JP2010188431A - 面削工具装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】切削の結果生成する切屑等の粉塵を効率良く排除することができる面削工具装置を提供する。
【解決手段】面削工具装置は、工作機械の回転主軸6が取り付けられ、下面に切削刃を備えた円盤状の工具本体3と、工具本体3の側方を覆う側部カバー部と工具本体3の上方を覆う上カバー部とを備えたカバーと、カバーに接続され、切削時に発生した切屑等の粉塵を吸引する集塵ダクトとを備え、回転主軸6の回転により工具本体3を回転主軸6の軸線まわりに回転させて、切削刃により被加工物の表面を切削加工する。工具本体3には周方向に等間隔をあけて複数個の貫通穴13が形成されている。なお、集塵ダクトは側部カバー部に接続されており、集塵ダクトの吸引口が工具本体と上カバー部との間の空間に臨んでいる。
【選択図】図2

Description

本発明は、工作機械に使用される面削工具装置に関し、より詳しくは切削の結果生成する切屑等の粉塵を効率良く排除することができる面削工具装置に関するものである。
一般に、フライス盤等の工作機械において、切削工具により被被加工物の表面を切削した場合には、切屑が切削工具の周囲に飛散するという問題があった。
そこで、このような不具合を解消する一般的な対策として、切削工具の外周をカバーで覆い、カバー内の空気を吸引し、空気と共に切粉を加工スペースの外部へ排出することが行われている(以下の特許文献1参照)。
図9を参照して、具体的に説明すると、下面に切削刃100を設けた工具本体101の外周に、カバー102を配置し、このカバー102における工具本体上面側の部分に、集塵ダクト103が接続されている。そして、この集塵ダクト103を集塵機等の吸引源に接続した状態で、被加工物104の切削が行われ、切削に伴って発生する切屑が集塵ダクト103を介して集塵機等の吸引源に吸引捕捉されるようになっている。
特開平06−143087号公報
しかしながら、工具本体101とカバー102の隙間が狭いと、吸引力が小さくなり、粉塵を充分に吸い上げることができない。特に、被加工物104の外周側に飛散せずに、工具本体101と被加工物104との間に存在する粉塵は吸引が困難であり、残存した粉塵は人手により除去していた。
本発明は、上記の実情を鑑みて考え出されたものであり、その目的は、切削の結果生成する切屑等の粉塵を効率良く排除することができる面削工具装置を提供することである。
上記目的を達成するため本発明は、工作機械の回転主軸が取り付けられ、下面に切削刃を備えた工具本体と、工具本体の側方を覆う側部カバー部と工具本体の上方を覆う上カバー部とを備えたカバーと、カバーに接続され、切削時に発生した切屑等の粉塵を吸引する集塵ダクトと、を備え、前記回転主軸の回転により工具本体を回転主軸の軸線まわりに回転させて、前記切削刃により被加工物の表面を切削加工する面削工具装置であって、前記工具本体には貫通穴が形成されていることを特徴とする。
上記の如く、工具本体に貫通穴を形成することにより、工具本体の下面側の空気が上面側に流れ込む空気通路が形成される。そのため、切削時に、被加工物の外周側に飛散せずに、被加工物の表面に残存する粉塵を貫通穴を介して工具本体の上面側に吸引することが可能となる。従って、従来例に比べて、切屑等の粉塵を効率良く排除できる。
なお、集塵ダクトは、前記カバーの上カバー部に接続されている場合であってもよく、前記カバーの側部カバー部に接続されており、該集塵ダクトの吸引口が工具本体と上カバー部との間の空間に臨んでいる場合であってもよい。特に、集塵ダクトが、カバーの側部カバー部に接続されており、該集塵ダクトの吸引口が工具本体と上カバー部との間の空間に臨んでいる場合には、工具本体の上面側に吸引された粉塵に集塵機等の吸引力が大きく作用するので、効率良く粉塵が吸引される。
本発明は、前記工具本体は円盤状であり、前記貫通穴は工具本体の周方向に等間隔をあけて複数個形成されているのが好ましい。このような構成であれば、工具本体と被加工物との間に存在する粉塵を複数の貫通穴から吸引できるので、被加工物の表面に残存する粉塵を均一に且つ効率良く除去することが可能となるからである。
本発明は、貫通穴における工具本体の回転方向後方側の周縁部には、下面側から上面側に向かうに連れて回転方向の後方側に拡開する第1の面取り部が形成されている場合がある。第1の面取り部は傾斜面とされているのが好ましい。このような構成であれば、工具本体が回転すると、貫通穴内の空気が回転方向の後方側に移動し、傾斜面となっている第1の面取り部に当たって圧縮された状態で上方に吸い出される。従って、工具本体の下面側から貫通穴を通り工具本体の上面側に流れる気流が発生し、この気流の発生により、工具本体の上面側が負圧状態となり、吸引力が発生する。この結果、効率良く粉塵を除去することが可能となる。
さらに、傾斜面の傾斜角度が10度〜70度の範囲であるのが好ましい。このように規制するのは以下の理由による。即ち、傾斜角度は小さい方が空気の流れが円滑になるので吸引効果は大きくなる。しかし、10度より小さいと、空気の流れが円滑になり過ぎて負圧が低下する。一方、傾斜角度θが70度より大きいと、負圧が殆ど生じないので、吸引効果が発揮されないからである。
本発明は、貫通穴における工具本体の回転方向前方側の周縁部には、上面側から下面側に向かうに連れて回転方向の前方側に拡開するような傾斜面とされた第2の面取り部が形成されている場合がある。このような第2の面取り部を形成することにより、第2の面取り部に案内されて、工具本体の下面側から貫通穴内に空気が円滑に流れ込むことから、粉塵を効率良く排除することができる。
本発明によれば、工具本体に貫通穴を形成することにより、工具本体の下面側の空気が上面側に流れ込む空気通路が形成される。そのため、切削時に、被加工物の外周側に飛散せずに、被加工物の表面に残存する粉塵を貫通穴を介して工具本体の上面側に吸引することが可能となる。従って、従来例に比べて、切屑等の粉塵を効率良く排除できる。
実施の形態1に係る面削工具装置の簡略化した断面図。 図1のA1−A1線矢視平面図。 図2のA2−A2線矢視断面図。 図2のA3−A3線矢視断面図。 実施の形態2に係る面削工具装置における工具本体の平面図。 図5のA4−A4線矢視断面図。 面取り部の変形例を示す断面図。 実施の形態3に係る面削工具装置における工具本体の貫通穴付近の断面図。 従来例の構成を示す断面図。
以下、本発明を実施の形態に基づいて詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る面削工具装置の簡略化した断面図、図2は図1のA1−A1線矢視断面図、図3は図2のA2−A2線矢視断面図、図4は図2のA3−A3線矢視断面図である。面削工具装置1は、下面にダイヤモンド製の切削刃2を備えた円盤状の工具本体3と、工具本体3の周囲を覆うカバー4とを有する。カバー4は、工具本体3の側方を覆う側部カバー部4aと、工具本体3の上方を覆う上カバー部4bとを備えている。工作機械の回転主軸6は上カバー部4bの中央部を挿通して下方に延び、さらに、工具本体3の中央部を挿通し、工具本体3の下面側でネジ9によりネジ止めされ、回転主軸6が工具本体3と連結固定されている。従って、回転主軸6の回転により、工具本体3は回転主軸6の軸線まわりに回転方向Rに回転し、切削刃2により例えば黒鉛部材等の被加工物10の表面を切削加工するようになっている。
なお、カバー4の側部カバー部4aには集塵ダクト11が接続されており、工具本体3と上カバー部4bとの間の空間12に集塵ダクト11の吸引口11aが臨んでいる。
ここで注目すべきは、工具本体3には、図2に示すように、周方向に等間隔をあけて複数個(本実施の形態では4個)の貫通穴13が形成されていることである。このように貫通穴13を形成することにより、工具本体3の下面側の空気が上面側に流れ込む空気通路が形成される。そのため、切削時に、被加工物10の外周側に飛散せずに、被加工物10の表面に残存する粉塵を貫通穴13を介して工具本体3の上面側に吸引することが可能となる。そして、貫通穴13から空間12に導かれた粉塵は、集塵ダクト11内に吸引されることになる。従って、切削の結果生成する切屑等の粉塵を効率良く排除することができる。
なお、貫通穴13の形状は特に限定されず、円形、楕円形、矩形等のいずれの形状であってもよい。また、貫通穴13の個数及び形成位置は特に限定されないが、本実施の形態のように周方向に等間隔をあけて複数個形成するのが好ましい。このように構成すれば、工具本体3と被加工物10との間に存在する粉塵を複数の貫通穴13から吸引できるので、被加工物10の表面に残存する粉塵を均一に且つ効率良く除去することが可能となる。
(実施の形態2)
図5は実施の形態2に係る面削工具装置における工具本体の平面図、図6は図5のA4−A4線矢視断面図である。本実施の形態2において、実施の形態1と同一の構成要素については同一の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施の形態2では、貫通穴13の回転方向Rの後方側の周縁部には、下面側から上面側に向かうに連れて回転方向Rの後方側に拡開するような傾斜面とされた第1の面取り部20が形成されている。このような第1の面取り部20を形成することにより、切削の結果生成する切屑等の粉塵をより効率良く排除することができる。以下にその理由を述べる。即ち、工具本体3が回転すると、貫通穴13内の空気が回転方向Rの後方側に移動し、傾斜面となっている第1の面取り部20に当たって圧縮された状態で上方に吸い出される。従って、工具本体3の下面側から貫通穴13を通り工具本体3の上面側に流れる気流が発生し、この気流の発生により、工具本体3の上面側が負圧状態となり、吸引力が発生する。従って、工具本体3の回転により発生する吸引力が集塵機の吸引力に加わることになり、切削の結果生成する切屑等の粉塵をより効率良く排除することができることになる。
第1の面取り部20の傾斜面の傾斜角度θとしては、10度〜70度が好ましい。傾斜角度θは小さい方が空気の流れが円滑になるので吸引効果は大きくなる。しかし、10度より小さいと、空気の流れが円滑になり過ぎて負圧が低下する。一方、傾斜角度θが70度より大きいと、負圧が殆ど生じないので、吸引効果が発揮されない。
なお、第1の面取り部20は傾斜面に限らず、図7(1)に示すように、円弧状の湾曲面であってもよく、また、図7(2)に示すように、段差面状であってもよい。
(実施の形態3)
図8は実施の形態3に係る面削工具装置における工具本体の貫通穴付近の断面図である。本実施の形態3では、貫通穴13には、第1の面取り部20に加えて、貫通穴13の回転方向Rの前方側の周縁部に、上面側から下面側に向かうに連れて回転方向Rの前方側に拡開するような傾斜面とされた第2の面取り部21が形成されている。このような第2の面取り部21を形成することにより、実施の形態2よりもさらに切屑等の粉塵を効率良く排除することができる。なぜなら、第2の面取り部21に案内されて、工具本体3の下面側から貫通穴13内に空気が円滑に流れ込むからである。
なお、第1の面取り部20は、図6に示す形状に限らず、図7(1)又は図7(2)に示す形状のものであってもよい。
(その他の事項)
上記実施の形態1〜3では、集塵ダクト11は側部カバー部4aに接続されていたが、図9の従来例のように、工具本体3の上方を覆う上カバー部4b(従来例のカバー102における工具本体上面側の部分に相当)に集塵ダクト11を接続するようにしてもよい。このように構成しても、工具本体3に貫通穴13を形成したり、面取り部20、21を形成したりすることにより、従来例よりも切屑等の粉塵を効率良く排除することが可能となる。
また、工具本体3周辺が、側部カバー部4aにより密閉された状態に近い形で覆われている場合には、例えば第1の面取り部20及び第2の面取り部21の少なくとも一方を上記実施の形態と回転方向に対して逆方向に設けて、下面側に流れる気流を発生させることで粉塵を吹き飛ばすようにすることも可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施の形態1の面削工具装置(工具本体3に貫通穴13が形成されている構成:以下、実施例1と称する)と、実施の形態2の面削工具装置(工具本体3に貫通穴13及び第1の面取り部20が形成されている構成:以下、実施例2と称する)と、貫通穴13のない工具本体3を使用した面削工具装置(以下、比較例と称する)とを用いて、以下の条件で被加工物の表面の切削を行い、切削後の被加工物の状態を調べた。
[条件]
回転速度:1030rpm
被加工物の材質:黒鉛部材
被加工物の大きさ:縦230mm、横198mm
(実験結果)
実施例1では、黒鉛部材表面を布で拭いたら布がやや黒くなった。従って、黒鉛部材表面に粉塵が少々残っていたと認められる。
実施例2では、黒鉛部材表面を布で拭いても殆ど布は黒くならなかった。従って、黒鉛部材表面に粉塵が殆ど残らなかったと認められる。
比較例では、黒鉛部材表面を布で拭いたら布が真っ黒になった。従って、黒鉛部材表面に粉塵が多数残っていたと認められる。
(実験結果の検討)
実施例1及び実施例2共に、切屑等の粉塵を効率良く排除できたことが理解される。特に、実施例2では黒鉛部材表面を布で拭いても殆ど布は黒くならなかったことから、第1の面取り部20を形成することが、粉塵の排除に極めて効果的であることが理解される。
本発明は、工作機械に使用される面削工具装置に適用することができる。
1:面削工具装置 2:切削刃
3:工具本体 4:カバー
4a:側部カバー部 4b:上カバー部
6:工作機械の回転主軸 10:被加工物
11:集塵ダクト 13:貫通穴
20:第1の面取り部 21:第2の面取り部
R:回転方向 θ:傾斜面の傾斜角度

Claims (8)

  1. 工作機械の回転主軸が取り付けられ、下面に切削刃を備えた工具本体と、
    工具本体の側方を覆う側部カバー部と工具本体の上方を覆う上カバー部とを備えたカバーと、
    カバーに接続され、切削時に発生した切屑等の粉塵を吸引する集塵ダクトと、
    を備え、前記回転主軸の回転により工具本体を回転主軸の軸線まわりに回転させて、前記切削刃により被加工物の表面を切削加工する面削工具装置であって、
    前記工具本体には貫通穴が形成されていることを特徴とする面削工具装置。
  2. 前記集塵ダクトは前記カバーの上カバー部に接続されている、請求項1記載の面削工具装置。
  3. 前記集塵ダクトは前記カバーの側部カバー部に接続されており、該集塵ダクトの吸引口が工具本体と上カバー部との間の空間に臨んでいる、請求項1記載の面削工具装置。
  4. 前記工具本体は円盤状であり、前記貫通穴は工具本体の周方向に等間隔をあけて複数個形成されている、請求項1記載の面削工具装置。
  5. 前記貫通穴における前記工具本体の回転方向後方側の周縁部には、下面側から上面側に向かうに連れて前記回転方向の後方側に拡開する第1の面取り部が形成されている、請求項2〜4のいずれかに記載の面削工具装置。
  6. 前記第1の面取り部は傾斜面とされている請求項5記載の面削工具装置。
  7. 前記傾斜面の傾斜角度が10度〜70度の範囲である請求項6記載の面削工具装置。
  8. 前記貫通穴における前記工具本体の回転方向前方側の周縁部には、上面側から下面側に向かうに連れて回転方向の前方側に拡開するような傾斜面とされた第2の面取り部が形成されている、請求項5〜7のいずれかに記載の面削工具装置。
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