JP2010197412A - 光学ユニットおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遮光機能を有し、レーザー光による異常発熱によるアウトガスによるレンズ曇りを防止し、高位置精度でレンズを固定可能な光学ユニットを提供する。
【解決手段】光学部材1と、前記光学部材を保持する保持部材2と、前記光学部材と前記保持部材の間に配置された中間部材3とを有し、前記中間部材へのレーザー光の照射により前記光学部材と保持部材2が一体化された光学ユニットであって、前記中間部材は少なくとも熱可塑性樹脂と黒色微粒子を含有し、前記黒色微粒子の平均粒子径が10nm以上115nm以下で、かつ前記黒色微粒子の含有量が熱可塑性樹脂に対して4wt%以上10wt%以下である光学ユニット。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学ユニットおよびその製造方法に関し、特に光学機器に搭載される光学ユニットにおけるレンズの遮光およびレンズの固定に関するものである。
カメラやビデオ等の光学機器の光学性能に関わる技術として、レンズの遮光やレンズの固定があり、これらに関して種々の手法が提案されている。
レンズの固定方法については、精細な位置精度を求められる部分とそうでない部分で異なる方法が用いられている。
普及機クラスのレンズで位置精度が比較的厳しくない場合は、例えば特許文献1に開示されるような熱かしめによるレンズの固定が一般的である。また、固定時間短縮を目的として、レーザー溶着によるレンズと保持部材の固定方法に関する提案がされている。その一例として、特許文献2にはレンズと保持部材の間にレーザー吸収剤を添加したシートを挟み、レーザー光をレンズ側から照射してシートを溶解させ、レンズと保持部材を溶着する例が開示されている。
また、高級機種のように精細な位置精度が求められるレンズの場合は、レンズ外周部を黒色塗料で遮光した後に、レンズ外周部とレンズ保持枠を収縮率の小さい紫外線硬化型接着剤で固定することが多い。レンズ外周部と、レンズ保持枠を紫外線硬化型接着剤などにより固定する方法としては、例えば特許文献3がある。また、遮光塗料として、エポキシやメラミン樹脂中にカーボンブラックを添加してボールミルで攪拌した塗料が特許文献4に記載されている。また、特許文献5には樹脂中にコールタールを添加して遮光する方法が記載されている。
特開平11−174307号公報 特開2007−079134号公報 特開平07−082510号公報 特開昭55−155064号公報 特開平11−142708号公報
近年、カメラやビデオなどの普及機クラスにおいても高機能化が要求されるようになってきており、より短時間で高位置精度にレンズを固定する方法が要求されている。
これに対して、短時間でレンズを固定する方法として、特許文献1に記載の熱かしめや、特許文献2に記載のレーザー溶着による固定法がある。これらの固定方法は短時間で微小なスペースを接着できるメリットを有するが、位置精度の高い固定には不向きである。高位置精度に固定できない理由は、以下のように考察される。特許文献2に記載のカーボンブラックは、レーザー吸収剤として一般的に用いられる材料である。
しかしながら、特許文献2に記載されるような粒子径が大きいカーボンブラックを用いると、カーボンブラック自体のレーザー吸収効率が高いために、カーボンブラック周辺が部分的に異常発熱する。そのため、樹脂の分解が起こり、レンズの位置精度が悪化するという問題が起こっていた。よって、レーザー溶着による固定はあまり位置精度を求められない部分に限って用いられてきた。また、レーザー溶着によって接着する場合、遮光膜があるとレーザーの透過を妨げるので、これまで遮光膜とレーザー溶着層を併用することはできなかった。
また、高位置精度にレンズを固定する方法としては、特許文献3に記載の収縮率が小さい紫外線硬化型がある。しかしながら、特許文献3に記載の紫外線硬化型接着剤は硬化収縮を小さくすることで位置精度良く接着可能であるものの、硬化に数十秒の時間がかかっていた。
また、遮光塗料として特許文献4、5に記載の遮光塗料がある。しかしながら、特許文献4、5に記載の遮光塗料は遮光性に優れるものの、硬化に1時間以上かかるので製造時間が長くなっていた。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、遮光機能を有し、レーザー光による異常発熱によるアウトガスによるレンズ曇りを防止し、高位置精度でレンズを固定可能な光学ユニットを提供するものである。
また、本発明は、短時間で高位置精度にレンズを固定可能な光学ユニットの製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決する光学ユニットは、光学部材と、前記光学部材を保持する保持部材と、前記光学部材と前記保持部材の間に配置された中間部材とを有し、前記中間部材へのレーザー光の照射により前記光学部材と保持部材が一体化された光学ユニットであって、前記中間部材は少なくとも熱可塑性樹脂と黒色微粒子を含有し、前記黒色微粒子の平均粒子径が10nm以上115nm以下で、かつ前記黒色微粒子の含有量が熱可塑性樹脂に対して4wt%以上10wt%以下であることを特徴とする。
上記の課題を解決する光学ユニットの製造方法は、光学部材と、前記光学部材を保持する保持部材の間に、少なくとも熱可塑性樹脂と黒色微粒子を含有し、前記黒色微粒子の平均粒子径が10nm以上115nm以下で、かつ前記黒色微粒子の含有量が熱可塑性樹脂に対して4wt%以上10wt%以下である中間部材を配置する工程、前記光学部材上面からレーザー光を照射して前記光学部材と保持部材を中間部材を介して接着して一体化させる工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、遮光機能を有し、レーザー光による異常発熱によるアウトガスによるレンズ曇りを防止し、高位置精度でレンズを固定可能な光学ユニットを提供することができる。
また、本発明は、短時間で高位置精度にレンズを固定可能な光学ユニットの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明に係る光学ユニットは、光学部材と、前記光学部材を保持する保持部材と、前記光学部材と前記保持部材の間に配置された中間部材とを有し、前記中間部材へのレーザー光の照射により前記光学部材と保持部材が一体化された光学ユニットであって、前記中間部材は少なくとも熱可塑性樹脂と黒色微粒子を含有し、前記黒色微粒子の平均粒子径が10nm以上115nm以下で、かつ前記黒色微粒子の含有量が熱可塑性樹脂に対して4wt%以上10wt%以下であることを特徴とする。
前記中間部材の波長1000nmの光に対する透過率が10%以上20%以下であり、波長400nm以上700nm以下の光に対する最大透過率が波長1000nmの光に対する透過率の1/10以上1/2以下の範囲であることが好ましい。
前記中間部材の厚みが5μm以上15μm以下であることが好ましい。
前記黒色微粒子が、カーボンブラック類、またはCu、Fe、Mnの酸化物および複合酸化物のいずれかであるであることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂がポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリアクリルアミドのいずれかであることが好ましい。
次に、図面に基づいて本発明を説明する。図1は本発明に係る光学ユニットの一実施態様の断面の一部を拡大した模式図である。本発明に係る光学ユニットは、光学部材1と、前記光学部材1を保持する保持部材2と、前記光学部材1と前記保持部材2の間に配置された中間部材3とを有し、前記中間部材3へのレーザー光の照射により前記光学部材1と保持部材2が一体化されていることを特徴とする。
図2は本発明に係る光学ユニットのレーザー溶着工程を示す部分断面模式図である。図2において、上方より照射されたレーザー光8は中間部材3を加熱して、溶解させる。レーザー光照射が終了して中間部材3が冷却されると、中間部材3は再び固化して保持部材2と光学部材1を接着し一体化する。
本発明において、レーザー光源の種類は特に限定されないが、レーザー光源は、中間部材3の樹脂に対する吸収効率の高いものが望ましい。具体的には波長1064nmに最大波長を持つYAGレーザーが好ましい。また、図示していないがレーザー溶着時の密着力を向上させる目的で光学部材1上面から加重をかけてもよい。
以下、図1および図2を参照して本発明を説明するが、本発明の光学ユニットの構成、形状は図1および図2に限られない。
本発明における光学部材1は、片面から入射した光を光学的に変換して反対面に放出する部材である。本発明において特に好適な光学部材は、ガラスレンズまたはプラスチックレンズである。光学部材1の素材は一般に光学材料として用いられるものであれば特に限定されない。
通常、光学部材1の表面は光の進行を妨げない目的で平滑であることが好ましいが、中間部材3と接する光学部材1の表面は、密着力を向上させる目的で、表面の研削加工やサンドブラスト等の曇り処理がなされていてもよい。
本発明における保持部材2は、光学部材1、例えばレンズを固定するための部材である。本発明において特に好適な保持部材2は、鏡筒である。鏡筒の素材は、一般的に鏡筒に用いられているもので、例えば樹脂、金属などであれば特に限定されないが、本発明においては例えば黒色のポリカーボネート系樹脂が特に好ましい。
本発明における中間部材3は、レンズからの入射光を遮断し、光学部材1と保持部材2を接着して一体化させ固定する。中間部材3は、少なくとも熱可塑性樹脂と黒色微粒子を含有する。
本発明における中間部材3に含まれる熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度Tgが−10℃以上150℃以下であることが望ましい。熱可塑性樹脂のTgが−10℃より低いと実用温度領域での樹脂の弾性率が低くなるのでレンズ固定の位置精度が悪化する。また、熱可塑性樹脂のTgが150℃より高いと、接着時に中間部材3の保持部材2に近い部分が保持部材2の耐熱温度以上に熱くなり、保持部材2の劣化のおそれがある。
本発明に好適な熱可塑性樹脂の例としてはポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂などが挙げられる。
本発明の中間部材3に含まれる黒色微粒子は、可視光を遮断する目的で添加される。尚、本発明における黒色とは黒色度が0.9より大きいものを指す。本発明における黒色度は波長400nm以上700nm以下の光に対する最大級吸収値と最小吸収値の比(最大吸収値÷最小吸収値)で定義する。黒色度が高いと波長400nmから波長700nmにおいて光は均一に吸収される。一方、黒色度が低いと波長によって吸収されない箇所が発生する。黒色微粒子の材料は可視光を遮断できるものであれは特に限定されないが、アセチレンブラック、ケッチンブラック等のカーボンブラック類、またはCu、Fe、Mn、Tiの酸化物および複合酸化物のいずれかである。また、顔料なども用いられる。
中間部材3に含有される黒色微粒子の平均粒子径は10nm以上115nm以下、好ましくは10nm以上20nm以下が望ましい。平均粒子径が10nm未満では、黒色粒子の吸収が少ないためレーザー光が保持部材2を溶かしてしまう。そのため光学ユニットの位置精度が低下してしまう。また平均粒子径が115nmをこえると、黒色粒子の吸収が大きすぎてレーザー光を当てた際に異常発熱が起こり、中間部材3が発泡して位置精度が低下する。ここで平均粒子径とは、累積個数が50%になるときの粒子径のことである。
中間部材3に含有される黒色微粒子の含有量は、熱可塑性樹脂に対して4wt%以上10wt%以下が望ましい。含有量が4wt%未満では黒色粒子の吸収が少ないのでレーザー光が保持部材2を溶かし位置精度が低下する。また10wt%をこえると黒色粒子の吸収が大きすぎて中間部材が均一に溶解できず位置精度が低下する。
本発明における中間部材3の厚みは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。厚みが5μm未満の場合は十分な密着力が得られず、厚みが15μmをこえる場合は位置精度が悪化する。
本発明において、前記中間部材の波長1000nmの光に対する透過率が10%以上20%以下であり、波長400nm以上700nm以下の光に対する最大透過率が,波長1000nmの光に対する透過率の1/10以上1/2以下の範囲であることが好ましい。すなわち、(波長400nm−700nmの最大透過率)÷波長1000nmの透過率=1/10以上1/2以下である。
波長1000nmの光に対する透過率が10%以上20%以下である中間部材3に光学部材1側から、例えば波長1064nmのNa:YAGレーザーを照射すると、レーザー光が中間部材3の保持部材2側まで均一に吸収されるので、低いレーザー照射エネルギーで接着が可能となる。このような条件を満たす黒色微粒子の分布状態は、黒色微粒子の平均粒子径が10nm以上115nm以下で、かつ前記黒色微粒子の含有量が熱可塑性樹脂に対して4wt%以上10wt%以下からなり、図3に示す通りであり、黒色微粒子6が熱可塑性樹脂7中にナノオーダーで非常に均一に分散している。このため、レーザー光が均一に分散されることで、中間部材3が均一に溶解されて、高い位置精度の光学部材1の固定が出来る。
また、波長400nm以上700nm以下の光に対する最大透過率が波長1000nmの光に対する透過率の1/10以上1/2以下の範囲にすることで、波長400nm以上700nm以下の可視光の透過を低減するので、遮光性に優れた中間部材3を得ることが出来る。
一方、可視光領域波長400nmから赤外領域波長1000nmにわたる全域において、中間部材3の透過率が高いと、光学部材1の側から光を当てて中間部材3と保持部材2を接着しても、中間部材3がレーザー光を十分に吸収できないので、十分な密着力が得られない。また、透過したレーザー光が保持部材2を溶解するので、位置精度が悪化する。前記のような粒子の分散状態としては図4に示すように、黒色微粒子6の平均粒子径が10nmよりも小さく、かつ黒色微粒子6の濃度が4wt%よりも低い状態である。
また、可視光領域波長400nmから赤外領域波長1000nmにわたる全域において、中間部材3の透過率が低い状態で、レーザー光が照射されると光学部材1と中間部材3の界面で殆ど吸収されるため、保持部材2の近傍では中間部材3の溶解が起こらない。このときに、中間部材3の全体を溶かすためにレーザーの照射強度を上げると、カーボンブラックからの異常発熱が発生して熱可塑性樹脂や保持部材2が分解温度に達するおそれがある。前記のような粒子の分散状態としては、図5に示すように、黒色微粒子6の平均粒子径が115nmよりも大きく、黒色微粒子6の濃度が10wt%より高い状態である。このような状態においては、熱可塑性樹脂や保持部材2からガスが発生し、光学部材の曇り、位置精度の悪化の要因となる。
次に、光学ユニットの製造方法について説明する。
本発明に係る光学ユニットの製造方法は、光学部材と、前記光学部材を保持する保持部材の間に、少なくとも熱可塑性樹脂と黒色微粒子を含有し、前記黒色微粒子の平均粒子径が10nm以上115nm以下で、かつ前記黒色微粒子の含有量が熱可塑性樹脂に対して4wt%以上10wt%以下である中間部材を配置する工程、前記光学部材上面からレーザー光を照射して前記光学部材と保持部材を中間部材を介して接着して一体化させる工程を有することを特徴とする。
まず、中間部材を形成するための中間部材用塗料を作製する。中間部材用塗料は、熱可塑性樹脂と、黒色微粒子と、溶媒および分散剤を均一に混合して作製する。溶媒の種類は熱可塑性樹脂を溶解させるものであれば特に限定されない。中間部材用塗料には、その他の成分として、本発明の効果を妨げない範囲において他の成分を添加することができる。例えば、粘度調整剤や酸化防止剤などが挙げられるがこの限りではない。
光学部材1の中間部材側外周面4と中間部材側内周面5に、上記の中間部材用塗料を塗布し、溶媒を蒸発させて中間部材3を形成する。中間部材用塗料の塗布方法は特に限定されないが、例えば、はけ塗りやスポンジ塗り、スプレーなどが挙げられる。また溶媒を蒸発させる方法としては、常温での自然乾燥でもよいし、溶媒の沸点近辺、例えば100℃程度の加熱により乾燥させてもよい。
次に、中間部材3が形成された光学部材1を保持部材2の上面に設置し、光学部材1の上面からレーザー光を当てて中間部材3を溶解させる。レーザー照射を停止すると中間部材3は再度固化して、光学部材1および保持部材2を一体化させる。
このときのレーザー照射による溶着時間は、1秒以上3秒以内が特に好ましい。レーザー照射時間が1秒より短いと溶解が不十分であるために所望の接着力が得られない。逆にレーザー照射時間が3秒より長いと中間部材3の粘度が必要以上に低下するので中間部材3が沈み込み、光学部材1を固定する位置精度が悪化する。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、部は重量基準であり、重量部を示す。
実施例1
[中間部材用塗料の作製例]
ポリアミドイミド系熱可塑性樹脂(HIMAL1500:日立化成社)100部と、平均粒子径が5nmの黒色のCu、Fe、Mn複合酸化物7部と、ジオキサン500部と、分散剤(Disperbyk106;ビックケミー社)0.8部を混合して、混合液を得た。この混合液をビーズミル装置(ウルトラアペックスミル;寿工業)で分散して、中間部材用塗料を回収した。分散条件は、ビーズ径50μm、周長8mで48時間である。このときの平均粒子径を測定したところ、12nmであった。尚、平均粒子径の測定にはマイクロトラックMT300(NIKKISO)を用い、累積個数の50%粒子径をもって平均粒子径とした。
[中間部材の形成]
次に、直径が11mm、厚み3mmのガラス部材(LAH−53;オハラ社)を準備する。ガラス部材の中間部材側外周面(以降、外周面と記す。)と中間部材側内周面(以降、内周面と記す。)に、中間部材用塗料をスポンジで膜厚が12μmになるように塗布した。塗布後、80℃の乾燥炉で90分間乾燥を行い、ジオキサンを蒸発させた。
次に、分光光度計(U−4100;日立ハイテク)にて、中間部材を塗布した箇所の波長400nm以上700nm以下(波長400nm−700nmと記す。)における最大透過率と、波長1000nmにおける透過率を測定し、その結果より、(波長400nm−700nmの最大透過率)÷波長1000nmの透過率の値を計算した。その結果、波長400nm−700nmの最大透過率は1.5%、波長1000nmの透過率は15%、(波長400nm−700nmの最大透過率)÷波長1000nmの透過率は0.1であった。
[レーザー溶着]
次に、外周面と内周面に中間部材が形成された光学部材を、射出成形で成形した保持部材の上面に設置し、位置あわせを行った後にYAGレーザー(ミヤチテクノス;ML−6300A(波長1000nm))を10Wの条件で3秒間照射した。その結果、光学部材と保持部材は一体化された光学ユニットを得た。なお、保持部材は、直径18mm、厚み6mmのカーボンブラックを含むポリカーボネート樹脂(パンライト;帝人社)からなる。
[光学ユニットの評価]
光学ユニットの性能を、光学部材の曇り発生有無と位置ズレ量より評価した。光学部材の曇り発生有無は目視で行った。また、位置ズレ量は固定前と固定後の高さをレーザー顕微鏡(キーエンス)で測定してその差を計算した。位置ズレの許容範囲は±5μm以内である。評価結果より、レーザー溶着後の光学部材の表面には曇りは見られなかった。また、レーザー溶着後の光学ユニットの位置ズレ量は5サンプルのいずれにおいても1μm以下であり、許容範囲内であった。
実施例2
実施例1と同様にして本実施例の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
実施例2では実施例1と材料は同じであるが、黒色微粒子の添加量を10部に増やし、更に中間部材の膜厚を14μmとした。その結果、レーザー溶着後の光学部材の表面には曇りは見られなかった。また、レーザー溶着後の光学ユニットの位置ズレ量は5サンプルのいずれにおいても1μm以下であり、許容範囲内であった。
実施例3
実施例1と同様にして本実施例の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
実施例3では熱可塑性樹脂をポリスチレン(XS100、PSジャパン社)に変えた以外は、実施例1と同様に中間部材を形成した。その結果、レーザー溶着後の光学部材の表面には曇りは見られなかった。また、レーザー溶着後の光学ユニットの位置ズレ量は5サンプルのいずれにおいても1μm以下であり、許容範囲内であった。
実施例4
実施例1と同様にして本実施例の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
実施例4では熱可塑性樹脂をポリアクリルアミド(アクリペット、三菱化学)に変えた以外は、実施例1と同様に中間部材を形成した。その結果、レーザー溶着後の光学部材の表面には曇りは見られなかった。また、レーザー溶着後の光学ユニットの位置ズレ量は5サンプルのいずれにおいても−1μm以下であり、許容範囲内であった。
実施例5
実施例1と同様にして本実施例の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
実施例5では黒色微粒子をカーボンブラックに変えた以外は、実施例1と同様に中間部材用を形成した。その結果、レーザー溶着後の光学部材の表面には曇りは見られなかった。また、レーザー溶着後の光学ユニットの位置ズレ量は5サンプルのいずれにおいても2μm以下であり、許容範囲内であった。
実施例6
実施例1と同様にして本実施例の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
実施例6では実施例1と材料は同じであるが、黒色微粒子の添加量を4部に減らし、更に黒色微粒子の平均粒子径を113μmにした。その結果、レーザー吸収効率は低下したものの位置ズレの許容範囲は±5μm以内の4μm以内に位置精度良固定可能であり、またレンズの曇りのない光学ユニットを得ることが出来た。
実施例7
実施例1と同様にして本実施例の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
実施例7では実施例1と材料は同じであるが、中間部材の膜厚を5μmまで薄くし、更に黒色微粒子の平均粒子径を113μmにした。その結果、レーザー吸収効率は低下したものの位置ズレの許容範囲は±5μm以内の−4μm以内に位置精度良く固定可能であり、またレンズの曇りのない光学ユニットを得ることが出来た。
実施例8
実施例1と同様にして本実施例の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
実施例8では実施例1と材料は同じであるが黒色微粒子の添加量を4部に減らした。その結果、レーザー吸収効率は低下したものの位置ズレの許容範囲は±5μm以内の2μm以内に位置精度良固定可能であり、またレンズの曇りのない光学ユニットを得ることが出来た。
実施例9
実施例1と同様して比較用の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
実施例9では膜厚を厚くした以外は実施例1と同様に中間部材を形成した。その結果、位置精度は6μmに悪化したものの位置精度良固定可能であり、またレンズの曇りのない光学ユニットを得ることが出来た。
実施例10
実施例1と同様して比較用の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
実施例10では膜厚を薄くした以外は実施例1と同様に中間部材を形成した。その結果、位置精度は−6μmに悪化したものの位置精度良固定可能であり、またレンズの曇りのない光学ユニットを得ることが出来た。
比較例1
実施例1と同様して比較用の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
比較例1では、紫外線硬化型アクリル;TB3033(スリーボンド社)に変えた以外は、実施例1と同様に中間部材3を形成した。紫外線照射条件は100mW/cmで240秒間照射した。その結果、比較例1では黒色微粒子を添加しているので紫外線が透過せず、中間部材3を固化することができなかった。
比較例2
実施例1と同様して比較用の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
比較例2では黒色微粒子を添加しなかった以外は、実施例1と同様に中間部材を形成した。その結果、レーザー光が保持部材まで直接届き、保持部材を溶解することで接着することで位置精度は5サンプルいずれも−5μm以上に悪化し、その最大値は−7μmであった。
比較例3
実施例1と同様して比較用の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
比較例3では実施例6と比較して黒色微粒子の添加量を減らした以外は実施例1と同様に中間部材を形成した。その結果、レーザー光が保持部材を溶かしてしまうため、位置精度は5サンプルとも−5μm以上であり、その最大値は−8μmに悪化した。
比較例4
実施例1と同様して比較用の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
比較例4では実施例5と比較して黒色微粒子の添加量を増やした以外は実施例1と同様に中間部材を形成した。その結果、レーザー光が保持部材まで届かないために、位置精度は5サンプルとも−5μm以上であり、その最大値は7μmに悪化した。
比較例5
実施例1と同様して比較用の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
比較例5では実施例1と比較して黒色微粒子平均粒子径を大きくした以外は実施例1と同様に中間部材を形成した。その結果、レーザー光が保持部材まで届かないために、位置精度は5サンプルとも−5μm以上であり、その最大値は11μmに悪化した。
比較例6
実施例1と同様して比較用の中間部材用塗料の作製およびレーザー溶着、光学ユニットの作製を行った。
比較例6では実施例1と比較して黒色微粒子の平均粒子径を小さくした以外は実施例1と同様に中間部材用3を形成した。その結果、レーザー光が保持部材まで届かないために、位置精度は5サンプルとも−5μm以上であり、その最大値は−7μmに悪化した。また、レンズ表面に曇りが発生した。
以上の実施例および比較例の評価結果を、表1から表4に示す。
Figure 2010197412
Figure 2010197412
Figure 2010197412
Figure 2010197412
(注1)ポリアミドイミドは、HIMAL1500:日立化成社を用いた。
(注2)ポリスチレンは、XS100、PSジャパン社を用いた。
(注3)ポリアクリルアミドは、アクリペット、三菱化学を用いた。
(注4)紫外線硬化型アクリルは、TB3033、スリーボンド社を用いた。
(注5)分散剤は、Disperbyk106;ビックケミー社を用いた。
(注6)光学部材の厚みは、中間部材用塗料を乾燥した後の膜厚を示す。
(注7)透過率A/透過率Bは、(波長400nm−700nmの最大透過率)÷波長1000nmの透過率の値を示す。
(注8)位置精度は、光学ユニットの5サンプルでの最大のズレ量を示す。
本発明の光学ユニットは、遮光機能を有し、レーザー光による異常発熱によるアウトガスによるレンズ曇りを防止し、高位置精度でレンズを固定可能なので、精細な位置精度を求められる高級機種用として利用することができる。
本発明に係る光学ユニットの一実施態様の断面の一部を拡大した模式図である。 本発明に係る光学ユニットのレーザー溶着工程を示す部分断面模式図である。 中間部材における熱可塑性樹脂中に分散している黒色微粒子の分布状態を説明する説明図である。 中間部材における熱可塑性樹脂中に分散している黒色微粒子の分布状態を説明する説明図である。 中間部材における熱可塑性樹脂中に分散している黒色微粒子の分布状態を説明する説明図である。
1 光学部材
2 保持部材
3 中間部材
4 中間部材側外周面
5 中間部材側内周面
6 黒色微粒子
7 熱可塑性樹脂
8 レーザー光

Claims (6)

  1. 光学部材と、前記光学部材を保持する保持部材と、前記光学部材と前記保持部材の間に配置された中間部材とを有し、前記中間部材へのレーザー光の照射により前記光学部材と保持部材が一体化された光学ユニットであって、前記中間部材は少なくとも熱可塑性樹脂と黒色微粒子を含有し、前記黒色微粒子の平均粒子径が10nm以上115nm以下で、かつ前記黒色微粒子の含有量が熱可塑性樹脂に対して4wt%以上10wt%以下であることを特徴とする光学ユニット。
  2. 前記中間部材の波長1000nmの光に対する透過率が10%以上20%以下であり、波長400nm以上700nm以下の光に対する最大透過率が波長1000nmの光に対する透過率の1/10以上1/2以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
  3. 前記中間部材の厚みが5μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学ユニット。
  4. 前記黒色微粒子が、カーボンブラック類、またはCu、Fe、Mnの酸化物および複合酸化物のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の光学ユニット。
  5. 前記熱可塑性樹脂がポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリアクリルアミドのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の光学ユニット。
  6. 光学部材と、前記光学部材を保持する保持部材の間に、少なくとも熱可塑性樹脂と黒色微粒子を含有し、前記黒色微粒子の平均粒子径が10nm以上115nm以下で、かつ前記黒色微粒子の含有量が熱可塑性樹脂に対して4wt%以上10wt%以下である中間部材を配置する工程、前記光学部材上面からレーザー光を照射して前記光学部材と保持部材を中間部材を介して接着して一体化させる工程を有することを特徴とする光学ユニットの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012247609A (ja) * 2011-05-27 2012-12-13 Ricoh Opt Ind Co Ltd レンズユニット
US11493743B2 (en) 2020-01-28 2022-11-08 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Optical unit for laser processing system and laser processing system

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