JP2010195890A - 難燃化された高耐光性高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

難燃化された高耐光性高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高熱伝導性且つ電気絶縁性で、更に難燃性及び耐光性並びに射出成形性に優れた、熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)、窒化ホウ素粉末(B)、有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C)、を少なくとも含有し、体積比率(A)/(B)=85/15〜25/75、且つ樹脂組成物総量に対し(C)を0.5〜20重量%とする。
【効果】該熱可塑性樹脂組成物は、120℃雰囲気中で400W水銀灯を10cmの距離から7日間連続照射した際の、照射前後の色差ΔEが10以下であり、熱伝導率が2W/m・K以上であり、表面電気抵抗値が1011Ω以上であり、更に低密度であって、該熱可塑性組成物からは、照明器具部材や携帯型電子機器等の軽量化、熱対策等に非常に有用な熱可塑性樹脂成形体が容易に成形できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高熱伝導性と電気絶縁性を両立させ、且つ難燃性及び耐光性並びに射出成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物、及び該組成物から得られる成形体に関する。更に詳しくは、高熱伝導性を有しつつ低密度であり、照明器具部材や携帯型電子機器等の軽量化に貢献し得る、高耐光性熱可塑性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂組成物を、パソコンやディスプレーの筐体、電子デバイス材料、自動車の内外装、照明器具部材、携帯電話等の携帯型電子機器、等、種々の用途に適用する場合、プラスチックは金属材料等の無機物と比較して熱伝導性が低いため、発生する熱を逃がし難いことが課題の一つとなる。このような課題を解決するため、高熱伝導性無機物を大量に熱可塑性樹脂中に配合することで、高熱伝導性樹脂組成物を得ようとする試みが広くなされている。このような高熱伝導性無機化合物としては、主にグラファイト、炭素繊維、低融点金属、アルミナ、窒化アルミニウム、等が用いられ、通常は30体積%以上、更には50体積%以上もの高含有量で樹脂中に配合する必要がある。
これら樹脂組成物の中でも、グラファイト、炭素繊維、低融点金属、等を用いたものからは、比較的高熱伝導性の樹脂成形体が得られるものの、得られる樹脂成形体が導電性を有してしまうため、金属との差別化が困難であり用途は限られている。更にこうした樹脂成形体では、近年特に高まってきている、電気絶縁性を有する高熱伝導性材料への要求には応えられないという大きな問題がある。
一方、アルミナを用いたものは電気絶縁性と高熱伝導性とを両立できるが、アルミナが樹脂と比べ高密度であるため、得られる組成物の密度も高くなり、携帯型電子機器や照明器具部材等の軽量化要請に応えるのは困難である上、熱伝導率もあまり向上しないという課題がある。また窒化アルミニウムを用いると比較的高熱伝導率の組成物が得られるが、窒化アルミニウムの加水分解性等が懸念される。
更には、これらフィラーを高充填した熱可塑性樹脂組成物は、フィラー含量が高いが故に射出成形性が大幅に低下してしまい、実用的な形状の金型やピンゲートを有する金型では射出成形が非常に困難であるという課題がある。フィラーを高充填した高熱伝導性熱可塑性樹脂の射出成形性を向上させるため、例えば室温で液体の有機化合物を添加する方法が開示されている(特許文献1)。
しかしながらこのような方法では、射出成形時に液体の有機化合物がブリードアウトし、金型を汚染する等の課題がある。その他種々の成形性改良法が検討されているが、未だ有効な手法が見出されていないのが現状である。
一方、電球ソケットや発光管ホルダーといった照明器具部材には、以前は熱硬化性樹脂が主に用いられていたが、加工性やコストの問題から熱可塑性樹脂への転換が進められている。この場合樹脂組成物として高い耐光性を有する必要があり、これを満たすために、例えば酸化チタンを含む白色顔料を大量に添加した白色熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が開示されている(特許文献2)。
しかしながらこのような方法では、照明器具部材に近年求められるようになってきた、コンパクト化、長寿命化、高熱伝導性等の高機能化、といった要求に応え切れないという課題がある。
また、特に放熱性樹脂組成物の耐光性を向上させる目的で、紫外線吸収剤及び光安定剤を共に必須成分として添加する方法が開示されている(特許文献3)。
しかしながらこのような方法では、紫外線吸収剤及び光安定剤を特定の割合で共に添加することが必須であり、添加剤の種類及び量が多くなると共に、コスト面にも課題を残す。
更に、ポリエステル系樹脂に対する効果的な難燃剤として、高温下での熱安定性が高く非揮発性のホスフィン酸金属塩化合物が開示されている(特許文献4)。
しかしながらこのような方法では、充分な難燃性を得るためには多量のホスフィン酸金属塩化合物の添加が必要であり、且つ放熱性や耐光性といった特性は見出されていない。
また、ポリエステル系樹脂をベースとする樹脂組成物に難燃性を付与し、併せて耐トラッキング性等の電気的特性を改良することを目的に、ポリエステル系樹脂に有機ホスフィン酸塩化合物を添加し、ハロゲン系難燃剤、電気特性向上剤等も併用する方法が開示されている(特許文献5)。
しかしながらこのような方法では、放熱性や耐光性といった特性は見出されておらず、また近年特にヨーロッパ等で求められるようになってきた、組成物や成形体に対する非ハロゲン化の要求に応え切れないという課題がある。
特開2003−41129号公報 特開平2−160863号公報 特開2008−239899号公報 特開平8−73720号公報 WO2007/007663号公報
本発明は前記現状に鑑み、高熱伝導性と電気絶縁性を両立させ、且つ難燃性及び耐光性並びに射出成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、高熱伝導性、電気絶縁性、低密度、射出成形性、を全て満足し、且つ難燃性及び耐光性を容易に付与し得る方策について鋭意検討した結果、特定の構造を有する有機リン系難燃剤を熱可塑性樹脂に添加して使用することにより、容易に目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)、窒化ホウ素粉末(B)、有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C)、を少なくとも含有し、(A)/(B)の体積比率が85/15〜25/75の範囲であり、樹脂組成物総量に占める(C)の重量分率が0.5〜20重量%である熱可塑性樹脂組成物(請求項1)、
(2)120℃雰囲気中で400W水銀灯を10cmの距離から7日間連続照射した際の、照射前後の色差ΔEが10以下であり、熱伝導率が2W/m・K以上であり、表面電気抵抗値が1011Ω以上であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物(請求項2)、
(3)有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C)が、有機ホスフィン酸アルミニウムであることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物(請求項3)、
(4)窒化ホウ素粉末(B)が、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末であり、且つその数平均粒径が5μm以上であり、白色度Wが90以上であり、黒鉛化指数GIが2.0以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物(請求項4)、
(5)請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物から得られた、白色度が80以上の熱可塑性樹脂成形体(請求項5)、
(6)射出成形法により成形された樹脂成形体であることを特徴とする、請求項5に記載の熱可塑性樹脂成形体(請求項6)、
(7)成形体の面方向における熱拡散率が成形体の厚み方向の熱拡散率の2倍以上であり、且つ成形体の面方向における熱拡散率が0.5mm2/sec以上であることを特徴とする、請求項5〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形体(請求項7)、
に関する。
本発明により、高熱伝導性と電気絶縁性を両立させ、且つ難燃性及び耐光性並びに射出成形性に優れた、低密度な熱可塑性樹脂組成物を得ることができ、照明器具部材や携帯型電子機器等の軽量化、熱対策等に非常に有用な熱可塑性樹脂成形体が容易に成形できる。更に、該熱可塑性樹脂組成物及びその成形体は、ハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を含有せず環境負荷の少ないものにすることも可能である。
本発明に用いられる熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)としては、非晶性脂肪族ポリエステル、非晶性半芳香族ポリエステル、非晶性全芳香族ポリエステル等の非晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂、結晶性脂肪族ポリエステル、結晶性半芳香族ポリエステル、結晶性全芳香族ポリエステル等の結晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂、液晶性脂肪族ポリエステル、液晶性半芳香族ポリエステル、液晶性全芳香族ポリエステル等の液晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂、等を用いることができる。
熱可塑性ポリエステル系樹脂のうち、液晶性熱可塑性ポリエステル系樹脂として好ましい構造の具体例は、
−O−Ph−CO− 構造単位(I)、
−O−R1−O− 構造単位(II)、
−O−CH2CH2−O− 構造単位(III)及び
−CO−R2−CO− 構造単位(IV)、
の構造単位からなる液晶性ポリエステルが挙げられる。
但し式中のR1
Figure 2010195890
から選ばれた1種以上の基を示し、R2
Figure 2010195890
から選ばれた1種以上の基を示す(但し式中Xは水素原子又は塩素原子を示す)。
前記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸及び4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
これらの中でも、p−ヒドロキシ安息香酸及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステルを特に好ましく用いることができる。
熱可塑性ポリエステル系樹脂のうち、結晶性熱可塑性ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート及びポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等のほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート及びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート等の結晶性共重合ポリエステル等が挙げられる。
これら結晶性ポリエステルの中でも、入手が容易であるという点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、等を用いることが好ましい。これらの中でも、結晶化速度が最適である点等から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、等のポリアルキレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポリエステル系樹脂は1種類のみを単独で用いても良いし、2種以上を組合せて使用しても良い。2種以上を組合せて使用する場合には、その組合せは特に限定されず、化学構造、分子量、結晶形態、等が異なる2種以上の成分を任意に組合せることができる。
これら種々の熱可塑性ポリエステル系樹脂の中でも、樹脂単体での熱伝導率が高いことから、高結晶性或いは液晶性の樹脂を用いることが好ましい。樹脂によっては、成形条件によって結晶化度が変化する場合もあるが、そのような場合には高結晶性となるような成形条件を選択することで、得られる樹脂成形体の熱伝導性を高めることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)以外の各種熱可塑性樹脂を更に用いることができる。(A)以外の熱可塑性樹脂は、合成樹脂であっても自然界に存在する樹脂であっても良い。(A)以外の熱可塑性樹脂を用いる場合の使用量は、成形性と機械的特性とのバランスを考慮すると、(A)100重量部に対して好ましくは0〜100重量部、より好ましくは0〜50重量部である。
(A)以外の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン等の芳香族ビニル系樹脂;ポリアクリロニトリル等のシアン化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のポリメタアクリル酸エステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂及びこれらの誘導体樹脂;ポリメタクリル酸系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、及びこれらの金属塩系樹脂;ポリ共役ジエン系樹脂;マレイン酸、フマル酸、及びこれらの誘導体を重合して得られるポリマー;マレイミド系化合物を重合して得られるポリマー;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアルキレンオキシド系樹脂;セルロース系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリケトン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリエーテルイミド系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリビニルエーテル系樹脂;フェノキシ系樹脂;フッ素系樹脂;シリコーン系樹脂;液晶ポリマー;これら例示されたポリマーのランダム・ブロック・グラフトの各共重合体、等が挙げられる。これら(A)以外の熱可塑性樹脂は、それぞれ1種類のみを単独で用いても良いし、2種以上の複数を組合せて用いても良い。2種以上の樹脂を組合せて用いる場合には、必要に応じて相溶化剤等を添加して用いることもできる。これら(A)以外の熱可塑性樹脂は、目的に応じて適宜使い分ければ良い。
これら(A)以外の熱可塑性樹脂の中でも、樹脂の一部或いは全部が結晶性或いは液晶性を有する熱可塑性樹脂であることが、得られた樹脂組成物の熱伝導率が高くなる傾向がある点や、窒化ホウ素粉末(B)に代表される無機化合物を樹脂中に含有させることが容易である点から好ましい。これら結晶性或いは液晶性を有する熱可塑性樹脂は、樹脂全体が結晶性であっても、ブロック或いはグラフト共重合体樹脂の分子中における特定ブロックのみが結晶性や液晶性である等、樹脂の一部のみが結晶性或いは液晶性であっても良い。樹脂の結晶化度には特に制限は無い。また(A)以外の熱可塑性樹脂として、非晶性樹脂と結晶性或いは液晶性樹脂とのポリマーアロイを用いることもできる。この場合、樹脂の結晶化度には特に制限は無い。
樹脂の一部或いは全部が結晶性或いは液晶性を有する(A)以外の熱可塑性樹脂の中には、結晶化させることが可能であっても、単独で用いたり特定の成形加工条件で成形したりすることにより、場合によっては非晶性を示す樹脂もある。このような樹脂を用いる場合には、窒化ホウ素粉末(B)に代表される無機化合物の添加量や添加方法を調整したり、延伸処理や後結晶化処理をする等、成形加工方法を工夫したりすることにより、樹脂の一部或いは全体を結晶化させることができる場合もある。
結晶性或いは液晶性を有する熱可塑性樹脂の中でも好ましい樹脂として、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、結晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系ブロック共重合体、等を例示することができるが、これらに限らず各種の結晶性樹脂や液晶性樹脂を用いることができる。
また、(A)以外の熱可塑性樹脂に弾性を有する樹脂を用いることで、(A)の樹脂の衝撃強度を改善することもできる。これら弾性樹脂は、得られる樹脂組成物の衝撃強度改良効果に優れていることから、その少なくとも1つのガラス転移点が0℃以下であることが好ましく、より好ましくは−20℃以下である。
該弾性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−ブタジエンゴム等のジエン系ゴム;アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、シロキサンゴム等のゴム状重合体;ジエン系ゴム及び/又はゴム状重合体10〜90重量部に対して、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー10〜90重量部、並びに、これらと共重合可能な他のビニル系化合物10重量部以下を重合してなるゴム状共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種ポリオレフィン系樹脂;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、等のエチレン−αオレフィン共重合体;プロピレン−ブテン共重合体、等のオレフィン共重合体;エチレン−エチルアクリレート共重合体等の、各種共重合成分により変性された共重合ポリオレフィン系樹脂;エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−グリシジルメタクリレート共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、等の、各種官能成分により変性された変性ポリオレフィン系樹脂;スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブテン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、等のスチレン系熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。
該弾性樹脂を添加する場合、その添加量は、樹脂(A)100重量部に対して、通常150重量部以下であり、好ましくは0.1〜100重量部であり、より好ましくは0.2〜50重量部である。150重量部を超えると、剛性、耐熱性、熱伝導性、等が低下する傾向がある。
本発明で用いられる窒化ホウ素粉末(B)は、その形状や結晶構造に特に制約はなく、鱗片形状、凝集粒子状、球状等の形状であって良いし、また六方晶、立方晶、乱層状等の結晶構造であって良い。これらの中で、熱伝導性、電気絶縁性、熱可塑性樹脂への充填性、得られた熱可塑性樹脂組成物の成形加工性、等の観点から、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末であることが好ましい。このような鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末は、公知の種々の方法により製造することができる。一般的な製造方法としては、ホウ素源となる酸化ホウ素やホウ酸;窒素源となるメラミン、尿素、アンモニア;等とを、必要により事前に反応させた後、窒素等の不活性ガス存在下或いは真空下で1000℃程度に加熱して乱層構造の窒化ホウ素を合成し、その後更に窒素やアルゴン等の不活性ガス存在下或いは真空下で2000℃程度まで加熱して結晶化を進行させ、六方晶窒化ホウ素結晶粉末とする方法等が挙げられる。或いは、例えば窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中、硝酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、金属ケイ素、等の高温で液体となるフラックス化合物の共存下に、メラミン、尿素、等の窒素源となる化合物、或いはチッ素ガス、アンモニアガス等の窒素源となる気体と、ホウ酸、酸化ホウ素、等のホウ素源となる化合物とを1700〜2200℃程度の高温で焼成することにより、フラックス化合物中で結晶成長を促進し、結晶粒子を得る方法等を挙げることができる。但し、本発明で用いられる窒化ホウ素粉末(B)の製造方法はこのような方法に限定されず、種々の方法を用いることができる。
これらの製造方法により得られた鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末を、樹脂に充填した樹脂組成物を射出成形すると、樹脂中に充填された鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末が成形体の面方向に配向しやすくなる。このような窒化ホウ素粉末の配向状態を得ることにより、成形体の面方向で測定された熱拡散率を厚み方向で測定された熱拡散率の2倍以上とすることが可能となる。即ち、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末は、鱗片形状の面方向に熱を伝えやすい性質を有している。
本発明で用いられる窒化ホウ素粉末(B)の数平均粒径は5μm以上であることが好ましく、より好ましくは7μm以上、更に好ましくは10μm以上、更により好ましくは15μm以上、最も好ましくは20μm以上である。数平均粒径が大きいほど、該窒化ホウ素粉末を充填した樹脂組成物から得られる成形体の熱伝導率が向上する傾向が認められると共に、該成形体の面方向で測定された熱拡散率と厚み方向で測定された熱拡散率の比、即ち熱拡散の異方性が大きくなる傾向が認められる。また、数平均粒径の上限は一般的には1mm以下のものが用いられる。1mmを上回る場合、射出成形の際に金型のゲート部等に粉末が詰まる等して、成形性が低下する傾向が見られる。
また、本発明で用いられる窒化ホウ素粉末(B)の白色度Wは90以上であることが好ましく、更に好ましくは92以上、最も好ましくは95以上である。白色度が高いほど、該窒化ホウ素粉末を充填した樹脂組成物から得られる成形体の白色度が高くなる傾向が見られる。
更に、本発明で用いられる窒化ホウ素粉末(B)の黒鉛化指数GIは2.0以下が好ましく、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.6以下、最も好ましくは1.3以下である。黒鉛化指数の値が低いほど、該窒化ホウ素粉末の結晶性が高く、該窒化ホウ素粉末を充填した樹脂組成物から得られる成形体の熱伝導率が向上する傾向が認められるので好ましい。
ここでいう粒径とは、鱗片形状の粒子のうち投影面積が最も広くなるように観察した時に、形状が円形の場合には円の直径により算出される。また形状が円形でない場合には、面内で最も長い寸法を粒径と呼ぶこととする。即ち、例えば楕円形状であれば楕円の長径を、長方形であれば長方形の対角線の長さを、粒径とする。
粉末が鱗片形状であるとは、粉末の投影面積が最も広くなるように観察した時の長径の寸法が、粉末の投影面積が最も狭くなるように観察した時の最も短い辺の寸法の5倍以上であり、且つ粉末の投影面積が最も広くなるように観察した時の長径寸法が短径寸法の5倍未満であることにより定義されるものとする。投影面積が最も広くなるように観察した時の長径寸法と、投影面積が最も狭くなるように観察した時の短辺寸法との比は、好ましくは長径寸法が短辺寸法の6倍以上であり、更に好ましくは7倍以上である。粉末の投影面積が最も広くなるように観察した時の長径寸法と短径寸法との比は、好ましくは長径寸法が短径寸法の4.5倍未満であり、更に好ましくは4倍未満である。
また、ここでいう白色度Wとは、測色色差計を用いて測定した粉末の色の明度(L)、色相、彩度(a、b)から、次式(1)により算出できる。
W=100−{(100−L)2+a2+b21/2 (1)
更に、ここでいう黒鉛化指数GIとは、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末の粉末X線回折測定における、回折線図の(100)、(101)及び(102)回折線の積分強度比(即ち面積比)から、次式(2)により算出できる。
GI=[面積{(100)+(101)}]/[面積(102)] (2)
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、樹脂(A)と窒化ホウ素粉末(B)の比率は、(A)/(B)の体積比率が85/15〜25/75とすることが好ましい。(A)の使用量が多いほど、得られる成形体の耐衝撃性、表面性、成形加工性が向上し、溶融混練が容易になる傾向があり好ましい、という観点、及び(B)の使用量が多いほど熱伝導率が向上する傾向があり好ましい、という観点から、体積比は好ましくは80/20〜33/67、より好ましくは75/25〜35/65、更に好ましくは73/27〜40/60、最も好ましくは70/30〜45/55である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を更に高性能とするため、単体での熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導性無機化合物を併用することができる。熱可塑性樹脂組成物の熱伝導率をより向上させるためには、併用する無機化合物単体での熱伝導率は、好ましくは12W/m・K以上、より好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上、最も好ましくは30W/m・K以上とする。高熱伝導性無機化合物単体での熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には3000W/m・K以下、更には2500W/m・K以下、のものが好ましく用いられる。
特に本発明の熱可塑性樹脂組成物を、高度な電気絶縁性が要求される用途に用いる場合には、高熱伝導性無機化合物としては電気絶縁性を示す化合物が好ましく用いられる。電気絶縁性とは具体的には、体積固有電気抵抗率が1Ω・cm以上のものを示すこととするが、好ましくは10Ω・cm以上、より好ましくは105Ω・cm以上、更に好ましくは1010Ω・cm以上、最も好ましくは1013Ω・cm以上のものを用いるのが好ましい。体積固有電気抵抗率の上限には特に制限は無いが、一般的には1018Ω・cm以下である。
高熱伝導性無機化合物のうち、電気絶縁性を示す化合物としては具体的には、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる窒化ホウ素粉末(B)をはじめとして、(B)以外の形状及び結晶構造を有する窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物;炭化ケイ素等の金属炭化物;炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;ダイヤモンド等の絶縁性炭素材料;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等の金属水酸化物、等を例示することができる。また酸化アルミニウムはムライト等他の元素との複合化された化合物であっても良い。
中でも電気絶縁性に優れることから、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる窒化ホウ素粉末(B)をはじめとして、(B)以外の形状及び結晶構造を有する窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物;酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、等の金属酸化物;炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等の金属水酸化物;ダイヤモンド等の絶縁性炭素材料;をより好ましく用いることができる。酸化アルミニウムの中でもα−アルミナが熱伝導率に優れるため好ましい。これらは1種類のみを単独で用いても良いし、2種以上の複数種類を組合せて用いることもできる。
これら高熱伝導性無機化合物の形状については、種々の形状のものが適用可能である。例えば粒子状、微粒子状、ナノ粒子状、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤー状、ロッド状、針状、板状、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、不定形、液体、等、種々の形状を例示することができる。またこれら高熱伝導性無機化合物は天然物であっても良いし、合成されたものであっても良い。天然物の場合、産地等には特に限定は無く、適宜選択することができる。これら高熱伝導性無機化合物は、1種類のみを単独で用いても良いし、形状、平均粒子径、種類、表面処理剤等が異なる2種以上を併用することもできる。
これら高熱伝導性無機化合物は、樹脂と無機化合物との界面の接着性を高めたり、作業性を容易にしたりするため、シラン処理剤等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであっても良い。表面処理剤としては特に限定されず、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等、従来公知のものを使用することができる。中でもエポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、ポリオキシエチレンシラン、等が樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。無機化合物の表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、耐熱性や機械的強度をより高めるため、本発明の特徴を損なわない範囲で前記以外の無機化合物を更に添加することができる。このような無機化合物としては特に制限は無い。但しこれら無機化合物を添加すると、熱伝導率に影響を及ぼす場合があるため、添加量等には注意が必要である。これら無機化合物も表面処理がなされていても良い。これらを使用する場合、その添加量は、樹脂(A)100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましい。添加量が100重量部を上回ると、耐衝撃性や成形加工性が低下する場合がある。好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。また、これら無機化合物の添加量の増加に伴い、該熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形体の表面性や寸法安定性が悪化する傾向が見られるため、これらの特性が重視される場合には、無機化合物の添加量をできるだけ少なくすることが好ましい。
本発明で用いられる有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C)は、下記一般式(3);
Figure 2010195890
(3)
(式中、R3及びR4は独立に、置換又は非置換の一価炭化水素基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、又は周期表第13族の典型元素を表し、nは1〜4の整数である。)
で表される構造を有する有機ホスフィン酸塩化合物である。
前記一般式(3)中、R3及びR4で表される置換又は非置換の一価炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等のヒドロキシアルキル基;2−カルボキシエチル基、2−カルボキシプロピル基等のカルボキシアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、2−(β−ヒドロキシエチルカルボニル)エチル基、2−メトキシカルボニルプロピル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられ、通常、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10のものである。中でも本発明の熱可塑性樹脂組成物が充分な難燃性及び耐光性を有するためには、該一価炭化水素基は更に好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基であり、更により好ましくはエチル基又はメチル基であり、最も好ましくはエチル基である。
また前記一般式(3)中、Mとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;鉄、コバルト、ニッケル、チタン、マンガン、ジルコニウム、銅、亜鉛等の遷移金属;アルミニウム等の周期表第13族の典型元素等が挙げられる。中でも本発明の熱可塑性樹脂成形体が充分な難燃性及び耐光性を有するためには、好ましくはアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛であり、より好ましくはアルミニウム、カルシウム、亜鉛であり、最も好ましくはアルミニウムである。
本発明で用いられる有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C)の添加量は、樹脂組成物総量の0.5〜20重量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは1〜18重量%の範囲であり、更に好ましくは1.5〜15重量%の範囲であり、最も好ましくは2〜12重量%の範囲である。該有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C)の添加量が、樹脂組成物総量の0.5〜20重量%の範囲であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物が充分な難燃性及び耐光性を示す。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物をより高性能なものにするため、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等の熱安定剤等を、単独又は2種類以上を組合せて添加することが好ましい。更に必要に応じて、一般に良く知られている、熱安定剤、安定化助剤、滑剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤等を、単独又は2種類以上を組合せて、本発明の効果を奏する範囲で添加しても良い。
前記各種添加剤のうち、特に難燃助剤としては、塩基性有機窒素含有化合物を含む有機窒素化合物等が挙げられ、該塩基性有機窒素含有化合物としては、例えば、メラミン、グアナミン、ベンゾグアナミン及び/又はその縮合物(メラム、メレム、メロン等のメラミン縮合物等)等に代表される、アミノトリアジン化合物、又はグアニジン化合物等の、アミノ基を有する窒素含有化合物、或いは尿素化合物等が挙げられる。これら塩基性有機窒素含有化合物を含む有機窒素化合物等のうち、トリアジン系化合物とシアヌル酸又はイソシアヌル酸の塩が好ましく、トリアジン系化合物とシアヌル酸又はイソシアヌル酸の付加物がより好ましい。該付加物は通常、トリアジン系化合物とシアヌル酸又はイソシアヌル酸がモル比で1対1、場合によりモル比で2対1の組成を有する付加物である。ここでトリアジン系化合物のうち、シアヌル酸又はイソシアヌル酸と塩を形成しないものは除外される。更に好ましくは、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−アミド−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、モノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキシメチル)メラミン、トリ(ヒドロキシメチル)メラミン等の塩であり、最も好ましくは、メラミン・シアヌル酸付加物である。
ここで、メラミン・シアヌル酸付加物とは、メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)とシアヌル酸(2,4,6−トリヒドロキシー1,3,5−トリアジン)及び/又はその互変異性体が形成する化合物である。
該付加物は、従来公知の方法で製造して良く、例えば、メラミンの溶液とシアヌル酸の溶液を混合して塩を形成させる方法や、一方の溶液に他方を加えて溶解させながら塩を形成させる方法等によって得ることができる。この場合、メラミンとシアヌル酸の混合比に特に制約はないが、得られる付加物が熱可塑性樹脂組成物の熱安定性を損ないにくいという観点から等モルに近いほうが良く、特に1対1が好ましい。
また該付加物の数平均粒径は、特に限定されないが、得られる熱可塑性樹脂組成物の難燃性、強度特性、耐湿熱特性、滞留安定性、成形加工性及び該熱可塑性樹脂から得られる樹脂成形体の表面外観性を損なわないという観点から、0.01〜250μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜200μmの範囲であり、更に好ましくは0.5〜100μmの範囲であり、最も好ましくは1〜80μmの範囲である。
更に該付加物の添加量は、樹脂組成物総量の0.5〜20重量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは1〜18重量%の範囲であり、更に好ましくは2〜15重量%の範囲であり、最も好ましくは3〜10重量%の範囲である。該付加物の添加量が、樹脂組成物総量の0.5〜20重量%の範囲であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物が充分な難燃性及び耐光性を示す。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではない。例えば、前述した成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、二軸等の押出機のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造することができる。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に途中添加して製造することもできる。その他、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等に所定の各成分を供給し、混練することにより製造することもできる。各成分の供給方法は特に限定されず、各々の成分を一括配合して混練しても良く、多段、分割配合して混練しても良い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、必要に応じ造核剤等の結晶化促進剤を添加することにより、成形性を更に改善することができる。
本発明において用いられる結晶化促進剤としては、例えば、高級脂肪酸アミド、尿素誘導体、ソルビトール系化合物、高級脂肪酸塩、芳香族脂肪酸塩等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上用いることができる。中でも結晶化促進剤としての効果が高いことから、高級脂肪酸アミド、尿素誘導体、ソルビトール系化合物が好ましい。
前記高級脂肪酸アミドとしては、例えば、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N−ステアリルベヘン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、エチレンジアミンとステアリン酸とセバシン酸の重縮合物、等が挙げられ、特にベヘン酸アミドが好ましい。
前記尿素誘導体としては、ビス(ステアリルウレイド)ヘキサン、4,4’−ビス(3−メチルウレイド)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(3−シクロヘキシルウレイド)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(3−シクロヘキシルウレイド)ジシクロヘキシルメタン、4,4’−ビス(3−フェニルウレイド)ジシクロヘキシルメタン、ビス(3−メチルシクロヘキシルウレイド)ヘキサン、4,4’−ビス(3−デシルウレイド)ジフェニルメタン、N−オクチル−N’−フェニルウレア、N,N’−ジフェニルウレア、N−トリル−N’−シクロヘキシルウレア、N,N’−ジシクロヘキシルウレア、N−フェニル−N’−トリブロモフェニルウレア、N−フェニル−N’−トリルウレア、N−シクロヘキシル−N’−フェニルウレア、等が例示され、特にビス(ステアリルウレイド)ヘキサンが好ましい。
前記ソルビトール系化合物としては、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール 、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール 、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキ
シベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール 、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、及び1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、等が挙げられる。これらの中で、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトールが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における結晶化促進剤の使用量は、樹脂(A)100重量部に対し、成形性の点から、0.01〜5重量部が好ましく、0.03〜4重量部がより好ましく、0.05〜3重量部が更に好ましい。0.01重量部未満では、結晶化促進剤としての効果が不足する可能性があり、また5重量部を上回ると、効果が飽和する可能性があることから経済的に好ましくなく、外観や物性が損なわれる可能性がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形体の白色度は、80以上であることが好ましく、更に好ましくは83以上であり、最も好ましくは85以上である。該白色度が高いほど、例えば該成形体を照明器具部材等に適用した場合に、光源等からの光の反射特性に優れる。
ここで、本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形体の白色度は、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末の白色度と同様に、測色色差計を用いて測定した成形体の色の明度(L)、色相、彩度(a、b)から、前記式(1)により算出できる。
また本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐光性は、該熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形体の、高温下での水銀灯照射に伴うサンプルの色差で評価することができる。例えば、120℃雰囲気中で400W水銀灯を10cmの距離から7日間連続照射した際の、照射前後の色差ΔEを評価する。このΔEが10以下であることが好ましく、更に好ましくは8以下であり、最も好ましくは6以下である。該ΔEが10以下であれば充分な耐光性を示すと言え、例えば該成形体を照明器具部材等に適用した場合には、光源等からの光による成形体の変色を抑制することができる。
ここで、水銀灯照射前後の色差ΔEは、測色色差計により水銀灯照射前の成形体の色調L0、a0、b0及び照射後の成形体の色調L1、a1、b1を測定し、次式(4)により算出できる。
ΔE={(L1−L02+(a1−a02+(b1−b021/2 (4)
更に本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱伝導率が高いことが求められる。該熱伝導率は2W/m・K以上であることが好ましく、更に好ましくは2.5W/m・K以上であり、最も好ましくは3W/m・K以上である。該熱伝導率が2W/m・K以上であれば、例えば該熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形体を携帯型電子機器等の外部筐体等に適用した場合に、内部で発生する熱を外部に効率良く伝えたり、或いは該成形体を照明器具部材等に適用した場合に、光源等の発光に伴い発生する熱を効率良く放熱したりすることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の熱伝導率は、例えば該熱可塑性樹脂組成物から平板状或いは円板状サンプルを成形し、該サンプルにて、ホットディスク法熱物性率測定装置を用い、二重スパイラル構造になっているニッケル箔センサをサンプル2個で挟み込み、該センサを定電力で一定発熱させ、センサの温度上昇から算出することができる。
また本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形体の面方向と厚み方向の熱拡散率は、例えば平面状サンプルにてフラッシュ式熱拡散率測定装置を用いて、表面からレーザーや光で加熱し、加熱部分の裏面及び加熱部分と少し面方向に離れた箇所における裏面での昇温変化を測定する方法により、それぞれ算出することが可能である。測定時のサンプル表面温度上昇を低く抑える目的から、測定にはキセノンフラッシュ式熱拡散率測定装置を用いるのが好ましい。このような手法で測定された面方向及び厚み方向の熱拡散率を比較した際、成形体の面方向で測定された熱拡散率を成形体の厚み方向で測定された熱拡散率の2倍以上とすることにより、例えば該成形体を携帯型電子機器等の外部筐体等に適用した場合に、内部で発生する熱を面方向に効率良く分散させることができる。また該成形体を照明器具部材等に適用した場合、光源等の発光に伴い発生する熱を面方向に効率良く分散させることができる。これを、「面方向に熱拡散の異方性が高い」と定義する。成形体の面方向で測定された熱拡散率は、成形体の厚み方向で測定された熱拡散率に対して、好ましくは2.5倍以上、より好ましくは3倍以上、更に好ましくは4倍以上、最も好ましくは5倍以上である。
更に、例えば携帯型電子機器等の内部で発生する熱を外部により効率良く伝えたり、光源等の発光に伴い発生する熱をより効率良く放熱したりするためには、成形体の熱拡散率の絶対値自体も高くする必要がある。成形体の面方向で測定された熱拡散率は、好ましくは0.5mm2/sec以上、より好ましくは0.75mm2/sec以上、更に好ましくは1.0mm2/sec以上、更により好ましくは1.5mm2/sec以上、最も好ましくは2.0mm2/sec以上である。成形体の面方向で測定された該熱拡散率が0.5mm2/sec以上であれば、例えば携帯型電子機器等の内部で発生する熱を外部により効率良く伝えたり、光源等の発光に伴い発生する熱をより効率良く放熱したりすることができる。
また本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電気絶縁性と高熱伝導性とを両立させることが可能である。ASTM D−257に準じ二端子法で測定した表面電気抵抗値は、1011Ω以上であることが好ましく、更に好ましくは1012Ω以上であり、最も好ましくは1013Ω以上である。該表面電気抵抗値が1011Ω以上であれば、充分な電気絶縁性を示す。
更に本発明の熱可塑性樹脂組成物は、米国アンダーライターズラボラトリー社の定める方法(UL−94難燃性規格)に準じて、厚み1.6mmで評価した難燃性がV−0であることが好ましい。該難燃性がV−0であれば、充分な難燃性を示す。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、等種々の熱可塑性樹脂成形法により、樹脂成形体に成形することが可能であるが、成形時に樹脂組成物が受ける剪断速度が速く、成形体に容易に熱拡散の異方性を付与することができること、成形サイクルが短く生産性に優れること、等から、射出成形法により成形された成形体であることが好ましい。射出成形法とは、射出成形機に金型を取り付け、成形機にて溶融可塑化された樹脂組成物を高速で金型内に注入し、樹脂組成物を冷却固化させることにより、所定の目的形状に賦形して取り出す成形方法である。この際用いられる成形機や金型には特に制限は無く、所定の目的形状の成形体が得られるように設計された金型を用いることが好ましい。
このようにして得られた成形体は、樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂成形体等の様々な形態で、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料、等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。本発明で得られた熱可塑性樹脂成形体は、現在広く用いられている一般的なプラスチック用射出成形機が使用可能であるため、複雑な形状を有する成形体の取得も容易である。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に成形加工性良好、高熱伝導性、という優れた特性を有し、発熱源を内部に有する携帯電話等の携帯型電子機器、ディスプレー、コンピューター等の筐体成形用樹脂として、更に、高耐光性という優れた特性を有することから、電球ソケット、発光管ホルダー、LED等の発光素子の実装用基板、コネクター、リフレクターといった照明器具部材成形用樹脂として、非常に有用である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形体は、家電、OA機器部品、AV機器部品、自動車内外装部品、等の射出成形体等に好適に使用することができる。特に多くの熱を発する家電製品やOA機器において、外装材料及び/又は内部部品として好適に用いることができる。また、発熱源を内部に有するがファン等による強制冷却が困難な電子機器において、内部で発生する熱を外部へ放熱するために、これらの機器の外装材料及び/又は内部部品として好適に用いられる。更に、耐光性を要求される照明器具部材としても、好適に用いることができる。
これらの中でも好ましい装置として、ノートパソコン等の携帯型コンピューター、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯型音楽プレーヤー、携帯型TV/ビデオ機器、携帯型ビデオカメラ、等の小型あるいは携帯型電子機器類が挙げられ、それらの筐体、ハウジング、外装材用及び/又は内部部品用樹脂組成物として、本発明の熱可塑性樹脂組成物が非常に有用である。
また自動車や電車等におけるバッテリー周辺用、家電機器の携帯バッテリー用、ブレーカー等の配電部品用、モーター等の封止用、の各種材料としても非常に有用に用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる樹脂成形体は、従来良く知られている成形体に比べて、耐衝撃性、表面性が良好であり、前記の用途における部品或いは筐体用として有用な特性を有するものである。
即ち、このような成形体は電気・電子工業分野、自動車分野、等、様々な状況で高耐光性且つ難燃性の熱対策素材として用いることが可能で、工業的に非常に有用である。
更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体は、ハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を含まないことも可能であるため、環境負荷低減の要求のある分野において好適に用いることができる。
次に、本発明について実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。
[製造例1]
オルトホウ酸53重量部、メラミン43重量部、硝酸リチウム4重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、純水200重量部を添加し80℃で8時間攪拌してから濾過し、150℃で1時間乾燥後した。得られた化合物を窒素雰囲気下900℃で1時間加熱し、更に窒素雰囲気下1800℃で焼成・結晶化させた。得られた焼成物を粉砕して鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(BN−1)を得た。得られた粉末の数平均粒径は48μm、白色度は92、黒鉛化指数は1.0であった。また本粉末を単独で固化させ熱伝導率を測定した結果熱伝導率は300W/mKであり、且つ電気絶縁性であった。
[製造例2]
オルトホウ酸50重量部、メラミン40重量部、炭酸カルシウム10重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、純水200重量部を添加し80℃で8時間攪拌してから濾過し、150℃で1時間乾燥後した。得られた化合物を窒素雰囲気下900℃で1時間加熱し、更に窒素雰囲気下2000℃で焼成・結晶化させた。得られた焼成物を粉砕後硝酸水溶液での洗浄により炭酸カルシウム成分を除去し、150℃で乾燥させて鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(BN−2)を得た。得られた粉末の数平均粒径は19μm、白色度は90、黒鉛化指数は1.3であった。また本粉末を単独で固化させ熱伝導率を測定した結果熱伝導率は100W/mKであり、且つ電気絶縁性であった。
[製造例3]
オルトホウ酸185重量部、メラミン250重量部、炭酸カルシウム10重量部をヘンシェルミキサーで20分間撹拌した後、窒素雰囲気下100℃、相対湿度80%で5時間保持した。更に、アンモニア雰囲気下1000℃で1時間保持した後、アルゴン雰囲気下、温度1800℃で1時間焼成した。焼成物を希硝酸で洗浄した後、濾過、乾燥を行い、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(BN−3)を得た。得られた粉末の数平均粒径は9μm、白色度は92、黒鉛化指数は1.3であった。また本粉末を単独で固化させ熱伝導率を測定した結果熱伝導率は60W/mKであり、且つ電気絶縁性であった。
[製造例4]
6.5Lの水に19.5molのジエチルホスフィン酸を溶解し、6.5molの水酸化アルミニウムを、激しい撹拌下、85℃に加熱しながら加えた。全体として、混合物を80〜90℃で65時間撹拌し、次に60℃に冷却し吸引濾過した。恒量になるまで真空乾燥器中120℃で乾燥し、300℃以下の融点を持たないジエチルホスフィン酸アルミニウム微粒状粉末(FR−1)を得た。
[製造例5]
前記製造例4において、ジエチルホスフィン酸の代わりにエチルメチルホスフィン酸を用いたこと以外は、製造例4と同様にして、300℃以下の融点を持たないエチルメチルホスフィン酸アルミニウム微粒状粉末(FR−2)を得た。
(実施例1)
熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)としてポリエチレンテレフタレート樹脂(PES−1:(株)ベルポリエステルプロダクツ製ベルペットEFG−70)100重量部を用い、これにフェノール系安定剤((株)ADEKA製AO−60)0.2重量部を混合したものを準備した(原料1)。別途、窒化ホウ素粉末(B)として、前記製造例1で製造した鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末(BN−1)を100重量部用い、これにエポキシシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製KBM−303)1重量部及びエタノール5重量部をスーパーフローターで混合し、5分間撹拌した後、80℃にて4時間乾燥したものを準備した(原料2)。更に有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C)として、前記製造例4で製造したジエチルホスフィン酸アルミニウム微粒状粉末(FR−1)を100重量部用い、これにガラス繊維(日本電気硝子(株)製T187H/PL)95重量部をスーパーミキサーで混合したものを準備した(原料3)。原料1、原料2及び原料3を別々の重量式フィーダーにセットし、(A)/(B)の体積比率が53/47となり、且つ樹脂組成物総量に占める(C)の重量分率が7.6重量%となるよう混合した後、(株)日本製鋼所製同方向噛合型二軸押出機TEX44XCTのスクリュー根本付近に設けられたホッパーより投入した。設定温度は原料供給口近傍が250℃で、スクリュー先端部に向かって順次設定温度を上昇させ、スクリュー先端部温度を280℃に設定した。本条件にて射出成形用サンプルペレットを得た。
得られたペレットを140℃で4時間乾燥後、東芝機械(株)製75t射出成形機IS−75E−2Aにて、平板の面中心部分にゲートサイズ0.8mmφで設置されたピンゲートを通じて、50mm×80mm×厚み1.1mmの平板形状試験片を成形し、白色度、耐光性、熱拡散率とその異方性、及び電気絶縁性の評価に供した。
また、成形体横方向からゲートサイズ2mmφのゲートを通じて厚み6.4mm×21mmφの試験片を成形し、成形体としての熱伝導率測定に供した。
更に、ゲートサイズ2mmφのゲートを通じて12.7mm×127mm×厚み6.4mmのバー形状試験片を成形し、熱変形温度の評価に供した。
また、日精樹脂工業(株)製80t射出成形機FNX−80にて、ゲートサイズ縦7mm×横2mmのゲートを通じて、12.7mm×127mm×厚み1.6mmのバー形状試験片を成形し、燃焼性評価に供した。
(実施例2〜10、比較例1〜6)
配合原料の種類や量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、組成物及び試験片を得た。
なお実施例及び比較例に用いた原料のうち、前記製造例1〜5で例示した以外の原料は、下記の通りである。
<熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)>
(PES−1):ポリエチレンテレフタレート樹脂((株)ベルポリエステルプロダクツ製ベルペットEFG−70)
(PES−2):ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ノバデュラン5009L)
<その他無機化合物>
(FIL−1):ガラス繊維(日本電気硝子(株)製T187H/PL、単体での熱伝導率1.0W/m・K、繊維直径13μm、数平均繊維長3.0mm、電気絶縁性、体積固有抵抗1015Ω・cm)
(FIL−2):天然鱗状黒鉛粉末(中越黒鉛(株)製BF−50A、単体での熱伝導率250W/m・K、数平均粒径53μm、導電性)
<その他配合物>
(FR−3):メラミン・シアヌル酸付加物;メラミンシアヌレート(日産化学工業(株)製MC−4000)
(FR−4):縮合リン酸エステル系難燃剤;レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)(大八化学工業(株)製PX−200)
(FR−5):縮合リン酸エステル系難燃剤;ビスフェノール−Aビス(ジフェニルホスフェート)((株)ADEKA製FP−600)
(FR−6):臭素系複合難燃剤;臭素化ポリスチレン(Albemarle Corporation製SAYTEX HP−7010)/三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製PATOX−p)=80/20(重量比)複合体
(FR−7):赤リン系複合難燃剤;赤リン(燐化学工業(株)製ノーバエクセル140)/ポリブチレンテレフタレート樹脂=30/70(重量比)複合体(燐化学工業(株)にてマスターバッチ化されたもの)
また、各評価は以下の評価方法により実施した。
[窒化ホウ素粉末の数平均粒子径]
100mlビーカーにヘキサメタリン酸ナトリウム20重量%水溶液15mlを入れ、該水溶液に窒化ホウ素粉末60mgを投入し、超音波分散器で40分間分散処理した。得られた分散液にて、(株)堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定器LA−950を用い、数平均粒子径を測定した。
[窒化ホウ素粉末の白色度W]
直径30mm、高さ13mmの石英ガラス製サンプルセルに窒化ホウ素粉末を充填し、日本電色工業(株)製測色色差計SE−2000を用いて色の明度(L)、色相、彩度(a、b)を測定し、(1)式により白色度Wを算出した。
[窒化ホウ素粉末の黒鉛化指数GI]
スペクトリス(株)製PANalytical X’Pert Pro XRD測定装置を用い、Cu・KαのX線にて、窒化ホウ素粉末の広角X線回折測定を行った。得られた測定値から、2θ=41°付近、44°付近、50°付近に見られる(100)(101)(102)の面積を測定し、(2)式により黒鉛化指数GIを算出した。
[成形体の白色度]
日本電色工業(株)製測色色差計SE−2000を用いて、50mm×80mm×厚み1.1mmの平板形状試験片の、色の明度(L)、色相、彩度(a、b)を測定し、(1)式により白色度を算出した。
[成形体の耐光性]
設定温度120℃の恒温槽中に設置した400W水銀灯から10cmの距離に、50mm×80mm×厚み1.1mmの平板形状試験片を設置し、7日間水銀灯照射を継続した。照射前後の試験片の色調(L、a、b)を、日本電色工業(株)製測色色差計SE−2000を用いて測定し、その色差ΔEを(4)式により算出した。
[熱伝導率]
厚み6.4mm×21mmφの試験片2個を用い、京都電子工業(株)製ホットディスク法熱物性率測定装置TPA−501にて、成形体としての熱伝導率を測定した。
[成形体の熱拡散率とその異方性]
50mm×80mm×厚み1.1mmの平板形状試験片から、切り出し法により25.4mmφ×厚み1.1mmの円板状試験片を作成した。該円盤状試験片の表面に、レーザー光吸収用スプレー(ファインケミカルジャパン(株)製ブラックガードスプレーFC−153)を塗布し乾燥させた後、NETZSCH製XeフラッシュアナライザーLFA447Nanoflashを用い、厚み方向及び面方向の熱拡散率を測定した。
得られた熱拡散率から、次式(5)により熱拡散の異方性を算出した。
(熱拡散の異方性)=(面方向の熱拡散率)/(厚み方向の熱拡散率) (5)
[電気絶縁性]
50mm×80mm×厚み1.1mmの平板形状試験片を用いて、ASTM D−257に準じ二端子法により表面電気抵抗値を測定した。
それぞれの配合及び結果を表1に示す。表1より、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、該組成物の範囲外の組成物と比べ、成形流動性に優れた高耐光性且つ高熱伝導性の難燃性熱可塑性樹脂組成物であることがわかる。
なお表中で、成形加工が困難であったため測定ができなかったものについては「不可」と表示した。
Figure 2010195890

Claims (7)

  1. 熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)、窒化ホウ素粉末(B)、有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C)、を少なくとも含有し、(A)/(B)の体積比率が85/15〜25/75の範囲であり、樹脂組成物総量に占める(C)の重量分率が0.5〜20重量%である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 120℃雰囲気中で400W水銀灯を10cmの距離から7日間連続照射した際の、照射前後の色差ΔEが10以下であり、熱伝導率が2W/m・K以上であり、表面電気抵抗値が1011Ω以上であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C)が、有機ホスフィン酸アルミニウムであることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 窒化ホウ素粉末(B)が、鱗片形状六方晶窒化ホウ素粉末であり、且つその数平均粒径が5μm以上であり、白色度Wが90以上であり、黒鉛化指数GIが2.0以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物から得られた、白色度が80以上の熱可塑性樹脂成形体。
  6. 射出成形法により成形された樹脂成形体であることを特徴とする、請求項5に記載の熱可塑性樹脂成形体。
  7. 成形体の面方向における熱拡散率が成形体の厚み方向の熱拡散率の2倍以上であり、且つ成形体の面方向における熱拡散率が0.5mm2/sec以上であることを特徴とする、請求項5〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂成形体。
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