JP2010189634A - 活性エネルギー線硬化型高屈折率樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 分子内にフルオレン骨格を有する2官能(メタ)アクリレート(A)、分子内に硫黄原子を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)、および芳香環含有単官能(メタ)アクリレート(C)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を使用する。
【選択図】なし
Description
近年、ディスプレイの光学レンズに反射防止性能を付与するという試みがなされており、高屈折率のレンズを成型する技術が検討されている。しかしながら、高屈折率タイプの紫外線硬化型樹脂組成物は一般に芳香環の含有量が高いため、硬化後は剛直となり硬化時に応力が発生するため、反りが大きくなるといった問題点があった。
このような問題点を解決する手法として、応力緩和のために低Tgの単官能アクリレートモノマーを導入する方法(例えば特許文献1)、無機粒子を導入してUV硬化時の硬化収縮を低減させる方法(例えば特許文献2)等が提案されている。
本発明の目的は、1.585〜1.650の高屈折率を維持した上で硬化時の反りを低減する硬化物を与える活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
すなわち、本発明は、分子内にフルオレン骨格を有する2官能(メタ)アクリレート(A)、分子内に硫黄原子を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)、および芳香環含有単官能(メタ)アクリレート(C)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物;およびその硬化物である。
好ましい構造としては下記一般式(1)で表されるモノマーである。
特に好ましくは、R3とR4が共にO(CH2)2である。
そして、このイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B’)は、メルカプト基を2個以上有するポリチオール(a)またはメルカプト基1個と水酸基1個を有する2−メルカプトエタノールとポリイソシアネート(b)を反応させることにより得られ、(a)と(b)の反応における(SH+OH)/NCO当量比が、通常0.45〜0.90、好ましくは0.50〜0.85である。
ポリチオエーテル〔アルキレンスルフィド[炭素数(以下Cと略記)2〜4]の重合物(数平均分子量(以下Mnと略記)400〜10,000)等〕、ポリチオカーボネートジチオール〔ポリアルキル(C2〜6)チオカーボネートジチオール(Mn400〜10,000)、等〕、ポリジチオカーボネートジチオール〔ポリアルキル(C2〜6)ジチオカーボネートジチオール(Mn400〜10,000)等〕、ポリトリチオカーボネートジチオール〔ポリアルキル(C2〜6)トリチオカーボネートジチオール(Mn400〜10,000)等〕、およびそれらのアルキレンオキシド(以下AOと略記、C2〜6)付加物(付加モル数1〜20)等;
トリオール(C3〜10、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン)のアルキレン(C2〜4)スルフィド付加物(Mn400〜10,000)、並びに、トリオール(C3〜10、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン)のアルキレン(C2〜4)スルフィド付加物のAO(C2〜3)付加物(Mn400〜10,000);
4官能以上のポリオール(C5〜C30、例えばペンタエリスリトール)のアルキレン(C2〜4)スルフィド付加物(Mn400〜10,000)等、並びに、4官能以上のポリオール(C5〜C30、例えばペンタエリスリトール)のアルキレン(C2〜4)スルフィド付加物のAO(C2〜3)付加物(Mn400〜10,000);
DI、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ヘプタメチレンDI、オクタメチレンDI、ノナメチレンDI、デカメチレンDI、ドデカメチレンDI、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネートおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートおよびリジンエステルトリイソシアネート(リジンとアルカノールアミンの反応生成物のホスゲン化物、例えば2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)
DI、例えばイソホロンDI(IPDI)、2,4−および/または2,6−メチルシクロヘキサンDI(水添TDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−DI(水添MDI)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−および/または2,6−ノルボルナンDI、ダイマー酸DI(DDI);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えばビシクロヘプタントリイソシアネート
m−および/またはp−キシリレンDI(XDI)、ジエチルベンゼンDIおよびα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI)
(b5):上記(c1)〜(c4)のヌレート化物
(d1):(メタ)アクリル酸のAO付加物〔Mn116〜5,000〕
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、−2−ヒドロキシプロピル、−2−ヒドロキシブチルおよびこれらのAO付加物(Mn160〜5,000)等
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル−ε−カプロラクトン2モル付加物等
(d3):ジオール(Mn300〜5,000)のモノ(メタ)アクリレート
ジオール[Mn300〜5,000で例えばポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール]のモノ(メタ)アクリレート
(d4):エポキシドとヒドロキシ(メタ)アクリル酸の反応生成物
3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ビフェノキシ−2−ヒドロキシプロプル(メタ)アクリレート等
グリセリンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ−、ジ−およびトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ−、ジ−およびトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタ(メタ)アクリレートおよびそれらのAO付加物(付加モル数1〜100)等
硫黄原子含量が3重量%未満では硬化物の屈折率を高めることが困難となり、30重量%を超えると硬化物の耐光性が悪くなる。硫黄原子含量を求める場合には、蛍光X線分析において、検量線を作成し、定量することができる。
(B)の含有量が少ないと、樹脂自体非常にもろくなってしまい、強度が悪化することがある。また(B)の含有量が多すぎると、基材との密着性が悪化し、簡単に剥がれてしまうことがある。
好ましい構造としては下記一般式(2)で表されるモノマーである。
Xは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、COOH、またはCOOCH2CH2OHで表され、好ましくは水素原子である。
例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノールのEO2モル付加物の(メタ)アクリレート、フェノールのPO3モル付加物の(メタ)アクリレート等。
例えば、ノニルフェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート等。
例えば、フタル酸モノキドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル等。
例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等。
例えば、ベンジル(メタ)アクリレート等。
(C1)〜(C5)のうち、活性水素原子を有するものはウレタン化反応終了後に加え、活性水素原子を有しないものはウレタン化反応時および/または反応終了後のいずれの段階で加えてもよい。
(C)の含有量が20重量%未満であると、基材との密着性が悪化し、簡単に剥がれてしまうことがある。また70重量%を超えると、樹脂自体非常にもろくなってしまい、強度が悪化することがある。
添加剤(E)には、離型剤(E1)、屈折率向上剤(E2)、酸化防止剤(E3)および紫外線吸収剤(E4)が含まれる。
添加剤(E)の合計の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常60重量%以下、好ましくは0.005〜50重量%である。
(E1)は1種類で用いてもよく、また数種類を併用してもよい。(E1)の使用量は本発明の組成物の全重量に基づいて、通常300ppm〜2,000ppm、好ましくは500ppm〜1,500ppm、より好ましくは700ppm〜1,200ppmである。
(E2)の使用量は本発明の組成物の全重量に基づいて、通常1〜10重量%、好ましくは3〜7重量%である。
(E3)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3重量%以下、好ましくは0.005〜2重量%である。
(E4)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3重量%以下、好ましくは0.005〜2重量%である。
溶剤の使用量は、組成物の重量に基づいて通常2,000%以下、好ましくは10〜500%である。また、塗料の粘度は、使用時の温度(通常5〜60℃)で、通常5〜500,000mPa・s、安定塗工の観点から好ましくは50〜10,000mPa・sである。
これらの溶剤のうち好ましいのは沸点が70〜100℃のエステル、ケトンおよびアルコール、さらに好ましいのは酢酸エチル、メチルエチルケトン、i−プロパノールおよびこれらの混合物である。
塗工に際しては、通常用いられる装置、例えば塗工機[バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(サイズプレスロールコーター、ゲートロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーター、ブレードコーター等]が使用できる。塗工膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、通常0.5〜300μm、乾燥性、硬化性の観点から好ましい上限は250μm、耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性の観点から好ましい下限は1μmである。
乾燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、通常10〜200℃、塗膜の平滑性および外観の観点から好ましい上限は150℃、乾燥速度の観点から好ましい下限は30℃である。乾燥時間は通常10分以下、硬化膜の物性および生産性の観点から好ましくは1〜5分である。
屈折率は、組成物中の(A)の割合を高くする、硬化物中の硫黄原子含量を増す、あるいはこれらの併用により高めることができる。
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン[丸善石油化学(株)製、以下同じ]152部、トリレンジイソシアネート[商品名:コスモネートT−80、三井武田ケミカル(株)製、以下同じ]243部およびウレタン化触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50%溶液)(以下同じ)0.2部仕込み、80℃で6時間反応させ、その後2−ヒドロキシエチルアクリレート[商品名:ライトエステルHOA、共栄社化学(株)製、以下同じ]164部を加え、80℃で3時間反応させて本発明の実施例のためのウレタンアクリレート(B−1)を得た。
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、ビスフェノールAのPO2モル付加物[商品名:ニューポールBP−2P、三洋化成工業(株)製、以下同じ]116部、キシリレンジイソシアネート[商品名:タケネート500、三井武田ケミカル(株)製、以下同じ。]73部およびウレタン化触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50%溶液)0.2部仕込み、80℃で6時間反応させ、その後2−ヒドロキシエチルアクリレート12部を加え、80℃で3時間反応させて分子内に硫黄原子を含まない比較例のためのウレタンアクリレート(B’−1)を得た。
表1の配合組成にしたがってディスパーザーで混合撹拌し、実施例1〜4、比較例1〜3の樹脂組成物を得た。実施例、比較例ではいずれも成分を一括配合し、均一混合して組成物を作成した。
なお、表中の配合成分とその重量部数は下記の通りである。
(A−2):9,9’−ビス(4−ヒドロキシエチル)フルオレンEO2モル付加ジメタクリレート
(C−1):フェノキシエチルアクリレート
(C−2):ベンジルアクリレート
(D−1):1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュアー184、チバ・ジャパン株式会社製の光重合開始剤)
(D−2):2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:ダロキュアーTPO、チバ・ジャパン株式会社製の光重合開始剤)
(E−1):2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(商品名:AP−8、大八化学工業株式会社製)とジメチルオクチルアミン(商品名:ファーミンDM0898、花王株式会社製)の混合物(重量比で57:43)
(E−2):ジフェニルスルフィド(商品名:DPS、住友精化株式会社製)
(E−3):イルガノックス1010(チバ・ジャパン株式会社製酸化防止剤)
(E−4):チヌビン400(チバ・ジャパン株式会社製紫外線吸収剤)
樹脂組成物 約1gを、PETフィルム[商品名:ルミラーS、東レ(株)製、厚さ80μm]2枚で組成物が約5μmになるように挟み、紫外線照射装置[商品名:VPS/I600、フュージョンUVシステムズ(株)製、以下同じ]を用いて1000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化フィルムを得た。
この硬化物から片方のPETフィルムだけを剥がし、得られた硬化フィルムの屈折率を25℃の環境下でアッベ式屈折率計を用いて測定した。
厚み50μmのセロハンテープを2枚重ねて貼ったガラス板に樹脂組成物を塗布した(樹脂膜厚は約100μm)。
次に、表面を化学処理して密着性を高めたPETフィルム[商品名:コスモシャインA4300、東洋紡(株)製、厚さ100μm]を、上記ガラス板に塗工した樹脂組成物の上から空気が入らないように押さえて、積層圧着した。さらにこの積層物に紫外線照射装置を用いて1000mJ/cm2の紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させた。PETフィルムに密着した樹脂硬化物をガラス板から剥離後、6cm×6cm正方形にカットし、平らなテーブルに置き、正方形の四端のテーブルからの反りを測定し、それらの平均値を算出した。
厚み50μmのテープを2枚重ねて貼ったガラス板に樹脂組成物を塗布した(樹脂膜厚は約100μm)。次に、別のもう1枚のガラス板を、上記ガラス板に塗工した樹脂の上から空気が入らないように加圧積層した。
2枚のガラス板にはさまれた樹脂塗膜に紫外線照射装置を用いて1000mJ/cm2の紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させた。2枚のガラス板から樹脂硬化物を剥離後、ヘイズメーター(BYKgardner社製HAZE−GARD DUAL)を用いてJIS K7136に準拠してヘイズを測定した。また、JIS K7361に準拠して全光線透過率を測定した。
一方、分子内にフルオレン骨格を有する2官能(メタ)アクリレート(A)を含有しない比較例1は屈折率が低い。また、分子内に硫黄原子を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)を含有しない比較例2は屈折率が低くなり、芳香環含有単官能(メタ)アクリレート(C)を含有しない比較例3は反りが大きい。
Claims (9)
- 分子内にフルオレン骨格を有する2官能(メタ)アクリレート(A)、分子内に硫黄原子を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)、および芳香環含有単官能(メタ)アクリレート(C)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 該硫黄原子含有2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)が、ポリチオール(a)または2−メルカプトエタノールとポリイソシアネート(b)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B’)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(d)とのウレタン化反応から形成される硫黄原子含有ウレタン(メタ)アクリレートである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- (A)、(B)および(C)の合計重量に基づいて、硫黄原子含有ウレタン(メタ)アクリレート(B)を5〜60重量%含有する請求項1または2か記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- (A)、(B)および(C)の合計重量に基づいて、該芳香環含有単官能(メタ)アクリレート(C)を20〜70重量%含有する請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- さらに、光重合開始剤(D)を含有させてなる請求項1〜6いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
- 請求項1〜7いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、基材の少なくとも片面に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させてなり、その屈折率が1.585〜1.650である樹脂硬化物。
- 請求項1〜8いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、基材の少なくとも片面に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させてなり、その屈折率が1.585〜1.650である光学部材。
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