JP2010188584A - 耐擦傷性撥水構造及び耐擦傷性撥水構造体 - Google Patents

耐擦傷性撥水構造及び耐擦傷性撥水構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐傷付き性に優れ、極めて良好な超撥水性能を長期に亘って発揮することができる耐擦傷性撥水構造と、このような構造を備えた撥水性構造体、例えば、ウインドウパネルやディスプレイなどの自動車部品を提供すること。
【解決手段】微細凹凸構造を備えた基材1の凹凸表面上に、密着層3を介して撥水層4を備えた撥水性構造において、基材1と密着層3の間に緩衝層2を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、水滴の付着を防ぐ撥水機能を発揮する微細な凹凸構造を備えた撥水性構造であって、耐擦傷性に富み、微細構造の破損を防止して、長期に亘って撥水性を維持することができる耐擦傷性撥水構造と、このような構造を備えた耐擦傷性撥水構造体に関するものである。
基材表面に微細な凹凸構造を付与することにより、光の反射防止機能や、液体、特に水の付着を防ぐ撥水機能などが得られることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような機能により、液晶ディスプレイやCRTディスプレイなど各種のディスプレイ装置に好適に用いることができる。
また、自動車や鉄道車両、船舶、航空機などの各種ウインドウパネルに用いることにより、ワイパーの要らないウインドウパネルの実現が期待でき、部品数の削減や生産工数削減によるコスト削減が期待できる。さらに、ボディパネルに用いることによって、水しみ等の汚れを防ぐことができるものと期待されている。
特開2005−31538号公報
しかしながら、上記した特許文献1に記載された撥水性・反射防止性素子においては、表面の拭き取り操作などによって、微細凹凸構造が容易に破壊され、短期間のうちに撥水性が損なわれてしまうという問題があった。
一方、上記のような微細凹凸構造の表面をフッ素などの撥水性薄膜で覆うことによって、撥水性をさらに向上させた超撥水構造を得ることができるが、樹脂材料にフッ素官能基を直接導入することが難しいため、微細凹凸基材が樹脂製の場合には、密着層としてSiO等の無機酸化物を介して撥水性薄膜層を形成する必要がある。
ところが、SiO等の無機酸化物から成る上記密着層は、一般的に延性に乏しく、外力によって破壊された場合には、この亀裂が基材の微細凹凸部分にまで伝播する結果、微細凹凸構造が破損し易くなるという問題がある。
本発明は、従来の撥水構造における上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、耐傷付き性に優れ、極めて良好な超撥水性能を長期に亘って発揮することができる耐擦傷性撥水構造を提供することにある。さらには、このような構造を備えた耐擦傷性撥水構造体、例えば、ディスプレイやウインドウパネルなどの自動車部品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、微細凹凸表面に密着層を介して撥水層を形成するに際して、基材の凹凸表面と密着層の間に緩衝層を設けることによって、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の耐擦傷性撥水構造は、微細凹凸構造を備えた基材の凹凸表面上に、緩衝層と密着層と撥水層をこの順に備えていることを特徴とする。
また、本発明の耐擦傷性撥水構造体は、上記耐擦傷性撥水構造を基板の少なくとも一方の面に備えていることを特徴としている。
本発明によれば、撥水機能を発揮する凹凸構造の最表面に密着層を介して撥水層を備え、基材の凹凸表面と上記密着層の間にさらに緩衝層を備えたものとしたから、微細凹凸構造の外力による破損を防止することができ、優れた超撥水性能を長期に亘って発揮することができる。
本発明の耐擦傷性撥水構造の一例を示す断面図である。 (a)本発明に用いる基材の代表例として円錐状突起から成る微細凹凸構造を備えた基材の形状を示す斜視図である。(b)本発明に用いる基材の他の代表例として角錐状突起から成る微細凹凸構造を備え基材の形状を示す斜視図である。 (a)実施例1により得られた撥水構造体の払拭試験前の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。(b)実施例1により得られた撥水構造体の払拭試験後の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。 (a)比較例1により得られた撥水構造体の払拭試験前の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。(b)比較例1により得られた撥水構造体の払拭試験後の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の耐擦傷性撥水構造や、このような構造を備えた構造体について、その製造方法や実施形態などと共に、さらに詳細に説明する。
本発明の耐擦傷性撥水構造は、図1に示すように、微細な凹凸構造を備えた基材1の凹凸表面に、基材側から緩衝層2、密着層3、撥水層4の順に備えたものであって、このような微細凹凸構造と、最表面の撥水層4とが相俟って、超撥水と言える優れた撥水性を発揮することができる。
本発明において、微細凹凸構造とは、例えば、図2(a)や図(b)に示すように、円錐や角錐など、無数の錐体状突起1aから成るものとすることができる。このとき、優れた撥水性を発揮するためには、突起間の間隔(ピッチ)Pを水滴の径よりも小さい1mm程度以下とすることが望ましい。
また、ディスプレイのカバーやウインドウパネルとして用いるべく、透明性を確保するためには、間隔Pを μm以下とすることが望ましい。また、外の景色や照明の映り込みを防止することを目的として、可視光の反射防止機能を得るためには400nm以下とすることが望ましい。ピッチPが400nmを超えると、回折光が発生し、反射率が大きくなる傾向がある。好ましくは380nm以下であり、更に好ましくは250nm以下である。250nm以下であれば、回折光はほとんど観測できなくなる。
なお、図2においては、微細凹凸構造を構成する錐体状突起1aの形状例として、円錐形及び四角錐のものを示したが、その底面形状としては、三角形や六角形など、他の多角形であっても良い。
また、錐体状突起1aの形状としては、正確な円錐(母線が直線)や角錐(稜が直線、側面が平面)のみならず、底面から先端側に向かって断面積が順次小さくなるような形状である限り、母線が曲線である円錐状のものや、側面が曲面をなす角錐状であってもよい。
さらに、撥水性が多少犠牲になる傾向があるものの、成形性や耐破損性を考慮して、先端部を平坦にしたり、丸みをつけたりすることも可能である。
加えて、錐体状突起1aの底面の中心と頂点を結ぶ直線は、必ずしも底面に対して垂直である必要もない。
このように、本発明において『錐体状』とは、正確な円錐や角錐のみならず、釣り鐘形や椎の実形の変形円錐状や、曲面から成る側面を有する変形角錐状のもの、先端が丸みを帯びたもの、傾斜したものをも含めた形状を意味する。
なお、上記の図においては、平面上に無数の突起1aを所定間隔に配列した例を示したが、例えば正弦波曲線のような波状や、鋸形断面を有し、凸部と凹部が三次元的に連続するような凹凸構造を採用することも可能である。
本発明の耐擦傷性撥水構造において、上記のような微細凹凸を成形する方法としては、特に限定されるものではないが、熱プレス法(ホットエンボス法)、射出成形法などを挙げることができる。
特に、光の波長以下の微細凹凸を容易に成形するための方法としては、ナノインプリントが好適に用いられる。このナノインプリントによる成形方法としては、熱や活性エネルギー線のいずれを用いる方法であってもよい。
熱を用いる方法については、熱可塑性樹脂を加熱して、金型を押し当てることによって当該樹脂に上記のような錐体状突起を転写する方法である。また、活性エネルギー線を用いる方法は、型に活性エネルギー線により重合し硬化するポリマー又はオリゴマー、モノマーなどを入れ、紫外線やX線、その他電子線、電磁波などの活性エネルギー線を照射することによって固化させる方法である。
上記の成形に用いられるスタンパとしては、上記のような微細な凹凸構造を形成できる方法であれば、特にその製造方法に限定はなく、生産性やコストなどを考慮して適宜なものを使用することができる。
なお、本発明において、ナノインプリントとは、数nmから数10μm程度の範囲の転写を言う。
本発明に使用するプレス装置としては、加熱・加圧機構を有するものや、光透過性スタンパの上方より活性エネルギー線を照射できる機構を有するものがパターン転写を効率良く行う上で好ましい。
上記スタンパは、転写されるべき微細なパターンを有するものであり、スタンパにパターンを形成する方法については、特に制限ななく、例えばフォトリソグラフィや電子線描画法等を所望する加工精度に応じて選択することができる。
また、スタンパの材料としては、シリコンウエハ、各種金属材料、ガラス、セラミック、プラスチック、炭素材料等、強度と要求される精度の加工性を有するものであればよく、 具体的には、Si、SiC、SiN、多結晶Si、ガラス、Ni、Cr、Cu、C、さらにはこれらを1種以上含むものを例示することができる。
上記凹凸構造を形成するための材料としては、上記に示すいずれかの方法により微細な凹凸構造を付与できる基材であればよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ガラス強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、フッ素樹脂、ポリアレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアミドビスマレイミド、ポリビスアミドトリアゾール等の熱硬化性樹脂、さらにはこれらを2種以上ブレンドした材料を用いることが可能であって、とりわけ透明性があるものは、例えば窓(ウインドシールド)や計器類のカバーなどに好適に用いることができる。
活性エネルギー線を用いる場合は、活性エネルギー線により重合を開始できる樹脂が用いられる。このような樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂などを例示することができ、必要に応じて、活性エネルギー線を照射することによりラジカルを発生する重合開始剤を用いることもでき、より強固に固めるためイソシアネートのような硬化剤を加えることもできる。
また、ここで用いられる活性エネルギー線としては、一般に紫外線やX線、その他電子線、電磁波などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
本発明においては、上記のような凹凸構造を備えた基材1の凹凸表面上に、第1層として、緩衝層2が形成されている。
この緩衝層2は、緩衝作用を発揮して凹凸構造に加わる外力を緩和し、後述する密着層3が破壊されたとしてもその亀裂が基材1の凹凸構造部分にまで到達しないようにする機能を有する。
緩衝層2としては、基本的には密着層3よりも延性に富み、密着層3と基材1の間の緩衝作用を発揮するものであれば、特に限定はないが、破断伸び率が5%以上の材料から成るものとすることが望ましい。
これにより、緩衝層2が基材1よりも柔軟かつ靭性に優れたものとなり、外力による負荷応力を分散して、当該緩衝層2が基材1の凹凸と同時に破壊されてしまうような事態を回避することができる。
このような材料としては、例えば、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、ウレタンゴム、ウレタンエラストマー等の合成ゴムやエラストマー、非架橋ポリ(メタ)アクリル、非架橋ポリスチレン、ポリビニルアルコールなどの柔軟性樹脂を用いることができる。
なお、当該緩衝層2の厚さとしては、十分な緩衝作用を発揮させる観点から、5〜100nm程度かつ微細構造が埋没しない範囲とすることが好ましい。
上記緩衝層2の上に形成される密着層3は、最上層である撥水層4を微細凹凸表面に強固に結合させ、撥水層4を化学結合させ、耐久性を確保する機能を有するものであって、通常は樹脂に対する物理吸着力の高いSiO(シリカ)が用いられる。この他に、酸化アルミニウムや酸化チタン、酸化アンチモン、酸化亜鉛などの無機酸化物を単独又は複合して用いることも可能である。
この密着層3の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、LB法、PVD法、CVD法、スパッタ法等を用いることができる。
上記密着層3のさらに表面には、撥水層4が形成されることになる。
当該撥水層4を構成する撥水材料としては、例えばオクタン、デカン、ペンタデカン、ヘキサデカンなどの長鎖アルキル基を持つ長鎖アルコキシシラン、パーフルオロエーテル系やヒドロキシフルオロエーテル系、パーフルオロカーボン系、ハイドロキシフルオロカーボン系のフルオロアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサン等を挙げることができる。
なお、上記撥水層3の形成方法としては、基材1の微細凹凸構造を埋めてしまうことのない方法であれば特に限定されず、例えば、LB法、PVD法、CVD法、自己組織化法、スパッタ法、単分子を溶剤で希釈したものを塗布する方法などが挙げられる。
本発明の耐擦傷性撥水構造体は、上記した撥水構造を基板の少なくとも一方の面に備えたものである。
すなわち、例えば接着剤などを用いて、上記微細凹凸構造を備えた基材1の凹凸表面上に緩衝層2、密着層4及び撥水層4を形成したものをガラスや他の樹脂材料などから成る基板上に貼り付けることによって、耐擦傷性撥水構造体が得られる。
このとき、微細凹凸構造を備えた基材1と上記基板とが別体である必要は必ずしもなく、微細凹凸構造を備えた基板上に、緩衝層2、密着層4、撥水層4を形成することによって、本発明の耐擦傷性撥水構造体とすることも可能である。
上記耐擦傷性撥水構造体においては、基材や基板として、例えばガラスやアクリル樹脂、ポリカーボネートなどの透明材料を用い、構造体全体を透明なものとすることが望ましく、これによって当該構造体の窓材などへの適用が可能になる。
本発明の自動車部品は、本発明の上記耐擦傷性撥水構造を備えたものであるから、耐久性に富み、優れた超撥水性能を長期間に亘って発揮することができる。したがって、例えば自動車のウインドシールドに当該構造を適用することによって、ワイパーの不要なウインドシールドの実現が可能になる。
以下に、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
(実施例1)
市販の電子線描画装置を用いて、開口径100nm、深さ200nmの円錐状凹部が100nmの間隔に六方最密配列した金型を作製した。この金型に紫外線硬化アクリル樹脂を流し込み、基材であるアクリルを押し当てた状態で紫外線を照射することによって、底面径D=100nm、高さH=200nmの円錐状微細突起1aが頂点間距離P=100nmに六方最密配列された微細凹凸構造をその両面に備えた基材1を得た。
次に、この基材1の凹凸表面に、2000rpmの回転速度のスピンコーターを用いて、0.1%ポリビニルアルコール溶液を乾燥状態で20nmの厚さになるように塗布し、80℃で1時間乾燥することによって緩衝層2を形成した。
次いで、この緩衝層2の表面にスパッタリングによってSiOから成る密着層3を5nmの膜厚に成膜した。
そして、この密着層3のさらに表面に、蒸着によって10nmの膜厚にパーフルオロアルキルシランを結合させて撥水層4とし、本例の耐擦傷性撥水構造体を得た。
このようにして得られた耐擦傷性撥水構造体について、下記の要領によって、撥水性及び耐摩耗性について評価し、その結果を表1に示す。
(実施例2)
市販の電子線描画装置を用いて、開口径300nm、深さ500nmの円錐状凹部が300nmの間隔に六方最密配列した金型を作製し、この金型によって、基材1(底面径D=300nm、高さH=500nm、頂点間距離P=300nm)を同様に作製した。
これ以外は、上記実施例と同様の操作を繰り返すことによって、本例の耐擦傷性撥水構造体を得た。
そして、このようにして得られた耐擦傷性撥水構造体について、上記実施例と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
(実施例3)
上記実施例2と同じ金型により作製した基材1の凹凸表面上に、0.1%シリコーンエラストマーのアセトン溶液を乾燥状態で20nmの厚さになるように塗布し、シリコーンエラストマーから成る緩衝層2を形成したこと以外は、上記実施例と同様の操作を繰り返すことによって、本例の耐擦傷性撥水構造体を得た。
そして、このようにして得られた耐擦傷性撥水構造体について、上記実施例と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
(実施例4)
市販の電子線描画装置を用いて、開口径200nm、深さ500nmの円錐状凹部が200nmの間隔に六方最密配列した金型を作製し、この金型によって、基材1(底面径D=200nm、高さH=500nm、頂点間距離P=200nm)を同様に作製した。
これ以外は、上記実施例3と同様の操作を繰り返すことによって、本例の耐擦傷性撥水構造体を得た。
そして、このようにして得られた耐擦傷性撥水構造体について、上記実施例1と同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
(比較例1)
上記実施例1と同様の金型を用いて、同様の凹凸構造(底面径D=100nm、高さH=200nm、頂点間距離P=100nm)を両面に備えた基材1を作製し、この凹凸面上に、緩衝層2を形成することなく、密着層3及び撥水層4を実施例1と同様に形成した。
そして、このようにして得られた構造体について、同様の性能評価を行い、その結果を表1に併せて示す。
〔性能評価方法〕
(1)撥水性能
上記各実施例及び比較例によって得られた各構造体について、まず、トラバース式摩耗試験機を用い、キャンバス布(JIS L 3102)から成る摩擦布によって、荷重9.8kPa、ストローク長100mm、摩擦速度30往復/分の条件のもとに、200回往復払拭作動させた。
そして、このような乾拭き試験後、JIS L 1092に規定された方法に基づき、スプレーテスタ(東洋精器製)を用いて、以下の基準によって撥水度を5段階評価した。
1:表面全体に濡れ広がるもの
2:水滴が球状を保持することなく、表面に濡れ広がるもの
3:表面に球状の水滴が付着するもの
4:表面に微小な球状の水滴がわずかに付着するもの
5:表面に水滴が付着しないもの
(2)耐摩耗性
上記の乾拭き試験及び撥水性評価試験を終えた後の各構造体について、各構造体の払拭表面を目視にて観察し、傷付きがない場合を「○」、傷付きが認められたものを「×」とした。
Figure 2010188584
表1に示すように、基材と密着層の間に緩衝層を備えた実施例1〜4による撥水構造体においては、撥水性能、耐摩耗性共に極めて良好であるのに対して、緩衝層のない比較例1による撥水構造体においては、耐摩耗性が劣り、そのために乾拭き試験後の撥水性能が劣化することが確認された。
図3及び図4は、実施例1及び比較例1により得られた撥水構造体について、上記したトラバース式摩耗試験機を用いた5000回の往復払拭試験の前後における表面状態を比較して示す電子顕微鏡写真である。
すなわち、実施例1による撥水構造体においては、図3(a)に示す試験開始前の状態に対し、図3(b)に示すように、摩耗しているものの、かなり原形を留めていることが判る。
これに対して、緩衝層のない比較例1による撥水構造体においては、図4(a)に示す試験開始前に較べて、試験終了後においては、4(b)に示すように凹凸構造がほとんど完全に消失していることが判明した。
1 基材
1a 錐体状突起
2 緩衝層
3 密着層
4 撥水層

Claims (6)

  1. 微細凹凸構造を備えた基材の凹凸表面上に、緩衝層と密着層と撥水層をこの順に備えていることを特徴とする耐擦傷性撥水構造。
  2. 上記緩衝層を構成する材料の破断伸び率が5%以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐擦傷性撥水構造。
  3. 上記微細凹凸が400nm以下のピッチで配列された無数の錐体状突起から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐擦傷性撥水構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の耐擦傷性撥水構造を基板の少なくとも一方の面に備えていることを特徴とする耐擦傷性撥水構造体。
  5. 透明材料から構成されていることを特徴とする請求項4に記載の耐擦傷性撥水構造体。
  6. 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の耐擦傷性撥水構造を備えていることを特徴とする自動車部品。
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