JP2002249174A - 脱酸素性成形容器及びそれを利用した脱酸素性密閉容器 - Google Patents

脱酸素性成形容器及びそれを利用した脱酸素性密閉容器

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JP2002249174A JP2001043977A JP2001043977A JP2002249174A JP 2002249174 A JP2002249174 A JP 2002249174A JP 2001043977 A JP2001043977 A JP 2001043977A JP 2001043977 A JP2001043977 A JP 2001043977A JP 2002249174 A JP2002249174 A JP 2002249174A
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Ryoji Otaki
良二 大滝
Takashi Kashiba
隆史 加柴
Yohei Kageyama
陽平 蔭山
Ryoji Hamada
良次 濱田
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Showa Denko Plastic Products Co Ltd
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Showa Denko Plastic Products Co Ltd
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のガスバリア性容器と比較してもコスト
的に遜色なく、かつ高温高湿下における内容物の酸化劣
化等を防ぎ、従来の脱酸素性容器以上に商品価値の高い
脱酸素性成形容器を提供する。 【解決手段】 熱溶融接着可能な熱可塑性樹脂層(層
1)、鉄系酸素吸収剤が熱可塑性樹脂中に分散された脱
酸素性樹脂組成物からなる酸素吸収層(層2)、金属箔
あるいは無機酸化物蒸着フィルムからなるガスバリア層
(層3)及び熱可塑性樹脂層(層4)の少なくとも4層
が成形容器内面側からこの順に積層された脱酸素性多層
基材からなり、フランジ部及び胴壁部に多数のリンクル
を設けて形成されたコンテナの外面に、熱可塑性樹脂層
からなる外層(層5)が積層された脱酸素性成形容器、
並びに該脱酸素性成形容器のフランジ部上面に、ガスバ
リア性を有する蓋が接合されてなる脱酸素性密閉容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱酸素性成形容器
及びそれを利用した密閉容器に関し、従来の脱酸素性容
器と比較して低コストで製造でき、かつ、レトルト等の
高温高湿処理によるガスバリア層のガスバリア性低下に
起因する内容物の酸化劣化を防ぐことができ、長期間に
わたって保存物品の品質を良好に保つことが可能な容器
に関する。
【0002】
【従来の技術】食品、医薬品等の被包装物を収納する包
装容器として、包装容器内の酸素を除去し、被保存物の
酸化劣化、変色、カビ、好気性菌繁殖等の変質を防止す
る包装技術の一つとして、熱可塑性樹脂に酸素吸収剤を
配合した脱酸素性樹脂組成物からなる酸素吸収層を用い
て容器を形成し、容器のガスバリア性向上を図ると共
に、容器自体に酸素吸収機能を付与した脱酸素性容器が
使われている。脱酸素性容器は一般に内層、酸素吸収
層、ガスバリア層、外層の4種以上の層構成からなるも
ので、目的に応じてトレイやパウチ又はチューブ等の各
種形状の容器に成形される。
【0003】これらのうち、トレイ、カップ等の形状の
剛性を有する脱酸素性容器は、特開平7−309323
号公報に記載されているように、脱酸素性多層基材を加
熱軟化させた後、真空成形機やプレス等によって引き伸
ばす方法により得られたものが知られている。しかし、
この方法で得られる脱酸素性容器は、上記製造方法の特
徴から、エチレン−ビニルアルコール共重合体やメタキ
シリレンアジパミド等のガスバリア性樹脂を使用せざる
を得なかった。これらのガスバリア性樹脂は、熱可塑性
樹脂の中ではガスバリア性が高い樹脂であるが、高温高
湿雰囲気下ではガスバリア性が低下して酸素が透過する
ことが完全には防げないため、レトルト等の高温高湿処
理中に脱酸素性成形容器外部から微量の酸素が容器内に
侵入して、内容物が酸化劣化するという問題があった。
【0004】また、上記脱酸素性容器のレトルト時にガ
スバリア性が低下する欠点を解消するため、アルミ箔等
の金属箔や無機物蒸着フィルムを積層した脱酸素性多層
基材を作製し、これをプレス冷間圧延により成形する方
法が考えられる。しかし、この方法についても脱酸素性
多層基材を引き伸ばすことに変わりは無く、無機物蒸着
フィルムの蒸着層のクラッキングは必至である。また、
金属箔についてもピンホールやクラッキングを防止する
ために、脱酸素性多層基材を構成する金属箔の厚みを6
0〜100μmと相当に厚く設定しなければならず、製
品コストが大幅に高くなる問題があり、さらにこの構成
の容器は可燃ごみとして廃棄することができないため、
実用的なものとはいえなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の課題
を解決するためになされたもので、従来の脱酸素性成形
容器と比較して低コストで製造でき、かつレトルト等の
高温高湿処理時に発生する内容物の酸化劣化等を防ぐこ
とが可能な、商品価値の高い脱酸素性成形容器又は密閉
容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の従
来技術の問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ガ
スバリア層にアルミ箔等の金属箔や無機物蒸着フィルム
を使用したコンテナを、フランジ部及び胴壁部に多数の
リンクルを設けて形成することを着想し、熱溶融接着可
能な熱可塑性樹脂層、酸素吸収層、ガスバリア層及び熱
溶融接着可能な熱可塑性樹脂層の少なくとも4層が積層
された脱酸素性多層基材からなり、フランジ部及び胴壁
部に多数のリンクルがあるコンテナの外面に、射出成形
により熱可塑性樹脂からなる外層を積層することにより
得た成形容器につき検討した結果、この容器が、脱酸素
性多層基材を構成する酸素吸収層の厚みを薄くしても容
器に十分な酸素吸収機能を有し、かつ、高温高湿下にお
いても高いガスバリア性を維持し、内容物の酸化劣化を
防ぐことができることを見い出し、この知見をもとに本
発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、熱溶融接着可能な熱
可塑性樹脂層(層1)、鉄系酸素吸収剤が熱可塑性樹脂
中に分散された脱酸素性樹脂組成物からなる酸素吸収層
(層2)、金属箔あるいは無機物蒸着フィルムからなる
ガスバリア層(層3)及び熱可塑性樹脂層(層4)の少
なくとも4層が成形容器内面側からこの順に積層された
脱酸素性多層基材からなり、フランジ部及び胴壁部に多
数のリンクルを設けて形成されたコンテナの外面に、射
出成形により熱可塑性樹脂層からなる外層(層5)が積
層された剛性を有する脱酸素性成形容器を提供するもの
である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
本発明の脱酸素性成形容器16は、図1に示すように、
熱溶融接着可能な熱可塑性樹脂層(層1)、鉄系酸素吸
収剤が熱可塑性樹脂中に分散された脱酸素性樹脂組成物
からなる酸素吸収層(層2)、金属箔あるいは無機酸化
物蒸着フィルムからなるガスバリア層(層3)、熱溶融
接着が可能な熱可塑性樹脂層(層4)の少なくとも4層
が成形容器内面側からこの順に積層された脱酸素性多層
基材1(図2参照)からなり、フランジ部及び胴壁部に
多数のリンクル7があるコンテナの外面に、インサート
射出成形により熱可塑性樹脂層からなる外層(層5)が
積層されたものである。また、本発明の脱酸素性密閉容
器は、図3に示すように、脱酸素性成形容器16のフラ
ンジ部上面に、ガスバリア性を有する蓋17が容器内部
を気密にして接合されてなるものである。
【0009】本発明における前記熱可塑性樹脂層(層
1)は、内容物と酸素吸収層が直接接触することを防ぐ
隔離層、容器内の酸素が酸素吸収層中の酸素吸収剤に速
やかに吸収されるために効率良く酸素透過する酸素透過
層、及び容器蓋と溶融接着して容器内部の密閉性を確保
するヒートシール層としての機能を有する。熱可塑性樹
脂層(層1)を構成する熱可塑性樹脂としては、熱溶融
接着可能なものであれば、特に制限されないが、例え
ば、高圧法や中圧法、低圧法により製造されるポリエチ
レン、メタロセン触媒を用いて製造されるポリエチレン
等の各種ポリエチレン類、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−
アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メ
タクリル酸メチル共重合体等の各種エチレン共重合体、
プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、
メタロセン触媒により製造されるポリプロピレン等の各
種ポリプロピレン類、エチレン−αオレフィン共重合
体、ポリメチルペンテン、アイオノマー、ポリスチレ
ン、ポリエチレンテレフタレートやその変性物、熱可塑
性エラストマー、各種イージーピール性樹脂等が挙げら
れ、これらを単独又は組み合わせて使用することができ
る。これらの熱可塑性樹脂の中でも、衛生性や汎用性、
酸素透過性から、前述のうちポリエチレン類やポリプロ
ピレン類が好ましい。
【0010】また、熱可塑性樹脂層(層1)は前述の熱
可塑性樹脂に酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、ス
リップ材、紫外線防止剤、帯電防止剤、安定剤等の添加
剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填
材、消臭剤等を添加されていてもよい。熱可塑性樹脂層
(層1)は、単層であっても良く、複数層から成ってい
ても良い。
【0011】熱可塑性樹脂層(層1)の厚みは、10〜
100μmであることが好ましく、15〜80μmであ
ればより好ましい。熱可塑性樹脂層(層1)の厚みが1
0μmより薄いと、酸素吸収層(層2)中の鉄系酸素吸
収剤が熱可塑性樹脂層(層1)を突き破って成形容器内
表面に露出し、内容物を汚染する恐れがある。また、蓋
との十分な密閉性を確保することが困難となるため好ま
しくない。熱可塑性樹脂層(層1)の厚みが100μm
より厚いと、脱酸素性多層基材の総厚みが厚くなってコ
ンテナの成形性に問題が生じたり、熱可塑性樹脂層(層
1)の酸素透過性が低下して脱酸素性成形容器の酸素吸
収性能が低下したり、ヒートシール強度が強くなりすぎ
て蓋の開封が困難となる場合もあり、さらに製品コスト
が高くなるため好ましくない。
【0012】熱可塑性樹脂層(層1)は、酸素吸収層
(層2)中の鉄系酸素吸収剤が効率良く酸素を吸収する
ために、酸素を透過し易くする必要がある。本発明にお
ける熱可塑性樹脂層(層1)の酸素透過度は、その層厚
みや層数、材料構成に関わらず200cc/m2 ・at
m・day(25℃、100%RH)以上であることが
好ましく、300cc/m2 ・atm・day(25
℃、100%RH)以上であればより好ましい。
【0013】本発明における酸素吸収層(層2)は、熱
可塑性樹脂中に鉄系酸素吸収剤を分散してなるものであ
る。鉄系酸素吸収剤と熱可塑性樹脂を押し出し機により
溶融混練後、ストランドダイから押し出し、冷却工程を
経てペレット化する等の方法を用いて予め作製したコン
パウンドを押し出し機からフィルム上に押し出す、又は
フィルム間に酸素吸収剤を散布して挟み込むことによっ
て製造される。酸素吸収層(層2)は、容器内に存在す
る酸素や収納物品中に溶存する酸素を吸収する機能、及
び容器外部から侵入する微量の酸素を吸収して容器内部
への酸素透過を防ぐ機能を有する。
【0014】本発明における酸素吸収層(層2)を構成
する熱可塑性樹脂は、酸素吸収剤の酸素吸収反応を制限
することがないよう、その酸素透過係数が70cc・m
m/m2 ・atm・day(25℃、100%RH)以
上であることが好ましく、100cc・mm/m2 ・a
tm・day(25℃、100%RH)以上であればよ
り好ましい。熱可塑性樹脂の酸素透過係数が70cc・
mm/m2 ・atm・day(25℃、100%RH)
より低いと、酸素吸収剤により行われる酸素吸収に対し
て熱可塑性樹脂の酸素透過が小さくなり、酸素吸収剤の
酸素吸収速度が低下するため好ましくない。
【0015】酸素吸収層(層2)を構成する熱可塑性樹
脂としては、例えば、高圧法や中圧法、低圧法により製
造されるポリエチレン、メタロセン触媒を用いて製造さ
れるポリエチレン等の各種ポリエチレン類、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重
合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン
−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合
体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等の各種エ
チレン共重合体、プロピレンホモポリマー、プロピレン
−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンラ
ンダム共重合体、メタロセン触媒により製造されるポリ
プロピレン等の各種ポリプロピレン類、エチレン−αオ
レフィン共重合体、ポリメチルペンテン、アイオノマ
ー、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートやその
変性物、熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらを
単独又は組み合わせて使用することができる。これらの
熱可塑性樹脂の中でも、酸素透過性や汎用性等の面か
ら、各種ポリエチレン類や各種ポリプロピレン類が好ま
しい。
【0016】酸素吸収層(層2)に分散された鉄系酸素
吸収剤としては、酸素吸収反応を生起するものであっ
て、熱可塑性樹脂中に分散させることが可能なものであ
れば特に制限はないが、好ましくは、被酸化性の主剤と
助剤の組み合わせからなる酸素吸収剤が用いられ、主剤
は鉄粉であり、その助剤としては、主剤の酸素吸収反応
を促進する物質、例えば、ハロゲン化金属やアルカリ剤
が挙げられる。主剤の鉄粉としては、酸素吸収反応を起
こしうるものであれば純度等には特に制限はなく、例え
ば、表面の一部が既に酸化していても良く、他の金属を
少量含有するものであっても良い。また、鉄粉は粒状の
ものが好ましく、例えば、還元鉄粉、噴霧鉄粉、電解鉄
粉等の鉄粉、鋳鉄、鋼材等の各種鉄の粉砕物や研削品等
が挙げられる。その平均粒径は、取り扱い易さや酸素吸
収効率から1〜100μmの範囲とすることが好まし
く、1〜80μmの範囲とするとより好ましい。
【0017】助剤がハロゲン化金属である場合、ハロゲ
ン化金属は主剤の酸素吸収反応に触媒的に作用するもの
である。ハロゲン化金属としては、例えば、アルカリ金
属又はアルカリ土類金属の塩化物、臭化物又はヨウ化物
が用いられ、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネ
シウム、カルシウム又はバリウムの塩化物、臭化物又は
ヨウ化物が好ましい。ハロゲン化金属の配合量は、鉄粉
100重量部当たり0.1〜20重量部が好ましく、
0.1〜5重量部であるとより好ましい。ハロゲン化金
属は、主剤の鉄粉と共に使用されるが、鉄粉に付着して
容易に分離しないよう、予め鉄粉と混合して組成物とす
ることが好ましい。例えば、ボールミル、スピードミル
等を用いてハロゲン化金属と鉄粉を混合する方法、鉄粉
表面の凹凸部にハロゲン化金属を埋め込む方法、バイン
ダーを用いてハロゲン化金属を鉄粉表面に付着させる方
法、ハロゲン化金属水溶液と鉄粉を混合した後乾燥して
鉄粉表面にハロゲン化金属を直接付着させる方法等を採
ることができる。好ましくは、鉄粉にハロゲン化金属を
直接付着させたハロゲン化金属被覆鉄粉系組成物であ
る。
【0018】酸素吸収層(層2)における酸素吸収剤の
配合量は10〜70重量%の範囲とすることが好まし
く、10〜60重量%の範囲がより好ましい。酸素吸収
剤の配合量が10重量%より低いと、酸素吸収能力が不
十分であり、70重量%より高いと、酸素吸収層(層
2)を製膜することが困難になったり、酸素吸収層(層
2)とガスバリア層(層3)との接着強度が大きく低下
する。また、酸素吸収層(層2)には、必要に応じて、
酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、スリップ剤、紫
外線防止剤、他伝法資材、安定剤等の各種添加剤、クレ
ー、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、アルミナ等の充填剤、消臭剤、活性
炭やゼオライト等の吸着剤を添加しても良い。
【0019】本発明の脱酸素性成形容器は、その製造工
程において脱酸素性多層基材を引き伸ばすことが無いた
め、脱酸素性多層基材を構成する各層の厚みは製品成形
容器の各層の厚みと実質的に同一である。このことか
ら、本発明の脱酸素性多層基材における酸素吸収層(層
2)の厚みは薄く設定することが可能である。酸素吸収
層(層2)の厚みとしては、20〜100μmが好まし
く、より好ましくは20〜80μmである。酸素吸収層
(層2)の厚みが20μmより薄いと、単位面積当たり
の酸素吸収剤量が少なくなり、容器の酸素吸収能力が不
足する場合がある。また、80μmより厚いと、脱酸素
性多層基材の総厚みが厚くなってコンテナの成形性に問
題が生じたり、製品コストが高くなるため好ましくな
い。
【0020】本発明におけるガスバリア層(層3)は、
容器外部から侵入する酸素を遮断する機能を有する。本
発明の脱酸素性成形容器は、その製造工程において脱酸
素性多層基材を引き伸ばす工程が無いため、従来の剛性
を有する脱酸素性容器では使用することのできなかった
材料、すなわち、アルミ箔等の金属箔を使用することが
できる。あるいは、アルミ等の金属、又は、酸化アルミ
もしくは珪素酸化物等の無機物を、ポリオレフィン、ポ
リアミドもしくはポリエステルに蒸着した無機物蒸着フ
ィルムを使用することができる。これらの中でも、高い
ガスバリア性を有し、かつそのガスバリア性が容器が曝
される環境の影響を受けないことから、金属箔、特にア
ルミ箔が好ましい。
【0021】ガスバリア層(層3)の酸素透過度はその
構成材料や厚みに依らず100cc/m2 ・atm・ d
ay(25℃、50%RH)以下、より好ましくは50
cc/m2 ・atm・ day(25℃、50%RH)以
下である。この範囲内に設定することで、容器外部から
進入する酸素量を少なくすることができ、収納物品の保
存性をより優れたものにすることができる。なお、本発
明の脱酸素性成形容器を製造する際は脱酸素性多層基材
を引き伸ばす工程が無いため、脱酸素性多層基材を構成
する各層の厚みは製品成形容器の各層の厚みと実質的に
同一である。このことから、ガスバリア層(層3)の厚
みはその酸素透過度が上記範囲内であれば薄肉のものを
使用することができ、製品コストを低くすることが可能
となる。
【0022】ガスバリア層(層3)の厚みは30μm以
下が好ましく、25μm以下であればより好ましい。ガ
スバリア層(層3)の厚みが30μmより厚いと、脱酸
素性多層基材の総厚みが厚くなってコンテナの成形性に
問題が生じたり、製品コストが高くなるため好ましくな
い。なお、アルミ箔をガスバリア層(層3)として使用
する場合は、ピンホールによるガスバリア性の低下を防
ぐために、その厚みは3〜30μmとすることが好まし
く、5〜30μmであればより好ましい。
【0023】本発明における熱可塑性樹脂層(層4)
は、熱可塑性樹脂からなる外層(層5)と熱接着するこ
とが可能である熱可塑性樹脂であれば制限されず、例え
ば、各種ポリエチレン類や各種ポリプロピレン類等のポ
リオレフィン類、ポリエチレンテレフタレートなどのポ
リエステル類、ポリスチレン等が挙げられる。特に、熱
可塑性樹脂からなる外層(層5)を射出成形により熱可
塑性樹脂層(層4)表面に積層した場合に、外層(層
5)と十分な接着強度で熱溶融接着可能な熱可塑性樹脂
が好適に使用される。
【0024】熱可塑性樹脂層(層4)の厚みは、10〜
100μmであることが好ましく、15〜80μmであ
ればより好ましい。熱可塑性樹脂層(層4)の層厚みが
10μmより薄いと、熱可塑性樹脂層からなる外層(層
5)と十分な接着強度が得られない場合があるため好ま
しくない。また、100μmより厚いと、脱酸素性多層
基材の総厚みが厚くなってコンテナの成形性に問題が生
じたり、製品コストが高くなるため好ましくない。
【0025】また、目的に応じ、酸素吸収層(層2)と
ガスバリア層(層3)の間、またはガスバリア層(層
3)と熱可塑性樹脂層(層4)の間に中間層を積層する
ことができる。これらの中間層を構成する材料として
は、各種ポリエチレン類、各種ポリプロピレン類等のポ
リオレフィン類、ナイロン6、ナイロン66等のポリア
ミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等
が挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用するこ
とができ、これらの延伸フィルムを使用しても良い。
【0026】本発明における熱可塑性樹脂層からなる外
層(層5)は射出成形によって形成され、材料としては
各種熱可塑性樹脂を使用することができるが、レトルト
等の高温加熱処理に耐えうる材料、例えば、各種ポリプ
ロピレン類、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエ
ステル類が好ましく用いられる。熱可塑性樹脂層からな
る外層(層5)には必要に応じて無機充填剤を混合して
も良い。無機充填剤を混合することにより、成形容器
本体の寸法安定性が向上し、収縮率が低下する、耐熱
性が向上し、熱変形温度が上昇し、成形容器をレトルト
に用いる際に有利となる、燃焼カロリーが低下し、燃
焼炉等を痛めない、剛性を持たせることができ、商品
の流通上有利となる、熱伝導が良好となり、成形容器
をレトルトに用いる際に有利となる、コストを低減で
きる等の利点がある。
【0027】無機充填剤としては、一般に使用されてい
るものを使用することができ、例えば、金属の酸化物、
その水和物(水酸化物)、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩の
ごとき化合物、これらの復塩及びこれらの混合物が挙げ
られる。該無機充填剤の代表例としては、酸化アルミニ
ウム(アルミナ)、その水和物、水酸化カルシウム、酸
化マグネシウム(マグネシア)、水酸化マグネシウム、
酸化亜鉛(亜鉛華)、鉛丹及び鉛白のごとき鉛の酸化
物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マ
グネシウム、ホワイトカーボン、アスベスト、マイカ、
タルク、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、クレ
ー、珪藻土、シリカ、ワラストナイト、酸化鉄、酸化ア
ンチモン、酸化チタン、軽石粉、硫酸カルシウム(石膏
等)、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭酸バ
リウム、ドロマイト、二硫化モリブデン及び砂鉄が挙げ
られる。これらの無機充填剤は、特に平板状(フレーク
状)及び粉末状のものが好ましく用いられる。これらの
無機充填剤が粉末状である場合には、その径が20μm
以下が好ましく、1μm以下であればより好ましい。ま
た、繊維状のものである場合には、その径は1〜500
μmが好ましく、1〜300μmのものであればより好
ましく、その長さは0.1〜6mmが好ましく、0.1
〜5mmのものであればより好ましい。さらに、熱可塑
性樹脂層からなる外層(層5)には酸化防止剤、紫外線
防止剤等の各種添加剤を添加しても良い。
【0028】本発明における前記層1〜層4からなる脱
酸素性多層基材は、層1〜層4の順に積層し、共押し出
しや、押し出しラミネート、共押し出しラミネート、ド
ライラミネート等の従来公知の製造方法により、平板状
のシート又はフィルムとして製造できる。本発明の脱酸
素性成形容器は、図1に示したような丸缶容器の他、図
4に示すように、脱酸素性多層基材の余り部分18をコ
ーナー部に折り込んで角型コンテナを成形し、図5に示
すような角型脱酸素性容器19としても良い。また、脱
酸素性成形容器は、丸缶や角缶以外の矩形状、例えば五
角形状、六角形状のものであっても良い。本発明の脱酸
素性成形容器及び脱酸素性密閉容器の好ましい形状は、
カップ又はトレイ等の形状である。
【0029】本発明の脱酸素性成形容器は、以下の方法
により製造することができる。まず、前記した脱酸素性
多層基材から底部と多数のリンクルが存在する胴壁部と
フランジ部からなるコンテナを形成し、次いで該コンテ
ナの外面に射出成形により熱可塑性樹脂からなる外層
(層5)を積層してコンテナと一体化する。さらに該リ
ンクルを形成する脱酸素性多層基材の互いに接触する熱
可塑性樹脂層(層1)同士を熱接着して熱可塑性樹脂層
を連続層とし、且つ該胴壁部内面及び該フランジ部上面
のリンクルを平滑化する。
【0030】一方、脱酸素性多層基材を引き伸ばすこと
なく容器を成形する方法として、多層基材を適宜の大き
さに切断し、これらを接着剤等により連結する方法も考
えられる。しかし、この方法による場合には多層基材の
切断面すなわち金属箔断面や酸素吸収層中の鉄系酸素吸
収剤が内容物と接触することになり、衛生上好ましくな
い。本発明の脱酸素性密閉容器は、前記脱酸素性成形容
器に内容物を充填した後、フランジ部上面にガスバリア
性を有する蓋を接合することにより得られる。
【0031】以下、本発明の脱酸素性成形容器及び脱酸
素性密閉容器の製造方法の一例について、図6を用いて
説明する。まず、脱酸素性多層基材を用いてコンテナを
製造する。すなわち、(A)脱酸素性多層基材1(図2
参照)を打ち抜いて円板2を作製し、(B)円板2をそ
れぞれ縦方向溝4が彫られた雄金型3と縦方向溝6が彫
られた雌金型5の間に層1が雄金型3に相対するように
セットし、雌金型5の中空部内に雄金型3を押入し、
(C)脱酸素性多層基材1の余り部分を縦方向にリンク
ル(皺)7として吸収することにより実質的に脱酸素性
多層基材1を引き伸ばすことなくフランジ部8と胴壁部
9と底部10とを有するコンテナ11を成形する。この
場合、雄金型3と雌金型5のそれぞれの溝4及び6が互
いに相対して配置されることが好ましい。
【0032】次に、(D)コンテナ11を、射出成形金
型12の雄モールド部分に取り付け、ゲート部13を有
する射出成形金型14を(E)に示すように型締めし、
金型14のゲート部13から熱可塑性樹脂15を射出す
ると、熱可塑性樹脂15よりなる熱可塑性樹脂15とコ
ンテナ11の相対する面(コンテナ11の外面、層4
側)が全面に渡って溶着され、(F)コンテナ11と熱
可塑性樹脂層(層5)が一体化した、リジッドな丸缶の
容器本体16が形成される。この成形容器本体16の外
観全体図を図1に示す。かくして、フランジ部及び胴壁
部に多数のリンクルを設けて形成されたコンテナの外面
に、インサート射出成形により熱可塑性樹脂層からなる
外層(層5)が積層される。
【0033】上記(E)において、熱可塑性樹脂15の
射出時、コンテナ11内面(胴壁部9内面及びフランジ
部8上面)が射出成形時の樹脂圧により、金型12に押
し付けられ、その内面リンクル7が平滑化され、同時に
射出成形樹脂の加熱によりリンクルを構成する相対する
面は可及的に広く熱接着されて、内面の熱可塑性樹脂層
(層1)が平滑化する。このためリンクル7に内容物が
侵入することが無く、内容物を取り出し易い。
【0034】その後、(G)成形容器本体16に内容物
を入れ、蓋体17をヒートシール等により接合すると、
密閉容器として使用できる。これはフランジ部8の上面
の平滑化とリンクル部の相対する面間の広い熱接着によ
り、内容物が洩れることが無いように気密になっている
ためである。また、図3に示すように、蓋体17を一部
フランジ部8から突出させ、イージーオープン可能な落
し蓋タイプの丸缶容器としてもよい。
【0035】また、成形容器本体と蓋体とのヒートシー
ル性をより確実にするために、図5の(H)に示すよう
に、成形容器本体16´のフランジ部に、コンテナ11
´の多層基材部分と熱可塑性樹脂層15´を設け、2種
類のヒートシールを同時に行なえるようにし、(I)に
示すように、成形容器本体16´のフランジ部に、蓋体
17´をヒートシール等により接合し、より一層密閉機
能を高めた容器として使用することもできる。この場
合、得られた脱酸素性成形容器のフランジ部の切断面に
おける酸素吸収層の露出が無いため、酸素吸収層中の鉄
系酸素吸収剤が酸化により茶色く変色して成形容器の外
観を損なうことを防止でき、衛生上優れた容器が得られ
る。
【0036】ガスバリア性を有する蓋17(17´)と
しては、ガスバリア性材料からなるガスバリア層と、ガ
スバリア層の一方の面に成形容器本体の熱可塑性樹脂1
5(15´)や脱酸素性多層基材の熱可塑性樹脂層(層
1)とヒートシール等が可能で成形容器本体から使用時
に剥離できるような熱可塑性樹脂層を積層した2層以上
からなる多層基材が挙げられる。
【0037】ガスバリア層の材料としては、例えば、ア
ルミ箔等の金属箔、アルミ蒸着フィルム、酸化アルミ蒸
着フィルムやシリカ蒸着フィルム等の無機酸化物蒸着フ
ィルム、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体、ナイロン6、ナイロン66、MXナイロ
ンや非晶性ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレ
フタレート、液晶ポリマー等のポリエステル等が挙げら
れ、これらを単独又は組み合わせて使用することがで
き、さらにこれらの延伸フィルムを使用しても良い。
【0038】また、蓋17(17´)を構成する熱可塑
性樹脂層の材料としては、例えば、高圧法や中圧法、低
圧法により製造されるポリエチレン、メタロセン触媒を
用いて製造されるポリエチレン等の各種ポリエチレン
類、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタ
クリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重
合体等の各種エチレン共重合体、プロピレンホモポリマ
ー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレ
ン−エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒により
製造されるポリプロピレン等の各種ポリプロピレン類、
エチレン−αオレフィン共重合体、ポリメチルペンテ
ン、アイオノマー、ポリスチレン、ポリエチレンテレフ
タレートやその変性物、熱可塑性エラストマー、各種イ
ージーピール性樹脂等が挙げられ、これらを単独又は組
み合わせて使用することができ、これらの中でも衛生
性、汎用性又は耐熱性の面から、ポリエチレン類やポリ
プロピレン類が好ましい。
【0039】蓋体17(17´)の好ましい例として
は、前記ガスバリア層を中間層とし、その一方の面にヒ
ートシール等が可能な前記熱可塑性樹脂層を積層し、ガ
スバリア層のもう一方の面には耐熱性や機械強度に優れ
る熱可塑性樹脂層、例えばポリエチレンテレフタレート
等のポリエステルや、ナイロン6等のポリアミドからな
る熱可塑性樹脂層を積層したものが挙げられる。また、
蓋体17(17´)としては、特開昭59−22125
6号公報、特開昭59−229329号公報、特開昭6
1−33943号公報、特開昭61−33944号公報
等に記載の、例えばイージーオープン可能な容器蓋を使
用しても良い。
【0040】本発明の脱酸素性密閉容器に収納すること
ができる内容物としては、例えば、牛乳、ジュース、日
本酒、ウイスキー、焼酎、コーヒー、茶、ゼリー飲料、
健康飲料等の液体飲料、調味液、ソース、醤油、ドレッ
シング、液体だし、マヨネーズ、味噌、バター、すり下
ろし香辛料等の調味料、ジャム、クリーム、チョコレー
トペースト等のペースト状食品、液体スープ、煮物、漬
物、シチュー等の液体加工食品に代表される液体系食品
やそば、うどん、ラーメン等の生麺及びゆで麺、精米、
調湿米、無洗米等の調理前の米類や調理された炊飯米、
五目飯、赤飯、米粥等の加工米製品類、粉末スープ、だ
しの素等の粉末調味料、羊羹、ゼリー、ケーキ、プリン
等の菓子類に代表される高水分食品、その他農薬や殺虫
剤等の固体状や溶液状の化学薬品、液体及びペースト状
の医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、
染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々の物品が挙げ
られる。これらの内容物は、容器外部から酸素が侵入す
ることが無く、また容器内部の酸素は酸素吸収剤によっ
て吸収されることから、酸化腐食などが防止され、長期
間の良好な品質保持が可能となる。
【0041】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示す。なお、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例1 平均粒径30μmの還元鉄粉100重量部に、塩化カル
シウム3重量部を含む水溶液、硫酸カルシウム0.5重
量部を混合、乾燥して得られた粒状の塩被覆鉄粉系酸素
吸収剤40重量部、酸化チタン5重量部、プロピレン−
エチレンランダム共重合体(チッソ(株)製、商品名;
チッソポリプロF8090、融点153℃)55重量部
を混合し、35mmφ2軸押し出し機にて溶融混練し、
ストランドダイを経てストランド化し、ブロワ付きネッ
トベルトで冷却後、ペレタイザーにてペレット化して、
酸素吸収性樹脂ペレットを得た。
【0042】次に、繰り出し機、Tダイを備えた押し出
し機、冷却ロール、巻き取り機等を備えた押し出しラミ
ネーターを用い、押し出し機から酸素吸収性ペレットを
押し出し、押し出された酸素吸収層が金属製ミラーロー
ルに当たるように繰り出し機から繰り出されるポリプロ
ピレンフィルム(東洋紡(株)製、商品名:パイレンフ
ィルムP1128、以下CPPと略す)(層1)上に酸
素吸収層(層2)を押し出しラミネートして、酸素吸収
層面が平滑化されたCPP(30μm)/酸素吸収層
(30μm)からなる酸素吸収性多層体Aを得た。次
に、前記酸素吸収性多層体Aの酸素吸収層面に、予めド
ライラミネートによりアルミ箔(層3)に前記CPP
(層4)を積層して得たアルミ箔積層フィルム(アルミ
箔(7μm)/CPP(30μm))のアルミ箔面をド
ライラミネートにより接着して、CPP(30μm)/
酸素吸収層(30μm)/アルミ箔(7μm)/CPP
(30μm)からなる脱酸素性多層基材を得た。
【0043】得られた脱酸素性多層基材を円板上に打ち
抜き円板2とし、図6に示すようにそれぞれ縦方向溝が
彫られた雄金型3と雌金型5の間にCPP(層1)が雄
金型3に相対するようにセットし、雌金型5の中空部内
に雄金型3を押入して胴壁部9とフランジ部8にリンク
ル7を有するコンテナ11を成形した。このコンテナ1
1を、射出成形金型12の雄モールド部分に取り付け、
ゲートを有する金型14を型締めし、金型14のゲート
からポリプロピレン樹脂15(チッソ(株)製、商品
名;チッソポリプロK8250T)をコンテナ11のC
PP(層4)側に射出、溶着させて脱酸素性成形容器1
6を得た。なお、射出成形時の樹脂圧により、コンテナ
11内面のリンクル7は平滑化され、同時に同射出成形
樹脂15による加熱により成形容器胴壁部9のリンクル
7の相対する面は可及的に広く熱接着されて、成形容器
内面のCPPは連続した層となっていた。
【0044】次に、80℃に加熱され、抹茶成分を含有
した液体状になっている水羊羹を脱酸素性成形容器16
内に充填し、次いでCPP(30μm)/アルミ箔(7
μm)/ポリエチレンテレフタレート(12μm)の積
層体からなる蓋体17のCPP面と成形容器フランジ部
8上面をヒートシールして密封し、脱酸素性密閉容器を
得た。この密閉容器を117℃にて50分間レトルト殺
菌を行った後、室温下に6ヶ月間保存した。6ヵ月後に
蓋を開封して内容物を取り出し、内容物の外観、風味を
調査した結果、水羊羹の外観や風味は変化することなく
良好に保たれていた。
【0045】比較例1 実施例1において、CPP(30μm)/酸素吸収層
(30μm)/アルミ箔(7μm)/CPP(30μ
m)からなる脱酸素性多層基材の代わりに、CPP(3
0μm)/アルミ箔(7μm)/CPP(30μm)か
らなる酸素吸収層が積層されていない通常のガスバリア
性多層体を使用した以外は同様にして、密閉容器を製造
した。この密閉容器を117℃にて50分間レトルト殺
菌を行った後、室温下に6ヶ月間保存した。6ヶ月後に
蓋を開封して内容物を取り出したところ、水羊羹の外観
には褐色に変化した部分が観測され、風味は低下してい
た。
【0046】比較例2 第1〜第4までの4台の押し出し機、フィードブロッ
ク、Tダイ、冷却ロール、引き取り機等からなる4種6
層多層シート製造装置を用いて、第1押し出し機から白
色ポリプロピレンからなる最内層及び最外層、第2押し
出し機から酸素吸収性樹脂ペレットからなる酸素吸収
層、第3押し出し機から無水マレイン酸変性ポリプロピ
レンからなる接着性樹脂層、第4押し出し機からエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体からなるガスバリア層を
それぞれ押し出し、最内層(120μm)/酸素吸収層
(120μm)/接着性樹脂層(20μm)/ガスバリ
ア層(40μm)/接着性樹脂層(20μm)/最外層
(240μm)からなる脱酸素性多層基材を得た。次に
真空圧空成形機を使用したプラグアシスト成形により、
得られた脱酸素性多層基材から脱酸素性成形容器を得
た。なお、得られた脱酸素性成形容器の胴壁部の任意の
箇所において各層の厚みを調査したところ、最内層(8
0μm)/酸素吸収層(80μm)/接着性樹脂層(1
5μm)/ガスバリア層(30μm)/接着性樹脂層
(15μm)/最外層(160μm)であった。実施例
1において使用した脱酸素性成形容器16の代わりに、
上記脱酸素性成形容器を使用した以外は同様にして、密
閉容器を製造した。この密閉容器を117℃にて50分
間レトルト殺菌を行った後、室温下に6ヶ月間保存し
た。6ヶ月後に蓋を開封して内容物を取り出したとこ
ろ、水羊羹の外観は変化することなく良好に保たれてい
たものの、風味はやや低下していた。
【0047】実施例2 実施例1において、水羊羹の代わりに、80℃に加熱さ
れ、液体状になっているぶどう果肉入りゼリーを使用し
た以外は同様にして密閉容器を製造した。この密閉容器
を117℃にて50分間レトルト殺菌を行った後、室温
下に6ヶ月間保存した。6ヶ月後に蓋を開封して内容物
を取り出し、内容物の外観、風味を調査した結果、ぶど
う果肉入りゼリーの外観や風味は変化することなく良好
に保たれていた。
【0048】実施例3 実施例1において、水羊羹の代わりに、イチゴジャムを
使用した以外は同様にして密閉容器を製造した。この密
閉容器を90℃にて15分間レトルト殺菌を行った後、
室温下に6ヶ月間保存した。6ヵ月後に蓋を開封して内
容物を取り出し、内容物の外観、風味を調査した結果、
イチゴジャムの外観や風味は変化することなく良好に保
たれていた。
【0049】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の脱酸素
性成形容器及び脱酸素性密閉容器は、従来のガスバリア
性容器では防止することが困難であった容器内部に残存
する微量の酸素や、保存物品中の溶存酸素による保存物
品の酸化劣化を防ぐことができる。
【0050】また、従来の脱酸素性容器には使用するこ
とができなかった金属箔や無機酸化物蒸着フィルムをガ
スバリア層に使用しているため、従来の脱酸素性容器で
問題であったレトルト等の高温高湿処理によるガスバリ
ア層のガスバリア性低下に起因する内容物の酸化劣化を
防ぐことができ、長期間にわたって保存物品の品質を良
好に保つことを可能とする。
【0051】しかも、本発明の脱酸素性容器は、比較的
に低コストで製造でき、かつ、成形容器を製造する際に
脱酸素性多層基材を引き伸ばす工程が無いため、成形容
器胴壁部や底部における酸素吸収層やガスバリア層の厚
みばらつきが無く製品の品質が安定した極めて有用なも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の脱酸素性成形容器の一例を示す斜視
図である。
【図2】 本発明の脱酸素性成形容器に使用する脱酸素
性多層基材の層構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の脱酸素性密閉容器の一例を示す斜視
図である。
【図4】 本発明の脱酸素性成形容器に使用するコンテ
ナの一例を示す斜視図である。
【図5】 本発明の脱酸素性成形容器の別の一例を示す
斜視図である。
【図6】 本発明の脱酸素性成形容器及び脱酸素性密閉
容器の製造工程を説明する図である。
【図7】 本発明の脱酸素性成形容器及び脱酸素性密閉
容器の別の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
層1 熱可塑性樹脂層 層2 酸素吸収層 層3 ガスバリア層 層4 熱可塑性樹脂層 1 脱酸素性多層基材 2 脱酸素性多層基材からなる円板 3 雄金型 4 溝 5 雌金型 6 溝 7 リンクル 8 フランジ部 9 胴壁部 10 底部 11 コンテナ 12 射出成形金型 13 ゲート部 14 射出成形金型 15 熱可塑性樹脂 16、16’成形容器本体 17、17’蓋体 18 脱酸素性多層基材の余り部分 19 角缶脱酸素性成形容器
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 3/00 101 B65D 65/40 D 4B041 B65D 65/40 1/00 B 4F100 (72)発明者 加柴 隆史 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社平塚研究所内 (72)発明者 蔭山 陽平 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 昭和 電工プラスチックプロダクツ株式会社内 (72)発明者 濱田 良次 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2 昭和 電工プラスチックプロダクツ株式会社内 Fターム(参考) 3E033 AA08 BA09 BA14 BB08 CA20 DA08 DD01 EA01 FA04 3E067 AC01 BA07A BA10A BB12A BB14A BB15A BB16A BB25A CA06 EA06 EB27 FA01 FB13 FC01 GC02 GD01 3E086 AA22 AC07 AD06 BA04 BA13 BA15 BA35 BB05 BB41 BB51 CA01 CA11 CA28 CA29 4B014 GE11 GK11 GP14 GP25 GP26 4B021 LA15 LA16 LA17 LW10 MC04 MK09 4B041 LC07 LD01 LD04 LE08 LK29 LP01 LP17 LP18 4F100 AA00C AB01C AB02B AB10C AB33C AK01A AK01B AK01D AK01E AK07 AK42 AK64 AL05B BA05 BA07 BA10A BA10E CA09B DE01 EH23 EH36E EH66C GB16 JB16A JB16B JB16D JB16E JD14B JK01 JL12A YY00C

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱溶融接着可能な熱可塑性樹脂層(層
    1)、鉄系酸素吸収剤が熱可塑性樹脂中に分散された脱
    酸素性樹脂組成物からなる酸素吸収層(層2)、金属箔
    あるいは無機物蒸着フィルムからなるガスバリア層(層
    3)及び熱可塑性樹脂層(層4)の少なくとも4層が成
    形容器内面側からこの順に積層された脱酸素性多層基材
    からなり、フランジ部及び胴壁部に多数のリンクルを設
    けて形成されたコンテナの外面に、射出成形により熱可
    塑性樹脂層からなる外層(層5)が積層された剛性を有
    する脱酸素性成形容器。
  2. 【請求項2】 前記成形容器フランジ部上面のリンクル
    を形成する脱酸素性多層基材の互いに接触する熱可塑性
    樹脂層(層1)同士が熱溶融接着され、フランジ部上面
    及び胴壁部が平滑化されてなる請求項1記載の脱酸素性
    成形容器。
  3. 【請求項3】 前記ガスバリア層(層3)が厚さ3〜3
    0μmのアルミ箔である請求項1記載の脱酸素性成形容
    器。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の脱酸素性成形容器のフラ
    ンジ部上面に、ガスバリア性を有する蓋が接合されてな
    る脱酸素性密閉容器。
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