JP2012240864A - 中空粒子、赤外線反射フィルム及び赤外線反射体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シェルがシリカ(SiO2)と金属酸化物(MOx)を含有し、その組成がモル比で、
1<(Si/M)<100
で、かつ体積換算平均粒子径が、10〜200nmであることを特徴とする中空粒子。
(式中、Mは第3族、第4族、第5族、第13族またはSiを除く第14族の金属元素を表す。)
【選択図】なし
Description
1<(Si/M)<100
で、かつ体積換算平均粒子径が、10〜200nmであることを特徴とする中空粒子。
(式中、Mは第3族、第4族、第5族、第13族またはSiを除く第14族の金属元素を表す。)
2.前記Mが第3族イットリウム、第4族ジルコニウム、第4族チタン、第5族ニオブ及び第13族ガリウムから選ばれる1種であることを特徴とする前記1に記載の中空粒子。
1<(Si/M)<100
で、かつ体積換算平均粒子径を10〜200nmとすることにより、空隙率が高く、小粒径で、かつ温湿度等の環境変化に強い球状の中空粒子が得られることを見出し本発明に至った次第である。式中、Mは第3族、第4族、第5族、第13族またはSiを除く第14族の金属元素を表す。
中空粒子は、シェルにより内部が中空化された状態になった粒子である。本発明の中空粒子はその屈折率の低いことに価値があるため、シェルとして屈折率が2を超えるような高い材料(酸化チタン、酸化ジルコニウム等)を、シェル材料として多量に用いることは好ましくない。逆にシリカのように屈折率の低い材料(1.46)を用いることが好ましい。ただし、高屈折率材料であってもシリカと併用することでシェルの強度を増し、シェル厚5nm以下に薄膜化しても、シェル厚5nmのシリカシェル以上に強度を上げることができれば、高屈折率材料を使用することによる屈折率上のデメリットを補う可能性があり、その併用は好ましいことになる。本発明では、特定の金属からなる金属酸化物を特定の比率で含有させることで、そのような効果を得られることを見出した。さらに、第2族の元素、特にカルシウムまたはマグネシウムを含有することで、その効果を一層高めることができることを見出した。なお、特許文献4には、中空粒子の内部に、中空の前駆体となったSi以外の金属酸化物が残されていてもよいとの記載があるが、それをシェル部の強化に用いることは意図されていないため、本発明とは本質的に異なる。
SiO2と金属酸化物(MOx)との複合化は、液相中、気相中で作製することができるが、その生産性、均一性から液相中での作製が好ましい。液相中でも各種の手法で作製することができるが、コアとなる粒子の表面にシェルとなる材料を付着させ、その後コアを何らかの方法で除去する手法を用いるが好ましい。
(1)SiO2とMOxを同時に原料化合物から析出させる方法
SiO2の原料として、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩類、TEOS、TMOSに代表されるSiのエトキシド、メトキシド等のアルコキシド類、SiCl4といった塩化物に代表されるハロゲン化物、Si−N結合を有するシラザン等を用いることができる。
(2)SiO2とMOxを別々に原料化合物から析出させる方法
上記(1)に示される原料を、少なくとも1種を先に反応させシェルを形成させた後、他種を加え複合化させることもできる。たとえば、SiO2のみを小さな粒子径に析出させ、コア粒子の表面に吸着させる。この時点では、粒子間には強固な結合が進んでおらず反応活性な状態である。ここに、他種の金属酸化物原料、ないし超微粒子状態の酸化物を添加し、シリカの表面に吸着、結合後、熟成させることでコア粒子の表面で複合化された状態のシェルを得ることができる。この方法の利点は、(a)シリカの析出反応は他の金属酸化物の生成に比して遅い場合があり、単独であれば粒子径(シェル厚)にあわせたタイミングでシェル化反応をさせやすいこと、(b)シリカ単独でもある程度の強度を有するシェルが形成できるため、シリカシェルを出発として、それを上回るような強度向上が計りやすいこと、すなわちシリカの屈折率の低さを損ないにくいこと等が挙げられる。ただし、(1)の手法と比較して、制御すべきパラメータが多くなり、装置的な負荷が増大するといったデメリットも存在する。手法は適宜選択できる。
樹脂の光散乱性、機械的物性等の制御のため、各種のフィラーが用いられる。これらのフィラーのうち、中空のガラスビーズ状のフィラーは、通常ミクロンオーダーの大きさがあるため、光を強く散乱、反射し、光の遮蔽性を上げるために用いられる。本発明の中空粒子は、光遮蔽効果よりも、透明、軽量で、かつ表面の光反射を低下させる用途に適する。下記の反射防止フィルムにもあるように、空気と樹脂の表面での屈折率差が大きいとその表面反射が大きくなるためである。代表的な用途として、下記に詳細を述べる反射防止フィルム、射出成型、押出し成型等で得られる各種樹脂成型体への適用が考えられる。樹脂成型体では、その表面への機能の付与の観点で、本発明のような中空粒子が実用化された例がないが、逆にこれまでにない機能の付与が可能な材料となることが容易に想定できる。
本発明の中空粒子を用いてその物性の効果が特に有効に発揮される光学材料として、反射防止膜が挙げられる。反射防止膜は、各種ディスプレーの最表面に設けられ、外光の反射を防止して、ディスプレー表示の視認性を高めるのに大きな効果を発揮する。反射防止膜に必要な物性は、空気層(屈折率n0)から屈折率n1の媒体へ入射する時の反射率Rを小さくすることである。
例えば、汎用的な素材であるPET基材は、屈折率を1.63程度に見積もれる。このPETでシミュレーションすると、屈折率1.4の層を設けた際の最低反射率は1%弱であり、この系で最低反射率を0にするために必要な屈折率は1.277程度と非常に低くなる。空隙率50%のシリカ中空粒子であっても、その空隙率は1.23程度であり、バインダー中に30体積%で分散させても屈折率を1.3以下にすることは、バインダーの選定を非常に困難にする。PET表面に表面層の接着層やハードコート等、別の機能を有する層を設けようとすると、屈折率は1.63よりさらに低下することが多いため、一層の低屈性率層でこのような低屈折率層を設けることは困難となる。より性能向上させるためには、高屈折率の層と低屈折率の2層以上の層を積層して反射界面を増やしたマルチコートという手法をとる場合が多い。しかし、本発明の中空粒子は空隙率が大きいので、一層でも反射率の低い反射防止膜を作製することが可能になる。もちろん、2層以上の積層膜であっても、低屈折率層の屈折率を容易に制御できるためその使用は可能である。
本発明の高空隙率(低屈折率)の中空粒子を含有させると、層の屈折率を大きく低下させられることから、層数が減じられ、コスト、性能上効果が大きいのは赤外線反射フィルムである。
次いで、本発明の赤外線反射フィルムにおける高屈折率層と低屈折率層の基本的な構成概要について説明する。
以下、本発明の赤外線反射フィルムの各構成要素の詳細について説明する。
本発明の赤外線反射フィルムに適用する基材としては、フィルム支持体であることが好ましく、フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。
本発明に係る低屈折率層は、本発明の中空粒子を含有する。このとき、適当な皮膜形成性バインダーを溶解した媒体中に本発明の中空粒子を分散し、塗布・乾燥することで低屈折率層の作製に使用することが好ましい。
本発明に係る高屈折率層は、(1)高屈折率材料の溶解液・分散液の塗布乾燥、(2)蒸着、スパッタ等の気相法、(3)高屈折率の樹脂フィルムを用いることができる。
これら材料のフィルム化には、溶融成膜、溶液成膜等各種の手法の適用が可能である。また赤外光反射に必要な厚みに調節するため、プレス、延伸等の手法を用いることができる。一層ずつ厚みを調整後低屈折率層との接合に適用してもよいが、低屈折率層を挟み込んでから、一括して延伸し膜厚を調整することも可能である。以下に詳細を述べる。
本発明の赤外線反射フィルムの製造方法では、基材上に低屈折率層と低屈折率層に隣接した高屈折率層から構成されるユニットを積層して形成されるが、具体的には低屈折率層と高屈折率層とを交互に塗布、乾燥して積層体を形成することが好ましい。
高屈折率の基材上に、バインダー溶液に本発明の中空粒子を分散した液を塗布して低屈折率層を作製できるほか、溶融した熱可塑性樹脂中にフィラーとして本発明の中空粒子を練りこみ、そのままフィルムダイ、いわゆるTダイを用いて溶融押出し製膜することもできる。低屈折率層、高屈折率層とも、100〜200nmの厚さに調整する必要があるため、液を塗布して乾燥させた場合、あるいはTダイを用いて溶融成膜した場合も、延伸やカレンダーによって厚みを調整する。溶融押出しを用いる場合、共押出し法により多層の多層フィルムを作製し、それらをさらに積層した後に延伸、カレンダーを行うことで、工程数を減らすことも可能である。
本発明に係る高屈折率層と低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号等の公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等の公報に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
本発明の赤外線反射フィルムは、近赤外線を反射し熱線の遮断に効果のあることから、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、赤外線遮蔽体として用いられる。例えば、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムを貼合した遮蔽体、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる赤外線遮蔽体等がある。
〔中空粒子1〜31の作製〕
ビーズ状のイオン交換樹脂(強酸性陽イオン交換樹脂 IR120B オルガノ社製)36.5mlを水150gに加えたものを35℃に保温し、激しく攪拌しながら25℃に保温した5号ケイ酸ソーダ(富士化学社製)7.5gを一気に添加した。さらに30分攪拌を続け、陽イオン交換樹脂を分離しシリカゾルを得た。9質量%に調整した炭酸カルシウム分散液(株式会社ニューライム ユニフレックス SS)100gに、上記シリカゾル130gと水100gを加え、ウルトラアペックスミル(UAM−015 寿工業製)で分散した。分散は、0.05mmφのジルコニアビーズを用い、回転数は周速6m/sec、30℃で10分行った。ここに、表1に示す各種の金属塩化物1N水溶液を、Si/Mモル比が表1に示す値になるように加え、さらに5分間上記の分散を継続した。その後得られた液を、攪拌しながら100℃で3時間攪拌し反応を終了させた。このときの液pHは、8.0〜8.5の範囲であった。
中空粒子4の作製において、イオン交換樹脂を含有した水を3℃に保温した以外は同様にしてシリカゾルを作製した。また、ウルトラアペックスミルによる分散を、0.015mmのビーズを用い周速を12m/secに上げて行った以外は、中空粒子4と同様にSiとMの複合化を行った。その後の工程は、中空粒子4の作製と同様にして行った。
中空粒子4の作製において、イオン交換樹脂を含有した水を10℃に保温した以外は同様にしてシリカゾルを作製した。また、ウルトラアペックスミルによる分散を、0.03mmのビーズを用い周速を12m/secに上げて行った以外は、中空粒子4と同様にSiとMの複合化を行った。その後の工程は、中空粒子4の作製と同様にして行った。
中空粒子4の作製において、イオン交換樹脂を含有した水を10℃に保温した以外は同様にしてシリカゾルを作製した。また、ウルトラアペックスミルによる分散を、0.03mmのビーズを用い周速を10m/secに上げて行った以外は、中空粒子4と同様にSiとMの複合化を行った。その後の工程は、中空粒子4の作製と同様にして行った。
中空粒子4の作製において、シリカゾルを5nmの市販シリカゾル(スノーテックスOXS、日産化学製)を濃度が同じになるように純水で希釈して用い、炭酸カルシウムとしてPP(株式会社ニューライム製)を用いた以外は、中空粒子4と同様にSiとMの複合化を行った。その後の工程は、中空粒子4の作製と同様にして行った。
中空粒子4の作製において、シリカゾルを9nmの市販シリカゾル(スノーテックスOS、日産化学製)を濃度が同じになるように純水で希釈して用い、炭酸カルシウムとしてPP(株式会社ニューライム製)を用い、その分散時間を3分に短縮した以外は、中空粒子4と同様にSiとMの複合化を行った。その後の工程は、中空粒子4の作製と同様にして行った。
中空粒子4の作製において、シリカゾルを20nmの市販シリカゾル(スノーテックスO−40、日産化学製)を濃度が同じになるように純水で希釈して用い、炭酸カルシウムとして1〜3ミクロンの軽質タンカル(株式会社ニューライム製)を用いた以外は、中空粒子4と同様にSiとMの複合化を行った。その後の工程は、中空粒子4の作製と同様にして行った。
(シェル形成状態の評価)
上記で得られた中空粒子を、そのままの状態でTEM(日立製:HF−2000型)で各10枚の撮影し、複合酸化物によるシェルの形成状態を下記基準で評価した。
4:加えたシリカ粒子の50%〜90%未満がシェル形状を保っている
3:加えたシリカ粒子の10%〜50%未満がシェル形状を保っている
2:加えたシリカ粒子の10%未満がシェル形状を保っている
1:加えたシリカ粒子のうちシェル形状を保っている粒子がない
シェル形状を保っている粒子が多い順に、中空粒子の強度が高いことを示す。
上記TEMに付属するEDX(エネルギー分散型X線分光法)を用いて測定した。
本実施例においては、ISPジャパン社製のPVP/PVA(ポリビニルピロリドン−ポリビニルアセテート)コポリマー、W−635(PVP/PVA=6/4、屈折率nd=1.50)をバインダーとし、粒子質量分率=0.1で2質量%にした水溶液を、ガラス上にアプリケータで塗布、150℃で乾燥させて1μm厚程度の皮膜を作製し、その屈折率を分光エリプソメーター(Horiba製、MM−16)で測定した。本実施例では波長589nmに対する値(nd)で比較した。実際の空隙率、すなわち粒子全体に対する空隙体積の比をTEM写真から正確に求めることは困難であるが、ポリマーバインダーに分散して塗布乾燥することで皮膜を作製し、この皮膜の屈折率を測定すると、中空粒子内部の空隙が多いほど皮膜の屈折率も低下していく。このことから、中空粒子の空隙率の平均値を逆算することができる。シェルが強固で、乾燥による破壊が少ないほど、粒子のシェルが破壊されにくくなるため、空隙率の平均値は増大し、シェルが強固であると言い換えることもできる。空隙率に依存する屈折率の変化を式にすると下記のようになる。
ここで、xは粒子の中空粒子の体積分率(空隙含む)、npは中空粒子の屈折率、nbはバインダーの屈折率である。さらに、
x=a/Sp/(a/Sp+(1+(1−a)/Sb)
と表される。ここで、aは粒子の質量分率、Spは粒子の見かけ比重(粒子真比重×(1−V)、Vは空隙率)、Sbはバインダーの比重である。
〔中空粒子32の作製〕
実施例1の中空粒子4の作製において、炭酸カルシウムを除去した後、十分な量の陽イオン交換樹脂(強酸性陽イオン交換樹脂IR120B)を加え、100℃で24時間加熱還流した。イオン交換樹脂による24時間処理により、CaがSiに対し50ppm程度になっていることが確認できた。なお、イオン交換樹脂処理前の中空粒子4のCaは1100ppmであった。
中空粒子32の作製において、Beの塩化物の種類とSiに対する質量比を変えて表2の種類と値になるように添加し、同様にして中空粒子33〜76を作製した。
(第2族元素の定量)
中空粒子の第2族元素の含有量は、HF/HNO3/HClO4による分解後、HFをマスキングしてICPを用いて定量した。
実施例1と同様に評価した。なお、TEMでシェルの形成が確認できる粒子においては、その体積平均粒子径は25〜30nm程度であることが確認できた。
〔赤外線反射フィルムの作製〕
(低屈折率層塗布液の調製)
実施例1の中空粒子4の作製で、ZrCl4を添加、100℃3時間の反応後、下記含有量となるようにPVAを加えた後、UAM−015で5分間分散処理を行った(周速6m/sec)。その後、実施例2と同様に、十分な量の酢酸を加え、コアである炭酸カルシウムを溶解後、限外ろ過装置を用いて、不純物となる各種水溶性塩類を除去した。さらに、十分な量の陽イオン交換樹脂(強酸性陽イオン交換樹脂 IR120B)を加え、100℃で24時間加熱還流し、陽イオン交換樹脂を分離した。中空粒子のSiに対する質量比(含量)が表3の値になるように、第2族元素のMgまたはCaの塩化物を添加し、100℃で3時間加熱した。得られた中空粒子分散液は、再び限外ろ過で洗浄し、中空粒子を得た。
PVA−235(クラレ社製) 24部
界面活性剤(コータミン24P、5%水溶液、花王社製) 4部
ホウ酸(3%水溶液、東京化成社製) 4部
純水 941部
また、赤外線反射フィルム23〜24の低屈折率層塗布液は、従来のシリカ中空粒子(粒子径50nm、シェル厚約6nm、日揮触媒化成工業(株)製)のイソプロパノール分散液を、ロータリーエバポレーターを用いてイソプロピルアルコールから水に溶媒置換を行い、シリカ微粒子20質量%の分散液を用いた。赤外線反射フィルム24の低屈折率層塗布液は、従来のシリカ中空粒子20質量%の分散液を得て、それを上記のように39部になるよう調製して用いた。
(二酸化チタン分散液の作製)
二酸化チタンとしての濃度が100g/Lの、硫酸チタン水溶液を熱加水分解して得た二酸化チタン水和物を水に懸濁させた水性懸濁液10Lに濃度10モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液30Lを撹拌下で徐々に添加した、その後温度を90℃として5時間熟成した後、塩酸で中和し、ろ過、水洗した。得られた塩基処理二酸化チタンを40℃の純水に懸濁させた後、撹拌下でクエン酸を酸化チタンに対し0.4モル%加え昇温した。液温が95℃になったところで、濃塩酸を塩酸濃度が30g/Lになるよう加え、液温を維持しつつ3時間撹拌した。得られた二酸化チタン分散液は二酸化チタン粒子が20質量%でpHは1.4であった。
下記の添加物1)〜5)を、まず、1)二酸化チタン分散液を攪拌しながら50℃まで昇温した後、2)低分子量ゼラチンを添加して30分間攪拌した。次いで、3)高分子量ゼラチンと4)純水を添加し、90分間攪拌した後、5)界面活性剤を添加、混合し、pH=2.8の高屈折率層塗布液1を調製した。組成を質量部で示す。
1)20質量%二酸化チタン分散液2(ルチル型酸化チタン粒子) 60部
2)PVA−235 5%水溶液(クラレ社製) 225部
3)純水 150部
4)5.0質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、花王社製) 0.45部
《赤外線反射フィルムの作製》
16層重層塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用い、前記の低屈折率層塗布液及び高屈折率層用塗布液を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300:両面易接着層)上に、それぞれ交互に8層ずつ、乾燥時の膜厚が低屈折率層は各層180nm、高屈折率層は各層130nmになるように計16層を毎秒100mの速度で同時重層塗布を行った。塗布直後、5℃の冷風を吹き付けてセットさせた。このとき、表面を指でふれても指に何もつかなくなるまでの時間(セット時間)は5分だった。セット完了後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、赤外線反射フィルムを作製した。
(屈折率の測定)
基材上に屈折率測定の対象層(高屈折率層、低屈折率層)をそれぞれ単層だけで塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って各高屈折率層及び低屈折率層の屈折率を求めた。
上記分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、各試料の300〜2000nmの領域における透過率を測定した。可視光透過率は550nmにおける透過率の値を用い、これを可視光透過性の指標とした。
上記単層試料及び重層試料について、20℃、相対湿度95%の環境と80℃、相対湿度40%の環境変化を、各々2時間(計4時間)のサイクルで100回繰り返した後、上記の屈折率、可視光透過率及び赤外線透過率の測定を行った。
〔赤外線反射体の作製〕
(近赤外反射体1の作製)
実施例3で作製した近赤外反射フィルム6を用いて近赤外反射体1を作製した。厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、近赤外反射フィルム6をアクリル接着剤で接着して、近赤外反射体1を作製した。
実施例3で作製した近赤外反射フィルム6を用いて近赤外反射体2を作製した。厚さ2mm、20cm×20cmの板ガラスを2枚用意し、近赤外反射フィルム6の両側に、厚さ0.5mmのポリビニルブチラールを配置した積層体を2枚のガラスの間に挟んで加圧加熱処理を行うことで合わせガラスである近赤外反射体2を作製した。
上記作製した近赤外反射体1、2は、サイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、また、本発明の近赤外反射フィルムを利用することで、優れた近赤外反射性及び耐久性を確認することができた。
Claims (6)
- シェルがシリカ(SiO2)と金属酸化物(MOx)を含有し、その組成がモル比で、
1<(Si/M)<100
で、かつ体積換算平均粒子径が、10〜200nmであることを特徴とする中空粒子。
(式中、Mは第3族、第4族、第5族、第13族またはSiを除く第14族の金属元素を表す。) - 前記Mが第3族イットリウム、第4族ジルコニウム、第4族チタン、第5族ニオブ及び第13族ガリウムから選ばれる1種であることを特徴とする請求項1に記載の中空粒子。
- 前記シェルが、第2族元素をSiに対する質量比で100〜500000ppm含有することを特徴とする請求項1または2に記載の中空粒子。
- 前記第2族元素がカルシウムまたはマグネシウムであることを特徴とする請求項3に記載の中空粒子。
- 基材上に、低屈折率層と、該低屈折率層に隣接し該低屈折率層より屈折率が0.1以上高い高屈折率層とを有するユニットを有する赤外線反射フィルムであって、該低屈折率層が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空粒子を含有することを特徴とする赤外線反射フィルム。
- 請求項5に記載の赤外線反射フィルムを具備することを特徴とする赤外線反射体。
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