JP2010195421A - 脱酸素性蓋材 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストにて容器外からの酸素を遮断するとともに容器内の酸素を吸収することで、瓶詰め食品の酸化防止を可能とする。
【解決手段】容器における開口部210を閉蓋するための蓋材110の内側における天井壁面に、該容器と該蓋材との間に介装される脱酸素性多層シート120が装填された脱酸素性蓋材100であって、該脱酸素性多層シートが、少なくとも、ガスバリア性樹脂を含有するガスバリア層121、脱酸素剤組成物を酸素透過性熱可塑性樹脂に配合してなる酸素吸収性樹脂組成物を含有する酸素吸収層122及び酸素透過性樹脂を含有する酸素透過層123の三層を、蓋材側からこの順に積層した脱酸素性シートである、脱酸素性蓋材を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】容器における開口部210を閉蓋するための蓋材110の内側における天井壁面に、該容器と該蓋材との間に介装される脱酸素性多層シート120が装填された脱酸素性蓋材100であって、該脱酸素性多層シートが、少なくとも、ガスバリア性樹脂を含有するガスバリア層121、脱酸素剤組成物を酸素透過性熱可塑性樹脂に配合してなる酸素吸収性樹脂組成物を含有する酸素吸収層122及び酸素透過性樹脂を含有する酸素透過層123の三層を、蓋材側からこの順に積層した脱酸素性シートである、脱酸素性蓋材を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、低コストにて容器外からの酸素を遮断するとともに容器内の酸素を吸収して、瓶詰め食品を長期にわたって保存するために用いられる脱酸素性蓋材及びそれを用いた食品の保存方法に関する。
現在わが国では、食品の保存方法として脱酸素剤を利用した包装技術が広く適用されている。脱酸素剤包装技術は、保存すべき食品を被包した包装容器内を脱酸素剤を用いたり、脱酸素機能を有する包装材料にて包装し、嫌気状態に保つことにより、酸素の存在に起因する食品の品質劣化及び微生物による危害を防止する技術である。この技術によれば、食品の品質を良好に保持することが可能である。
脱酸素剤は、脱酸素作用を有する組成物であり、通常通気性の小袋に封入して用いられる。一般に鉄粉を主剤とした酸素吸収剤が脱酸素剤として用いられ、また金属探知器に感応することのない有機物を主剤とした酸素吸収剤が脱酸素剤として用いられている。脱酸素剤は粒状または粉末状のものが用いられるが、酸素吸収剤を熱可塑性樹脂に配合して成形したシート状脱酸素剤も用いられる。しかし、一般に小袋型の脱酸素剤は耐水性に限界があるため、水分を多く含み、また密封後に加熱殺菌処理される場合が多い瓶詰め食品に小袋型の脱酸素剤を使用した場合、脱酸素剤成分が外部表面に染み出す問題がある。
上記のような事情から、瓶詰め食品に使用しても脱酸素剤成分が外部表面に染み出さない脱酸素剤が望まれている。また瓶詰食品へ脱酸素剤を装填する際には、誤食防止の観点から蓋へ脱酸素剤を固定する必要があるため、蓋のパッキング材と一体化した脱酸素剤が望まれている。特許文献1には高い脱酸素機能を有するとともに、パッキング性に優れた蓋用パッキングが開示されている。しかし、当該発明はシート状に成形されたシート状脱酸素剤を一般の小袋型脱酸素剤に使用されている通気性シートにて被覆しているため、一般の小袋型の脱酸素剤と同様に耐水性に限界がある。
特許文献2には、防水性と透湿性を兼ね備えた無孔の防水透湿性フィルムと微多孔膜との組み合わせからなる積層フィルムを使用するラベル型脱酸素剤が開示されている。当該発明によれば一般の小袋型脱酸素剤に比べ耐水性が優れ、水分を多く含む食品に適用した場合にも脱酸素剤成分がラベル型脱酸素剤の外部表面に染み出すおそれがなく、また粘着により蓋へ貼り付けることにより、瓶詰め食品への適用が容易である。しかし、瓶詰め食品に適用した場合、保存温度、保存期間によっては積層フィルムの端面部から脱酸素剤成分が染み出すおそれがあり、水分を多く含む瓶詰め食品への適用では耐水性が十分とはいえない。
特許文献3には、パッキング材に、非通気性層、脱酸素剤組成物を粒状に分散してなる脱酸素樹脂層、酸素透過度が100cc/(m2・day・atm)(23℃、100%RH)以上である樹脂層が積層されてなる蓋用パッキングが提案されている。当該発明による蓋用パッキングはパッキング性、耐水性に優れているが、ゴム系材料や発泡プラスチック材料といった高価な材料から構成されるパッキング材を用いるため、コスト高となる問題がある。
特許文献4には、脱酸素剤配合ライナー或いはパッキングを備えた容器蓋が提案されている。当該発明によれば容器蓋殻体と該殻体頂板部の内面側に設けられた脱酸素剤含有樹脂層とからなり、樹脂層を、樹脂層を通して包装外より包装内に流入する酸素と反応する第一の脱酸素剤を含有する密封部と、包装内の残存酸素と反応する第二の脱酸素剤を含有する中央部とから構成しており、密封性能を阻害することなしに、容器内の酸素を吸収できるとある。しかし、本発明は飲料用の容器蓋など容器口部が小口径のものには実用化されているが、一般の瓶詰め食品のように比較的大口径の蓋については実用化されていない。
本発明は、低コストにて容器外からの酸素を遮断するとともに容器内の酸素を吸収して、ガスバリア性容器内に充填された食品を長期にわたって保存するために用いられる脱酸素性蓋材及びそれを用いた食品の保存方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的のため鋭意検討した結果、脱酸素性多層シートと蓋材よりなる脱酸素性蓋材を見出し、また、該蓋材を用いることにより、低コストにて食品を長期間にわたり品質保持できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、容器における開口部を閉蓋するための蓋材の内側における天井壁面に、該容器と該蓋材との間に介装される脱酸素性多層シートが装填された脱酸素性蓋材であって、該脱酸素性多層シートが、少なくとも、ガスバリア性樹脂を含有するガスバリア層、脱酸素剤組成物を酸素透過性熱可塑性樹脂に配合してなる酸素吸収性樹脂組成物を含有する酸素吸収層及び酸素透過性樹脂を含有する酸素透過層の三層を、蓋材側からこの順に積層した脱酸素性シートである、脱酸素性蓋材に関する。
本発明の脱酸素性蓋材においては、前記脱酸素性多層シートの厚みが450μm以上、2500μm以下であることが好ましい。
また本発明は、前記脱酸素性蓋材を用いて、食品が充填されたガスバリア性容器を密封する食品の保存方法に関する。
本発明の保存方法においては、前記蓋材にて前記ガスバリア性容器を密封する際の締付トルクが、30kgf・cm以上、50kgf・cm以下であること、前記容器がガラス瓶であることが好ましい。
本発明によれば、水分が多く、また密封後に加熱処理される食品においても、脱酸素剤成分が外部に染み出すことがなく、低コストにて容器外からの酸素の侵入を遮断するとともに容器内の酸素を吸収することが可能である。
脱酸素機能を付与した蓋用パッキングは、容器の気密性を出すためにシリコンゴム、ウレタンゴム等のゴム系材料、あるいは、軟質ポリエチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン、発泡塩化ビニル樹脂等のプラスチック材料といった高価な材質から構成されたシート状パッキング材を、その一部に使用することが必要と考えられてきた。しかしながら、本発明者らはそのようなシート状パッキング材を使用することなく、少なくとも、ガスバリア性樹脂を含有するガスバリア層、脱酸素剤組成物を酸素透過性熱可塑性樹脂に配合してなる酸素吸収性樹脂組成物を含有する酸素吸収層及び酸素透過性樹脂を含有する酸素透過層の三層をこの順に積層してなる脱酸素性多層シートをパッキング材そのものとして使用しても、気密性を保持し、容器内の酸素を低減できることを新たに見いだした。
本発明の脱酸素性多層シートは、少なくとも、ガスバリア性樹脂を含有するガスバリア層、脱酸素剤組成物を酸素透過性熱可塑性樹脂に配合してなる酸素吸収性樹脂組成物を含有する酸素吸収層及び酸素透過性樹脂を含有する酸素透過層の三層をこの順に積層してなり、脱酸素性能を備えたパッキング材として機能する。
以下、本発明の実施の一形態を図面に即して説明する。図1においては、110は蓋材であり、容器200における開口部210を閉蓋するためのものである。蓋材110の内側における天井壁面には、容器200と蓋材110との間に介装される脱酸素性多層シート120が装填されており、これによって本発明の脱酸素性蓋材100が構成されている。また、脱酸素性多層シート120は、蓋材110側よりガスバリア層121、酸素吸収層122、酸素透過層123がこの順で積層されることによって構成されている。
図2は、本発明の脱酸素性蓋材100を構成する脱酸素性多層シート120の一態様を示す図である。図2において脱酸素性多層シート120はガスバリア層121、酸素吸収層122、酸素透過層123の他に、ガスバリア層121を保護する目的で設けられた保護層124や接着強度を向上させる目的で設けられた接着剤層125を具備している。
また本発明は、容器200がガスバリア性容器であるときに、脱酸素性蓋材100を用いて、該容器内に充填された食品を保存する方法を提供するものである。
ガスバリア層121を構成するガスバリア性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン6、ナイロン66、ポリメタキシリレンアジパミド、非晶性ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のガスバリア性樹脂や、これらの混合物及びこれらを積層した組み合わせが挙げられる。ガスバリア層121の酸素透過度は、50cc/(m2・atm・day)(23℃、100%RH)未満であることが好ましく、20cc/(m2・atm・day)(23℃、100%RH)以下であることがより好ましい。
ガスバリア層121の膜厚は、3μm以上、100μm以下とすることが好ましく、5μm以上、60μm以下とすることがより好ましい。3μmより膜厚が薄いとガスバリア性能が不十分となる恐れがあるため好ましくなく、100μmより厚いとコストの問題が生じるため好ましくない。
ガスバリア層121の外面には、ガスバリア層121を保護するために、他の樹脂を含有する保護層124を設けてよい。ここでいう保護層124に用いられる樹脂には特に制限がなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、これらの混合物もしくは変性樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等の樹脂が例示できる。またガスバリア層121と隣接する他層との接着性向上のために、それら層の層間に接着剤層125を設けることもできる。
酸素吸収層122は、脱酸素剤組成物を酸素透過性熱可塑性樹脂に配合してなる酸素吸収性樹脂組成物を含有するものである。ここに脱酸素剤組成物は特に限定されず、公知の脱酸素剤組成物を用いることができる。例えば、鉄粉等の金属粉、鉄化合物などの還元性無機物質、多価フェノール類、多価アルコール類、アスコルビン酸またはその塩などの還元性有機物質または金属錯体等を酸素吸収反応の主剤とする脱酸素剤組成物が用いられる。これらの中でも、脱酸素性能に優れた鉄粉を主剤とする脱酸素剤組成物が好ましく、特に主剤の鉄粉と酸素吸収反応を促進するハロゲン化金属からなる脱酸素組成物が、脱酸素性能に優れる。殊にハロゲン化金属で表面を被覆した鉄粉が好適に用いられる。
脱酸素剤組成物に用いられる鉄粉としては、酸素透過性熱可塑性樹脂中に分散可能で脱酸素反応を起こすことができるものであれば特に制限はなく、通常脱酸素剤として用いられる鉄粉が使用できる。鉄粉は平均粒径で1〜200μmが好ましく、1〜50μmであるものがより好ましい。鉄粉の平均粒径が200μmより大きいと脱酸素性多層シートの製造が困難となるため好ましくなく、1μmより小さいとコストの問題があるため好ましくない。
脱酸素剤組成物に用いられるハロゲン化金属には特に制限はなく、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物などを挙げることができる。これらの中で、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム及びバリウムの塩化物を特に好適に使用することができる。ハロゲン化金属の配合量は、鉄粉100質量部あたり0.1〜20質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。ハロゲン化金属を鉄粉に付着させることにより、ハロゲン化金属の配合量を少なくすることができる。
脱酸素剤組成物を配合する酸素透過性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン類、エラストマーおよびこれらの変性物、あるいはこれらの混合樹脂が好ましく用いられる。特に好ましくは、ポリエチレンとポリプロピレンの混合物、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはこれらの混合樹脂が用いられる。
酸素吸収性樹脂組成物における脱酸素剤組成物の配合率は2〜93質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。配合率が93質量%より高いと脱酸素性多層シートの製造が困難となるため好ましくなく、2質量%より低いと脱酸素性能が十分に発現しない恐れがあるため好ましくない。
酸素吸収層122の酸素透過度は、脱酸素剤組成物が酸素を吸収する酸素吸収反応を妨げることがないよう、少なくとも100cc/(m2・atm・day)(23℃、100%RH)以上であることが好ましい。酸素透過度が100cc/(m2・atm・day)(23℃、100%RH)より低いと、脱酸素剤組成物により進行する酸素吸収反応に対して熱可塑性樹脂の酸素透過が小さくなり、酸素吸収速度が低下するため、好ましくない。
酸素吸収層122の膜厚は10μm以上、1000μm以下とすることが好ましく50μm以上、500μm以下とすることがよりに好ましい。10μmより膜厚が薄いと脱酸素性能が十分に発現しない恐れがあるため好ましくなく、1000μmより厚いとコストの問題が生じるため好ましくない。
酸素透過層123を構成する酸素透過性樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン類、エラストマー及びこれらの変性物、あるいはこれらの混合樹脂等が用いられる。なお、酸素透過層123には、必要に応じて酸化チタンといった顔料等の着色剤等を配合することができる。
酸素透過層123は、容器200の内容物と酸素吸収層122との隔離層の役割を果たすと共に、酸素を迅速かつ効率よく透過する機能が必要であるため、酸素透過層123の酸素透過度は少なくとも100cc/(m2・atm・day)(23℃、100%RH)以上であることが好ましい。このため、酸素透過層123の膜厚はなるべく薄くして、酸素透過性を大きくすることが好ましい。具体的には10μm以上、150μm以下とすることが好ましく、20μm以上、100μm以下とすることがより好ましい。なお、膜厚が10μmより薄いと脱酸素性多層シートの製造が困難となるため好ましくない。
ガスバリア層121、酸素吸収層122及び酸素透過層123の各層は、各層材料の性状、加工工程等に応じて、共押し出し法、各種ラミネート法、各種コーティング法などの公知の方法を適宜組み合わせて積層することができる。また上記の各層の他にも、本発明の脱酸素性蓋材100が有する所期の性能を損なわない範囲内で、任意の層を積層しても良く、これらの層も同様に公知の方法を適宜組み合わせて積層することができる。積層される層としては、前記した保護層124や接着剤層125の他、脱酸素剤組成物がガスバリア層121に侵入して、そのガスバリア性を低減させることを防止する目的で、酸素吸収層122とガスバリア層121の層間に積層されるクッション層などが例示できる。
さらに上記の各層には、本発明の脱酸素性蓋材100が有する所期の性能を損なわない範囲内で、種々の添加剤を添加しても良い。添加剤としては、酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、スリップ剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、安定剤、消臭剤、クレー、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ等の充填剤等が例示できる。
容器200における開口部210を閉蓋するための蓋材110の内側における天井壁面に、本発明の脱酸素性多層シート120を、ガスバリア層121側の面を蓋材110側に配して装填することによって、本発明の脱酸素性蓋材100となる。該蓋材において脱酸素性多層シート120は、酸素吸収する機能を発揮するのみならず、容器200と蓋材110との間に介装されるパッキング材としての機能も発揮し、容器200内の気密性を保持する。
脱酸素性多層シート120を蓋材110の内側における天井壁面に装填する方法としては、脱酸素性多層シート120を蓋材110の大きさに合わせて適当な大きさに打ち抜いた後、脱酸素性多層シート120のガスバリア層121側の面を蓋材110側に配し、蓋材110の内側にはめ込む方法が例示できる。その際、脱酸素性多層シート120は、蓋材110から容易に脱落しない程度の大きさに打ち抜くことが好ましい。また、装填に際しては、脱酸素性多層シート120と蓋材110の天井壁面との間に接着剤や粘着剤を配しても良い。
本発明の脱酸素性多層シート120の厚みは、450μm以上、2500μm以下であることが好ましい。450μm未満の厚みでは、脱酸素性多層シート120がパッキング材としての機能を損ない、容器200の気密性保持が困難となるため好ましくない。また本発明の脱酸素性蓋材100にてネジ山を有する容器を密封する際に、該蓋材と該容器のネジ山が重なった状態から少なくとも1/4回転以上締めつけることが、該容器の気密性保持のために好ましいが、厚みが2500μmを超過するとこの態様をとることが物理的に困難になるため、好ましくない。
また本発明は、容器200内に食品が充填され、且つ該容器がガスバリア性容器であるとき、脱酸素性蓋材100を用いて当該ガスバリア性容器を密封する食品の保存方法に関する。本発明の保存方法により、容器200外からの酸素の侵入の遮断と容器200内の酸素の吸収が可能となるため、容器200内の食品の酸化劣化や微生物の繁殖を抑制でき、長期間にわたる食品の鮮度保持が可能となる。
本発明の脱酸素性蓋材100にて、食品が充填されたガスバリア性容器を密封する際には、締付トルク30kgf・cm〜50kgf・cmの範囲にて該蓋材を締めつけることが好ましい。30kgf・cm以上の締付トルクで締め付けを行わない場合、該容器の気密性保持が困難となり、食品の鮮度が保持できなくなるため好ましくない。また喫食時の該蓋材の易開封性を考慮すると、50kgf・cmを超えない範囲にて脱酸素性蓋材100を締めつけることが好ましい。
ガスバリア性容器は、気密性、ガスバリア性、耐熱性等の観点からガラス瓶を用いることが好ましい。
ガスバリア性容器としてガラス瓶を用いた場合、蓋材110としては、瓶詰め食品用の金属製スクリューキャップを用いることが好ましい。通常のスクリューキャップには、気密性保持のためポリ塩化ビニルなどを用いたライナーが瓶口部との接触部分に装填されているが、本発明の脱酸素性蓋材100はパッキング材として機能する脱酸素性多層シート120が装填されているため、別途ライナーを装填する必要がない。
本発明の脱酸素性蓋材100に用いられる蓋材110の天井壁面は、気密性保持のためフラットな形状が好ましい。また蓋材110には、前記した金属製の蓋材の他、気密性やガスバリア性、耐熱性に優れた蓋材が好適に使用できる。
本発明での食品とは、ジャム、佃煮類、野菜の水煮、シロップ漬けフルーツが主に挙げられ、特に水分の多いものに本発明の保存方法は好適に用いることができる。
本発明の保存方法において食品は、ガスバリア性容器内に充填され、蓋材110に脱酸素性多層シート120を装填した脱酸素性蓋材100を上記方法にて締付けて該容器を密封することによって保存される。食品を該容器内に密封後、保存性向上のため、ボイル加熱等の加熱処理を行ってよい。
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(実施例1)
鉄粉(平均粒径35μm、最大粒径80μm)を加熱ジャケット付き真空混合乾燥機中に入れ、130℃、10mmHgの減圧下で加熱乾燥しつつ、鉄粉100質量部に対し、塩化カルシウム:水=1:1の割合で混合した混合水溶液3質量部を、噴霧して、塩化カルシウムを鉄粉表面に付着させた粒状の脱酸素剤組成物を調製した。
次に45mmφの同方向回転二軸押出機にてプロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学(株)製、商品名;住友ノーブレンS131)と前記脱酸素剤組成物とを混合比3:2(質量比)で混練、押し出して、ブロワ付きネットベルトで冷却後ペレタイザーを経て、酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収性樹脂ペレットを得た。
鉄粉(平均粒径35μm、最大粒径80μm)を加熱ジャケット付き真空混合乾燥機中に入れ、130℃、10mmHgの減圧下で加熱乾燥しつつ、鉄粉100質量部に対し、塩化カルシウム:水=1:1の割合で混合した混合水溶液3質量部を、噴霧して、塩化カルシウムを鉄粉表面に付着させた粒状の脱酸素剤組成物を調製した。
次に45mmφの同方向回転二軸押出機にてプロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学(株)製、商品名;住友ノーブレンS131)と前記脱酸素剤組成物とを混合比3:2(質量比)で混練、押し出して、ブロワ付きネットベルトで冷却後ペレタイザーを経て、酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収性樹脂ペレットを得た。
次いで、第1〜第4押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール及びシート引取機からなる4種6層多層シート成形装置を用い、各押出機から、第1押出機;酸化チタン14質量%含有プロピレン−エチレンブロック共重合体(チッソ(株)製、商品名チッソポリプロXF1936)、第2押出機;前記酸素吸収性樹脂ペレット、第3押出機;ポリメタキシリレンアジパミド(三菱ガス化学(株)製、商品名MXナイロン6007)、および第4押出機;無水マレイン酸変性ポリプロピレン、を押し出し、酸素透過層(内層)/酸素吸収層(中間層)/接着剤層/ガスバリア層(外層)/接着剤層/保護層(最外層)からなる多層シートを得た。多層シートの各層の厚さは、内層から順に、100μm/100μm/15μm/15μm/15μm/250μmであり、総厚さを495μmとした。
得られた多層シートを50mmφの円形に打ち抜き、ガラス瓶用金属製スクリューキャップの裏面の天井壁面に、多層シートの最外層が接するようにはめ込んで装填し、脱酸素性蓋材を得た。
120cc容量のガラス瓶にイチゴジャムを、ヘッドスペースが10ccとなる量充填し、該蓋材で密封した。密封したときの締付トルクは、(株)東日製作所製デジタル式トルクメーター 2−TME180にて計測しながら30kgf・cmにて行った。該ジャム入りガラス瓶を、90℃温水中にて30分間加熱処理を行った後、25℃下に保管し、1ヶ月毎に6ヶ月間ガスクロマトグラフィーにて容器内酸素ガス濃度を、また開封してジャムの官能評価を行った。結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、脱酸素性蓋材の代わりに、ポリ塩化ビニルからなるライナーが装填された金属製スクリューキャップを蓋材として用いた以外は同様の試験を実施した。結果は表1に示した。
実施例1において、脱酸素性蓋材の代わりに、ポリ塩化ビニルからなるライナーが装填された金属製スクリューキャップを蓋材として用いた以外は同様の試験を実施した。結果は表1に示した。
表1
保存日数 試験項目 実施例1 比較例1
1ヶ月 酸素濃度(%) 0.08 5.85
ジャムの風味 良好 少し低下
ジャムの外観 良好 良好
2ヶ月 酸素濃度(%) 0.07 3.09
ジャムの風味 良好 低下
ジャムの外観 良好 良好
3ヶ月 酸素濃度(%) 0.08 1.37
ジャムの風味 良好 著しく低下
ジャムの外観 良好 退色あり
4ヶ月 酸素濃度(%) 0.05 1.13
ジャムの風味 良好 著しく低下
ジャムの外観 良好 著しい退色あり
5ヶ月 酸素濃度(%) 0.06 0.98
ジャムの風味 少し低下 著しく低下
ジャムの外観 良好 著しい退色あり
6ヶ月 酸素濃度(%) 0.07 0.69
ジャムの風味 少し低下 著しく低下
ジャムの外観 良好 著しい退色あり
保存日数 試験項目 実施例1 比較例1
1ヶ月 酸素濃度(%) 0.08 5.85
ジャムの風味 良好 少し低下
ジャムの外観 良好 良好
2ヶ月 酸素濃度(%) 0.07 3.09
ジャムの風味 良好 低下
ジャムの外観 良好 良好
3ヶ月 酸素濃度(%) 0.08 1.37
ジャムの風味 良好 著しく低下
ジャムの外観 良好 退色あり
4ヶ月 酸素濃度(%) 0.05 1.13
ジャムの風味 良好 著しく低下
ジャムの外観 良好 著しい退色あり
5ヶ月 酸素濃度(%) 0.06 0.98
ジャムの風味 少し低下 著しく低下
ジャムの外観 良好 著しい退色あり
6ヶ月 酸素濃度(%) 0.07 0.69
ジャムの風味 少し低下 著しく低下
ジャムの外観 良好 著しい退色あり
本発明の脱酸素性蓋材100を用いた保存方法により、低コストにて容器外からの酸素の侵入を遮断するとともに容器内の酸素を吸収することが可能となった。これにより食品を長期間にわたって酸化防止することが可能となった。
100:脱酸素性蓋材
110:蓋材
120:脱酸素性多層シート
121:ガスバリア層
122:酸素吸収層
123:酸素透過層
124:保護層
125:接着剤層
200:容器
210:容器における開口部
110:蓋材
120:脱酸素性多層シート
121:ガスバリア層
122:酸素吸収層
123:酸素透過層
124:保護層
125:接着剤層
200:容器
210:容器における開口部
Claims (5)
- 容器における開口部を閉蓋するための蓋材の内側における天井壁面に、該容器と該蓋材との間に介装される脱酸素性多層シートが装填された脱酸素性蓋材であって、該脱酸素性多層シートが、少なくとも、ガスバリア性樹脂を含有するガスバリア層、脱酸素剤組成物を酸素透過性熱可塑性樹脂に配合してなる酸素吸収性樹脂組成物を含有する酸素吸収層及び酸素透過性樹脂を含有する酸素透過層の三層を、蓋材側からこの順に積層した脱酸素性シートである、脱酸素性蓋材。
- 前記脱酸素性多層シートの厚みが450μm以上、2500μm以下である、請求項1記載の脱酸素性蓋材。
- 請求項1又は2記載の脱酸素性蓋材を用いて、食品が充填されたガスバリア性容器を密封する食品の保存方法。
- 前記蓋材にて前記ガスバリア性容器を密封する際の締付トルクが、30kgf・cm以上、50kgf・cm以下である請求項3記載の食品の保存方法
- 前記容器がガラス瓶である、請求項3又は4記載の食品の保存方法。
Priority Applications (1)
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JP2009042685A JP2010195421A (ja) | 2009-02-25 | 2009-02-25 | 脱酸素性蓋材 |
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JP2009042685A JP2010195421A (ja) | 2009-02-25 | 2009-02-25 | 脱酸素性蓋材 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013212868A (ja) * | 2012-04-03 | 2013-10-17 | World Create Inc | シリコーン樹脂製容器 |
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2009
- 2009-02-25 JP JP2009042685A patent/JP2010195421A/ja active Pending
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