとも下面は、X軸に沿った複数の溝を有する凹凸面を有している。なお、基板1、下部クラッド層2、光ガイド層3A、3C(図3参照)、活性層3B(図3参照)、上部クラッド層4、コンタクト層5は、化合物半導体からなる。なお、クラッド層2,4の屈折率は、それぞれ隣接する光ガイド層3A,3Cの屈折率よりも低い。
図3は、半絶縁性活性層3の拡大図である。
絶縁性活性層3は、多重量子井戸(MQW)構造の活性層(MQW層)3Bを、両サイドの光ガイド層3A,3Cで挟んだ構造を有している。すなわち、光ガイド層3A上に、MQW層3B及び光ガイド層3Cが順次形成され、その上に上部クラッド層4が形成されている。
各層の具体的な構成要素、導電型、材料、厚さ、屈折率、エネルギーバンドギャップは、以下の表に示す通りである。
Figure 2010199219
ここで、屈折率とエネルギーバンドギャップは以下の関係を満たしている。なお、屈折率が小さいほど、エネルギーバンドギャップが大きく、抵抗値が高くなる傾向がある。また、屈折率はAlの組成比率で決定され、Al含有量が多いほど低屈折率で高抵抗となる。
・n5>n4C、(Eg5<Eg4C)
・n4C=n4A、(Eg4C=Eg4A)
・n4B<n4C、(Eg4B>Eg4C)
・n4B<n4A、(Eg4B>Eg4A)
・n4A<n3C、(Eg4A>Eg3C)
・n4A<n3B、(Eg4A>Eg3B2)
・n4A<n3A、(Eg4A>Eg3A)
・n2<n3C、(Eg2>Eg3C)
・n2<n3B、(Eg2>Eg3B)
・n2<n3A、(Eg2>Eg3A)
・n1>n2、(Eg1<Eg2)
上述のように、第2クラッド層4Bの屈折率n4Bは、第1クラッド層4A及び第3クラッド層4Cの屈折率n4A,n4Bのいずれよりも小さい。また、第2クラッド層4Bの厚みは、第1クラッド層4A及び第3クラッド層4Cの厚みのいずれよりも小さい。P型の上部クラッド層4と、N型の下部クラッド層2の間に、不純物添加されていない高抵抗の半絶縁性活性層3が介在している。また、P型の上部クラッド層4をアノードとし、N型の下部クラッド層2をカソードとするダイオードが構成されている。駆動電流は、ダイオードの順方向、すなわち、図2に示した上部電極E1から下部電極E2に向けて流れる。
図4は、クラッド層の拡大図である。
上部クラッド層4は、第1クラッド層4A、第2クラッド層4B、及び第3クラッド層4Cを光ガイド層3C(図3参照)上に順次積層してなり、第1クラッド層4Aの表面が周期的な凹凸面を有し、これに第2クラッド層4Bが接触することで回折格子が形成されている。第1クラッド層4Aの平均の厚みをDA,第2クラッド層2Bの厚み(平均値)をDB、第3クラッド層4Cの平均の厚みをDCとすると、DB<DA,DB<DCの関係を満たしている。なお、本例では、DC>DAであるとする。第1クラッド層4Aには、複数の突起部4Apが形成されており、突起部4Apの高さDは、第1クラッド層4Aに形成された溝の深さに一致する。この溝の間隔(突起部4Apの間隔)Tは、回折格子の周期であり、この凹凸構造が含まれる導波路の有効屈折率をn、回折格子の次数をmとすると、ブラッグ波長λは概ね2nT/mで与えられ、この波長が選択的に増幅され、レーザ光として出射される。なお、第1クラッド層4Aの厚さDAは、回折格子凹凸深さよりも大きい。
上述の半導体レーザによれば、回折格子(4A,4B)がクラッド層4内に存在しているため、駆動電流の供給によって、クラッド層4に注入されたキャリアが活性層3Bに到達するまでにクラッド層4Aと光ガイド層3Cを通ることで、再分配され、光出力特性が改善する。横方向に沿って屈折率が変化する回折格子に必要な屈折率差は、第1クラッド層4A及び第2クラッド層4B(或いは第3クラッド層4C)によって得ることができるが、第2クラッド層4Bの屈折率は低いため、第2クラッド層4B内に光は閉じ込められず、また、第2クラッド層4Bの厚みDBが薄いため、第2クラッド層4B内による活性層側からの光の閉じ込め作用はあまり機能せず、また、薄さに起因して第2クラッド層4Bの抵抗値も小さくなるため、製造誤差などによりその位置が変動したとしても、光伝播特性と動作電圧に与える影響は軽微なものとなる。
図5は、MQW層3Bの拡大図である。
InGaAsとAlGaAsからなるMQW層3Bは、バリア層3B1と井戸層3B2を交互に積層してなる。バリア層3B1のエネルギーバンドギャップは、井戸層3B2のエネルギーバンドギャップよりも大きく、井戸数は例えば3に設定される。このようなMQW層3Bを用いた場合、単一層の活性層を用いたレーザ素子よりも高出力のレーザ光を得ることができる。
次に、上述のDFB半導体レーザの優位性について比較検討を行った。図1〜図5に示した実施形態に係るDFB半導体レーザにおいて、第1クラッド層4Aの突起部4Apをウェットエッチングによって製造したものを実施例とする。実施例では、第1クラッド層に形成される凹凸面は、干渉露光によってフォトレジストの周期パターンを作製し、次に、周期パターンの開口部をエッチングして複数の溝を作製し、その後、フォトレジストを除去することで形成する。なお、回折格子の周期T=286nm、エッチング溝の深さD=60nmである。なお、いずれの実施例及び比較例においても、化合物半導体層はMOCVD(有機金属気相成長)法を用いて形成し、エッチング液としてはリン酸系溶液を用いているものとする。
(比較例1)
図6は、比較例1に係るDFB半導体レーザの縦断面図である。
比較例1に係るDFB半導体レーザは、実施例のものと比較して、上部クラッド層が第1クラッド層4Aのみからなる点が異なる。その他の構成は、実施例のものと同一である。比較例1のDFB半導体レーザでは、半絶縁性活性層3の上層に位置する光ガイド層とクラッド層4Aとの間の屈折率差を利用し、その境界面に回折格子を作製している。
(比較例2)
図7は、比較例2に係る分布帰還型半導体レーザの縦断面図である。
比較例2に係るDFB半導体レーザは、上記実施例のDFB半導体レーザと比較して、第1クラッド層4Aは加工されず、第2クラッド層4Bがエッチングにより直接加工されることで、回折格子が形成されている点が異なる。その他の構成は、実施例のものと同一である。すなわち、比較例2では、屈折率の異なる2層以上の第1クラッド層4A及び第2クラッド層4Bを順次堆積した後、第2クラッド層4Bをエッチングして、第2クラッド層4Bの表面に周期的凹凸構造を作製し、続いて、第3クラッド層4Cを第2クラッド層2B上に結晶成長させている。
図8は、各DFB半導体レーザに流れる電流(A)と光出力(W)との関係を示すグラフである。実施例に係るDFB半導体レーザから出射されたレーザ光の光強度である光出力(W)は、電流(A)が同一である場合には、比較例1,2のいずれの光出力よりも高く、160Aを超える電流領域まで、光出力(W)は電流(A)に対して線形性を保持している。このように、実施例に係るDFB半導体レーザは、光出力特性において顕著な優位性を有している。
図9は、各DFB半導体レーザに流れる電流(A)と出射されるレーザ光の波長(nm)との関係を示すグラフである。実施例における電流(A)に対する波長(nm)の変化率は、比較例1,2のいずれの変化率よりも小さい。すなわち、実施例では、駆動電流に対して波長変化の少ない安定したレーザ光が得られている。なお、比較例2では、電流(A)が100Aを超えた位置において、波長特性が大きく変化しており、実施例では、このような大きな変化はなく、比較例2に対して顕著に優れた効果を奏している。
図10は、各DFB半導体レーザに流れる電流(A)と電気光変換効率(%)との関係を示すグラフである。実施例の電気光変換効率(%)は、電流(A)が同一である場合には、比較例1,2の電気光変換効率(%)のいずれよりも高い。比較例2においては、電流が80Aを超える電気光変換効率(%)が55%を下回るのに対して、実施例では、電流が40Aから100Aの範囲において、電気光変換効率(%)が常に55%以上である。このように、実施例に係るDFB半導体レーザは、電気光変換効率においても顕著な優位性を有している。
また、一般的に屈折率の小さい第2クラッド層4Bが存在すると、抵抗が高くなるが、第2クラッド層4Bの厚さは極めて薄いため、第2クラッド層4Bの存在による素子全体の抵抗上昇は少なくて済み、結果として第2クラッド層4Bが存在しない、つまり回折格子が存在しない通常のレーザーダイオードと電気光変換効率はあまり変わらなくなる。
ところで、光出力1W、発光幅100μmを超える、高出力の半導体レーザでは、放熱性を高めるため、共振器長を1mm以上にすることが望ましい。また、動作電流値を低く保つため、導波路構造の内部損失を減らす必要がある。内部損失を大きくする要因の一つに、導波路構成層内に添加された不純物による光吸収がある。従って、高出力の半導体レーザでは、導波する光の90%以上が分布する光ガイド層には、不純物を添加しない事が望ましい。
一方、回折格子の作製時におけるエッチング工程において、基板を大気中に晒すと、回折格子表面には酸化膜が形成される。この酸化膜の一部は、その後の結晶成長時においても剥離できず、比較例1の構造においては、導波路内部に残留する。この導波路構造を用いてDFB半導体レーザを作製すると、注入されたキャリアが、残留酸化膜において非発光再結合を引き起こし、空間的に不均一に分布する。すなわち、比較例1のように、不均一にキャリアが分布する層の電気抵抗が高い場合、キャリアが再分布されないまま、活性層にキャリアが注入されるため、光出力特性が劣化している(図8参照)。
また、DFB半導体レーザを横一列にアレイ状に並べた半導体レーザアレイでは、光出力特性の発光点ごとのばらつきは、発光点の輝度ムラにつながり、好ましくない。つまり、比較例1のように、回折格子位置が光ガイド層とクラッド層の界面に存在し、かつ光ガイド層が高抵抗の半絶縁性である場合は、残留酸化膜による光出力への影響は顕著となる。
従って、光出力1W、発光幅100μmを超える、DFB半導体レーザ及びこれを用いたDFB半導体レーザアレイを作製する上で、良好な光出力特性を得るには、回折格子位置は、光ガイド層とクラッド層との界面ではなく、上述の実施例のように、注入キャリアの不均一分布を抑制するドーピング層であるクラッド層内部に設けることが望ましい。これにより、光出力特性が良好な状態となる(図8参照)。
また、比較例2の構造の場合、第2クラッド層4Bのエッチング条件がバラつくと、エッチング速度が製品毎に異なることとなる。また、第2クラッド層4Bが深さ方向にエッチングされ、第1クラッド層4Aの表面が露出すると、第1クラッド層4Aがエッチングされてしまう。この場合、第1クラッド層4Aの深さ方向のエッチング速度と、第2クラッド層4Bの横方向のエッチング速度が異なり、第2クラッド層4Bの周期的凹凸形状が製品毎にバラつくこととなる。この場合、DFB半導体レーザの光出力特性にバラつきが生じやすくなる。また、エッチング速度が大きすぎる場合、第2クラッド層4Bが全てエッチングされてしまい、第1クラッド層4Aのみに凹凸構造が作製され、屈折率差が出来ないため、DFB半導体レーザとして機能しなくなってしまう。
一方、実施例では、このような不具合は生じないため、製品毎の構造及び素子内での当該構造の差異が生じにくい。すなわち、作製毎にエッチング条件が変動しても、毎回特性の揃った高出力DFB半導体レーザを作製することができる。また、このようなDFB半導体レーザをアレイ化してなる半導体レーザアレイは、発光点毎の特性が同一となるため、波長の均一化が得やすいという利点がある。
また、比較例2において、1回目の結晶成長工程で、第1クラッド層4Aを作製し、回折格子作成工程において、エピタキシャル結晶成長装置により、第2クラッド層4Bを選択成長することで、突起部を作製することも可能であるが、この場合には、製造工程数が増加する。一方、実施例のように、エッチングによって、突起部を形成した場合、工程数は少なくなるため、光出力特性のバラつきを更に抑制することができる。
また、実施例においては、第1クラッド層4Aの結晶成長後に、その表面に周期的凹凸を作成している。エッチングする第1クラッド層4Aは1種類の材料からなるため、エッチング方向によってエッチング速度が異なることがない。従って、エッチング速度が速すぎても、全体が均等にエッチングされるため、凹凸構造の形状が変化しないという利点がある。
次に、別の構造のクラッド層について説明する。
図11は、別の実施形態に係るクラッド層の拡大図である。
上述の実施形態では、第1クラッド層4Aの突起部4Apの縦断面形状は三角波形状であったが、本例では矩形波形状であり、その他の構成は上述の実施形態と同一である。すなわち、第1クラッド層4Aの表面に形成される溝の最深部は平坦であり、側面は平坦部に対して垂直である。このような形状は、第1クラッド層4Aの表面の加工工程において、ドライエッチングを用いて、上述の形状の溝を形成することで得ることができる。各突起部4Apの重心位置間の距離Tは、回折格子の周期を規定している。なお、本形態では、第2クラッド層4Bの厚みは、第1クラッド層4Aの表面に形成された溝の深さよりも小さい。この構造の場合においても、上記実施形態と同様の作用効果を生じることができる。
図12は、更に別の実施形態に係るクラッド層の拡大図である。
このクラッド層は、図11に示したクラッド層において第2クラッド層4Bの厚みを変更したものであり、その他の構成は図11に示したものと同一である。すなわち、本実施形態では、第2クラッド層4Bの厚み(=D+ΔD)は、第1クラッド層4Aの表面に形成された溝の深さ(=D)よりも大きく、第2クラッド層4Bの表面は平坦になっている。
第2クラッド層4Bの結晶成長工程では、エッチング深さ(=D)と略同程度の厚さ(=DB=D+ΔD)の第2クラッド層4Bが積層されているが、もちろん、他の実施形態のように、DB<Dを満たしていれば、第2クラッド層4Bの抵抗による影響は更に低減される。すなわち、図12では第2クラッド層4Bは、上側が平坦な形状をしているが、これは図1に示したように、回折格子作成過程で作成した第1クラッド層4Aの凹凸形状に沿った凹凸形状としても機能する。
図13は、変形例に係る第1クラッド層の拡大図である。
本例では、第1クラッド層4Aと半絶縁性活性層3との間に、付加的なクラッド層4AX,4AYが介在している。すなわち、半絶縁性活性層3上に、順次、クラッド層4AY,4AXが形成され、その上に第1クラッド層4Aが形成されている。付加的なクラッド層4AY,4AXの屈折率は、第1クラッド層4Aに近づくほど、徐々に低くなり、エネルギーバンドギャップは徐々に大きくなる。
図1に示した実施形態の場合、半絶縁性活性層3の上部に位置した第2光ガイド層(3C:図3参照)はAl0.2Ga0.8Asからなり、上部第1クラッド層4AはAl0.35Ga0.65Asからなっており、Ga組成比が徐々に減少している。一方、本形態では、付加的なクラッド層4AY,4AXは、Ga組成比が0.80よりも小さく0.65よりも大きい範囲内で、第1クラッド層4Aに近づくほど徐々に小さくなっている。このような付加的なクラッド層の数は、3層以上であってもよい。この構成の場合、厚み方向の格子定数変化が緩やかであるため、各半導体層の結晶性が向上し、光出力特性が改善する。
図14は、回折格子の形成方法について説明するための図である。
上記実施形態では、第1クラッド層4Aの突起部4Apを形成し、その上に第2クラッド層4B及び第3クラッド層4Cを堆積することで、回折格子を形成した。ここでは、第1クラッド層4Aの突起部4Apの形成方法について説明する。
まず、エッチングによる形成方法について説明する。図14(A1)に示すように、第1クラッド層4Aの表面上に、レジストからなるマスクRを形成し、このマスクRを付けた状態で、第1クラッド層4Aのマスク開口内の領域を選択的にエッチングする。マスクRは周期的に配列された複数の開口を有しており、この開口内の第1クラッド層4Aの表面に、ウェットエッチングの場合にはエッチング液Eが接触し、ドライエッチングの場合には反応性ガスが接触して、図14(A2)に示すように、内部に溝が形成され、隣接する溝の間に突起部4Apが残留して形成される。同図ではウェットエッチングの場合が示されており、溝の斜面は外側に開くように傾斜しているが、ドライエッチングの場合には、溝の斜面は底面に対して垂直とすることもできる。なお、エッチングの終了後には、マスクRを除去する。
なお、上記マスクRのパターニング方法は、以下の通りである。すなわち、本例では、干渉露光、フォトマスクを使用した部分露光、又は電子線描画装置などにより、レジストなどを感光・現像することで、所望の周期パターンを持ったマスクRを、第1クラッド層4Aの表面上に形成している。
以上のように、この突起部形成工程は、第1クラッド層4Aの表面上に周期的に形成された複数の開口を有するマスクRを形成する工程と、マスクRを介して第1クラッド層4Aをエッチングし、エッチングされた領域間を、複数の突起部4Apとして残留させる工程とを備えている。この場合、第1クラッド層4Aはエッチングによって容易に形成することができる。エッチングに多少の揺らぎが生じ、第2クラッド層の位置が若干変動しても、上述の理由から、光出力特性への影響を抑制することができ、また、動作電圧の増加を抑制することができる。
次に、結晶成長による形成方法について説明する。図14(B1)に示すように、第1クラッド層4Aの表面上に、SiNなどの無機絶縁層などからなり周期的に配列した複数の開口を有するマスクRを形成し、このマスクRを付けた状態で、図14(B2)に示すように、第1クラッド層4Aの突起部4Apをその表面からエピタキシャル成長させる。突起部4Apは、第1クラッド層4Aの初期表面と格子整合する材料を選択成長させて形成する。すなわち、これらの材料は同一である。
この成長は、第1クラッド層4Aの原料をマスクRの開口内に供給することで行う。すなわち、公知のエピタキシャル結晶成長装置(MOCVD(有機金属気相成長)法によって、AlGaAsなどを成長させる。突起部4Apの形状は横に倒した三角柱状であり、三角柱の2側面がそれぞれ隣接するマスクRとの境界から延びて、三角形の頂点位置で交差している。換言すれば、突起部4Apの縦断面形状は三角形である。
しかる後、マスクRをエッチングにより除去し、複数の突起部4Apが周期的に形成された第1クラッド層4Aが形成される。
本例におけるマスクRは、無機絶縁層であるが、このマスクRのパターニング方法について説明する。すなわち、第1クラッド層4Aの表面(導波路構造部表面)に予めSiNなどの薄膜を形成しておき、この薄膜上にレジストを塗布した後、このレジストに周期的パターンを形成する。レジストのパターニング方法は上記パターニング方法と同じである。このエッチングにより、周期的パターンを有しSiN薄膜など無機絶縁層からなるマスクRが作製される。このレジストは、無機絶縁層からなるマスクRのパターニング後に除去する。なお、結晶成長による突起部の形成方法よりも、エッチングによる突起部の形成方法の方が、工程数が少ないという利点がある。
以上のように、この突起部形成工程は、第1クラッド層4Aの表面上に周期的に形成された複数の開口を有するマスクRを形成する工程と、マスクRを設けた状態で、第1クラッド層4Aの表面から複数の突起部4Apを成長させる工程とを備えている。この場合、結晶成長によって形成された突起部4Apの側面には、清浄化された結晶面が現れるため、この面上に更に良好な結晶性の第2クラッド層4B(図1参照)及び第3クラッド層4C(図1参照)を形成することができるため、抵抗値が低くなり、動作電圧の増加を抑制することができる。
次に、FIB(集束イオンビーム)による形成方法について説明する。図14(C1)に示すように、集束イオンビームFIBを、第1クラッド層4Aの表面に照射し、第1クラッド層4Aを直接的にビームでエッチングし、周期的に配列された複数の溝からなる周期パターンを形成する。これらの溝の間に、突起部4Apが残留する。FIB装置に用いられるイオンとしてはGaイオンなどが知られている。
以上のように、この突起部形成工程では、第1クラッド層4Aの表面にFIBを照射することで、当該表面を加工し、周期的に形成された複数の突起部4Apを形成している。この場合、第1クラッド層4Apの加工の際に、第1クラッド層4Aを大気に晒す必要がないため、第1クラッド層4Aの表面酸化を抑制することができ、したがって、酸化膜に起因する抵抗値の増加、これに伴う動作電圧の増加を抑制することができる。
次に、上述の実施形態に係る半導体レーザの製造方法について説明する。
図15は、DFB半導体レーザの製造方法について説明するための図である。
まず、図15(A)に示すように、基板1上に下部クラッド層2、半絶縁性活性層3、及び第1クラッド層4Aを順次形成する。化合物半導体の形成方法は、MOCVD法又はMBE法を用いることができ、各層の構造と材料は表1に示した通りである。なお、半絶縁性活性層3の形成においては、まず、化合物半導体からなる光ガイド層3Aを形成し(図3参照)、その上に活性層3Bを形成し、しかる後、活性層3B上に化合物半導体からなる光ガイド層3Cを形成する。第1クラッド層4Aは、この光ガイド層3C上に形成される。なお、本実施形態では、第1クラッド層4Aは、構成元素の組成比が一定の化合物半導体、すなわち単一材料の化合物半導体からなる。
次に、図15(B)に示すように、第1クラッド層4Aの表面に周期的な凹凸面を形成することで回折格子を形成する。凹凸面の形成方法は上述の通りである。この工程では、第1クラッド層4Aの凹凸面は安定して形成することができるので、出力特性のバラつきが抑制される。
しかる後、図15(C)に示すように、第1クラッド層4A上に化合物半導体からなる第2クラッド層4Bを形成し、続いて、第2クラッド層4B上に化合物半導体からなる第3クラッド層4Cを形成する。
次に、図1に示したように、第3クラッド層4C上に、コンタクト層5を形成し、しかる後、コンタクト層5と第3クラッド層3Cの一部分をエッチングして電流狭窄構造を形成する。次に、これらの露出した表面上に、SiOなどの絶縁層6を形成し、コンタクト層5上の領域が開口するように、絶縁層6をパターニングした後、蒸着法やスパッタ法などで絶縁層6上に上部電極E1を形成する。最後に、蒸着法やスパッタ法で下部電極E1を基板1の裏面側に形成し、図1に示したDFB半導体レーザが完成する。
この製造方法によって製造された半導体レーザによれば、回折格子がクラッド層4内に存在しているため、クラッド層4に注入されたキャリアが活性層(3B)に到達するまでに再分配され、光出力特性が改善する。また、第1クラッド層4Aは単一材料の化合物半導体からなるため、エッチングや結晶成長の均質性が高く、凹凸面を安定して容易に形成することができ、したがって、高精度な凹凸面を形成することができる。すなわち、工程毎(素子作製毎)における凹凸形状のばらつきが発生し難くなり、波長選択性の再現性が高くなり、歩留まりが向上する。
また、この凹凸面の形成工程に多少の揺らぎが生じ、これによって第2クラッド層の位置が変動しても、第2クラッド層4Bは、厚みが薄いため、光閉じ込めには実質的に寄与せず、また、厚みの薄さに伴って抵抗値も小さくなるので、光出力特性に与える影響は小さくなる。光閉じ込め効果は、光ガイド層よりも屈折率が小さく、相対的に厚みの大きな第1クラッド層4A及び第3クラッド層4Bによって達成することができる。第2クラッド層4Bの屈折率が小さい場合には、エネルギーバンドギャップが大きくなり、したがって、抵抗値が高くなる傾向があるが、本例の第2クラッド層は薄いため、抵抗値がさほど高くならず、動作電圧の増加を抑制することができる。
また、上述のDFB半導体レーザを活性層の端面が一列上に位置するように複数配列して、半導体レーザアレイを構成することもできる。この半導体レーザアレイでは、各活性層からの光出力を重ね合わせた光出力が得られ、スペクトル分布は各活性層におけるスペクトルの平均値となる。したがって、上述のDFB半導体レーザは、波長選択性の再現性が高く、素子毎の製造バラつきが小さいため、これを半導体レーザアレイに用いた場合には、光出力を高くすることが可能である。特に、突起部4Apをエッチングによって形成した場合には、製品毎のバラつきを更に抑制することができるため、発光点毎の特性を均一化することができ、出力波長の均一化を実現することができる。
また、上述の実施形態において、クラッド層2,4の材料として、AlGaAsを採用したが、これはGaAs基板に格子整合する他の化合物半導体を用いることもできる。例えば、第1クラッド層4A及び第3クラッド層4CとしてGaInPを用い、第2クラッド層4BとしてGaAlInPを用いることもできる。このとき、MQW層3Bと光ガイド層3A,3Cは、GaInP又はGaInAsPを用いることができる。
なお、第1クラッド層4A及び第3クラッド層4Cとして、X,Y,Zを組成比とし、(Ga1−XAlIn1−ZPを用い、第2クラッド層4Bとして(Ga1−YAlIn1−ZPを用いた場合、Alの組成比はY>Xの関係を満たし、この場合も屈折率はn4A>n4B、n4C>n4Bの関係(表1参照)を満たしている。
各層の具体的な構成要素、導電型、材料、厚さ、屈折率、エネルギーバンドギャップは、以下の表に示す通りである。
Figure 2010199219
屈折率とエネルギーバンドギャップの関係は、表1の場合と同様であり、以下の通りである。
・n5>n4C、(Eg5<Eg4C)
・n4C=n4A、(Eg4C=Eg4A)
・n4B<n4C、(Eg4B>Eg4C)
・n4B<n4A、(Eg4B>Eg4A)
・n4A<n3C、(Eg4A>Eg3C)
・n4A<n3B、(Eg4A>Eg3B)
・n4A<n3A、(Eg4A>Eg3A)
・n2<n3C、(Eg2>Eg3C)
・n2<n3B、(Eg2>Eg3B)
・n2<n3A、(Eg2>Eg3A)
・n1>n2、(Eg1<Eg2)
なお、屈折率が小さいほど、エネルギーバンドギャップが大きく、抵抗値が高くなる傾向がある。また、屈折率はAlの組成比率で決定され、Al含有量が多いほど低屈折率で高抵抗となる。
また上記実施形態において、活性層内の量子井戸層は量子井戸数が複数であるMQW構造を示したが、量子井戸を単一とするSQW構造を採用することも可能である。
以上、説明したように、上述の形態では、DFB半導体レーザの材料に関して、GaAs基板上に格子整合する結晶成長の容易なAlGaAs(もしくはGaAlInP)を、クラッド層として採用した場合、上部第1クラッド層4Aの結晶成長工程ではAl組成の低いAlGaAs(もしくはGaAlInP)を成長し、第1クラッド層4Aに回折格子を作製した後に、Al組成の高い第2クラッド層4Bを成長するため、再成長前の回折格子形成プロセス工程で大気にさらされ再成長表面層となるのは、Al組成の低い第1クラッド層4Aとなり、再成長第2クラッド層4Bとの成長界面での酸化が抑制される。このため、2回目結晶成長での結晶不良、素子抵抗の上昇が生じにくく、再成長によるDFB半導体レーザの光出力特性の劣化が抑制される。
また、クラッド層4中にAl組成の高いAlGaAs(もしくはGaAlInP)層からなる第2クラッド層4Bを挿入されており、この層は低屈折率であるため、この部分に導波モードが存在する事は無く、安定な光出力特性が得られる。また、AlGaAs系の半導体レーザにおいては、一般的にAl組成が0.35程度のクラッド層が用いられるが、高Al組成の第2クラッド層4Bを用いた場合、単純に第2クラッド層4BのAl組成を、0.35〜1.0の広い範囲で変化させる事ができるため、クラッド層4A,4Cとの屈折率差を広く取る事が可能であり、回折格子による導波路内での光帰還の強さ(結合係数κ)の制御が容易になるという利点もある。
本発明は、出力特性のバラつきが抑制された分布帰還型半導体レーザ及びその製造方法に利用することができる。
4A…第1クラッド層、4B…第2クラッド層、4C…第3クラッド層、3A,3C…光ガイド層、3B…活性層。








Claims (7)

  1. 活性層の端面からレーザ光を出射する分布帰還型半導体レーザにおいて、
    前記活性層上に形成された化合物半導体からなる光ガイド層と、
    前記光ガイド層上に形成された化合物半導体からなるクラッド層と、
    を備え、
    前記クラッド層は、第1クラッド層、第2クラッド層、及び第3クラッド層を前記光ガイド層上に順次積層してなり、
    前記第1クラッド層の表面が周期的な凹凸面を有することで回折格子が形成され、
    前記第2クラッド層の屈折率は、前記第1クラッド層及び前記第3クラッド層の屈折率のいずれよりも小さい、
    ことを特徴とする分布帰還型半導体レーザ。
  2. 前記第2クラッド層の厚みは、前記第1クラッド層及び前記第3クラッド層の厚みのいずれよりも小さい、
    ことを特徴とする請求項1に記載の分布帰還型半導体レーザ。
  3. 活性層の端面からレーザ光を出射する分布帰還型半導体レーザの製造方法において、
    (A)前記活性層上に化合物半導体からなる光ガイド層を形成する工程と、
    (B)前記光ガイド層上に単一材料の化合物半導体からなる第1クラッド層を形成する工程と、
    (C)前記第1クラッド層の表面に周期的な凹凸面を形成することで回折格子を形成する工程と、
    (D)前記第1クラッド層上に化合物半導体からなる第2クラッド層を形成する工程と、
    (E)前記第2クラッド層上に化合物半導体からなる第3クラッド層を形成する工程と、
    を備え、
    前記第2クラッド層の屈折率は、前記第1クラッド層及び前記第3クラッド層の屈折率のいずれよりも小さい、
    ことを特徴とする分布帰還型半導体レーザの製造方法。
  4. 前記第2クラッド層の厚みは、前記第1クラッド層及び前記第3クラッド層の厚みのいずれよりも小さい、
    ことを特徴とする請求項3に記載の分布帰還型半導体レーザの製造方法。
  5. 前記工程(C)は、
    前記第1クラッド層の表面上に周期的に形成された複数の開口を有するマスクを形成する工程と、
    前記マスクを介して前記第1クラッド層をエッチングし、エッチングされた領域間を、複数の突起部として残留させる工程と、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の分布帰還型半導体レーザの製造方法。
  6. 前記工程(C)は、
    前記第1クラッド層の表面上に周期的に形成された複数の開口を有するマスクを形成する工程と、
    前記マスクを設けた状態で、前記第1クラッド層の表面から複数の突起部を成長させる工程と、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の分布帰還型半導体レーザの製造方法。
  7. 前記工程(C)は、
    前記第1クラッド層の表面に集束イオンビームを照射することで、当該表面を加工し、周期的に形成された複数の突起部を形成する工程、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の分布帰還型半導体レーザの製造方法。

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