JP2010190322A - 歩行型作業機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】走行用推進軸13aへの伝動系と外部動力出力軸20への伝動系との分岐箇所におけるケース上縁3b側及びケース下縁3c側が共に上方へ突曲した形状となるようにミッションケース3を屈曲形成し、デフ操作機構6の操作軸61を、走行用推進軸13aへの伝動系と外部動力出力軸20への伝動系との分岐箇所の下側で、ケース下縁3c側における突曲箇所に設けてある。
【選択図】図3
Description
[1]デフロック用の操作軸を走行用推進軸の近くに設けて、前記操作軸の軸心方向での押し引き操作によって、デフロック装置を入り切り操作可能に構成したもの(特許文献1参照)。
[2]デフロック用の操作軸を走行用推進軸の近くに設け、そのデフロック用の操作軸を軸心周りで回動操作するための操作部材をミッションケースの上部側に設けて、前記操作軸を回動操作することによってロック作動片を横移動させ、デフロック装置を入り切り操作可能に構成したもの(特許文献2参照)。
しかしながら、比較的多くの伝動機構等が錯綜して配設される走行用推進軸の伝動用スプロケットの周辺部に、前記デフロック用の操作軸を配設するためのスペースを確保しなければならず、ミッションケース全体の小型化を妨げる要因となりやすく、また、組み付け加工の煩雑さを伴い易いものであった。
上記課題を解決するために本発明で講じた技術手段は、請求項1に記載のように、エンジン側から入力された動力を、走行用推進軸と、外部動力出力軸とに分岐伝動するミッションケースを備えた歩行型作業機において、前記ミッションケースを、前記走行用推進軸と外部動力出力軸とが前後に離れて下端側に位置し、かつ、その走行用推進軸への伝動系と外部動力出力軸への伝動系との分岐箇所におけるケース上縁側及びケース下縁側が共に上方へ突曲した形状となるように屈曲形成し、前記走行用推進軸に差動装置を装着するとともに、その差動装置をデフロック状態とロック解除状態とに切換操作可能なデフ操作機構を備え、前記デフ操作機構の操作軸を、前記走行用推進軸への伝動系と外部動力出力軸への伝動系との分岐箇所の下側で、前記ケース下縁側における突曲箇所に設けてあることを特徴とする。
上記のように、解決手段1にかかる本発明の歩行型作業機では、デフ操作機構の操作軸を、走行用推進軸への伝動系と外部動力出力軸への伝動系との分岐箇所の下側で、ミッションケースのケース下縁側における突曲箇所に設けてあるため、前記分岐箇所の下側に形成されるデッドスペースを有効利用して前記操作軸を配設することができる。したがって、ミッションケースの小型化に有効である。
本発明における歩行型作業機の第2の解決手段は、前記請求項1記載の歩行型作業機において、走行用推進軸への伝動系と外部動力出力軸への伝動系とを伝動チェーンで構成し、デフ操作機構を操作するための操作軸を、前記走行用推進軸へ駆動力を伝達する伝動チェーンの回動範囲の外側に設けてあることを特徴とする。
上記の解決手段2にかかる本発明の歩行型作業機では、デフ操作機構を操作するための操作軸を、走行用推進軸へ駆動力を伝達する伝動チェーンの回動範囲の外側に設けてあるので、走行用推進軸への伝動系と外部動力出力軸への伝動系との分岐箇所から走行用推進軸への伝動系自体の小型化を図ることができる。
つまり、走行用推進軸へ駆動力を伝達する伝動チェーンは、走行用推進軸への伝動系と外部動力出力軸への伝動系との分岐箇所に設けられる伝動用スプロケットと、走行用推進軸に設けられる伝動用スプロケットとにわたって設けられている。このとき、デフ操作機構を操作するための操作軸を、走行用推進軸へ駆動力を伝達する伝動チェーンの回動範囲内に設けると、分岐箇所に設けられる伝動用スプロケットと走行用推進軸に設けられる伝動用スプロケットとの軸間距離は、前記各伝動用スプロケットの大きさや前記操作軸の存在位置によって制限されることになる。
これに比べて本発明のものでは、前記操作軸は、走行用推進軸へ駆動力を伝達する伝動チェーンの回動範囲の外側に設けてあるので、分岐箇所に設けられる伝動用スプロケットと走行用推進軸に設けられる伝動用スプロケットとの軸間距離は、前記操作軸の存在による影響を受けず、各伝動用スプロケットの大きさによる制限だけを受けることになる。その結果、前記軸間距離をより縮めて伝動チェーンの長さを短縮することができる。
本発明の歩行型作業機における第3の解決手段では、請求項1または2記載の歩行型作業機において、デフ操作機構は、デフロック用爪体を押し引きしてデフロック状態とロック解除状態とに切換操作するシフターと、軸心方向がミッションケースの左右幅方向に向き外部からの操作力で回転操作される操作軸と、操作軸の回転運動をシフターの押し引き操作に変換するカム機構とによって構成してあることを特徴とする。
上記のように構成された解決手段3にかかる本発明の歩行型作業機では、デフ操作機構を、操作軸の軸心方向での押し引きによる操作でデフロック状態及びロック解除状態を現出するのではなく、回転操作される操作軸と、操作軸の回転運動をシフターの押し引き操作に変換するカム機構とによって構成してあるので、ミッションケースの左右幅方向への操作軸の移動代を要さず、ミッションケースとデフ操作機構を含めての左右方向での幅寸法を大きくすることもない利点がある。
本発明の歩行型作業機における第4の解決手段では、請求項1、2、または3記載の歩行型作業機において、ミッションケースの内面側に、操作軸の外周部を囲繞するように環状リブを形成してあることを特徴とする。
上記のように構成された解決手段4にかかる本発明の歩行型作業機では、操作軸の外周部を囲繞するように環状リブを備えているので、この環状リブが操作軸周りでの潤滑油の保持を効果的に行い易いものである。
しかも、前記環状リブが存在する箇所は、ミッションケースのケース下縁側における突曲箇所に設けられた操作軸周りであるから、外部応力が集中し易いケース下縁側の突曲箇所に対する補強手段としても有効に作用し得る利点がある。
〔歩行型作業機の全体構成〕
図1は、本発明に係る歩行型作業機の一例である歩行型耕耘機を示す全体側面図である。
この図に示すように、歩行型耕耘機は、エンジン11を搭載した機体フレーム10の後方側に操縦ハンドル12を備え、前記機体フレーム10を支持する左右一対の駆動自在なタイヤ式の走行車輪13,13を装備した自走機体1と、前記自走機体1の機体フレーム10の後部側に連結されたロータリー耕耘装置2とを備えて構成されている。
この操縦ハンドル12には、エンジン11からの動力を前記ミッションケース3内の伝動装置に対して断続するための主クラッチ14を入り切り操作するための走行クラッチレバー15やアクセル操作具16、及び、図示しないブレーキ操作具などの操縦操作具を設けてある。
エンジン11からの動力が、走行推進軸としての前記車軸13a,13a、及び、外部動力出力軸としてのロータリー駆動軸20に伝達される際の動力伝達系の構成について説明する。
この主クラッチ14は、前記出力プーリ11bと入力プーリ30aとにわたって巻回された伝動ベルト14aと、この伝動ベルト14aを緊張する状態と弛緩する状態とに切換操作可能なテンションプーリ14bとを備えている。このテンションプーリ14bが前記操縦ハンドル12に備えられた走行クラッチレバー15に連係されているので、前記操縦ハンドル12に備えられた走行クラッチレバー15の操作にともなって、前記主クラッチ14を入り状態と切り状態とに、切換操作することができる。
この第1シフトギヤ40を操作するための第1シフト操作機構S1、及び第2シフトギヤ50を操作するための第2シフト操作機構S2は、図1に示す変速操作レバー17をガイド溝付きのレバーガイド18に沿わせて操作することで、各別に操作自在に構成されている。
走行系伝動機構4は次のように構成されている。
つまり、走行系伝動機構4は、図2乃至図6に示すように、入力軸30に摺動のみ自在で一体回転するようにスプライン係合された第2シフトギヤ50の図4中右方の一端側に形成された小幅ギヤ50aと、この第2シフトギヤ50の同図中左方の端部側に形成された広幅ギヤ50bと、第1伝動軸31に相対回転、及び摺動自在に外嵌された第1シフトギヤ40と、第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41と、第2伝動軸32の図4中左方の端部側に一体形成された幅広の小径ギヤ42と、その小径ギヤ42に常時噛み合い状態で第3伝動軸33に固定された常噛み大径ギヤ43と、第3伝動軸33に一体形成された走行系出力スプロケット44と、車軸13aに一体に固定の走行系入力スプロケット46と、前記走行系出力スプロケット44と走行系入力スプロケット46との間に張設された伝動チェーン45とを備えて構成されている。
図4及び図5に示すように、前記第2シフトギヤ50を、その小幅ギヤ50a及び広幅ギヤ50bが第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41と噛合しない中立位置「N」に位置させる。第1シフトギヤ40は、第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41、及び第3伝動軸33に固定された常噛み大径ギヤ43の何れにも噛合しない中立位置「N」に位置させる。
これによって、第2シフトギヤ50、及び第1シフトギヤ40よりも伝動下手側への動力伝達が断たれるので、車軸13aが駆動されない走行停止状態となる。
第2シフトギヤ50に形成された小幅ギヤ50aを、図4の図中左方の前進1速位置「F1」に移動させて、第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41に噛合させる。第1シフトギヤ40は、第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41、及び第3伝動軸33に固定された常噛み大径ギヤ43の何れにも噛合しない中立位置「N」に位置させる。
これによって、入力軸30の動力は、入力軸30→第2シフトギヤ50→大径ギヤ41→幅広の小径ギヤ42→固定常噛み大径ギヤ43→走行系出力スプロケット44→伝動チェーン45→走行系入力スプロケット46→車軸13aと伝えられ、前進1速走行状態となる。
図4に示すように、第2シフトギヤ50を、その小幅ギヤ50a及び広幅ギヤ50bが第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41と噛合しない中立位置「N」に位置させる。第1シフトギヤ40は、図5中左方に移動させて第3伝動軸33に固定された常噛み大径ギヤ43に噛合する前進2速位置「F2」に位置させる。
これによって、入力軸30の動力は、入力軸30→第2シフトギヤ50→第1シフトギヤ40→固定常噛み大径ギヤ43→走行系出力スプロケット44→伝動チェーン45→走行系入力スプロケット46→車軸13aと伝えられ、前進2速走行状態となる。
図4に示すように、第2シフトギヤ50を、その小幅ギヤ50a及び広幅ギヤ50bが第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41と噛合しない中立位置「N」に位置させる。第1シフトギヤ40は、図5中右方に移動させて第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41に噛合する後進1速位置「R1」に位置させる。
これによって、入力軸30の動力は、入力軸30→第2シフトギヤ50→第1シフトギヤ40→大径ギヤ41→幅広の小径ギヤ42→固定常噛み大径ギヤ43→走行系出力スプロケット44→伝動チェーン45→走行系入力スプロケット46→車軸13aと伝えられ、後進1速走行状態となる。
作業系伝動機構5は次のように構成されている。
つまり、作業系伝動機構5は、図2乃至図6に示すように、入力軸30に摺動のみ自在で一体回転するように外嵌された第2シフトギヤ50の図4中右方の一端側に形成された小幅ギヤ50aと、同図中左方の端部側に形成された広幅ギヤ50bと、第1伝動軸31に相対回転のみ自在に外嵌された幅広の第1ギヤ51と、第2伝動軸32に相対回転のみ自在に外嵌された大径の第2ギヤ52と、その大径の第2ギヤ52と一体回転するように形成された小径の第3ギヤ53と、前記第3ギヤ53に対して常時噛み合い状態で第3伝動軸33に相対回転のみ自在に外嵌された常噛み第4ギヤ54と、その常噛み第4ギヤ54と一体に形成された作業系出力スプロケット55と、ロータリー駆動軸20に一体に固定の作業系入力スプロケット57と、前記作業系出力スプロケット55と作業系入力スプロケット57との間に張設された伝動チェーン56とを備えて構成されている。
図4及び図5に示すように、前記第2シフトギヤ50を、その小幅ギヤ50a及び広幅ギヤ50bが第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41と噛合しない中立位置「N」に位置させる。第1シフトギヤ40は、第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41、及び第3伝動軸33に固定された常噛み大径ギヤ43の何れにも噛合しない中立位置「N」に位置させる。
これによって、第2シフトギヤ50、及び第1シフトギヤ40よりも伝動下手側への動力伝達が断たれるので、ロータリー駆動軸20が駆動されない耕耘停止状態となる。このとき、第1伝動軸31の幅広の第1ギヤ51は、第2伝動軸32の大径の第2ギヤ52に対して常噛みであるが、第1ギヤ51も、第1シフトギヤ40も、第1伝動軸31に対して相対回転自在に装備されているので、動力は伝達されない。
第2シフトギヤ50に形成された小幅ギヤ50aを、図4の図中右方の正転位置「正」に移動させて、第2伝動軸32に相対回転自在に支持された大径の第2ギヤ52の正転用歯部52aに噛合させる。このとき、前記第2シフトギヤ50の広幅ギヤ50bは、第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41に噛合する。第1シフトギヤ40は、第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41、及び第3伝動軸33に固定された常噛み大径ギヤ43の何れにも噛合しない中立位置「N」に位置させる。
これによって、入力軸30の動力は、耕耘作業の系では、入力軸30→第2シフトギヤ50→大径の第2ギヤ52→小径の第3ギヤ53→常噛み第4ギヤ54→走行系出力スプロケット55→伝動チェーン56→走行系入力スプロケット57→ロータリー駆動軸20と伝えられ、正転駆動状態となる。
このとき、第2伝動軸32の大径の第2ギヤ52は、その連係用歯部52bが、第1伝動軸31の幅広の第1ギヤ51に対して常噛みであるが、第1ギヤ51も、第1シフトギヤ40も、第1伝動軸31に対して相対回転自在に装備されているので、第1ギヤ51からは動力を受けない。
そして、入力軸30の動力は、走行駆動の系にも伝達され、前記前進1速の場合と同様に、入力軸30→第2シフトギヤ50→大径ギヤ41→幅広の小径ギヤ42→固定常噛み大径ギヤ43→走行系出力スプロケット44→伝動チェーン45→走行系入力スプロケット46→車軸13aと伝えられ、前進1速走行状態となる。
第2シフトギヤ50に形成された小幅ギヤ50aを、図4の図中さらに右方の逆転位置「逆」に移動させて、第1伝動軸31に相対回転自在に支持された幅広の第1ギヤ51に噛合させる。このとき、前記第2シフトギヤ50の広幅ギヤ50bは、第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41に噛合する。第1シフトギヤ40は、第2伝動軸32に固定された大径ギヤ41、及び第3伝動軸33に固定された常噛み大径ギヤ43の何れにも噛合しない中立位置「N」に位置させる。
これによって、入力軸30の動力は、耕耘作業の系では、入力軸30→第2シフトギヤ50→幅広の第1ギヤ51→大径の第2ギヤ52→小径の第3ギヤ53→常噛み第4ギヤ54→走行系出力スプロケット55→伝動チェーン56→走行系入力スプロケット57→ロータリー駆動軸20と伝えられ、逆転駆動状態となる。
このとき、入力軸30の動力は、走行駆動の系にも伝達され、前記前進1速の場合と同様に、入力軸30→第2シフトギヤ50→大径ギヤ41→幅広の小径ギヤ42→固定常噛み大径ギヤ43→走行系出力スプロケット44→伝動チェーン45→走行系入力スプロケット46→車軸13aと伝えられ、前進1速走行状態となる。
第1シフトギヤ40を操作するための第1シフト操作機構S1、及び第2シフトギヤ50を操作するための第2シフト操作機構S2は、図3及び図6に示すように構成されている。
すなわち、第1シフト操作機構S1は、第1シフトギヤ40の長さ方向中間位置に係合する第1シフトフォーク36と、その第1シフトフォーク36を軸端に備えた第1シフトロッド36Aと、第1シフトロッド36Aの操作位置を安定的に維持するためのデテント機構38とで構成されている。
デテント機構38は、前記第1シフトロッド36Aの外表面に形成した位置決め用凹部38aと、その位置決め用凹部38aに対してコイルスプリング38cによって圧接するように弾性付勢された鋼球38bとで構成されている。そして、各位置決め用凹部38aが、それぞれ、前進2速位置「F2」、中立位置「N」、後進1速位置「R1」に対応して設けてあることにより、第1シフトギヤ40を、これらの各位置で安定的に位置決めすることができる。
デテント機構38は、前記第2シフトロッド37Aの外表面に形成した位置決め用凹部38aと、その位置決め用凹部38aに対してコイルスプリング38cによって圧接するように弾性付勢された鋼球38bとで構成されている。そして、各位置決め用凹部38aが、それぞれ、前進1速位置「F1」、中立位置「N」、正転駆動位置「正」、逆転駆動位置「逆」、に対応して設けてあることにより、第2シフトギヤ50を、これらの各位置で安定的に位置決めすることができる。
上記のように構成された走行系伝動機構4及び作業系伝動機構5は、入力軸30から、分岐伝動軸である第3伝動軸33に至るまでの伝動系路では、互いにその伝動のための構成要素が他方の伝動機構の構成要素と重複して構成された構造となっており、分岐伝動軸である第3伝動軸33よりも伝動下手側において、伝動のための構成要素が互いに独立した構造となるように、分岐した伝動構造として構成されている。
また、この変速機構中で用いられる前記第1シフトギヤ40及び第2シフトギヤ50も、互いに噛合した状態で用いられていることにより、これも動力伝達を行う伝動機構の一部として機能している。
前記第1シフトギヤ40は、その摺動方向の中間位置に、第1シフトフォーク36が係合する環状溝からなる係合凹部を備え、このシフトギヤ40の回転を許すとともに、第1伝動軸31の軸線方向でスライド操作自在に構成されている。
その結果、この回転しない第1伝動軸31に支持される前記第1シフトギヤ40、及び幅広の第1ギヤ51の外周縁が、入力軸30を支持するボールベアリング30bの外周縁よりも入力軸30の外周面に近づくように配設された状態となっている。
図3、及び図8に示すように、ミッションケース3の内部には、左右一対の車軸(走行用推進軸の一例)13a,13aの相対回動を規制及び規制解除できるように、差動機構34をデフロック状態とロック解除状態とに切換操作可能なデフ操作機構6が設けられている。
このデフ操作機構6は、差動機構34に設けられたデフロック用爪体35を車軸13aの軸心方向で押し引き操作するためのシフター60と、そのシフター60のボス部60Aを貫通した状態で支持する操作軸61と、操作軸61の回転運動をシフター60の押し引き操作に変換するカム機構62とによって構成してある。
したがって、ミッションケース3の外側へ突出する操作軸61の一端側に設けた操作レバー61Aを一方向へ回動操作することにより、操作軸61のピン62aがシフター60のボス部60Aに形成された傾斜カム面62bに接触してシフター60を図8における左方へ押し、デフロック用爪体35を係合させて差動機構34をデフロック状態とすることができる。
操作レバー61Aを逆方向へ回動操作すると、シフター60はコイルスプリング63に押されて図8中における右方へ移動し、デフロック用爪体35の係合を解除して、差動機構34をデフロック解除状態とすることができる。
前記操作レバー61Aの操作は、図示しないが、操縦ハンドル12の適所に設けた操作具に操作ワイヤーなどで連係させ、操作具の操作位置を維持する手段を備えておくことで、その操作レバー61Aの操作状態を維持することができる。
この環状リブ64は、ミッションケース3のケース下縁3cの突曲部分に対する補強部材としての役割を果たすものであるとともに、カム機構62の外周側を囲繞して、そのカム機構62部分での潤滑油の確保を行い易く構成してある。
ミッションケース3は、左右一対の分割ケース単位体3A,3Bを組み合わせて構成したものであり、図3に示すように側面視で、前記走行用推進軸である車軸13aと外部動力出力軸であるロータリー駆動軸20とが前後に離れて下端側に位置するように、前後に長く形成されている。
そして、前記車軸13aとロータリー駆動軸20との前後方向での中間部に第3伝動軸33が設けられている。この第3伝動軸33が、走行系伝動機構4と作業系伝動機構5との伝動系の途中で、前記入力軸30に伝達された動力を車軸13aとロータリー駆動軸20とに分岐伝動するための単一の分岐伝動軸に相当する。
そして、車軸13aへの伝動系とロータリー駆動軸20への伝動系との分岐箇所である前記第3伝動軸33の下方側で、前記ケース下縁3c側における突曲箇所には、前記車軸13aへ駆動力を伝達する伝動チェーン45の回動範囲の外側に位置させて前記デフ操作機構6の操作軸61が設けてある。したがって、伝動チェーン45の回動範囲の内側には、前記デフ操作機構6の操作軸61を設けるためのスペースを設ける必要がない。
したがって、例えば伝動上手側の伝動軸31,32,33部分では、各伝動要素が左右方向で入力プーリ30aが存在する側に配設されていても、後段の各伝動軸31,32,33部分では、各伝動要素が逆に前記入力プーリ30aが存在する側の近くに配置されるので、ミッションケース3の左右方向厚みの無用な増大が制限される。
走行推進軸は上記実施形態のように車軸13aである必要はなく、例えば、車輪13を用いずに小型のゴムクローラを用いた場合などには、駆動用スプロケットを直接、または間接に駆動する軸であってもよい。
外部動力出力軸は上記実施形態のようにロータリー駆動軸20である必要はなく、用いられる作業装置の種類に応じて、その駆動力を出力するための軸であればよい。
3 ミッションケース
3b ケース上縁
3c ケース下縁
4 走行系伝動機構
5 作業系伝動機構
6 デフ操作機構
11 エンジン
13a 車軸(走行用推進軸)
20 ロータリー駆動軸(外部動力出力軸)
30 入力軸
33 第3伝動軸(分岐伝動軸)
34 差動機構
35 デフロック用爪体
40 第1シフトギヤ
45 伝動チェーン
50 第2シフトギヤ
56 伝動チェーン
60 シフター
61 操作軸
62 カム機構
64 環状リブ
Claims (4)
- エンジン側から入力された動力を、走行用推進軸と、外部動力出力軸とに分岐伝動するミッションケースを備えた歩行型作業機であって、
前記ミッションケースを、前記走行用推進軸と外部動力出力軸とが前後に離れて下端側に位置し、かつ、その走行用推進軸への伝動系と外部動力出力軸への伝動系との分岐箇所におけるケース上縁側及びケース下縁側が共に上方へ突曲した形状となるように屈曲形成し、
前記走行用推進軸に差動装置を装着するとともに、その差動装置をデフロック状態とロック解除状態とに切換操作可能なデフ操作機構を備え、
前記デフ操作機構の操作軸を、前記走行用推進軸への伝動系と外部動力出力軸への伝動系との分岐箇所の下側で、前記ケース下縁側における突曲箇所に設けてあることを特徴とする歩行型作業機。 - 走行用推進軸への伝動系と外部動力出力軸への伝動系とを伝動チェーンで構成し、デフ操作機構の操作軸を、前記走行用推進軸へ駆動力を伝達する伝動チェーンの回動範囲の外側に設けてある請求項1記載の歩行型作業機。
- デフ操作機構は、デフロック用爪体を押し引きしてデフロック状態とロック解除状態とに切換操作するシフターと、軸心方向がミッションケースの左右幅方向に向き外部からの操作力で回転操作される操作軸と、操作軸の回転運動をシフターの押し引き操作に変換するカム機構とによって構成してある請求項1または2記載の歩行型作業機。
- ミッションケースの内面側に、操作軸の外周部を囲繞するように環状リブを形成してある請求項1、2、または3記載の歩行型作業機。
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