JP2003272953A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

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JP2003272953A JP2002068156A JP2002068156A JP2003272953A JP 2003272953 A JP2003272953 A JP 2003272953A JP 2002068156 A JP2002068156 A JP 2002068156A JP 2002068156 A JP2002068156 A JP 2002068156A JP 2003272953 A JP2003272953 A JP 2003272953A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化剤溶液の粘度を実用可能な程度に維持
し、且つ酸化剤の濃度を従来よりも高くでき、等価直列
抵抗を低下させる固体電解コンデンサの製造方法を提供
する。 【解決手段】モノマーと酸化剤溶液の混合液をコンデン
サ素子1に含浸させることにより、又はモノマー溶液と
酸化剤溶液をコンデンサ素子1に含浸させることによ
り、導電性ポリマー層をコンデンサ素子1に形成する工
程を含む固体電解コンデンサの製造方法において、酸化
剤溶液の溶媒は、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、又はこれらの混合物であり、酸化剤の濃度を55w
t%以上とする。これにより、従来方法よりも酸化剤溶
液の粘度を低下させつつ、酸化剤の濃度を増すことがで
き、製造される固体電解コンデンサの電気特性を向上さ
せることができる。さらに、酸化剤の濃度を55〜65
wt%とすると、また、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率
を5.0wt%以下とすると好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性ポリマー層
を固体電解質層とする固体電解コンデンサの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】固体電解質層を用いた固体電解コンデン
サは、小型且つ大容量であることに加えて、等価直列抵
抗が低いことから電子機器に広く使用されている。特
に、固体電解質層に導電性ポリマーを用いた固体電解コ
ンデンサは、二酸化マンガンやTCNQ錯体を用いたも
のと比較して等価直列抵抗が低い特徴を有しており、近
年生産数が増加している。一般に、固体電解コンデンサ
は、表面に誘電体酸化被膜が形成された弁金属の陽極体
を有するコンデンサ素子を具えている。導電性ポリマー
層は、この誘電体酸化被膜上に形成される。導電性ポリ
マー層には、ポリチオフェン系等のポリマー層が用いら
れている。
【0003】コンデンサ素子に導電性ポリマー層を形成
する工程には、電解重合法又は化学重合法が用いられて
いる。電解重合法は、モノマーを電気化学的に反応させ
て導電性ポリマー層を形成する方法であり、化学重合法
は、モノマーと酸化剤を接触させることにより重合反応
させて導電性ポリマー層を形成する方法である。
【0004】従来から、化学重合法を用いてコンデンサ
素子に導電性ポリマー層を形成する工程では、スルホン
酸系金属塩等を酸化剤とする酸化剤溶液と、チオフェン
系等のモノマーとを混合して混合液を作製し、該混合液
をコンデンサ素子に含浸させた後、コンデンサ素子を乾
燥させることによって、導電性ポリマー層をコンデンサ
素子に形成していた。または、コンデンサ素子をモノマ
ー溶液と酸化剤溶液に浸漬し、乾燥することを繰り返す
ことによって、導電性ポリマー層をコンデンサ素子に形
成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記工程においては、
酸化剤溶液における酸化剤濃度が高くなるほど、導電性
ポリマーの重合効率が向上して、導電性ポリマー層の電
気伝導度が高くなって固体電解コンデンサの等価直列抵
抗が低下することが知られている。一方、酸化剤の濃度
が高くなるにつれて酸化剤溶液の粘度は高くなる。従来
より、酸化剤の溶媒にはブチルアルコールが広く使用さ
れているが、ブチルアルコールを溶媒とする酸化剤溶液
は、酸化剤の濃度が55wt%を越えると粘度が急激に
上昇する。従って、導電性ポリマー層の形成工程での酸
化剤溶液の取り扱いが極めて困難になるために、55w
t%以上の酸化剤濃度の酸化剤溶液はほとんど使用され
ていなかった。
【0006】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものである。本発明は、化学重合で使用する
酸化剤溶液の粘度を製造工程で取り扱い可能な程度に維
持し、且つ酸化剤の濃度を従来よりも高くすることが可
能な固体電解コンデンサの製造方法であって、従来より
も固体電解コンデンサの等価直列抵抗を低下させる固体
電解コンデンサの製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決する為の手段】本発明の固体電解コンデン
サは、モノマーと酸化剤溶液の混合液をコンデンサ素子
(1)に含浸させることにより、又はモノマー溶液と酸化
剤溶液をコンデンサ素子(1)に含浸させることにより、
モノマーと酸化剤を重合反応させて導電性ポリマー層を
コンデンサ素子(1)に形成する工程を含む固体電解コン
デンサの製造方法において、酸化剤溶液の溶媒は、エチ
ルアルコール、プロピルアルコール、又はこれらの混合
物であり、酸化剤の濃度は、55wt%以上であること
を特徴とする。
【0008】本発明の固体電解コンデンサは、上記の構
成に加えて、酸化剤の濃度を、55〜65wt%とする
ものである。さらに、本発明の固体電解コンデンサは、
上記の構成に加えて、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率
を、5.0wt%以下とするものである。
【0009】
【作用及び効果】エチルアルコール及びプロピルアルコ
ールは、ブチルアルコールと比較して粘度が低く、さら
にスルホン酸系金属塩等の酸化剤に対する溶解度が高
い。従って、これら又はこれらの混合物を酸化剤溶液の
溶媒として使用すれば、同じ酸化剤濃度における酸化剤
溶液の粘度は、ブチルアルコールを溶媒とした酸化剤溶
液よりもかなり低くなる。従って、導電性ポリマー形成
工程において、酸化剤溶液の取り扱いが容易になる。ま
た、従来よりも酸化剤濃度を高くすることにより、導電
性ポリマー層の電気伝導度を向上させ、固体電解コンデ
ンサの等価直列抵抗を低下させることができる。
【0010】さらに、本発明の発明者の研究により、導
電性ポリマー形成工程で酸化剤の溶媒にエチルアルコー
ル、プロピルアルコール、又はこれらの混合物を使用す
ると、酸化剤濃度に対する等価直列抵抗及び誘電損失
は、酸化剤濃度55wt%以上で劇的に低減することが
確認された。従って、導電性ポリマー形成工程で、酸化
剤濃度を55wt%以上とすることで、固体電解コンデ
ンサの等価直列抵抗及び誘電損失を効果的に低減するこ
とができる。なお、導電性ポリマー形成工程において、
酸化剤溶液を容易に取り扱い可能とするために、酸化剤
の濃度を55〜65wt%として、粘度を最高でも70
0mPa程度とするのが好ましい。
【0011】さらに、本発明の発明者の研究により、酸
化剤溶液の溶媒に含まれる水分量が増すと、固体電解コ
ンデンサの等価直列抵抗等の電気的特性に悪影響が生ず
ることが確認された。より具体的には、酸化剤溶液の溶
媒の水分含有率が5.0wt%以下の範囲では、等価直
列抵抗及び誘電損失はほぼ一定の値であるが、水分含有
率が5.0wt%を超えると等価直列抵抗及び誘電損失
が増加することが確認された。従って、導電性ポリマー
形成工程において、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率を
5.0wt%以下とすることにより、固体電解コンデン
サの等価直列抵抗及び誘電損失を低減することができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】巻回型のコンデンサ素子を具え
る、縦型且つチップ型の固体電解コンデンサの製造に、
本発明の方法を適用した実施形態について説明する。本
発明は、本実施形態に限定されることはなく、化学重合
法によって導電性ポリマー層を形成する固体電解コンデ
ンサの製造方法に広く適用することができる。例えば、
巻回型のコンデンサ素子は、弁金属の焼結体や単板等を
ベースに作製されたものであってよく、固体電解コンデ
ンサの形状は、チップ型ではなくラジアルリード型であ
ってもよい。
【0013】図1は、本発明の製造方法により製造され
る固体電解コンデンサが有する、巻回型のコンデンサ素
子(1)の概要図である。巻回型のコンデンサ素子(1)は、
アルミニウム、タンタル、ニオブ、又はチタン等の、エ
ッチング処理された弁金属の箔の表面に誘電体酸化被膜
が形成された陽極箔(2)と、金属製の(通常、弁金属が使
用される)陰極箔(3)とを具えており、帯状の陽極箔(2)
と陰極箔(3)とを、帯状の絶縁性のセパレータ(4)を介し
て巻回して作製された巻回部(5)を具える。該巻回部(5)
の側面には巻止めテープ(6)が貼られて、型崩れが防止
される。陽極箔(2)及び陰極箔(3)には、それぞれリード
タブ端子(7)(8)が接合されており、これらリードタブ端
子(7)(8)を介して、陽極リード線(9)が陽極箔(2)の非酸
化部分と、陰極リード線(10)が陰極箔(3)とそれぞれ電
気的に接続している。
【0014】図2は、上記のコンデンサ素子(1)を用い
た、縦型且つチップ型の固体電解コンデンサの断面図で
ある。本図では、コンデンサ素子(1)断面を簡略化して
示している。コンデンサ素子(1)は、外装を構成する有
底筒状のアルミニウム等の金属製ケース(11)に収納され
ている。コンデンサ素子(1)の下部(リード線(9)(10)が
位置する側)には、金属製ケース(11)の開口を塞ぐ、ブ
チルゴム製の封口ゴム(12)が配置される。開口の封止と
封口ゴム(12)の固定と行うために、開口近くの金属製ケ
ース(11)の側壁が横絞り処理され、金属製ケース(11)の
上端部が内側へカール処理されている。
【0015】金属製ケース(11)の下端には、蓋状のプラ
スチック製の座板(13)が配置される。陽極リード線(9)
及び陰極リード線(10)は座板(13)を貫通し、これらリー
ド線(9)(10)の座板(13)から突出する部分は、成型加工
されてそれぞれ陽極電極端子(14)と陰極電極端子(15)に
なる。これら電極端子(14)(15)は、薄平板状の形状を有
し、座板(13)下面上に配置される。
【0016】以下、上記固体電解コンデンサの製造方法
について説明する。まず、図1のようにコンデンサ素子
(1)を作製した後に、陽極箔(2)の切り口表面に誘電体酸
化被膜を形成する化成処理工程がなされる。陽極箔(2)
は、大面積の弁金属(本実施例ではアルミニウム)の箔を
酸化処理し、これを切断して作製されるので、切り口表
面には誘電体酸化被膜が形成されていないからである。
該化成処理工程の後、誘電体酸化被膜の構造及び特性を
安定化させるために、コンデンサ素子(1)を280℃で
熱処理工程が行われる。
【0017】次に、化学重合により、コンデンサ素子
(1)の陽極箔(2)と陰極箔(3)の間に、導電性ポリマー層
(図示せず)を形成する工程が行われる。重合されるモ
ノマーと酸化剤溶液の混合液にコンデンサ素子(1)を浸
漬して、コンデンサ素子(1)に該混合液を含浸させた後
に、コンデンサ素子(1)を引き上げて乾燥させることに
より陽極箔(2)と陰極箔(3)の間に導電性ポリマー層が形
成される。なお、この浸漬及び乾燥工程は、繰り返し行
ってもよい。モノマーには、ポリチオフェン系の機能性
高分子材、ポリピロール系又はポリアニリン系等の機能
性高分子材が使用され、酸化剤には、スルホン酸系金属
塩、特にスルホン酸系第二鉄塩が使用される。酸化剤の
溶媒には、エチルアルコール又はプロピルアルコールが
使用される。さらに、これらの混合物を使用してもよ
い。
【0018】本実施形態及び後述の実施例では、モノマ
ーと酸化剤溶液の混合液にコンデンサ素子(1)を浸漬し
た後に、コンデンサ素子(1)を乾燥させることにより導
電性ポリマー層を形成したが、酸化剤溶液に浸漬するこ
とによりコンデンサ素子(1)に酸化剤溶液を含浸させた
後、モノマー溶液に浸漬することによりコンデンサ素子
(1)にモノマー溶液を含浸させて、コンデンサ素子(1)を
乾燥することを繰り返すことによって、導電性ポリマー
層をコンデンサ素子に形成してもよい。
【0019】陽極箔(2)と陰極箔(3)の間に導電性ポリマ
ー層が形成する工程の後、コンデンサの外装工程が行わ
れる。まず、コンデンサ素子(1)を金属製ケース(11)に
収納する。そして、コンデンサ素子(1)の下部に、ブチ
ルゴム製の封口ゴム(12)を取り付け、開口近くの金属製
ケース(11)の側壁を横絞り処理する。さらに、金属製ケ
ース(11)の上端部を内側へカール処理して、開口の封止
と封口ゴム(12)の固定を行う。
【0020】次に、金属製ケース(11)の開口上に、陽極
リード線(9)及び陰極リード線(10)が挿通する孔が開設
された蓋状のプラスチック製の座板(13)を配置する。そ
して、座板(14)から突出する陽極リード線(9)及び陰極
リード線(10)をプレス加工することにより、平板状の陽
極電極端子(14)及び陰極電極端子(15)を形成する。最後
に、陽極電極端子(14)及び陰極電極端子(15)の下端部を
屈曲し、これらを座板(13)上に配置して図2に示すよう
な固体電解コンデンサが完成する。
【0021】本発明の上記実施形態に即して、図2に示
す固体電解コンデンサを実際に製造した。さらに、本発
明の効果を明確にすべく、従来方法を用いても固体電解
コンデンサを製造した。以下、この結果を説明すること
により本発明の効果を具体的に示す。下記の実施例及び
従来例において、製造された固体電解コンデンサの定格
電圧は4Vであり、容量は150μFである。また、該
固体電解コンデンサの直径は6.3mmであり、高さは
6.0mmである。
【0022】(実施例1)導電性ポリマー層をコンデン
サ素子(1)に形成する工程において、p−トルエンスル
ホン酸第二鉄を酸化剤、プロピルアルコールを溶媒とす
る濃度が55wt%の酸化剤溶液と、3,4−エチレン
ジオキシチオフェンとからなる混合液をコンデンサ素子
(1)に含浸させた。 溶媒として用いたプロピルアルコー
ルの水分含有率は2.0wt%以下である。
【0023】(実施例2)酸化剤の濃度を60wt%と
した。その他の条件は、実施例1と同様である。 (実施例3)プロピルアルコールの水分含有率を5.0
wt%とした。その他の条件は、実施例2と同様であ
る。 (実施例4)プロピルアルコールの水分含有率を7.0
wt%とした。その他の条件は、実施例2と同様であ
る。 (実施例5)酸化剤の濃度を65wt%とした。その他
の条件は、実施例1と同様である。
【0024】(実施例6)導電性ポリマー層をコンデン
サ素子(1)に形成する工程において、p−トルエンスル
ホン酸第二鉄を酸化剤、エチルアルコールを溶媒とする
濃度が55wt%の酸化剤溶液と、3,4−エチレンジ
オキシチオフェンとからなる混合液をコンデンサ素子
(1)に含浸させた。溶媒として用いたエチルアルコール
の水分含有率は2.0wt%以下である。
【0025】(実施例7)酸化剤の濃度を60wt%と
した。その他の条件は、実施例6と同様である。 (実施例8)エチルアルコールの水分含有率を5.0w
t%とした。その他の条件は、実施例7と同様である。 (実施例9)エチルアルコールの水分含有率を7.0w
t%とした。その他の条件は、実施例7と同様である。 (実施例10)酸化剤の濃度を65wt%とした。その
他の条件は、実施例6と同様である。
【0026】(従来例1)導電性ポリマー層をコンデン
サ素子(1)に形成する工程において、p−トルエンスル
ホン酸第二鉄を酸化剤、ブチルアルコールを溶媒とする
濃度が55wt%の酸化剤溶液と、3,4−エチレンジ
オキシチオフェンとからなる混合液をコンデンサ素子
(1)に含浸させた。溶媒として用いたブチルアルコール
の水分含有率は2.0wt%以下である。
【0027】(従来例2) ブチルアルコールの水分含
有率は5.0wt%とした。その他の条件は、従来例1
と同様である。 (従来例3) ブチルアルコールの水分含有率は7.0w
t%とした。その他の条件は、従来例1と同様である。
【0028】表1に、実施例1乃至10、及び従来例1
乃至3の製造方法により製造された固体電解コンデンサ
の電気特性値を示す。各製造方法ごとに20個の固体電
解コンデンサをした。電気特性値はこの平均値である。
表2において、BuOHはブチルアルコール、PrOH
はプロピルアルコール、EtOHはエチルアルコールを
意味する。また、Capは静電容量、tanδは誘電損
失、ESRは等価直列抵抗、LCは漏れ電流を意味す
る。静電容量及び誘電損失は、120Hzで規定の交流
電圧を固体電解コンデンサに印加して測定した。等価直
列抵抗は、100kHzで規定の交流電圧を固体電解コ
ンデンサに印加して測定した。漏れ電流は、定格の直流
電圧を固体電解コンデンサに印加して2分経過後の値を
測定した。
【0029】
【表1】
【0030】表2に、酸化剤濃度が55wt%以上の領
域における、ブチルアルコール、プロピルアルコール、
エチルアルコールを溶媒として用いた酸化剤溶液の粘度
を示す。なお、ブチルアルコールを溶媒をした場合にお
ける、酸化剤濃度が65wt%である場合の粘度はあま
りに大きく(少なくとも1100mPa・sよりも大き
い)測定不可能であった。
【0031】
【表2】
【0032】表2から、化学重合における酸化剤溶液の
溶媒にプロピルアルコール又はエチルアルコールを用い
ることによって、酸化剤濃度55wt%以上の領域にお
いて溶液の粘度が大幅に低減することが理解できる。酸
化剤濃度が55wt%における、各溶媒を用いた場合の
溶液の粘度に注目すると、ブチルアルコールの場合が1
90mPa・sであるのに対して、プロピルアルコール
の場合は100mPa・s、エチルアルコールの場合は
51mPa・sとなっている。
【0033】一方、表1における従来例1、実施例1及
び6に注目すると、酸化剤の溶媒にブチルアルコールを
使用した場合には、固体電解コンデンサの誘電損失が
3.7%、等価直列抵抗が29mΩであるのに対して、
酸化剤の溶媒にプロピルアルコールを使用した場合に
は、誘電損失が2.6%、等価直列抵抗が26mΩとな
り、エチルアルコールを使用した場合には、誘電損失が
2.6%、等価直列抵抗が25mΩとなる。
【0034】このように、本発明によれば、酸化剤溶液
の溶媒にプロピルアルコール又はエチルアルコールを用
いれば、ブチルアルコールを用いた場合と比較して、酸
化剤濃度55wt%以上の領域において溶液の粘度が低
減することに加えて、固体電解コンデンサの誘電損失及
び等価直列抵抗が低減する効果が得られることが理解で
きる。
【0035】次に、表1において、プロピルアルコー
ル、エチルアルコールを酸化剤溶液の溶媒として用いた
場合における、酸化剤の濃度変化に対する電気特性値の
変化に注目する。プロピルアルコールを溶媒にしてお
り、同じ水分含有率で酸化剤の濃度が異なる実施例であ
る、実施例1、実施例2及び実施例5を比較すると、誘
電損失、等価直列抵抗、及び漏れ電流のいずれも、濃度
増加に従って低下することが理解できる。
【0036】表3に、より詳細に、酸化剤濃度変化に対
する固体電解コンデンサの等価直列抵抗の変化を示す。
表中の数値の単位は、mΩである。は図3は、表3をグ
ラフ化したものである。酸化剤濃度が40、45、及び
50wt%の場合の固体電解コンデンサは、上記の実施
例に即して製造され、等価直列抵抗が測定されている。
溶媒の水分含有量は全て2.0wt%である。
【0037】
【表3】
【0038】表3及び図3から、溶媒がプロピルアルコ
ール又はエチルアルコールであるいずれの場合でも、酸
化剤濃度が55wt%である点を境にして、酸化剤濃度
に対する等価直列抵抗の変化の様子が大きく異なること
が理解できる。すなわち、酸化剤濃度の変化に対して、
酸化剤濃度が55wt%未満の場合には、等価直列抵抗
はゆるやかに低下するが、酸化剤濃度が55wt%以上
になると、等価直列抵抗が劇的に低下することが理解で
きる。特に、酸化剤の濃度が55%〜60%の領域で変
化が急である。
【0039】このように、本発明の固体電解コンデンサ
の製造方法によれば、充分実用的な酸化剤溶液の粘度を
保ちつつ、酸化剤濃度を増加でき、その結果、固体電解
コンデンサの等価直列抵抗を劇的に低減することができ
る。
【0040】次に、表1において、プロピルアルコー
ル、エチルアルコールを酸化剤溶液の溶媒として用いた
場合における、溶媒の濃度変化に対する電気特性値の変
化に注目する。プロピルアルコールを溶媒にしており、
同じ酸化剤濃度(60wt%)で溶媒の水分含有率が異な
る実施例である、実施例2乃至実施例4を比較すると、
誘電損失及び等価直列抵抗が、水分含有率の減少に従っ
て低下することが理解できる。
【0041】表4に、より詳細に、酸化剤溶液の溶媒の
水分含有率に対する固体電解コンデンサの等価直列抵抗
の値を示す。表中の数値の単位は、mΩである。図4
は、表4をグラフ化したものである。水分含有率が10
wt%の場合の固体電解コンデンサは、上記の実施例に
即して製造され、等価直列抵抗が測定されている。酸化
剤濃度は全て60wt%である。
【0042】
【表4】
【0043】表4及び図4から、溶媒がプロピルアルコ
ール又はエチルアルコールである、いずれの場合でも、
水分含有率の低下に伴って等価直列抵抗も低下するこ
と、水分含有率が5.0wt%以下になると等価直列抵
抗はほとんど変化しないことが理解できる(表1から誘
電損失も同様に変化しないことが理解できる)。すなわ
ち、導電性ポリマー形成工程において、酸化剤溶液の溶
媒の水分含有率を5.0wt%以下とすると、固体電解
コンデンサの等価直列抵抗及び誘電損失の値を、低く且
つ一定に維持することができることがわかる。
【0044】また、表1に注目すると、導電性ポリマー
形成工程において、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率が
5.0wt%より高くなると、固体電解コンデンサの静
電容量の低下が生ずることが理解できる(実施例4及び
9)。このような事からも、導電性ポリマー形成工程に
おいて、酸化剤溶液の溶媒の水分含有率を5.0wt%
以下とするのが好ましいことが理解できる。
【0045】上記実施形態及び実施例の説明は、本発明
を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載
の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきでは
ない。又、本発明の各部構成は上記実施形態及び実施例
に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々
の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻回型のコンデンサ素子の概要図である。
【図2】巻回型のコンデンサ素子を用いた固体電解コン
デンサの断面図である。
【図3】酸化剤溶液の酸化剤濃度に対する、本発明を用
いて製造された固体電解コンデンサの等価直列抵抗の値
を示すグラフである。
【図4】酸化剤溶液の溶媒の水分含有率に対する、本発
明を用いて製造された固体電解コンデンサの等価直列抵
抗の値を示すグラフである。
【符号の説明】
(1) コンデンサ素子 (2) 陽極箔 (3) 陰極箔 (4) セパレータ (5) 巻回部 (9) 陽極リード線 (10) 陰極リード線 (11) 金属製ケース (14) 陽極電極端子 (15) 陰極電極端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉満 聡 佐賀県杵島郡大町町大字福母217番地 佐 賀三洋工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モノマーと酸化剤溶液の混合液をコンデ
    ンサ素子(1)に含浸させることにより、又はモノマー溶
    液と酸化剤溶液をコンデンサ素子(1)に含浸させること
    により、モノマーと酸化剤を重合反応させて導電性ポリ
    マー層をコンデンサ素子(1)に形成する工程を含む固体
    電解コンデンサの製造方法において、 酸化剤溶液の溶媒は、エチルアルコール、プロピルアル
    コール、又はこれらの混合物であり、酸化剤の濃度は、
    55wt%以上であることを特徴とする固体電解コンデ
    ンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化剤の濃度は、55〜65wt%であ
    る請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化剤溶液の溶媒の水分含有率は、5.
    0wt%以下である請求項1又は請求項2に記載の固体
    電解コンデンサの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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