JP2010191023A - 反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、干渉むらのような色味発生がなく、耐擦傷性や密着性に優れ、特に耐光性試験後も優れた耐擦傷性や密着性を有する反射防止フィルム、これを用いた偏光板、画像表示装置を提供することにある。
【解決手段】透明フィルム基材上に低屈折率層を含む反射防止フィルムにおいて、前記低屈折率層が少なくとも(a)エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、(b)スルホニウム塩系酸発生剤、(c)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞であるシリカ微粒子、(d)電離放射線硬化型樹脂、(e)光ラジカル開始剤、(f)カーボン材料からなり、前記カーボン材料の含有量が、前記低屈折率層100質量部に対して、0.1〜10質量部であることを特徴とする反射防止フィルムを用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置に関し、より詳しくは耐擦傷性、密着性に優れた反射防止フィルムに関する。
反射防止フィルムは、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、多層薄膜の光干渉によって、反射率を低減する機能を有しており、ディスプレイの最表面に配置される。
一般的に、反射防止は透明基材上に直接、または他の層を介して、下層よりも屈折率の低い低屈折率層を形成することで行われている。また、光学物品の表面に傷が付くと、ひいては表示パネルの視認性を悪くするため、反射防止フィルムにハード性能を付与することが行われている。更に、プラスチックからなる光学物品は絶縁性であるために、静電気等により帯電し、表面にほこり等が付着することにより、表示パネルの視認性が悪くなることを防ぐ目的で、帯電防止性能を付与することが求められている。
特許文献1及び特許文献2には、これらのハード性能及び帯電防止性能を付与する方法として、透明フィルム基材上にハードコート層を形成し、その上に金属酸化物を含有させた帯電防止層を形成し、更にその上に下層よりも屈折率の低い低屈折率層を形成して、反射防止フィルムを作製する方法が記載されている。
しかしながら、この方法では帯電防止性能を高める効果は認められるものの、帯電防止層と低屈折率層の屈折率差によって反射スペクトルがV字形状になり、可視光領域において短波長域や長波長域の反射率が高くなることで、反射防止フィルムに色味が発生するという問題があった。
特許文献3には、透明フィルム基材上に金属酸化物を含有させた帯電防止層を形成し、その上にハードコート層を形成し、更にその上に低屈折率層を形成して反射防止フィルムを作製する方法が記載されている。しかしながら、このような層構成にすることによって色味の抑制効果は認められるものの、帯電防止層より表面側に導電性を有さないハードコート層が存在するために、実際には帯電防止性能が不十分であるという問題があった。
特許文献4には、低反射率と高耐久性の両立のためにシリカゾルと含フッ素アクリレート化合物を主成分とする低屈折率層を形成して反射防止フィルムを作製する方法が記載されている。しかしながら、このようなラジカル重合性のUVモノマーからなる低屈折率層は、同じくラジカル重合性のUVモノマーからなるハードコート層との密着性が悪くなる傾向があり、特に、耐光性試験を実施すると大きく密着性が低下するという問題があった。
更に、特許文献5及び6には、帯電防止層と低屈折率層を所謂ゾルゲル法によって形成する方法が記載されている。しかし、ハードコート層との十分な密着性を確保するためには、ハードコート層にアルカリ浸漬などの表面処理を施さねばならず、大掛かりな設備が必要であったり、処理時間が長くかかるために生産性が悪く、大量生産に適さないという欠点があった。
一方、特許文献7には、エポキシ基を有するアルコキシケイ素化合物とコロイダルシリカ、枝部がシリコーンで構成される炭化水素ポリマーと光カチオン重合開始剤からなる感光性樹脂からなる組成物が記載されている。これは、アルコキシケイ素化合物の立体障害が大きく、エポキシ基の架橋密度が上がりにくく硬度の低下を生じる問題があった。
特許文献8には、無機粒子系帯電防止層上にシリカ微粒子と一分子中に一個以上の二重結合基を有する化合物と二個以上のエポキシ又はオキセタン基を有する化合物を主成分とする低反射率層を積層する記載がある。しかし、樹脂同士の架橋やシリカ粒子と樹脂の架橋が進まない為に耐擦傷性試験において、粒子脱落や傷本数の増大で性能が低下するという欠点があった。
特許文献9には、反射防止層にカーボン材料を含み、その含有率が0.5〜10重量%と記載されている。しかし、反射防止層にカーボンを含有するだけでは導電性は確保されるもののバインダー樹脂の架橋が弱くなる、下地との密着性が弱い、等の問題で耐擦傷が弱くなるという欠点があった。
また、近年、PDPやLCDのような画像表示装置は、家庭電化製品としての普及が進むにしたがってディスプレイの使用環境が様々になってきており、低い反射率や高い表面強度のみならず、従来以上に環境変化に対する耐久性、特に耐光性の優れた光学フィルムが求められている。
特開2002−267804号公報 特開2006−35624号公報 特開2005−290230号公報 特開2005−89536号公報 特開2005−199707号公報 特開2005−202389号公報 特開2006−348061号公報 特開2004−117704号公報 特開2003−215307号公報
従って、本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、帯電防止性があり、干渉むらのような色味発生がなく、耐擦傷性や密着性に優れ、特に耐光性試験後も優れた耐擦傷性や密着性を有する反射防止フィルム、これを用いた偏光板、画像表示装置を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.透明フィルム基材上に低屈折率層を含む反射防止フィルムにおいて、前記低屈折率層が少なくとも(a)エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、(b)スルホニウム塩系酸発生剤、(c)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞であるシリカ微粒子、(d)電離放射線硬化型樹脂、(e)光ラジカル開始剤、(f)カーボン材料からなり、前記カーボン材料の含有量が、前記低屈折率層100質量部に対して、0.1〜10質量部であることを特徴とする反射防止フィルム。
2.前記スルホニウム塩系酸発生剤が、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで示されるスルホニウム塩であることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
Figure 2010191023
[一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ水素原子または置換基を表し、R〜Rが同時に水素原子を表すことがなく、一般式(2)中、R〜Rはそれぞれ水素原子または置換基を表し、R〜Rが同時に水素原子を表すことがなく、一般式(3)中、R〜R11はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R〜R11が同時に水素原子を表すことがなく、一般式(4)中、R12〜R17はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R12〜R17が同時に水素原子を表すことがなく、Xは、各々非求核性のアニオン残基を表す。]
3.前記カーボン材料が、少なくともカーボンナノチューブ、フラーレン及びアモルファスカーボンのいずれかであることを特徴とする前記1又は前記2に記載の反射防止フィルム。
4.前記電離放射線硬化型樹脂が、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有することを特徴とする前記1〜3のいずれ1項に記載の反射防止フィルム。
5.前記光ラジカル重合開始剤が、少なくともα−ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン、及びオキシムエステルのいずれかであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
6.前記シリカ微粒子の平均粒子径が、10〜100nmであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを少なくとも一方の面に用いることを特徴とする偏光板。
8.前記1〜6のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、または前記7に記載の偏光板を用いることを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、帯電防止性があり、干渉むらのような色味発生がなく、耐擦傷性や密着性に優れ、特に耐光性試験後も優れた耐擦傷性や密着性を有する反射防止フィルム、これを用いた偏光板、画像表示装置を提供することができる。
光学フィルムの製造装置を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る反射防止フィルムは、低屈折率層が少なくとも(a)エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、(b)スルホニウム塩系酸発生剤、(c)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞であるシリカ微粒子、(d)電離放射線硬化型樹脂、(e)光ラジカル開始剤、(f)カーボン材料からなり、前記カーボン材料の含有量が、前記低屈折率層100質量部に対して、0.1〜10質量部であることを特徴とする。
かかる構成において、アルコキシシランを含むエポキシ架橋部及び電離放射線硬化樹脂が硬度を保ち、エポキシ架橋部とシリカ微粒子との相互的な反応が進行する。そのため、耐擦傷性試験においてもシリカ粒子の脱落や変形が抑えられ、硬度の高い被膜となる。また、エポキシ樹脂を含むことから下地との密着性に優れる。スルホニウム塩系酸発生剤を用いる事で反応性の向上が図られて、より硬度の高い被膜となる。カーボン材料を含む事で帯電防止性を付与する事が出来るが、カーボン材料が添加されることによってバインダー部の被膜硬度が高まる。従って、帯電防止性があり、耐光性試験後も耐擦傷性や密着性に優れ、長期間の過酷な条件下での使用にも耐え得ることができ、生産性に優れる反射防止フィルム、及び偏光板、画像表示装置を提供することができる。
このことは、以下のことによると推察される。
まず、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物は、スルホニウム塩系酸発生剤を開始剤として、カチオン重合されている。よって、形成された低屈折率層には、前記カチオン重合により得られた前記アルコキシシラン化合物が含有されているので、低屈折率層とその下層との密着性が高まると考えられる。
そして、電離放射線硬化型樹脂は、光ラジカル開始剤を開始剤として、ラジカル重合されている。よって、形成された低屈折率層が硬くなっており、耐擦傷性を高めることができると考えられる。また、電離放射線硬化型樹脂は、その原料同士のラジカル重合だけではなく、電離放射線硬化型樹脂の原料と前記シリカ微粒子とも反応して、前記シリカ微粒子の脱落を抑制することができると考えられる。
さらに、前記カーボン材料は、形成された低屈折率層による帯電防止性を高めるだけではなく、前記低屈折率層をより硬くすることができると考えられる。
また、前記シリカ微粒子は、外殻層を有し、内部が多孔質または空洞であるので、形成された低屈折率層の屈折率を好適なものに調整することができ、干渉むらのような色味発生を抑制できると考えられる。
したがって、帯電防止性があり、干渉むらのような色味発生がなく、耐擦傷性や密着性に優れ、特に耐光性試験後も優れた耐擦傷性や密着性を有する反射防止フィルムを提供することができると考えられる。
本発明の一実施形態に係る反射防止フィルムの密着性のレベルは、耐光性試験後のJIS K 5600−5−6に記載のクロスカット法密着試験において、影響を受ける面積が5%以下であるレベルに到達する。
上記クロスカット法密着試験は、例えば、耐光性試験後のフィルムにカッターを用いて縦横1mm幅の傷を11本ずつ入れて1mm四方の正方形を100個作り(クロスカット)、そのクロスカットに市販の接着テープを圧着して3〜5回程度の剥離試験を行い、剥離したマス目個数の平均面積を求める。この面積の比率が小さいほど、密着性が良好で好ましいことを示す。
また、前記透明フィルム基材は、セルロースエステル樹脂、またはセルロースエステル樹脂とアクリル樹脂、更にセルロースエステル樹脂とアクリル樹脂とアクリル粒子を含有することで、帯電防止層に対して更に優れた密着性を有する反射防止フィルムを提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態に係る反射防止フィルムの各要素毎に詳細に説明する。
<低屈折率層>
最初に、本実施形態の低屈折率層について説明する。本実施形態における低屈折率層は、少なくとも(a)エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、(b)スルホニウム塩系酸発生剤、(c)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞であるシリカ微粒子、(d)電離放射線硬化型樹脂、(e)光ラジカル開始剤、(f)カーボン材料を含有し、前記カーボン材料の含有量が、前記低屈折率層100質量部に対して、0.1〜10質量部であることを特徴とする。
低屈折率層とは透明フィルム基材の屈折率よりも低い層をいう。具体的な屈折率としては、23℃、波長550nmで1.20〜1.45の範囲のものが好ましく、1.25〜1.40の範囲のものが更に好ましく、1.30〜1.37の範囲のものが特に好ましい。また、低屈折率層の膜厚は、光学干渉層としての特性から、5nm〜0.5μmが好ましく、10nm〜0.3μmがより好ましく、30nm〜0.2μmであることが更に好ましい。
(エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物)
本実施形態において、低屈折率層には、少なくとも下記一般式(5)で表される有機珪素化合物もしくはその加水分解物或いはその重縮合物を含有することが好ましい。
18 SiX 4−m (5)
式(5)中、R18はエポキシ基を有する置換基、Xは水酸基または加水分解可能な置換基であり、mは0〜3の整数である。
一般式(5)で示されるエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物のR18は特に制限はないが、例えば2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、3−グリシドキシブチル基等のグリシドキシC1〜C4アルキル基、好ましくはグリシドキシC1〜C3アルキル基、グリシジル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘプチル)エチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチル基等のオキシラン基を持ったC5〜C8のシクロアルキル基で置換されたC1〜C5アルキル基が挙げられる。これらの中で2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましい。これらの置換基R2を有する一般式(5)の化合物として用いることのできる化合物の好ましい具体例として、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4)−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上使用してもよい。
一般式(5)で示されるエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物のXは特に制限はないが、例えばメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。この中でも、メトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
本実施形態で使用されるアルコキシシラン化合物は、例えば、特開平10−324749号公報、特開平6−298940号公報に記載の方法で製造する事が出来る。特開2006−348061号公報に記載されているように塩基触媒下で、一般式(5)のアルコキシシラン化合物を(共)縮合させて得る事も出来る。その場合、(共)縮合を促進するため、必要に応じ水を添加することができる。水の添加量は、反応混合物全体のアルコキシ基1モルに対し、通常0.05〜1.5モル、好ましくは0.1〜1.2モルである。縮合反応に使用する触媒は塩基性であれば特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機塩基を使用する事が出来る。これらの中でも、特に生成物からの触媒除去が容易である点で無機塩基又はアンモニアが好ましい。触媒の添加量としては、アルコキシシラン化合物の量に対し、通常5×10−4〜7.5質量%、好ましくは1×10−3〜5質量%である。上記縮合反応は、無溶剤または溶剤中で行うことができる。溶剤を用いる場合の溶剤としては、アルコキシシラン化合物を溶解する溶剤であれば特に制限はない。このような溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの非極性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、好ましくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンである。
(スルホニウム塩系酸発生剤)
本実施形態に用いられるスルホニウム塩系酸発生剤としては、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)などに掲載されているあらゆる公知のものを用いることができるが、中でもトリアリールスルホニウム塩が保存安定性が良好であり、かつ、重合性化合物への溶解性が良好であるため、その添加量を容易に増やすことができ、重合性化合物の残留を抑えることができるため好ましい。
これらトリアリールスルホニウム塩タイプの光開始剤としては、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで表されるスルホニウム塩であることが好ましい。
Figure 2010191023
[一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ水素原子または置換基を表し、R〜Rが同時に水素原子を表すことがなく、一般式(2)中、R〜Rはそれぞれ水素原子または置換基を表し、R〜Rが同時に水素原子を表すことがなく、一般式(3)中、R〜R11はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R〜R11が同時に水素原子を表すことがなく、一般式(4)中、R12〜R17はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R12〜R17が同時に水素原子を表すことがなく、Xは、各々非求核性のアニオン残基を表す。]
〜R17で表される置換基としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、デシルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニル基、フェニルチオ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基等を挙げることができる。
は、アニオンを表し、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子、B(C 、R19COO、R20SO 、SbF 、AsF 、PF 、BF 等のアニオンを挙げることができる。ただし、R19及びR20は、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等で置換されていてもよいアルキル基もしくはフェニル基を表す。この中でも、安全性の観点から、B(C 、PF が好ましい。
本実施形態において、硬化性の面で特に好ましいスルホニウム塩の例としては、光重合開始剤としては光照射後にベンゼンを発生しないスルホニウム塩を用いることである。「光照射によりベンゼンを発生しない」とは、実質的にベンゼンを発生しないことを指す。該スルホニウム塩としては、Sと結合するベンゼン環に置換基をもつものであれば上記条件を満たし、例えば前記一般式(1)〜(4)に挙げられるものがある。
一般式(1)〜(4)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式(6)〜(14)で表されるもの(S−1〜S−9)が挙げられるが、この限りでない。
Figure 2010191023
Figure 2010191023
Figure 2010191023
上記化合物は、Bulletin of the Chemical Society of Japan Vol.71 No.11,1998年、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)に記載の光開始剤と同様、公知の方法にて容易に合成することができる。
(電離放射線硬化型樹脂)
電離放射線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性線(以下、活性エネルギー線ともいう。)照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。電離放射線硬化型樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて電離放射線硬化樹脂層が形成される。電離放射線硬化型樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
本実施形態では、前記電離放射線硬化型樹脂が分子中に重合可能な不飽和結合を2個以上有するアクリル系化合物であることが好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、多官能アクリレートが好ましい。該多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。ここで、多官能アクリレートとは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基及び/またはメタクロイルオキシ基を有する化合物である。
多官能アクリレートのモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソボロニルアクリレート等が好ましく挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物類、オキシムエステル類などが用いられる。光重合開始剤の具体例としては、2,2´−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、2−メチル−4´−メチルチオ−2−モリホリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−ブタノン1、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、α−ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなどのアセトフェノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルレタールなどのベンゾイン類、ベンゾフェノン、2,4´−ジクロロベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類などがある。これらの光重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせたり、共融混合物であってもよい。特に、硬化性組成物の安定性や重合反応性等から、α−ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなどのアセトフェノン類及びオキシムエステル類を用いることが好ましい。
(中空シリカ微粒子)
次に、外殻層を有しかつ内部が多孔質または空洞である中空シリカ微粒子について説明する。
外殻層を有しかつ内部が多孔質または空洞である中空シリカ微粒子の具体例としては、(1)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層からなる複合粒子、または(2)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。
なお、空洞粒子は、内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空シリカ微粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは10〜70nmが望ましい。中空シリカ微粒子の粒径は変動係数が1〜40%の単分散であることが好ましい。
本実施形態において、用いられる中空シリカ微粒子の平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。
本実施形態で使用する中空シリカ微粒子の平均粒径は、形成される低屈折率層の透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、透明被膜の膜厚の3/2〜1/10、好ましくは2/3〜1/10が望ましい。これらの中空シリカ微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。
分散媒としては、水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)、及びケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)、プロピレンモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜40nm、好ましくは1〜20nm、更に好ましくは2〜15nmが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することができないことがあり、塗布液成分が容易に複合粒子の内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率化の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、塗布液成分が内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率化の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持できないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率化の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的にはAl、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、Sb、SbO、MoO、ZnO、WO等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF、NaF、NaAlF、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。
シリカ以外の無機化合物としては、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、Sb、SbO、MoO、ZnO、WOとの1種または2種以上を挙げることができる。このような多孔質粒子では、シリカをSiOで表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOx)で表したときのモル比:MOx/SiOが、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。
多孔質粒子のモル比:MOx/SiOが、0.0001未満のものは、得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また多孔質粒子のモル比:MOx/SiOが1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、更に屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
なお、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。
また多孔質物質としては、多孔質粒子で例示した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。具体的に、複合粒子が、シリカ、シリカ以外の無機化合物とからなる場合、以下の第1工程〜第3工程を実施するこれによって中空粒子を製造することができる。
(第1工程:多孔質粒子前駆体の調製)
第1工程では、予め、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質粒子前駆体を調製する。
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができる。なお、アンモニウムのケイ酸塩または有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物等を添加したアルカリ性溶液も含まれる。
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物が用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、W等から選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
これら水溶液の添加と同時に混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類、及びその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度には特に制限はない。また、複合酸化物粒子の製造に際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。
当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO、Al、TiO、またはZrO等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることができる。更に上記の製造方法によって得られた多孔質粒子前駆体分散液をシード粒子分散液としてもよい。
シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整した後、該シード粒子分散液中に上記化合物の水溶液を、アルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。このようにしてシード粒子を用いると、調製する多孔質粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
上記したシリカ原料、及び無機化合物原料は、アルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオン、及びアルミン酸イオン等のオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して粒子に成長したり、またはシード粒子上に析出して粒子成長が起る。従って、粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、シリカに対する無機化合物を酸化物(MOx)に換算し、MOx/SiOのモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質粒子の細孔容積が増大する。しかしながら、モル比が2.0を越えても、多孔質粒子の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、モル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。
空洞粒子を調製する場合、MOx/SiOのモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。
(第2工程:多孔質粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去)
第2工程では、第1工程で得られた多孔質粒子前駆体から、シリカ以外の無機化合物(珪素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質粒子前駆体中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、または、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
なお、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体は、珪素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このように多孔質粒子前駆体から無機化合物(珪素と酸素以外の元素)を除去することにより、一層多孔質で細孔容積の大きい多孔質粒子が得られる。また、多孔質粒子前駆体から無機酸化物(珪素と酸素以外の元素)を除去する量を多くすれば、空洞粒子を調製することができる。
また、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られる、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有するケイ酸液または加水分解性の有機珪素化合物を添加して、シリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜40nm、好ましくは0.5〜15nmの厚さであればよい。なお、シリカ保護膜を形成しても、この工程での保護膜は多孔質であり、厚さが薄いので、上記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することは可能である。
このようなシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、上記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することができる。また、後述するシリカ被覆層を形成する際に、多孔質粒子の細孔が被覆層によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく、後述するシリカ被覆層を形成することができる。なお、除去する無機化合物の量が少ない場合は、粒子が壊れることがないので、必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また、空洞粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことが望ましい。空洞粒子を調製する際には、無機化合物を除去すると、シリカ保護膜と、シリカ保護膜内の溶媒、未溶解の多孔質固形分とからなる空洞粒子の前駆体が得られ、空洞粒子の前駆体に後述の被覆層を形成すると、形成された被覆層が、粒子壁となり空洞粒子が形成される。
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持できる範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多すぎると、シリカ保護膜が厚くなりすぎるので、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。
シリカ保護膜形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、下記の一般式(15)で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、フッ素置換したテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
21 Si(OR224−m (15)
式(15)中、R21とR22は、アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、mは0、1、2または3を表す。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を無機酸化物粒子の表面に沈着させる。
このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子前駆体の分散媒が、水単独、または有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質粒子表面に沈着させる。なお、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
(第3工程:シリカ被覆層の形成)
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体分散液)に、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有する加水分解性の有機珪素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、粒子の表面を加水分解性有機珪素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ被覆層を形成する。
なお、ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
被覆層形成用に使用される有機珪素化合物またはケイ酸液の添加量は、コロイド粒子の表面を十分被覆できる程度であればよく、最終的に得られるシリカ被覆層の厚さが1〜40nm、好ましくは1〜20nmとなるような量で、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中で添加される。またシリカ保護膜を形成した場合はシリカ保護膜とシリカ被覆層の合計の厚さが1〜40nm、好ましくは1〜20nmの範囲となるような量で、有機珪素化合物またはケイ酸液は添加される。
ついで、被覆層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、多孔質粒子の場合は、多孔質粒子表面を被覆したシリカ被覆層が緻密化し、多孔質粒子がシリカ被覆層によって被覆された複合粒子の分散液が得られる。また空洞粒子前駆体の場合、形成された被覆層が緻密化して空洞粒子壁となり、内部が溶媒、気体または多孔質固形分で充填された空洞を有する空洞粒子の分散液が得られる。
このときの加熱処理温度は、シリカ被覆層の微細孔を閉塞できる程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理温度が80℃未満では、シリカ被覆層の微細孔を完全に閉塞して緻密化できないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると、緻密な粒子となることがあり、低屈折率化の効果が得られないことがある。
このようにして得られた中空シリカ微粒子の屈折率は、1.42未満と低い。このような中空シリカ微粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。
また、塗布組成物に添加したときの安定性の点から中空粒子としては、表面に炭化水素主鎖を有するポリマーが共有結合している中空粒子が好ましい。
次に、炭化水素主鎖を有するポリマーが共有結合している中空粒子について説明する。炭化水素主鎖を有するポリマーとは、直接共有結合、または中空シリカ微粒子の表面のシリカと炭化水素主鎖を有するポリマーとの間に結合剤を介在させ、シリカと結合剤とを共有結合し、結合剤とポリマーとが共有結合しているものも言う。結合剤としては、カップリング剤が好ましく用いられる。
炭化水素主鎖を有するポリマーが共有結合している中空粒子は、(1)中空シリカ微粒子表面を未処理、もしくはカップリング剤などで処理した状態で、中空シリカ微粒子表面と共有結合を形成可能な官能基を有するポリマーを反応させ、中空シリカ微粒子表面にポリマーをグラフトさせる方法、或いは(2)中空シリカ微粒子表面を未処理、もしくはカップリング剤などで処理した状態で、中空シリカ微粒子表面から単量体を重合することでポリマー鎖を生長させ、表面グラフトさせる方法等により製造することができる。具体的な製造方法としては、特開2006−257308号公報に記載の方法を用いることができる。
上記製造方法では、表面修飾率向上の観点から、中空シリカ微粒子表面から単量体を重合することでポリマー鎖を生長させ、表面グラフトさせる方法が好ましい。重合開始能、もしくは連鎖移動能を有する官能基を含むカップリング剤で中空シリカ微粒子を表面処理し、そこから単量体を重合し、ポリマー鎖を生長させて表面グラフトさせる方法が更に好ましい。重合開始能もしくは連鎖移動能を有する官能基を、中空シリカ微粒子に導入するための表面処理剤(カップリング剤)としては、アルコキシ金属化合物(例えばチタンカップリング剤、アルコキシシラン化合物(シランカップリング剤))が好ましく用いられる。
中空シリカ微粒子は平均粒径の異なる2種以上の中空シリカ微粒子を含有していてもよい。
本実施形態において、低屈折率層には、導電性金属酸化物被覆層を有する中空シリカ微粒子を用いることも、導電性を更に高めることができ好ましい。導電性金属酸化物被覆層を形成する金属酸化物としては特に制限はないが、例えば、酸化スズ、アンチモンスズ酸化物、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物及びこれらの混合物から選ばれるものが挙げられる。この中でも、酸化アンチモンにより被覆されている中空シリカ微粒子が特に好ましい。
導電性金属酸化物被覆層の平均厚さとしては、1〜40nm、より好ましくは1〜20nmの範囲であり、中空シリカ微粒子を十分に被覆でき、得られる導電性金属酸化物被覆中空シリカ微粒子の導電性が十分となる点で、被覆層の厚さは1nm以上が好ましい。導電性の向上効果が十分で、導電性金属酸化物被覆中空シリカ微粒子の平均粒子径が小さい場合にも屈折率が十分である点で、被覆層の厚さは40nm以下が好ましい。
本実施形態において、特に好ましい酸化アンチモン被覆層を有する中空シリカ微粒子について説明する。
酸化アンチモンは、Sb、Sb、SbO等いずれでも良く、酸化アンチモン被覆層中には酸化スズなどを含有していても良い。酸化アンチモン被覆層中のこれらの酸化アンチモンの合計含有率は10%以上が好ましい。また、酸化アンチモン被覆層は、更にシリカ等で被覆されていても良い。
酸化アンチモン被覆中空シリカ粒子の体積抵抗値は、10〜5000Ω/cmが好ましく、10〜2000Ω/cmの範囲にあることがより好ましい。体積抵抗値をこの範囲にすることで、粒子の屈折率を低く保ちつつ、低屈折率塗膜の表面抵抗を低下せしめることが可能となる。体積抵抗値は、核粒子の粒子サイズ、表面被覆金属酸化物層の膜厚、組成を調整することにより制御できる。
体積抵抗値については、以下の方法で測定した。
内部に円柱状のくりぬき(断面積0.5cm)を有するセラミック製セルを用い、架台電極上にセルを置き、内部に試料粉体(シリカ微粒子)0.6gを充填し、円柱状突起を有する上部電極の突起を挿入し、油圧機にて上下電極を加圧し、100kg/cm加圧時の抵抗値(Ω)と試料の高さ(cm)を測定し、抵抗値に高さを乗ずることによって求めた。
酸化アンチモン被覆中空シリカ微粒子の製造方法について説明する。
まず、多孔質シリカ系粒子、または内部に空洞を有するシリカ系粒子の分散液を前述の方法等により調製する。分散液の固形分濃度として0.1〜40質量%、更に0.5〜20質量%の範囲にあることが好ましい。固形分濃度が0.1質量%未満の場合は、生産効率が低く、固形分濃度が40質量%を超えると、得られる酸化アンチモン被覆中空シリカ微粒子が凝集することがあり、被膜の透明性が低下したり、ヘイズが悪化することがある。
また、アンチモン酸の分散液(水溶液)を調製する。アンチモン酸の調製方法としては、多孔質シリカ系粒子または内部に空洞を有するシリカ系粒子の細孔や空洞を埋めることなく、粒子表面に酸化アンチモンの被覆層を形成することができれば特に制限はないが、以下に示す方法は均一で薄い酸化アンチモン被覆層を形成することができるので好ましい。
具体的には、アンチモン酸アルカリ水溶液を陽イオン交換樹脂で処理してアンチモン酸(ゲル)分散液を調製し、ついで、陰イオン交換樹脂で処理する。アンチモン酸アルカリ水溶液としては、例えば特開平2−180717号公報に記載されている、酸化アンチモンゾルの製造方法に用いるアンチモン酸アルカリ水溶液は好適である。
アンチモン酸アルカリ水溶液は、三酸化アンチモン(Sb)、アルカリ物質及び過酸化水素を反応させて得たものであることが好ましく、酸化アンチモンとアルカリ物質と過酸化水素のモル比を1:2.0〜2.5:0.8〜1.5、好ましくは1:2.1〜2.3:0.9〜1.2とし、三酸化アンチモンとアルカリ物質を含む系に、過酸化水素を三酸化アンチモン1モルあたり、0.2モル/hr以下の速度で添加して得られる。
この時使用される三酸化アンチモンは、粉末、特に平均粒子径が10μm以下の微粉末のものが好ましく、また、アルカリ物質としては、LiOH、KOH、NaOH、Mg(OH)、Ca(OH)等を挙げることができ、中でもKOH、NaOHなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。これらのアルカリ物質は、得られるアンチモン酸溶液を安定化させる効果を有する。
まず、水に所定量のアルカリ物質と三酸化アンチモンを加えて三酸化アンチモン懸濁液を調製する。この三酸化アンチモン懸濁液の三酸化アンチモン濃度は、Sbとして3〜15質量%の範囲とすることが望ましい。ついで、この懸濁液を50℃以上、好ましくは80℃以上に加温し、これに濃度が5〜35質量%の過酸化水素水を三酸化アンチモン1モルあたり0.2モル/hr以下の速度で添加する。過酸化水素水の添加速度が0.2モル/hrより速い場合は、得られる酸化アンチモン粒子の粒子径が大きくなり、粒子径分布が広がるので好ましくない。また、過酸化水素水の添加速度が非常に遅い場合は生産性が悪いので、好ましい添加速度範囲としては、0.04〜0.2モル/hrの範囲である。
上記反応で得られたアンチモン酸アルカリ(MHSbO:Mがアルカリ金属の場合)水溶液を、必要に応じて未溶解の残渣を分離した後、更に必要に応じて希釈し、陽イオン交換樹脂で処理し、アルカリイオンを除去することによってアンチモン酸ゲル(HSbO 分散液を調製する。
また、アンチモン酸アルカリ水溶液には、スズ酸アルカリ水溶液、リン酸ナトリウム水溶液等のドーピング剤を含む水溶液が含まれていても良い。このようなドーピング剤が含まれていると更に導電性の高い酸化アンチモン被覆中空シリカ微粒子が得られる。
ここで、アンチモン酸は、(HSbO (n=2以上の重合体)で表すことができ、粒子径が1〜5nm程度のアンチモン酸(HSbO )の重合物からなり、微粒子が凝集し、ゲル状態を呈している。
陽イオン交換樹脂で処理する際のアンチモン酸アルカリ水溶液の濃度は、固形分Sbとして0.01〜5質量%、更に0.1〜3質量%の範囲にあることが好ましい。固形分として0.01質量%未満の場合は生産効率が低く、5質量%を超えるとアンチモン酸の大きな凝集体が生成することがあり、アンチモン酸による中空シリカ微粒子の被覆ができにくく、できたとしても不均一になることがある。
陽イオン交換樹脂の使用量は、得られるアンチモン酸分散液のpHが1〜4、更に1.5〜3.5の範囲とすることが好ましい。pH1未満の場合は鎖状粒子にならず凝集粒子が生成する傾向にあり、pH4を超えると単分散粒子が生成する傾向がある。また、pH1未満の場合は、酸化アンチモンの溶解度が高いために所定量の酸化アンチモンの被覆が困難になり、pH4を超えると、得られる酸化アンチモン被覆中空シリカ微粒子が凝集体となることがあり、被膜中での分散性が低下したり、帯電防止効果が不十分となることがある。
ついで、アンチモン酸分散液と多孔質シリカ系粒子、または内部に空洞を有するシリカ系粒子の分散液とを混合し、温度50〜250℃、好ましくは70〜120℃で、通常1〜24時間熟成を行うことによって酸化アンチモン被覆中空シリカ微粒子分散液を得ることができる。
アンチモン酸分散液とシリカ系粒子分散液との混合比率は、シリカ系粒子を固形分として100質量部に、アンチモン酸をSbとして1〜200質量部、好ましくは5〜100質量部となるように添加する。アンチモン酸の混合比率が1質量部未満の場合は、被覆が不均一であったり被覆層の厚さが不十分となり、酸化アンチモンで被覆する効果、即ち、導電性を付与、向上する効果が十分に得られないことがある。アンチモン酸の混合比率が200質量部を超えても、被覆に寄与しない酸化アンチモンが増加したり、得られる酸化アンチモン被覆中空シリカ微粒子の導電性が更に向上することも無く、屈折率が1.60を超えて高くなることがある。
混合した分散液の濃度は、固形分として1〜40質量%、更に2〜30質量%の範囲にあることが好ましい。混合分散液の濃度が1質量%未満の場合は、酸化アンチモンの被覆効率が不十分であったり、生産効率が低下する。一方、40質量%を超えると、アンチモン酸の使用量が多い場合に、得られる酸化アンチモン被覆中空シリカ微粒子が凝集することがある。
その他、本実施形態の低屈折率層にはコロイダルシリカまたはフッ化マグネシウム含有しても良い。
コロイダルシリカの具体例としては、二酸化ケイ素をコロイド状に水または有機溶媒に分散させたものであり、特に限定はされないが球状、針状または数珠状である。
コロイダルシリカの平均粒径は50〜300nmの範囲が好ましく、変動係数が1〜40%の単分散であることが好ましい。平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。
コロイダルシリカは、市販されており、例えば日産化学工業社のスノーテックスシリーズ、触媒化成工業社のカタロイド−Sシリーズ、バイエル社のレバシルシリーズ等が挙げられる。また、アルミナゾルや水酸化アルミニウムでカチオン変性したコロイダルシリカやシリカの一次粒子を2価以上の金属イオンで粒子間を結合し、数珠状に連結した数珠状コロイダルシリカも好ましく用いられる。数珠状コロイダルシリカは日産化学工業社のスノーテックス−AKシリーズ、スノーテックス−PSシリーズ、スノーテックス−UPシリーズ等があり、具体的にはIPS−ST−L(イソプロパノール分散、粒子径40〜50nm、固形分30%)、MEK−ST−MS(メチルエチルケトン分散、粒子径17〜23nm、固形分35%)等が挙げられる。
フッ化マグネシウムとしては、例えば日産化学工業社のイソプロパノール分散フッ化マグネシウムゾルや、シーアイ化成社のナノテックシリーズ等が挙げられる。
本実施形態において、低屈折率層には、触媒を含有することが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類、シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸等の有機酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類、後述する金属キレート化合物等が挙げられるが、中でも酸触媒及び金属キレート化合物が好ましく用いられる。
酸触媒では、塩酸、硫酸、シュウ酸、酢酸、フタル酸等が好ましく用いられる。
前記金属キレート化合物としては、Zr、Ti、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する金属キレート化合物等が好ましく用いられる。このような金属キレート化合物は、上記各重合反応を促進させる効果を有すると考えられる。また、前記金属キレート化合物としては、具体的には、一般式(16)及び一般式(17)で表される化合物を配位子とし、Zr、Ti、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。
23OH (16)
(式(16)中、R23は、炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
24COCHCOR25 (17)
(式(17)中、R24は、炭素数1〜10のアルキル基を示し、R25は、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)
また、前記金属キレート化合物としては、例えば、上記化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記金属キレート化合物の具体的な例示としては、例えば、一般式(18)〜(20)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物が、上記各重合反応をより促進させる点から好ましい。
Zr(OR26p1(R27COCHCOR28p2 (18)
(式(18)中、R26およびR27は、独立して炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示し、R28は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はフェニル基を示し、p1及びp2は、4配位又は6座配位となるように決定される整数を示す。)
Ti(OR29q1(R30COCHCOR31q2 (19)
(式(19)中、R29およびR30は、独立して炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示し、R31は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はフェニル基を示し、q1及びq2は、4配位又は6座配位となるように決定される整数を示す。)
Ti(OR32r1(R33COCHCOR34r2 (20)
(式(20)中、R32およびR33は、独立して炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示し、R34は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はフェニル基を示し、r1及びr2は、4配位又は6座配位となるように決定される整数を示す。)
前記一般式(18)〜(20)における前記アルキル基は、例えば、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。前記一般式(18)〜(20)における前記アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
前記金属キレート化合物としては、より具体的には、例えば、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウム等のチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセテートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等が好ましい。また、これらの金属キレート化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、(b)成分としては、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
(カーボン材料)
前記カーボン材料としては、低屈折率層の帯電防止性を高めることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、炭素原子からなり、直径がナノオーダーの球状、円筒状、円柱状等の形状を有する構造体等が挙げられる。より具体的には、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン、カーボンナノファイバ、気相成長炭素繊維、及びカーボンを構成成分とする、ナノパーティクル、ナノカプセル、カーボンナノホーン、ナノウィスカ等が挙げられる。これらの中でも、カーボンナノチューブ及びフラーレンが、導電性が期待出来る添加量において、高透明性や低ヘイズであるという光学的な点から好ましく、カーボンナノチューブが、微量添加で導電性を発揮する為にコスト面や膜強度の向上が図れるという点からより好ましい。
また、前記カーボン材料の含有量が、前記低屈折率層100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、2〜8質量部であることが好ましい。前記カーボン材料の含有量が少なすぎると、低屈折率層の帯電防止性が不充分になる傾向がある。また、前記カーボン材料の含有量が多すぎると、低屈折率層の硬度が保てなくなったり、透光性が低下する傾向がある。
また、前記カーボン材料は、上述したように、ナノオーダーの大きさのものであることが好ましく、具体的には、平均直径が1〜200nmであることが好ましく、平均壁厚さが0.1〜50nmであることが好ましい。前記カーボン材料が小さすぎると、少量添加での導電性確保が難しくなり、また、添加量を増やせば、コストアップしたり、硬度の向上が図れないという傾向がある。また、前記カーボン材料が大きすぎると、透明性や耐擦傷性が低下したり、フィルムが着色されるという傾向がある。
低屈折率層を形成する塗布組成物には、有機溶媒を含有することが好ましい。具体的な有機溶媒の例としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。中でも、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エタノール、イソプロパノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
低屈折率層を形成する塗布組成物中の固形分濃度は、1〜4質量%であることが好ましく、固形分濃度を4質量%以下とすることによって、塗布ムラが生じにくくなり、1質量%以上とすることによって、乾燥負荷が軽減される。
低屈折率層を形成する塗布組成物には、フッ素系またはシリコーン系の界面活性剤を含有することが好ましい。上記界面活性剤を含有させることで、塗布ムラを低減したり膜表面の防汚性を向上させるのに有効である。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を含有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを母核としたもので、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン等の誘導体等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤は市販品を用いることもでき、例えばサーフロンS−381、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104(旭硝子株式会社製)、フロラードFC−430、同FC−431、同FC−173(フロロケミカル−住友スリーエム製)、エフトップEF352、同EF301、同EF303(新秋田化成株式会社製)、シュベゴーフルアー8035、同8036(シュベグマン社製)、BM1000、BM1100(ビーエム・ヒミー社製)、メガファックF−171、同F−470(いずれもDIC株式会社製)等を挙げることができる。
フッ素系界面活性剤のフッ素含有割合は、0.05〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。上記のフッ素系界面活性剤は、1種または2種以上を併用することができる。
次に、シリコーン界面活性剤について説明する。
シリコーン界面活性剤は、ケイ素原子に結合した有機基の種類により、ストレートシリコーンオイルと変性シリコーンオイルに大別できる。
ここで、ストレートシリコーンオイルとは、メチル基、フェニル基、水素原子を置換基として結合したものをいう。変性シリコーンオイルとは、ストレートシリコーンオイルから二次的に誘導された構成部分をもつものである。一方、シリコーンオイルの反応性からも分類することができる。これらをまとめると、以下のようになる。
(シリコーンオイル)
1.ストレートシリコーンオイル
1−1.非反応性シリコーンオイル:ジメチル、メチルフェニル置換等。
1−2.反応性シリコーンオイル:メチル水素置換等。
2.変性シリコーンオイル
ジメチルシリコーンオイルに、さまざまな有機基を導入することで生まれたものが変性シリコーンオイルである。
2−1.非反応性変性シリコーンオイル:アルキル、アルキル/アラルキル、アルキル/ポリエーテル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル置換等。
アルキル/アラルキル変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を長鎖アルキル基或いはフェニルアルキル基が置換したシリコーンオイルである。
ポリエーテル変性シリコーンオイルは、親水性のポリオキシアルキレンを疎水性のジメチルシリコーンを導入した界面活性剤である。
高級脂肪酸変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を高級脂肪酸エステルに置換えたシリコーンオイルである。
アミノ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をアミノアルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイルである。
エポキシ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をエポキシ基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイルである。
カルボキシル変性或いはアルコール変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をカルボキシル基或いは水酸基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイルである。
これらのうち、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば1000〜100000、好ましくは2000〜50000が適当であり、数平均分子量が1000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる。
具体的な商品としては、東レダウコーニング社のL−45、L−9300、FZ−3704、FZ−3703、FZ−3720、FZ−3786、FZ−3501、FZ−3504、FZ−3508、FZ−3705、FZ−3707、FZ−3710、FZ−3750、FZ−3760、FZ−3785、FZ−3785、Y−7499、信越化学社のKF96L、KF96、KF96H、KF99、KF54、KF965、KF968、KF56、KF995、KF351、KF351A、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、FL100、ビックケミージャパン社製の界面活性剤BYKシリーズ、BYK−300/302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−340、BYK−344、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−352、BYK−354、BYK−355/356、BYK−358N/361N、BYK−357、BYK−390、BYK−392、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570、BYK−Silclean3700、GE東芝シリコーン社製のジメチルシリコーンシリーズ、XC96−723、YF3800、XF3905、YF3057、YF3807、YF3802、YF3897等が挙げられる。
また、シリコーン界面活性剤は、シリコーンオイルのメチル基の一部を親水性基に置換した界面活性剤である。置換の位置は、シリコーンオイルの側鎖、両末端、片末端、両末端側鎖等がある。親水性基としては、ポリエーテル、ポリグリセリン、ピロリドン、ベタイン、硫酸塩、リン酸塩、4級塩等がある。
シリコーン界面活性剤としては、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤が好ましい。
非イオン界面活性剤は、水溶液中でイオンに解離する基を有しない界面活性剤を総称していうが、疎水基のほか親水性基として多価アルコール類の水酸基、また、ポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン)等を親水基として有するものである。親水性はアルコール性水酸基の数が多くなるに従って、またポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン鎖)が長くなるに従って強くなる。疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤を用いると、低屈折率層のムラや膜表面の防汚性が向上する。ポリメチルシロキサンからなる疎水基が表面に配向し汚れにくい膜表面を形成するものと考えられる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば東レダウコーニング社のシリコーン界面活性剤SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191、SUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましい。低屈折率層を形成する塗布組成物を塗布した際のムラ抑制やレベリング性から好ましい。これらの具体例としては、例えば東レダウコーニング社のシリコーン界面活性剤ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208、FZ−2222等が挙げられる。
低屈折率層を形成する塗布組成物には、より過酷な条件下での耐久試験後に好ましい性能を発揮しやすい点から、以下に説明する反応性変性シリコーン樹脂(反応性変性シリコーンオイルともいう)を含有することが好ましい。
2−2.反応性変性シリコーンオイル:アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコール置換等。
反応性変性シリコーン樹脂としては、ポリシロキサンの側鎖、片末端または両末端にアミノ、エポキシ、カルボキシル、水酸基、メタクリル、メルカプト、フェノール等で置換された反応性タイプの変性シリコーン樹脂である。アミノ変性シリコーン樹脂として、具体的にはKF−860,KF−861,X−22―161A、X−22―161B(以上、信越化学工業株式会社製)、FM−3311,FM−3325(以上、チッソ株式会社製)、エポキシ変性シリコーン樹脂としては、KF―105、X−22−163A、X−22−163B、KF−101、KF−1001(以上、信越化学工業株式会社製)、ポリエーテル変性シリコーン樹脂としてはX−22−4272、X−22−4952、カルボキシル変性シリコーン樹脂としてはX−22−3701E、X−22−3710(以上、信越化学工業株式会社製)、カルビノール変性シリコーン樹脂としてはKF−6001、KF−6003(以上、信越化学工業株式会社製)、メタクリル変性シリコーン樹脂としてはX−22−164C(以上、信越化学工業株式会社製)、メルカプト変性シリコーン樹脂としてはKF−2001(以上、信越化学工業株式会社製)、フェノール変性シリコーン樹脂としてはX−22−1821(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。水酸基変性シリコーン樹脂としては、FM−4411、FM−4421、FM−DA21,FM−DA26(以上、チッソ株式会社製)等が挙げられる。その他、片末端反応性シリコーン樹脂のX−22−170DX、X−22−2426、X−22−176F(信越化学工業株式会社製)等も含まれる。
上記した界面活性剤は、他の界面活性剤と併用して用いてもよく、また適宜、例えばスルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、リン酸エステル塩系等のアニオン界面活性剤、また、ポリオキシエチレン鎖親水基として有するエーテル型、エーテルエステル型等の非イオン界面活性剤等と併用しても良い。上記した界面活性剤の添加量は、低屈折率層塗布組成物中、0.05〜3.0質量%であることが、塗膜の撥水、撥油性、防汚性を高めるばかりでなく、表面の耐擦り傷性にも効果を発揮する点から好ましい。
また、上記した界面活性剤は、塗布ムラを低減させる目的で、帯電防止層にも含有させることができる。
低屈折率層は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、低屈折率層を形成する上記塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、硬化処理することで形成される。
塗布量は、ウェット膜厚として0.05〜100μmが適当で、好ましくは、0.1〜50μmである。また、ドライ膜厚が上記膜厚となるように塗布組成物の固形分濃度は調整される。
硬化方法としては、加熱することによって熱硬化させる方法、紫外線等の光照射によって硬化させる方法などが挙げられる。熱硬化させる場合は、加熱温度は50〜300℃が好ましく、好ましくは60〜250℃、更に好ましくは80〜150℃である。光照射によって硬化させる場合は、照射光の露光量は10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、100mJ/cm〜500mJ/cmがより好ましい。
ここで、照射される光の波長域としては特に限定されないが、紫外線領域の波長を有する光が好ましく用いられる。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
また、低屈折率層を形成後、温度50〜160℃で加熱処理を行う工程を含んでも良い。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、160℃であれば10分以上1日以下の範囲が好ましい。
前記低屈折率層は、例えば、図1に示す光学フィルムの製造装置によって、形成することができる。なお、図1は、光学フィルムの製造装置を示す概略図である。
前記光学フィルムの製造装置は、繰り出しローラ1、搬送ローラ2、塗布装置3、第1乾燥装置5、活性線照射装置6、第2乾燥装置7、巻取装置8等を備えている。
前記繰り出しローラ1は、前記低屈折率層を表面に形成させるための、長尺フィルムY、例えば、前記透明フィルム基材や前記中間層を備えた透明フィルム基材等を、前記搬送ローラ2に順次、繰り出す。
前記搬送ローラ2は、繰り出されたフィルムYを、前記塗布装置3、前記第1乾燥装置5、前記活性線照射装置6、前記第2乾燥装置7、前記巻取装置8等に順次搬送する。
前記塗布装置3は、前記塗布装置3と対向する位置にある対向ローラ4で走行位置が保持されたフィルムY表面に、前記を塗布する。前記塗布装置3としては、例えば、押出しコータ等が挙げられる。
前記第1乾燥装置5は、複数のローラを備え、そのローラでフィルムYを搬送させる間に塗布された低屈折率層形成用塗布液を乾燥させる。その際、加熱空気、赤外線等を単独で用いて乾燥してもよいし、加熱空気と赤外線とを併用して乾燥してもよい。簡便さの点から加熱空気を用いることが好ましい。乾燥温度としては、残留させる好適な溶媒量により適宜選択して決めればよいが、50〜120℃が好ましい。また、一定の温度で乾燥してもよいし、3〜4段階の温度に分けて、数段階の温度に分けて乾燥してもよい。
前記活性線照射装置6は、活性線照射ランプ6a、冷却用媒体供給部6b、及び雰囲気ガス供給部6cを備える。前記活性線照射ランプ6aは、前記低屈折率層形成用塗布液に活性線を照射する。具体的には、例えば、上述のような、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。前記冷却用媒体供給部6bは、前記活性線照射ランプ6aを冷却するための媒体を供給する。前記媒体としては、例えば、空気等が挙げられる。前記雰囲気ガス供給部6cは、前記低屈折率層形成用塗布液が塗布されたフィルムYの周囲に、前記低屈折率層形成用塗布液の硬化に適した雰囲気ガスを供給する。前記雰囲気ガスとしては、例えば、窒素ガスや、アルゴン等の不活性ガス等が挙げられる。
前記第2乾燥装置7は、複数のローラを備え、そのローラでフィルムYを搬送させる間に塗布された低屈折率層形成用塗布液を乾燥させる。すなわち、上述した、前記低屈折率層を形成した後の加熱処理を施すための装置である。
前記巻取装置8は、巻取コア15及び温風吹き出し口10等を備え、前記低屈折率層を備えたフィルムを前記巻取コア15に巻き取る。その際、前記温風吹き出し口10から、フィルムYに温風を吹きかけてもよい。
なお、図1に示す光学フィルムの製造装置は、低屈折率層形成用塗布液の代わりに、帯電防止層やハードコート層等の中間層を形成するための塗布液を用いることによって、中間層を形成させるために用いることができる。
上記のように各層を塗布により形成するに際して、透明フィルム基材の幅が1.4〜4mでロール状に巻き取られた状態から繰り出して、上記塗布を行い、乾燥・硬化処理した後、ロール状に巻き取られることが好ましい。また、反射防止フィルムにおいては反射防止層を積層した後、ロール状に巻き取った状態で、温度50〜160℃で加熱処理を行う製造方法によって製造されることが、反射防止フィルムを長尺塗布した際の効率性や安定性から好ましい。加熱処理期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば、温度50℃であれば、好ましくは3日間以上、30日未満の期間、温度160℃であれば、10分以上、1日以下の範囲が好ましい。通常は、巻外部、巻中央部、巻き芯部の加熱処理効果が偏らないように、比較的低温に設定することが好ましく、温度50〜60℃付近で、7日間程度行うことが好ましい。
加熱処理を安定して行うためには、温湿度が調整可能な場所で行うことが必要であり、塵のないクリーンルーム等の加熱処理室で行うことが好ましい。
反射防止フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれば特に限定されないが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度に耐える耐熱性プラスチックが好ましく、例えばフェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。またガラス繊維などの充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることが更に好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。
(層構成)
反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。なお、ここでは「/」は積層配置されていることを示している。但し、本発明は下記の層構成に限定されるものではない。
フィルム基材/低屈折率層
フィルム基材/帯電防止層/低屈折率層
バックコート層/フィルム基材/低屈折率層
バックコート層/フィルム基材/帯電防止層/低屈折率層
バックコート層/フィルム基材/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層
バックコート層/フィルム基材/防弦層/帯電防止層/低屈折率層
<帯電防止層及びハードコート層>
次に、帯電防止層及びハードコート層について説明する。
本実施形態では帯電防止層、ハードコート層は別々の層として設けてもよいし、帯電防止層が傷付き防止のためのハードコート層を兼ねていてもよい。
ハードコート層は、一般に熱硬化性樹脂、或いは紫外線硬化性樹脂等の電離放射線硬化型樹脂からなる層であり、機械的強度(鉛筆硬度、擦傷性)の点から、ある程度の膜厚が必要であり、鉛筆硬度として2H以上、好ましくは3H以上、特に好ましくは4H以上であることが好ましい。
帯電防止層は、主に導電剤と電離放射線硬化型樹脂を含有する層であることが好ましい。また、帯電防止層の屈折率としては、波長550nm測定で、1.45〜1.60の範囲であることが好ましい。更に、帯電防止層は、表面比抵抗が1013Ω/cm(25℃、55%RH)以下に調整された層であることが好ましい。更に好ましくは、1010Ω/cm(25℃、55%RH)以下であり、特に好ましくは、10Ω/cm(25℃、55%RH)以下である。
ここで、表面比抵抗の測定は、試料を25℃、55%RHの条件にて24時間調湿し、抵抗率計を用いて測定した値である。また、抵抗率計装置としては、例えば三菱化学株式会社製ハイレスタUP MCP−HT450を用いることができる。
また、本実施形態による帯電防止層における導電剤としては、金属酸化物粒子またはπ共役系導電性ポリマーが好ましい。
帯電防止層及びハードコート層に用いられる電離放射線硬化型樹脂は、前記低屈折率層に用いられるアクリル系化合物が好適に用いられる。
電離放射線硬化型樹脂の添加量は、帯電防止層及びハードコート層形成組成物中(以下、帯電防止層塗布液とも言う。)では、固形分中の15質量%以上80質量%未満であることが好ましい。
また、帯電防止層及びハードコート層には電離放射線硬化型樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤:電離放射線硬化型樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
次に、導電剤について説明する。本実施形態による帯電防止層における導電剤としては、金属酸化物粒子またはπ共役系導電性ポリマーが好ましい。
まず、金属酸化物粒子について説明する。
金属酸化物粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることができる。また、これらの金属酸化物粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあっても良い。また、これらの混合物でもよい。本実施形態においては、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化亜鉛、スズ含有酸化インジウム(ITO)、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、リン含有酸化スズ(PTO)及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物粒子を主成分として用いることが好ましい。特に、リン含有酸化スズ(PTO)或いはアンチモン酸亜鉛粒子のいずれかを含有することが好ましい。
これら金属酸化物粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、20〜150nmであることがより好ましく、30〜100nmであることが特に好ましい。金属酸化物粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。また、動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
金属酸化物粒子は有機化合物により表面処理してもよい。金属酸化物粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑えることもできる。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でも後述するシランカップリング剤が好ましい。2種以上の表面処理を組み合わせてもよい。
金属酸化物粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、帯電防止層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、ケトンアルコール(例、ジアセトンアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール及びイソプロパノールが特に好ましい。
また金属酸化物粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。分散剤を含有させることも好ましい。
更にコア/シェル構造を有する金属酸化物粒子を含有させてもよい。シェルはコアの周りに1層形成させてもよいし、耐光性を更に向上させるために複数層形成させてもよい。コアは、シェルにより完全に被覆されていることが好ましい。
次に、π共役系導電性ポリマーについて説明する。
本実施形態において使用するπ共役系導電性ポリマーは、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用することができる。例えば、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリフェニレン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体が挙げられる。重合の容易さや安定性の点からは、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性ポリマーは、無置換のままでも十分な導電性やバインダー樹脂への溶解性が得られるが、導電性や溶解性をより高めるために、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基を導入してもよい。
このようなπ共役系導電性ポリマーの具体例としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−N−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でも良いし、2種からなる共重合体でも好適に用いることができる。
これらのπ共役系導電性ポリマーには、ドーパント成分が添加されていても良い。ドーパント成分としては、例えば、ハロゲン類、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属ハライドなどの低分子量ドーパントや、ポリアニオンのようなポリマー等が挙げられる。
ポリアニオンとは、π共役系導電性ポリマーに対するドーパントとして機能するアニオン基を有する高分子であり、置換もしくは未置換のポリアルキレン、置換もしくは未置換のポリアルケニレン、置換もしくは未置換のポリイミド、置換もしくは未置換のポリアミド、置換もしくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位からなるものである。
ポリアルキレンとは主鎖がメチレンの繰り返しで構成されているポリマーであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
ポリアルケニレンとは主鎖に不飽和結合が1個以上含まれる構成単位からなるポリマーであり、例えば、プロペニレン、1−メチルプロペニレン、1−ブチルプロペニレン、1−デシルプロペニレン、1−シアノプロペニレン、1−フェニルプロペニレン、1−ヒドロキシプロペニレン、1−ブテニレン、1−メチル−1−ブテニレン、1−エチル−1−ブテニレン、1−オクチル−1−ブテニレン、2−メチル−1−ブテニレン、2−エチル−1−ブテニレン、2−ブチル−1−ブテニレン、2−ヘキシル−1−ブテニレン、2−オクチル−1−ブテニレン、2−デシル−1−ブテニレン、2−フェニル−1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテニレン、1−エチル−2−ブテニレン、1−オクチル−2−ブテニレン、2−メチル−2−ブテニレン、2−エチル−2−ブテニレン、2−ブチル−2−ブテニレン、2−ヘキシル−2−ブテニレン、2−オクチル−2−ブテニレン、2−デシル−2−ブテニレン、2−フェニル−2−ブテニレン、2−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、2−ペンテニレン、4−エチル−2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−ブチル−2−ペンテニレン、4−ヘキシル−2−ペンテニレン、4−シアノ−2−ペンテニレン、3−メチル−2−ペンテニレン、3−フェニル−2−ペンテニレン、4−ヒドロキシ−2−ペンテニレン、ヘキセニレン等から選ばれる1種以上の構成単位を含む重合体が挙げられる。
ポリイミドとしてはピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、2,2’−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の無水物と、オキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからなるポリイミドが挙げられる。
ポリアミドとしてはポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等が挙げられる。
ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性ポリマーへの化学酸化ドープが起こりうる官能基であれば良いが、製造の容易さや安定性の観点から、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。更に、官能基のπ共役系導電性ポリマーへのドープ効果の観点から、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体でも良く、2種以上の共重合体でも良い。これらのうち、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、バインダー樹脂との相溶性が高く、得られる導電層の導電性をより高めることができる。
本実施形態においては、ポリアニオンの他にも、π共役系導電性ポリマーを酸化還元することができれば、以下のようなドナー性或いはアクセプタ性のドーパントを用いることができる。
ドナー性ドーパントとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン化合物等が挙げられる。
アクセプタ性ドーパントとしては、Cl、Br、I、ICl、IBr、IF等のハロゲン化合物、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SO等のルイス酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、ジクロロジシアノベンゾキノン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等の有機シアノ化合物、プロトン酸、有機金属化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等を使用できる。
プロトン酸としては無機酸、有機酸が挙げられる。無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、過塩素酸等が挙げられる。また、有機酸としては、有機カルボン酸、有機スルホン酸等が挙げられる。
有機カルボン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にカルボキシ基を1つまたは2つ以上を含むものを使用できる。例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。
有機スルホン酸としては、脂肪族、芳香族、環状脂肪族等にスルホ基を1つまたは2つ以上含むもの、またはスルホ基を含む高分子を使用できる。
スルホ基を1つ含むものとしては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ペンタデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、5−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アセトアミド−3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−クロロナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、アントラキノンスルホン酸、ピレンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
スルホ基を2つ以上含むものとしては、例えば、エタンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、デカンジスルホン酸、o−ベンゼンジスルホン酸、m−ベンゼンジスルホン酸、p−ベンゼンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、キシレンジスルホン酸、クロロベンゼンジスルホン酸、フルオロベンゼンジスルホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベンゼンジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸、エチルナフタレンジスルホン酸、ペンタデシルナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−5−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸、1−アセトアミド−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸、2−アミノ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、1−アミノ−3,8−ナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、4−アミノ−5−ナフトール−2,7−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−イソチオシアノトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4−アセトアミド−4’−マレイミジルスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ジナフチルメタンジスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、アントラセンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
また、導電剤として、イオン性化合物を含有しても良い。イオン性化合物としては、イミダゾリウム系、ピリジウム系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、脂肪族ホスホニウム系の陽イオンとBF 、PF 等の無機イオン系、CFSO 、(CFSO、CFCO 等のフッ素系の陰イオンとからなる化合物等が挙げられる。
導電剤は、バインダーとして用いられる電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して、0.01質量部〜300質量部が好ましく、更に好ましくは0.1質量部〜100質量部である。
帯電防止層及びハードコート層には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはゼラチン等の親水性樹脂等のバインダーを用いることもできる。また、帯電防止層及びハードコート層には滑り性や屈折率を調整するために無機化合物または有機化合物の粒子を含んでもよい。
無機微粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
また、有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を添加することができる。好ましい微粒子は、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)、フッ素含有アクリル樹脂微粒子が挙げられる。フッ素含有アクリル樹脂微粒子としては、例えば日本ペイント製:FS−701等の市販品が挙げられる。また、アクリル粒子として、例えば日本ペイント製:S−4000、アクリル−スチレン粒子として、例えば日本ペイント製:S−1200、MG−251等が挙げられる。
これらの微粒子粉末の平均粒径は特に制限されないが、以下に記載する防眩性を示さない点から、0.5μm以下が好ましく、更に好ましくは0.1μm以下であって、特に好ましくは0.001〜0.1μmである。
微粒子の平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有しても良い。紫外線硬化性樹脂と微粒子の割合は、樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部となるように配合することが望ましい。
また、帯電防止層及びハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、帯電防止層及びハードコート層を形成する塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理することで形成できる。塗布量はウェット膜厚として0.1〜40μmが適当で、好ましくは、0.5〜30μmである。また、ドライ膜厚としては平均膜厚0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm、特に好ましくは6〜15μmである。
UV硬化処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜200mJ/cmである。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによって更に平面性優れたフィルムを得ることができる。
帯電防止層及びハードコート層を形成する塗布組成物には溶媒が含まれていてもよい。塗布組成物に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒からも適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。
有機溶媒としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等が好ましい。また、有機溶媒の含有量としては塗布組成物中、5〜80質量%が好ましい。
更に帯電防止層及びハードコート層には、前述の低屈折率層で記載した下記のシリコーン系界面活性剤或いはポリオキシエーテル化合物を含有させることが好ましい。これらは塗布性を高める。また、これら成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
ポリオキシエーテル化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキルフェニルエーテル化合物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの市販品としては、エマルゲン1108、エマルゲン1118S−70(以上、花王社製)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの市販品としては、エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン130K(以上、花王社製)、ポリオキシエチレンセチルエーテルの市販品としては、エマルゲン210P、エマルゲン220(以上、花王社製)、ポリオキシエチレンステアリルエーテルの市販品としては、エマルゲン220、エマルゲン306P(以上、花王社製)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの市販品としては、エマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンLS−114、エマルゲンMS−110(以上、花王社製)ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルの市販品としては、エマルゲン705,エマルゲン707、エマルゲン709等が挙げられる。
これら非イオン性のポリオキシエーテル化合物の中でも好ましくは、ポリオキシエチレンオレイルエーテル化合物であり、下記の一般式(21)で表される化合物である。
1835−O(CO)H (21)
式(21)中、nは2〜40を表す。
オレイル部分に対するエチレンオキシドの平均付加個数(n)は、2〜40であり、好ましくは2〜10である。また、上記一般式(1)の化合物はエチレンオキシドとオレイルアルコールとを反応させて得られる。
具体的商品としては、エマルゲン404〔ポリオキシエチレン(4)オレイルエーテル〕、エマルゲン408〔ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル〕、エマルゲン409P〔ポリオキシエチレン(9)オレイルエーテル〕、エマルゲン420〔ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル〕、エマルゲン430〔ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル〕(以上、花王社製)、日本油脂社製NOFABLEEAO−9905(ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル)等が挙げられる。なお、( )がnの数字を表す。
ポリオキシエーテル化合物は単独或いは2種以上を併用しても良い。
帯電防止層及びハードコート層中のポリオキシエーテル化合物やシリコーン界面活性剤の好ましい含有量は、両者の総含有量で0.1〜8.0質量%が好ましく、更に好ましくは、0.2〜4.0質量%であり、該範囲で添加することで帯電防止層の中で安定に存在する。
また、フッ素界面活性剤、アクリル系共重合物、アセチレングリコール系化合物または非イオン性界面活性剤、ラジカル重合性の非イオン性界面活性剤等を併用しても良い。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレート等のポリオキシアルキルエステル化合物、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート等のソルビタンエステル化合物、等が挙げられる。
アセチレングリコール系化合物としてはサーフィノール104E、サーフィノール104PA、サーフィノール420、サーフィノール440、ダイノール604(以上、日信化学工業株式会社製)などが挙げられる。
ラジカル重合性の非イオン性界面活性剤としては、例えば、RMA−564、RMA−568、RMA−1114(以上、商品名、日本乳化剤株式会社製)等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート系重合性界面活性剤などを挙げることができる。
また、帯電防止層及びハードコート層は、硬化助剤として多官能チオール化合物を含有しても良く、例えば1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。また、市販品としては昭和電工社製商品名カレンズMTシリーズ等が挙げられる。多官能チオール化合物は、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜50質量部の範囲で添加されることが好ましく、更に好ましくは0.05〜30質量部である。この範囲で添加することで、硬化助剤として好適に作用し、また、帯電防止層及びハードコート層の中でも安定に存在する。
帯電防止層は、2層以上の重層構造を有していてもよい。その中の1層は例えば金属酸化物粒子を含有しない、いわゆるクリアハードコート層としてもよいし、また、種々の表示素子に対する色補正用フィルターとして色調調整機能を有する色調調整剤(染料もしくは顔料等)を含有させてもよいし、また電磁波遮断剤または赤外線吸収剤等を含有させそれぞれの機能を有するようにしてもよい。
〈バックコート層〉
本実施形態に係る反射防止フィルムは、透明フィルム基材の帯電防止層及びハードコート層や反射防止層を設けた側と反対側の面にバックコート層を設けてもよい。バックコート層は、帯電防止層及びハードコート層や反射防止層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。即ち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために無機化合物または有機化合物の粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
これらの粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)、シーホスターKE−P10、同KE−P30、同KE−P50、同KE−P100、同KE−P150、同KE−P250(以上、日本触媒株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
有機化合物の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上GE東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972V、シーホスターKE−P30、同KE−P50、及び同KE−P100がヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。
バックコート層に含まれる粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%である。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1.5%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが更に好ましく、特に0.1%以下であることが好ましい。
バックコート層の塗布に用いられる塗布組成物には溶媒が含まれることが好ましい。溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、または炭化水素類(トルエン、キシレン)等が挙げられ、適宜組み合わされて用いられる。
バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レイヨン株式会社製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レイヨン株式会社製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマー等が市販されており、この中から好ましいものを適宜選択することもできる。
例えば、バインダーとして用いられる樹脂としてはセルロースジアセテート、セルロースアセテートプロヒオネートなどのセルロースエステルとアクリル樹脂のブレンド物を用いることが好ましく、アクリル樹脂からなる粒子を用いて、粒子とバインダーとの屈折率差を0〜0.02未満とすることで透明性の高いバックコート層とすることができる。
また、バックコート層の動摩擦係数は0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
バックコート層を形成する方法としては、上述したバックコート層を形成するための塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。
また、塗布後、加熱乾燥し、必要に応じて硬化処理することで、バックコート層は形成される。硬化処理は低屈折率層で記載した内容を用いることができる。
バックコート層は2回以上に分けて塗布することもできる。また、バックコート層は偏光子との接着性を改善するための易接着層を兼ねても良い。
<透明フィルム基材>
透明フィルム基材は製造が容易であること、電離放射線硬化型樹脂層等と接着し易いこと、光学的に等方性であることが好ましい。これらの性質を有していれば何れでもよく、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートオネートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムまたはアクリルフィルム等を挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの内、セルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC4UE、及びKC12UR(以上、コニカミノルタオプト(株)製))、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリエステルフィルムが好ましく、本実施形態においては、特にセルロースエステル系フィルムが、製造上、コスト面、等方性、接着性、及び本発明の目的効果が好適に得られることから好ましい。
(セルロースエステル系フィルム)
次に透明フィルム基材として好ましいセルロースエステル系フィルム(以下、セルロースエステルフィルムともいう)について説明する。
セルロースエステル樹脂(以下セルロースエステルともいう)は、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号公報、特開平08−231761号公報、米国特許第2,319,052号公報等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルはセルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは単独或いは混合して用いることができる。
セルローストリアセテートの場合には、平均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが好ましく用いられ、更に好ましいのは、平均酢化度が58.0〜62.5%のセルローストリアセテートである。平均酢化度が小さいと寸法変化が大きく、また偏光板の偏光度が低下する。平均酢化度が大きいと溶剤に対する溶解度が低下し生産性が下がる。
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロースエステルである。
2.6≦X+Y≦3.0 (I)
0≦X≦2.5 (II)
この内特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で60000〜300000のものが好ましく、70000〜200000のものが更に好ましく、100000〜200000のものが特に好ましい。本実施形態で用いられるセルロースエステルは重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が4.0以下であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜2.3である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した。)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)
Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることができる。特に綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)から合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
また、セルロースエステルフィルムは、本発明の目的効果がより良く発揮される点から、アクリル樹脂を含有することが好ましい。
(アクリル樹脂、アクリル粒子)
次にアクリル樹脂について説明する。
アクリル樹脂としては、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、或いは2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
アクリル樹脂は、フィルムとしての機械的強度、フィルムを生産する際の流動性の点から重量平均分子量(Mw)が80000〜1000000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)は上記の高速液体クロマトグラフィーを用い測定できる。
アクリル樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、或いは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系及びアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。重合温度については、懸濁または乳化重合では30〜100℃、塊状または溶液重合では80〜160℃で実施しうる。更に、生成共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。この分子量とすることで、耐熱性と脆性の両立を図ることができる。アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
次に、セルロースエステルフィルムは、本発明の目的効果が良好に発揮されるほか、鉛筆硬度にも優れることから、アクリル樹脂と更にアクリル粒子を含有することが好ましい。
アクリル粒子について、説明する。アクリル粒子は、例えば、作製したアクリル樹脂含有フィルムを所定量採取し、溶媒に溶解させて攪拌し、充分に溶解・分散させたところで、アクリル粒子の平均粒子径未満の孔径を有するPTFE製のメンブレンフィルターを用いて濾過し、濾過捕集された不溶物の重さが、アクリル樹脂含有フィルムに添加したアクリル粒子の90質量%以上あることが好ましい。
アクリル粒子は特に限定されるものではないが、2層以上の層構造を有するアクリル粒子であることが好ましく、特に下記多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。
多層構造アクリル系粒状複合体とは、中心部から外周部に向かって最内硬質層重合体、ゴム弾性を示す架橋軟質層重合体、及び最外硬質層重合体が、層状に重ね合わされてなる構造を有する粒子状のアクリル系重合体を言う。
アクリル系樹脂組成物に用いられる多層構造アクリル系粒状複合体の好ましい態様としては、以下の様なものが挙げられる。(a)メチルメタクリレート80〜98.9質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート1〜20質量%、及び多官能性グラフト剤0.01〜0.3質量%からなる単量体混合物を重合して得られる最内硬質層重合体、(b)上記最内硬質層重合体の存在下に、アルキル基の炭素数が4〜8のアルキルアクリレート75〜98.5質量%、多官能性架橋剤0.01〜5質量%及び多官能性グラフト剤0.5〜5質量%からなる単量体混合物を重合して得られる架橋軟質層重合体、(c)上記最内硬質層及び架橋軟質層からなる重合体の存在下に、メチルメタクリレート80〜99質量%とアルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレート1〜20質量%とからなる単量体混合物を重合して得られる最外硬層重合体、よりなる3層構造を有し、かつ得られた3層構造重合体が最内硬質層重合体(a)5〜40質量%、軟質層重合体(b)30〜60質量%、及び最外硬質層重合体(c)20〜50質量%からなり、アセトンで分別したときに不溶部があり、その不溶部のメチルエチルケトン膨潤度が1.5〜4.0であるアクリル系粒状複合体、が挙げられる。
なお、特公昭60−17406号公報或いは特公平3−39095号公報において開示されている様に、多層構造アクリル系粒状複合体の各層の組成や粒子径を規定しただけでなく、多層構造アクリル系粒状複合体の引張り弾性率やアセトン不溶部のメチルエチルケトン膨潤度を特定範囲内に設定することにより、更に充分な耐衝撃性と耐応力白化性のバランスを実現することが可能となる。
ここで、多層構造アクリル系粒状複合体を構成する最内硬質層重合体(a)は、メチルメタクリレート80〜98.9質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート1〜20質量%及び多官能性グラフト剤0.01〜0.3質量%からなる単量体混合物を重合して得られるものが好ましい。
ここで、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが好ましく用いられる。
最内硬質層重合体(a)におけるアルキルアクリレート単位の割合は1〜20質量%であり、該単位が1質量%未満では、重合体の熱分解性が大きくなり、一方、該単位が20質量%を越えると、最内硬質層重合体(c)のガラス転移温度が低くなり、3層構造アクリル系粒状複合体の耐衝撃性付与効果が低下するので、いずれも好ましくない。
多官能性グラフト剤としては、異なる重合可能な官能基を有する多官能性単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸のアリルエステル等が挙げられ、アリルメタクリレートが好ましく用いられる。多官能性グラフト剤は、最内硬質層重合体と軟質層重合体を化学的に結合するために用いられ、その最内硬質層重合時に用いる割合は0.01〜0.3質量%である。
アクリル系粒状複合体を構成する架橋軟質層重合体(b)は、上記最内硬質層重合体(a)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート75〜98.5質量%、多官能性架橋剤0.01〜5質量%及び多官能性グラフト剤0.5〜5質量%からなる単量体混合物を重合して得られるものが好ましい。
ここで、アルキル基の炭素数が4〜8のアルキルアクリレートとしては、n−ブチルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく用いられる。
また、これらの重合性単量体と共に、25質量%以下の共重合可能な他の単官能性単量体を共重合させることも可能である。
共重合可能な他の単官能性単量体としては、スチレン及び置換スチレン誘導体が挙げられる。アルキル基の炭素数が4〜8のアルキルアクリレートとスチレンとの比率は、前者が多いほど生成重合体(b)のガラス転移温度が低下し、即ち軟質化できるのである。
一方、樹脂組生物の透明性の観点からは、軟質層重合体(b)の常温での屈折率を最内硬質層重合体(a)、最外硬質層重合体(c)、及び硬質熱可塑性アクリル樹脂に近づけるほうが有利であり、これらを勘案して両者の比率を選定する。
例えば、被覆層厚みの小さな用途においては、必ずしもスチレンを共重合しなくとも良い。
多官能性グラフト剤としては、前記の最内層硬質重合体(a)の項で挙げたものを用いることができる。ここで用いる多官能性グラフト剤は、軟質層重合体(b)と最外硬質層重合体(c)を化学的に結合するために用いられ、その最内硬質層重合時に用いる割合は耐衝撃性付与効果の観点から0.5〜5質量%が好ましい。
多官能性架橋剤としては、ジビニル化合物、ジアリル化合物、ジアクリル化合物、ジメタクリル化合物などの一般に知られている架橋剤が使用できるが、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量200〜600)が好ましく用いられる。
ここで用いる多官能性架橋剤は、軟質層(b)の重合時に架橋構造を生成し、耐衝撃性付与の効果を発現させるために用いられる。ただし、先の多官能性グラフト剤を軟質層の重合時に用いれば、ある程度は軟質層(b)の架橋構造を生成するので、多官能性架橋剤は必須成分ではないが、多官能性架橋剤を軟質層重合時に用いる割合は耐衝撃性付与効果の観点から0.01〜5質量%が好ましい。
多層構造アクリル系粒状複合体を構成する最外硬質層重合体(c)は、上記最内硬質層重合体(a)及び軟質層重合体(b)の存在下に、メチルメタクリレート80〜99質量%及びアルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレート1〜20質量%からなる単量体混合物を重合して得られるものが好ましい。
ここで、アクリルアルキレートとしては、前述したものが用いられるが、メチルアクリレートやエチルアクリレートが好ましく用いられる。最外硬質層(c)におけるアルキルアクリレート単位の割合は、1〜20質量%が好ましい。
また、最外硬質層(c)の重合時に、アクリル樹脂との相溶性向上を目的として、分子量を調節するためアルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用い、実施することも可能である。
とりわけ、最外硬質層に、分子量が内側から外側へ向かって次第に小さくなるような勾配を設けることは、伸びと耐衝撃性のバランスを改良するうえで好ましい。具体的な方法としては、最外硬質層を形成するための単量体混合物を2つ以上に分割し、各回ごとに添加する連鎖移動剤量を順次増加するような手法によって、分子量を内側から外側へ向かって小さくすることが可能である。この際に形成される分子量は、各回に用いられる単量体混合物をそれ単独で同条件にて重合し、得られた重合体の分子量を測定することによって調べることもできる。多層構造重合体であるアクリル系粒状複合体の粒子径については、特に限定されるものではないが、10nm以上、1000nm以下であることが好ましく、更に、20nm以上、500nm以下であることがより好ましく、特に50nm以上、400nm以下であることが最も好ましい。
多層構造重合体であるアクリル系粒状複合体において、コアとシェルの質量比は、特に限定されるものではないが、多層構造重合体全体を100質量部としたときに、コア層が50質量部以上、90質量部以下であることが好ましく、更に、60質量部以上、80質量部以下であることがより好ましい。
このような多層構造アクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製”メタブレン”、鐘淵化学工業社製”カネエース”、呉羽化学工業社製”パラロイド”、ロームアンドハース社製”アクリロイド”、ガンツ化成工業社製”スタフィロイド”及びクラレ社製”パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
アクリル粒子として好適に使用されるグラフト共重合体であるアクリル粒子(c−1)の具体例としては、ゴム質重合体の存在下に、不飽和カルボン酸エステル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、芳香族ビニル系単量体、及び必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体混合物を共重合せしめたグラフト共重合体が挙げられる。
グラフト共重合体であるアクリル粒子に用いられるゴム質重合体には特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム及びエチレン系ゴムなどが使用できる。具体例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体、エチレン−イソプレン共重合体、及びエチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種または2種以上の混合物で使用することが可能である。
また、アクリル樹脂及びアクリル粒子のそれぞれの屈折率が近似している場合、透明フィルム基材の透明性を得ることができるため、好ましい。具体的には、アクリル粒子とアクリル樹脂の屈折率差が0.05以下であることが好ましく、より好ましくは0.02以下、とりわけ0.01以下であることが好ましい。
このような屈折率条件を満たすためには、アクリル樹脂の各単量体単位組成比を調整する方法、及び/またはアクリル粒子に使用されるゴム質重合体或いは単量体の組成比を調製する方法などにより、屈折率差を小さくすることができ、透明性に優れたアクリル樹脂含有フィルムを得ることができる。
尚、ここで言う屈折率差とは、アクリル樹脂が可溶な溶媒に、アクリル樹脂含有フィルムを適当な条件で十分に溶解させ白濁溶液とし、これを遠心分離等の操作により、溶媒可溶部分と不溶部分に分離し、この可溶部分(アクリル樹脂)と不溶部分(アクリル粒子)をそれぞれ精製した後、測定した屈折率(23℃、測定波長:550nm)の差を示す。
アクリル樹脂に、アクリル粒子を配合する方法には、特に制限はなく、アクリル樹脂とその他の任意成分を予めブレンドした後、通常200〜350℃において、アクリル粒子を添加しながら一軸または二軸押出し機により均一に溶融混練する方法が好ましく用いられる。
アクリル粒子としては、市販のものも使用することができる。例えば、メタブレンW−341(C2)(三菱レイヨン(株)製)を、ケミスノーMR−2G(C3)、MS−300X(C4)(綜研化学(株)製)等を挙げることができる。
アクリル粒子はセルロースエステル樹脂とアクリル樹脂の総質量に対して、0.5〜45質量%のアクリル粒子を含有することが好ましい。
また、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂からなるフィルム(以下、セルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムとも言う)は、張力軟化点が105〜145℃で、かつ延性破壊が起こらないフィルムが好ましい。延性破壊とは、ある材料が有する強度よりも、大きな応力が作用することで生じるものであり、最終破断までに材料の著しい伸びや絞りを伴う破壊と定義される。張力軟化点温度の具体的な測定方法としては、例えば、テンシロン試験機(ORIENTEC社製、RTC−1225A)を用いて、アクリル樹脂含有フィルムを120mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、10Nの張力で引っ張りながら30℃/minの昇温速度で昇温を続け、9Nになった時点での温度を3回測定し、その平均値により求めることができる。
また、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂からなるフィルムは、ガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上である。特に好ましくは150℃以上である。
ガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂からなるフィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂からなるフィルムの厚みは、20μm以上であることが好ましい。
より好ましくは30μm以上である。厚みの上限は特に限定される物ではないが、溶液製膜法でフィルム化する場合は、塗布性、発泡、溶媒乾燥などの観点から、上限は250μm程度である。なお、フィルムの厚みは用途により適宜選定することができる。
セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂からなるフィルムは、加工性及び耐熱性の両立の点から、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を95:5〜30:70の質量比で含有することが好ましく、またセルロースエステル樹脂のアシル基の総置換度(T)が2.00〜3.00、アセチル基置換度(ac)が0〜1.89、アセチル基以外のアシル基の炭素数が3〜7であり、重量平均分子量(Mw)が75000〜280000であることが好ましい。また、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の総質量は、アクリル樹脂含有フィルムの55〜100質量%であり、好ましくは60〜99質量%である。
セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂からなるフィルムは、その他のアクリル樹脂を含有して構成されていても良い。
セルロースエステルフィルムやセルロースエステル樹脂とアクリル樹脂からなるフィルムは、溶液流延法で製造されたものでも、溶融流延法で製造されたものでもよいが、少なくとも幅手方向に延伸されたものが好ましく、特に溶液流延工程で剥離残溶量が3〜40質量%である時に幅手方向に1.01〜1.5倍に延伸されたものであることが好ましい。より好ましくは幅手方向と長手方向に2軸延伸することであり、剥離残溶量が3〜40質量%である時に幅手方向及び長手方向に、各々1.01〜1.5倍に延伸されることが望ましい。このときの延伸倍率としては特に好ましくは、1.03〜1.45倍である。
また、透明フィルム基材の長さは100m〜5000m、幅は1.2m以上が好ましく、更に好ましくは1.4〜4mである。透明フィルム基材の長さ及び幅を前記範囲とすることで、取り扱い性や生産性に優れる。
セルロースエステルフィルムは、光透過率が90%以上、より好ましくは93%以上の透明支持体であることが好ましい。
(可塑剤)
セルロースエステルフィルムやセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムには、下記のような可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることができる。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる。好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2ープロパンジオール、1,3ープロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2ーブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ーブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5ーペンタンジオール、1,6ーヘキサンジオール、ヘキサントリオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトール、であることが好ましい。多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸などを用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸であることが好ましい。多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、分子量300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基はカルボン酸で全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。これらの可塑剤は単独または併用するのが好ましい。これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3〜13質量%である。
(紫外線吸収剤)
透明フィルム基材には紫外線吸収剤を含有させても良い。次に紫外線吸収剤について説明する。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては以下の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、チバ・ジャパン社製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、チバ・ジャパン社製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては以下の具体例を示すが、これらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
上記紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、特開2001−187825号公報に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を用いることができ、特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤が透明フィルム基材の面品質を良好に維持できる点から好ましい。
また、特開平6−148430号公報の一般式(1)または一般式(2)、特願2000−156039号の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)も好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。
また、透明フィルム基材には、内部ヘイズを付与させても良い。
(粒子)
内部ヘイズは、例えば透明フィルム基材に透明フィルム基材と屈折率の異なる粒子を添加し、添加量や粒子の粒径等をコントロールすることで、内部散乱によるヘイズを発生させ、これを調整することで達成できる。粒子としては、無機粒子と有機粒子に区別される。無機粒子としては特に限定されず、例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等が挙げられる。また、有機粒子としては特に限定されず、例えば、フッ素化アクリル樹脂粉末、ポリスチレン樹脂粉末、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、シリコーン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、更にポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリ弗化エチレン樹脂粉末等が挙げられる。これらの無機粒子及び有機粒子は、種類、平均粒子径が異なる2種以上を併用してもよく、粒子の表面を有機物により表面処理したものも好ましく用いられる。
特に好ましい無機粒子は、これらの中でも二酸化珪素である。二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKE−P10、シーホスターKE−P30、シーホスターKE−P50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いるとヘイズを調整するのが容易であり好ましい。
有機粒子としては、フッ素含有アクリル樹脂粒子が特に好適である。
フッ素含有アクリル樹脂粒子としては、例えばフッ素含有のアクリル酸エステル或いはメタクリル酸エステルのモノマーまたはポリマーから形成された粒子である。フッ素含有のアクリル酸エステル或いはメタクリル酸エステルの具体例としては、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレートが挙げられる。また、フッ素含有アクリル樹脂粒子の中でも、2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレートからなる粒子、フッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子、フッ素含有メタアクリル酸を架橋剤の存在下にビニル単量体と共重合させた粒子が好ましく、更に好ましくはフッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子である。
フッ素含有(メタ)アクリル酸と共重合可能なビニル単量体としては、ビニル基を有するものであればよく、具体的にはメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル、及びスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類等が挙げられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。重合反応の際に用いられる架橋剤としては、特に限定されないが、2個以上の不飽和基を有するものを用いることが好ましく、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の2官能性ジメタクリレートや、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
尚、フッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子を製造するための重合反応は、ランダム共重合及びブロック共重合のいずれでもよい。具体的には、例えば特開2000−169658号公報に記載の方法なども挙げることができる。
市販品としては、根上工業製:MF−0043等の市販品が挙げられる。尚、これらのフッ素含有アクリル樹脂粒子は、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのフッ素含有アクリル樹脂粒子の状態は、粉体或いはエマルジョン等、どのような状態で加えられても良い。
また、特開2004−83707号公報の段落0028〜0055に記載のフッ素含有架橋粒子を用いても良い。
ポリスチレン粒子としては、例えば綜研化学製;SX−130H、SX−200H、SX−350H)、積水化成品工業製、SBXシリーズ(SBX−6、SBX−8)等の市販品を挙げられる。
メラミン系粒子としては、例えば、日本触媒製:ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(商品名:エポスター、グレード;M30、商品名:エポスターGP、グレード;H40〜H110)、日本触媒製:メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(商品名:エポスター、グレード;S12、S6、S、SC4)等の市販品を挙げられる。また、コアがメラミン系樹脂からなり、シェルがシリカで充填されたコア−シェル型の球状複合硬化メラミン樹脂粒子等も挙げられる。具体的には特開2006−171033号公報に記載の方法で作製することができ、日産化学工業製:メラミン樹脂・シリカ複合粒子(商品名;オプトビーズ)等の市販品を挙げられる。
ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子としては、例えば、綜研化学製;MX150、MX300、日本触媒製;エポスターMA、グレード;MA1002、MA1004、MA1006、MA1010、エポスターMX(エマルジョン)、グレード;MX020W、MX030W、MX050W、MX100W、積水化成品工業製:MBXシリーズ(MBX−8、MBX12)等の市販品を挙げられる。
架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子の具体例としては、例えば日本ペイント製:FS−201、MG−351等の市販品が挙げられる。ベンゾグアナミン系粒子としては、例えば日本触媒製:ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物(商品名:エポスター、グレード;L15、M05、MS、SC25)等が挙げられる。
支持体に添加する粒子の平均粒子径は0.3〜1μmが好ましく、0.4〜0.7μmが更に好ましい。
上記平均粒子径は、500個の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視やイメージ写真を画像処理することにより、または動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により計測することができる。ここでいう平均粒子径は、個数平均粒子径をさす。尚、平均粒子径は、粒子が1次粒子の凝集体の場合は凝集体の平均粒子径を意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
また、粒子の屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.65である。尚、粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定できる。
また、支持体に用いる樹脂と該粒子の屈折率差は、0.02以上0.20以下であることが光散乱効果を利用して内部ヘイズを高める上で好ましい。屈折率差のより好ましい範囲は、0.05以上0.15以下である。
上記無機または有機粒子の含有量は、フィルム基材の作製用の樹脂100質量部に対して、1質量部〜30質量部が好ましく、内部ヘイズを得る上でより好ましくは5質量部〜25質量部である。
前記粒子は、透明フィルム基材を作製する組成物(ドープ)の調製時にセルロースエステル、他の添加剤及び有機溶媒とともに含有させて分散させてもよく、また、単独で溶液中に分散させてもよい。粒子の分散方法としては、前もって有機溶媒に浸してから高剪断力を有する分散機(高圧分散装置)で細分散させておくのが好ましい。
ドープ調製方法としては、多量の有機溶媒に粒子を分散しておき、セルロースエステル溶液と合流させ、インラインミキサーで混合してドープにすることが好ましい。この場合、粒子分散液に紫外線吸収剤を加え紫外線吸収剤液としてもよい。
また、上記の劣化防止剤、紫外線吸収剤は、セルロースエステルやセルロースエステル樹脂とアクリル樹脂からなる溶液の調製の際に、セルロースエステル、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂は溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
(有機溶媒)
ドープには、製膜性や生産性の点から、有機溶媒を含有することが好ましい。有機溶媒としては、セルロースエステル、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。例えば、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。これら有機溶媒の中でも塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンが好ましく用いられる。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。
ドープ中のセルロースエステルの濃度は15〜40質量%、ドープ粘度は100〜500ポアズ(P)の範囲に調整されることが良好なフィルム面品質を得る上で好ましい。
(溶液流延法)
セルロースエステルフィルム、及びセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムは、溶液流延法による製造では、セルロースエステル或いはセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂、及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
ドープ中のセルロースエステル、及びセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂の濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルム或いはセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂のからなるフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
(溶融製膜法)
セルロースエステルフィルム、及びセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムは、溶融製膜法によって製膜されることも好ましい。溶融製膜法は、セルロースエステル及びセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂、及び可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースエステルを含む溶融物を流延することをいう。
加熱溶融する成形法は、更に詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度などに優れるセルロースエステルフィルム、及びセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムを得るためには、溶融押出し法が優れている。
溶融押出しに用いる複数の原材料は、通常予め混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥セルロースエステルや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し1軸や2軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷または空冷し、カッティングすることでできる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。粒子や酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出し機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを1軸や2軸タイプの押出し機を用いて、押出す際の溶融温度を200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ロール上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。
ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や粒子などの添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ロールと弾性タッチロールでフィルムをニップする際のタッチロール側のフィルム温度はフィルムのTg以上Tg+110℃以下にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するロールは、公知のロールが使用できる。
弾性タッチロールは挟圧回転体ともいう。弾性タッチロールとしては、特許3194904号公報、特許3422798号公報、特開2002−36332号公報、特開2002−36333号公報などで開示されているタッチロールを好ましく用いることができる。これらは市販されているものを用いることもできる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
また、上記のようにして得られたフィルムは、冷却ロールに接する工程を通過後、前記延伸操作により延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行われることが好ましい。巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。尚、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、再利用される。
(偏光板保護フィルム)
本実施形態に係る反射防止フィルムを偏光板保護フィルムとした場合、該保護フィルムの厚さは10〜500μmが好ましい。特に20μm以上、更に35μm以上が好ましい。また、150μm以下、更に120μm以下が好ましい。特に好ましくは25以上〜90μmが好ましい。上記領域よりも反射防止フィルムが厚いと偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的には適さない。一方、上記領域よりも薄いと、フィルムの透湿性が高くなり偏光子に対して湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
(偏光板)
本実施形態に係る反射防止フィルムを用いた偏光板について述べる。偏光板は一般的な方法で作製することができる。本実施形態に係る反射防止フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した反射防止フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面に該反射防止フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本実施形態に係る反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが70〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)を用いることが好ましい。これらは例えば、特開2002−71957号公報、特開2003−170492号公報に記載の方法で作製することができる。または、更にディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348号公報に記載の方法で光学異方性層を形成することができる。或いは、特開2003−12859号公報に記載のリターデーションRoが590nmで0〜5nm、Rtが−20〜+20nmの無配向フィルムも好ましく用いられる。
本実施形態に係る反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。
裏面側に用いられる偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2、KC8UE、KC4UE(コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。該偏光膜の面上に、本実施形態に係る反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
(画像表示装置)
本実施形態に係る反射防止フィルムを用いて作製した偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた画像表示装置を作製することができる。
本実施形態に係る反射防止フィルムは前記偏光板に組み込まれ、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置またはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型、OCB型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられる。
また、本実施形態に係る反射防止フィルムは、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種画像表示装置にも好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例A
[実施例1]
<透明フィルム基材1;セルロースエステルフィルム1の製造>
(ドープ組成物1)
下記の材料を、順次密閉容器中に投入し、容器内温度を20℃から80℃まで昇温した後、温度を80℃に保ったままで3時間攪拌を行って、セルロースエステルを完全に溶解した。酸化ケイ素微粒子は予め添加する溶媒と少量のセルロースエステルの溶液中に分散して添加した。このドープを濾紙(安積濾紙株式会社製、安積濾紙No.244)を使用して濾過し、ドープ組成物1を得た。
セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.95) 100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
酸化ケイ素微粒子 0.2質量部
(アエロジルR972V、日本アエロジル株式会社製)
チヌビン109(チバ・ジャパン社製) 1質量部
チヌビン171(チバ・ジャパン社製) 1質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
ブタノール 5質量部
次に、得られたドープ組成物1を、温度35℃に保温した流延ダイを通じてステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる温度35℃の支持体上に流延して、ウェブを形成した。次いで、ウェブを支持体上で乾燥させ、ウェブの残留溶媒量が80質量%になった段階で、剥離ロールによりウェブを支持体から剥離した。
剥離後のウェブを、上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で90℃の乾燥風にて乾燥させながら搬送し、続いてテンターでウェブ両端部を把持した後、温度130℃で幅方向に延伸前の1.1倍となるように延伸した。テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で、温度135℃の乾燥風にて乾燥させた。乾燥工程の雰囲気置換率15(回/時間)とした雰囲気内で15分間熱処理した後、室温まで冷却して巻き取り、幅1.5m、膜厚80μm、長さ4000m、屈折率1.49の長尺のセルロースエステルフィルム1を作製した。またフィルムは、両端部に幅1cm、平均高さ10μmのナーリング加工を施して巻き取った。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出される剥離直後のウェブ搬送方向の延伸倍率は、1.1倍であった。
乾燥工程の雰囲気置換率とは、乾燥工程(加熱処理室)の雰囲気容量をV(m)、Fresh−air送風量をFA(m/hr)とした場合、下式によって求められる単位時間あたり熱処理室の雰囲気をFresh−airで置換する回数である。Fresh−airは熱処理室に送風される風のうち、循環再利用している風ではなく、揮発した溶媒若しくは可塑剤などを含まない、若しくはそれらが除去された新鮮な風のことを意味している。
雰囲気置換率=FA/V(回/時間)
<反射防止フィルム1の作製>
上記作製したセルロースエステルフィルム1上に、下記手順によりハードコート層、反射防止層を設け、反射防止フィルム1を作製した。
〈ハードコート層の作製〉
上記のセルロースエステルフィルム1を用いて、下記手順によりハードコート層を設けた。
上記のセルロースエステルフィルム1上に、下記のハードコート層形成用樹脂組成物(表中、HC層形成用樹脂組成物とした)を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層塗布液を調製し、図1に示す装置で、押出しコータを用いて塗布し、80℃で1分間乾燥後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm、照射量を0.2J/cmと条件で硬化させ、ドライ膜厚10μmのハードコート層を形成した。次いで、下記バックコート層塗布組成物をウェット膜厚10μmとなるように、ハードコート層を塗布した面とは反対の面に押出しコータで塗布し、50℃で乾燥させ、ハードコートフィルムを作製し、ロール状に巻き取った。
〈ハードコート層形成用樹脂組成物〉
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50質量部
ウレタンアクリレート(U−4HA:新中村化学工業社製) 50質量部
ラジカル重合開始剤(イルガキュア184:チバ・ジャパン社製) 5質量部
上記組成物に、酢酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテル=50質量部/50質量部の混合溶媒を添加して、固形分50重量%とし、ハードコート層形成用樹脂組成物を得た。
〈バックコート層塗布組成物〉
ジアセチルセルロース 0.6質量部
アセトン 35質量部
メチルエチルケトン 35質量部
メタノール 35質量部
シリカ粒子の2%メタノール分散液(KE−P30、日本触媒株式会社製)
16質量部
〈低屈折率層の作製〉
上記作製したハードコート層上に、下記のようにして低屈折率層形成用樹脂組成物1を塗布し、反射防止フィルム1を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物1)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 40質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−1 4質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 8質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
4質量部
カーボン材料C−2(フラーレン、関東化学社製のNanom purple ST)
4質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物1のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加した。
(エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1、A−2の調製)
3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン94.5部、メチルイソブチルケトン89.1部、0.1質量%水酸化カリウム水溶液10.8部を反応容器に仕込み、80℃に昇温し、5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで、0.5質量%酢酸水溶液を用いて推薦を繰り返した、ついで減圧下で溶媒を除去することによりケイ素化合物(A−1)67部を得た。得られたエポキシ当量は164g/eq、屈折率1.472であった。
次に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン94.5部、メチルイソブチルケトン89.1部、0.1質量%水酸化カリウム水溶液10.8部を反応容器に仕込み、80℃に昇温し、5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで、0.5質量%酢酸水溶液を用いて推薦を繰り返した、ついで減圧下で溶媒を除去することによりケイ素化合物(A−2)65部を得た。得られたエポキシ当量は180g/eq、屈折率1.491であった。
(中空シリカ微粒子分散液D−1の調製)
平均粒径25nm、SiO・Al濃度20質量%のシリカアルミナゾル100gと、純水3900gとの混合物を98℃に加温した。この温度を保持しながらSiO2として1.5質量%のケイ酸ナトリウム水溶液1750gとAlとして0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液1750gを添加して、SiO・Al一次粒子分散液を得た。反応液のpHは12.0であった。(工程a)
次いで、濃度1.5質量%の硫酸ナトリウム3300gを添加し、SiOとして1.5質量%のケイ酸ナトリウム水溶液6300gとAlとして0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液2100gを添加して複合酸化物微粒子分散液を得た。反応液のpHは12.0であった。(工程b)
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった複合酸化物微粒子分散液500gに純水1125g、濃度0.5質量%の硫酸ナトリウム100gを加え、更に濃塩酸(濃度35.5質量%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。
次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら、限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、固形分濃度20質量%のシリカ系微粒子の水分散液を得た。(工程c)
上記シリカ系微粒子の水分散液150gと、純水500g、エタノール1750g、及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO28質量%)140gを添加し、シリカ被覆層を形成し、純水5Lを加えながら限外濾過膜で洗浄して、固形分濃度20質量%のシリカ被覆層を形成したシリカ系微粒子の水分散液を得た。(工程d)
次に、上記シリカ被覆層を形成したシリカ系微粒子分散液にアンモニア水を添加してpHを10.5に調整し、150℃で11時間熟成した後常温に冷却し、陽イオン交換樹脂によるイオン交換と、陰イオン交換樹脂によるイオン交換を繰り返し行い、次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ微粒子分散液1を調製した。
この中空シリカ微粒子の外殻層の厚さは10nm、平均粒径は55nm、MOX/SiO(モル比)は0.0019、屈折率は1.24であった。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定した。
(低屈折率層の作製)
上記作製したハードコート層表面に低屈折率層形成用樹脂組成物1を、乾燥後の膜厚が85nmとなるように、図1で示す装置を用いて押出しコータで塗布し、温度80℃で1分間乾燥させ、次いで紫外線ランプを用い照射部の照度が200mW/cm、照射量を0.35J/cm条件で硬化させて低屈折率層を形成し、反射防止フィルム1を作製した。
[実施例2]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物2を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム2を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物2)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 43質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−2 3質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
2質量部
カーボン材料C−1(カーボンナノチューブ、ALDORICH社製のSingle-walled,CarboLex AP-grade)
7質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物2のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物2を得た。
[実施例3]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物3を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム3を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物3)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−2 33質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−1 2質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 12質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
5質量部
カーボン材料C−2(フラーレン、関東化学社製のNanom purple ST)
8質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物3のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物3を得た。
[実施例4]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物4を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム4を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物4)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 30質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−1 2質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 20質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
3質量部
カーボン材料C−1(カーボンナノチューブ、ALDRICH社製のSingle-walled,CarboLex AP-grade)
5質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物4のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物4を得た。
[実施例5]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物5を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム5を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物5)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 35質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−1 2質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 35質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 19.8質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
3質量部
カーボン材料C−1(カーボンナノチューブ、ALDRICH社製のSingle-walled,CarboLex AP-grade)
0.2質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物5のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物5を得た。
[比較例1]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物6を使用し、帯電防止層を形成しないこと以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム6を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物6)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−2 41質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−2 5質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 11質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
3質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物6のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物6を得た。
[比較例2]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物7を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム7を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物7)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 45質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−1 3質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
2質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物7のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物7を得た。
[比較例3]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物8を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム8を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物8)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−2 34質量部
イルガキュア250(チバ・ジャパン社製) 4質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 13質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
3質量部
カーボン材料C−2(フラーレン、関東化学社製のNanom purple ST)
6質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物8うち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物8を得た。
[比較例4]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物9を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム9を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物9)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 40質量部
イルガキュア250(チバ・ジャパン社製) 6質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
2質量部
カーボン材料C−1(カーボンナノチューブ、ALDRICH社製のSingke-walled,CarboLex AP-grade)
2質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物9のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物9を得た。
[比較例5]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物10を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム10を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物10)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 53質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−1 6質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
4質量部
カーボン材料C−2(フラーレン、関東化学社製のNanom purple ST)
7質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物10のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、上記化合物を、上記配合割合で加えて溶解させ、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物10を得た。
[比較例6]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物11を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム11を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物11)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−2 60質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−2 7質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 25質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
3質量部
カーボン材料C−1(カーボンナノチューブ、ALDRICH社製のSingle-walled,CarboLex AP-grade)
5質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物11のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、上記化合物を、上記配合割合で加えて溶解させ、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物11を得た。
[比較例7]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物12を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム12を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物12)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−2 42質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−1 8質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
7質量部
カーボン材料C−1(カーボンナノチューブ、ALDRICH社製のSingle-walled,CarboLex AP-grade)
3質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物12のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物12を得た。
[比較例8]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物13を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム13を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物13)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 41質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−2 8質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10質量部
カーボン材料C−1(カーボンナノチューブ、ALDRICH社製のSingle-walled,CarboLex AP-grade)
1質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物13のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物13を得た。
[比較例9]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物14を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム14を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物14)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 25質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−1 5質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 15質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
3質量部
カーボン材料C−2(フラーレン、関東化学社製のNanom purple ST)
12質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物14のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物14を得た。
[比較例10]
低屈折率層を形成する際に、前記低屈折率層形成用樹脂組成物1の代わりに、下記低屈折率層形成用樹脂組成物15を使用すること以外、実施例1と同様にして、反射防止フィルム15を作製した。
(低屈折率層形成用樹脂組成物15)
エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物A−1 31.95質量部
スルホニウム塩系酸発生剤例示化合物S−2 4質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ系粒子D−1 40質量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 20質量部
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン
4質量部
カーボン材料C−2(カーボンナノチューブ、ALDRICH社製のSingle-walled,CarboLex AP-grade)
0.05質量部
イソプロピルアルコール 450質量部
メチルエチルケトン 450質量部
上記の低屈折率層形成用樹脂組成物15のうち、イソプロピルアルコール及びメチルエチルケトンに対して、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を除く化合物を、上記配合割合で加えて溶解した後に、イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子D−1を上記の配合割合で添加し、固形分10%の低屈折率層形成用樹脂組成物15を得た。
上記各条件をまとめたものを表1に示した。表1中、含有していないものを「−」と示した。
Figure 2010191023
《評価》
上記作製した実施例1〜5および比較例1〜10に係る反射防止フィルム1〜15について、下記方法により評価した。得られた結果を表2に示した。
(ヘイズ)
ヘイズメーター(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて、各反射防止フィルムのヘイズを測定した。なお、ヘイズは、透明性の指標となり、1%未満であることが好ましい。
(透過率)
透過率は、分光光度計U−3400(日立製作所(株))を用い、各反射防止フィルムの可視光領域の平均透過率を測定し、以下の基準で評価し透過率の評価とした。可視光領域とは、波長400〜720nmとしている。
◎:可視光領域の平均透過率が95%以上
○:可視光領域の平均透過率が90%以上95%未満
△:可視光領域の平均透過率が85%以上90%未満
×:可視光領域の平均透過率が85%未満。
(干渉むら)
各反射防止フィルムの低屈折率層が形成された反対の面を、サンドペーパーで擦り、その後、艶消しの黒色塗料を塗布し、低屈折率層形成側から、3波長蛍光灯で照らす角度と目視する角度をいろいろと変えて、干渉むらを観察し、以下の基準で評価した。
◎:全方位にわたって干渉むらが全く観察されない
○:方向により僅かに干渉むらが観察される
△:全方位で僅かに干渉むらが観察される
×:明らかに干渉むらが観察される。
(表面抵抗値)
各反射防止フィルムを23℃、湿度50%の条件下で24時間調湿後、低屈折率層の表面抵抗率を、三菱化学社製の「ハイレスター」を用いて、印加電圧100Vの条件で測定した。
(耐光性試験)
各反射防止フィルムの表面に、スーパーキセノンウェザーメーター(SX120、スガ試験機(株)製)を用いて、光量100W/m;300〜400nm、ブラックパネル温度50℃、湿度65%、試験時間2000時間の条件にてUV照射試験(耐光性試験)を行った。その後、下記記載の方法で、耐光性試験前後の密着性試験、耐擦傷性試験を行った。
(密着性試験)
耐光性試験前後の各反射防止フィルムを10cm角の大きさに切り出し、エタノール、メチルエチルケトン、pH4緩衝液、pH9緩衝液に1時間浸し、その後純水で洗浄した。
次いで、JIS K 5600に準拠して、碁盤目テープ剥離試験を行った。各反射防止フィルムの表面にカッターで切り込みを入れて100個のマス目をつくり、粘着テープ(日東電工製No.31B)を圧着してから剥離することを同じ場所で3回繰り返して行った。その後、テープ剥離後の試料表面を目視観察し、以下の基準で評価を行った。
密着性評価基準
◎:剥離が全く確認できない
○:剥離がほとんど確認できないが、一部のマスで端部が欠けているのが確認できる
△:全ての面ではないが、剥離が確認できる
×:剥離が全面で確認できる。
なお、評点が○〜◎であれば実用上問題はない。
(耐擦傷性試験)
耐光性試験前後の各反射防止フィルムを5cm×10cmの大きさに切り出し、エタノール、メチルエチルケトン、pH4緩衝液、pH9緩衝液に1時間浸し、その後純水で洗浄した。
次いで、日本スチールウール株式会社製ボンスター#0000のスチールウール(SW)に300g/cmの荷重をかけ、10往復したときの1cm幅当たりの傷の本数を目視にて数え、以下の基準で評価した。尚、傷の本数は荷重をかけた部分の中で最も傷の本数の多い所で測定した。
◎:傷の本数が0〜3本/cm
○:傷の本数が4〜7本/cm
○´:傷の本数が8〜10本/cm
△:傷の本数が11〜20本/cm
×:傷の本数が21本/cm以上。
Figure 2010191023
表2の結果より、本実施形態に係る反射防止フィルム(実施例1〜5)は、比較例1〜10と比較して、ヘイズ、透過率、干渉むらに優れ、フィルム作製後即の試料のみならず、耐光性試験後の密着性、耐擦傷性にも優れていることが明らかである。また、本実施形態に係る反射防止フィルムは、表面抵抗値が低く、帯電防止性に優れることもわかった。
実施例B
[実施例6〜10及び比較例11〜20]
下記の方法に従って、前記各反射防止フィルム1〜15とセルロースエステル系光学補償フィルムであるKC8UCR5(コニカミノルタオプト株式会社製)各々1枚を偏光板保護フィルムとして用いて、偏光板をそれぞれ作製した。
(a)偏光膜の作製
ケン化度99.95モル%、重合度2400のポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)100質量部に、グリセリン10質量部、及び水170質量部を含浸させたものを溶融混練し、脱泡後、Tダイから金属ロール上に溶融押出し、製膜した。その後、乾燥・熱処理して、PVAフィルムを得た。得られたPVAフィルムは、平均厚みが40μm、水分率が4.4%、フィルム幅が3mであった。
次に、得られたPVAフィルムを、予備膨潤、染色、湿式法による一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で、連続的に処理して、偏光膜を作製した。即ち、PVAフィルムを温度30℃の水中に30秒間浸して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの温度35℃の水溶液中に3分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の50℃の水溶液中でフィルムにかかる張力が700N/mの条件下で、6倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの温度30℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。その後、PVAフィルムを取り出し、温度40℃で熱風乾燥し、更に温度100℃で5分間熱処理を行った。得られた偏光膜は、平均厚みが13μm、偏光性能については透過率が43.0%、偏光度が99.5%、2色性比が40.1であった。
(b)偏光板の作製
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と、偏光板用保護フィルムとを貼り合わせて実施例1〜5及び比較例1〜10に係る各反射防止フィルム1〜15に対応する各偏光板101〜115を作製した。
工程1:光学補償フィルム(コニカミノルタオプト(株)製コニカミノルタタック KCUCR−5)と反射防止フィルムを、2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に、温度60℃で、90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。各反射防止フィルムの低屈折率層を設けた面には、予め剥離性の保護フィルム(PET製)を貼り付けて保護した。
同様にして、前述した光学補償フィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に、温度60℃で、90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。
工程2:前述の偏光膜を、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤溶液の貯留槽中に1〜2秒間浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、この偏光膜を、工程1でアルカリ処理した光学補償フィルムと反射防止フィルムとで挟み込んで、積層配置した。
工程4:積層物を、2つの回転するローラにて20〜30N/cmの圧力で約2m/minの速度で貼り合わせた。このとき、気泡が入らないように注意して実施した。
工程5:工程4で作製した試料を、温度80℃の乾燥機中にて2分間乾燥処理し、偏光板101〜133を作製した。
次に、市販の液晶表示パネル(VA型)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向を合わせた各偏光板101〜115を貼り付けた。そうすることによって、各偏光板101〜105を備えた、実施例6〜10及び比較例11〜20に係る液晶パネル101〜115を、下記のように評価した。
[視認性]
各液晶パネル101〜115の視認性を以下のように評価した。
各液晶パネル101〜115を、床から80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X 松下電器産業株式会社製)40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット配置した。この場合、評価者が液晶表示パネルの表示面の正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に蛍光灯がくるように配置した。各液晶パネルは机に対する垂直方向から25°傾けて、蛍光灯が写り込むようにして画面の見易さ(視認性)を、下記のランクに分けて評価した。
A:干渉むらもなく、最も近い蛍光灯の映り込みが気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もはっきりと読める
B:干渉むらもなく、近くの蛍光灯の映り込みはやや気になるが、遠くは気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もなんとかと読める
C:干渉むらがやや観察され、遠くの蛍光灯の映り込みも気になり、フォントの大きさ8以下の文字を読むのは困難である
D:干渉むらが明らかに認められ、蛍光灯の映り込みがかなり気になり、映り込みの部分はフォントの大きさ8以下の文字を読むことはできない
この評価の結果、前記各反射防止フィルム6〜15に対応する偏光板を用いた、比較例11〜20に係る各液晶パネル106〜115は、全てC以下の評価だったのに対して、前記各反射防止フィルム1〜5に対応する偏光板を用いた実施例6〜10に係る各液晶パネル101〜105は、全てB以上の評価結果であり、干渉むらもなく視認性が良好であることが確認された。
1 繰り出しローラ
2 搬送ローラ
3 塗布装置
4 対向ローラ
5 第1乾燥装置
6 活性線照射装置
7 第2乾燥装置
8 巻取装置

Claims (8)

  1. 透明フィルム基材上に低屈折率層を含む反射防止フィルムにおいて、
    前記低屈折率層が少なくとも(a)エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、(b)スルホニウム塩系酸発生剤、(c)外殻層を有し、内部が多孔質または空洞であるシリカ微粒子、(d)電離放射線硬化型樹脂、(e)光ラジカル開始剤、(f)カーボン材料からなり、
    前記カーボン材料の含有量が、前記低屈折率層100質量部に対して、0.1〜10質量部であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記スルホニウム塩系酸発生剤が、下記一般式(1)〜(4)のいずれかで示されるスルホニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
    Figure 2010191023

    [一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ水素原子または置換基を表し、R〜Rが同時に水素原子を表すことがなく、一般式(2)中、R〜Rはそれぞれ水素原子または置換基を表し、R〜Rが同時に水素原子を表すことがなく、一般式(3)中、R〜R11はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R〜R11が同時に水素原子を表すことがなく、一般式(4)中、R12〜R17はそれぞれ水素原子または置換基を表し、R12〜R17が同時に水素原子を表すことがなく、Xは、各々非求核性のアニオン残基を表す。]
  3. 前記カーボン材料が、少なくともカーボンナノチューブ、フラーレン及びアモルファスカーボンのいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記電離放射線硬化型樹脂が、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれ1項に記載の反射防止フィルム。
  5. 前記光ラジカル重合開始剤が、少なくともα−ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン、及びオキシムエステルのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  6. 前記シリカ微粒子の平均粒子径が、10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを少なくとも一方の面に用いることを特徴とする偏光板。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、または請求項7に記載の偏光板を用いることを特徴とする画像表示装置。
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