JP2010192486A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明によれば、気密性の高く、耐熱性および耐湿性に優れた電解コンデンサおよびその製造方法が提供する。
【解決手段】リードタブ端子が夫々接続された陽極箔と陰極箔を巻回して形成されるコンデンサ素子と、該コンデンサ素子を収納する有底ケースと、該有底ケースの開口部を封止する封止部材と、を具える電解コンデンサであって、前記封止部材は、前記リードタブ端子を挿入する貫通孔を有しており、表面にシランカップリング剤層が形成されている電解コンデンサおよびその製造方法。
【選択図】図2

Description

この発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
従来の電解コンデンサとして図1および図2に示されるものが知られている(たとえば特許文献1参照)。
図1に示すように、コンデンサ素子2は、弁金属からなる陽極部3と陰極部4とをセパレータ5を介して巻回し、巻き止めテープ6で止められて形成される。前記陽極箔3および陰極箔4には、各々リードタブ端子7を介してリード線8が取り付けられている。該コンデンサ素子の内部には、電解質としてポリピロール、ポリチオフェンおよびポリアニリン等の導電性高分子が充填されている。
そして、図2に示すように、導電性高分子を充填したコンデンサ素子2は、金属製の有底ケース9に収納され、該有底ケース9の開口部は前記リードタブ端子8を挿入する貫通孔を有する封止部材10によって封止される。封止部材としては、ブチルゴム、イソプロピレンゴムなどが多く使用されている。有底ケース9の開口部近傍は、横絞り・カール加工によって封止されている。最後に、リード線7をプラスチック製の座板11に挿入した後、電極端子として該リード線7をプレス加工し、座板に沿って折り曲げ加工することによって、電解コンデンサが完成する。
特開2004−71779号公報
一般に電解コンデンサの信頼性劣化の抑制には、その気密性の維持が重要である。しかしながら、上記構成の従来の電解コンデンサは、封止部材10とリードタブ端子8との界面や、封止部材10と有底ケース9との界面の機械的な接合部があるため、高温高湿環境下において、外部から水分や酸素などが電解コンデンサ内部に浸入ことがある。これにより、電解コンデンサ内部の電解質が劣化し、静電容量やESR(Equivalent Series Resistance:等価直列抵抗)などの電気特性の低下や変動を招くことになり、電解コンデンサの信頼性が低下するという問題があった。
本発明はこのような従来の課題を解決し、気密性が低下せず、信頼性の高い電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、リードタブ端子が夫々接続された陽極箔と陰極箔を巻回して形成されるコンデンサ素子と、コンデンサ素子を収納する有底ケースと、有底ケースの開口部を封止する封止部材と、を具える電解コンデンサであって、封止部材の表面には、シランカップリング剤層が形成されている電解コンデンサである。
さらに、封止部材は、リードタブ端子を挿入する貫通孔を有しており、貫通孔の内壁面にはシランカップリング剤層が形成されていることが好ましい。
シランカップリング剤層は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランからなることが好ましい。
さらに、本発明は、リードタブ端子が夫々接続された陽極箔と陰極箔を巻回してコンデンサ素子を形成し、コンデンサ素子を有底ケースに収納し、貫通孔を有する封止部材によって有底ケースの開口部を封止した電解コンデンサの製造方法であって、封止部材を、シランカップリング剤またはシランカップリング剤を含有する溶液に浸漬する工程を有する電解コンデンサの製造方法である。
封止部材を、シランカップリング剤またはシランカップリング剤を含有する溶液に、減圧雰囲気下で浸漬する工程を有することが好ましい。
シランカップリング剤を含有する溶液は、水又はアルコールを溶媒として含有し、シランカップリング剤の濃度を0.01〜20重量%とすることが好ましい。
本発明によれば、気密性の高く、耐熱性および耐湿性に優れた電解コンデンサおよびその製造方法が提供される。
本発明の電解コンデンサにおけるコンデンサ素子を模式的に示す斜視図である。 本発明の電解コンデンサの断面図である。
本発明の実施のための形態について以下に説明する。
図1は本発明の電解コンデンサにおけるコンデンサ素子を模式的に示す斜視図であり、図2は本発明の電解コンデンサの断面図である。
本発明の電解コンデンサは、図1に示すコンデンサ素子2を具えている。該コンデンサ素子2の基本構造は、陽極箔3と陰極箔4とをセパレータ5を介して円筒状に巻回してなる構造である。陽極箔には、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンなどの弁金属にエッチング処理および化成処理等をしたものが用いられる。そして、該陽極箔3および該陰極箔4には、それぞれ金属製のリードタブ端子8が電気的に接続されている。陽極箔3と接続したリードタブ端子8は、リード線7と電気的に接続されており、陰極箔4と接続したリードタブ端子8は、リード線7と電気的に接続されている。
電解質としては、無機酸、有機酸またはこれらの塩を含む電解液や、固体電解質を用いることができる。固体電解質は、具体的には二酸化マンガンや、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)錯塩、導電性高分子などがあるが、導電性が良好な導電性高分子、特にポリピロール、ポリチオフェンおよびポリアニリン等またはその誘導体からなる導電性高分子であることが望ましい。上記から選ばれる電解質を含浸、塗布などの周知の方法でコンデンサ素子2内に形成されている。
前記コンデンサ素子は、図2に示すように、金属製の有底ケース9に収納され、該有底ケースの開口部に封止部材10を装着し封止されている。該封止部材10には、前記コンデンサ素子2のリードタブ端子8を挿入する貫通孔が設けられている。有底ケース9の開口部には座板11が装着されており、電極としてプレス加工されたリード線7が座板に沿って折り曲げられている。
また、封止部材には、ブチルゴム、イソプロピレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素系ゴムなどを用いることができ、耐熱性、耐久性及び生産性の観点から、ブチルゴムが特に好ましい。
本発明において、前記封止部材10の表面にはシランカップリング剤層が形成されている。これにより、コンデンサ素子2を有底ケース9に収納し封止部材10で封止した際、封止部材10とリードタブ端子8との界面や、封止部材10と有底ケース9との界面の密着性が向上し、電解コンデンサの気密性を向上させることできる。これは、封止部材10とリードタブ端子8との界面や、封止部材10と有底ケース9との界面にシランカップリング剤層が介在することで、封止部材10とリードタブ端子8との界面や、封止部材10と有底ケース9との界面が化学的に接合するためである。
シランカップリング剤層は、リードタブ端子8や有底ケース9の表面に形成することもできるが、生産性の観点から、封止部材10の表面に形成されていることが好ましい。また、シランカップリング剤層は、封止部材10における、リードタブ端子8が接触する貫通孔内壁面や、有底ケース9が接触する面に形成含む表面に形成されていることが、特に好ましい。なお、封止部材の表面にシランカップリング剤層を形成する代わりに、封止部材の組成中にシランカップリング剤を添加した場合は、封止部材の製造工程中にシランカップリング剤が反応してしまい、上記の効果が得られなくなるため好ましくない。
本発明に用いるシランカップリング剤は、1つの分子中に、プラスチックやゴムなどの有機材料と化学結合する反応基と、金属や酸化物などの無機材料に化学結合する反応基とを有している。有機材料と化学結合する反応基としては、アミノ基、メタクリロキシ基、グリシドキシ基、メルカプト基、メチル基、ビニル基、アクリロキシ基、エポキシ基などが、封止部材との化学結合がより強固になるため好ましい。なお、撥水性の強いパーフルオロアルキル基などを有するシランカップリング剤は、封止部材との化学結合が弱いため、酸素の侵入を防ぐことができないので好ましくない。無機材料に化学結合する反応基としては、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基や、アセトキシ基などが、リードタブ端子との化学結合がより強固になるために好ましい。例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランから選ばれた少なくとも1つを含むことが好ましく、封止部剤との接合性の観点からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
続いて、図1および図2に示す本発明の電解コンデンサの製造方法について説明する。
まず、公知の方法でエッチング処理および化成処理等をした陽極箔3を準備する。そして、陽極箔3にリードタブ端子8を介してリード線7を取り付け、陰極箔4にリードタブ端子8を介してリード線7を取り付ける。そして、セパレータ5を介して陽極箔3と陰極箔4とを巻き取って、巻止テープ6で止めコンデンサ素子2を形成する。その後、公知の方法で切り口化成をし、150〜300℃の熱処理を行なう。
次に、電解質として導電性高分子を、コンデンサ素子2の内部に形成するために、導電性高分子の重合液を準備する。重合液は、導電性高分子のモノマーと、重合を促進させる酸化剤を含有している。そして、前記コンデンサ素子2に重合液を含浸させた後、化学重合することによって、コンデンサ素子2の内部に導電性高分子を形成する。
続いて、シランカップリング剤溶液を準備する。シランカップリング剤溶液は、希釈していない100重量%のシランカップリング剤、若しくはシランカップリング剤を水又は有機溶媒で希釈した溶液を使用することができる。シランカップリング剤を水又は有機溶媒で希釈する場合、シランカップリング剤溶液の濃度は、0.01〜20重量%が好ましく、1.0〜10重量%が特に好ましい。シランカップリング剤溶液の濃度が、0.01重量%未満または20重量%超過であると、封止部剤との接合性が弱くなる虞がある。また、有機溶媒は、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトンなどを用いることができ、安全性及びシランカップリング剤の溶解性の観点から、ブタノールが特に好ましい。
そして、封止部材10をシランカップリング剤溶液に浸漬し、引き上げて乾燥させることによって、封止部材10の表面にシランカップリング剤層を形成する。封止部材10をシランカップリング剤溶液に浸漬する際、減圧雰囲気にすることが好ましい。減圧雰囲気にすることで、封止部材10の貫通孔にシランカップリング剤溶液が浸入しやすくなり、リードタブ端子8と接触する封止部材10の貫通孔内壁面へ、確実にシランカップリング剤層を形成することが可能となる。なお、減圧雰囲気の圧力は、20〜90kPaが好ましく、浸漬時間は1〜10分が好ましい。封止部材10は、シランカップリング剤溶液から引き上られた後、60〜120℃で、10〜30分間乾燥させる。以上の操作により、封止部材10の表面にシランカップリング剤層が形成される。
そして、内部に導電性高分子を形成したコンデンサ素子2を有底ケース9に収納し、前記封止部材10を該有底ケースの開口部に挿入する。このとき、コンデンサ素子2のリードタブ端子8は封止部材10の貫通孔に挿入されている。その後、有底ケースの開口部を、横絞り・カール加工することによって封止し、エージング処理を行う。最後に、カール面に座板11を挿入し、リード線7を電極端子としてプレス加工および折り曲げを行ない、電解コンデンサを完成する。
<実施例1>
まず、アルミニウム箔の表面を、公知の方法でエッチング処理および化成処理等をした陽極箔3を準備した。そして、陽極箔3および陰極箔4にアルミニウムからなるリードタブ端子8を介してリード線7を取り付けた。そして、セパレータ5を介して陽極箔3と陰極箔4とを巻き取って、巻止テープ6で止めコンデンサ素子2を形成した。その後、公知の方法で切り口化成をし、280℃の熱処理を行った。
次に、前記コンデンサ素子2に、導電性高分子モノマーとして3,4エチレンジオキシチオフェンと、酸化剤としてp−トルエンスルホン酸第二鉄と、を含有する重合液を含浸させ、化学重合させることによって、コンデンサ素子2の内部にポリチオフェンからなる導電性高分子を形成した。
次に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランをブタノールで2重量%に希釈したシランカップリング剤溶液に、ブチルゴムからなる封止部材10を浸漬した。その後、シランカップリング剤溶液から封止部材10を引き上げた後、60℃で、20分間保持することによって乾燥させた。
そして、前記コンデンサ素子2を有底ケース9に収納し、前記封止部材10を該有底ケースの開口部に挿入した。このとき、コンデンサ素子2のリードタブ端子8は封止部材10の貫通孔に挿入させた。その後、有底ケース9の開口部を、横絞り・加締め加工することによって封止し、エージング処理を行った。最後に、有底ケース9の開口部に座板11を挿入し、リード線7を電極端子としてプレス加工および折り曲げを行ない、本発明の電解コンデンサを完成した。
<実施例2>
シランカップリング剤溶液に封止部材10を浸漬する際、20kPaの減圧雰囲気下で、10分間保持したこと以外は、実施例1と同様の方法で電解コンデンサを作製した。
<比較例>
封止部材10の表面にシランカップリング剤層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で電解コンデンサを作製した。
実施例1、2及び比較例にかかる電解コンデンサの定格電圧は4V、定格容量は560μF、外形はφ8.0mm×9.0mmとした。実施例1、2および比較例にかかる電解コンデンサについて、周波数120Hzにおける静電容量、周波数100kHzにおけるESRを測定した後、高温試験及び耐湿試験を行った。耐熱試験は、温度125℃、5000時間の条件で行い、試験後の静電容量、ESRを測定し、静電容量変化率[%]、及びESR変化率[倍]を算出した。耐湿試験は、温度85℃、湿度85%、2000時間の条件で行い、試験後での静電容量、ESRを測定し、静電容量変化率[%]、及びESR変化率[倍]を測定した。結果を表1に示す。また、静電容量変化率及びESR変化率は、同様にして作製した電解コンデンサ30個の平均値を示す。
表1より、封止部材表面にシランカップリング剤層を形成した実施例1、2の電解コンデンサは、封止部材表面にシランカップリング剤層を形成していない比較例の電解コンデンサと比較して、耐熱試験前後での静電容量変化率およびESR変化率が小さく、耐湿試験前後での静電容量変化率およびESR変化率が小さい。このことから、実施例1、2の電解コンデンサは、耐熱性および耐熱性に優れていることが分かる。
また、シランカップリング剤溶液への浸漬を、減圧雰囲気下で行った実施例2の電解コンデンサは、大気圧下で行った実施例1の電解コンデンサと比較して、耐熱試験前後での静電容量変化率およびESR変化率が小さく、耐湿試験前後での静電容量変化率およびESR変化率が小さい。このことから、実施例1、2の電解コンデンサは、耐熱性および耐熱性に優れていることが分かる。
今回開示した実施の形態及び実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、特許請求の範囲に記載の発明を限定する様に解すべきでない。本発明は、特許請求の範囲内及び均等の意味の範囲内で自由に変更することができる。
1 電解コンデンサ、2 コンデンサ素子、3 陽極箔、4 陰極箔、5 セパレータ、6 巻止めテープ、7 リード線、8 リードタブ端子、9 有底ケース、10 封止部材、11 座板

Claims (6)

  1. リードタブ端子が夫々接続された陽極箔と陰極箔を巻回して形成されるコンデンサ素子と、該コンデンサ素子を収納する有底ケースと、該有底ケースの開口部を封止する封止部材と、を具える電解コンデンサであって、
    前記封止部材の表面には、シランカップリング剤層が形成されている電解コンデンサ。
  2. 前記封止部材は、前記リードタブ端子を挿入する貫通孔を有しており、該貫通孔の内壁面にはシランカップリング剤層が形成されている請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記シランカップリング剤層は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含有する請求項1又は請求項2に記載の電解コンデンサ。
  4. リードタブ端子が夫々接続された陽極箔と陰極箔を巻回してコンデンサ素子を形成する第1工程と、該コンデンサ素子を有底ケースに収納する第2工程と、貫通孔を有する封止部材によって該有底ケースの開口部を封止する第3工程と、を含む電解コンデンサの製造方法であって、
    前記第3工程の前に、前記封止部材をシランカップリング剤またはシランカップリング剤を含有する溶液に浸漬する、浸漬工程を有する電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記浸漬工程は、減圧雰囲気下で行う請求項4に記載の電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記シランカップリング剤を含有する溶液は、水又はアルコールを溶媒として含有し、シランカップリング剤の濃度を0.01〜20重量%とする請求項4又は請求項5に記載の電解コンデンサの製造方法。
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