JP2002082036A - 走査型プローブ顕微鏡用スキャナー - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡用スキャナー

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JP2002082036A
JP2002082036A JP2000273849A JP2000273849A JP2002082036A JP 2002082036 A JP2002082036 A JP 2002082036A JP 2000273849 A JP2000273849 A JP 2000273849A JP 2000273849 A JP2000273849 A JP 2000273849A JP 2002082036 A JP2002082036 A JP 2002082036A
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Japan
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actuator
scanning
scanning mechanism
vibration
center
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Application number
JP2000273849A
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English (en)
Inventor
Toshio Ando
敏夫 安藤
Kiwamu Saito
究 齋藤
Akitoshi Toda
明敏 戸田
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Kanazawa University NUC
Olympus Corp
Original Assignee
Kanazawa University NUC
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】走査動作に伴う振動の発生が抑えられた、これ
により高精度な位置制御を高速で行える走査型プローブ
顕微鏡用走査機構を提供する。 【解決手段】走査機構200は、アクチュエータ台座2
02と、この台座に設けられたアクチュエータ保持部材
206,207と、この保持部材に保持されたY方向に
伸縮可能なアクチュエータ203と、アクチュエータ2
03の一端に固定されたX方向に伸縮可能なアクチュエ
ータ204と、アクチュエータ204の一端に固定され
たZ方向に伸縮可能なアクチュエータ205と、アクチ
ュエータ205の一端に設けられた試料保持部材208
とを有している。アクチュエータ205はその中央付近
がアクチュエータ204に接合されており、アクチュエ
ータ204はその中央付近がアクチュエータ203に接
合されており、アクチュエータ203はその中央付近が
保持部材206,207によって保持されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡や、走査型プローブ顕微鏡の技術を応用した試料観
察や加工や情報記録などを行う装置などに用いられる、
走査型プローブ顕微鏡用走査機構(スキャナー)に関す
る。
【0002】
【従来の技術】被移動物(移動対象物)をXYZ方向に直
線的に動かし並進移動させたり、それぞれの軸に対して
回転移動させたりするステージ機構は、機械機構の最も
基本的な要素の一つである。またモータなどの駆動機構
を使いステージ移動を電気信号などの制御信号に応じて
移動制御できる自動ステージはあらゆる場面で使われて
いる。このようなステージ機構におけるステージ(可動
ステージ)はステージを固定するステージ機構の支持部
に保持されるので、ステージは被移動物の支持部に対す
る位置関係を変化させる機構であると言える。
【0003】被移動物をくり返し往復させるもしくは回
転半回転動作をさせる機械的動作を伴い、比較的短い時
間内にその動作をさせることが可能な機械機構の場合、
その機械機構は走査機構とも呼ばれる。(以下、断りの
無い限りこのような機械的な走査機構を単に走査機構あ
るいはスキャナーと呼ぶ。)例えば走査型顕微鏡などに
は、そのような走査機構が搭載されている。そのような
走査機構が搭載された走査型顕微鏡装置として、走査型
プローブ顕微鏡やレーザ走査型顕微鏡、さらには電子ビ
ームを固定したまま試料を走査して画像を得るタイプの
電子走査型顕微鏡が例としてあげられる。
【0004】走査型プローブ顕微鏡(SPM)は機械的探
針を機械的に走査して試料表面の情報を得る走査型顕微
鏡であって、走査型トンネリング顕微鏡(STM)、原子
間力顕微鏡(AFM)、走査型磁気力顕微鏡(MFM)、走
査型電気容量顕微鏡(SCaM)、走査型近接場光顕微鏡
(SNOM)、走査型熱顕微鏡(SThM)などの総称であ
る。最近では試料表面にダイヤモンド製の探針を押しつ
け圧痕をつけその圧痕のつき具合を解析して試料の固さ
などを調べるナノインデンテータなどもこのSPMの一
つと位置づけられており、前述の各種の顕微鏡とともに
広く普及している。
【0005】走査型プローブ顕微鏡は、機械的探針と試
料とを相対的にXY方向にラスター走査し所望の試料領
域の表面情報を機械的探針を介して得て、モニターTV
上にマッピング表示することができる。また、SNOM
などは機械的探針先端から発せられる光を被加工物に作
用して微細加工を行ったり、光による情報記録を行った
りすることができる。さらには、ナノインデンテータに
よれば試料表面に凹凸を形成し、やはり微細加工を行っ
たり、情報記録を行ったりすることができる。
【0006】このような走査型プローブ顕微鏡において
は、XY走査の間、Z方向についても試料と探針との相
互作用が一定になるようフィードバック制御してZ方向
の移動を担う走査機構を動かしている。このZ方向の動
きは規則的な動きをするXY方向の動きとは異なり、試
料の表面形状や表面状態を反映するため不規則な動きと
なるが、一般にZ方向の走査動作とされている。そして
このZ方向の走査はXYZ各方向のなかでは最も高い周
波数での動きとなる。走査型プローブ顕微鏡のX方向の
走査周波数は0.05から200Hz程度であり、Y方
向の走査周波数は、X方向走査周波数のY方向走査ライ
ン数分の1程度であって、Y方向走査ライン数は10か
ら1000ラインである。またZ方向の走査周波数はX
走査方向周波数に対し、X方向走査1ラインあたりの画
素数倍からその100倍程度である。
【0007】例えば、X方向100画素、Y方向100
画素の画像を1秒で取り込むとき、X方向の走査周波数
は100Hz、Y方向の走査周波数は1Hz、Z方向の
走査周波数は10kHz以上となる。なお、この例の走
査周波数は走査型プローブ顕微鏡としては今のところ最
も高い走査周波数にあたり、通常はX方向走査周波数は
数Hz程度に留まっている。例のような高い走査周波数
を実現するには、その走査機構は、外部からの振動に対
し安定であるのはもちろん、内部の走査動作にともない
自分白身で発生する振動が小さく抑えられていることが
求められる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】走査機構のステージを
動かすとステージを支持する走査機構の支持部にはその
反作用力が作用し振動として支持部に伝わる。支持部に
伝わった振動は、支持部を揺らしたり、その揺れが再度
ステージに作用してステージを揺らしたりするので、高
精度で位置制御することを求められるステージではこの
振動を抑えることが必要である。振動の発生を抑えるた
め、ステージを動かす際ステージの加速度が小さくなる
よう、ステージをゆっくり動かすことは一つの有効な方
法である。しかし、短い時間内に所望の位置に移動させ
る必要がある場合、求められる移動速度性能を発揮する
には、ゆっくり移動させる方法は採用できない。このよ
うな場合は振動を抑えるための別の工夫が必要となる。
短い時間内に所望の位置に移動させる必要がある場合と
は、走査型プローブ顕微鏡を例に取れば、一つには高速
走査し短時間に画像を取り込む場合である。また、試料
の凹凸が大きく、Z方向の移動を短時間に行わなければ
ならない場合である。
【0009】本発明の目的は、振動の発生が抑えられ
た、これにより高精度な位置制御を高速で行える走査型
プローブ顕微鏡用スキャナーを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による走査型プロ
ーブ顕微鏡用スキャナーは、走査のために移動対象物を
第一の方向に移動させるための第一の駆動部と、移動対
象物を第一の方向とは異なる第二の方向に移動させる第
二の駆動部と、移動対象物を第一の方向および第二の方
向とは異なる第三の方向に移動させる第三の駆動部とを
有しており、第一の駆動部の中央付近は第二の駆動部の
端部に接合され、第二の駆動部の中央付近は第三の駆動
部の端部に接合されている。
【0011】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)本発明の第1
の実施の形態の走査機構を備える機械式走査型顕微鏡す
なわち走査型プローブ顕微鏡を図1に示す。
【0012】図1において、走査型プローブ顕微鏡10
0は、大まかに走査型プローブ顕微鏡機能の部分と光学
顕微鏡機能の部分とからなる。
【0013】走査型プローブ顕微鏡機能の部分は、筐体
101、光センサーユニット102、センサーユニット
用Zステージ103、スライドガラス104、スライド
ガラス保持部材105、カンチレバーチップ106、走
査機構保持台107、走査機構200、アクチュエータ
駆動回路112、走査制御回路113、フィードバック
回路114、AC/DC変換回路115、発振回路11
6、プリアンプ回路117、半導体レーザ駆動回路11
8、コンピュータ119、モニターTV120を有して
いる。
【0014】また光学顕微鏡機能の部分は、光源ランプ
139とレンズ138を含む顕微鏡観察照明光学系11
0、接眼レンズ140を含む顕微鏡観察観察光学系11
1、ハーフプリズム137、顕微鏡照明ランプ電源12
1、更に走査型プローブ顕微鏡機能の部分と共用する光
センサーユニット102の対物レンズ122を有してい
る。
【0015】走査型プローブ顕微鏡機能の部分について
説明を加える。
【0016】走査機構保持台107は手動で微小送りが
できる三本のマイクロメータヘッド135,136(図1
には二本のみが描かれている)により、筐体101上に
3点支持されている。また、走査機構200は、走査機
構保持台107に支持されており、試料109は、図中
下向きに、すなわちカンチレバーチップ106側と対向
するように走査機構200に取り付けられる。走査機構
200は、試料109をX,Y,Z方向に微動走査させ
る。この走査機構200の構成は後で詳しく説明する。
走査機構200は、X,Y,Z方向の各々に関してカンチ
レバーチップ106の探針132と試料109との位置
の粗調整を行う調整機構を備えていてもよい。
【0017】光センサーユニット102は、カンチレバ
ーチップ106のカンチレバー131の動きを測定す
る、光てこ方式の光センサーである。光センサーユニッ
ト102は、対物レンズ122、対物レンズ支持台12
3、プリズム124、偏光ビームスプリッター125、
コリメートレンズ126、半導体レーザ127、レーザ
位置調整ステージ128、二分割フォトダイオード12
9、フォトダイオード位置調整ステージ130を有して
いる。
【0018】半導体レーザ127から発せられた光は、
コリメートレンズ126で平行光とされた後、偏光ビー
ムスプリッター125で反射された後、プリズム124
で更に反射され、対物レンズ122に入る。平行光は対
物レンズ122で集光され、カンチレバーチップ106
のカンチレバー131の背面に集光される。カンチレバ
ー131の背面で反射された光は、逆の道をたどり偏光
ビームスプリッター125を通り、更に直進して二分割
フォトダイオード129に至る。カンチレバー131の
角度変位は、二分割フォトダイオード129上の光スポ
ットの動きに反映され、電気信号として出力される。
【0019】光センサーユニット102の対物レンズ1
22は、顕微鏡観察照明光学系110、顕微鏡観察観察
光学系111とともに、光学顕微鏡観察光学系を構成
し、試料109の光学顕微鏡観察を可能にする。なお対
物レンズ122は、光学顕微鏡用の対物レンズであり、
例えば20倍の倍率を有する。
【0020】センサーユニット用Zステージ103は、
対物レンズ122を含む光センサーユニット102の位
置を粗動調整するためのステージであって、光センサー
ユニット102に含まれる対物レンズ122を上下さ
せ、光センサーの焦点合わせや顕微鏡観察の焦点合わせ
を行う。
【0021】スライドガラス保持部材105は、スライ
ドガラス104を保持する。スライドガラス保持部材1
05には、カンチレバーチップ106の取り付け部から
離れたところに、カンチレバー131を励振させるため
の励振用圧電体133が固定されている。この励振用圧
電体133にはカンチレバー131の共振周波数近傍の
交流電圧が印加され、この電圧印加に応じて励振用圧電
体133は振動し、その振動はカンチレバーチップ10
6に伝わりカンチレバー131を振動させる。
【0022】このようにカンチレバー131を振動させ
る測定では、光センサーユニット102から出力される
カンチレバーの変位信号は交流的になる。AC/DC変
換回路115は、これを直流信号に変換する回路であ
る。カンチレバーを振動させない測定では、この回路は
バイパスされ動作されなくてもよい。
【0023】また、図1には、液体中での観察の様子が
描かれており、走査機構200の試料109付近からカ
ンチレバーチップ106が固定されたスライドガラス1
04近傍に、水134が垂らされており、試料109と
カンチレバーチップ106は共に水中に位置している。
大気中での測定を行う場合には、この水134は不要で
ある。
【0024】図1に示されるように、走査型プローブ顕
微鏡100には、装置を制御・駆動するための電気回路
などが含まれている。これら回路の動作については従来
より提案されている走査型プローブ顕微鏡の回路動作と
同様である。
【0025】走査制御回路113には、コンピュータ1
19から、XYZ走査の制御信号が与えられる。図1
に、Zで示される信号は、走査機構200のZ方向走査
用のアクチュエータとカンチレバーチップ106の探針
132との距離を調整するための信号である。この信号
Zは主に、測定前のフォースカーブ測定など、測定条件
設定時にコンピュータから出力される。またコンピュー
タ119は発振回路116を制御して、励振用圧電体1
33を動作させ、カンチレバー131をその共振周波数
付近で振動させる。
【0026】測定に入ると、コンピュータ119から出
力されるラスター走査制御信号(図1にX,Yで示され
る)に基づいて、走査機構200のアクチュエータがX
Y方向に走査される。カンチレバー131の先端にある
探針132と試料109表面との相互作用に基づくカン
チレバー131の変位は光センサーユニット102で検
出され、光センサーユニット102はその変位信号を出
力する。光センサーユニット102からの変位信号出力
は、プリアンプ回路117で増幅され、AC/DC変換
回路115に入力される。AC/DC変換回路115
は、発振回路116からの参照信号の周波数成分の信号
を抽出し、交流信号を直流信号に変換する。
【0027】フィードバック回路114は、コンピュー
タ119から指示されたセッティング信号とAC/DC
変換回路115からの入力信号とを比較し、走査制御回
路113にZ方向フィードバック信号Zfbを送る。こ
のZ方向フィードバック信号ZfbがZ方向アクチュエ
ータの走査制御信号となる。走査制御回路113は、Z
方向フィードバック信号Zfbに基づいてアクチュエー
タ駆動回路112を制御し、走査機構200のアクチュ
エータを駆動する。コンピュータ119は、自分自身が
発生するX,Yの走査制御信号とフィードバック回路1
14からの信号を元に、試料の表面情報を三次元情報と
して処理し、モニターTV120に表示させる。
【0028】本実施の形態の走査機構200について、
図2と図3を参照しながら、詳しく説明する。
【0029】図2と図3に示されるように、走査機構2
00は、走査機構保持台201と、これに固定されたア
クチュエータ台座202と、アクチュエータ台座202
に設けられたアクチュエータ保持部材206,207
と、アクチュエータ保持部材206,207によって保
持されたアクチュエータ203と、アクチュエータ20
3の一端に固定されたアクチュエータ204と、アクチ
ュエータ204の一端に固定されたアクチュエータ20
5と、アクチュエータ205の一端に設けられた試料保
持部材208とを有している。
【0030】アクチュエータ205はZ方向(第一の方
向)に伸縮可能であり、その中央付近がアクチュエータ
204の端部に接合されている。アクチュエータ204
はX方向(第二の方向)に伸縮可能であり、その中央付近
がアクチュエータ203の端部に接合されている。アク
チュエータ203はY方向(第三の方向)に伸縮可能であ
り、その中央付近がアクチュエータ保持部材206,2
07によって保持されている。
【0031】アクチュエータ203,204,205は、
例えば、積層型圧電体であり、圧電体は、例えば、長さ
が10mmで断面が5mm×3mmであり、100Vの
電圧を印加することで3μm伸び縮みする。アクチュエ
ータ203,204,205は、それぞれ、そこから延び
る二本の線を介しての駆動電圧の印加に応じて、Y,X,
Z方向に伸縮する。これらのアクチュエータは円筒型圧
電体であってもかまわない。
【0032】アクチュエータ保持部材206と207
は、アクチュエータ204のおよそ中央付近あるいは重
心付近を保持している。アクチュエータ203は、アク
チュエータ204の中央付近あるいは重心付近を保持し
ている。アクチュエータ204は、アクチュエータ20
5の中央付近あるいは重心付近を保持している。
【0033】アクチュエータ205は、その端部に、移
動対象物、例えば試料を保持するための試料保持部材2
08を備えている。試料保持部材208は、この端面に
試料台ガラスが取り付けられる。
【0034】次に、図2に示される走査機構200のZ
方向の動作について、これを模式的に示している図4を
参照して説明する。図4には、続く説明に必要な部材の
みが示されている。
【0035】図4において、アクチュエータ205は積
層型圧電体であり、その中央付近が、アクチュエータ保
持部材301によって、走査機構保持台201に設けら
れたアクチュエータ台座202に固定されている。アク
チュエータ保持部材301は図2の中のアクチュエータ
204に対応するが、図3では走査機構のZ方向の動作
の説明のため模式的な図であるので、アクチュエータ保
持部材301は図2のアクチュエータ204の様に移動
動作はしない。積層圧電体205は、電圧の印加に応じ
て、アクチュエータ保持部材301に固定された中央付
近を基準にして、その両側の部分が、矢印で示されるよ
うに、両方向に伸縮する。
【0036】一般に、アクチュエータの動作は、これを
保持するアクチュエータ保持部材に振動やアクチュエー
タの動作の反作用による衝撃を与える。このような振動
や衝撃は、走査機構を揺らす原因となる。高速での走査
や高い周波数での走査では、走査機構の振動は極力抑え
られることが望まれる。
【0037】本実施の形態では、アクチュエータ205
の中央付近が保持されているので、図中に×印で示され
るアクチュエータ205とアクチュエータ保持部材30
1の境界面付近においては、衝撃がバランスし、アクチ
ュエータ台座202や走査機構保持台201に伝わる振
動が抑えられる。これは後述する図14と図15と図1
6に示される比較例と比べることにより良く理解されよ
う。
【0038】なお、図4においては、試料保持部材20
8のために、アクチュエータ保持部材301に対する形
状対称性がわずかにくずれているが、対称性のバラツキ
は試料保持部材208の重量が小さい場合はアクチュエ
ータ205へのアクチュエータ保持部材301の接合位
置精度によるバラツキ以内で収まるので、衝撃をバラン
スさせアクチュエータ台座202や走査機構保持台20
1に伝わる振動を抑える効果は十分発揮される。
【0039】以上は、Z方向走査用のアクチュエータ2
05に関する振動発生の抑制の説明であるが、X方向走
査用のアクチュエータ204とY方向走査用のアクチュ
エータ203についても同様に振動の発生が抑制され
る。
【0040】従来、このような積層型圧電体等のアクチ
ュエータは、走査範囲を広く取るため、つまり長いスト
ロークを得るため、通常は一方の端部が保持される。こ
のため、アクチュエータの動作の反作用がアクチュエー
タ保持部材にかかり、これが走査機構を揺らせてしまっ
ている。
【0041】これに対し、本実施の形態のようにアクチ
ュエータの中央付近が保持された走査機構では、運動系
の重心付近が保持されるため、保持位置でのぶれが抑え
られる。その結果、この走査機構は、振動が少なく、高
速走査に対しても安定に動作する。
【0042】図1に示される走査型プローブ顕微鏡で
は、X方向100画素/ライン、Y方向100ライン(1
0000画素/画面)でのデータ取り込みにおいて、0.
5μm×0.5μmの試料表面の観察範囲を、0.5秒/
画面という画像取り込み速度で液体中の試料(150n
m径のラテックス球)を測定表示することが行えた。0.
5秒/画面という画像取り込み速度の値は、走査型プロ
ーブ顕微鏡においては、極めて短時間である。なお、こ
の測定には、大気中での共振周波数が1.33MHz、
液体中での共振周波数が475kHzの、作製プロセス
の設計上の寸法が長さ9μm×幅2μm×厚さ0.09
μmの窒化シリコン製のカンチレバーを用いた。また、
そのばね定数は143pN/nmと見積もられた。
【0043】また、本実施の形態の走査機構は、アクチ
ュエータ205に、市販のアクチュエータをそのまま加
工することなく使えるので、コストを安く抑えることが
できるという利点も有している。
【0044】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の
形態について図5を参照して説明する。図5は、図4に
相当する図面であり、続く説明に必要な部材のみが示さ
れている。また、これらの図面中、同じ参照符号で示さ
れる部材は同等の部材を示している。
【0045】本実施の形態の走査機構では、Z方向走査
用のアクチュエータ302は、例えばアルミニウムのブ
ロックからなるアクチュエータ連結部材303と、これ
に連結された二本の積層型圧電体304,305とを有
している。二本の積層型圧電体304,305は、一般
に広く市販されているものであり、これらは、アクチュ
エータ連結部材303を間に挟んで直線的に延びるよう
に、接着剤によってアクチュエータ連結部材303に固
定されている。また、積層型圧電体304の自由端に
は、試料保持部材208が取り付けられている。
【0046】図4との類似性から理解されるように、本
実施の形態の走査機構も、アクチュエータ302の中央
付近が保持されているため、振動が少なく、高速走査に
対しても安定に動作する。
【0047】さらに、本実施の形態の走査機構では、二
本の積層型圧電体304,305の間に挟まれたアクチ
ュエータ連結部材303に、アクチュエータ204が接
着される。このため、本実施の形態の走査機構は、第1
の実施の形態の走査機構に比べて、アクチュエータ30
5の取り付けの際の接着領域位置や接着領域広さなどの
バラツキに対しても、走査機構の個体差(性能差)が出に
くいという利点を有している。
【0048】(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の
形態について図6と図7を参照して説明する。本実施の
形態の走査機構は、図6と図7に示されるように、図2
と図3に示される第1の実施の形態の走査機構200と
類似している。
【0049】本実施の形態の走査機構400は、図6と
図7に示されるように、走査機構保持台401と、これ
に固定されたアクチュエータ台座402と、アクチュエ
ータ台座402に設けられたアクチュエータ保持部材4
06,407と、アクチュエータ保持部材406,407
によって保持されたアクチュエータ403と、アクチュ
エータ403の一端に固定されたアクチュエータ404
と、アクチュエータ404の一端に固定されたアクチュ
エータ405と、アクチュエータ404の一端に固定さ
れた釣り合い重り部材409と、アクチュエータ405
の一端に設けられた試料保持部材408とを有してい
る。
【0050】アクチュエータ403,404,405は、
第1の実施の形態と同様に、積層圧電体であり、さら
に、釣り合い重り部材409も同等の積層圧電体であ
る。アクチュエータ405はZ方向(第一の方向)に伸縮
可能であり、その中央付近がアクチュエータ404の一
方の端部に接合されている。釣り合い重り部材409は
アクチュエータ405とほぼ同じ重量を有しており、そ
の中央付近がアクチュエータ404の他方の端部に接合
されている。アクチュエータ404はX方向(第二の方
向)に伸縮可能であり、その中央付近がアクチュエータ
403の端部に接合されている。アクチュエータ403
はY方向(第三の方向)に伸縮可能であり、その中央付近
がアクチュエータ保持部材406,407によって保持
されている。
【0051】図2と図3に示される第1の実施の形態の
走査機構200では、Z方向走査用のアクチュエータ2
05の動作範囲が大きく形状や重さが大きいものを使用
した場合は、X方向走査用アクチュエータ204とY方
向走査用アクチュエータ203との接合部に対するX方
向走査用アクチュエータ204まわりの非対称性が無視
できなくなり制振の性能が下がることが予想される。
【0052】本実施の形態の走査機構400は、X方向
走査用のアクチュエータ204のZ方向走査用のアクチ
ュエータ205を取り付けた端部と反対側の端部に固定
された釣り合い重り部材409を更に有しているので、
対称性が向上しており、結果としてX方向走査用アクチ
ュエータ204とY方向走査用アクチュエータ203と
の接合部からY方向走査用アクチュエータ203を介し
てアクチュエータ台座402に伝わる振動が抑えられ
る。従って、本実施の形態の走査機構は、振動が少な
く、高速走査に対しても安定に動作する。
【0053】また、本実施の形態の走査機構は、第1の
実施の形態の走査機構に比べて、X方向走査に伴い発生
する振動が低減できるという利点を有している。比較的
平坦な試料を高速に走査し測定する場合に以下に述べる
利点を有している。
【0054】図6と図7では、釣り合い重り部材409
としてアクチュエータ405と同じ積層圧電体が用いら
れているが、重量が同じであれば金属ブロックなど、他
の材料が用いられてもよい。また、より制振性を高める
ために、Y方向走査用のアクチュエータ403のアクチ
ュエータ404が接合された端部の反対側の端部に、や
はり釣り合い重り部材が設けられているとよい。この場
合はY方向走査に伴い発生する振動も低減することがで
きる。このような形態は後ほど図12と図13を用いて
説明する第5の実施の形態の走査機構のなかで取り入れ
られている。
【0055】(第4の実施の形態)本発明の第4の実施の
形態について図8〜図11を参照して説明する。本実施
の形態の走査機構500は、図8〜図11に示されるよ
うに、走査機構保持台501と、これに固定されたアク
チュエータ台座502と、アクチュエータ台座502に
取り付けられた第一の案内板503と、第一の案内板5
03に固定され第一の案内板503と第二の案内板50
7との間に走査アクチュエータ510が入る間隔を作る
スペーサ部材504,505,506と、第一の案内板5
03と第二の案内板507の間に配置されアクチュエー
タ保持部材508,509を介して第二の案内板507
に固定される走査アクチュエータ510と、走査アクチ
ュエータ510と案内板503,507の間に配置され
る金属製の微小球511,512,513,514とを有
している。
【0056】走査アクチュエータ510は、アクチュエ
ータ保持部材508,509によって保持されたY方向
に伸縮可能なアクチュエータ515と、アクチュエータ
515の一端に固定されたX方向に伸縮可能なアクチュ
エータ516と、アクチュエータ516の一端に固定さ
れたZ方向に伸縮可能なアクチュエータ517と、アク
チュエータ517の一端に設けられた試料保持部材52
1とを有している。
【0057】アクチュエータ515,516はそれぞれ
一本の積層型圧電体であり、アクチュエータ517は、
二本の積層型圧電体518,519と、両者を連結する
アクチュエータ連結部材520とを有している。アクチ
ュエータ517は、ほぼ中央に位置するアクチュエータ
連結部材520がアクチュエータ516の端部に接合さ
れている。アクチュエータ516は、その中央付近がア
クチュエータ515の端部に接合されている。アクチュ
エータ515は、その中央付近がアクチュエータ保持部
材508,509によって保持されている。
【0058】走査アクチュエータ510の動作は第一も
しくは第二の実施の形態と同様であって、高い周波数で
走査されるZ方向走査用のアクチュエータ517の中央
部にあるアクチュエータ連結部材520にX方向走査用
のアクチュエータ516が接合されているため、走査時
の衝撃がバランスし、案内板507やアクチュエータ台
座502側に伝わる振動が抑えられる。
【0059】また、本実施の形態の走査機構500は、
第1の実施の形態の走査機構200に比べて、以下に述
べる利点を有している。第一の実施の形態の走査機構2
00では、三本のアクチュエータがアクチュエータ台座
に固定される箇所はアクチュェータ保持部材のみであ
り、その固定部分から試料保持部材までの機械的な長さ
が長くなっている上、Y方向走査のアクチュエータがZ
方向に振動するのを制限する機構を有していない。これ
に対し、本実施例の形態の走査機構500では、アクチ
ュエータ側面に微小球511,512,513,514が
固定されており、この微小球511,512を介して案
内板503に、また微小球513,514を介して案内
板507に当て付けられている。この微小球と案内板5
03,507とはアクチェエータのXY平面内の運動に
対して滑ることでアクチュエータの伸縮を妨げずにZ方
向の振動を低減するため、本実施の形態の走査機構は、
より振動が少なく、高速走査に対しても安定に動作す
る。
【0060】微小球と案内板を使った走査機構は、特開
平9−89910号にも開示されているが、本実施の形
態の走査機構500では、Y,X方向走査用のアクチュ
エータの端面はそれぞれX,Z方向走査用のアクチュエ
ータに接着されており、従ってX,Y,Z方向走査用のア
クチュエータが互いに接合されている点と、微小球は駆
動部材であるアクチュエータ側面に配置されている点に
おいて、特開平9−89910号のプローブ走査機構と
は異なっている。本実施形態の走査機構500では、
X,Y,Z方向走査用のアクチュエータが互いに接合され
ているため接合部での機械剛性は十分高く、X,Y,Z方
向走査用のアクチュエータの各長さの和が長くリンキン
グを発生しやすい点を、XY面内の動作を許容する案内
機構を用いた振動低減の為の機構を組み合わせることに
より解決しており、その結果、より振動が少なく、高速
走査に対しても安定に動作する走査機構となっている。
【0061】なお、微小球をアクチュエータに固定せ
ず、転がり動作が可能な転がり案内機構として微小球お
よびその接触部分に耐久性を持たせることももちろん本
発明に含まれる。
【0062】また、微小球を用いる代わりに二枚の案内
板の間をゲルやシリコーンゴム、シリコーングリースあ
るいはシリコーン油で満たして静圧案内機構とすること
なども本発明に含まれる。なお、静圧案内機構は案内機
構としての性質と同時に振動減衰機構としての性質を有
している場合があり、見方によってはいわゆるダンバー
機構と映る場合もあるが、一番高い周波数で振動動作す
る第一の駆動部材の移動方向に対する第二もしくは第三
の振動部材の振動を抑えつつ、それぞれが担う移動方向
への移動を妨げないことから本発明の効果を案内機構を
用いた振動減衰の機構と同様に実現し得る。
【0063】(第5の実施の形態)本発明の第5の実施の
形態について図12と図13を参照して説明する。図1
2と図13に示されるように、本実施の形態の走査機構
600は、走査機構保持台601と、これに固定された
アクチュエータ台座602と、このアクチュエータ台座
に取り付けられたアクチュエータ保持部材606,60
7と、アクチュエータ保持部材606,607によって
保持されたY方向走査用のアクチュエータ群603と、
アクチュエータ群603の一端に固定されたX方向走査
用のアクチュエータ群604と、アクチュエータ群60
4の一端に固定されたZ方向走査用のアクチュエータ群
605と、アクチュエータ群605の一端に設けられた
試料保持部材608とを有している。ここで、アクチュ
エータ群とは、動作が逆向きの二つのアクチュエータを
連結部材を挟んで接合した構造体を言う。
【0064】アクチュエータ群605は、そのほぼ中央
に位置する連結部材がアクチュエータ群604の端部に
接合されており、アクチュエータ群604は、そのほぼ
中央に位置する連結部材611がアクチュエータ群60
3の端部に接合されており、アクチュエータ群603
は、そのほぼ中央に位置する連結部材がアクチュエータ
保持部材606,607によって保持されている。
【0065】さらに、走査機構600は、アクチュエー
タ群604の他端に固定された、X方向走査に関する釣
り合い重り部材609と、アクチュエータ群603の他
端に固定された、Y方向走査に関する釣り合い重り部材
610とを有している。ここで、アクチュエータ群の他
端とは、前述のアクチュエータ群の一端という用語で指
摘された端の反対側の端を言う。釣り合い重り部材60
9は、例えば、アクチュエータ群605と同等のアクチ
ュエータ群であり、そのほぼ中央に位置する連結部材が
アクチュエータ群604の端部に接合されている。
【0066】加えて、走査機構600は、X方向走査用
のアクチュエータ群の連結部材611から伸びる金属板
612と、アクチュエータ台座602に設けられた磁石
位置調整部材615,616と、磁石位置調整部材61
5,616に取り付けられた二つの磁石614,615と
を有している。金属板612は二つの磁石614,61
5の間を延びており、このように配置された金属板61
2と磁石614,615は、磁性ダンパー機構を構成し
ている。
【0067】図6と図7を参照して説明した本発明の第
3の実施の形態との類似性から理解が容易なように、本
実施の形態の走査機構600は、釣り合い重りの60
9,610を備えていることにより対称性が良く、アク
チュエータの動きにつれ発生する振動がアクチュエータ
台座602に伝わるのを抑える構造になっている。ま
た、本実施の形態の走査機構600は、アクチュエータ
の動作に伴い発生する振動を減衰させる振動減衰の為の
機構が組み込まれている。
【0068】振動減衰の為の機構は具体的には磁性ダン
パー機構を有している。磁性ダンパー機構は銅板などの
金属板を磁石の間に非接触で配置し、両者が相対的に動
くときに金属板のなかに起こる渦電流により振動のエネ
ルギーを熱エネルギーに変換し大気中へと放出すること
によりダンピングを実現する速度比例型のダンピング機
構である。
【0069】本実施の形態の走査機構600では、銅製
の金属板612は、アクチュエータ群を動かした時その
YZ面内の振動に対して振動が減衰する。Y方向の動作
は磁性タンパーのダンピング能力に対して十分な発生力
をもったアクチュエータ群603により駆動されるの
で、この磁性ダンパーは実質的にZ方向の振動の減衰に
ついて効果を発揮する。
【0070】既に市販されている走査型プローブ顕微鏡
においても、床などから伝わる外部振動を走査機構に伝
えない為の除振機構として磁性ダンパー(エディーカレ
ントダンパー)を採用しているものがある。これに対し
て、本発明における磁性ダンパーは、アクチュエータの
動きに伴い発生する振動を抑えることが主目的であり、
前述の除振機構とは異なる。実際、本発明の実施の形態
の走査機構600においては、磁性ダンパー機構を構成
する金属板612は連結部材611に固定され、実質的
にアクチュエータと連結されており、アクチュエータの
振動を抑える。本発明で問題にしているアクチュエータ
の動作に伴って発生するノイズ振動は、前述の除振機構
に使っている磁性ダンパーで問題にしている外部からの
振動に比べて、振幅は小さく、周波数は高い。
【0071】このように本実施の形態の走査機構600
は、X,Y,Z方向走査用のアクチュエータがアクチュエ
ータの中央付近で接合されていることによって振動が抑
えられており、また、釣り合い重りを利用して構造の対
称性を高めることによってアクチュエータの動作に伴っ
て発生する振動が低く抑えられている。さらにX,Y,Z
方向走査用のアクチュエータの各長さの和が長くリンキ
ングを発生しやすい点はダンパー機構を利用した振動低
減の為の機構を組み合わせることにより解決しており、
より振動が少なく、高速走査に対しても安定に動作する
走査機構となっている。
【0072】また、ダンパー機構は磁性ダンパー機構に
限らず、空気ダンパー機構や流体ダンパー機構など、各
種のダンパー機構が利用可能である。アクチュエータの
振動を実質的に直接ダンピングするという考えを逸脱し
ない範囲において成されるあらゆる実施はすべて本発明
に含まれる。
【0073】以下、本発明の走査機構の利点の理解を助
けるための比較例について説明する。以下に述べる比較
例はいずれも従来例に従う走査機構である。
【0074】(第1の比較例)第1の比較例について図1
4を参照して説明する。本比較例の走査機構は、図14
に示されるように、走査機構保持台701と、これに固
定されたL字形状のアクチュエータ台座702と、この
アクチュエータ台座702に取り付けられた二本のアク
チュエータ703,704と、これらの二本のアクチュ
エータ703,704によって保持されたアクチュエー
タ705とを有している。
【0075】アクチュエータ703,704,705は、
例えば積層型圧電体であり、それぞれ、X方向、Y方
向、Z方向に伸縮し得る。X方向走査用の積層型圧電体
703とY方向走査用の積層型圧電体704は、それぞ
れ、一方の端部がアクチュエータ台座702に固定され
ている。Z方向走査用の積層型圧電体705は、長いス
トロークすなわち走査範囲を得るために、一方の端部
が、X方向走査用の積層型圧電体703とY方向走査用
の積層型圧電体704の他方の端部に接着により固定さ
れている。
【0076】この走査機構では、Z方向走査用の積層型
圧電体705の伸縮動作は、X,Y方向走査用の積層型
圧電体703,704にモーメントを発生させる。これ
は振動を発生させ、発生した振動はアクチュエータ台座
702や走査機構保持台701に伝わり、走査機構を揺
らす。
【0077】上述した実施形態の走査機構はいずれも、
この比較例の走査機構に比べて、振動ノイズが低減され
ている。
【0078】(第2の比較例)第2の比較例について図1
5を参照して説明する。本比較例の走査機構は、図15
に示されるように、走査機構保持台801と、これに固
定されたL字形状のアクチュエータ台座802と、この
アクチュエータ台座802に固定されたX走査用のアク
チュエータ803と、X走査用のアクチュエータ803
の自由端部に固定されたY走査用のアクチュエータ80
4と、Y走査用のアクチュエータ804の自由端部に固
定されたZ走査用のアクチュエータ805とを有してい
る。
【0079】この走査機構では、Z方向走査用の積層型
圧電体805の伸縮動作は、第1の比較例と同様に、Y
方向走査用の積層型圧電体804やX方向走査用の積層
型圧電体803にモーメントを発生させる。これは振動
を発生させ、発生した振動はアクチュエータ台座802
や走査機構保持台801に伝わり、走査機構を揺らす。
【0080】上述した実施形態の走査機構はいずれも、
この比較例の走査機構に比べて、振動ノイズが低減され
ている。
【0081】(第3の比較例)第3の比較例について図1
6を参照して説明する。本比較例の走査機構は、図16
に示されるように、走査機構保持台901と、これに固
定されたL字形状のアクチュエータ台座902と、X方
向走査用のアクチュエータ903と、Y方向走査用のア
クチュエータ904と、Z方向走査用のアクチュエータ
905とを有している。アクチュエータ903,904,
905は、例えば積層型圧電体であり、それぞれZ方
向、Y方向、Z方向に伸縮し得る。
【0082】X方向走査用のアクチュエータ903とY
方向走査用のアクチュエータ904の一方の端部はアク
チュエータ台座902に固定され、Z方向走査用のアク
チュエータ905の一方の端部は走査機構保持台901
に固定されている。三本の積層型圧電体903,904,
905の他方の端部は互いに連結されている。つまり、
本比較例の走査機構は、走査型トンネリング顕微鏡の走
査機構として最も一般的な構造の一つである、いわゆる
トライポッド型の走査機構である。
【0083】この走査機構では、Z方向走査用の積層型
圧電体905の伸縮動作は、その反作用が走査機構保持
台901に直接伝わって走査機構を揺らしたり、XY方
向走査用の積層型圧電体903,904を歪ませ、その
振動がアクチュエータ台座902に伝わって走査機構を
揺らしたりする。
【0084】上述した実施形態の走査機構はいずれも、
この比較例の走査機構に比べて、振動ノイズが低減され
ている。
【0085】これまで、いくつかの実施の形態について
図面を参照しながら具体的に説明したが、本発明は、上
述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨
を逸脱しない範囲で行われるすべての実施を含む。
【0086】従って、本明細書には以下の各項に記す発
明が含まれている。
【0087】1.走査のために移動対象物を第一の方向
に移動させるための第一のアクチュエータと、移動対象
物を第一の方向とは異なる第二の方向に移動させる第二
のアクチュエータと、移動対象物を第一の方向および第
二の方向とは異なる第三の方向に移動させる第三のアク
チュエータとを有しており、第一のアクチュエータの中
央付近は第二のアクチュエータの端部に接合され、第二
のアクチュエータの中央付近は第三のアクチュエータの
端部に接合されていることを特徴とする走査機構。
【0088】2.走査のために移動対象物を第一の方向
に移動させるための第一のアクチュエータと、移動対象
物を第一の方向とは異なる第二の方向に移動させる第二
のアクチュエータと、移動対象物を第一の方向および第
二の方向とは異なる第三の方向に移動させる第三のアク
チュエータとを有しており、第一のアクチュエータの重
心付近は第二のアクチュエータの端部に接合され、第二
のアクチュエータの重心付近は第三のアクチュエータの
端部に接合されていることを特徴とする走査機構。
【0089】3.第二のアクチュエータまたは第三のア
クチュエータの他方の端部に設けられた少なくとも一つ
の釣り合い重りを更に有していることを特徴とする第1
項または第2項に記載の走査機構。
【0090】4.第二のアクチュエータまたは第三のア
クチュエータと組み合わされた少なくとも一つの振動減
衰のための機構を更に有していることを特徴とする第1
項ないし第3項のいずれか一つに記載の走査機構。
【0091】5.振動減衰の為の機構は、案内機構を有
している第4項に記載の走査機構。
【0092】6.案内機構は、微小球の滑り案内を有し
ていることを特徴とする第5項に記載の走査機構。
【0093】7.案内機構は、微小球の転がり案内を有
していることを特徴とする第5項に記載の走査機構。
【0094】8.案内機構は、ゲルやゴムや油などを利
用した静圧案内を有していることを特徴とする第5項に
記載の走査機構。
【0095】9.振動減衰の為の機構は、ダンパー機構
を有している第4項に記載の走査機構。
【0096】10.ダンパー機構は、アクチュエータの
振動を実質的に直接ダンピングする構造を有しているこ
とを特徴とする第9項に記載の走査機構。
【0097】11.ダンパー機構は、磁性ダンパーを有
している第10項に記載の走査機構。
【0098】12.ダンパー機構は、粘性ダンパーを有
している第10項に記載の走査機構。
【0099】13.アクチュエータは、圧電体を有して
いる第1項ないし第12項のいずれか一つに記載の走査
機構。
【0100】14.上記各項のいずれか一つに記載の走
査機構を含んでいる走査型プローブ顕微鏡。
【0101】また、上述した実施の形態では、圧電体の
アクチュエータを例にあげて説明したが、駆動部の運動
系の重心付近を保持することにより振動の発生を抑える
という技術思想は他のアクチュエータにも適用できる。
【0102】さらに本発明の走査機構は、振動を抑えて
高速動作を可能にする利点のほかに、走査ノイズ音を低
減する効果もあり、これにより不快な駆動音を低減する
ことができる。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、走査動作に伴う振動の
発生が抑えられた、高精度な位置制御を高速で行える走
査型プローブ顕微鏡用スキャナーが提供される。これに
より、ノイズの少ない高精度な測定データを高速で取り
込める走査型プローブ顕微鏡が提供されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の走査機構を備える
走査型プローブ顕微鏡を示している。
【図2】図1に示される走査機構の斜視図であり、理解
を容易にするために上下逆に描かれている。
【図3】(A)は図2の走査機構のZ方向から見た平面
図、(B)は図2の走査機構のY方向から見た側面図、
(C)は図2の走査機構のX方向から見た側面図である。
【図4】図2に示される第1の実施の形態の走査機構の
動作を説明するための模式図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の走査機構の動作を
説明するための模式図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の走査機構の斜視図
であり、理解を容易にするために上下逆に描かれてい
る。
【図7】(A)は図6の走査機構のZ方向から見た平面
図、(B)は図6の走査機構のY方向から見た側面図、
(C)は図6の走査機構のX方向から見た側面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の走査機構の斜視図
である。
【図9】図8に示される走査機構の分解斜視図である。
【図10】図8に示される走査アクチュエータの斜視図
である。
【図11】図8の走査機構のZ方向から見た平面図であ
る。
【図12】本発明の第5の実施の形態の走査機構の斜視
図であり、理解を容易にするために上下逆に描かれてい
る。
【図13】図12の走査機構のZ方向から見た平面図で
ある。
【図14】本発明の走査機構の理解を助けるために、従
来例に従う第1の比較例の走査機構を説明するための図
面であり、(A)はこの走査機構の斜視図であり、(B)は
この走査機構のX方向から見た側面図である。
【図15】本発明の走査機構の理解を助けるために、従
来例に従う第2の比較例の走査機構を説明するための図
面であり、(A)はこの走査機構の斜視図であり、(B)は
この走査機構のX方向から見た側面図である。
【図16】本発明の走査機構の理解を助けるために、従
来例に従う第3の比較例の走査機構を説明するための図
面であり、(A)はこの走査機構の斜視図であり、(B)は
この走査機構のX方向から見た側面図である。
【符号の説明】
200 走査機構 203 アクチュエータ 204 アクチュエータ 205 アクチュエータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 齋藤 究 石川県金沢市角間町(番地なし) 金沢大 学内 (72)発明者 戸田 明敏 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走査のために移動対象物を第一の方向に
    移動させるための第一の駆動部と、移動対象物を第一の
    方向とは異なる第二の方向に移動させる第二の駆動部
    と、移動対象物を第一の方向および第二の方向とは異な
    る第三の方向に移動させる第三の駆動部とを有してお
    り、第一の駆動部の中央付近は第二の駆動部の端部に接
    合され、第二の駆動部の中央付近は第三の駆動部の端部
    に接合されている、走査型プローブ顕微鏡用スキャナ
    ー。
  2. 【請求項2】 第二の駆動部もしくは第三の駆動部に釣
    り合い重りがついていることを特徴とする請求項1に記
    載の走査型プローブ顕微鏡用スキャナー。
  3. 【請求項3】 第二の駆動部もしくは第三の駆動部に案
    内機構が組み合わされていることを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載の走査型プローブ顕微鏡用スキャ
    ナー。
JP2000273849A 2000-09-08 2000-09-08 走査型プローブ顕微鏡用スキャナー Pending JP2002082036A (ja)

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JP2000273849A JP2002082036A (ja) 2000-09-08 2000-09-08 走査型プローブ顕微鏡用スキャナー

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