JP2010190657A - 走査機構および走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査機構および走査型プローブ顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】非常に高い直進性を有する高速走査に適した走査機構を提供する。
【解決手段】走査機構10Aは、固定枠11と、X,Y軸に沿って移動される可動部14Aと、可動部14Aの周囲に設けられた弾性部16A〜16Dと、弾性部16C,16DからX,Y軸に沿って延出した延出部13A,13Bと、弾性部16A〜16Dを支持する支持部15とを有している。弾性部16A〜16Dは同一形状をしている。支持部15は固定枠11に固定されている。可動部14Aと支持部15と弾性部16A〜16Dと延出部13A,13Bは一体的に形成されている。圧電素子12A,12Bは弾性部16A,16Bと固定枠11との間にX,Y軸に沿って配置されている。延出部13A,13Bは、可動部14A,14BがY,X軸に沿って移動したときのY,X軸方向の弾性変形が圧電素子12A,12Bと同等となる弾性特性を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、走査型プローブ顕微鏡に関する。
走査機構を用いた装置のひとつに走査型プローブ顕微鏡がある。走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、機械的探針を機械的に走査して試料表面の情報を得る走査型顕微鏡であり、走査型トンネリング顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型磁気力顕微鏡(MFM)、走査型近接場光顕微鏡(SNOM)などがある。
走査型プローブ顕微鏡で用いられる走査機構は、例えば機械的探針と試料とを相対的にXY方向にラスター走査し所望の試料領域の表面情報を、機械的探針を介して得るものである。XY走査の間、Z方向についても試料と探針との相互作用が一定になるようフィードバック制御してZ方向の移動を担う走査機構を動かしている。このZ方向の動きは規則的な動きをするXY方向の動きとは異なり、試料の表面形状や表面状態を反映するため不規則な動きとなるが、一般にZ方向の走査動作とされている。このZ方向の走査はXYZ方向の各走査の中で最も高い周波数での動きとなる。
走査型プローブ顕微鏡のX方向の走査周波数は0.05から200Hz程度であり、Y方向の走査周波数は、X方向走査周波数のY方向走査ライン数分の1程度であって、Y方向走査ライン数は10から1000ラインである。またZ方向の走査周波数はX走査方向周波数に対し、X方向走査1ラインあたりの画素数倍からその数百倍程度となる。
例えば、X方向100画素、Y方向100画素の画像を1秒で取り込むとき、X方向の走査周波数は100Hz、Y方向の走査周波数は1Hz、Z方向の走査周波数は10kHz以上となる。なお、この例の走査周波数は走査型プローブ顕微鏡としては今のところ最も高い走査周波数にあたり、一般的な走査型プローブ顕微鏡においてはX方向走査周波数は数Hz程度に留まっている。この例のような高い走査周波数を実現するには、その走査機構は、外部からの振動に対し安定であるのはもちろん、内部の走査動作にともない自分自身で発生する振動が小さく抑えられていることが求められる。
特開2004−33335号公報は、高速に動作可能な走査機構を開示している。特開2004−33335号公報に開示されている走査機構のひとつを図15に示す。
図15に示す走査機構500Aは、固定台501と、固定台501に収容されたXYステージ509と、XYステージ509と固定台501の間にX軸に沿って延びているXアクチュエーター502Aと、XYステージ509と固定台501の間にY軸に沿って延びているYアクチュエーター502Bとを備えている。
XYステージ509は、X軸とY軸に沿って移動される可動部504と、可動部504の周囲に位置する固定部505と、可動部504のX軸に沿った両側に位置し、可動部504と固定部505を接続している一対の第一の弾性支持部506Aと506Cと、可動部504のY軸に沿った両側に位置し、可動部504と固定部505を接続している一対の第二の弾性支持部506Bと506Dとを有している。
第一の弾性支持部506Aと506Cは、Y軸に沿っては弾性変形しやすいが、X軸に沿っては弾性変形しにくい。第二の弾性支持部506Bと506Dは、X軸に沿っては弾性変形しやすいが、Y軸に沿っては変形しにくい。
従って、可動部504は、第一の弾性支持部506Aと506Cにより、X軸に平行なX方向に関して高剛性に支持され、第二の弾性支持部506Bと506Dにより、Y軸に平行なY方向に関して高剛性に支持されている。
この走査機構500Aにおいて、X走査の際は、Xアクチュエーター502AがX軸に沿って伸縮される。Xアクチュエーター502Aの伸びは第一の弾性支持部506Cを介して可動部504を押し、第二の弾性支持部506Bと506DをX軸に沿って弾性変形させつつ可動部504がX軸に沿って一方向に移動される。Xアクチュエーター502Aの縮みは弾性変形している第二の弾性支持部506Bと506Dの復元力により可動部504がX軸に沿って逆方向に移動される。
Y走査の際も同様に、Yアクチュエーター502BのY軸に沿った伸縮により可動部504がY軸に沿って移動される。
この走査機構は高い共振周波数を有しており、高速走査に適している。
特開2004−33335号公報
しかし、図15に示した走査機構では、各軸に設けられた対を成す弾性支持部は同じ形をしているが、その一方だけに圧電素子が設けられているために非対称な構造となっている。このため、圧電素子が設けられた弾性支持部と、それに対向する圧電素子のない弾性支持部とで弾性特性が異なってしまう。そのため、例えば可動部をX方向に移動させる場合、可動部のYアクチュエーターが設けられた側に、より強い引っ張り力が生じ、図15の矢印に示すような回転を伴う移動となり直進性が悪くなる。これは、サブナノメートルのオーダの精度が要求される走査型プローブ顕微鏡においては望ましくない。
本発明は、この様な実状を考慮して成されたものであり、その目的は、非常に高い直進性を有する高速走査に適した走査機構を提供することである。
本発明は、互いに直交するX軸とY軸に沿って走査対象物を走査する走査機構であり、固定枠と、前記固定枠内に位置し、前記走査対象物を支持し、前記X軸とY軸に沿って移動される可動部と、前記可動部と一体的に形成され、前記可動部のX軸に沿った両側に設けられた同一形状の第一および第二の弾性部と、前記第一の弾性部と前記固定枠の間にそれらを接続するようにX軸に沿って設けられた、前記第一の弾性部を介して前記可動部をX軸に沿って移動させる第一の圧電素子と、前記第二の弾性部と一体的に形成され、前記固定枠と接続するように前記第二の弾性部からX軸に沿って延出した、前記可動部がY軸に沿って移動したときのY軸方向の弾性変形が前記第一の圧電素子と同等となる弾性特性を有する第一の延出部と、前記可動部と一体的に形成され、前記可動部のY軸に沿った両側に設けられた同一形状の第三および第四の弾性部と、前記第三の弾性部と前記固定枠の間にそれらを接続するようにY軸に沿って設けられた、前記第三の弾性部を介して前記可動部をY軸に沿って移動させる第二の圧電素子と、前記第四の弾性部と一体的に形成され、前記固定枠と接続するように前記第四の弾性部からY軸に沿って延出した、前記可動部がX軸に沿って移動したときのX軸方向の弾性変形が前記第二の圧電素子と同等となる弾性特性を有する第二の延出部と、前記第一〜第四の弾性部と一体的に形成され、前記固定枠に固定された、前記第一〜第四の弾性部を支持する支持部とを備えている。
本発明によれば、非常に高い直進性を有する高速走査に適した走査機構が提供される。
本発明の第一実施形態による走査機構の上面図である。 図1中のA−A線に沿った走査機構の断面図である。 図1と図2に示した走査機構を備えた本発明の第二実施形態による走査型プローブ顕微鏡を示している。 本発明の第二実施形態の変形例による走査型プローブ顕微鏡に含まれる走査機構の上面図である。 図4中のB−B線に沿った走査機構の断面図である。 図4と図5に示した走査機構を備えた本発明の第二実施形態の変形例による走査型プローブ顕微鏡を示している。 本発明の第三実施形態による走査機構の上面図である。 図7中のC−C線に沿った走査機構の断面図である。 試料の光学観察に利用された図7と図8に示した走査機構を示している。 図7と図8に示した走査機構を備えた本発明の第四実施形態による走査型プローブ顕微鏡を示している。 本発明の第五実施形態による走査型プローブ顕微鏡に含まれる走査機構の上面図である。 図11中のD−D線に沿った走査機構の断面図である。 本発明の第五実施形態による走査型プローブ顕微鏡を示している。 本発明の第五実施形態の変形例による走査型プローブ顕微鏡に含まれる走査機構を示している。 特開2004−33335号公報に開示された走査機構を示している。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
<第一実施形態>
本実施形態は、走査機構に向けられている。以下、図1、図2を参照しながら本実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の走査機構10Aの上面図であり、図2は、図1中のA−A線に沿った走査機構10Aの断面図である。
図1と図2に示されるように、本実施形態の走査機構10Aは、固定枠11と、固定枠11内に位置するXYステージ18Aと、XYステージ18Aと固定枠11の間にX軸に沿って延びている圧電素子12Aと、XYステージ18Aと固定枠11の間にY軸に沿って延びている圧電素子12Bとを備えている。
XYステージ18Aは、互いに直交するX軸とY軸に沿って(つまりX軸とY軸に平行なXY方向に)移動される可動部14Aと、可動部14AのX軸に沿った両側に設けられた弾性部16A,16Cと、可動部14AのY軸に沿った両側に設けられた弾性部16B,16Dと、弾性部16CからX軸に沿って延出した延出部13Aと、弾性部16DからY軸に沿って延出した延出部13Bと、弾性部16A〜16Dを支持する支持部15とを有している。
可動部14Aは、走査対象物を支持するためのものである。可動部14Aには、これに限定されないが、例えば、試料やカンチレバー、Z方向に伸縮する圧電素子などが載置されたり固定されたりする。
XYステージ18Aの支持部15は、圧電素子12Aと延出部13AのY軸に沿った両側に位置している。別の言い方をすれば、圧電素子12Bと延出部13BのX軸に沿った両側に位置している。支持部15は固定枠11に固定されている。支持部15の固定は、これに限定されないが、例えば、ねじ締結や接着によってなされている。
弾性部16A〜16Dは、向きが異なる点を除けば、まったく同一形状をしている。弾性部16A〜16Dは共にT字形状を有している。弾性部16A,16Cは、それぞれ、ZX面に広がる板状部分と、YZ面に広がる板状部分とを有している。また、弾性部16B,16Dは、それぞれ、YZ面に広がる板状部分と、ZX面に広がる板状部分とを有している。
より詳しくは、弾性部16A,16Cは、ZX面に広がりX軸に沿って細長い矩形の板状部分と、YZ面に広がりY軸に沿って細長い矩形の板状部分とを有している。X軸に沿って細長い矩形の板状部分は、X軸に沿った一方の端部が可動部14Aと接続し、X軸に沿った一方の端部がY軸に沿って細長い矩形の板状部分の中央部と接続している。Y軸に沿って細長い矩形の板状部分は、Y軸に沿った両端部が支持部15と接続している。また、弾性部16B,16Dは、YZ面に広がりY軸に沿って細長い矩形の板状部分と、ZX面に広がりX軸に沿って細長い矩形の板状部分とを有している。Y軸に沿って細長い矩形の板状部分は、Y軸に沿った一方の端部が可動部14Aと接続し、Y軸に沿った一方の端部がX軸に沿って細長い矩形の板状部分の中央部と接続している。X軸に沿って細長い矩形の板状部分は、X軸に沿った両端部が支持部15と接続している。これらの板状部分の厚さ、すなわちZ軸に沿った寸法は、これに限定されないが、例えば、可動部14Aの厚さと同じである。
このような形状を有することにより、弾性部16A,16Cは、Y軸に沿っては弾性変形しやすいが、X軸に沿っては変形しにくい。弾性部16B,16Dは、X軸に沿っては弾性変形しやすいが、Y軸に沿っては変形しにくい。従って、可動部14Aは、弾性部16A,16Cにより、X軸に沿った方向に関して高剛性に支持され、弾性部16B,16Dにより、Y軸に沿った方向に関して高剛性に支持されている。
圧電素子12Aの側に位置する弾性部16Aは、圧電素子12Aによって押される押圧部17Aを有し、延出部13Aの側に位置する弾性部16Cは、延出部13Aと接続された押圧部17Cを有している。また、圧電素子12Bの側に位置する弾性部16Bは、圧電素子12Bによって押される押圧部17Bを有し、延出部13Bの側に位置する弾性部16Dは、延出部13Bと接続された押圧部17Dを有している。
圧電素子12Aと延出部13Aは、可動部14Aと弾性部16A,16Cを間に挟んでX軸に沿って配置されている。圧電素子12Aは、押圧部17Aと固定枠11の間にそれらを接続するようにX軸に沿って設けられている。延出部13Aは、押圧部17Cと固定枠11の間にX軸に沿って延びている。
圧電素子12Bと延出部13Bは、可動部14Aと弾性部16B,16Dを間に挟んでY軸に沿って配置されている。圧電素子12Bは、押圧部17Bと固定枠11の間にそれらを接続するようにY軸に沿って設けられている。延出部13Bは、押圧部17Dと固定枠11の間にY軸に沿って延びている。
XYステージ18Aは一体的に形成されている。つまり、可動部14Aと支持部15と弾性部16A〜16Dと押圧部17A〜17Dと延出部13A,13Bは一体的に形成されている。XYステージ18Aは、例えばアルミニウム製の金属のブロックを選択的に切り欠いて作製される。
固定枠11の材質は、好ましくは、XYステージ18Aの材質よりも高い弾性率を有している。例えば、固定枠11はステンレス鋼で、XYステージ18Aはアルミニウムから成る。
圧電素子12Aは、弾性部16Aの押圧部17Aと固定枠11の間に所定の予圧がかかるように配置されている。延出部13Aは、固定枠11にXYステージ18Aを組み込んだ際に弾性部16Cの押圧部17Cと固定枠11の間に所定の予圧がかかるような形状をしている。すなわち延出部13Aは、固定枠11から分離されたXYステージ18Aにおいて、固定枠11との接続面と押圧部17Cとの距離よりも僅かに長い形状をしている。また、圧電素子12Bは、弾性部16Bの押圧部17Bと固定枠11の間に所定の予圧がかかるように配置されている。延出部13Bは、固定枠11にXYステージ18Aを組み込んだ際に弾性部16Dの押圧部17Dと固定枠11の間に所定の予圧がかかるような形状をしている。すなわち延出部13Bは、固定枠11から分離されたXYステージ18Aにおいて、固定枠11との接続面と押圧部17Dとの距離よりも僅かに長い形状をしている。
圧電素子12Aと延出部13Aは、可動部14Aの重心を通るX軸に平行な直線が圧電素子12Aと延出部13Aの中心を通るよう配置されている。また、圧電素子12Bと延出部13Bは、可動部14Aの重心を通るY軸に平行な直線が圧電素子12Bと延出部13Bの中心を通るよう配置されている。
圧電素子12Aは、弾性部16Aを介して可動部14AをX軸に沿って移動させるためのものであり、電圧印加に応じてX軸に沿って伸縮する。圧電素子12Bは、弾性部16Bを介して可動部14AをY軸に沿って移動させるためのものであり、電圧印加に応じてY軸に沿って伸縮する。
延出部13Aは、可動部14AがY軸に沿って移動したときのY軸方向の弾性変形が圧電素子12Aと同等となる弾性特性を有している。例えば、延出部13Aは、XYステージ18Aと一体的にアルミニウムで形成されている。そして圧電素子12Aは積層型圧電セラミックスから成る。アルミニウムの弾性定数は7×1010[N/m]程度であり、また積層型圧電セラミックス圧電素子の弾性定数は4×1010〜5×1010[N/m]程度である。従って、延出部13Aは圧電素子12Aよりも変形しにくい。このため、延出部13Aは圧電素子12Aよりも僅かに細い形状に形成されている。
同様に、延出部13Bは、可動部14AがX軸に沿って移動したときのX軸方向の弾性変形が圧電素子12Bと同等となる弾性特性を有している。このため、延出部13Bは圧電素子12Bよりも僅かに細い形状に形成されている。
このように構成された走査機構10Aにおいては、X走査の際、圧電素子12AがX軸に沿って伸縮する。圧電素子12Aが伸びる時は、圧電素子12Aが弾性部16Aを弾性変形させながら可動部14Aを押す。これにより可動部14AはX軸に沿って一方向に移動される。これに伴って弾性部16Cは可動部14Aに押されることにより弾性変形され、延出部13Aも弾性部16Cに押されることによりX軸に沿って縮むように弾性変形される。さらに弾性部16B,16Dも可動部14Aの移動方向に引っ張られるために弾性変形され、これに伴って弾性部16Bに接続された圧電素子12Bと弾性部16Dから延出した延出部13Bも可動部14Aの移動方向に撓むよう弾性変形される。このとき、弾性部16B,16Dは同じ形状・同じ材質であり、弾性部16Bに接続された圧電素子12Bと弾性部16Dから延出した延出部13Bは、X軸への撓み方向に関してほぼ同じ弾性特性を有しているので、弾性部16B,16Dの弾性変形量は同じになり、また圧電素子12Bと延出部13Bの弾性変形量も同じとなる。圧電素子12Aが縮む時は、弾性変形されている弾性部16A〜16Dと圧電素子12Bと延出部13A,13Bのすべての復元力に従って可動部14AがX軸に沿って逆方向に移動される。このような可動部14AのX軸に沿った移動においては、可動部14AのY方向にかかる力が釣り合うことになる。従って、可動部14Aは、Y方向のどちらかの向きに引っ張られることがなく、X方向に非常に高い直進性をもって移動される。
同様に、Y走査の際は、圧電素子12BがY軸に沿って伸縮する。圧電素子12Bが伸びる時は、圧電素子12Bが弾性部16Bを弾性変形させながら可動部14Aを押す。これにより可動部14AはXY軸に沿って一方向に移動される。これに伴って弾性部16Dは可動部14Aに押されることにより弾性変形され、延出部13Bも弾性部16Dに押されることによりY軸に沿って縮むように弾性変形される。さらに弾性部16A,16Cも可動部14Aの移動方向に引っ張られるために弾性変形され、これにともなって弾性部16Aに接続された圧電素子12Aと弾性部16Cから延出した延出部13Aも可動部14Aの移動方向に撓むよう弾性変形される。このとき、弾性部16A,16Cは同じ形状・同じ材質であり、弾性部16Aに接続された圧電素子12Aと弾性部16Cから延出した延出部13Aは、Y軸への撓み方向に関してほぼ同じ弾性特性を有しているので、弾性部16A,16Cの弾性変形量は同じになり、また圧電素子12Aと延出部13Aの弾性変形量も同じとなる。圧電素子12Bが縮む時は、弾性変形されている弾性部16A〜16Dと圧電素子12Aと延出部13A,13Bのすべての復元力に従って可動部14AがY軸に沿って逆方向に移動される。このような可動部14AのY軸に沿った移動においては、可動部14AにかかるX方向の力が釣り合うことになる。従って、可動部14AがX方向のどちらかの向きに引っ張られることがなく、Y方向に非常に高い直進性をもって移動される。
さらに、圧電素子12Aと圧電素子12Bと延出部13Aと延出部13Bのそれぞれの中心軸が可動部14Aの重心を通るため、可動部14Aが高速で移動された場合も、慣性力による回転モーメントが発生し難い。このため、可動部14Aは回転動作なく非常に高い直進性をもって移動される。
さらに、圧電素子12Aの伸びは、弾性部16A〜16Dと圧電素子12Bと延出部13A,13Bをそれぞれ弾性変形させ、その結果、それらの変形の反作用が、圧電素子12Aが固定されている固定枠11の部位に働く。また圧電素子12Bの伸びは、弾性部16A〜16Dと圧電素子12Aと延出部13A,13Bをそれぞれ弾性変形させ、その結果、それらの変形の反作用が、圧電素子12Bが固定されている固定枠11の部位に働く。固定枠11の材質の弾性率はXYステージ18Aのそれよりも高い場合、固定枠11に引き起こされる変形が小さい。従って、圧電素子12Aと圧電素子12Bの伸びすなわち変位はそれぞれ押圧部17A,17Bに効率良く伝えられる。
加えて、X軸とY軸に沿って移動される可動部14Aは、X軸に沿った両側に位置し、支持部15に支えられた弾性部16A、16Cと、Y軸に沿った両側に位置し、支持部15に支えられた弾性部16B、16Dによって支持されている。このため、走査機構10Aは高い共振周波数を有する。従って、走査機構10Aは対応し得る走査速度の上限が高い。
加えて、XYステージ18Aは一体的に形成されているため、つまり可動部14Aと支持部15と弾性部16A〜16Dと押圧部17A〜17Dと延出部13A,13Bが一体的に形成されているため、組み立て時の工程を増やすことなく上述した効果を得ることができる。
<第二実施形態>
本実施形態は、第一実施形態の走査機構を備えた走査型プローブ顕微鏡に向けられている。以下、図3を参照しながら本実施形態について説明する。
図3は、本実施形態による走査型プローブ顕微鏡を示している。
図3に示すように、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、走査機構10Aと、ホストコンピュータ101と、コントローラ102と、カンチレバー105と、カンチレバーホルダ106と、変位センサ108と、Z圧電素子107と、Z圧電駆動部111と、XY圧電駆動部112を備えている。
試料103は試料台104に載置され、試料台104は走査機構10Aの可動部14Aに載置される。つまり、試料103は走査機構10Aの可動部14Aに支持される。
走査機構10Aは、試料103をX軸とY軸に沿って走査するためのものであり、その詳細な構成は第一実施形態(図1,図2)で説明した通りである。
カンチレバー105は、柔軟なレバー部の自由端にプローブを備えている。カンチレバー105は試料103に対向して配置され、試料103との相互作用に応じてZ軸に沿って変位する。
Z圧電素子107は、カンチレバー105をZ軸に沿って走査するためのものであり、鏡枠109に保持されている。
カンチレバーホルダ106はカンチレバー105を保持するためのものであり、Z圧電素子107の自由端に固定されている。
変位センサ108は、カンチレバー105の自由端のZ軸に沿った変位を光学的に検出するためのものであり、鏡枠109に保持されている。
Z圧電駆動部111は、Z圧電素子107を駆動するためのものである。
XY圧電駆動部112は、走査機構10Aの圧電素子12A,12Bを駆動するためのものである。
コントローラ102は、Z圧電駆動部111とXY圧電駆動部112を制御するためのものある。
ホストコンピュータ101は、カンチレバー105の変位情報と走査機構10Aの走査情報とに基づいて試料103の物理情報を取得する処理部を構成している。
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は以下のように動作する。
変位センサ108は、例えば走査型プローブ顕微鏡によく用いられる光てこセンサであり、カンチレバー105上に直径2〜30μm程度の光束を照射し、その反射光によりカンチレバー105の自由端にある機械的探針のZ変位をとらえ、そのZ変位を反映した変位信号をコントローラ102に出力する。
コントローラ102は、XY方向にラスター走査するためのXY走査信号を生成し、XY走査信号をXY圧電駆動部112とホストコンピュータ101に供給する。コントローラ102はZ制御部110を含んでおり、Z制御部110は、変位センサ108で得られるカンチレバー105の変位情報を一定に維持するようにZ圧電駆動部111を制御するためのZ走査信号を生成し、Z走査信号をZ圧電駆動部111とホストコンピュータ101に供給する。
Z圧電駆動部111は、コントローラ102から供給されるZ走査信号を所定のゲインで増幅してZ駆動信号を生成し、Z駆動信号をZ圧電素子107に供給する。
XY圧電駆動部112は、コントローラ102から供給されるXY走査信号を所定のゲインで増幅してXY駆動信号を生成し、XY駆動信号を走査機構10Aの圧電素子12A,12Bに供給する。具体的には、コントローラ102から供給されるX走査信号を増幅して生成したX駆動信号を圧電素子12Aに供給し、コントローラ102から供給されるY走査信号を増幅して生成したY駆動信号を圧電素子12Bに供給する。
ホストコンピュータ101は、コントローラ102から供給されるXY走査信号とZ走査信号とに基づいて試料103の表面形状の三次元画像を構築し、これをモニター上に表示する。
この走査型プローブ顕微鏡では、走査機構10Aを用いることにより、高い直進性をもって試料103が高精度にXY方向に高速走査される。従ってこの走査型プローブ顕微鏡によれば、測定精度が向上し、測定時間が短縮される。
[変形例]
この走査型プローブ顕微鏡では次の変形が可能である。
図6に第二実施形態の変形例である走査型プローブ顕微鏡を示す。図6において、図3に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
この図6に示す走査型プローブ顕微鏡は、図3に示した走査型プローブ顕微鏡のZ圧電素子107と走査機構10Aを図4と図5に示す走査機構10Bに置き換えた構成になっている。図3に示した走査型プローブ顕微鏡では、カンチレバー105をZ走査し、試料103をXY走査しているのに対し、図6に示す走査型プローブ顕微鏡では、走査機構10Bにより試料103を互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って走査する。
図4と図5に走査機構10Bを示す。図4は、走査機構10Bの上面図であり、図5は、図4中のB−B線に沿った走査機構10Bの断面図である。図4と図5において、図1と図2に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
走査機構10Bは、互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って(つまりX軸とY軸とZ軸に平行なXYZ方向に)試料103を走査する走査機構である。図4と図5に示すように、走査機構10Bは、可動部14Aに設けられた、電圧印加に応じてZ軸に沿って伸縮する二つの圧電素子19A,19Bを有している。二つの圧電素子19A,19BはそれぞれZ軸に沿って反対側に延びている。
上側の圧電素子19Aの移動端には、走査対象物である試料台20Aとそれに載置された試料103とが取り付けられている。つまり、試料103は圧電素子19Aの移動端に保持される。下側の圧電素子19Bの移動端には、試料台20Aと同一の部材である試料台20Bが取り付けられている。試料台20Bは試料台20Aと同等の質量をもつ部材であれば置き換え可能である。
Z走査の際、Z圧電駆動部111によりZ駆動信号を二つの圧電素子19A,19Bに供給し、二つの圧電素子19A,19Bが同じ量だけ逆向きに伸縮される。これにより、圧電素子19Aの伸縮が可動部14Aに与えるZ軸に沿った力が、圧電素子19Bの伸縮によって打ち消される。これにより、圧電素子19Aの伸縮により生じる可動部14AのZ方向の振動がほぼ0に抑えられる。
この走査型プローブ顕微鏡では、走査機構10Bを用いることにより、高い直進性をもって試料103が高精度にXY方向に高速走査される。さらに、試料103をZ走査する際に生じる振動ノイズを低減でき、試料103のZ走査の精度を高くすることができる。従ってこの走査型プローブ顕微鏡によれば、図3に示した走査型プローブ顕微鏡と同等以上に、測定精度が向上し、測定時間が短縮される。
<第三実施形態>
本実施形態は別の走査機構に向けられている。以下、図7〜図9を参照しながら本実施形態について説明する。
図7は、本実施形態の走査機構10Cの上面図であり、図8は、図7中のC−C線に沿った走査機構10Cの断面図である。図7,図8において、図1,図2に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
図7と図8に示すように、XYステージ18Bは可動部14Bを備えており、可動部14BはZ軸に沿って延びた貫通穴21を有している。
可動部14Bの貫通穴1921は、例えば、図9に示すように、可動部14Bに載置される試料201の光学観察に利用される。図9に示すように、試料201はガラス製の試料台202の上に載置され、試料台202は走査機構10Cの可動部14Bの上に載置される。試料202201は、その少なくとも一部が、Z軸に沿って上方から見て、可動部14Bの貫通穴21の内側に配置される。可動部14Bの下側に、光学顕微鏡の対物レンズ203が配置され、可動部14Bの上側に、照明用の集光レンズ204が配置されている。
集光レンズ204を通して照明光が試料201に照射され、試料201を透過した光の一部が、可動部14Bの貫通穴21を通って対物レンズ203に入射する。これにより試料201が、対物レンズ203を含む光学顕微鏡によって透過観察される。
貫通穴21の径を対物レンズ203の径より大きくしておくとよく、その場合には、対物レンズ203を貫通穴21の中に進入させて試料201に接近させることができるので、試料201を高倍率で観察することができる。
<第四実施形態>
本実施形態は、第三実施形態の走査機構10Cを備えた走査型プローブ顕微鏡に向けられている。以下、図10を参照しながら本実施形態について説明する。
図10は、本実施形態による走査型プローブ顕微鏡を示している。図10において、図3に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
図10と図3を比較してわかるように、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、図3に示した走査型プローブ顕微鏡の走査機構10Aを図7,図8に示した走査機構10Cに置き換えた構成になっている。さらに、この走査型プローブ顕微鏡は、変位センサ108を変位センサ206に置き換えた構成になっている。加えて、この走査型プローブ顕微鏡は、対物レンズ203、照明用の集光レンズ204、ハーフミラー207を備えている。
試料201はガラス製の試料台202の上に載置され、試料台202は走査機構10Cの可動部14Bの上に載置される。試料201は、その少なくとも一部が、Z軸に沿って上方から見て、可動部14Bの貫通穴21の内側に配置される。
走査機構10Cは、試料201をX軸とY軸に沿って走査するためのものであり、その詳細な構成は第三実施形態で説明した通りである。
可動部14Bの下側に、光学顕微鏡の対物レンズ203が配置され、可動部14Bの上側に、照明用の集光レンズ204が配置されている。
Z圧電素子107は、カンチレバー105をZ軸に沿って走査するためのものであり、鏡枠205に保持されている。
変位センサ206は、カンチレバー105のZ軸に沿った変位を光学的に検出するためのものであり、鏡枠205に保持されている。
集光レンズ204とカンチレバー105の間には、変位センサ206からの光をカンチレバー105に導くとともに集光レンズ204からの照明光を透過するハーフミラー207が配置されている。
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は以下のように動作する。
変位センサ206は、例えば光てこセンサであり、ハーフミラー207を介してカンチレバー105上に直径2〜30μm程度の光束を照射し、その反射光によりカンチレバー105の自由端にある機械的探針のZ変位をとらえ、そのZ変位を反映した変位信号をコントローラ102へ供給する。
コントローラ102は、XY方向にラスター走査するためのXY走査信号をXY圧電駆動部112とホストコンピュータ101に供給する。コントローラ102内のZ制御部110は、変位センサ206で得られるカンチレバー105の変位情報を一定に維持するようにZ圧電駆動部111を制御するためのZ走査信号をZ圧電駆動部111とホストコンピュータ101に供給する。
Z圧電駆動部111は、コントローラ102から供給されるZ走査信号に基づいてZ圧電素子107を駆動する。
XY圧電駆動部112は、コントローラ102から供給されるXY走査信号に基づいて走査機構10Cの圧電素子12A,12Bを駆動する。圧電素子12A,12Bの駆動の仕方は第二実施形態と同様である。
ホストコンピュータ101は、コントローラ102から供給されるXY走査信号とZ走査信号とに基づいて試料201の表面形状の三次元画像を構築し、これをモニター上に表示する。
この走査型プローブ顕微鏡においては、集光レンズ204を通して照明光が試料201に照射され、試料201を透過した光の一部が、可動部14Bの貫通穴21を通って対物レンズ203に入射する。これにより試料201が、対物レンズ203を含む光学顕微鏡によって透過観察される。
貫通穴21の径を対物レンズ203の径より大きくしておくとよく、その場合には、対物レンズ203を試料201に接近させることができるので、試料201を高倍率で観察することができる。
以上よりこの走査型プローブ顕微鏡においては、走査機構10Cを用いることにより、高い直進性をもって試料201が高精度にXY方向に高速走査される。さらに光学顕微鏡により試料201が透過観察される。従ってこの走査型プローブ顕微鏡によれば、測定精度が向上し、測定時間が短縮されるだけではなく、光学顕微鏡との同時観察が可能になる。これは、試料201の位置決めなど、操作性の向上につながる。
<第五実施形態>
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、第三実施形態の走査機構10Cをベースにした走査機構10Dを有している。以下、図11〜図14を参照しながら本実施形態について説明する。
図11と図12は、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡で用いる走査機構10Dを示している。図11は、走査機構10Dの上面図であり、図12は、図11中のD−D線に沿った走査機構10Dの断面図である。図11と図12において、図1,図2に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
図11と図12に示す走査機構10Dは、カンチレバー105を互いに直交するXYZ方向に走査する走査機構である。
図11と図12に示すように、XYステージ18Cは可動部14Cを備えており、可動部14CはZ軸に沿って延びた二つの貫通穴22Aと貫通穴22Bを有している。貫通穴22Aと貫通穴22Bは同じ形状をしており、可動部14Cの重心を避けるように設けられている。より詳しくは、可動部14Cの重心を通るY軸に沿った軸上を避け、かつ可動部14Cの重心を通るY軸に沿った軸に対して対称的に設けられている。
走査機構10Dは、可動部14Cの重心位置に電圧印加に応じてZ軸に沿って伸縮する二つの圧電素子23A,23Bを有している。二つの圧電素子23A,23BはそれぞれZ軸に沿って反対側に延びている。
下側の圧電素子23Bの移動端には、走査対象物であるカンチレバーホルダ24Bとそれに支持されたカンチレバー105が取り付けられている。つまり、カンチレバー105は圧電素子23Bの移動端に保持されている。上側の圧電素子23Aの移動端には、カンチレバーホルダ24Bと同一の部材であるカンチレバーホルダ24Aが取り付けられている。カンチレバーホルダ24Aはカンチレバーホルダ24Bと同等の質量をもつ部材であれば置き換え可能である。
Z走査の際、図13に示すZ圧電駆動部111によりZ駆動信号が二つの圧電素子23A,23Bに供給され、二つの圧電素子23A,23Bが同じ量だけ逆向きに伸縮される。これにより、圧電素子23Aの伸縮が可動部14Cに与えるZ軸に沿った力が、圧電素子23Bの伸縮によって打ち消される。これにより可動部14CはZ方向にほとんど振動しない。
走査機構10Dを含む走査型プローブ顕微鏡を図13に示す。図13において、図3に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
変位センサ304は、例えば光てこセンサであり、走査機構10Dの貫通穴22Aを通してカンチレバー105上に直径2〜30μm程度の光束を照射し、その反射光によりカンチレバー105の自由端にある機械的探針のZ変位をとらえ、そのZ変位を反映した変位信号をコントローラ102へ供給する。この変位センサ304は、走査機構10Dと共に鏡枠303に固定されている。
この走査機構10Dは、可動部14Cの重心位置に圧電素子23A,23Bを備えている。また貫通穴22Aと貫通穴22Bは同じ形状で、可動部14Cの重心を通るY軸に沿った軸上を避け、かつ可動部14Cの重心を通るY軸に沿った軸に対して対称的に設けられているので、XY走査方向に対して対称性がある。
従って走査機構10Dによれば、カンチレバー105が高い直進性をもって高精度にXY方向に高速走査される。さらに、カンチレバー105をZ走査する際に生じる振動ノイズが低減され、カンチレバー105のZ走査の精度が向上する。従ってこの走査型プローブ顕微鏡によれば、測定精度が向上し、測定時間が短縮される。
なお走査機構10Dでは、貫通穴22Aと貫通穴22Bの位置が可動部14Cの重心を通るY軸に沿った軸に対して対称的に設けられており、X方向に対する可動部14Cの剛性がY方向に比べて低くなっている。従ってこの走査型プローブ顕微鏡では、走査速度の高い方向をY方向に合わせることが望ましい。
[変形例]
さらに本実施形態の走査型プローブ顕微鏡では光学顕微鏡との同時観察も可能である。そのための構成を図14に示す。
図14に示す走査型プローブ顕微鏡は、変位センサ304の代わりに変位センサ402を備えている。変位センサ402は、走査機構10Dと共に鏡枠401に固定されている。走査型プローブ顕微鏡はさらに、変位センサ402からの光をカンチレバー105に導くハーフミラー403と、照明用の集光レンズ404と、光学顕微鏡の一部を構成する対物レンズ405とを備えている。試料301はガラス製の試料台302の上に載置される。試料台302は、試料301がカンチレバー105と対向するように支持される。
変位センサ402は、例えば光てこセンサであり、ハーフミラー403を介してカンチレバー105上に直径2〜30μm程度の光束を照射し、その反射光によりカンチレバー105の自由端にある機械的探針のZ変位をとらえ、そのZ変位を反映した変位信号をコントローラ102へ供給する。
この構成においては、走査機構10Dの貫通穴22Aに光学顕微鏡の照明光を通すことにより試料の透過観察が可能になる。しかも対物レンズの大きさや配置位置に制約がないため光学顕微鏡による観察方法の自由度が高い。
従ってこの走査型プローブ顕微鏡によれば、光学顕微鏡との同時観察が可能になり、試料の位置決め等の操作性の向上につながる。
なお、第二実施形態、第四実施形態、第五実施形態の説明では、カンチレバーを励振させないで制御するコンタクトモードの走査型プローブ顕微鏡を例にあげたが、カンチレバーを励振させ、その振動振幅を一定に保つよう制御するACモードの走査型プローブ顕微鏡に対しても同様の利点が得られる。また、Zサーボをかける構成の走査型プローブ顕微鏡を例にあげたが、Zサーボをかけない構成の走査型プローブ顕微鏡に対しても同様の利点が得られる。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
10A,10B,10C,10D…走査機構、11…固定枠、12A,12B…圧電素子、13A,13B…延出部、14A,14B,14C…可動部、15…支持部、16A,16B,16C,16D…弾性部、17A,17B,17C,17D…押圧部、18A,18B,18C…XYステージ、19A,19B…圧電素子、20A,20B…試料台、21…貫通穴、22A,22B…貫通穴、23A,23B…圧電素子、24A,24B…カンチレバーホルダ、101…ホストコンピュータ、102…コントローラ、103…試料、104…試料台、105…カンチレバー、106…カンチレバーホルダ、107…Z圧電素子、108…変位センサ、109…鏡枠、110…Z制御部、111…Z圧電駆動部、112…XY圧電駆動部、201…試料、202…試料台、203…対物レンズ、204…集光レンズ、205…鏡枠、206…変位センサ、207…ハーフミラー、301…試料、302…試料台、303…鏡枠、304…変位センサ、401…鏡枠、402…変位センサ、403…ハーフミラー、404…集光レンズ、405…対物レンズ、500A…走査機構、501…固定台、502A…Xアクチュエーター、502B…Yアクチュエーター、504…可動部、505…固定部、506A,506B,506C,506D…弾性支持部、509…XYステージ。

Claims (6)

  1. 互いに直交するX軸とY軸に沿って走査対象物を走査する走査機構であって、
    固定枠と、
    前記固定枠内に位置し、前記走査対象物を支持し、前記X軸とY軸に沿って移動される可動部と、
    前記可動部と一体的に形成され、前記可動部のX軸に沿った両側に設けられた同一形状の第一および第二の弾性部と、
    前記第一の弾性部と前記固定枠の間にそれらを接続するようにX軸に沿って設けられた、前記第一の弾性部を介して前記可動部をX軸に沿って移動させる第一の圧電素子と、
    前記第二の弾性部と一体的に形成され、前記固定枠と接続するように前記第二の弾性部からX軸に沿って延出した、前記可動部がY軸に沿って移動したときのY軸方向の弾性変形が前記第一の圧電素子と同等となる弾性特性を有する第一の延出部と、
    前記可動部と一体的に形成され、前記可動部のY軸に沿った両側に設けられた同一形状の第三および第四の弾性部と、
    前記第三の弾性部と前記固定枠の間にそれらを接続するようにY軸に沿って設けられた、前記第三の弾性部を介して前記可動部をY軸に沿って移動させる第二の圧電素子と、
    前記第四の弾性部と一体的に形成され、前記固定枠と接続するように前記第四の弾性部からY軸に沿って延出した、前記可動部がX軸に沿って移動したときのX軸方向の弾性変形が前記第二の圧電素子と同等となる弾性特性を有する第二の延出部と、
    前記第一〜第四の弾性部と一体的に形成され、前記固定枠に固定された、前記第一〜第四の弾性部を支持する支持部とを備えている走査機構。
  2. 試料に対向して配置され、前記試料との相互作用に応じてZ軸に沿って変位するプローブと、
    前記プローブのZ軸に沿った変位を検出する変位センサと、
    前記試料と前記プローブの一方を走査する請求項1に記載の走査機構と、
    前記プローブの変位情報と前記走査機構の走査情報とに基づいて前記試料の物理情報を取得する処理部とを備えている走査型プローブ顕微鏡。
  3. 前記走査機構は、前記可動部の重心位置に設けられたZ軸に沿って伸縮する第三の圧電素子をさらに備えており、前記第三の圧電素子の移動端に前記試料が保持される、請求項2記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 前記可動部が貫通穴を有している請求項1記載の走査機構。
  5. 試料に対向して配置され、前記試料との相互作用に応じてZ軸に沿って変位するプローブと、
    前記プローブのZ軸に沿った変位を検出する変位センサと、
    前記試料と前記プローブの一方を走査する請求項4に記載の走査機構と、
    前記プローブの変位情報と前記走査機構の走査情報とに基づいて前記試料の物理情報を取得する処理部とを備えている走査型プローブ顕微鏡。
  6. 前記貫通穴は前記可動部の重心を避けるように設けられ、
    前記可動部の重心位置にZ軸に沿って伸縮する第四の圧電素子をさらに備え、前記第四の圧電素子の移動端に前記プローブが支持される、請求項5記載の走査型プローブ顕微鏡。
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