JP3970063B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ポリマー層を固体電解質層とする固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体電解質層を用いた固体電解コンデンサは、小型且つ大容量であることに加えて、等価直列抵抗が低いことから電子機器に広く使用されている。特に、固体電解質層に導電性ポリマーを用いた固体電解コンデンサは、二酸化マンガンやTCNQ錯体を用いたものと比較して等価直列抵抗が低い特徴を有しており、近年生産数が増加している。一般に、固体電解コンデンサは、表面に誘電体酸化被膜が形成された弁金属の陽極体を有するコンデンサ素子を具えている。導電性ポリマー層は、この誘電体酸化被膜上に形成される。導電性ポリマー層には、ポリチオフェン系等のポリマー層が用いられている。
【0003】
コンデンサ素子に導電性ポリマー層を形成する工程には、電解重合法又は化学重合法が用いられている。電解重合法は、モノマーを電気化学的に反応させて導電性ポリマー層を形成する方法であり、化学重合法は、モノマーと酸化剤を接触させることにより重合反応させて導電性ポリマー層を形成する方法である。
【0004】
従来から、化学重合法を用いてコンデンサ素子に導電性ポリマー層を形成する工程では、スルホン酸系金属塩等を酸化剤とする酸化剤溶液と、チオフェン系等のモノマーとを混合して混合液を作製し、該混合液をコンデンサ素子に含浸させた後、コンデンサ素子を乾燥させることによって、導電性ポリマー層をコンデンサ素子に形成していた。または、コンデンサ素子をモノマー溶液と酸化剤溶液に浸漬し、乾燥することを繰り返すことによって、導電性ポリマー層をコンデンサ素子に形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記工程においては、酸化剤溶液における酸化剤濃度が高くなるほど、導電性ポリマーの重合効率が向上して、導電性ポリマー層の電気伝導度が高くなって固体電解コンデンサの等価直列抵抗が低下することが知られている。一方、酸化剤の濃度が高くなるにつれて酸化剤溶液の粘度は高くなる。従来より、酸化剤の溶媒にはブチルアルコールが広く使用されているが、ブチルアルコールを溶媒とする酸化剤溶液は、酸化剤の濃度が55wt%を越えると粘度が急激に上昇する。従って、導電性ポリマー層の形成工程での酸化剤溶液の取り扱いが極めて困難になるために、55wt%以上の酸化剤濃度の酸化剤溶液はほとんど使用されていなかった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。本発明は、化学重合で使用する酸化剤溶液の粘度を製造工程で取り扱い可能な程度に維持し、且つ酸化剤の濃度を従来よりも高くすることが可能な固体電解コンデンサの製造方法であって、従来よりも固体電解コンデンサの等価直列抵抗を低下させる固体電解コンデンサの製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、モノマーと酸化剤溶液の混合液をコンデンサ素子(1)に含浸させることにより、又はモノマー溶液と酸化剤溶液をコンデンサ素子(1)に含浸させることにより、モノマーと酸化剤を重合反応させて導電性ポリマー層をコンデンサ素子(1)に形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法において、酸化剤溶液の溶媒は、エチルアルコール、プロピルアルコール、又はこれらの混合物と水分を含み、酸化剤の濃度は、55wt%以上であり、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率は、2.0〜5.0wt%であることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の固体電解コンデンサの製造方法においては、上記の構成に加えて、酸化剤の濃度を、55〜65wt%とするものである。
【0009】
【作用及び効果】
エチルアルコール及びプロピルアルコールは、ブチルアルコールと比較して粘度が低く、さらにスルホン酸系金属塩等の酸化剤に対する溶解度が高い。従って、これら又はこれらの混合物を酸化剤溶液の溶媒として使用すれば、同じ酸化剤濃度における酸化剤溶液の粘度は、ブチルアルコールを溶媒とした酸化剤溶液よりもかなり低くなる。従って、導電性ポリマー形成工程において、酸化剤溶液の取り扱いが容易になる。また、従来よりも酸化剤濃度を高くすることにより、導電性ポリマー層の電気伝導度を向上させ、固体電解コンデンサの等価直列抵抗を低下させることができる。
【0010】
さらに、本発明の発明者の研究により、導電性ポリマー形成工程で酸化剤の溶媒にエチルアルコール、プロピルアルコール、又はこれらの混合物を使用すると、酸化剤濃度に対する等価直列抵抗及び誘電損失は、酸化剤濃度55wt%以上で劇的に低減することが確認された。従って、導電性ポリマー形成工程で、酸化剤濃度を55wt%以上とすることで、固体電解コンデンサの等価直列抵抗及び誘電損失を効果的に低減することができる。
なお、導電性ポリマー形成工程において、酸化剤溶液を容易に取り扱い可能とするために、酸化剤の濃度を55〜65wt%として、粘度を最高でも700mPa程度とするのが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の発明者の研究により、酸化剤溶液の溶媒に含まれる水分量が増すと、固体電解コンデンサの等価直列抵抗等の電気的特性に悪影響が生ずることが確認された。より具体的には、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率が5.0wt%以下の範囲では、等価直列抵抗及び誘電損失はほぼ一定の値であるが、水分含有率が5.0wt%を超えると等価直列抵抗及び誘電損失が増加することが確認された。従って、導電性ポリマー形成工程において、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率を5.0wt%以下とすることにより、固体電解コンデンサの等価直列抵抗及び誘電損失を低減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
巻回型のコンデンサ素子を具える、縦型且つチップ型の固体電解コンデンサの製造に、本発明の方法を適用した実施形態について説明する。本発明は、本実施形態に限定されることはなく、化学重合法によって導電性ポリマー層を形成する固体電解コンデンサの製造方法に広く適用することができる。例えば、巻回型のコンデンサ素子は、弁金属の焼結体や単板等をベースに作製されたものであってよく、固体電解コンデンサの形状は、チップ型ではなくラジアルリード型であってもよい。
【0013】
図1は、本発明の製造方法により製造される固体電解コンデンサが有する、巻回型のコンデンサ素子(1)の概要図である。巻回型のコンデンサ素子(1)は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、又はチタン等の、エッチング処理された弁金属の箔の表面に誘電体酸化被膜が形成された陽極箔(2)と、金属製の(通常、弁金属が使用される)陰極箔(3)とを具えており、帯状の陽極箔(2)と陰極箔(3)とを、帯状の絶縁性のセパレータ(4)を介して巻回して作製された巻回部(5)を具える。該巻回部(5)の側面には巻止めテープ(6)が貼られて、型崩れが防止される。陽極箔(2)及び陰極箔(3)には、それぞれリードタブ端子(7)(8)が接合されており、これらリードタブ端子(7)(8)を介して、陽極リード線(9)が陽極箔(2)の非酸化部分と、陰極リード線(10)が陰極箔(3)とそれぞれ電気的に接続している。
【0014】
図2は、上記のコンデンサ素子(1)を用いた、縦型且つチップ型の固体電解コンデンサの断面図である。本図では、コンデンサ素子(1)断面を簡略化して示している。コンデンサ素子(1)は、外装を構成する有底筒状のアルミニウム等の金属製ケース(11)に収納されている。コンデンサ素子(1)の下部(リード線(9)(10)が位置する側)には、金属製ケース(11)の開口を塞ぐ、ブチルゴム製の封口ゴム(12)が配置される。開口の封止と封口ゴム(12)の固定と行うために、開口近くの金属製ケース(11)の側壁が横絞り処理され、金属製ケース(11)の上端部が内側へカール処理されている。
【0015】
金属製ケース(11)の下端には、蓋状のプラスチック製の座板(13)が配置される。陽極リード線(9)及び陰極リード線(10)は座板(13)を貫通し、これらリード線(9)(10)の座板(13)から突出する部分は、成型加工されてそれぞれ陽極電極端子(14)と陰極電極端子(15)になる。これら電極端子(14)(15)は、薄平板状の形状を有し、座板(13)下面上に配置される。
【0016】
以下、上記固体電解コンデンサの製造方法について説明する。まず、図1のようにコンデンサ素子(1)を作製した後に、陽極箔(2)の切り口表面に誘電体酸化被膜を形成する化成処理工程がなされる。陽極箔(2)は、大面積の弁金属(本実施例ではアルミニウム)の箔を酸化処理し、これを切断して作製されるので、切り口表面には誘電体酸化被膜が形成されていないからである。該化成処理工程の後、誘電体酸化被膜の構造及び特性を安定化させるために、コンデンサ素子(1)を280℃で熱処理工程が行われる。
【0017】
次に、化学重合により、コンデンサ素子(1)の陽極箔(2)と陰極箔(3)の間に、導電性ポリマー層(図示せず)を形成する工程が行われる。重合されるモノマーと酸化剤溶液の混合液にコンデンサ素子(1)を浸漬して、コンデンサ素子(1)に該混合液を含浸させた後に、コンデンサ素子(1)を引き上げて乾燥させることにより陽極箔(2)と陰極箔(3)の間に導電性ポリマー層が形成される。なお、この浸漬及び乾燥工程は、繰り返し行ってもよい。モノマーには、ポリチオフェン系の機能性高分子材、ポリピロール系又はポリアニリン系等の機能性高分子材が使用され、酸化剤には、スルホン酸系金属塩、特にスルホン酸系第二鉄塩が使用される。酸化剤の溶媒には、エチルアルコール又はプロピルアルコールが使用される。さらに、これらの混合物を使用してもよい。
【0018】
本実施形態及び後述の実施例では、モノマーと酸化剤溶液の混合液にコンデンサ素子(1)を浸漬した後に、コンデンサ素子(1)を乾燥させることにより導電性ポリマー層を形成したが、酸化剤溶液に浸漬することによりコンデンサ素子(1)に酸化剤溶液を含浸させた後、モノマー溶液に浸漬することによりコンデンサ素子(1)にモノマー溶液を含浸させて、コンデンサ素子(1)を乾燥することを繰り返すことによって、導電性ポリマー層をコンデンサ素子に形成してもよい。
【0019】
陽極箔(2)と陰極箔(3)の間に導電性ポリマー層が形成する工程の後、コンデンサの外装工程が行われる。まず、コンデンサ素子(1)を金属製ケース(11)に収納する。そして、コンデンサ素子(1)の下部に、ブチルゴム製の封口ゴム(12)を取り付け、開口近くの金属製ケース(11)の側壁を横絞り処理する。さらに、金属製ケース(11)の上端部を内側へカール処理して、開口の封止と封口ゴム(12)の固定を行う。
【0020】
次に、金属製ケース(11)の開口上に、陽極リード線(9)及び陰極リード線(10)が挿通する孔が開設された蓋状のプラスチック製の座板(13)を配置する。そして、座板(14)から突出する陽極リード線(9)及び陰極リード線(10)をプレス加工することにより、平板状の陽極電極端子(14)及び陰極電極端子(15)を形成する。最後に、陽極電極端子(14)及び陰極電極端子(15)の下端部を屈曲し、これらを座板(13)上に配置して図2に示すような固体電解コンデンサが完成する。
【0021】
本発明の上記実施形態に即して、図2に示す固体電解コンデンサを実際に製造した。さらに、本発明の効果を明確にすべく、従来方法を用いても固体電解コンデンサを製造した。以下、この結果を説明することにより本発明の効果を具体的に示す。
下記の実施例及び従来例において、製造された固体電解コンデンサの定格電圧は4Vであり、容量は150μFである。また、該固体電解コンデンサの直径は6.3mmであり、高さは6.0mmである。
【0022】
(実施例1)導電性ポリマー層をコンデンサ素子(1)に形成する工程において、p−トルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤、プロピルアルコールを溶媒とする濃度が55wt%の酸化剤溶液と、3,4−エチレンジオキシチオフェンとからなる混合液をコンデンサ素子(1)に含浸させた。 溶媒として用いたプロピルアルコールの水分含有率は2.0wt%以下である。
【0023】
(実施例2)酸化剤の濃度を60wt%とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
(実施例3)プロピルアルコールの水分含有率を5.0wt%とした。その他の条件は、実施例2と同様である。
(実施例4)プロピルアルコールの水分含有率を7.0wt%とした。その他の条件は、実施例2と同様である。
(実施例5)酸化剤の濃度を65wt%とした。その他の条件は、実施例1と同様である。
【0024】
(実施例6)導電性ポリマー層をコンデンサ素子(1)に形成する工程において、p−トルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤、エチルアルコールを溶媒とする濃度が55wt%の酸化剤溶液と、3,4−エチレンジオキシチオフェンとからなる混合液をコンデンサ素子(1)に含浸させた。溶媒として用いたエチルアルコールの水分含有率は2.0wt%以下である。
【0025】
(実施例7)酸化剤の濃度を60wt%とした。その他の条件は、実施例6と同様である。
(実施例8)エチルアルコールの水分含有率を5.0wt%とした。その他の条件は、実施例7と同様である。
(実施例9)エチルアルコールの水分含有率を7.0wt%とした。その他の条件は、実施例7と同様である。
(実施例10)酸化剤の濃度を65wt%とした。その他の条件は、実施例6と同様である。
【0026】
(従来例1)導電性ポリマー層をコンデンサ素子(1)に形成する工程において、p−トルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤、ブチルアルコールを溶媒とする濃度が55wt%の酸化剤溶液と、3,4−エチレンジオキシチオフェンとからなる混合液をコンデンサ素子(1)に含浸させた。溶媒として用いたブチルアルコールの水分含有率は2.0wt%以下である。
【0027】
(従来例2) ブチルアルコールの水分含有率は5.0wt%とした。その他の条件は、従来例1と同様である。
(従来例3) ブチルアルコールの水分含有率は7.0wt%とした。その他の条件は、従来例1と同様である。
【0028】
表1に、実施例1乃至10、及び従来例1乃至3の製造方法により製造された固体電解コンデンサの電気特性値を示す。各製造方法ごとに20個の固体電解コンデンサをした。電気特性値はこの平均値である。表2において、BuOHはブチルアルコール、PrOHはプロピルアルコール、EtOHはエチルアルコールを意味する。また、Capは静電容量、tanδは誘電損失、ESRは等価直列抵抗、LCは漏れ電流を意味する。静電容量及び誘電損失は、120Hzで規定の交流電圧を固体電解コンデンサに印加して測定した。等価直列抵抗は、100kHzで規定の交流電圧を固体電解コンデンサに印加して測定した。漏れ電流は、定格の直流電圧を固体電解コンデンサに印加して2分経過後の値を測定した。
【0029】
【表1】
Figure 0003970063
【0030】
表2に、酸化剤濃度が55wt%以上の領域における、ブチルアルコール、プロピルアルコール、エチルアルコールを溶媒として用いた酸化剤溶液の粘度を示す。なお、ブチルアルコールを溶媒をした場合における、酸化剤濃度が65wt%である場合の粘度はあまりに大きく(少なくとも1100mPa・sよりも大きい)測定不可能であった。
【0031】
【表2】
Figure 0003970063
【0032】
表2から、化学重合における酸化剤溶液の溶媒にプロピルアルコール又はエチルアルコールを用いることによって、酸化剤濃度55wt%以上の領域において溶液の粘度が大幅に低減することが理解できる。酸化剤濃度が55wt%における、各溶媒を用いた場合の溶液の粘度に注目すると、ブチルアルコールの場合が190mPa・sであるのに対して、プロピルアルコールの場合は100mPa・s、エチルアルコールの場合は51mPa・sとなっている。
【0033】
一方、表1における従来例1、実施例1及び6に注目すると、酸化剤の溶媒にブチルアルコールを使用した場合には、固体電解コンデンサの誘電損失が3.7%、等価直列抵抗が29mΩであるのに対して、酸化剤の溶媒にプロピルアルコールを使用した場合には、誘電損失が2.6%、等価直列抵抗が26mΩとなり、エチルアルコールを使用した場合には、誘電損失が2.6%、等価直列抵抗が25mΩとなる。
【0034】
このように、本発明によれば、酸化剤溶液の溶媒にプロピルアルコール又はエチルアルコールを用いれば、ブチルアルコールを用いた場合と比較して、酸化剤濃度55wt%以上の領域において溶液の粘度が低減することに加えて、固体電解コンデンサの誘電損失及び等価直列抵抗が低減する効果が得られることが理解できる。
【0035】
次に、表1において、プロピルアルコール、エチルアルコールを酸化剤溶液の溶媒として用いた場合における、酸化剤の濃度変化に対する電気特性値の変化に注目する。プロピルアルコールを溶媒にしており、同じ水分含有率で酸化剤の濃度が異なる実施例である、実施例1、実施例2及び実施例5を比較すると、誘電損失、等価直列抵抗、及び漏れ電流のいずれも、濃度増加に従って低下することが理解できる。
【0036】
表3に、より詳細に、酸化剤濃度変化に対する固体電解コンデンサの等価直列抵抗の変化を示す。表中の数値の単位は、mΩである。は図3は、表3をグラフ化したものである。酸化剤濃度が40、45、及び50wt%の場合の固体電解コンデンサは、上記の実施例に即して製造され、等価直列抵抗が測定されている。溶媒の水分含有量は全て2.0wt%である。
【0037】
【表3】
Figure 0003970063
【0038】
表3及び図3から、溶媒がプロピルアルコール又はエチルアルコールであるいずれの場合でも、酸化剤濃度が55wt%である点を境にして、酸化剤濃度に対する等価直列抵抗の変化の様子が大きく異なることが理解できる。すなわち、酸化剤濃度の変化に対して、酸化剤濃度が55wt%未満の場合には、等価直列抵抗はゆるやかに低下するが、酸化剤濃度が55wt%以上になると、等価直列抵抗が劇的に低下することが理解できる。特に、酸化剤の濃度が55%〜60%の領域で変化が急である。
【0039】
このように、本発明の固体電解コンデンサの製造方法によれば、充分実用的な酸化剤溶液の粘度を保ちつつ、酸化剤濃度を増加でき、その結果、固体電解コンデンサの等価直列抵抗を劇的に低減することができる。
【0040】
次に、表1において、プロピルアルコール、エチルアルコールを酸化剤溶液の溶媒として用いた場合における、溶媒の濃度変化に対する電気特性値の変化に注目する。プロピルアルコールを溶媒にしており、同じ酸化剤濃度(60wt%)で溶媒の水分含有率が異なる実施例である、実施例2乃至実施例4を比較すると、誘電損失及び等価直列抵抗が、水分含有率の減少に従って低下することが理解できる。
【0041】
表4に、より詳細に、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率に対する固体電解コンデンサの等価直列抵抗の値を示す。表中の数値の単位は、mΩである。図4は、表4をグラフ化したものである。水分含有率が10wt%の場合の固体電解コンデンサは、上記の実施例に即して製造され、等価直列抵抗が測定されている。酸化剤濃度は全て60wt%である。
【0042】
【表4】
Figure 0003970063
【0043】
表4及び図4から、溶媒がプロピルアルコール又はエチルアルコールである、いずれの場合でも、水分含有率の低下に伴って等価直列抵抗も低下すること、水分含有率が5.0wt%以下になると等価直列抵抗はほとんど変化しないことが理解できる(表1から誘電損失も同様に変化しないことが理解できる)。すなわち、導電性ポリマー形成工程において、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率を5.0wt%以下とすると、固体電解コンデンサの等価直列抵抗及び誘電損失の値を、低く且つ一定に維持することができることがわかる。
【0044】
また、表1に注目すると、導電性ポリマー形成工程において、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率が5.0wt%より高くなると、固体電解コンデンサの静電容量の低下が生ずることが理解できる(実施例4及び9)。このような事からも、導電性ポリマー形成工程において、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率を5.0wt%以下とするのが好ましいことが理解できる。
【0045】
上記実施形態及び実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態及び実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻回型のコンデンサ素子の概要図である。
【図2】巻回型のコンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサの断面図である。
【図3】酸化剤溶液の酸化剤濃度に対する、本発明を用いて製造された固体電解コンデンサの等価直列抵抗の値を示すグラフである。
【図4】酸化剤溶液の溶媒の水分含有率に対する、本発明を用いて製造された固体電解コンデンサの等価直列抵抗の値を示すグラフである。
【符号の説明】
(1) コンデンサ素子
(2) 陽極箔
(3) 陰極箔
(4) セパレータ
(5) 巻回部
(9) 陽極リード線
(10) 陰極リード線
(11) 金属製ケース
(14) 陽極電極端子
(15) 陰極電極端子

Claims (2)

  1. モノマーと酸化剤溶液の混合液をコンデンサ素子(1)に含浸させることにより、又はモノマー溶液と酸化剤溶液をコンデンサ素子(1)に含浸させることにより、モノマーと酸化剤を重合反応させて導電性ポリマー層をコンデンサ素子(1)に形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法において、
    酸化剤溶液の溶媒は、エチルアルコール、プロピルアルコール、又はこれらの混合物と水分を含み、
    酸化剤の濃度は、55wt%以上であり、
    酸化剤溶液の溶媒の水分含有率は、2.0〜5 . 0wt%であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 酸化剤の濃度は、55〜65wt%である請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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